| 【発明の名称】 |
銅張積層板およびその製造方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】細淵 馨
【氏名】西沢 和由
【氏名】藤川 洋文
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| 【要約】 |
【課題】アルミニウム板を用いた銅張積層板の製造において、マスキングフィルムを陽極酸化処理、加熱プレス、エッチングの工程で共用することにより生産性を向上させる。
【解決手段】フィルム貼り付け工程(I):アルミニウム板(10)の一面側に、例えば粘着剤(11)により厚さ20μm以上のマスキングフィルム(12)を貼り付ける、陽極酸化処理工程(II):一面側がマスキングされたアルミニウム板(10)に陽極酸化処理を施して他面側に陽極酸化皮膜(13)を形成する、積層工程(III):前記マスキングフィルム(12)を剥がすことなく、アルミニウム板(10)の他面側に形成した陽極酸化皮膜(13)上に樹脂絶縁層(14)および銅板(15)を重ねて積層状態に接合する、エッチング工程(IV):前記マスキングフィルム(12)を剥がすことなく、銅板(15)を回路形状にエッチングする、剥離工程(V):マスキングフィルム(12)を剥がす、を順次行う。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 アルミニウム板の一面側に厚さ20μm以上のマスキングフィルムを貼り付けるフィルム貼り付け工程、 一面側がマスキングされたアルミニウム板に陽極酸化処理を施して他面側に陽極酸化皮膜を形成する陽極酸化処理工程、 前記マスキングフィルムを剥がすことなく、アルミニウム板の他面側に形成した陽極酸化皮膜上に樹脂絶縁層および銅板を重ねて積層状態に接合する積層工程、 前記積層工程後に、前記マスキングフィルムを剥がすことなく、銅板を回路形状にエッチングするエッチング工程 を含むことを特徴とする銅張積層板の製造方法。 【請求項2】 前記エッチング工程後、マスキングフィルムを剥がす剥離工程を行う請求項1に記載の銅張積層板の製造方法。 【請求項3】 前記フィルム貼り付け工程において、アクリル系粘着剤またはシリコン系粘着剤によりマスキングフィルムを貼り付ける請求項1または2に記載の銅張積層板の製造方法。 【請求項4】 前記マスキングフィルムが耐熱性を有するマスキングフィルムである請求項1〜3のいずれか1項に記載の銅張積層板の製造方法。 【請求項5】 前記マスキングフィルムは、ポリエステル、ポリイミド、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリアセタール、ポリスルホン、ポリエーテルイミド、ポリエーテルスルフォン、ポリアリレート、ポリエーテルケトン、ポリアミドイミド、ポリフェニレンサルファイド、フッ素系樹脂のうちのいずれかからなる請求項1〜4のいずれか1項に記載の銅張積層板の製造方法。 【請求項6】 前記マスキングフィルムの厚さが20〜80μmである請求項1〜5のいずれか1項に記載の銅張積層板の製造方法。 【請求項7】 前記マスキングフィルムの貼り付け時のピール強度に対するエッチング後のピール強度の変化率が20%以下である請求項2〜6のいずれか1項に記載の銅張積層板の製造方法。 【請求項8】 前記積層工程において、加熱プレスにより、アルミニウム板、樹脂絶縁層および銅板を接合する請求項1〜7のいずれか1項に記載の銅張積層板の製造方法。 【請求項9】 前記樹脂絶縁層は、絶縁性樹脂または絶縁性樹脂に熱伝導性フィラーを配合した絶縁性樹脂組成物からなる請求項1〜8のいずれか1項に記載の銅張積層板の製造方法。 【請求項10】 請求項1〜9のいずれか1項に記載された方法により製造されたことを特徴とする銅張積層板。 【請求項11】 請求項10に記載の銅張積層板を用いたことを特徴とするプリント配線板。 【請求項12】 アルミニウム板の一面側に厚さ20μm以上のマスキングフィルムが貼り付けられていることを特徴とする銅張積層板用材料。 【請求項13】 前記アルミニウム板の他面側に陽極酸化皮膜を有する請求項12に記載の銅張積層板用材料。 【請求項14】 前記陽極酸化皮膜上に樹脂絶縁層および銅板を有する請求項13に記載の銅張積層板用材料。
