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【発明の名称】 半田付け実装構造およびその製造方法、並びにその利用
【発明者】 【氏名】木下 一生

【要約】 【課題】セルフアライメントにより、重量の重い部品が基板に半田接合された半田付け実装構造を実現する。

【解決手段】本発明のカメラモジュール構造は、プリント基板1に形成された基板電極2と、そのプリント基板1に実装されたカメラモジュール3に形成された実装電極4とが、半田接合部5を介して接合され、基板電極2と実装電極4とが、セルフアライメントにより位置合わせされている。そして、半田接合部5が、半田接合のための半田部16と、カメラモジュール3を支持するための支持部17とから構成されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板に形成された基板電極と、その基板に実装された実装部品に形成された実装電極とが、半田接合部を介して接合され、
上記半田接合部が、半田接合のための半田部と、実装部品を支持するための支持部とを有することを特徴とする半田付け実装構造。
【請求項2】
上記支持部が、半田部を構成する半田よりも溶融温度が高い材料からなることを特徴とする請求項1に記載の半田付け実装構造。
【請求項3】
上記支持部が、導電性物質からなることを特徴とする請求項1に記載の半田付け実装構造。
【請求項4】
上記支持部が球状であるとともに、
上記支持部が、上記基板電極および実装電極のそれぞれに形成された凹部に挟持されていることを特徴とする請求項1に記載の半田付け実装構造。
【請求項5】
上記基板電極および実装電極は、上記半田接合部に覆われていることを特徴とする請求項1に記載の半田付け実装構造。
【請求項6】
上記支持部は、上記半田接合部の中央部に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の半田付け実装構造。
【請求項7】
上記半田部が、鉛フリー半田からなることを特徴とする請求項1に記載の半田付け実装構造。
【請求項8】
上記実装部品が、光学素子であることを特徴とする請求項1に記載の半田付け実装構造。
【請求項9】
基板に形成された基板電極と、その基板に実装される実装部品に形成された実装電極とが、半田接合部によって接合された半田付け実装構造の製造方法であって、
半田接合のための半田部と、実装部品を支持するための支持部とを有する半田接合部を形成し、
上記支持部により実装部品を支持しながら、半田部を構成する半田のセルフアライメントにより、基板電極と実装電極との位置合わせを行うことを特徴とする半田付け実装構造の製造方法。
【請求項10】
上記支持部として、球状部材を用いることを特徴とする請求項9に記載の半田付け実装構造の製造方法。
【請求項11】
上記基板電極および実装電極として、凹部が形成された電極を用いることを特徴とする請求項10に記載の半田付け実装構造の製造方法。
【請求項12】
請求項1〜8のいずれか1項に記載の半田付け実装構造を備えることを特徴とする電子機器。
【請求項13】
基板に形成された基板電極と、その基板に実装される実装部品に形成された実装電極とを、半田接合部によって接合する半田付け実装方法であって、
半田接合のための半田部と、実装部品を支持するための支持部とを有する半田接合部を形成し、
上記支持部により実装部品を支持しながら、半田部を構成する半田のセルフアライメントにより、基板電極と実装電極との位置合わせを行うことを特徴とする半田付け実装方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、比較的重い部品であっても実装可能な、半田付け実装構造およびその製造方法、並びにその利用に関するものである。
【背景技術】
【0002】
基板上に、集積回路(IC)パッケージやチップ形状の電子部品(実装部品)を半田付けにより実装する方法として、基板の裏側(電子部品を実装する面とは反対の面)から加熱して、半田を溶融させることによって行われる方法がある。この方法では、半田を溶融させるために、基板の裏側を、半田の溶融温度よりもかなり高温に加熱する必要がある。その結果、熱ストレスにより半田接合部の基板の裏側部分に気泡が生じる。さらに、この方法では、半田付けの際に、電子部品を機械で押さえつけるため、半田部のショートや位置ずれするという問題も生じる。
【0003】
そこで、これらの問題を解決するため、セルフアライメントにより、基板上に電子部品が実装する方法がある。セルフアライメントとは、溶融半田の表面張力と応力とにより電子部品が持ち上げられ、応力の復元力により、その電子部品が基板上の実装位置に、自己整列されることである。言い換えれば、セルフアライメントとは、加熱により溶融した半田が基板の電極上で濡れ拡がる際に、溶融半田の表面張力により、電子部品の電極が基板の電極に対応するように移動することである。
【0004】
