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【発明の名称】 農作業機の昇降制御装置
【発明者】 【氏名】石見 憲一

【氏名】林 繁樹

【氏名】塚本 徹

【要約】 【課題】走行機体に昇降自在に連結した作業装置の昇降駆動機構を、検出された対地高さ情報に基づいて作動制御して、作業装置の対地高さを設定高さに維持するように構成した農作業機の昇降制御装置において、作業装置の急激な高さ変動に対しても好適に応答して昇降作動を行わせることができるようにする。

【解決手段】作業装置の対地高さを検出する高さ検出手段からの検出値θと、この検出値θを微分して得られる変化速度ωとを、昇降駆動機構5を作動制御する対地高さ情報としてある。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行機体に昇降自在に連結した作業装置の昇降駆動機構、検出された対地高さ情報に基づいて作動制御して、前記作業装置の対地高さを設定高さに維持するように構成した農作業機の昇降制御装置であって、
前記作業装置の対地高さを検出する高さ検出手段からの検出値と、この検出値を微分して得られる変化速度とを、前記昇降駆動機構を作動制御する前記対地高さ情報としてあることを特徴とする農作業機の昇降制御装置。
【請求項2】
演算された前記変化速度が設定範囲を越える作業装置上昇方向への変化であると、下降指令が優先して出力されるよう構成してある請求項1記載の農作業機の昇降制御装置。
【請求項3】
前記高さ検出手段を、前記作業装置に接地追従可能に支持された接地体の揺動角度を前記検出値として検出する角度センサで構成してある請求項1または2記載の農作業機の昇降制御装置。
【請求項4】
走行機体に昇降自在に連結した作業装置の昇降駆動機構を、検出された対地高さ情報に基づいて作動制御して、前記作業装置の対地高さを設定高さに維持するように構成した農作業機の昇降制御装置であって、
前記作業装置に接地追従可能に支持された接地体の揺動角度を検出する角度センサと、前記接地体の揺動速度を検出する角速度センサとを備え、これら角度センサの検出情報と角速度センサの検出情報とを、前記昇降駆動機構を作動制御する前記対地高さ情報としてあることを特徴とする農作業機の昇降制御装置。
【請求項5】
前記角速度センサで検出された角速度が設定範囲を越える上昇方向作動であると、下降指令が優先して出力されるよう構成してある請求項4記載の農作業機の昇降制御装置。
【請求項6】
走行機体に昇降自在に連結した作業装置の昇降駆動機構を、検出された対地高さ情報に基づいて作動制御して、前記作業装置の対地高さを設定高さに維持するように構成した農作業機の昇降制御装置であって、
前記作業装置に接地追従可能に支持された接地体の揺動角度を検出する角度センサを備えるとともに、前記作業装置の昇降速度を検出する昇降速度検知手段を備え、これら角度センサの検出情報と前記昇降速度検知手段の検出情報とを、前記昇降駆動機構を作動制御する対地高さ情報としてあることを特徴とする農作業機の昇降制御装置。
【請求項7】
前記昇降速度検知手段で検出された上昇方向の昇降速度が設定範囲を越えると、下降指令が優先して出力されるよう構成してある請求項6記載の農作業機の昇降制御装置。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、乗用型田植機、農用トラクタ、コンバイン、などの農作業機に用いる昇降制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
乗用型田植機の昇降制御装置としては、走行機体の後部に駆動昇降自在に連結した苗植付け装置(作業装置)に接地追従可能に接地体を備え、この接地体の揺動角度から苗植付け装置の田面に対する対地高さを割り出し、接地体の揺動角度と予め設定された目標角度の偏差が不感帯から外れると、その外れを是正する方向に苗植付け装置を上記偏差に正比例した速度で昇降させるように昇降駆動手段を比例制御することで、走行機体の浮沈や前後傾斜にかかわらず、苗植付け装置の対地高さを設定高さに維持して植付け深さを安定させるようにしている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2006−180823号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来の昇降制御装置においては、耕盤の凹凸などによって走行機体が浮沈したり、前後傾斜して苗植付け装置が突発的に上下動したような場合、昇降制御がこれに速やかに追従することが難しく、苗植付け装置の対地高さが設定高さから大きく外れたり、設定高さから外れる時間が長くなってしまうことがあった。