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【発明の詳細な説明】【技術分野】 【0001】 この発明は、プリント配線板に用いる銅張積層板およびその製造方法に関する。 【背景技術】 【0002】 従来、プリント配線板はガラスエポキシ樹脂からなる絶縁基板上に回路形状の銅板を積層した銅張積層板が広く使用されてきた。しかしながら、搭載する電子部品の高集積化に伴う発熱量の増大に対して高い放熱性が求められ、熱伝導性に優れたアルミニウムを用いた銅張積層板が用いられるようになっている。 【0003】 前記銅張積層板は、アルミニウム板上に樹脂絶縁層および銅板が積層されたものである。また、前記アルミニウム板には、樹脂絶縁層との密着性を高めるために陽極酸化皮膜を形成することがあり、銅張積層板は以下の工程で製作される。 【0004】 (a) アルミニウム板の一面側に、粘着剤でマスキングフィルムを貼り付けて保護した状態で陽極酸化処理を施し、他面側に陽極酸化皮膜を形成する。 【0005】 (b) アルミニウム板からマスキングフィルムを剥がし、他面側の陽極酸化皮膜上に樹脂絶縁層と銅板を重ね、加熱プレスによりこれらを接合一体化させる。 【0006】 (c) アルミニウム板の一面側に再度マスキングフィルムを貼り付ける。 【0007】 (d) 他面側の銅板を所要回路形状にエッチングする。このとき、アルミニウム板の一面側はマスキングフィルムで保護されているため、アルミニウム板はエッチングされない。 【0008】 (e) 一面側のマスキングフィルムを剥がす。 【0009】 前記(a)工程において、樹脂絶縁層を積層する面(他面側)のみに陽極酸化皮膜を形成するのは、アルミニウム板の一面側に陽極酸化酸化皮膜が形成されていると、後の(c)工程で貼り付けるマスキングフィルムが強く接合され、エッチング後の(e)工程で剥離作業が困難となるためである。 【0010】 また、アルミニウム板を用いた銅張積層板の製作以外にもフィルムが用いられている。例えば、特許文献1には、樹脂基板を用いたプリント配線板の製作において、樹脂基板を補強するための耐熱性再剥離性粘着フィルムが記載され、特許文献2には、焼き付け塗装に用いるマスキングフィルムが記載されている(特許文献1、2参照)。 【特許文献1】特開2000−44896号公報 【特許文献2】特開昭60−144377号公報 【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】 【0011】 上述した一連の銅張積層板の製作工程においては、陽極酸化処理とエッチングの両方の工程でアルミニウム板の一面側(樹脂絶縁層を積層しない面)を保護する必要があり、その都度マスキングフィルムを貼り付け、剥がしている。これは、陽極酸化処理時のマスキングフィルムを貼り付けたまま次工程で加熱プレスすると、マスキングフィルムが損傷しエッチング工程では使用できないためである。しかも、加熱プレス後ではアルミニウム板に強く接合されて損傷したフィルムの除去が困難となるため、加熱プレス前に除去する必要がある。このようなマスキングフィルムの2度の貼り付けおよび剥離は、生産性向上の妨げとなっている。なお、マスキングフィルムを十分に厚くすれば加熱プレスに耐え得ると考えられるが、フィルムが強くアルミニウム板に接合されるため、エッチング後の剥離作業が困難となる。 【0012】 また、特許文献1に記載された耐熱性再剥離性粘着フィルムを用いたプリント配線板の製作は、樹脂基板を用いたものであるから陽極酸化処理は行わない。また、特許文献2に記載されたマスキングフィルムは焼き付け塗装用であるから、陽極酸化処理やエッチングを施す用途で用いられるものではない。 【課題を解決するための手段】 【0013】 本発明は、上述した背景技術に鑑み、アルミニウム板を用いた銅張積層板の製造において、マスキングフィルムを陽極酸化処理、積層、エッチングの工程で共用することにより、銅張積層板の生産性を向上させることを目的とする。 【0014】 即ち、本発明の銅張積層板の製造方法は下記〔1〕〜〔9〕に記載の構成を有する。 