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【発明の名称】 農作業機および畝立マルチング方法
【発明者】 【氏名】大塚 寛治

【氏名】石井 孝典

【氏名】新美 洋

【氏名】星原 宏文

【氏名】森 史彦

【要約】 【課題】農作物の成育に適した畝部を得ることが可能な農作業機を提供する。

【構成】農作業機1は、耕耘体6と、耕耘体6の後方位置で凹溝部を有する複数山状の畝を成形する畝成形体13とを備える。苗の移植或いは播種を行う複数の頂部およびこの各頂部の両側方隣接位置に位置する肩凸部をそれぞれ畝の上面部に形成する回転体23を畝成形体13の後方位置に回転可能に配設する。回転体23の後方位置にマルチング手段31を配設する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
耕耘体と、
この耕耘体の後方部に配置され、上面部に畝長さ方向に長手状の凹溝部を有する複数山状の畝を成形する畝成形手段と
を備えることを特徴とする農作業機。
【請求項2】
耕耘体と、
この耕耘体の後方位置に配設され、上面部に畝長さ方向に長手状の凹溝部を有する複数山状の畝を成形する畝成形体と、
この畝成形体の後方位置に回転可能に配設され、苗の移植或いは播種が行なわれる複数の頂部およびこの各頂部の両側方隣接位置に位置する畝長さ方向に長手状で上方に向って突出状の対をなす肩凸部を前記畝の上面部に形成する回転体と
を備えることを特徴とする農作業機。
【請求項3】
凹溝部に連続して位置する肩凸部に切欠部を形成する切欠部形成手段を備える
ことを特徴とする請求項2記載の農作業機。
【請求項4】
隣合う畝間の溝底面部を均す土均し手段を備える
ことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一記載の農作業機。
【請求項5】
上面部に畝長さ方向に長手状の凹溝部を有する複数山状の畝を成形し、
この成形された畝を覆うようにマルチフィルムを敷設して、マルチフィルムと畝の凹溝部との間に空気溜り部を形成する
ことを特徴とする畝立マルチング方法。
【請求項6】
苗の移植或いは播種が行なわれる複数の頂部を上面部に有するとともに、上面部における各頂部の両側方隣接位置に畝長さ方向に長手状で上方に向って突出状の肩凸部を有し、かつ、畝幅方向中間位置の肩凸部に連続して位置する畝長さ方向に長手状の凹溝部を上面部に有する複数山状の畝を成形し、
この成形された畝を覆うようにマルチフィルムを敷設して、マルチフィルムと畝の凹溝部との間に空気溜り部を形成するとともにマルチフィルムと畝の頂部との間に頂部空気溜り部を形成する
ことを特徴とする畝立マルチング方法。
【請求項7】
マルチフィルムを敷設する前に、空気溜り部と頂部空気溜り部とをつなぐ切欠部を畝幅方向中間位置の肩凸部に形成する
ことを特徴とする請求項6記載の畝立マルチング方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、農作物の成育に適した畝部を得ることができる農作業機および畝立マルチング方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えばロータリ耕耘体によって耕耘された耕耘土で断面台形状の畝を4列同時に成形し、この成形された4列の畝の表面部を覆うようにマルチフィルムを敷設し、この敷設されたマルチフィルムの畝溝位置に耕耘土の一部を載せるように構成した畝立マルチ装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】実開昭59−14548号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記従来の畝立マルチ装置を使用してマルチフィルムを各畝の表面部上にこの表面部の略全体と接触するように敷設したのでは、温度障害等により農作物の成育に問題が生じるおそれがある。
【0004】