【0004】
このような不具合を減少するために、苗植付け装置の対地高さの微分要素(速度要素)を付加して設定高さからの偏差値を修正して比例制御を行うことで応答性を高めることも試みられているが、修正された偏差値が不感帯を越える大きさになるまでは昇降作動が行われることはなく、突発的な高さ変化への対応が未だ不充分なものであった。
【0005】
本発明は、このような点に着目してなされたものであって、作業装置の急激な高さ変動に対しても素早く応答して昇降作動を行わせることができる農作業機の昇降制御装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の発明は、走行機体に昇降自在に連結した作業装置の昇降駆動機構を、検出された対地高さ情報に基づいて作動制御して、前記作業装置の対地高さを設定高さに維持するように構成した農作業機の昇降制御装置であって、
前記作業装置の対地高さを検出する高さ検出手段からの検出値と、この検出値を微分して得られる変化速度とを、前記昇降駆動機構を作動制御する前記対地高さ情報としてあることを特徴とする。
【0007】
上記構成によると、作業装置の対地高さを微分して得られる変化速度が設定範囲を越えると、作業装置の対地高さに基づく基本的な昇降制御に優先した制御を行うことができ、基本的な昇降制御における作業装置の対地高さと設定高さとの偏差が不感帯を上まわる前から、昇降制御作動を開始することが可能となる。
【0008】
従って、第1の発明によると、昇降制御作動の開始タイミングを早めて、作業装置の突発的な高さ変動に対しても素早く応答して作業装置を昇降させることができ、作業装置の対地高さが設定高さから大きく外れたり、設定高さから外れる時間が長くなってしまうことを抑制するのに有効となる。
【0009】
第2の発明は、上記第1の発明において、
演算された前記変化速度が設定範囲を越える上昇方向への速度変化であると、下降指令が優先して出力されるよう構成してあるものである。
【0010】
上記構成によると、作業装置が地面から急速に上方に離れかけた際に早いタイミングで下降制御を行って、作業装置の浮き上がりを素早く抑制することができる。例えば作業装置が苗植付け装置の場合には、浮き苗や植付け苗の姿勢悪化を防止するのに有効であり、作業装置が播種装置の場合には、種子の埋め込み深さの不足を効果的に防止することができる。
【0011】
第3の発明は、上記第1または2の発明において、
前記高さ検出手段を、前記作業装置に接地追従可能に支持された接地体の揺動角度を検出する角度センサで構成してあるものである。
【0012】
上記構成によると、接地体は地面の細かい凹凸を均らしながら接地追従して移動するので、超音波センサ等により非接触で作業装置の対地高さを直接に検出する場合に比べて、外乱の少ない安定した作業装置の対地高さの検出を行うことができる。
【0013】
第4の発明は、走行機体に昇降自在に連結した作業装置の昇降駆動機構を、検出された対地高さ情報に基づいて作動制御して、前記作業装置の対地高さを設定高さに維持するように構成した農作業機の昇降制御装置であって、
前記作業装置に接地追従可能に支持された接地体の揺動角度を検出する角度センサと、前記接地体の揺動速度を検出する角速度センサとを備え、これら角度センサの検出情報と角速度センサの検出情報とを、前記昇降駆動機構を作動制御する前記対地高さ情報としてあることを特徴とする。
【0014】
上記構成によると、接地体の揺動速度が設定範囲以内であると、接地体の揺動角度の検出値に基づく基本的な昇降制御を実行し、接地体の揺動速度が設定範囲を越えると、基本的な昇降制御に優先した昇降制御を行うことができ、接地体の揺動角度が基本的な昇降制御における不感帯より大きくなる前に昇降作動を開始することが可能となる。
