| 【発明の名称】 |
積層セラミック基板 |
| 【発明者】 |
【氏名】昌原 鎬
【氏名】野々上 寛
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| 【要約】 |
【課題】所望の特性を容易に得ることができ、且つ反りを低減した積層セラミック基板を提供する。
【解決手段】積層セラミック基板100は、第1セラミック板10と、第1セラミック板10の一方の主面に配置された金属からなる導体層20と、第1セラミック板10の他方の主面に配置された第2セラミック板30とを備え、第2セラミック板30の熱収縮速度は、導体層20の熱収縮速度に対して80〜120%である。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 第1セラミック板と、 前記第1セラミック板の一方の主面に配置された金属からなる導体層と、 前記第1セラミック板の他方の主面に配置された第2セラミック板とを備え、 前記第2セラミック板の熱収縮速度は、前記導体層の熱収縮速度に対して80〜120%であることを特徴とする積層セラミック基板。 【請求項2】 前記第2セラミック板及び前記導体層の収縮開始温度は、前記第1セラミック板の収縮開始温度よりも低いことを特徴とする請求項1に記載の積層セラミック基板。 【請求項3】 前記第1セラミック板は、結晶化ガラスを含み、 前記第2セラミック板は、非晶質ガラスを含むことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の積層セラミック基板。 【請求項4】 前記第1セラミック板は、ディオプサイド結晶相を含むことを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の積層セラミック基板。 【請求項5】 前記第2セラミック板の厚さは、前記第1セラミック板の厚さに対して8〜20%であることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の積層セラミック基板。
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【発明の詳細な説明】【技術分野】 【0001】 本発明は、積層セラミック基板に関する。 【背景技術】 【0002】 近年、各種の電子機器などの電子回路モジュールとして、配線として用いられる導体層がセラミック板上に配置された積層セラミック基板が用いられている。この積層セラミック基板を製造する焼成工程においてセラミックグリーンシートと、セラミックグリーンシート上の導体層とが同時に焼成される。この焼成工程では、セラミックグリーンシートと導体層との熱収縮速度の違いから、セラミックグリーンシートと導体層との界面にせん断応力が発生する。このせん断応力により、焼成後の積層セラミック基板に大きな反りが発生することが課題となっていた。 【0003】 このように熱収縮速度の異なる複数の層を有する積層セラミック基板の反りを低減する方法として、以下に示す2つの方法が提案されている。 【0004】 具体的には、高速収縮セラミックグリーンシートと低速収縮セラミックグリーンシートとの間に熱収縮速度が段階的に異なる中間層を備える積層セラミック基板が提案されている(例えば、特許文献1参照)。これによれば、高速収縮セラミックグリーンシートと低速収縮セラミックグリーンシートとの熱収縮速度の差を中間層が緩和するため、積層セラミック基板の反りを低減することができる。 【0005】 また、高速収縮セラミックグリーンシートと低速収縮セラミックグリーンシートとの間に白金層を備える積層セラミック基板も提案されている(例えば、特許文献2参照)。これによれば、セラミックグリーンシートと白金層との接合強度が弱いため、熱収縮速度の異なる高速収縮セラミックグリーンシート及び低速収縮セラミックグリーンシートは、それぞれ独立して収縮する。これにより、積層セラミック基板の反りを低減することができる。 【特許文献1】特開平6−208933号公報 【特許文献2】特開平8−144841号公報 【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】 【0006】 しかしながら、上述した方法では、何れの積層セラミック基板も高速収縮セラミックグリーンシートと低速収縮セラミックグリーンシートとの間に反りを低減するための中間層又は、白金層が設けられていた。