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【発明の名称】 耕耘装置
【発明者】 【氏名】小橋 健志

【要約】 【課題】藁等を耕土内の深い位置にすき込む。

【構成】耕耘装置1は、回転動自在に支持された代かき軸11の外周に代かき軸方向に所定間隙を有して配設されて代かき軸11の径方向外側に延びる複数の代かき爪20を有した代かきロータ10を備える。代かき爪20は、先端部が描く円軌跡の所定の回転半径を有する第1代かき爪21とこれよりも回転半径の大きい第2代かき爪31とを有する。第1代かき爪21及び第2代かき爪31は、代かき軸方向に同位置若しくは所定間隔を有して隣接して配設され、代かき軸11には、第1代かき爪21の回転半径よりも大きな回転半径を有して代かき軸11に対して略直交する方向に延びる直刃が設けられる。代かきロータ10の後方位置には、代かきロータ10の後方側へ延びて先端部が代かき爪20の回転領域外側の回転領域上下幅内に配置されるレーキ体50が設けられる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転動自在に支持された代かき軸と、該代かき軸の外周に該代かき軸の軸方向に所定間隙を有して配設されて前記代かき軸の径方向外側に延びる複数の代かき爪とを有してなる代かきロータを備えた耕耘装置において、
前記代かき爪は、先端部が描く円軌跡の所定の回転半径を有する第1代かき爪と該第1代かき爪よりも回転半径の大きい第2代かき爪とを有し、
前記第1代かき爪及び前記第2代かき爪は、前記代かき軸の軸方向に同位置若しくは所定間隔を有して隣接して配設され、
前記代かき軸には、前記第1代かき爪の回転半径よりも大きな回転半径を有して前記代かき軸に対して略直交する方向に延びる直刃が設けられることを特徴とする耕耘装置。
【請求項2】
前記代かき軸の周方向に配設された複数の前記第1代かき爪及び前記第2代かき爪のうちの少なくとも1つを前記直刃としたことを特徴とする請求項1に記載の耕耘装置。
【請求項3】
前記代かきロータの後方位置には、前記代かきロータの後方側へ延びて先端部が前記代かき爪の回転領域外側の回転領域上下幅内に配置されるレーキ体が設けられることを特徴とする請求項1又は2に記載の耕耘装置。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、耕耘装置に関し、特に、代かき作業時において用いられる代かき爪を有してなる代かきロータを備えた耕耘装置に関する。
【背景技術】
【0002】
代かき作業は、水田に対して水持、砕土、肥料の混合、均平、雑草防除、田植えの確実化の向上等を目的として湛水田に対して行なわれる。この代かき作業は機械的にも行なわれ、例えば、トラクタの後部に装着された代かきロータにより代かき作業が行なわれる。代かきロータは回転動自在に支持された代かき軸に回転半径が同一の複数の代かき爪を放射状に取り付けて構成されている(文献1参照)。
【0003】
この代かきロータは、代かき爪の回転動により圃場の耕土を攪拌して均等に混ぜ、特に藁等を表土以下の耕土に対してすき込むとともに、粒の大きい土塊を砕いて土粒にする機能を有している。
【0004】
【特許文献1】特開昭54−15807号公報(第1−2頁、第1図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、耕土にすき込まれる藁は一般的に比重が小さいので、耕土内の下部の深い位置に藁をすき込まないと、藁は表土上に浮いてしまい田植え作業にも支障をきたす虞がある。