このように、セルフアライメントは、基板と基板に実装される電子部品とを無理なく高精度に位置合わせできる特性がある。このため、セルフアライメントは、高精度な位置合わせが要求される電子部品の実装方法として、注目されている。
【0005】
例えば、非特許文献1には、光ファイバーケーブルの線芯と、受光素子の中心との位置合わせをセルフアライメントにより行うことが開示されている。この文献では、比較的高精度の位置合わせが要求される光学部材を、セルフアライメントにより位置合わせしている。
【0006】
また、例えば、特許文献1および2には、ICパッケージ(チップスケールパッケージ(CSP))およびチップ形状の電子部品の実装を、セルフアライメントにより行うことが開示されている。
【0007】
具体的には、特許文献1では、電子部品として、いわゆるチップ部品(抵抗・コンデンサ等)およびIC部品などを、プリント基板に実装(面実装)する際に、その電子部品の実装位置を、セルフアライメントにより行っている。特許文献1では、セルフアライメントを円滑に行うために、電子部品の実装時に、プリント基板に超音波振動を与えている。
【0008】
一方、特許文献2では、ICパッケージ部品(CSP)の半田接合部(端子ランド)の形状(面積)および配置を調整することにより、セルフアライメントの効果を高めている。
【0009】
このように、セルフアライメントは、溶融半田の表面張力を利用するため、比較的軽い部品の実装に適用されてきた。例えば、ICパッケージ(IC単体のベアチップ実装,QFP等),チップ形状の電子部品等の位置合わせが、セルフアライメントにより行われてきた。
【特許文献1】特開2003−188515号公報(2003年7月4日公開)
【特許文献2】特開2003−243757号公報(2003年8月29日公開)
【非特許文献1】ジャーナル・オブ・アプライド・メカニックス、62巻、390−397ページ、1995年6月(Journal of Applied Mechanics, Vol.62, JUNE 1995, 390-397.)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、従来、セルフアライメントは、重い電子部品の実装には適用されてこなかった。これは、セルフアライメントは、溶融半田の表面張力を利用するため、基板に実装される電子部品が重すぎると、その重さに耐えきれず、表面張力が働かなくなるからである。表面張力が働かなくなれば、当然、セルフアライメントによる高精度な位置合わせを行うことができない。
【0011】
ここで、最近のデジタルスチルカメラおよび携帯電話などに実装されたカメラモジュールは、オートフォーカス機能およびオートズーム機能等の多機能を有することが一般的である。このような多機能型のカメラモジュールは、特に高精度の位置合わせが必要である。
【0012】
しかしながら、多機能型のカメラモジュールは、必然的に重量が重くなるため、セルフアライメントによる高精度な位置合わせが行われてこなかった。
【0013】
それゆえ、多機能型のカメラモジュールなど、特に高精度の位置合わせを必要とし、重い電子部品の実装にも、セルフアライメントを適用する技術が切望されている。
【0014】
なお、非特許文献1には、セルフアライメントが生じるためには、実装部品と溶融半田との間に働く表面張力と、実装部品の重量とが、弾性的に釣り合うことが前提条件となると記載されている。この記載からも、セルフアライメントは、比較的軽い部品を対象とせざるを得ないのが現状である。
【0015】
また、特許文献1のように、半田付けされるプリント基板に対して超音波振動を与えると、その振動により、プリント基板に接合される電子部品が損傷する虞がある。
【0016】
また、特許文献2のように、半田接合部の形状および配置を調整したとしても、半田の表面張力によるセルフアライメントを行うことには変わらない。このため、基板に接合する電子部品が重くなると、その表面張力が働かなくなり、セルフアライメント効果が得られないという問題がある。
【0017】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、セルフアライメントにより重量の重い部品が基板に半田接合された半田付け実装構造およびその製造方法、並びにそれらを利用した半田付け実装構造および電子機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0018】
すなわち、上記の目的を達成するために、本発明の半田付け実装構造は、基板に形成された基板電極と、その基板に実装された実装部品に形成された実装電極とが、半田接合部を介して接合され、上記半田接合部が、半田接合のための半田部と、実装部品を支持するための支持部とを含んで構成されていることを特徴としている。
【0019】