【0015】
従って、第4の発明によると、作業装置の突発的な高さ変動に対しても速いタイミングで昇降制御作動を行わせて、作業装置の対地高さの設定高さからの外れ量を小さくするとともに、設定高さからの外れ時間を短くすることができる。
【0016】
第5の発明は、上記第4の発明において、
前記角速度センサで検出された角速度が設定範囲を越える上昇方向作動であると、下降指令が優先して出力されるよう構成してあるものである。
【0017】
上記構成によると、作業装置が地面から急速に上方に離れかけた際に早いタイミングで下降制御を行って、作業装置の浮き上がりを素早く抑制することができる。例えば作業装置が苗植付け装置の場合には、浮き苗や植付け苗の姿勢悪化を防止するのに有効であり、作業装置が播種装置の場合には、種子の埋め込み深さの不足を効果的に防止することができる。
【0018】
第6の発明は、走行機体に昇降自在に連結した作業装置の昇降駆動機構を、検出された対地高さ情報に基づいて作動制御して、前記作業装置の対地高さを設定高さに維持するように構成した農作業機の昇降制御装置であって、
前記作業装置に接地追従可能に支持された接地体の揺動角度を検出する角度センサを備えるとともに、前記作業装置の昇降速度を検出する昇降速度検知手段を備え、これら角度センサの検出情報と前記昇降速度検知手段の検出情報とを、前記昇降駆動機構を作動制御する対地高さ情報としてあることを特徴とする。
【0019】
上記構成によると、昇降速度検知手段で検出された昇降速度が設定範囲を越えると、角度センサの検出情報に基づく基本的な昇降制御に優先した昇降制御を早いタイミングで行うことが可能となる。
【0020】
従って、第6の発明によると、昇降制御作動の開始タイミングを早めて、作業装置の突発的な高さ変動に対しても素早く応答して作業装置を昇降させることができ、作業装置の対地高さが設定高さから大きく外れたり、設定高さから外れる時間が長くなってしまうことを抑制するのに有効となる。
【0021】
第7の発明は、上記第6の発明において、
昇降速度検知手段で検出された上昇方向の昇降速度が設定範囲を越えると、下降指令が優先して出力されるよう構成してあるものである。
【0022】
上記構成によると、作業装置が地面から急速に上方に離れかけた際に早いタイミングで下降制御を行って、作業装置の浮き上がりを素早く抑制することができる。例えば作業装置が苗植付け装置の場合には、浮き苗や植付け苗の姿勢悪化を防止するのに有効であり、作業装置が播種装置の場合には、種子の埋め込み深さの不足を効果的に防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
図1に、本発明に係る農作業機の一例として施肥装置付きの乗用型田植機が示されている。この乗用型田植機は、操向自在な左右一対の前輪1と操向不能な左右一対の後輪2とを備えた四輪駆動型の走行機体3の後部に、6条植え仕様に構成された苗植付け装置(作業装置)4が、昇降駆動機構としての油圧シリンダ5によって駆動される平行四連リンク構造のリンク機構6を介して昇降自在に連結された基本構造を備え、走行機体3の後部に施肥装置7が装備されるとともに、走行機体3の前部左右に予備苗のせ台8が立設配備された構造となっている。苗植付け装置4は、リンク機構6の後端部に前後方向支点X周りにローリング自在に連結されるとともに、リンク機構6の後端上部に備えた電動モータ利用のローリング駆動機構9によってローリング制御されるようになっている。
【0024】
前記苗植付け装置4は、横長角筒状の植付けフレーム11、走行機体3から取り出された作業用動力を受けるフィードケース12、一定ストロークで左右に往復横移動する苗のせ台13、回転式の植付け機構14、後部左右に2条分づつの植付け機構14を備えた3個の植付けケース15、田面の植付け箇所を均平整地する3個の整地フロート16、田面Tに次回の走行基準線を引っ掻き形成する左右一対のマーカ17、等を備えている。
【0025】