【0015】 〔1〕 アルミニウム板の一面側に厚さ20μm以上のマスキングフィルムを貼り付けるフィルム貼り付け工程、 一面側がマスキングされたアルミニウム板に陽極酸化処理を施して他面側に陽極酸化皮膜を形成する陽極酸化処理工程、 前記マスキングフィルムを剥がすことなく、アルミニウム板の他面側に形成した陽極酸化皮膜上に樹脂絶縁層および銅板を重ねて積層状態に接合する積層工程、 前記積層工程後に、前記マスキングフィルムを剥がすことなく、銅板を回路形状にエッチングするエッチング工程 を含むことを特徴とする銅張積層板の製造方法。 【0016】 〔2〕 前記エッチング工程後、マスキングフィルムを剥がす剥離工程を行う前項1に記載の銅張積層板の製造方法。 【0017】 〔3〕 前記フィルム貼り付け工程において、アクリル系粘着剤またはシリコン系粘着剤によりマスキングフィルムを貼り付ける前項1または2に記載の銅張積層板の製造方法。 【0018】 〔4〕 前記マスキングフィルムが耐熱性を有するマスキングフィルムである前項1〜3のいずれか1項に記載の銅張積層板の製造方法。 【0019】 〔5〕 前記マスキングフィルムは、ポリエステル、ポリイミド、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリアセタール、ポリスルホン、ポリエーテルイミド、ポリエーテルスルフォン、ポリアリレート、ポリエーテルケトン、ポリアミドイミド、ポリフェニレンサルファイド、フッ素系樹脂のうちのいずれかからなる前項1〜4のいずれか1項に記載の銅張積層板の製造方法。 【0020】 〔6〕 前記マスキングフィルムの厚さが20〜80μmである前項1〜5のいずれか1項に記載の銅張積層板の製造方法。 【0021】 〔7〕 前記マスキングフィルムの貼り付け時のピール強度に対するエッチング後のピール強度の変化率が20%以下である前項2〜6のいずれか1項に記載の銅張積層板の製造方法。 【0022】 〔8〕 前記積層工程において、加熱プレスにより、アルミニウム板、樹脂絶縁層および銅板を接合する前項1〜7のいずれか1項に記載の銅張積層板の製造方法。 【0023】 〔9〕 前記樹脂絶縁層は、絶縁性樹脂または絶縁性樹脂に熱伝導性フィラーを配合した絶縁性樹脂組成物からなる前項1〜8のいずれか1項に記載の銅張積層板の製造方法。 【0024】 本発明の銅張積層板は下記〔10〕に記載の構成を有する。 〔10〕前項1〜9のいずれか1項に記載された方法により製造されたことを特徴とする銅張積層板。 【0025】 本発明のプリント配線板は下記〔11〕に記載の構成を有する。 〔11〕前項10に記載の銅張積層板を用いたことを特徴とするプリント配線板。 【0026】 本発明の銅張積層板用材料は下記〔12〕〜〔14〕に記載の構成を有する。 〔12〕 アルミニウム板の一面側に厚さ20μm以上のマスキングフィルムが貼り付けられていることを特徴とする銅張積層板用材料。 〔13〕 前記アルミニウム板の他面側に陽極酸化皮膜を有する前項12に記載の銅張積層板用材料。 〔14〕 前記陽極酸化皮膜上に樹脂絶縁層および銅板を有する前項13に記載の銅張積層板用材料。 【発明の効果】 【0027】 〔1〕〔2〕の各発明にかかる銅張積層板の製造方法によれば、陽極酸化処理前に貼り付けたマスキングフィルムを積層工程を経てエッチング時のマスキングフィルムとして使用でき、かつエッチング後に支障なく剥離できる。このため、マスキングフィルムの貼り付けおよび剥離は1回で済み、銅張積層板製造の生産性を向上させ、かつ材料コストを低減することができる。 【0028】 〔3〕の銅張積層板の製造方法によれば、エッチングフィルムの剥製性に優れている。 【0029】 〔4〕の銅張積層板の製造方法によれば、マスキングフィルムの耐熱性に優れている。 【0030】 〔5〕の銅張積層板の製造方法によれば、マスキングフィルムの耐薬品性および耐熱性に優れている。 【0031】 〔6〕の銅張積層板の製造方法によれば、マスキングフィルムとして十分な耐薬品性および耐熱性が得られ、かつ過度に厚すぎることがなく生産性向上効果も確保できる。 【0032】 〔7〕の銅張積層板の製造方法によれば、特にマスキングフィルムの剥離が容易である。 【0033】 〔8〕の銅張積層板の製造方法によれば、特に積層工程の効率が良い。 【0034】 〔9〕の銅張積層板の製造方法によれば、特に樹脂絶縁層とアルミニウム板、樹脂絶縁層と銅板の接合性が良い。 