上記の構成によれば、基板電極と実装電極とを接合する半田接合部が、半田接合のための半田部と、実装部品を支持するための支持部とを有している。このため、支持部を実装部品の支持のために用い、半田部をセルフアライメントのために用いることによって、支持部により実装部品を支持しながら、半田部のセルフアライメントによる位置合わせを行うことが可能となる。すなわち、基板電極と実装電極とが、セルフアライメントにより位置合わせされた半田付け実装構造を製造することが可能となる。従って、たとえ実装部品が重くても、セルフアライメントによる位置合わせが可能となる。それゆえ、基板電極と実装電極とが高精度に位置合わせされた半田付け実装構造を提供できる。
【0020】
なお、従来、基板電極と実装電極とをセルフアライメントにより位置合わせするには、実装部品は、軽量・小型である必要があった。これは、溶融半田の表面張力のみにより、実装部品を支持していたため、実装部品の荷重に耐えきれなくなるためである。
【0021】
本発明の半田付け実装構造では、上記支持部が、半田部を構成する半田よりも溶融温度が高い材料からなるからなることが好ましい。
【0022】
上記の構成によれば、支持部を構成する材料が、半田部を構成する半田の溶融温度より高い材料からなっている。これにより、半田部を形成するために、半田を溶融させても、支持部は融解せず、固体のままである。従って、たとえ、実装部品が重くても、固体の支持部により、その実装部品を確実に支持することが可能となる。それゆえ、固体の支持部により実装部品を支持しながら、溶融した半田のセルフアライメントによる位置合わせが可能となる。
【0023】
本発明の半田付け実装構造では、上記支持部が、導電性物質からなることが好ましい。
【0024】
上記の構成によれば、半田部だけでなく、支持部も導電性を有するため、基板と実装部品とを確実に接合することができる。
【0025】
本発明の半田付け実装構造では、上記支持部が球状であるとともに、上記支持部が、上記基板電極および実装電極のそれぞれに形成された凹部に挟持されていることが好ましい。
【0026】
上記の構成によれば、球状の支持部が、基板電極に形成された凹部と実装電極に形成された凹部との間に挟持されている。このため、セルフアライメント位置は、基板電極および実装電極のそれぞれに設けられた凹部が対向する位置となる。これにより、セルフアライメントの際に、確実に各電極の凹部に、支持部を留めることができる。従って、基板電極と実装電極との位置合わせを、より高精度に行うことができる。
【0027】
本発明の半田付け実装構造では、上記基板電極および実装電極は、上記半田接合部に覆われていることが好ましい。
【0028】
上記の構成によれば、半田接合部が、基板電極および実装電極を覆うように形成されているため、基板と実装部品とが確実に接合される。従って、接合信頼性の高い半田付け実装構造を提供できる。
【0029】
本発明の半田付け実装構造では、上記支持部は、上記半田接合部の中央部に設けられていることが好ましい。
【0030】
上記の構成によれば、実装部品を支持する支持部が、半田接合部の中央部に設けられているため、支持部により実装部品を安定して支持することができる。
【0031】
本発明の半田付け実装構造では、上記半田部が、鉛フリー半田からなることが好ましい。これにより、環境に配慮した半田を用いた、半田付け実装構造を提供できる。
【0032】
本発明の半田付け実装構造では、上記実装部品が、光学素子であってもよい。
【0033】
デジタルスチルカメラおよび携帯電話等に実装されるカメラモジュールなどの光学素子は、特に高精度に位置合わせして基板に実装する必要がある。
【0034】
上記の構成によれば、そのような光学素子を、セルフアライメントにより高精度に位置合わせすることができる。
【0035】
本発明の半田付け実装構造の製造方法は、上記の目的を達成するために、基板に形成された基板電極と、その基板に実装される実装部品に形成された実装電極とが、半田接合部によって接合された半田付け実装構造の製造方法であって、半田接合のための半田部と、実装部品を支持するための支持部とを有する半田接合部を形成し、上記支持部により実装部品を支持しながら、半田部を構成する半田のセルフアライメントにより、基板電極と実装電極との位置合わせを行うことを特徴としている。
【0036】
上記の方法によれば、半田部と支持部とを有する半田接合部を形成するため、支持部を実装部品の支持のために用い、半田部をセルフアライメントのために用いることによって、支持部により実装部品を支持しながら、半田部を構成する半田の溶融によって、セルフアライメントによる位置合わせを行うことが可能となる。従って、たとえ実装部品が重くても、セルフアライメントによる位置合わせが可能となる。それゆえ、基板電極と実装電極とが高精度に位置合わせされた半田付け実装構造を製造できる。
【0037】
本発明の半田付け実装構造の製造方法では、上記支持部として、球状部材を用いてもよい。
【0038】
上記の方法によれば、支持部を球状部材から構成するため、溶融した半田による基板と実装基板との相対的な水平方向の移動にあわせて、球状部材も回転する。このため、セルフアライメントがスムーズに進行する。
【0039】
本発明の半田付け実装構造の製造方法では、上記基板電極および実装電極として凹部が形成された電極を用いることが好ましい。