また、例えばカンショはかまぼこ畝で、キャベツおよびダイコン等は機械化標準栽培様式の平高畝でというように、形や畝幅が異なる畝で栽培されており、畝の形や畝幅が異なると、マルチフィルムのような栽培資材を各々揃えねばならないことはもとより、機械においても2重装備となり、例えば畝立て機では畝の形および大きさが異なるためにカンショ用と露地野菜用の2種類が必要であり、防除作業では畝幅が合わないためにトラクタも2台必要になる。
【0005】
このようなことから、近年では、形や畝幅が異なる畝で栽培されていた野菜や畑作物等の農作物を1種類の畝で共通して栽培できるようにし、例えば栽培資材および機械の2重装備の解消による低コスト化、機械の付替・調整の不要化による高能率化・高精度化の実現が要求されている。
【0006】
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、農作物の成育に適した畝部を得ることができるとともに、所望形状の畝で複数種の農作物を適切に栽培でき、例えば栽培資材および機械の2重装備の解消による低コスト化、機械の付替・調整の不要化による高能率化・高精度化を実現できる農作業機および畝立マルチング方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1記載の農作業機は、耕耘体と、この耕耘体の後方部に配置され、上面部に畝長さ方向に長手状の凹溝部を有する複数山状の畝を成形する畝成形手段とを備えるものである。
【0008】
請求項2記載の農作業機は、耕耘体と、この耕耘体の後方位置に配設され、上面部に畝長さ方向に長手状の凹溝部を有する複数山状の畝を成形する畝成形体と、この畝成形体の後方位置に回転可能に配設され、苗の移植或いは播種が行なわれる複数の頂部およびこの各頂部の両側方隣接位置に位置する畝長さ方向に長手状で上方に向って突出状の対をなす肩凸部を前記畝の上面部に形成する回転体とを備えるものである。
【0009】
請求項3記載の農作業機は、請求項2記載の農作業機において、凹溝部に連続して位置する肩凸部に切欠部を形成する切欠部形成手段を備えるものである。
【0010】
請求項4記載の農作業機は、請求項1ないし3のいずれか一記載の農作業機において、隣合う畝間の溝底面部を均す土均し手段を備えるものである。
【0011】
請求項5記載の畝立マルチング方法は、上面部に畝長さ方向に長手状の凹溝部を有する複数山状の畝を成形し、この成形された畝を覆うようにマルチフィルムを敷設して、マルチフィルムと畝の凹溝部との間に空気溜り部を形成するものである。
【0012】
請求項6記載の畝立マルチング方法は、苗の移植或いは播種が行なわれる複数の頂部を上面部に有するとともに、上面部における各頂部の両側方隣接位置に畝長さ方向に長手状で上方に向って突出状の肩凸部を有し、かつ、畝幅方向中間位置の肩凸部に連続して位置する畝長さ方向に長手状の凹溝部を上面部に有する複数山状の畝を成形し、この成形された畝を覆うようにマルチフィルムを敷設して、マルチフィルムと畝の凹溝部との間に空気溜り部を形成するとともにマルチフィルムと畝の頂部との間に頂部空気溜り部を形成するものである。
【0013】
請求項7記載の畝立マルチング方法は、請求項6記載の畝立マルチング方法において、マルチフィルムを敷設する前に、空気溜り部と頂部空気溜り部とをつなぐ切欠部を畝幅方向中間位置の肩凸部に形成するものである。
【発明の効果】
【0014】
請求項1に係る発明によれば、畝成形手段にてマルチフィルムとの間に空気が溜まる所望形状の畝を成形できるため、農作物の成育に適した畝部を得ることができるとともに、所望形状の畝で複数種の農作物を適切に栽培でき、例えば栽培資材および機械の2重装備の解消による低コスト化、機械の付替・調整の不要化による高能率化・高精度化を実現できる。
【0015】
請求項2に係る発明によれば、畝成形体にて成形した畝の上面部に回転体によって頂部および肩凸部を形成することによりマルチフィルムとの間に空気が溜まる所望形状の畝を成形できるため、農作物の成育に適した畝部を得ることができるとともに、所望形状の畝で複数種の農作物を適切に栽培でき、例えば栽培資材および機械の2重装備の解消による低コスト化、機械の付替・調整の不要化による高能率化・高精度化を実現できる。
