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【発明の名称】 外観の良好な薄物フレキシブル金属張積層板の製造方法
【発明者】 【氏名】菊池 剛

【氏名】金城 永泰

【要約】 【課題】本発明は、薄い接着性フィルムに金属箔を貼り合わせた、外観の良好な薄物フレキシブル金属張積層板の製造方法を提供することにある。

【解決手段】厚み15μm以下の接着性フィルムの少なくとも片面に金属箔を配し、一対以上の加熱ロールを有する熱ロールラミネート装置により貼り合わせてなるフレキシブル金属張積層板の製造方法であって、該加熱ロールの手前に、接着性フィルムを幅方向(TD方向)に広げる手段を設け、該装置の加熱ロールと金属箔との間に、保護フィルムを配してラミネートを行い、冷却後に、接着性フィルムと金属箔とが貼り合わされてなる積層板から保護フィルムを剥離することを特徴とする、フレキシブル金属張積層板の製造方法により上記課題を解決し得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
厚み15μm以下の接着性フィルムの少なくとも片面に金属箔を配し、一対以上の加熱ロールを有する熱ロールラミネート装置により貼り合わせてなるフレキシブル金属張積層板の製造方法であって、前記熱ロールラミネート装置の加熱ロールの手前に、接着性フィルムを幅方向(TD方向)に広げる手段を設け、さらに前記熱ロールラミネート装置の加熱ロールと金属箔との間に、保護フィルムを配してラミネートを行い、冷却後に、接着性フィルムと金属箔とが貼り合わされてなる積層板から保護フィルムを剥離することを特徴とする、フレキシブル金属張積層板の製造方法。
【請求項2】
前記接着性フィルムを幅方向(TD方向)に広げる手段が、少なくとも1本以上のロールであることを特徴とする請求項1記載のフレキシブル金属張積層板の製造方法。
【請求項3】
前記保護フィルムが、非熱可塑性ポリイミドフィルムまたは接着性フィルムの接着層のガラス転移温度(Tg)よりも50℃以上高いTgを有する熱可塑性ポリイミドフィルムであることを特徴とする、請求項1または2記載のフレキシブル金属張積層板の製造方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、一対以上の加熱ロールを有する熱ロールラミネート装置を用いて、金属箔と接着性フィルムを貼り合わせる、フレキシブル金属張積層板の製造方法であって、更に詳しくは、薄い接着性フィルムに金属箔を貼り合わせた、外観の良好な薄物フレキシブル金属張積層板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、エレクトロニクス製品の軽量化、小型化、高密度化にともない、各種プリント基板の需要が伸びているが、中でも、フレキシブルプリント配線板(FPCとも称する)の需要が特に伸びている。フレキシブルプリント配線板は、絶縁性フィルム上に金属箔からなる回路が形成された構造を有している。
【0003】
上記フレキシブルプリント配線板は、一般に、各種絶縁材料により形成され、柔軟性を有する絶縁性フィルムを基板とし、この基板の表面に、各種接着材料を介して金属箔を加熱・圧着することにより貼りあわせて得られる積層板(以下、フレキシブル金属張積層板ともいう)から、金属箔層をエッチングして回路形成する方法により製造される。上記絶縁性フィルムとしては、ポリイミドフィルム等が好ましく用いられている。上記接着材料としては、エポキシ系、アクリル系等の熱硬化性接着剤が一般的に用いられている(これら熱硬化性接着剤を用いたFPCを以下、三層FPCともいう)。
【0004】
熱硬化性接着剤は比較的低温での接着が可能であるという利点がある。しかし今後、耐熱性、屈曲性、電気的信頼性といった要求特性が厳しくなるに従い、熱硬化性接着剤を用いた三層FPCでは対応が困難になると考えられる。これに対し、絶縁性フィルムに直接金属層を設けたり、接着層に熱可塑性ポリイミドを使用したFPC(以下、二層FPCともいう)が提案されている。この二層FPCは、三層FPCより優れた特性を有し、今後需要が伸びていくことが期待される。
【0005】
二層FPCに用いるフレキシブル金属張積層板の作製方法としては、金属箔上にポリイミドの前駆体であるポリアミド酸を流延、塗布した後イミド化するキャスト法、スパッタ、メッキによりポリイミドフィルム上に直接金属層を設けるメタライジング法、熱可塑性ポリイミドを介してポリイミドフィルムと金属箔とを貼り合わせるラミネート法が挙げられる。この中で、ラミネート法は、対応できる金属箔の厚み範囲がキャスト法よりも広く、装置コストがメタライジング法よりも低いという点で優れている。ラミネートを行う装置としては、ロール状の材料を繰り出しながら連続的にラミネートする熱ロールラミネート装置またはダブルベルトプレス装置等が用いられている。上記の内、生産性の点から見れば、熱ロールラミネート法をより好ましく用いることができる。
【0006】