【0006】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであり、藁等を耕土内の下部の深い位置にすき込むことができる耕耘装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために本発明に係わる耕耘装置は、回転動自在に支持された代かき軸と、該代かき軸の外周に該代かき軸の軸方向に所定間隙を有して配設されて代かき軸の径方向外側に延びる複数の代かき爪とを有してなる代かきロータを備えた耕耘装置において、代かき爪は、先端部が描く円軌跡の所定の回転半径を有する第1代かき爪と該第1代かき爪よりも回転半径の大きい第2代かき爪とを有し、第1代かき爪及び第2代かき爪は、代かき軸の軸方向に同位置若しくは所定間隔を有して隣接して配設され、代かき軸には、第1代かき爪の回転半径よりも大きな回転半径を有して代かき軸に対して略直交する方向に延びる直刃が設けられることを特徴とする。
【0008】
上記構成の耕耘装置によれば、複数の代かき爪を代かき軸の軸方向に所定間隙を有して配設し、代かき爪は、所定の回転半径を有する第1代かき爪とこれよりも回転半径の大きい第2代かき爪とを有し、第1代かき爪及び第2代かき爪を代かき軸の軸方向に同位置若しくは所定間隔を有して隣接して配設することで、代かきロータにより湛水田を代かきすると、隣接する第1代かき爪及び第2代かき爪の先端部の角速度の相違によって、隣接する代かき爪の先端部間を流れる水のうち回転半径の小さい方の代かき爪の先端部近傍の水の圧力が回転半径の大きい代かき爪の先端部近傍の水の圧力よりも大きくなる。このため、隣接する代かき爪の先端部間を流れる水は、その上側と下側で圧力差が生じて下側へ流れ出ようとする。その結果、代かき爪により耕土が攪拌されると、耕土とともに攪拌された藁は下側へ流れる水流により耕土の下側へ埋め込まれる。このため、藁を耕土の下部の深い位置にすき込むことができる。また、代かき軸に第1代かき爪の回転半径よりも大きな回転半径を有して代かき軸に対して略直交する方向に延びる直刃を設けることで、代かき軸が回転動すると直刃が代かき軸を回転中心として回転動して藁を下方へ押圧して攪拌された耕土の下部にすき込ませる。そして、直刃の先端部が代かき軸の垂直下方位置から上方へ移動すると、直刃による藁の押圧動作が解除される。このため、直刃により藁を耕土の下部の深い位置に強制的に埋め込むことができ、藁が耕土にすき込まれるすき込み性をより向上させることができる。
【0009】
また、上記構成の耕耘装置において、代かき軸の周方向に配設された複数の第1代かき爪及び第2代かき爪のうちの少なくとも1つを直刃としてもよい。
【0010】
上記構成の耕耘装置によれば、代かき軸の周方向に配設された複数の第1代かき爪及び第2代かき爪のうちの少なくとも1つを直刃とすることで、直刃とによって代かき軸の軸方向に延びる藁を下方へ強制的に移動させることができる。このため、代かきロータによる藁の耕土へのすき込み性をより向上させることができる。
【0011】
また、上記構成の耕耘装置において、代かきロータの後方位置に、代かきロータの後方側へ延びて先端部が代かき爪の回転領域外側の回転領域上下幅内に配置されるレーキ体を設けてもよい。
【0012】
上記構成の耕耘装置によれば、代かきロータの後方側に先端部が代かき爪の回転領域外側の回転領域上下幅内に延びるレーキ体を設けることで、代かき爪により耕土内にすき込まれた藁の上部にレーキ体を押し当てることができる。このため、耕土内にすき込まれた藁を耕土内の下部の深い位置に確実に埋め込むことができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係わる耕耘装置によれば、代かき爪は、先端部が描く円軌跡の所定の回転半径を有する第1代かき爪とこれよりも回転半径の大きい第2代かき爪とを有し、第1代かき爪及び第2代かき爪は、代かき軸の軸方向に同位置若しくは所定間隔を有して隣接して配設することで、代かきロータにより湛水田を代かきすると、隣接する代かき爪の先端部間を流れる水はその上側と下側の圧力差によって下側へ流れ出て、代かき爪により攪拌された耕土内の深い位置に藁をすき込む。また、代かき軸に第1代かき爪の回転半径よりも大きな回転半径を有して代かき軸に対して略直交する方向に延びる直刃を設けることで、代かき軸が回転すると直刃が代かき軸を回転中心として回転動して藁を攪拌された耕土の下部にすき込む。このため、藁を耕土の下部の深い位置に強制的に埋め込むことができ、藁の耕土へのすき込み性をより向上させることができる。