【0016】
請求項3に係る発明によれば、凹溝部に連続して位置する肩凸部に切欠部を形成する切欠部形成手段を備えるため、農作物の成育により適した畝部を得ることができる。
【0017】
請求項4に係る発明によれば、隣合う畝間の溝底面部を均す土均し手段を備えるため、後工程で使用される移植機や収穫機等の走行の安定化を図ることができる。
【0018】
請求項5に係る発明によれば、マルチフィルムとの間に空気が溜まる所望形状の畝を成形できるため、農作物の成育に適した畝部を得ることができるとともに、所望形状の畝で複数種の農作物を適切に栽培でき、例えば栽培資材および機械の2重装備の解消による低コスト化、機械の付替・調整の不要化による高能率化・高精度化を実現できる。
【0019】
請求項6に係る発明によれば、マルチフィルムとの間に空気が溜まる所望形状の畝を適切に成形できるため、農作物の成育により適した畝部を得ることができるとともに、所望形状の畝で複数種の農作物を適切に栽培でき、例えば栽培資材および機械の2重装備の解消による低コスト化、機械の付替・調整の不要化による高能率化・高精度化を実現できる。
【0020】
請求項7に係る発明によれば、空気溜り部と頂部空気溜り部とをつなぐ切欠部を畝幅方向中間位置の肩凸部に形成するため、空気溜り部および頂部空気溜り部間での空気の流動が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
本発明の一実施の形態を図1ないし図4を参照して説明する。
【0022】
図1において、1は農作業機で、この農作業機1は、例えば走行車であるトラクタ(図示せず)に連結されこのトラクタの走行により畑等の圃場を前方に移動しながら畝立マルチング作業をする畝立マルチ装置である。
【0023】
農作業機1は、トラクタの後部の3点リンク部に3点連結部(図示せず)を介して連結される機体2を備えている。
【0024】
機体2は、ギアボックス等の入力軸保持部3を有し、この入力軸保持部3には略前後方向の入力軸4が回転可能に設けられている。入力軸4はトラクタのPTO軸に伝動シャフト等を介して連結される。
【0025】
そして、機体2には、入力軸4側から動力を受けて所定方向に回転しながら耕耘作業をするロータリ式の耕耘体6が回転可能に設けられている。耕耘体6は、左右方向の回転軸およびこの回転軸に軸方向に沿って並設された耕耘爪等にて構成されている。また、耕耘体6の上方部は、略板状の耕耘カバー体7にて覆われている。
【0026】
また、機体2には、耕耘体6の後方位置に配設され、耕耘体6にて耕耘されて盛り上げられた耕耘土を集積して上面部の畝幅方向中央位置に畝長さ方向に長手状で断面略V字状の凹溝部11を有する台形の2山状で断面略M字状の畝12を成形する畝成形体13が設けられている。
【0027】
畝成形体13は、図2に示されるように、例えば板材にて構成されたもので、傾斜面状の畝側面部14を成形する2つの畝側面成形部15と、水平面状の畝上面部16を成形する2つの畝上面成形部17と、畝上面部16間に断面略V字状の凹溝部11を成形する1つの凹溝成形部18とを有している。
【0028】
さらに、機体2には、畝成形体13の後方位置に左右水平方向の軸部20を中心として回転可能に配設され、苗の移植或いは播種が行なわれる畝長さ方向に長手状で水平面状の2つの頂部21およびこの各頂部21の両側方隣接位置に位置する畝長さ方向に長手状で上方に向って突出状の対をなす肩凸部22をそれぞれ畝12の上面部の所定部分(すなわち例えば前方の畝成形体13にて成形された畝上面部16における凹溝部11以外の部分)に形成する回転体23が設けられている。
【0029】
回転体23は、図3に示されるように、例えば畝12の上面部に接触した状態で回転しながら移動する略円筒状のローラ部材等にて構成されたもので、軸方向両端および軸方向中央に位置する3つの径小部24と、軸方向中央の径小部24の両端に連続した2つの径大部25とを有している。なお、回転体23は、機体2の支持アーム2aにて回転自在に支持されている。