従来の三層FPCに用いるフレキシブル金属張積層板をラミネート法で作製する際、接着層に熱硬化性樹脂を用いていたため、ラミネート温度は200℃未満で、ゴムロールを用いて行うことが可能であった(特許文献1参照)。
【0007】
これに対し、二層FPCは熱可塑性ポリイミドを接着層として用いるため、熱融着性を発現させるために200℃以上、場合によっては400℃近くの高温を加える必要がある。従って、ゴムロールではなく金属ロールを使用しなければならないが、金属ロールは表面が硬いためゴムロールのように追従性がなく、材料の厚みバラツキやロール自体の表面精度によって、ラミネート時の圧力ムラが生じやすい。また、ラミネート温度が高いため、材料の加熱、冷却による膨張、収縮の挙動が大きく、異種材料を貼り合わせる際は材料間でその程度が異なるため、外観の良好なフレキシブル金属張積層板を得ることが困難であった。
【0008】
また、実装スペースの削減、実装時のハンドリング性向上を目的として、絶縁層の厚みを薄くした二層FPCに対する要求も高まりつつあるが、絶縁層厚みを薄くするとライン走行中にシワが入りやすくなる。また、400℃近い高温でラミネートを行う場合、加熱ロール手前での雰囲気温度もかなり高温になるため、薄い接着性フィルムでは加熱ロール手前で、熱膨張によるシワが入りやすくなり、上記材料間の膨張・収縮挙動の差と相まって、得られるフレキシブル金属張積層板の外観が非常に悪くなるという問題があった。
【0009】
上記問題に対し、加熱ロールを用いたラミネート時に、ポリイミドフィルムを保護フィルムとして使用する方法が提案されている(特許文献2参照)。保護フィルムで材料の膨張・収縮挙動を制御することにより、得られるフレキシブル金属張積層板の外観を向上させることが可能となる。しかしながら、この方法はラミネート工程後のシワ発生抑制には効果があるものの、既に存在しているシワを解消するものではない。そのため、絶縁層厚みが薄い場合は、加熱ロールの手前でシワが発生しているため、得られるフレキシブル金属張積層板の外観は改善されないという問題があった。
【特許文献1】特開平9−199830号公報
【特許文献2】特開2001−129918号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであって、その目的は、厚みの薄い接着性フィルムを用いた場合でも、外観の良好なフレキシブル金属張積層板の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者らは、上記の課題に鑑み鋭意検討した結果、加熱ロールの手前に、接着性フィルムを幅方向(TD方向)に広げる手段を設けることで、得られるフレキシブル金属張積層板の外観を向上できることを独自に見出し、本発明を完成させるに至った。
【0012】
即ち本発明は、厚み15μm以下の接着性フィルムの少なくとも片面に金属箔を配し、一対以上の加熱ロールを有する熱ロールラミネート装置により貼り合わせてなるフレキシブル金属張積層板の製造方法であって、前記熱ロールラミネート装置の加熱ロールの手前に、接着性フィルムを幅方向(TD方向)に広げる手段を設け、さらに前記熱ロールラミネート装置の加熱ロールと金属箔との間に、保護フィルムを配してラミネートを行い、冷却後に、接着性フィルムと金属箔とが貼り合わされてなる積層板から保護フィルムを剥離することを特徴とする、フレキシブル金属張積層板の製造方法に関する。
【0013】
好ましい実施態様は、前記接着性フィルムを幅方向(TD方向)に広げる手段が、少なくとも1本以上のロールであることを特徴とする、前記の製造方法に関する。
【0014】
更に好ましい実施態様は、前記保護フィルムが、非熱可塑性ポリイミドフィルムまたは接着性フィルムの接着層のガラス転移温度(Tg)よりも50℃以上高いTgを有する熱可塑性ポリイミドフィルムであることを特徴とする、前記の製造方法に関する。
【発明の効果】
【0015】
本発明の製造方法は、15μm以下の薄い接着性フィルムを用いても、外観良好なフレキシブル金属張積層板を製造することが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明の実施の一形態について、以下に説明する。
【0017】
<接着性フィルム>
本発明にかかるフレキシブル金属張積層板の製造に用いる接着性フィルムは、基材となるフィルム(以下、コアフィルムと称する)上に、接着層を設けることにより得られる。基材となるフィルム(コアフィルム)は、熱ラミネート工程の加熱温度に耐え得るものであり、かつ、柔軟性や可撓性を有する基板であればよいが、本発明の製造方法により得られるフレキシブル金属張積層板は、電子・電気機器用途(部品も含む)に好適に用いることができるので、絶縁性を有することが非常に好ましい。絶縁性を有するフィルム(絶縁性フィルムと称する)としては、一般的には、各種樹脂フィルムを好適に用いることができ、特に限定されるものではないが、優れた耐熱性を発揮することができ、その他の物性も優れているポリイミドフィルムが好ましく用いられる。
【0018】
<コアフィルム>