【0040】
上記の方法によれば、上記基板電極および実装電極に凹部が形成されているため、セルフアライメントを行うと、球状部材の回転は、基板電極および実装電極のそれぞれに設けられた凹部が対向する位置で止まる。つまり、各電極の凹部に、球状部材が挟持された位置がセルフアライメント位置となる。これにより、セルフアライメントの際に、確実に各電極の凹部に、支持部を留めることができる。従って、基板電極と実装電極との位置合わせを、より高精度に行うことができる。
【0041】
本発明の電子機器は、前記いずれかの半田付け実装構造を備えることを特徴としている。
【0042】
上記の構成によれば、セルフアライメントにより高精度に位置合わせされた半田付け実装構造を備えた電子機器を提供できる。例えば、携帯電話・デジタルスチルカメラ等を提供できる。
【0043】
本発明の半田付け実装方法は、上記の目的を達成するために、基板に形成された基板電極と、その基板に実装される実装部品に形成された実装電極とが、半田接合部によって接合された半田付け実装構造の製造方法であって、半田接合のための半田部と、実装部品を支持するための支持部とを有する半田接合部を形成し、上記支持部により実装部品を支持しながら、半田部を構成する半田のセルフアライメントにより、基板電極と実装電極との位置合わせを行うことを特徴としている。
【0044】
上記の構成によれば、半田付け実装構造の製造方法と同様に、たとえ実装部品が重くても、セルフアライメントによる位置合わせが可能となる。それゆえ、基板電極と実装電極とが高精度に位置合わせすることができる。
【発明の効果】
【0045】
本発明は、以上のように、半田接合部が、半田接合のための半田部と、実装部品を支持するための支持部とを有する構成である。従って、たとえ実装部品が重くても、セルフアライメントによる位置合わせが可能となる。それゆえ、基板電極と実装電極とが高精度に位置合わせされた半田付け実装構造等を提供できるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0046】
以下、本発明の実施形態について、図1〜図14に基づいて説明する。なお、本発明は、これに限定されるものではない。
【0047】
本実施形態では、半田付け実装構造として、携帯電話およびデジタルスチルカメラ等の電子機器に備えられる、カメラモジュール構造について説明する。図12は、本実施形態のカメラモジュール構造10の部分断面図である。図1は、図12のカメラモジュール構造10における、半田接合部周辺の断面図である。図11は、図12のカメラモジュール構造10における、プリント基板1の平面図である。
【0048】
本実施形態のカメラモジュール構造10は、プリント基板(基板)1と、プリント基板1に実装されたカメラモジュール(実装部品;光学素子)3とが、半田接合部5により、接合された構成である。言い換えれば、カメラモジュール構造10は、プリント基板1上に、半田接合部(半田パッド)5を介して、カメラモジュール3が積層された構成である。
【0049】
プリント基板1は、図11に示すように、シート状の基板であり、一方の面に、複数の基板電極2と、コネクタ8とが形成されている。
【0050】
基板電極2は、カメラモジュール3を半田接合するためのものである。つまり、複数の基板電極2が形成された領域に、カメラモジュール3(図11には示さず)が、実装される。
【0051】
コネクタ8は、カメラモジュール構造10を別の部品に接続するためのものである。例えば、コネクタ8は、カメラモジュール3で撮影した画像データを、別の部材に送信する。このように、プリント基板1は、中継基板としても機能する。
【0052】
カメラモジュール3は、携帯電話およびデジタルスチルカメラ等に搭載されるレンズ部材である。カメラモジュール3の底面には、プリント基板1の基板電極2に対応して、複数の実装電極4が形成されている。そして、これら複数の基板電極2および実装電極4が、対向するように配置され、半田接合部5によって接合されている。つまり、基板電極2および実装電極4は、接合端子である。
【0053】
本実施形態では、図1に示すように、基板電極2および実装電極4には、それぞれ凹部20a・20bが形成されており、支持部17(後述)がこれら凹部20aと凹部20bとに挟持されている。
【0054】
なお、基板電極2および実装電極4は、金属メッキ(金メッキ・銅メッキ・半田メッキなど)されていてもよい。
【0055】
ここで、本実施形態のカメラモジュール構造10の特徴部分について説明する。
【0056】
カメラモジュール構造10の最大の特徴は、基板電極2と実装電極4とがセルフアライメントにより位置合わせされており、基板電極2と実装電極4とを接合する半田接合部5が、半田接合のための半田から構成された半田部16と、カメラモジュール3を支持するための支持部17とを含んで構成されていることである。
【0057】