中間層又は、白金層は、比誘電率や絶縁耐力等、積層セラミック基板の特性に影響を与えるため、積層セラミック基板の所望の特性を得るのが難しいことが課題となっていた。 【0007】 そこで、本発明は、上述の課題に鑑みてなされたものであり、所望の特性を容易に得ることができ、且つ反りを低減した積層セラミック基板を提供することを目的とする。 【課題を解決するための手段】 【0008】 上記課題を解決するために、本発明に係る積層セラミック基板の特徴は、第1セラミック板と、第1セラミック板の一方の主面に配置された金属からなる導体層と、第1セラミック板の他方の主面に配置された第2セラミック板とを備え、第2セラミック板の熱収縮速度が、導体層の熱収縮速度に対して80〜120%であることを要旨とする。 【0009】 なお、本発明において熱収縮速度とは、セラミックグリーンシートを焼成する際に急激に焼成収縮し始める温度である収縮開始温度から焼成収縮が終了する温度までの単位温度あたりの焼成収縮率の変化量を意味している。 【0010】 かかる特徴によれば、第2セラミック板の熱収縮速度が、導体層の熱収縮速度に揃うため、積層セラミック基板の反りを低減することができる。 【0011】 従って、第1セラミック板と導体層との間に熱収縮速度の差によって生じるせん断応力は、第1セラミック板と第2セラミック板との間に熱収縮速度の差によって生じるせん断応力によって相殺され、低減される。これにより、積層セラミック基板の反りを低減することができる。 【0012】 また、本発明に係る積層セラミック基板は、第1セラミック板と、導体層との間に中間層を備える必要がなく、積層セラミック基板の所望の特性を得ることができる。 【0013】 また、本発明の一例に係る積層セラミック基板の特徴は、第2セラミック板及び導体層の収縮開始温度が、第1セラミック板の収縮開始温度よりも低いことを要旨とする。 【0014】 かかる特徴によれば、第2セラミック板及び導体層の収縮開始温度は、第1セラミック板が焼成収縮し始める収縮開始温度よりも低いことにより、第2セラミック板と導体層との焼成収縮挙動を揃えることができる。これにより、第1セラミック板と導体層との間で発生するせん断応力は、第1セラミック板と第2セラミック板との間で発生するせん断応力に更に相殺され、積層セラミック基板の反りを更に低減することができる。 【0015】 また、本発明の一例に係る積層セラミック基板の特徴は、第1セラミック板が、結晶化ガラスを含み、第2セラミック板が、非晶質ガラスを含むことを要旨とする。 【0016】 かかる特徴によれば、第1セラミック板が、結晶化ガラスを含むことにより、積層セラミック基板の抗折強度を高くすることができる。また、第2セラミック板は、積層セラミック基板全体の強度向上には関与する必要がなく、熱収縮特性が異なる非晶質ガラスを適宜選択可能である。これにより、熱収縮速度を変えることができるため、導体層の熱収縮速度に更に揃えることができる。これにより、積層セラミック基板の反りを更に低減することができる。 【0017】 また、本発明の一例に係る積層セラミック基板の特徴は、第1セラミック板が、ディオプサイド結晶相を含むことを要旨とする。 【0018】 かかる特徴によれば、第1セラミック板が、ディオプサイド結晶相を含むことにより、積層セラミック基板の抗折強度が高くなり、積層セラミック基板の反りを更に低減することができる。 【0019】 また、本発明の一例に係る積層セラミック基板の特徴は、第2セラミック板の厚さが、第1セラミック板の厚さに対して8〜20%であることを要旨とする。 【0020】 かかる特徴によれば、第2セラミック板は、焼成時に第1セラミック板が反ることで第2セラミック板へ加えられる応力による変形を抑えるのに十分な強度を得ることができる。 【0021】 なお、本発明においては、第1セラミック板は、複数のセラミック板を有し、そのセラミックの間に金属からなる配線層が配置されてもよい。 【発明の効果】 【0022】 本発明によれば、所望の特性を容易に得ることができ、且つ反りを低減した積層セラミック基板を提供することができる。 