【0014】
また代かき軸の周方向に配設された複数の第1代かき爪及び第2代かき爪のうちの少なくとも1つを直刃とすることで、直刃によって代かき軸の軸方向に延びる藁を下方へ強制的に移動させることができ、代かきロータによる藁の耕土へのすき込み性をより向上させることができる。
【0015】
また代かきロータの後方側に先端部が代かき爪の回転領域外側の回転領域上下幅内に延びるレーキ体を設けることで、代かき爪により耕土内にすき込まれた藁の上部にレーキ体を押し当てることができ、耕土内にすき込まれた藁を耕土内の下部の深い位置に確実に埋め込むことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の好ましい実施の形態を図1から図6に基づいて説明する。本発明に係わる耕耘装置1は、図1(側面図)に示すように、回転動自在な代かきロータ10と、代かきロータ10の後方側に配設されたレーキ体50と、レーキ体50の後方側に配設されたレベラー70とを有して構成される。耕耘装置1は、その前部において図示しないトラクタの後部に着脱自在に連結され、トラクタからの動力供給を受けて代かきロータ10が回転動する。耕耘装置1は、代かきロータ10が回転動した状態でトラクタが前進動して、湛水田の代かきを行なう。
【0017】
代かきロータ10は、水平方向に回転動自在に支持された代かき軸11と、代かき軸11の外周に該代かき軸11の軸方向に所定間隙を有して配設されて代かき軸11の径方向外側に延びる複数の代かき爪20とを有して構成される。代かき爪20は、所定の回転半径を有する第1代かき爪21と該第1代かき爪21よりも回転半径の大きな第2代かき爪31とを有する。第1代かき爪21及び第2代かき爪31は代かき軸11の軸方向に所定間隔を有して隣接して配設される。第1代かき爪21及び第2代かき爪31は、その基端側が図2に示す代かき軸11の外周に固着された取付ボックス13に挿入されてボルト14及びナット15により固定され、先端側が代かき軸11の径方向外側に延びている。代かき軸11の軸方向に隣接する第1代かき爪21及び第2代かき爪31は互いに周方向に所定角度を有してずれた状態で配置されている。
【0018】
代かき軸11に配設された複数の第1代かき爪21のそれぞれの先端部が描く円軌跡の回転半径R1は同一の大きさであり、また代かき軸11に配設された複数の第2代かき爪31のそれぞれの先端部が描く円軌跡の回転半径R2も同一の大きさである。このため、代かき軸11の軸方向に隣接して配設された第2代かき爪31は、第1代かき爪21の先端部が描く回転半径R1よりも大きな回転半径R2を有して回転動する。
【0019】
ここで、回転半径の異なる第1代かき爪21及び第2代かき爪31間の水Wの流れについて考察する。図3(a)(側面図)は、湛水田に代かきロータ10を設置して反時計方向(矢印A方向)に回転動させたときの状態を示し、図3(b)(拡大図)は、図3(a)と等価の状態を示したモデル図である。図3(b)に示すモデル図は、代かきロータ10を回転動させたときの水Wの流れが、停止状態にした代かきロータ10の後方側から水Wを前方側に流したときの水Wの流れと同様であると考えたものである。なお、この前方側へ流れる水Wは、その上側から下側に進むに従って流速が漸次大きくなる。この水Wの流速が上下位置で相違する理由は後述する。以下、このモデル図の考えに従って、第1代かき爪21及び第2代かき爪31間の水Wの流れについて考察する。