なお、「基板電極2と実装電極4との位置合わせ」とは、例えば、基板電極2と実装電極4とが対向配置するよう位置であり、各電極を所定の位置に配列させることである。本実施形態では、この位置合わせを、半田部16と支持部17とによるセルフアライメントにより行っている。
【0058】
セルフアライメントは、溶融半田の表面張力と応力とによって、実装部品を持ち上げる必要がある。このため、従来のセルフアライメントは、ICパッケージ等の比較的小さく軽い実装部品についてのみ実施されていた。これは、重い実装部品のセルフアライメントを行うと、溶融半田がその重さに耐えきれず、表面張力が働かなくなるからである。
【0059】
本発明者は、まず、溶融時の表面張力が高い半田を用いて、表面張力および応力を得ようと試みたところ、半田の濡れ性が悪くなり半田付け不良が起こるとともに、接合信頼性も損なうことが判明した。さらに、温度調整により、半田の溶融状態を制御することも試みたが、極めて高度な温度調整が要求され、現実的に大量生産には適さないことが判明した。
【0060】
そこで、本発明者は、鋭意検討した結果、従来の半田接合部が、単一の半田から構成されていることに着目し、半田接合部を、半田部16と支持部17とから構成するに至った。
【0061】
すなわち、本実施形態のカメラモジュール構造10では、セルフアライメントによりプリント基板1とカメラモジュール3とを(より詳細には基板電極2と実装電極4とを)、高精度に位置合わせするために、半田接合部5が、表面張力によりカメラモジュール3を持ち上げるための半田部16と、カメラモジュール3を支持するための支持部17とから構成されている。
【0062】
より詳細には、本実施形態では、半田接合部5は、支持部17が、半田部16を構成する半田の溶融温度より高い材料からなっている。これにより、半田部16を形成するために、半田を溶融させても、支持部17は融解せず、固体のままである。従って、カメラモジュール3のように重い実装部材も、支持部17により確実に支持することが可能となる。それゆえ、固体の支持部17によりカメラモジュール3を支持しながら、溶融した半田(半田部16の半田)のセルフアライメントによる位置合わせが可能となる。
【0063】
なお、半田接合部5において、半田部16の領域および支持部17領域の割合(半田接合部5における、半田部16または支持部17の占有率)は、特に限定されるものではなく、カメラモジュール3等の実装部品に応じて設定すればよい。例えば、実装部品が軽い場合には、半田部16の割合を多くすることにより、表面張力が働きやすくなり、セルフアライメントをスムーズに行うことができる。一方、カメラモジュール3のように、実装部品が重い場合には、支持部17の割合を多くすることにより、確実にその実装部品を支持できる。
【0064】
なお、上記の構成では、支持部17が、半田接合部5の中央部に設けられているため、カメラモジュール3を安定して支持することができるようになっている。また、半田接合部5が、基板電極2および実装電極4を覆うように形成されているため、プリント基板1とカメラモジュール4とが確実に接合される。従って、接合信頼性の高いカメラモジュール構造10となっている。半田接合部5の形成方法については、後述する。
【0065】
本実施形態では、図11のように、基板電極2は、複数の電極が四角形状に配置された構成となっている。そして、四角形の頂点に配置された基板電極2のみが、半田部16および支持部17からなる半田接合部5により接合されており、頂点以外に配置された基板電極2が、半田部16のみにより、接合されている。なお、図10のように、半田部16および支持部17からなる半田接合部5は、全ての基板電極2に形成されていてもよい。
【0066】
このように、半田部16および支持部17からなる半田接合部5は、基板電極2の少なくとも一部に形成されていればよい。また、基板電極2の配置は、実装する部品に合わせて設定すればよく、特に限定されるものではない。
【0067】
次に、本実施形態のカメラモジュール構造10の製造方法について説明する。図2〜図8は、カメラモジュール構造10の製造工程を示す断面図である。
【0068】
本実施形態のカメラモジュール構造10の製造方法は、プリント基板1に形成された基板電極2と、カメラモジュール3に形成された実装電極4とを接合するための半田接合部5を形成する工程(半田接合部形成工程)を有している。
【0069】
本実施形態のカメラモジュール構造10の製造方法は、この半田接合部形成工程において、半田接合部5を支持部17と半田部16とから形成するとともに、セルフアライメントにより基板電極2と実装電極4との位置合わせを行うことを特徴としている。
【0070】
以下、カメラモジュール構造10の製造方法について詳細に説明する。
【0071】
まず、図2に示すように、プリント基板1上の基板電極2の領域に、半田を供給するために、半田マスク100を配置する。半田マスク100には、基板電極2に対応する部分によりもやや広い開口部が形成されている。このため、プリント基板1に半田マスク100を配置すると、プリント基板1の基板電極2の形成領域が露出する。次に、半田マスク100の開口部(つまり露出した基板電極2)に、支持部17を形成するために、球状部材(例えば、ビーズなど)を配する。例えば、支持部17のビーズを半田マスク100の上に撒き散らせば、半田マスク100の開口部に容易に支持部17を構成する部材が供給される。つまり、基板電極2に、確実に支持部17を形成するためのビーズを供給できる。