【発明を実施するための最良の形態】 【0023】 次に、図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。なお、以下の図面の記載において、同一または類似の部分には、同一又は類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、各寸法の比率などは現実のものとは異なることを留意するべきである。 【0024】 したがって、具体的な寸法などは以下の説明を参酌して判断すべきものである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることは勿論である。 【0025】 [第1実施形態] (積層セラミック基板) 以下、第1実施形態に係る積層セラミック基板100について説明する。図1(a)は、第1セラミック板10と導体層20とを備える積層セラミック基板100の平面図を示す。積層セラミック基板100は、導体層20が配線を形成することにより、載置する部品等との間で回路を形成する。 【0026】 図1(b)は、積層セラミック基板100の1a−1a断面図を示す。図1(b)に示すように、積層セラミック基板100は、第1セラミック板10と、第1セラミック板10の一方の面に金属からなる導体層20と、第1セラミック板10の他方の面に第2セラミック板30とを備える。 【0027】 図1(b)に示すように、第1セラミック板10は、一方の面に金属からなる導体層20と、他方の面に第2セラミック板30とを備える。第1セラミック板10は、セラミックとガラスとの複合材料により形成される。例えば、第1セラミック板10は、二酸化珪素、酸化マグネシウム、酸化カルシウム等を含むガラスと、ジルコニア、アルミナ等のセラミックの複合材料により形成できる。 【0028】 第1セラミック板10は、結晶化ガラスを含むことが好ましい。例えば、セラミックとしてアルミナを用い、結晶化ガラスとして、二酸化珪素、酸化マグネシウム、酸化カルシウムを主成分とするガラスを用いることができる。第1セラミック板10の結晶化ガラスは、ディオプサイド結晶相(Ca(Mg、Al)(Si、Al)2O6)を含むことが好ましい。 【0029】 導体層20は、第1セラミック板10の一方の面で導通を確保するため、金属を主成分として形成される。具体的には、金、銀、銅等が導体層20の主成分として用いられる。 【0030】 第2セラミック板30は、第1セラミック板10の導体層20が形成される面と反対側の面に形成される。また、第2セラミック板30の熱収縮速度は、導体層20の熱収縮速度に対して80〜120%である。 【0031】 第2セラミック板30は、第1セラミック板10を介して導体層20と鏡像の関係にあるように配置されることが好ましい。 【0032】 第2セラミック板30は、非晶質ガラスを含むことが好ましい。例えば、非晶質ガラスとして、二酸化珪素、三酸化二ホウ素、酸化アルミニウム、酸化カルシウムを用いることができる。 【0033】 第2セラミック板30及び導体層20の収縮開始温度は、第1セラミック板10の収縮開始温度よりも低いことが好ましい。 【0034】 第2セラミック板30の厚さは、第1セラミック板10の厚さに対して8〜20%であることが好ましい。 【0035】 以上説明した第1実施形態に係る積層セラミック基板100は、熱収縮速度が、導体層20の熱収縮速度に対して80〜120%である第2セラミック板30を第1セラミック板10の導体層20を備える面とは反対側の面に備える。これにより、第1セラミック板10と導体層20との間に熱収縮速度の差によって生じるせん断応力は、第1セラミック板10と第2セラミック板30との間に熱収縮速度の差によって生じるせん断応力によって相殺され、低減される。これにより、積層セラミック基板100の反りを低減することができる。 【0036】 また、第2セラミック板30及び導体層20の収縮開始温度は、第1セラミック板10の収縮開始温度よりも低いことにより、第2セラミック板30と導体層20との焼成収縮挙動を更に揃えることができる。 【0037】 第2セラミック板30は、熱収縮特性が異なる非晶質ガラスを適宜選択することにより、熱収縮速度を変えることができるため、導体層の熱収縮速度に更に揃えることができる。 【0038】 第1セラミック板10は、結晶化ガラスを含むことにより、積層セラミック基板の抗折強度を高くすることができる。