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【発明の名称】 高畝成形機
【発明者】 【氏名】稲葉 茂房

【氏名】檀原 充

【要約】 【課題】法面の上部側を強く固めて高畝の崩壊を防止し、長期間高畝を維持できるようにする。

【解決手段】機体1の前部下側にはロータ4を備え、ロータ4の後方には駆動車輪を備え、ロータ4の前方には畝間を機体1が先進可能な幅に左右両側の法面を切削する補助成形板3を備えた高畝成形機であって、機体1のロータ4より後ろ側となる左右側面に、前記ロータ4の回転で畝の上部に跳揚げられた培土を畝の法面に外面で鎮圧して畝を高く盛り上げ可能に下半部61と上半部62とに分割された左右の成形板6を備え、下半部61は設定した畝間幅で機体1に固定し、上半部62は下半部61の上辺に上端部が擺動可能になるように下辺を支持し、さらに上半部62の内面にはエンジンとの間に上端部を設定角度範囲に擺動可能とした成形板駆動機構7を介在させる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
機体の前部下側には、畝間の溝を耕耘して培土を畝の法面に跳揚げるロータを備え、該ロータの後方には畝間をエンジン及びミッションによる稼動で機体を移動させる駆動車輪を備え、該ロータの前方には畝間を機体が先進可能な幅に左右両側の法面を切削する補助成形板を備えた高畝成形機であって、前記機体のロータより後ろ側となる左右側面に、前記ロータの回転で畝の上部に跳揚げられた培土を畝の法面に外面で鎮圧して畝を高く盛り上げ可能に下半部と上半部とに分割された左右の成形板を備え、前記下半部は設定した畝間幅で機体に固定し、前記上半部は該下半部の上辺に上側が擺動可能になるように下辺を支持し、さらに前記上半部の内面には前記エンジンとの間に上端部を設定角度範囲に擺動可能とした成形板駆動機構を介在させて成り、ロータで畝の上部に盛り上げた培土を左右の成形板の上半部で鎮圧させて畝を高く成形できるようにしたことを特徴とする高畝成形機。
【請求項2】
機体の成形板の前方側となる左右両側部に畝の法面の上部に水平な段面を形成する切除具を配設したことを特徴とする請求項1に記載の高畝成形機。
【請求項3】
成形板駆動機構に、伝達と停止とが切り替え可能な伝達切替機構を備えたことを特徴とする請求項1又は2に記載の高畝成形機。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、長ネギ等を栽培するための高畝を成形するのに使用する高畝成形機に関する。
【背景技術】
【0002】
長ネギ(根深ネギ,関東ネギ)の栽培では、成長に対応して葉鞘の周囲に培土を盛り上げて葉鞘への日光の照射を遮断することで、細長く葉鞘を白色化させることが行われる。
この畝の高さは、ネギの成長の初期では低く形成するが、成長に合わせて数度にわたり盛り上げて行き、30cm以上の高さにまで畝を高く形成する。
【0003】
畝を維持管理する作業機(管理機)である畝成形機としては、畝間の溝をロータで耕耘して培土を畝の法面に跳揚げ、その培土を成形板で打圧する鎮圧型の形成装置が提供されている。
畝は上部側面から崩壊するが、このような畝成形機で高畝を形成しようとすると、法面の上部側への成形板の押圧が充分にはできないために、法面の上部側が簡単に崩れてしまい短期間で何度も盛り上げ作業をしなければならないという問題があった。
このため、畝法面の上部側の崩れを防止しようとした特許文献1及び特許文献2に記載の畝成形機が提案されている。
この特許文献1及び特許文献2には、畝間の溝を耕耘して培土を畝の法面に跳揚げるロータと、跳揚げられた培土を含めて畝の法面を押圧する上半部と下半部とに分割された成形板の提案もある。