【0030】
また、機体2には、回転体23の後方位置でマルチフィルム(透明マルチ、白色マルチ等)30を複数山状の畝12上にこの畝12の全体を覆うように複数の山例えば2つの山を跨いだ状態に敷設するマルチング手段31が設けられている。
【0031】
マルチング手段31は、マルチフィルム30が巻戻し自在に巻き取られた左右水平方向の巻取軸32と、この巻取軸32から繰り出されるマルチフィルム30を畝12に対して押え付ける上フィルム押え輪33およびサイドフィルム押え輪34と、マルチフィルム30上に土を載せる覆土ディスク35とを有している。
【0032】
また、図4から明らかなように、農作業機(畝立マルチ装置)1にて圃場に凸状に設けられる畝部10においては、マルチング手段31にて畝12上にマルチフィルム30が敷設されると、マルチフィルム30と畝12の凹溝部11との間に断面略三角状の空気溜り部37が形成されるとともに、マルチフィルム30と畝12の2つの頂部21との間に断面略矩形状の頂部空気溜り部38が形成される。なお、マルチフィルム30の敷設は、マルチフィルム30の幅方向両端側が畝12の両側の畝側面部14の表面に接触しかつマルチフィルム30の幅方向中央の所定部分が畝12の肩凸部22の上面に接触するように行う。
【0033】
なお、畝成形体13と回転体23とにて、耕耘体6の後方部に配置され苗の移植或いは播種が行なわれる複数の頂部21を上面部に有するとともに上面部における各頂部21の両側方隣接位置に畝長さ方向に長手状で上方に向って突出状の対をなす肩凸部22を有しかつ畝幅方向中間位置の肩凸部22に連続して位置する畝長さ方向に長手状の凹溝部11を上面部に有する複数山状の畝12を成形する畝成形手段40が構成されている。
【0034】
次に、上記一実施の形態の作用等を説明する。
【0035】
農作業機1をトラクタに連結し、農作業機1をトラクタの走行により圃場を前方に移動させると、耕耘体6にて耕耘作業が行なわれ、この耕耘体6の後方位置で畝成形体13によって耕耘土が集積されて凹溝部11を有する2山状で断面略M字状の畝12が成形される(図2参照)。
【0036】
そして、畝成形体13の後方位置では、圃場側から受ける力で従動回転する回転体23によって、畝12の畝上面部16の幅方向両端を除く部分が下方に向けて押し込まれるようにして、畝12の上面部左右両側に2つの頂部21およびこの各頂部21の両側方隣接位置に位置する2対の肩凸部22が同時に形成される(図3参照)。
【0037】
また、回転体23の後方位置では、マルチング手段31によってマルチフィルム30が畝12上にこの畝12の全体を覆うように2つの山を跨いだ状態に敷設される。その結果、マルチフィルム30と畝12の凹溝部11との間に断面略三角状の空気溜り部37が形成されるとともに、マルチフィルム30と畝12の2つの頂部21との間に断面略矩形状の頂部空気溜り部38が形成される(図4参照)。
【0038】
そして、このような畝部10で農作物を育てれば、農作物が温度障害を受けにくく、土壌中の有用菌類が死滅するようなこともなく、従来方法に比べて農作物を適切に成長させることができ、例えばカンショやダイコン等で増収する効果がみられる。
【0039】
このように上記一実施の形態によれば、畝成形体13にて成形した畝12の上面部に回転する回転体23によって頂部21および肩凸部22を形成することにより、マルチフィルム30との間に空気が溜まる所望形状の畝12を成形できるため、農作物の成育に適した畝部10を得ることができるとともに、断面略M字状をなす所望形状の畝12で複数種の農作物(例えばカンショやダイコン等)を適切に栽培でき、例えば栽培資材および機械の2重装備の解消による低コスト化、機械の付替・調整の不要化による高能率化・高精度化を実現できる。
【0040】
なお、農作業機1は、例えば図5ないし図7に示すように、複数山状の畝12の凹溝部11に連続して位置する肩凸部22、すなわち例えば畝幅方向中間に位置する内側の肩凸部(内側中間位置の肩凸部)22に、空気溜り部37と頂部空気溜り部38とを間欠的につなぐ切欠部50を畝長さ方向に間隔をおいて複数形成する切欠部形成手段51を備えたものでもよい。