【0072】
次に、図3に示すように、さらに、半田マスク100上から、半田部16の半田を塗布(プリント)する。ここでは、半田部16の半田として半田ペーストを用い、半田印刷により半田部16の半田を半田マスク100の開口部に塗布した。また、半田部16の半田を塗布する際には、半田部16の半田が支持部17のビーズを覆うように、半田部16の半田を塗布した。これにより、図3に示すように、支持部17のビーズは、半田部16の内部に包含される。
【0073】
次に、図4に示すように、半田部16の半田の塗布完了後、半田マスク100をプリント基板1から取り除く。これにより、図5に示すように、プリント基板1の基板電極2上に、半田部16と支持部17とからなる半田接合部5(半田パッド)が形成される。なお、半田マスク100の開口部は、基板電極2よりもやや大きいため、基板電極2は、半田部16および支持部17により覆われている。
【0074】
なお、ここでは、半田部16の半田の溶融温度は、支持部17のビーズの溶融温度(融点)よりも低いものとする。
【0075】
次に、図6に示すように、半田接合部5上に、カメラモジュール3を、搭載機(搬送装置)により搭載する。このとき、カメラモジュール3に形成された実装電極4が、プリント基板1の基板電極2と対向するように、カメラモジュール3を配置する。
【0076】
ここで、カメラモジュール3は、高精度の位置合わせが必要である。しかしながら、搭載機によるカメラモジュール3の配置では、基板電極2と実装電極4との位置合わせは、不十分である。例えば、図6の破線で示すように、基板電極2および実装電極4が配置されるべき位置(セルフアライメント位置)を、基板電極2と実装電極4とが対向し、各電極の両端がそれぞれ揃った位置(凹部20aと凹部20bとが対向した位置)とすると、図6に示す基板電極2と実装電極4との位置合わせは不十分である。このため、例えば、図6の破線矢印で示すように、カメラモジュール3を左側に移動させて、基板電極2と実装電極4とを位置合わせする必要がある。
【0077】
本実施形態では、このような不十分な位置合わせを、溶融半田によるセルフアライメントにより行う。
【0078】
前述のように、半田部16の半田の溶融温度は、支持部17のビーズの溶融温度よりも低い。このため、セルフアライメントを行うには、まず、半田部16の半田の溶融温度以上、支持部17のビーズの溶融温度未満に加熱する。これにより、図7に示すように、半田部16の半田は溶融するのに対し、支持部17のビーズは溶融しない。このため、半田部16の半田が溶融しても、カメラモジュール3は、溶融していない支持部17により支持される。従って、カメラモジュール3の荷重に耐えられずに、半田部16および支持部17が押しつぶされることはない(図中矢印)。
【0079】
なお、この加熱は、例えば、リフロー装置により行うことができる。また、カメラモジュール3は、支持部17のみにより支持されるのではなく、溶融された半田部16の半田の表面張力によっても支持される。
【0080】
また、この加熱により半田部16の半田は、水平方向に濡れ拡がり、図6と図7とを比べてもわかるように、半田部16の厚さ(高さ)は、薄く(低く)なる。つまり、加熱により、基板電極2と実装電極4との間隔が小さくなる。また、溶融した半田部16の半田と実装電極4との間には表面張力が働き、支持部17のビーズ(固体)はカメラモジュールを支持する。
【0081】
支持部17によりカメラモジュール3が支持された状態で、半田部16の半田が溶融されると、図8に示すように、半田部16の半田は、弾性応力により水平方向(図中矢印)への移動が可能となる。この移動により、基板電極2と実装電極4との位置合わせ(図中の破線)が行われる。このように、半田部16は、弾性応力による位置合わせを行うように作用し、支持部17は、カメラモジュール3を支持するように作用することによって、セルフアライメントが行われる。
【0082】
本実施形態では、支持部17として球状のビーズを用いるため、半田部16の半田によるプリント基板1とカメラモジュール3との相対的な水平方向の移動にあわせて、支持部17のビーズも回転する。このため、セルフアライメントがスムーズに進行する。
【0083】
さらに、基板電極2および実装電極4には、凹部20aおよび20bが形成されている。このため、セルフアライメント時に、支持部17を構成するビーズは、凹部20aと凹部20bとが対向する位置に留まり、それ以上には進まない。従って、基板電極2と実装電極4との位置合わせを、より正確に行うことができる。
【0084】
最後に、溶融した半田部16を冷却することにより、半田接合部5の形成が完了する。
【0085】