【特許文献1】特開昭59−192004号公報
【特許文献2】特開昭59−220105号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記特許文献1及び特許文献2の畝成形機では、そのような成形板で法面の上部を固めることができる面もある。しかし、畝の性能は上側面では崩壊しないように強く固め且つ最上部は生育させる部分なので固めるべきではない。
したがって、上記引用文献1及び特許文献2では、長ネギの栽培に適した良質の高畝の形成は難しかった。さらに、高い畝は崩れて狭まることが多く、機体より狭くなった畝間では進路を妨害されて、畝間を円滑に進むことができし、このような状況で使用できる高畝成形機がなかった。
【0005】
そこで本発明は、このような問題点を考慮してなされたもので、ロータで高く盛り上げた畝の法面の上部側を鎮圧して畝の上部側面を強固に形成し、風雨などで崩れやすい畝の法面の上部側の強度を高め、それによって高畝の全体的な崩れを防止し、且つ長ネギの栽培に適した高畝を長期間盛り上げた状態を維持することができ、また、その畝の崩れで畝間が狭くなった所でも円滑に作業が行える高畝成形機を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前述の課題を解決するため、本発明の高畝成形機は、請求項1においては、機体の前部下側には、畝間の溝を耕耘して培土を畝の法面に跳揚げるロータを備え、該ロータの後方には畝間をエンジン及びミッションによる稼動で機体を移動させる駆動車輪を備え、該ロータの前方には畝間を機体が先進可能な幅に左右両側の法面を切削する補助成形板を備えた畝成形機である。
そして、前記機体のロータより後ろ側となる左右側面に、前記ロータの回転で畝の上部に跳揚げられた培土を畝の法面に外面で鎮圧して畝を高く盛り上げ可能に下半部と上半部とに分割された左右の成形板を備え、前記下半部は設定した畝間幅で機体に固定し、前記上半部は該下半部の上辺に上端部が擺動可能になるように下辺を支持し、さらに前記上半部の内面には前記エンジンとの間に上端部を設定角度範囲に擺動可能とした成形板駆動機構を介在させて構成する。
そして、ロータで畝の上部に盛り上げた培土を左右の成形板の上半部で鎮圧させて畝を高く成形できるようにしたことを特徴とする
【0007】
請求項2においては、上記の発明において、前記機体の成形板の前方側となる左右両側部に畝の法面の上部に水平な段面を形成する切除具を配設したことを特徴とする。
【0008】
請求項3においては、上記の各発明において、前記成形板駆動機構に、伝達と停止とが切り替え可能な伝達切替機構を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明の高畝成形機は上記構成なので、畝の法面の上部側が成形板の上半部で叩かれるようにして鎮圧され、畝の法面の上部側が強く固められ、畝の全体的な崩れを長期間防止することができるようになる。
そして、できた高畝の最上部は固まらずに柔らかい状態となり、長ネギの栽培に適した高畝が形成できる。
また、高畝成形機が前進する際に、畝の崩れで畝間が狭くなった場所でも、補助成形板により畝の両側の側面が削られて、高畝成形機が円滑に前進できるようになる。
【0010】
また、法面の下部側は前記成形板の下半部で、落ちた培土と一緒に畝を両側に押し付けて硬く形成できる。
したがて、前記成形板の下半部に働きと一緒となって、畝の法面が上部側と下部側の全面が一体に強く固められて、畝全体的の崩壊を長期間防止できるようになる。
【0011】
また、跳揚げられた培土は畝の上部側が斜面の場合、上に載らずにそのまま滑落してしまうので盛り上げが困難であるが、請求項2の発明では、切除具によって切除されて形成された水平段面にロータによって跳揚げられた培土が下に落ちずに留まって堆積されるので、確実に盛土を高くすることが可能となり、さらにこの部分を成形板の上半部で叩いて鎮圧することで強固な高い畝が形成できるようになる。
【0012】
さらに、請求項3の発明では、盛土の高さが低いときの低畝には、成形板の上半部は畝面に上で空振りすることになるが、そのような状況では、成形板の駆動は停止させることができるようになり、無駄な駆動によるエネルギーの消費を抑えることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の高畝成形機を実施するための最良の形態を図面に基づいて説明する。
【0014】
この形態では、長ネギを栽培するための高畝を成形するのに適したの高畝成形機を示してある。
【0015】
この形態では、図1に示すように、機体1に前方側から補助走行ガイド2,補助成形板3,ロータ4,切除具5,成形板6,成形板駆動機構7が配置された構成になっている。
【0016】
前記補助走行ガイド2は、ロータ3の耕深のゲージを兼ねて機体1を安定させるもので、機体1の前部ステイ11に支持されてロータ3の耕深を回転操作で調整するハンドル21と、ハンドル21の下端部に連結されて畝間の溝底を滑走するスキー板形の滑走板22とからなる。滑走板22は、転動構造の車輪よりも畝間の溝底に広い面積で当接して近接している補助成形板3の上下動を抑制するのに寄与する。
【0017】
また、前記補助成形板3は、畝の法面Sの両側の下部側Saを削って高畝成形機が円滑に前進できるように畝を仮成形するもので、縦長の長方形の1対の板本体31と、図2に詳細に示されるように、板本体31を機体1の前部ステイ11の補助走行ガイド2の近くにそれぞれ固定する取付バー32と、板本体31の間に掛渡された連結バー33とからなる。板本体31は、図4に示すように、畝の法面Sの下部側Saを切削するとともに押圧する刃兼用プッシャとしての機能を備え、畝の法面Sの下部側Saに対して少しの角度aをもって傾斜(1対の板本体31が後方側に向けて広がるように)して対面されている。