【0020】
図2に示すように、湛水田に代かきロータ10を設置してこれを回転動させると、左右に隣接する第1代かき爪21及び第2代かき爪31の回転半径は相違しているので、回転半径が大きい第2代かき爪31の先端部の角速度は回転半径が小さい第1代かき爪21の先端部のそれよりも大きくなる。このため、第1代かき爪21及び第2代かき爪31の先端部間を流れる水Wの流速は、下側に進むに従って漸次大きくなる。その結果、ベルヌーイの定理より、これら隣接する代かき爪21、31の先端部間を流れる水Wのうち回転半径の小さい第1代かき爪21の先端部近傍の水の圧力P1は、回転半径の大きい第2代かき爪31の先端部近傍の水の圧力P1よりも大きくなると考えられる。このため、隣接する代かき爪の先端部間を流れる水Wは、その上側と下側で圧力差が生じて下側へ流れ出ようとする。また、回転半径の小さい第1代かき爪21の先端部とこの中間部との間の水も、前述した隣接する代かき爪21、31の先端部間を流れる水Wの場合と同様に、ベルヌーイの定理よりその上側と下側で圧力差が生じて下側へ流れ出ようとする。その結果、図4に示す表土上に藁Bが敷かれた湛水田を代かきロータ10により代かきすると、複数の代かき爪20により耕土Kが攪拌されるとともに、図5に示すように、回転半径の小さい第1代かき爪21の先端部とこの中間部との間の水Wは下方へ流れ出し、さらに、この水Wは、後から来る回転半径の大きな第2代かき爪31と回転半径の小さい第1代かき爪21との間に流れ込み、前述したように、この水Wは、ベルヌーイの定理よりその上側と下側で圧力差が生じて、さらに下側へ流れ出る。このため、図4に示すように、表土上に存在する藁Bは、水Wの流れに沿って移動して攪拌された耕土Kの内部に埋め込まれ、さらに耕土Kの下部の深い位置に埋め込まれる。
【0021】
さて、図2に示すように、代かき軸11の軸方向に配設された複数の第1代かき爪21及び複数の第2代かき爪31の各位置の周方向には、各位置に配設された代かき爪と同一種類の複数の第1代かき爪21及び複数の第2代かき爪31が配設されている。また、代かき軸11の周方向に配設された複数の第1代かき爪21及び複数の第2代かき爪31のうちの1つは、代かき軸11に対して直交する方向に延びて、第1代かき爪21よりも回転半径の大きな直刃40が設けられている。直刃40は、図6(a)(正面図)に示すように、基端側の端部に挿通孔41が形成されている。この挿通孔41は、図2に示す取付ボックス13に直刃40の基端部を挿通させた状態で取付ボックス13に挿通されたボルト14を挿通孔41に挿通させるための孔である。直刃40の先端側は、図2に示す代かき軸11の軸方向に垂直方向に延びて代かき軸11の周方向に湾曲し、直刃40の先端部40aは挿通孔41の中心O側へ延びる直線状に形成されている。直刃40の先端側の外側端部には、図6(b)(側面図)に示すように、外側に尖った押圧面42が形成されている。
【0022】
このため、図2に示すように、代かき軸11が矢印A方向に回転動すると、直刃40が代かき軸11の中心軸を回転中心として回転して、第1代かき爪21及び第2代かき爪31間に位置する藁Bを下方へ押圧することができる。そして、図6(a)に示す直線状に延びる直刃40の先端部40aが代かき軸11の中心軸の真下を超えた位置に移動すると、図6(b)に示す直刃40の押圧面42による藁Bの押圧動作が解除される。このため、図6(a)に示すように、挿通孔41の中心Oと直刃40の先端との距離が距離Rで形成されている場合、挿通孔41の中心から垂直下方に距離Rを有した位置に藁Bを強制的に移動させることができる。このため、図4に示す代かきロータ10による藁Bの耕土Kへのすき込み性をより向上させることができる。
【0023】