【0035】 〔10〕の銅張積層板は〔1〕〜〔9〕に記載の方法で製造されたものであるから、生産性に優れ、かつ材料コストが低減されたものである。 【0036】 〔11〕のプリント配線板は〔10〕の銅張積層板を用いたものであるから、プリント配線板の製造においても生産性向上および材料コストの低減効果を享受できる。 【0037】 〔11〕〔12〕〔13〕の銅張積層板用材料によれば、銅張積層板の生産性向上と材料コストの低減を図ることができる。 【発明を実施するための最良の形態】 【0038】 図1は本発明の銅張積層板の一実施形態を示している。前記銅張積層板(1)は、アルミニウム板(10)の一面側に陽極酸化皮膜(13)を有し、さらに樹脂絶縁層(14)および通電層としての銅板(15)が積層一体化されたものである。 【0039】 以下に、前記銅張積層板(1)を構成する材料について説明するとともに、図2を参照しつつ、本発明の銅張積層板の製造方法に基づいて前記銅張積層板(1)の製造工程を説明する。 〔構成材料〕 前記アルミニウム板(10)は、加工性および熱伝導性の良い材料が好ましく、具体的にはJIS A5052やA1100を例示できる。また、アルミニウム板(10)の厚さは0.3〜10mmが好ましい。 【0040】 前記樹脂絶縁層(14)は、アルミニウム板(10)および銅板(15)に接合可能な絶縁材料で構成される。具体的には、絶縁性樹脂または前記絶縁性樹脂に熱伝導性フィラーを配合した絶縁性樹脂組成物を推奨できる。これらの樹脂ベースの絶縁層は、アルミニウム板(10)および銅板(15)との接合性が良い。 【0041】 前記絶縁性樹脂としては、耐熱性が優れて熱膨張率が小さく、アルミニウム板(10)および銅板(15)密着して接着性の優れているものが好ましい。これらの条件を満たす樹脂として、エポキシ樹脂またはポリイミド樹脂を推奨できる。 【0042】 また、前記絶縁性樹脂に熱伝導性フィラーを配合した絶縁性樹脂組成物を用いることによって、樹脂絶縁層(14)の熱伝導性を高め、ひいては放熱性能を高めることができる。熱伝導性フィラーは絶縁体であって高熱伝導率を有するものが好ましく、金属酸化物または金属窒化物が好ましく、具体的にはSiO2、Al2O3、BeO、MgO、Si3N4、BN、AlNを例示できる。これらの熱伝導性フィラーは単独で使用しても任意の複数種を併用しても良い。熱伝導性フィラーは、樹脂組成物中の含有量が多くなるほど樹脂絶縁層(14)の熱伝導率が高くなり、40〜90容量%が好ましい。40容量%未満では熱伝導率向上効果が乏しく、90容量%を超えると密着性が低下して放熱性能が低下する。特に好ましい含有量は60〜80容量%である。また、熱伝導性フィラーの粒径は10〜40μmが好ましい。 【0043】 樹脂絶縁層(14)の厚さは、上記の2種類のいずれの場合も0.01〜0.5mmが好ましい。 【0044】 前記銅板(15)としては、電解銅箔からなり厚さが5〜100μmのものを例示できる。 〔製造方法〕 (I)フィルム貼り付け工程 アルミニウム板(10)の一面側に、粘着剤(11)を介して耐熱性を有するマスキングフィルム(12)を貼り付けて一面側を保護する。 (II)陽極酸化処理工程 (I)で準備したアルミニウム板(10)に陽極酸化処理を施し、他面側に陽極酸化皮膜(13)を形成する。 (III)積層工程 (II)で形成した陽極酸化皮膜(1)上に樹脂絶縁層(14)と銅板(15)を重ね、アルミニウム板(10)、樹脂絶縁層(14)、銅板(15)を一体に接合する。接合は、例えば加熱プレスによって行う。 (IV)エッチング工程 銅板(15)の所要位置をマスキングしてエッチングし、回路形状を形成する。このとき、アルミニウム板(10)の一面側はマスキングフィルム(12)で保護されているため、エッチングされない。 (V)剥離工程 マスキングフィルム(12)を剥離する。このとき、粘着剤(11)はアルミニウム板(10)よりもマスキングフィルム(12)に対して強く接合されているため、マスキングフィルム(12)とともに除去される。 【0045】 上述した陽極酸化処理、加熱プレス、エッチングの条件は限定されず、従来の条件で処理することができる。陽極酸化処理条件としては、例えば硫酸陽極酸化処理(H2SO4:10〜20%、電流密度:DC100〜200A/m2、電圧:10〜20V、処理時間:10〜30min)を挙示できる。