【0041】
この切欠部形成手段51は、例えば回転体23に一体的に設けられ回転体23とともに回転しながら切欠部50を形成するもので、回転体23の軸方向中央の径小部24の両端部外周面の1箇所から径方向に突出した略円弧状の突部52にて構成されている。すなわち、回転体23の径大部25の内端面の1箇所から軸方向に突出した略円弧状の突部52にて切欠部形成手段51が構成されている。そして、畝12の内側の肩凸部22に切欠部50が形成された場合、空気溜り部37および頂部空気溜り部38間での空気の流動が可能となるため、農作物をより一層適切に成長させることができる。なお、畝長さ方向に隣合う切欠部50間の間隔を小さくする場合には、図8に示すように、突部52を回転体23の軸方向中央の径小部24の両端部外周面の複数箇所、例えば2箇所から突出させるようにしてもよい。
【0042】
また、切欠部形成手段51は、回転体23に一体的に設けられたものには限定されず、例えば図9ないし図11に示すように、回転体23の軸方向中央の径小部24の一部に形成された非円形状の異形ローラ部である支持部24aにて下方から支持された状態で、自重で上下動しながら切欠部50を形成するものでもよい。すなわち、図9ないし図11に示す切欠部形成手段51は、機体2の被取付部2bに左右水平方向の支軸55を介して上下回動可能に取り付けられた叩き体である回動体56にて構成されている。そして、回動体56は、例えば基端を中心として上下回動可能な略円弧状のアーム部57と、アーム部57の中間部から下方に向って突出し下端が支持部24aの外周に当接した突出部58と、アーム部57の先端に設けられ回転体23の後方位置で上下動しながら肩凸部22を叩くようにして切欠部50を形成する略板状の叩き板部59とを有している。
【0043】
また一方、農作業機1は、畝成形体13と回転体23とにて構成された畝成形手段40を備えたものには限定されず、例えば図12に示すように、畝成形と同時に上面部に凹状部分を形成する畝成形体13aからなる畝成形手段40を備えたものでもよい。
【0044】
図12に示す畝成形体13aは、図3等に示す回転体23を有さず、傾斜面状の畝側面部14を成形する2つの畝側面成形部15と、水平面状の頂部21を成形する2つの頂部成形部17aと、各頂部21の両側方隣接位置に肩凸部22を成形する4つの肩凸部成形部17bと、内側の互いに離間対向した頂部21,21間に断面略V字状の凹溝部11を成形する1つの凹溝成形部18とを有している。そして、この農作業機1では、畝成形手段40を畝成形体13aのみで構成したため、構成の簡素化が図られている。
【0045】
また、畝成形手段40にて成形される畝12は、2つの頂部21とこれら両頂部21間の凹溝部11とを有する2山状で断面略M字状のものには限定されず、例えば図13に示すように、3つの頂部21を上面部に有するとともに上面部における各頂部21の両側方隣接位置に畝長さ方向に長手状で上方に向って突出状の肩凸部22を有しかつ畝幅方向中間位置の肩凸部22に連続して位置する畝長さ方向に長手状で断面略V字状の凹溝部11を上面部に有する3山状の畝12を成形し、この畝12をマルチフィルム30で覆って2つの空気溜り部37および3つの頂部空気溜り部38を形成するようにしてもよい。この場合、畝12上にマルチフィルム30を敷設する前に、互いに隣合う空気溜り部37と頂部空気溜り部38とをつなぐ切欠部50を畝幅方向中間位置の肩凸部22に形成することが好ましい。
【0046】
さらに、例えば図14に示すように、農作業機1の耕耘体6の耕耘爪の長さを一部変更して畝12の内部の未耕部Xを毎年ほぼ一定に未耕とすることで、トラクタの牽引抵抗を小さくでき、作業の効率化を図ることができる。
【0047】
また、マルチング手段31は、例えば図15ないし図18に示すように、隣合う畝12間の溝底面部65を均す土均し手段66を備えた構成のものでもよい。
【0048】