並列配備された整地フロート16はそれぞれ後部支点p(図2参照)を中心に上下揺動自在に支持されており、中央の整地フロート16は、田面Tに対する苗植付け装置4の対地高さを検知する接地体SFとして利用されている。この接地体SFの前部と苗植付け装置4の適所に位置固定に配備された回転式ポテンショメータからなる角度センサ21とがリンク連係され、接地体SFの後部支点p周りの揺動角度が角度センサ21の検出値θとして電気的に検出されるようになっている。
【0026】
接地体SFの上下への揺動角度変化に基づいて苗植付け装置4を昇降制御して植付け深さを安定維持する自動昇降制御の実施例のいくつかを以下に説明する。
【0027】
〔第1例〕
図2の制御ブロック図に示すように、走行機体3に装備されたマイコン利用の制御装置22には、前記角度センサ21、前記油圧シリンダ5の作動を司る電磁制御弁23、ポテンショメータからなる制御感度調節器24、植付けレバー25の操作位置を検知するポテンショメータ26、十字操作式の優先操作レバー27の操作を検知するスイッチ機構28、走行機体3に装備された植付けクラッチ29を入り切り操作する電動モータ30、各マーカ17のロックを解除する電磁ソレノイド31、苗植付け装置4が所定の上限位置まで上昇されたことを検知する上限スイッチ32、等が接続されている。
【0028】
前記角度センサ21は、接地体SFが上方に揺動するほど検出値θが増大するように設定されている。制御感度調節器24は、昇降制御の中立状態をもたらす接地体SFの目標姿勢を7段階の目標値θ0として変更調節するものであり、中間調節位置(4)では接地体SFの目標姿勢が略前後水平に設定され、それより段数が小さくなるほど(3〜1)、目標値θ0が減少変更されて、接地体SFの目標姿勢が前下がり方向に変更され、段数が大きくなるほど(5〜7)、目標値θ0が増大変更されて、接地体SFの目標姿勢が前上り方向に変更されるようになっている。
【0029】
接地体SFの目標姿勢が前下がり(目標値θ0が小さく)に設定されるほど、接地体SFの接地面前端が後部支点pから離れることで接地反力を受けやすくなるとともに、接地体SFを下方に接地付勢するセンサバネ36のバネ荷重が小さくなり、苗植付け装置4の浮沈に伴って接地体SFが敏感に揺動変位する状態となる。逆に、接地体SFの目標姿勢が前上がり(目標値θ0が大きく)に設定されるほど、接地体SFの接地面前端が後部支点pに近づくことで接地反力を受けにくくなるとともに、センサバネ36のバネ荷重が大きくなり、苗植付け装置4の浮沈に伴う接地体SFの揺動が鈍感な状態となる。
【0030】
植付けレバー25は運転座席18の右横脇に前後揺動可能に配備されており、前方から後方に亘って「植付け」位置,「下降」位置,「中立」位置、および、「上昇」位置が設定されるとともに、更に、「自動」位置が設定されている。
【0031】
植付けレバー25を「植付け」位置に操作すると、苗植付け装置4を角度センサ21からの検知情報に基づいて電磁制御弁23を制御して、田面Tに対する苗植付け装置4の高さを安定維持する自動昇降制御が実行されるとともに、電動モータ30によって植付けクラッチ29が「入り」操作され、植付け深さを安定維持しながらの植付け作業が行われる。
【0032】
植付けレバー25を「下降」位置に操作すると、上記自動昇降制御が実行されるとともに植付けクラッチ29が「切り」操作される。この操作状態では、植付け作動を行うことなく苗植付け装置4を接地追従させることができ、田面Tを整地フロート16で均平整地する場合、などに利用することができる。
【0033】
植付けレバー25を「中立」位置に操作すると、植付けクラッチ29が「切り」操作された状態で電磁制御弁23が中立に保持され、駆動停止されている苗植付け装置4を任意の高さに保持しておくことができる。
【0034】
植付けレバー25を「上昇」位置に操作すると、植付けクラッチ29が「切り」操作された状態で電磁制御弁23が「上昇」に切換えられ、油圧シリンダ5が短縮駆動されて苗植付け装置4が上昇される。苗植付け装置4が上限位置まで上昇して上限スイッチ32が作動すると電磁制御弁23が「中立」に復帰されて上昇が自動的に停止する。
【0035】