また、第1セラミック板10の結晶化ガラスは、ディオプサイド結晶相(Ca(Mg、Al)(Si、Al)2O6)を含むことにより、更に積層セラミック基板の抗折強度を高くすることができる。また、高周波での誘電損失の増加を抑制した積層セラミック基板100とすることができる。 【0039】 第2セラミック板30の厚さは、第1セラミック板10の厚さに対して8%以上であることにより、焼成時に第1セラミック板10が反ることで第2セラミック板30へ加えられる応力による変形を抑えるのに十分な強度にすることができる。また、第2セラミック板30の厚さは、第1セラミック板10の厚さに対して20%以内であることにより、積層セラミック基板100の特性に影響を与えない。 【0040】 (積層セラミック基板の製造方法) 以下、第1実施形態に係る積層セラミック基板100の製造方法について説明する。図2に示すように、積層セラミック基板100の製造方法は、第1セラミックグリーンシート10Pを形成する工程と、第1セラミックグリーンシート10Pの一方の主面に導体ペースト20Pを形成する工程と、第1セラミックグリーンシート10Pの他方の主面に第2セラミックグリーンシート30Pを形成する工程とを含む。 【0041】 図2(a)に示すように、第1セラミックグリーンシート10Pを形成する。具体的には、第1セラミックグリーンシート10Pの原料粉末に、バインダと、必要に応じて有機溶剤、分散剤等を添加して混合し、スラリーを作製する。得られたスラリーをドクターブレード法等によりシート状に成形し、第1セラミック板10になる第1セラミックグリーンシート10Pを得る。 【0042】 次に、図2(b)に示すように、第1セラミックグリーンシート10Pの一方の主面に導体ペースト20Pを形成する。例えば、導体ペースト20Pは、スクリーン印刷法等を用いて第1セラミックグリーンシート10P表面に印刷により塗布することにより形成できる。導体ペースト20Pを印刷により塗布する場合、金、銀、銅等の粉末と、バインダ等とを混合した印刷ペーストを用いることが好ましい。 【0043】 次に、図2(c)に示すように、第1セラミックグリーンシート10Pの導体ペースト20Pが形成された面とは反対側の面に第2セラミックグリーンシート30Pを形成し、セラミック成形体100Pを形成する。具体的には、第2セラミックグリーンシート30Pの原料粉末に、バインダ、必要に応じて有機溶剤、分散剤等を添加して混合し、スラリーを作製する。そして、得られたスラリーを導体ペースト20Pが形成された一方の面とは、反対側の面に例えば、スクリーン印刷法等を用いて塗布することにより第2セラミックグリーンシート30Pを形成する。 【0044】 第2セラミックグリーンシート30Pの原料粉末は、第2セラミック板30の熱収縮速度が導体層20の熱収縮速度に対して80〜120%になるよう選択される。具体的には、原料粉末の粒径、添加するガラス粉末の種類等を変えることにより第2セラミック板30の熱収縮速度を制御する。例えば、添加するガラス粉末がない状態で焼成収縮率が16%のシートに対して、日本電気硝子社製GA−4を添加することにより、焼成収縮率は、17%になる。また、日本電気硝子社製GA−12を添加することにより、焼成収縮率は、18%になり、熱収縮速度も変えることができる。 【0045】 第2セラミックグリーンシート30Pは、第1セラミックグリーンシート10Pと同様にしてシート状に形成してもよい。この場合、具体的には、得られたスラリーをドクターブレード法等によりシート状に成形する。第1セラミックグリーンシート10Pの導体ペースト20Pが形成された面とは反対側の面にシート状の第2セラミックグリーンシート30Pを重ねることで、セラミック成形体100Pを得る。 【0046】 次に、セラミック成形体100Pを焼成することにより、積層セラミック基板100を得る。具体的には、大気雰囲気中で800〜900℃の温度で0.5〜5H以上保持することにより、焼成することで積層セラミック基板100を得る。 【0047】 以上説明した第1実施形態に係る積層セラミック基板100の製造方法によれば、第1セラミック板10の一方の主面に形成される導体層20の熱収縮速度に対して80〜120%の熱収縮速度である第2セラミック板30を第1セラミック板10の他方の主面に形成することができる。 