図15ないし図18に示すマルチング手段31は、機体2のフレーム部67の後端部に上端部が取り付けられた取付フレーム68を有し、この取付フレーム68の下端部にはマルチフィルム30が巻戻し自在に巻き取られた左右方向の巻取軸32が回転可能に取り付けられている。また、取付フレーム68の中間部にはアーム71の上端部が取り付けられ、このアーム71の下端部には畝12の畝上面部に対してマルチフィルム30を押し付ける略円筒状の上フィルム押え輪33が回転可能に取り付けられている。
【0049】
また、マルチング手段31は、機体2のフレーム部27の後端部に前端部が取り付けられた支持フレーム73を有し、この支持フレーム73の2つの下端部にはトラクタの走行により隣合う畝12間の位置を前方に移動しながらマルチフィルム30の幅方向端部上にその隣合う畝12間の溝底面部65の土を側方に移動させて載せる略円板状の左右一対の覆土ディスク35が軸部74を介して回転可能に取り付けられている。また、支持フレーム73の中間部にはアーム75の上端部が取り付けられ、このアーム75の下端部には覆土ディスク35の前方位置で畝12の畝側面部14に対してマルチフィルム30を押し付ける左右一対のサイドフィルム押え輪34が回転可能に取り付けられている。
【0050】
さらに、図17および図18にも示すように、マルチング手段31の支持フレーム73の各下端部には、隣合う畝12間の溝底面部65の土を側方に移動させてその溝底面部65を均す土均し手段66がそれぞれ設けられている。
【0051】
土均し手段66は、例えば上下方向に長手状で下端側が前方に向って略円弧状に折り曲げられた爪部材である処理刃82にて構成されている。この処理刃82の上端側が支持フレーム73の下端部のホルダ部73aに取り付けられ、この処理刃82は覆土ディスク35の後方近傍位置に配設されている。なお、処理刃82の下端部は先細状に形成され、この処理刃82の下端は覆土ディスク35の下端と略同じ高さ位置に位置する。また、処理刃82を支持フレーム73のホルダ部73aに高さ位置調節可能に取り付けてもよい。
【0052】
そして、このようなマルチング手段31を備えた農作業機1の場合、畝成形手段40の後方位置では、マルチング手段31の巻取軸32からマルチフィルム30が繰り出され、この繰り出されたマルチフィルム30は、上フィルム押え輪33およびサイドフィルム押え輪34にて畝12の表面部に対して押え付けられるようにしてその畝12上に敷設される。この畝12上に敷設されたマルチフィルム30の幅方向両端部上には、マルチフィルム30が畝12に対して固定されるように覆土ディスク35にて溝底面部65の土が載せられる。
【0053】
また、覆土ディスク35の後方近傍位置では、土均し手段66である処理刃82にて、隣合う畝12間の溝底面部65が略平らになるように均される。すなわち、トラクタのタイヤ9の踏圧によって硬くなった部分の上に耕耘手段である耕耘体6からの土や覆土ディスク35からの土等が盛り上げられて溝底面部65に凸部が形成されるが、この溝底面部65の凸部が処理刃82にて均される(図16参照)。また、処理刃82の下端部にてトラクタのタイヤ9の踏圧によって硬くなった部分が切削される。
【0054】
したがって、この農作業機1によれば、土均し手段66である処理刃82にて隣合う畝12間の溝底面部65が略平らに均されるため、溝底面部65に比較的高い山状の凸部が残存してしまうことがなく、後工程で使用される移植機や収穫機等の走行の安定化を図ることができる。すなわち例えば畝立マルチング作業後に、隣合う畝12間の溝底面部65上を走行するタイヤ等の走行部を備えた自走式の移植機を使用して苗の移植作業をする際に、移植機を安定して走行させることができ、よって適切な移植作業が可能となる。
【0055】
なお、隣合う畝12間の溝底面部65を均す土均し手段66を処理刃82にて構成した場合について説明したが、例えば図19および図20に示すように、土均し手段66を寄せ板83にて構成しても同様の作用効果を奏し得る。この寄せ板83は、上端部がホルダ部73aに取り付けられた取付杆部84と、この取付杆部84の下端部に設けられた寄せ板部85とにて構成されている。