また、加熱プレス条件として、温度:150〜200℃、圧力:1〜5Pa、プレス時間:0.5〜3時間を例示できる。エッチング条件としては、塩化第二鉄水溶液または塩化第二銅水溶液によるエッチング等を例示できる。 【0046】 前記マスキングフィルム(12)は、陽極酸化処理液およびエッチング液によって溶解や収縮を生じない耐薬品性を有するとともに、加熱プレスによって破断や収縮を生じない耐熱性を有することが必要である。 【0047】 上述したフィルムの材質として、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル、ポリイミド、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリアセタール、ポリスルホン、ポリエーテルイミド、ポリエーテルスルフォン、ポリアリレート、ポリエーテルケトン、ポリアミドイミド、ポリフェニレンサルファイド、フッ素系樹脂を例示でき、これらのうちのいずれかからなるフィルムを用いることが好ましい。これらの中で特に好ましいフィルムはポリエステルおよびポリイミドフィルムである。 【0048】 また、前記マスキングフィルム(12)は、耐薬品性および耐熱性を確保するために、厚さが20μm以上のものを用いる。厚さが20μm未満では耐薬品性および耐熱性が不足し、エッチング後の剥離性が低下する。一方、本発明はマスキングフィルム(12)の厚さの上限値を規定するものではないが、厚さが80μmあれば陽極酸化処理、加熱プレス、エッチングに十分に耐えることができるため、80μmを超えて厚くする意味が乏しい。また、銅張積層板を量産する場合、多数組の材料を重ねて同時に加熱プレスするため、マスキングフィルム(12)が厚くなると1回の加熱プレスで処理する組数が少なくなる。このため、マスキングフィルム(12)が過度に厚くなると、(III)積層工程における量産性が低下するおそれがある。マスキングフィルム(12)の好ましい厚さは20〜80μmであり、特に好ましい厚さは30〜60μmである。 【0049】 また、マスキングフィルム(12)は、積層工程を経るとアルミニウム板(10)への接合力が高まるが、エッチング後にアルミニウム板(10)から容易に剥離するためには、接合力の増大量が少なく、粘着剤(11)がアルミニウム板(10)に残らないことが好ましい。具体的には、貼り付け時のピール強度に対するエッチング後のピール強度の変化率が20%以下であることが好ましい。特に好ましいピール強度の変化率は10%以下である。なお、貼り付け時のピール強度は0.01〜0.04kN/mが好ましい。 【0050】 前記粘着剤(11)は、マスキングフィルム(12)と同様の耐薬品性および耐熱性を有するとともに、加熱プレスの前後でアルミニウム板(10)に対する密着性の変化が少ないことが必要である。 【0051】 前記特性を有する粘着剤(11)として、アクリル系粘着剤またはシリコン系粘着剤を用いる。アクリル系粘着剤としては、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸エチル、ポリアクリル酸ブチル、ポリアクリル酸プロピル、ポリアクリル酸メチル、ポリアクリロニトリルを例示できる。また、シリコン系粘着剤としては、シリコンゴム(ポリジメチルシロキサンの重合体)と3次元構造シリコンレジンを配合したものを例示できる。これらの粘着剤(11)は、マスキングフィルム(12)およびアルミニウム板(10)のいずれに塗布しても良い。また、前記粘着剤(11)の塗布量は10〜100g/m2が好ましい。 【0052】 なお、本発明において、マスキングフィルムをアルミニウム板に貼り付ける方法は上述した粘着剤を用いる方法に限定されない。また、積層工程における接合方法も加熱プレスに限定されない。加熱プレスのメリットは、1回のプレスで多数組の接合を行え、作業効率が良いことである。 【0053】 本発明の銅張積層板の製造方法によれば、陽極酸化処理前に貼り付けたマスキングフィルムは、積層工程を経ても損傷がなく、エッチング時のマスキングフィルムとして使用でき、かつエッチング後に支障なく剥離できる。このため、マスキングフィルムの貼り付けおよび剥離は1回で済み、銅張積層板製造の生産性を向上させ、かつ材料コストを低減することができる。 