このように、本実施形態によれば、支持部17によりカメラモジュール3を支持しながら、溶融した半田部16の半田の表面張力によるセルフアライメント効果が得られる。このため、たとえ、プリント基板1にカメラモジュール3のような比較的重い部材を実装する場合であっても、カメラモジュール3の荷重のためにセルフアライメント効果を達成できないといった問題を解消できる。
【0086】
これに対し、従来は、半田接合部5が、単一(1種類)の半田から構成されていたため、カメラモジュール3を溶融半田の表面張力のみによって支持することになる。すなわち、半田部16の半田の表面張力のみによって、カメラモジュール3を支持することになる。しかしながら、表面張力のみでは、カメラモジュール3のような重い実装部品を支持することができず、セルフアライメントを実現できなかった。また、溶融半田の表面張力および応力を得るために、単一の半田として溶融時の表面張力が高い半田を用いると、高表面張力であることが原因となり、半田付け不良(不濡れ)および信頼性が損なわれる。
【0087】
なお、本実施形態において、半田部16は、1種類の半田から構成されていてもよいし、特性の異なる複数種類の半田から構成されていてもよい。例えば、それら複数種類の半田は、溶融温度および/または表面張力が異なるものであってもよい。
【0088】
また、本実施形態では、半田マスク100の開口部に、支持部17のビーズを供給した後、半田部16の半田を供給したが、半田部16の半田と、支持部17のビーズとの供給順序も特に限定されるものではなく、同時に供給しても、半田部16の半田を先に供給してもよい。
【0089】
また、本実施形態では、支持部17を球状のビーズから構成したが、支持部17を構成する材料は、特に限定されるものではない。支持部17は、例えば、ガラス、セラミック、金属などから構成することができる。また、支持部17は、半田付けの品質という観点から、半田との親和性および電気伝導性のよい材料、例えば、金(Au)、銀(Ag)、銅(Cu)、スズ(Sn)、およびこれらの合金の群から任意に選択される材料によって、メッキ処理されたものであることが好ましい。
【0090】
また、本実施形態では、図11に示すように、基板電極2の一部について、支持部17を形成したが、支持部17は、任意の基板電極2に配置すればよく、図10に示すように、全ての基板電極2に、支持部17を配置してもよい。
【0091】
また、本実施形態では、半田マスク100の開口部に供給する支持部17のビーズは、1つの基板電極2に対して1つずつ供給していた。しかしながら、基板電極2に対して複数個のビーズを供給し、複数の支持部17を形成してもよい。図13は、半田接合部5に、支持部17の領域が2つ形成された例を示す断面図である。図13に示すように、半田接合部5に、支持部17の形成された領域が複数形成されていてもよい。
【0092】
本実施形態では、半田部16の半田の溶融温度および溶融時間は、プリント基板1に搭載する部品(カメラモジュール3)の耐熱性を考慮して設定すればよい。つまり、半田部16の半田の溶融温度および溶融時間は、プリント基板1およびカメラモジュール3が破損しない範囲で設定すればよく、特に限定されるものではない。
【0093】
例えば、図9は、実際に、プリント基板1にカメラモジュール3を半田付けする際の半田を溶融する温度プロファイルである。図9に示すように、一旦、半田部16の半田溶融温度以下の予備加熱温度(Tp)に保持し、プリント基板1上の温度分布を均一化する(予備加熱)。その後、半田部16の半田溶融温度(T1)以上に加熱し、半田の粒化防止の為に急冷する(本加熱)。
【0094】
図9において、カメラモジュール3の耐熱条件で制約される実装ピーク温度をTmaxとすると、半田部16の半田溶融温度(T1)はTmax以下である必要があるが、支持部17の溶融温度(T2)はTmax以上でもよい。また温度は、通常、室温から徐々に上昇させて、半田部16の半田溶融温度(T1)未満の温度で一旦保持して予備加熱を行う。その後、半田部16の半田溶融温度以上に引き上げ、急激に冷却する。
【0095】
なお、例えば、半田部16の半田の溶融温度は、140℃〜219℃であることが好ましく、183℃〜190℃であることがより好ましい。支持部17は、半田部16よりも溶融温度が高ければ特に限定されるものではない。また、半田部16の半田と支持部17の溶融温度差は、特に限定されるものではないが、その温度差が大きいほど、半田部16のみを確実に溶融させることができる。
【0096】
また、半田部16の半田は、支持部17の材料と親和性の高いものであることが好ましい。例えば、支持部17がAu、Ag、Sn、又はこれらのいずれかがメッキされた材料から構成されている場合、半田部16の半田は、Sn、Ag、Bi、またはInから構成することが好ましい。これにより、半田部16と支持部17とが分離されることなく、半田接合部5を形成することができる。
【0097】