植付けレバー25を「自動」位置に操作すると、前記「植付け」位置に操作した場合と同じ自動昇降制御モードが設定されるとともに、前記優先操作レバー27による苗植付け装置4の上げ下げ操作が可能なモードとなる。
【0036】
優先操作レバー27はステアリングハンドル19の右横側に上下および前後に十字揺動操作可能、かつ、中立付勢して配備されており、植付けレバー25が「自動」位置に操作された状態では、優先操作レバー27を1回「上昇」位置に操作すると、植付けクラッチ29が切り操作されるとともに苗植付け装置4が上限まで上昇され、優先操作レバー27を1回「下降」位置に操作すると、植付けクラッチ29が切り状態のままで自動昇降制御モードとなって苗植付け装置4は接地するまで自動下降され、優先操作レバー27を2回目に「下降」位置に操作すると植付けクラッチ29が入り操作されるようになっている。
【0037】
前記マーカ17は倒伏した線引き作用姿勢に揺動付勢されるとともに、前記リンク機構6にワイヤ連係されており、苗植付け装置4が上昇されるとマーカ17が強制的に振り上げ起立されて、格納ロック機構35によって自動的に起立格納姿勢に係止保持されるようになっている。格納ロック機構35は前記電磁ソレノイド31への通電によってロック解除操作されるようになっており、前記優先操作レバー27を前方に操作すると左側のマーカ17に対するロック解除用の電磁ソレノイド31が通電され、優先操作レバー27を後方に操作すると右側のマーカ17に対するロック解除用の電磁ソレノイド31が通電される。
【0038】
次に、前記角度センサ21の検知情報に基づく自動昇降制御の作動を図3のフロー図に基づいて説明する。
【0039】
自動昇降制御モードに入ると、先ず、苗植付け装置4の対地高さを検出する情報として、角度センサ21からの検出値θが取り込まれるとともに、この検出値θが微分処理されて接地体SFの角速度(変化速度)ωが演算される(♯101,♯102)。演算された角速度ωは予め入力設定されている基準値ω0と比較され(♯103)、苗植付け装置4が急激に田面Tに対して上昇して、接地体SFが下方揺動する方向への角速度ωが基準値ω0を越えると、検出値θが基本的な昇降制御における目標値θ0の不感帯内にあっても、角速度ωに正比例した速度で優先的に下降制御が実行される(♯104)。苗植付け装置4が急激に田面Tに対して下降して、接地体SFが上方揺動する方向への角速度ωが基準値ω0を越えると、検出値θが目標値θ0の不感帯内にあっても、角速度ωに比例した速度で優先的に上昇制御が実行される(♯105)。
【0040】
角速度ωが基準値ω0以内であると基本的な昇降制御が実行される。つまり、角度センサ21からの検出値θが目標値θ0と比較され(♯106,♯107)、苗植付け装置4の浮上によって接地体SFが目標姿勢より下方揺動して、検出値θが目標値θ0を不感帯εより下まわっていると、目標値θ0と検出値θとの偏差(θ0-θ)に正比例した速度での下降制御が実行される(♯108)。苗植付け装置4の沈下によって接地体SFが目標姿勢より上方揺動して、検出値θが目標値θ0を不感帯εより上まわっていると、目標値θ0と検出値θとの偏差(θ0-θ)に正比例した速度で上昇制御が実行される(♯109)。苗植付け装置4の対地高さが設定高さにあって、検出値θが不感帯ε以内で目標値θ0に近い状態にあると、制御中立状態が維持される(♯110)。このように、接地体SFが目標姿勢に維持されることで田面Tに対する苗植付け装置4の対地高さの安定化が図られる。
【0041】
〔第2例〕
図4に、自動昇降制御の第2例のブロック図が、図5に、その制御フロー図がそれぞれ示されている。この例においては、接地体SFが上下揺動する際の前記角速度(変化速度)ωを、接地体SFに取り付けた振動型ジャイロセンサなどの角速度センサ33で直接に検出するよう構成されている。
【0042】