【0054】 また、本発明の銅張積層板は上記製造方法により製造したものであって、エッチング後にマスキングフィルムを剥離したものはもとより、エッチング工程後で剥離工程前の状態(マスキングフィルムを付けたままの状態)のものも含んでいる。 【0055】 また、本発明のプリント配線板は本発明の銅張積層板を用いたものであり、銅張積層板に電子部品を搭載したものである。上述したように銅張積層板の製造において生産性向上と材料コストの低減が図られているため、プリント配線板の製造においても上記効果を享受することができる。 【0056】 また、本発明の銅張積層板用材料は、アルミニウム板の一面側に所定の粘着剤により所定のマスキングフィルムを貼り付けたもの、前記アルミニウム板の他面側に陽極酸化皮膜を有するもの、さらに前記陽極酸化皮膜上に樹脂絶縁層および銅板を有するものである。即ち、本発明の銅張積層板の製造方法において、エッチング工程前の各段階のものである。これらの銅張積層板用材料を銅張積層板の製造に用いることにより、銅張積層板の生産性向上と材料コストの低減を図ることができる。 【実施例】 【0057】 種々のマスキングフィルムおよび粘着剤を用い、上述した(I)フィルム貼り付け工程、(II)陽極酸化処理工程、(III)積層工程、(IV)エッチング工程、(V)剥離工程により銅張積層板を製作した。各実施例および比較例において、アルミニウム板(10)、樹脂絶縁層(114)、銅板(15)は共通とし、下記のものを用いた。また、(II)陽極酸化処理工程、(III)積層工程、(IV)エッチング工程における処理条件も共通とした。 アルミニウム板(10):JIS A5052、厚さ1mm 樹脂絶縁層(13):エポキシ樹脂、厚さ0.1mm 銅板(15):電解銅箔、厚さ35μm (II)陽極酸化処理工程:15%硫酸、DC100A/m2、処理時間20minにより、厚さ20μmの皮膜(13)を形成した。 (III)積層工程:200℃、2Paの圧力で2時間加熱プレスした。 (IV)エッチング工程:60℃の40%塩化第二鉄水溶液に10分間浸漬してエッチングした。 〔実施例1〕 (I)フィルム貼り付け工程において、マスキングフィルム(12)として厚さ50μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、粘着剤(11)としてポリアクリル酸エチルを用い、マスキングフィルム(12)に30g/m2の粘着剤(11)を塗布し、アルミニウム板(10)の一面側に貼り付けた。 【0058】 (II)陽極酸化処理工程においてアルミニウム板(10)の他面側に陽極酸化皮膜(13)を形成した後、(III)積層工程においてアルミニウム板(10)の他面側に、樹脂絶縁層(14)および銅板(15)を積層一体化した。次いで、(IV)エッチング工程および(V)剥離工程を実施して銅張積層板(1)を製作した。 〔実施例2〕 マスキングフィルム(12)として厚さ50μmのポリイミド(PI)フィルムを用いたことを除き、実施例1と同じ条件で銅張積層板(1)を製作した。 〔実施例3〕 粘着剤(11)としてシリコンゴム(ポリジメチルシロキサンの重合体)と3次元構造シリコンレジンを配合したシリコン系樹脂を30g/m2を用いたことを除き、実施例1と同じ条件で銅張積層板(1)を製作した。 〔実施例4〕 マスキングフィルム(12)として厚さ30μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムを用いたことを除き、実施例1と同じ条件で銅張積層板(1)を製作した。 〔実施例5〕 マスキングフィルム(12)として厚さ60μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムを用いたことを除き、実施例1と同じ条件で銅張積層板(1)を製作した。 〔実施例6〕 マスキングフィルム(12)として厚さ100μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムを用いたことを除き、実施例1と同じ条件で銅張積層板(1)を製作した。なお、実施例1と比較すると、(III)積層工程において、1回のプレスで処理できる組数が少なくなり、若干量産性が悪かった。 