また、本実施形態で用いる半田の種類も特に限定されるものではないが、環境に配慮して、いわゆる鉛フリー半田であることが好ましい。鉛フリー半田としては、例えば、Sn−Ag系半田,Sn−Zn系半田,Sn−Bi系半田,Sn−In系半田,Sn−Ag−Cu系半田等が例示されるが、特に限定されるものではない。また、各半田成分の組成比も特に限定されるものではない。
【0098】
また、半田部16の半田は、フラックスが混入されたものであってもよい。言い換えれば、半田部16の半田は、フラックス剤等が含まれていた半田ペースト(クリーム半田)であってもよい。これにより、半田の濡れ性および流動性が向上するため、より高いセルフアライメント効果が得られる。
【0099】
フラックスの種類は、実装部品および基板のそれぞれに形成された電極の成分によって設定すればよく、特に限定されるものではない。フラックスとしては、例えば、腐食性フラックス(ZnCl−NHCl系の混合塩など),緩性フラックス(有機酸およびその誘導体など),非腐食性フラックス(松やに(ロジン))とイソプロピルアルコールとの混合物など),水溶性フラックス(ロジン系フラックスなど),低残渣フラックス(固形成分が5%以下で有機酸を活性剤とする、ロジン系または樹脂系のフラックス等)などを用いることができる。
【0100】
本実施形態の半田接合部5は、以下のように構成することもできる。図13および図14は、半田接合部5の別の構成を示す断面図である。
【0101】
図1の構成では、1つの半田接合部5に対して、支持部17の領域が1つであったのに対し、図13の構成では、1つの半田接合部5に対して、支持部17の領域が複数(図13では2つ)である。この構成では、カメラモジュール3を安定して支持することができる。
【0102】
また、図1の構成では、基板電極2および実装電極4は、プリント基板1およびカメラモジュール3の内側に窪んだ、凹部20a・20bを有している。また、支持部17は、球状のビーズから構成されているのに対し、図14の構成では、基板電極2および実装電極4は、平坦である。
【0103】
本実施形態のカメラモジュール構造10の製造方法は、半田付け実装方法としても適用することが可能となる。これにより、基板と実装部品とを、セルフアライメントにより、高精度に位置合わせをして、半田接合することができる。
【0104】
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能である。すなわち、請求項に示した範囲で適宜変更した技術的手段を組み合せて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0105】
本発明は、半田接合部を複数の半田から構成することによって、基板に実装される電子部品を支持するとともに、セルフアライメントによる位置合わせを行うことができる。それゆえ、あらゆる半田付け実装構造に適用可能であり、電子部品産業にて利用可能である。特に、例えば、デジタルスチルカメラおよび携帯電話等の撮像用のレンズと固体撮像素子とが一体となったカメラモジュールなどの、重量の重い電子部品を接合するための接合用基板(プリント基板)等の半田付けに好適である。
【図面の簡単な説明】
【0106】
【図1】本発明にかかる半田付け実装構造の半田接合部を示す断面図である。
【図2】図1の半田接合部の形成工程を示す断面図である。
【図3】図1の半田接合部の形成工程を示す断面図である。
【図4】図1の半田接合部の形成工程を示す断面図である。
【図5】図1の半田接合部の形成工程を示す断面図である。
【図6】図1の半田接合部の形成工程を示す断面図である。
【図7】図1の半田接合部の形成工程を示す断面図である。
【図8】図1の半田接合部の形成工程を示す断面図である。
【図9】図1の半田接合部に用いる半田の温度プロファイルを示すグラフである。
【図10】本発明にかかる半田付け実装構造におけるプリント基板の平面図である。
【図11】本発明にかかる半田付け実装構造における別のプリント基板の平面図である。
【図12】本発明にかかる半田付け実装構造の部分断面図である。
【図13】本発明にかかる別の半田付け実装構造における半田接合部の断面図である。
【図14】本発明にかかるさらに別の半田付け実装構造における半田接合部の断面図である。
【符号の説明】
【0107】
1 プリント基板(基板)
2 基板電極(凹部が形成された電極)
3 カメラモジュール(実装部品、光学素子)
4 実装電極(凹部が形成された電極)
5 半田接合部
10 カメラモジュール構造(半田付け実装構造)
16 半田部
17 支持部(球状部材)
20a,20b 凹部
【出願人】 【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
【出願日】 平成17年7月28日(2005.7.28)
【代理人】 【識別番号】110000338
【氏名又は名称】特許業務法人原謙三国際特許事務所


【公開番号】 特開2007−36058(P2007−36058A)
【公開日】 平成19年2月8日(2007.2.8)
【出願番号】 特願2005−219547(P2005−219547)