この構成によると、図5示すように、先ず、苗植付け装置4の対地高さを検出する情報として、角度センサ21からの検出値θと、角速度センサ33からの角速度ωが取り込まれる(♯201,♯202)。次に、検出された角速度ωが予め入力設定された基準値ω0と比較され(♯203)、苗植付け装置4が急激に田面Tに対して上昇して、接地体SFが下方揺動する方向への角速度ωが基準値ω0を越えると、検出値θが基本的な昇降制御における目標値θ0の不感帯内にあっても角速度ωに正比例した速度で優先的に下降制御が実行される(♯204)。苗植付け装置4が急激に田面Tに対して下降して、接地体SFが上方揺動する方向への角速度ωが基準値ω0を越えると、検出値θが目標値θ0の不感帯内にあっても角速度ωに正比例した速度で優先的に上昇制御が実行される(♯205)。
【0043】
角速度ωが基準値ω0以内であると基本的な昇降制御が実行される。つまり、角度センサ21からの検出値θが目標値θ0と比較され(♯206,♯207)、苗植付け装置4の浮上によって接地体SFが目標姿勢より下方揺動し、検出値θが目標値θ0を不感帯εより下まわっていると、目標値θ0と検出値θとの偏差(θ0-θ)に正比例した速度での下降制御が実行される(♯208)。苗植付け装置4の沈下によって接地体SFが目標姿勢より上方揺動し、検出値θが目標値θ0を不感帯εより上まわっていると、目標値θ0と検出値θとの偏差(θ0-θ)に正比例した速度で上昇制御が実行される(♯209)。苗植付け装置4の対地高さが設定高さにあって、検出値θが不感帯ε以内で目標値θ0に近い状態にあると、制御中立状態が維持される(♯210)。このように、接地体SFが目標姿勢に維持されることで田面Tに対する苗植付け装置4の対地高さの安定化が図られる。
【0044】
〔第3例〕
図6に、自動昇降制御の第3例のブロック図が、図7に、その制御フロー図がそれぞれ示されている。この例においては、苗植付装置4の適所に加速度センサ34が装備されて、その検出値gを積分して苗植付装置4の昇降速度vを演算するよう構成されている。
【0045】
この構成によると、図7示すように、先ず、苗植付け装置4の対地高さを検出する情報として、角度センサ21からの検出値θと、加速度センサ34からの加速度gが取り込まれ(♯201,♯202)、加速度gを積分して昇降速度(変化速度)vが演算される(♯303)。次に、演算された昇降速度vが予め入力設定された基準値v0と比較され(♯304)、苗植付け装置4が急激に田面Tに対して上昇して、接地体SFが下方揺動する方向への昇降速度vが基準v0を越えると、検出値θが基本的な昇降制御における目標値θ0の不感帯内にあっても昇降速度vに正比例した速度で優先的に下降制御が実行される(♯305)。苗植付け装置4が急激に田面Tに対して下降して、接地体SFが上方揺動する方向への昇降速度vが基準値v0を越えると、検出値θが目標値θ0の不感帯内にあっても昇降速度vに正比例した速度で優先的に上昇制御が実行される(♯306)。
【0046】
昇降速度vが基準値v0以内であると基本的な昇降制御が実行される。つまり、角度センサ21からの検出値θが目標値θ0と比較され(♯307,♯308)、苗植付け装置4の浮上によって接地体SFが目標姿勢より下方揺動して、検出値θが目標値θ0を不感帯εより下まわっていると、目標値θ0と検出値θとの偏差(θ0-θ)に正比例した速度での下降制御が実行される(♯309)。苗植付け装置4の沈下によって接地体SFが目標姿勢より上方揺動し、検出値θが目標値θ0を不感帯εより上まわっていると、目標値θ0と検出値θとの偏差(θ0-θ)に正比例した速度で上昇制御が実行される(♯310)。苗植付け装置4の対地高さが設定高さにあって、検出値θが不感帯ε以内で目標値θ0に近い状態にあると、制御中立状態が維持される(♯311)。このように、接地体SFが目標姿勢に維持されることで田面Tに対する苗植付け装置4の対地高さの安定化が図られる。
【0047】
〔第4例〕
図8に、自動昇降制御の第4例のブロック図が、図9に、その制御フロー図がそれぞれ示されている。この例においては、接地体SFが上下揺動する際の前記角速度(変化速度)ωを検出する角速度センサ33だけが装備されており、苗植付け装置4が上限まで上昇されて接地体SFが前下がり揺動限界になった姿勢からの振り上げ揺動角度が、角速度センサ33で検出された角速度ωを積分して演算取得され、その演算値が接地体SFの揺動角度を示す検出値θとされる。
【0048】