〔比較例1〕 マスキングフィルム(12)として厚さ15μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムを用いたことを除き、実施例1と同じ条件で銅張積層板(1)を製作した。 【0059】 表1に、各実施例および比較例の銅張積層板の構成を再掲する。 【0060】 製作した各銅張積層板について、陽極酸化処理耐性、耐熱性、エッチング耐性、ピール強度、剥離性について下記の基準で評価した。評価結果を表1に示す。 〈陽極酸化処理耐性〉 (I)陽極酸化処理工程後のマスキングフィルムの状態を目視観察し、変化のないものを「○」、収縮または剥離したものを「×」とした。 〈耐熱性〉 (III)積層工程後のマスキングフィルムの状態を目視観察し、変化のないものを「○」、収縮または剥離したものを「×」とした。 〈エッチング耐性〉 (IV)エッチング工程後のマスキングフィルムの状態を目視観察し、変化のないものを「○」、収縮または剥離したものを「×」とした。 た。 〈ピール強度:貼り付け時および剥離時の変化率〉 JIS C6481に準拠してアルミニウム板に対するマスキングフィルムのピール強度を測定した。測定は、上記工程(I)後の貼り付け時と工程(IV)後の剥離時に行った。そして、貼り付け時のピール強度に対する剥離時のピール強度の変化率を求めた。なお、比較例1は剥離時の測定の際にテープ切れが発生したため変化率を求めることができなかった。 〈剥離性〉 (V)剥離工程において、マスキングフィルム(12)を容易に剥離でき、かつマスキングフィルム(12)とともに粘着剤(11)も除去できたものを「○」とし、マスキングフィルム(12)の剥離が困難であったもの、粘着剤(11)がアルミニウム板(10)に残ったものおよび剥離時にマスキングフィルム(12)が切断したものを「×」とした。 【0061】 【表1】
【0062】 表1の結果より、特定のマスキングフィルムおよび粘着剤を用いることにより、陽極酸化処理前に貼り付けたマスキングフィルムは、加熱プレスを経ても損傷がなく、エッチング時のマスキングフィルムとして使用でき、かつエッチング後に支障なく剥離できることを確認した。このため、銅張積層板の製造工程におけるマスキングフィルムの貼り付けおよび剥離は1回で済み、銅張積層板の製造において生産性の向上および材料コストの低減を図ることができる。 【産業上の利用可能性】 【0063】 本発明の銅張積層板の製造方法によれば、アルミニウム板の一面側に貼り付けるマスキングフィルムを陽極酸化処理、積層工程、エッチングを通して共用できる。このため、各種銅張積層板の製造において利用し、生産性向上および材料コストの低減を図ることができる。 【図面の簡単な説明】 【0064】 【図1】本発明の銅張積層板の一実施形態を示す断面図である 【図2】本発明の銅張積層板の製造方法の工程を示す図である。 【符号の説明】 【0065】 1…銅張積層板 10…アルミニウム板 11…粘着剤 12…マスキングフィルム 13…陽極酸化皮膜 14…樹脂絶縁層 15…銅板
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| 【出願人】 |
【識別番号】000002004 【氏名又は名称】昭和電工株式会社
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| 【出願日】 |
平成17年7月29日(2005.7.29) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100071168 【弁理士】 【氏名又は名称】清水 久義
【識別番号】100099885 【弁理士】 【氏名又は名称】高田 健市
【識別番号】100109911 【弁理士】 【氏名又は名称】清水 義仁
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| 【公開番号】 |
特開2007−36102(P2007−36102A) |
| 【公開日】 |
平成19年2月8日(2007.2.8) |
| 【出願番号】 |
特願2005−220612(P2005−220612) |
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