このように構成された代かきロータ10の上方には、図1に示すように、前後方向に延びて代かきロータ10を覆うシールドカバー60が配設されている。シールドカバー60の後部には、基端側が上下方向に回動自在に枢結されて後方側へ延びるエプロン62が設けられている。このエプロン62は、シールドカバー60の後部に設けられたセンターピボット63を介して左右方向に揺動可能に枢支されている。エプロン62の先端部には前述したレベラー70が上下方向に揺動自在に枢結されており、図示しない動力操作機構によりレベラー70は上下方向の揺動がロック状態にされ及びロックが解除された状態にされる。
【0024】
代かきロータ10とエプロン62との間には、第1スプリングレーキ51及び第2スプリングレーキ55を有してなる前述したレーキ体50が設けられている。第1スプリングレーキ51は代かきロータ10の後方側へ延びて先端部が代かき爪20の回転領域Dの外側の回転領域上下幅内に延びている。第1スプリングレーキ51はその上端部に左右方向に延びる回転軸52を有し、その回転軸52に左右方向に所定間隔を有して後方側へ斜め下方に延びる複数の第1レーキ体53が取り付けられている。第1レーキ体53の先端部はレベラー70よりも下方位置に延びている。回転軸52の左右両端部には斜め下方へ延びる一対の連結アーム65が取り付けられ、この連結アーム65の先端部とエプロン62との間にはリンク部材66が回動自在に枢結されている。このため、エプロン62の上下揺動に連動して第1レーキ体53が上下方向に揺動して、第1レーキ体53の先端部の上下位置を調整することができる。なお、第1レーキ体53はシールドカバー60に固定され、エプロン62と非連動状態にしてもよい。
【0025】
また、第2スプリングレーキ55は、代かきロータ10の後方側へ延びて先端部が代かき爪20の回転領域Dの外側の回転領域上下幅内に延びている。第2スプリングレーキ55はその上端部に左右方向に延びる図示しない固定軸を有し、その固定軸に左右方向に所定間隔を有して後方側へ斜め下方に延びる複数の第2レーキ体56が取り付けられている。複数の第2レーキ体56のそれぞれは、左右方向に隣接する第1レーキ体53間に配設され、第2レーキ体56の先端部は第1レーキ体53のそれよりも下方位置に延びている。このため、第2レーキ体56は、側面視において第1レーキ体53と交差する方向に延びている。なお、第2レーキ体56は、第1レーキ体53と同様に、エプロン62の上下揺動に連動して上下方向に揺動可能に構成されてもよい。
【0026】
第1スプリングレーキ51の上部下側には、左右方向に延びる板状の遮蔽板73が装着されている。遮蔽板73は、代かき爪20の回転領域Dを超えた近傍位置に配置され、下側が複数の第1レーキ体53に沿って形成されている。
【0027】
このように構成された耕耘装置1により、代かき作業を行なうには、図1に示すように、図示しないトラクタの後部に耕耘装置1を装着し、耕耘装置1を湛水田に移動させる。そして、トラクタを駆動させて耕耘装置1の代かきロータ10を矢印A方向に回転動させるとともに、トラクタを前進動させる。代かきロータ10が回転動すると、図4に示すように、代かき爪20により耕土Kが攪拌されるとともに、表土上に存在する藁Bが攪拌された耕土K内にすき込まれる。ここで、代かきロータ10が回転動すると、図5に示すように、回転半径の小さい第1代かき爪21の先端部とこの中間部との間に位置する水Wは、ベルヌーイの定理より、その上側と下側で圧力差が生じて下側へ流れる。その結果、この水W内に押し込められた藁Bは第1代かき爪21の先端部側へ移動する。また、この下側へ流れた水Wは、第1代かき爪21とこれに隣接する第2代かき爪31の先端部との間に流れ込み、ベルヌーイの定理よりその上側と下側で圧力差が生じて、さらに下側へ流れ出る。このため、藁Bは更に下方へ移動する。即ち、藁Bは、図4に示すように、攪拌された耕土Kの下部の深い位置に埋め込まれる。その結果、攪拌された耕土Kの深い位置に藁Bをすき込むことができる。