この構成によると、図9示すように、先ず、苗植付け装置4の対地高さを検出する情報として、角速度センサ33からの角速度ωが取り込まれれるとともに(♯401)、この検出された角速度ωが積分処理されて苗植け装置4の昇降速度vが演算される(♯402)。次に、角速度センサ33で検出された角速度ωが予め入力設定された基準値ω0と比較され(♯403)、苗植付け装置4が急激に田面Tに対して上昇して、接地体SFが下方揺動する方向への角速度ωが基準値ω0を越えると、検出値θが基本的な昇降制御における目標値θ0の不感帯内にあっても角速度ωに正比例した速度で優先的に下降制御が実行される(♯404)。苗植付け装置4が急激に田面Tに対して下降して、接地体SFが上方揺動する方向への角速度ωが基準値ω0を越えると、検出値θが目標値θ0の不感帯内にあっても角速度ωに正比例した速度で優先的に上昇制御が実行される(♯405)。
【0049】
角速度ωが基準値ω以内であると基本的な昇降制御が実行される。つまり、角速度ωを積分して得られた検出値θが目標値θ0と比較され(♯406,♯407)、接地体SFが目標姿勢より下方揺動して検出値θが目標値θ0を不感帯εより下まわると、目標値θ0と検出値θとの偏差(θ0-θ)に正比例した速度での下降制御が実行される(♯408)。接地体SFが目標姿勢より上方揺動して検出値θが目標値θ0を不感帯εより上まわると、目標値θ0と検出値θとの偏差(θ0-θ)に正比例した速度で上昇制御が実行される(♯409)。苗植付け装置4の対地高さが設定高さにあって、検出値θが不感帯ε以内で目標値θ0に近い状態にあると、制御中立状態が維持される(♯410)。このように、接地体SFが目標姿勢に維持されることで田面Tに対する苗植付け装置4の対地高さの安定化が図られる。
【0050】
〔他の実施例〕
(1)上記のように、作業装置が苗植付け装置4の場合、苗植付け装置4の浮上に伴う浮き苗や植付け苗の倒れの発生が問題となるが、苗植付け装置4の沈下に伴う深植えは致命的な問題とはならないので、苗植付け装置4が上昇方向へ変化する速度が基準値を越える時だけ優先的な下降制御が実行され、苗植付け装置4が下降方向へ変化する速度が基準値を越えても優先的な上昇制御を行わない簡易な形態で実施することもできる。
【0051】
(2)地面に対する作業装置の対地高さを超音波センサなどで非接触式に検出するとともに、その検出値を微分処理して作業装置の対地高さが変化する速度を演算する形態で実施することもできる。
【0052】
(3)本発明は、走行機体3の後部に作業装置としてのロータリ耕耘装置を昇降自在に連結して、ロータリ耕耘装置を圃場面に対して設定高さに安定維持する農用トラクタの昇降制御(自動耕深制御)や、走行機体3の前部に作業装置としての刈取り部を昇降自在に連して、刈取り部を圃場面に対して設定高さに維持するコンバインの昇降制御(自動刈高さ制御)に適用することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】乗用型田植機の全体側面図
【図2】自動昇降制御の第1例を示すブロック図
【図3】自動昇降制御の第1例における作動を示すフロー図
【図4】自動昇降制御の第2例を示すブロック図
【図5】自動昇降制御の第2例における作動を示すフロー図
【図6】自動昇降制御の第3例を示すブロック図
【図7】自動昇降制御の第3例における作動を示すフロー図
【図8】自動昇降制御の第4例を示すブロック図
【図9】自動昇降制御の第4例における作動を示すフロー図
【符号の説明】
【0054】
3 走行機体
4 作業装置
5 昇降駆動機構
21 角度センサ
33 角速度センサ
θ 検出値
ω 角速度(変化速度)
v 昇降速度(変化速度)
【出願人】 【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
【出願日】 平成19年3月5日(2007.3.5)
【代理人】 【識別番号】100107308
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 修一郎


【公開番号】 特開2008−212059(P2008−212059A)
【公開日】 平成20年9月18日(2008.9.18)
【出願番号】 特願2007−54189(P2007−54189)