【0048】 これによれば、第1セラミック板10と導体層20との間に熱収縮速度の差によって生じるせん断応力は、第1セラミック板10と第2セラミック板30との間に熱収縮速度の差によって生じるせん断応力によって相殺され、低減される。これにより、反りを低減した積層セラミック基板100を製造することができる。また、中間層を備えることがないため、所望の特性を有する積層セラミック基板100を製造することができる。 【0049】 なお、焼成後の積層セラミック基板100から、第2セラミック板30を研磨等により除去する工程を更に含んでも構わない。これによれば、第1セラミック板10と、導体層20とだけで形成され、且つ反りを低減した積層セラミック基板100を製造することができる。 【0050】 [第2実施形態] (多層積層セラミック基板) 以下、第2実施形態に係る積層セラミック基板101について説明する。図3は、第1セラミック板11と導体層21と、第2セラミック板31とを備え、第1セラミック板11が6層のセラミック層11A〜11Fと、互いに隣接するセラミック層11A〜11Fの間に金属からなる配線層21A〜21Eとを備える積層セラミック基板101を示す。図4を用いて、第1セラミック板11を形成するセラミック層11A〜11Fと、配線層21A〜21Eとについて更に説明する。図4は、図3の積層セラミック基板101の分解図である。 【0051】 ここでは、セラミック層11A〜11Fの順番に応じてセラミック層11A、12B、13C等とし、各セラミック層に形成される配線層21A〜21Eをセラミック層11A〜11Fの順番に応じて配線層21A、21B、21C等とする。第1セラミック板11は、一番上の層であるセラミック層11Aの上面に金属からなる導体層21と、一番下の層であるセラミック層11Fの下面に第2セラミック板31とを備える。 【0052】 セラミック層11A〜11Fは、第1セラミック板11と同様のセラミックとガラスとの複合材料により形成される。 【0053】 配線層21A〜21Eは、導体層21と同様の金属を主体とすることができる。 【0054】 このような複数のセラミック層11A〜11Fと、各セラミック層11A〜11Fの間に金属からなる配線層21A〜21Eとを備える第1セラミック板11においても、第1セラミック板11と導体層21との間に熱収縮速度の差によって生じるせん断応力は、第1セラミック板11と第2セラミック板31との間に熱収縮速度の差によって生じるせん断応力によって相殺され、低減される。これにより、積層セラミック基板101の反りを低減することができる。 【0055】 また、積層セラミック基板101は、第1セラミック板11を形成するセラミック層11A〜11Fと、配線層21A〜21Eとの間に中間層を備える必要がなく、積層セラミック基板101の所望の特性を容易に得ることができる。 【0056】 また、積層セラミック基板101は、互いに隣接するセラミック層11A〜11Fの間に金属からなる配線層21A〜21Eを備えることにより、L成分(インダクタンス)、C成分(容量)を内蔵することができる。これにより、積層セラミック基板101に実装するインダクタやコンデンサの数量を減らし、モジュールの小型化を実現することができる。 【0057】 第2セラミック板31の厚さは、第1セラミック板11の厚さに対して8%以上であることにより、焼成時に各セラミック層と各配線層との間に熱収縮速度の差によって生じるせん断応力により第1セラミック板11が反ることで第2セラミック板31へ加えられる応力による変形を抑えるのに十分な強度にすることができる。また、第2セラミック板31の厚さは、第1セラミック板11の厚さに対して20%以下であることにより、積層セラミック基板101の特性に影響を与えない。 【0058】 なお、第1セラミック板11を形成するセラミック層11A〜11Fは、6層に限定されず2層以上のセラミック層により形成されていればよい。また、各セラミック板に形成される配線層のパターンは、図示されたパターンに限定されず、任意に形成することができる。 【0059】 [その他の実施形態] 本発明は上記の実施形態によって記載したが、この開示の一部をなす論述及び図面はこの発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。 