【0018】
また、前記ロータ4は、畝間の溝底や法面Sの下部側Saの下隅部分を耕耘して培土Eを主に法面Sの上部側Sbにまで跳揚げるもので、回転軸41と、回転軸41に放射状に連結された複数本のなた刃42とからなる。
【0019】
さらに、前記切除具5は、畝の法面Sの上部側Sbに切除溝Pを形成するもので、図3に詳細に示されるように、機体1の後部フレーム12に固定されたリング形の取付部51と、取付部51に挿通取付けされるU字形のアーム52と、アーム52の先端部に固定された三角筒形の切除刃53とからなる。取付部51は、アーム52,切除刃53の不要時の引抜きによる取外しを可能にして、突出による作業員の怪我を防止し機体1の格納駐機を容易にする。アーム52は、U字形によって切除刃53を機体1から畝の法面Sの上部側Sbに突出させる。切除刃53は、三角筒形によって畝の法面Sの上部側Sbに水平方向と垂直方向との切断面による階段形の下が水平段面となる切除溝Pを形成する。
【0020】
また前記成形板6は、畝の法面Sの下部側Saを本成形するとともに上部側Sbを成形するもので、図3に詳細に示されるように、機体1の後部フレーム12に固定された縦長(補助成形板3の板本体31よりも幅広)の長方形の1対の下半部61と、下半部61と分割されて下半部61の上方に延びた1対の上半部62と、下半部61に対して上半部62を回動可能に連結するヒンジ63とからなる。下半部61は、図4に示すように、畝の法面Sの下部側Saを押圧するプッシャとしての機能を備え、畝の法面Sの下部側Saに対して少しの角度aをもって傾斜して対面されている。上半部62は、畝の法面Sの上部側Sbを叩き押圧するプッシャとしての機能を備え、畝の法面Sの上部側Sbに対して起伏動するようになっている。
【0021】
前記成形板駆動機構7は、成形板6の上半部62を回転(起伏)駆動するもので、図3に詳細に示されるように、成形板6の上半部62に支持された固定ピン71と、図示しないクランク機構に連結された可動ピン72と、固定ピン71,可動ピン72を連結する連結アーム73とからなる。
【0022】
なお、前記ロータ4の駆動と成形板駆動機構7とは、同時的にも選択的に停止と駆動を切り替えが可能である。
【0023】
この形態を畝間に入れて畝を維持管理する作業させると、まず、補助成形板3によって畝の法面Sの両側の下部側Saを削って高畝成形機が円滑に前進できるように畝を仮成形するが、その際、畝の下部側Saから突出部分を切削されるとともに崩れている部分が押圧されて修正される。
この結果、畝の法面Sの下部側Saがある程度強く固められる仮成形が行われることになる。
【0024】
続いて、ロータ4によって畝間の溝底が耕耘され、耕耘された培土Eが補助成形板3によって畝間の溝底に落下されていた培土Eとともに畝の法面Sの上部側Sb(ロータ4の後方側の)まで跳揚げられる。このとき、切除具5によって畝の法面Sの上部側Sbに切除溝Pが形成されているため(図5(A)参照)、跳揚げられた培土Eが切除溝Pに堆積され畝の法面Sの上部側Sbからの滑落が防止される(図5(B)参照)。この結果、確実に盛土を高くして高畝を容易に維持管理することができることになる。なお、切除溝Pに培土Eが堆積される大きな容積が確保される階段形の構造であるため、盛土の量を増やして高畝を容易に維持管理することができることになる。
【0025】
続いて、成形板6の下半部61によって畝の法面Sの下部側Saが押圧される(図5(C)参照)。この結果、補助成形板3によって仮成形されていた畝の法面Sの下部側Saがさらに強く固められて成形されることになる。
【0026】
同時に、成形板6の上半部62によって畝の法面Sの上部側Sbが叩かれるように押圧される。この結果、跳揚げられた培土Eを含めて畝の法面Sの上部側Sbが強く固められるとともに、盛土の高さが上昇することになる。
【0027】
従って、この形態によって畝を維持管理する作業を行うと、畝の法面Sの上部側Sb,下部側Saの双方を強く固めて畝の全体的な崩れを防止することができる。
【0028】
なお、成形板駆動機構7の駆動を停止することで、単なる耕耘作業や低畝を維持管理する作業にも使用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0029】
本発明の高畝成形機は、ネギのみならずホワイトアスパラガス等が栽培される高畝を形成する場合にも使用が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の高畝成形機の側面図である。
【図2】図1の要部の拡大斜視図である。
【図3】図1の他の要部の拡大斜視図である。
【図4】図1の模式的平面図である。
【図5】(A)から(B)の順に作業工程を示す高畝形成作業の模式的縦断側面図である。
【符号の説明】
【0031】
1 機体
2 補助走行ガイド
3 補助成形板
4 ロータ
5 切除具
6 成形板
61 下半部
62 上半部
7 成形板駆動機構
E 培土
P 切除溝
S 法面
Sa 下部側
Sb 上部側
【出願人】 【識別番号】000157153
【氏名又は名称】関東農機株式会社
【出願日】 平成18年12月29日(2006.12.29)
【代理人】 【識別番号】100095739
【弁理士】
【氏名又は名称】平山 俊夫


【公開番号】 特開2008−161154(P2008−161154A)
【公開日】 平成20年7月17日(2008.7.17)
【出願番号】 特願2006−356748(P2006−356748)