【0056】
また、例えば図21および図22に示すように、土均し手段66をすき刃86にて構成しても同様の作用効果を奏し得る。このすき刃86は、上端部がホルダ部73aに取り付けられた取付杆部87と、この取付杆部87の下端部に設けられた幅広状の刃板部88とにて構成されている。
【0057】
さらに、例えば図23および図24に示すように、土均し手段66を熊手状の弾性体91にて構成しても同様の作用効果を奏し得る。この弾性体91は、例えば複数本の弾性棒部材92にて構成され、これら複数本の弾性棒部材92の上端部がホルダ部73aに取り付けられている。
【0058】
また一方、土均し手段66を覆土ディスク35を支持する支持フレーム73に取り付けて覆土ディスク35の後方近傍位置に配設した構成には限定されず、土均し手段66の取付位置および数等は任意であり、土均し手段66を覆土ディスク35の前方位置に配設した構成や、土均し手段66を複数設けた構成等でもよい。例えば図25に示すように、土均し手段66である処理刃82を覆土ディスク35を支持する支持フレーム73のホルダ部73aとサイドフィルム押え輪34を支持するアーム75のホルダ部75aと畝成形板13のホルダ部13bとにて取り付けた構成でもよい。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本発明の農作業機の一実施の形態の概略側面図である。
【図2】同上農作業機の畝成形体の後面図である。
【図3】同上農作業機の回転体の後面図である。
【図4】同上農作業機により形成された畝部の斜視図である。
【図5】本発明の農作業機の他の実施の形態の回転体の後面図である。
【図6】(a)および(b)は同上回転体に設けられた切欠部形成手段を示す図である。
【図7】同上農作業機により形成された畝部の斜視図である。
【図8】(a)および(b)は切欠部形成手段の変形例を示す図である。
【図9】切欠部形成手段の更なる変形例を示す後面図である。
【図10】同上切欠部形成手段の側面図である。
【図11】同上切欠部形成手段の後面図である。
【図12】本発明の農作業機のさらに他の実施の形態の後面図である。
【図13】3山状の畝の断面部である。
【図14】未耕部を示した2山状の畝の断面部である。
【図15】土均し手段を備えた農作業機の概略側面図である。
【図16】同上農作業機の部分後面図である。
【図17】同上農作業機の土均し手段を示す側面図である。
【図18】同上農作業機の土均し手段を示す後面図である。
【図19】土均し手段の変形例を示す側面図である。
【図20】同上土均し手段の後面図である。
【図21】土均し手段の他の変形例を示す側面図である。
【図22】同上土均し手段の後面図である。
【図23】土均し手段のさらに他の変形例を示す側面図である。
【図24】同上土均し手段の後面図である。
【図25】土均し手段を複数取り付けた場合の概略側面図である。
【符号の説明】
【0060】
1 農作業機
6 耕耘体
11 凹溝部
12 畝
13 畝成形体
21 頂部
22 肩凸部
23 回転体
40 畝成形手段
50 切欠部
51 切欠部形成手段
【出願人】 【識別番号】501203344
【氏名又は名称】独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構
【識別番号】000188009
【氏名又は名称】松山株式会社
【出願日】 平成18年8月17日(2006.8.17)
【代理人】 【識別番号】100062764
【弁理士】
【氏名又は名称】樺澤 襄

【識別番号】100092565
【弁理士】
【氏名又は名称】樺澤 聡

【識別番号】100112449
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 哲也


【公開番号】 特開2008−43259(P2008−43259A)
【公開日】 平成20年2月28日(2008.2.28)
【出願番号】 特願2006−222388(P2006−222388)