【0060】 例えば、第1実施形態では、第2セラミック板30は、第1セラミック板10を介して導体層20と鏡像の関係にあるように配置されることを例示したが、本発明はこれに限られない。具体例を図5に示す。図5(a)は、積層セラミック基板102の導体層22側の面を示し、図5(b)は、導体層22とは反対側の面を示す。図5の積層セラミック基板102は、図5(a)に示すように、第1セラミック板12の一方の面に長方形からなる導体層22と、図5(b)に示すように、他方の面に十字形からなる第2セラミック板32を備えている。このように、第2セラミック板32の形状は、特に限定されず、導体層22と鏡像関係にない第2セラミック板32を用いても、第1セラミック板12と導体層22との間に熱収縮速度の差によって生じるせん断応力は、第1セラミック板12と第2セラミック板32との間に熱収縮速度の差によって生じるせん断応力によって相殺され、低減される。 【0061】 このように、本発明はここでは記載していない様々な実施形態等を含むことは勿論である。したがって、本発明の技術的範囲は上記の説明から妥当な特許請求の範囲に係る発明特定事項によってのみ定められるものである。 【実施例】 【0062】 次に、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明は下記の実施例に何ら限定されるものではない。実施例で作製したサンプルを図6に示す。図6(a)は、焼成することにより、積層セラミック基板Aとなる積層基板133Pである。また、図6(b)は、焼成することにより積層セラミック基板Bとなる積層基板134Pである。 【0063】 はじめに、第1セラミックグリーンシート13Pを形成した。具体的には、セラミックス原料粉末として、平均粒径が3μmのSiO2、MgO、CaOを含む結晶性ガラス粉末275gと、イソプロピルアルコール(以下、IPA)137.5gと、オレフィンマレイン酸コポリマー系分散剤2.75gとを準備した。次に、セラミック原料粉末を直径0.5mmのジルコニアビーズを140.5g用いてビーズミルにて90分間の混合粉砕を行った。なお、結晶性ガラス粉末には、焼成後ディオプサイド結晶層が析出するガラスを用いた。 【0064】 次に、混合粉砕を行ったセラミック原料粉末に、更に、平均粒径が3μmのαアルミナ粉末145gと、IPA73gと、オレフィンマレイン酸コポリマー系分散剤1.45gを加えてビーズミルにて90分間の混合粉砕を行った。 【0065】 得られたセラミック原料粉末に、酢酸ブチル91gと、ポリビニルアセテート系バインダ15gと、アクリル系バインダ36gと、顔料Fe(Fe、Cr)2O4(2.4%Coドープ)5.5gとを加えてビーズミルにて60分間の混合粉砕を行い、第1スラリーを得た。 【0066】 ドクターブレード法を用いて第1セラミックグリーンシート13Pを得た。具体的には、得られた第1スラリーをドクターブレード装置で厚さが100μmになるようにシート状に成形した。 【0067】 次に、第2セラミックグリーンシート33Pを形成した。具体的には、セラミックス原料粉末として、平均粒径が3μmのSiO2、B2O3、Al2O3、CaOを含む非晶質ガラス粉末275gと、IPA137.5gと、オレフィンマレイン酸コポリマー系分散剤2.75gとを準備した。次に、セラミック原料粉末を直径0.5mmのジルコニアビーズを140.5g用いてビーズミルにて90分間の混合粉砕を行った。次に、混合粉砕を行ったセラミック原料粉末に、更に、平均粒径が3μmのαアルミナ粉末145gと、IPA73gと、オレフィンマレイン酸コポリマー系分散剤1.45gを加えてビーズミルにて90分間の混合粉砕を行った。 【0068】 得られたセラミック原料粉末に、酢酸ブチル91gと、ポリビニルアセテート系バインダ15gと、アクリル系バインダ36gと、顔料Fe(Fe、Cr)2O4(2.4%Coドープ)5.5gとを加えてビーズミルにて60分間の混合粉砕を行い、スラリー2を得た。また、ドクターブレード法を用いて第2セラミックグリーンシート33Pを得た。具体的には、得られた第2スラリーをドクターブレード装置で厚さが100μmになるようにシート状に成形し、第2セラミックグリーンシートを得た。 