【0028】
耕土Kの深い位置にすき込まれた藁Bは、代かきロータ10の後方側に配設された前述した第1スプリングレーキ51及び第2スプリングレーキ55により上部から押圧されて、耕土K内の下部の深い位置に確実にすき込まれる。また、第1レーキ体53及び第2レーキ体56は、側面視において、斜め下方に傾斜して交差する方向に配設されているので、代かきロータ10から後方側に送り出された藁Bの流れはより下方側になり、藁Bのすき込み性をより向上させることができる。
【0029】
また、図1に示すように、代かきロータ10により上方へ持ち回された圃場内の水Wは、遮蔽板73に当接してその向きを変えて下方へ流れる。その結果、代かきロータ10により攪拌された耕土Kや藁Bが代かきロータ10の回転とともに上方へ引きずられる持ち回りを防止することができ、藁Bのすき込み性の低下を防止することができる。さらに、遮蔽板73の下方に持ち回された耕土K’を堆積させて、この耕土K’の下部に後から続く攪拌された耕土Kを流すことができる。このため、代かきされた圃場の表面の均平性を向上させることができる。
【0030】
なお、前述した実施の形態では、代かき爪20は第1代かき爪21と第2代かき爪31の2種類により構成される場合を示したが、これに限るものではなく、例えば、代かき軸11の軸方向に隣接する代かき爪20の回転半径が異なるものであれば、代かき爪20は、3種類以上で構成されてもよい。また、図2に示す直刃40は第1代かき爪21の回転半径よりも大きな回転半径を有するとしたが、第2代かき爪31の回転半径よりも大きくしてもよい。
【0031】
また、図2に示す第2代かき爪31の代わりに直刃40を設け、第1代かき爪21が取り付けられた位置から代かき軸11の周方向にずれた位置に設けられた直刃40を第1代かき爪21にしてもよい。即ち、代かき軸11の周方向に所定間隙を有して複数の第1代かき爪21を設けるとともに、代かき軸11の周方向に所定間隙を有して複数の直刃40を設け、これら周方向に配設された複数の第1代かき爪21と周方向に配設された複数の直刃40とを、代かき軸11の軸方向に所定間隔を有して配設してもよい。この場合、直刃40の先端部の回転半径は第1代かき爪21のそれよりも大きくする。さらに、代かき軸11の軸方向の同位置に周方向に所定間隙を有して第1代かき爪21及び第2代かき爪31を配設してもよい。このように構成することで、代かき軸11の軸方向に第1代かき爪21と第2代かき爪31とを配設した場合と同様の効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明の一実施の形態に係わる耕耘装置の側面図を示す。
【図2】この耕耘装置の代かきロータの正面図を示す。
【図3】代かき爪の動作を説明するための図を示し、同図(a)は、代かきロータの側面図であり、同図(b)は、代かき爪の拡大図である。
【図4】代かきロータの動作を説明するための耕耘装置の側面図を示す。
【図5】代かき爪の動作を説明するための動作説明図を示す。
【図6】耕耘爪を示し、同図(a)は、耕耘爪の正面図であり、同図(b)は、耕耘爪の側面図である。
【符号の説明】
【0033】
1 耕耘装置
10 代かきロータ
11 代かき軸
20 代かき爪
21 第1代かき爪(代かき爪)
31 第2代かき爪(代かき爪)
40 直刃
50 レーキ体
【出願人】 【識別番号】390010836
【氏名又は名称】小橋工業株式会社
【出願日】 平成19年11月21日(2007.11.21)
【代理人】 【識別番号】110000383
【氏名又は名称】特許業務法人 エビス国際特許事務所


【公開番号】 特開2008−54695(P2008−54695A)
【公開日】 平成20年3月13日(2008.3.13)
【出願番号】 特願2007−301581(P2007−301581)