【0069】 次に、第1セラミックグリーンシート13Pの一方の主面に銀を主成分とする導体ペースト23Pを印刷し、シート131Pとした。具体的には、スクリーン印刷法を用いてシート状の第1セラミックグリーンシート13Pの一方の主面に導体ペースト23Pを印刷した。導体ペースト23Pは、主成分である銀の粉末と、バインダとを混合したペーストを用いた。 【0070】 導体ペースト23Pの印刷パターンは、正方形が斑状に配置されたパターンで縦に15個、横に15個、合計225個の正方形を有するパターンを用いた。また、導体ペースト23Pが、シート状の第1セラミックグリーンシート13Pの面積に対して、10%、20%、50%となるように正方形の面積を3種類設定した。 【0071】 次に、別に用意した第1セラミックグリーンシート13Pの一方の主面にスクリーン印刷法を用いて第2スラリーを印刷することにより第2セラミックグリーンシート33Pを形成し、シート132Pとした。第2セラミックグリーンシート33Pの印刷パターンは、第1セラミックグリーンシート13Pを介し、導体ペースト23Pの印刷パターンと鏡像の関係となるパターンを用いた。 【0072】 形成したシート131Pと、シート132Pとをそれぞれ導体ペースト23Pと、第2セラミックグリーンシート33Pとの印刷パターンがそれぞれ外側になるように積層し、34MPaの圧力を加えることで圧着した。次に圧着されたシートから25mm角のサンプルを切り出し図6(a)に示す積層基板133Pを得た。 また、別に用意したシート131Pと、第1セラミックグリーンシート13Pとを導体ペースト23Pの印刷パターンが外側になるように積層し、34MPaの圧力を加えることで圧着した。次に圧着されたシートから25mm角のサンプルを切り出し図6(b)に示す積層基板134Pを得た。 【0073】 なお、積層基板133Pを焼成することにより、シート131Pの第1セラミックグリーンシート13Pと、シート132Pの第1セラミックグリーンシート13Pとは、第1セラミック板となる。また、積層基板133Pを焼成することにより、シート131Pの導体ペースト23P及びシート132Pの第2セラミックグリーンシート33Pは、それぞれ導体層および第2セラミック板となる。従って、積層基板133Pは、第1セラミック板の一方の主面上に、導体層を備え、他方の主面上に第2セラミック板を備える積層セラミック基板Aとなる。 【0074】 同様にして、積層基板134Pを焼成することにより、シート131Pの第1セラミックグリーンシート13Pと、導体ペースト23Pが印刷されていないもう一方の第1セラミックグリーンシート13Pとは、第1セラミック板になる。従って、基板Bは、第1セラミック板の一方の主面上にのみ導体層を備える積層セラミック基板Bとなる。 【0075】 (熱収縮速度測定方法) 焼成温度と、焼成収縮率との関係を調べるために熱機械分析装置(Thermo Mechanical Analysis)を用いた。サンプルとしては、上述した方法で形成された第1セラミックグリーンシート13P、導体ペースト23P、第2セラミックグリーンシート33Pの3種類を用いた。 【0076】 (反り測定方法) 積層基板133Pと、積層基板134Pとを図7に示すプロファイルにそって焼成した。焼成後の積層セラミック基板Aの反りと、焼成後の積層セラミック基板Bの反りをそれぞれマイクロメータにて測定した。 【0077】 (熱収縮速度測定結果) 図8〜図10に示すように、第1セラミックグリーンシート13P、導体ペースト23P、第2セラミックグリーンシート33Pの熱収縮特性曲線を得た。熱収縮特性曲線とは、横軸に焼成温度、縦軸に焼成前の大きさに対する割合を焼成収縮率としてその関係により示された曲線である。焼成収縮率がマイナスを示せば焼成収縮していることを示し、プラスを示せば熱膨張していることを示す。また、急激に収縮し始める温度を収縮開始温度とする。また、収縮開始温度から焼成収縮が一定になり、焼成収縮が終了する温度までの単位温度あたりの焼成収縮率の変化量を熱収縮速度とする。図8〜図10では、収縮開始温度と、熱収縮速度をわかりやすくするために、熱収縮特性曲線の収縮開始温度から焼成収縮が終了する温度までをS領域として破線で表示する。 【0078】 図8に示すように、第1セラミックグリーンシート13Pの収縮開始温度は、750℃近辺であった。また、第1セラミックグリーンシート13Pの熱収縮速度は、750℃を過ぎて急激に焼成収縮をするため−0.2200%/℃と、非常に速い熱収縮速度を示した。 【0079】 図9に示すように、導体ペースト23Pの収縮開始温度は、600℃近辺であった。また、導体層23の熱収縮速度は、600℃を過ぎた点から900℃にかけて、第1セラミックグリーンシート13Pの熱収縮特性曲線と比べると、緩やかに焼成収縮するため−0.0605%/℃と、非常に遅い収縮速度を示した。 【0080】 図10に示すように、第2セラミックグリーンシート33Pの収縮開始温度は、700℃近辺であった。また、第2セラミックグリーンシート33Pの熱収縮速度は、700℃を過ぎた点から900℃にかけて、第1セラミック板10の熱収縮特性曲線と比べると、緩やかに焼成収縮するため−0.0715%/℃と、非常に遅い収縮速度を示した。 【0081】 (反り測定結果) 【表1】
【0082】 測定結果を表1に示す。導体面積率が同じ条件の積層セラミック基板Aと、積層セラミック基板Bとを比較すると、いずれの場合においても積層セラミック基板Aの反りは、積層セラミック基板Bの反りよりも低減された。 【0083】 また、積層セラミック基板Bは、導体面積の増加に伴い、反りが急激に増加する傾向にあった。しかし積層セラミック基板Aは、導体面積の増加による反りへの影響がほとんどなかった。これは、積層セラミック基板Aにおいては、第1セラミック板と導体層との間に熱収縮速度の差によって生じるせん断応力が、第1セラミック板と第2セラミック板との間に熱収縮速度の差によって生じるせん断応力によって相殺され、低減され、積層セラミック基板Aの反りを低減することができたものと考えられる。 【0084】 それに対して、積層セラミック基板Bにおいては、第1セラミック板と、導体層との熱収縮速度の差により、第1セラミック板と、導体層との界面に非常に大きなせん断応力が働き、積層セラミック基板Bの反りの原因となったと考えられる。 【図面の簡単な説明】 【0085】 【図1】本発明の第1実施形態に係る積層セラミック基板を示す(a)平面図と(b)1a−1a断面図である。 【図2】本発明の第1実施形態に係る積層セラミック基板の製造方法を示す斜視図である。 【図3】本発明の第2実施形態に係る積層セラミック基板を示す斜視図である。 【図4】本発明の第2実施形態に係る積層セラミック基板を示す分解図である。 【図5】本発明の実施形態に係る積層セラミック基板を示す斜視図である。 【図6】本発明の実施例で用いた積層基板を示す断面図である。 【図7】本発明の実施例で用いた積層基板の焼成プロファイルを示す図である。 【図8】本発明の実施例で用いた第1セラミックグリーンシートの熱収縮特性曲線を示す図である。 【図9】本発明の実施例で用いた導体ペーストの熱収縮特性曲線を示す図である。 【図10】本発明の実施例で用いた第2セラミックグリーンシートの熱収縮特性曲線を示す図である。 【符号の説明】 【0086】 10…第1セラミック板、20…導体層、30…第2セラミック板、100…積層セラミック基板
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| 【出願人】 |
【識別番号】000001889 【氏名又は名称】三洋電機株式会社
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| 【出願日】 |
平成17年7月28日(2005.7.28) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100133514 【弁理士】 【氏名又は名称】寺山 啓進
【識別番号】100122910 【弁理士】 【氏名又は名称】三好 広之
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| 【公開番号】 |
特開2007−36057(P2007−36057A) |
| 【公開日】 |
平成19年2月8日(2007.2.8) |
| 【出願番号】 |
特願2005−219533(P2005−219533) |
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