本発明に用いられるコアフィルムである、ポリイミドフィルムはポリアミド酸を前駆体として用いて製造される。ポリアミド酸の製造方法としては公知のあらゆる方法を用いることができ、通常、芳香族酸二無水物と芳香族ジアミンを、実質的等モル量を有機溶媒中に溶解させて、得られたポリアミド酸有機溶媒溶液を、制御された温度条件下で、上記酸二無水物とジアミンの重合が完了するまで攪拌することによって製造される。重合方法としては、あらゆる公知の方法およびそれらを組み合わせた方法を用いることができる。ポリアミド酸の重合における重合方法の特徴はそのモノマーの添加順序にあり、このモノマー添加順序を制御することにより得られるポリイミドの諸物性を制御することができる。従い、本発明においてポリアミド酸の重合にはいかなるモノマーの添加方法を用いても良い。
また、摺動性、熱伝導性、導電性、耐コロナ性、ループスティフネス等のフィルムの諸特性を改善する目的でフィラーを添加することもできる。添加方法についても、あらゆる公知の方法を用いることができる。
【0019】
これらポリアミック酸溶液からポリイミドフィルムを製造する方法については従来公知の方法を用いることができる。この方法には熱イミド化法と化学イミド化法が挙げられ、どちらの方法を用いてフィルムを製造してもかまわないが、化学イミド化法によるイミド化の方が本発明に好適に用いられる諸特性を有したポリイミドフィルムを得やすい傾向にある。
以下、本発明の好ましい一形態、化学イミド法を一例にとり、ポリイミドフィルムの製造工程を説明する。ただし、本発明は以下の例により限定されるものではない。製膜条件や加熱条件は、ポリアミド酸の種類、フィルムの厚さ等により、変動し得る。
脱水剤及びイミド化触媒を低温でポリアミド酸溶液中に混合して製膜ドープを得る。引き続いてこの製膜ドープをガラス板、アルミ箔、エンドレスステンレスベルト、ステンレスドラムなどの支持体上にフィルム状にキャストし、支持体上で80℃〜200℃、好ましくは100℃〜180℃の温度領域で加熱することで脱水剤及びイミド化触媒を活性化することによって部分的に硬化及び/または乾燥した後支持体から剥離してポリアミック酸フィルム(以下、ゲルフィルムという)を得る。
【0020】
ゲルフィルムは、ポリアミド酸からポリイミドへの硬化の中間段階にあり、自己支持性を有し、式(1)
(A−B)×100/B・・・・(1)
式(1)中、A、Bは以下のものを表す。
A:ゲルフィルムの重量
B:ゲルフィルムを450℃で20分間加熱した後の重量
から算出される揮発分含量は5〜500重量%の範囲、好ましくは5〜200重量%、より好ましくは5〜150重量%の範囲にある。この範囲のフィルムを用いることが好適であり、上記範囲外である場合には、焼成過程でフィルム破断、乾燥ムラによるフィルムの色調ムラ、特性ばらつき等の不具合が起こることがある。
脱水剤の好ましい量は、ポリアミド酸中のアミド酸ユニット1モルに対して、0.5〜5モル、好ましくは1.0〜4モルである。また、イミド化触媒の好ましい量はポリアミド酸中のアミド酸ユニット1モルに対して、0.05〜3モル、好ましくは0.2〜2モルである。
脱水剤及びイミド化触媒が上記範囲を下回ると化学的イミド化が不十分で、焼成途中で破断したり、機械的強度が低下したりすることがある。また、これらの量が上記範囲を上回ると、イミド化の進行が早くなりすぎ、フィルム状にキャストすることが困難となることがあるため好ましくない。
【0021】
前記ゲルフィルムの端部を固定して硬化時の収縮を回避して乾燥し、水、残留溶媒、残存転化剤及び触媒を除去し、そして残ったアミド酸を完全にイミド化して、本発明のポリイミドフィルムが得られる。
この時、最終的に400〜650℃の温度で5〜400秒加熱するのが好ましい。この温度より高い及び/または時間が長いと、フィルムの熱劣化が起こり問題が生じることがある。逆にこの温度より低い及び/または時間が短いと所定の効果が発現しないことがある。
また、フィルム中に残留している内部応力を緩和させるためにフィルムを搬送するに必要最低限の張力下において加熱処理をすることもできる。この加熱処理はフィルム製造工程において行ってもよいし、また、別途この工程を設けても良い。加熱条件はフィルムの特性や用いる装置に応じて変動するため一概に決定することはできないが、一般的には200℃以上500℃以下、好ましくは250℃以上500℃以下、特に好ましくは300℃以上450℃以下の温度で、1〜300秒、好ましくは2〜250秒、特に好ましくは5〜200秒程度の熱処理により内部応力を緩和することができる。
また、本発明においては市販のポリイミドフィルムを用いてもよく、例えば、アピカル(カネカ社製)、カプトン(デュポン社製)、ユーピレックス(宇部興産社製)が挙げられる。このうち、弾性率、線膨張係数、吸水率の点から、アピカルHP(カネカ社製)を好ましく用いることができる。
【0022】
<接着層>
接着性フィルムの接着層については、耐熱性、屈曲性、絶縁性等の点から、熱可塑性ポリイミドを含有することが好ましい。
【0023】
接着層に含有される熱可塑性ポリイミドとしては、熱可塑性ポリイミド、熱可塑性ポリアミドイミド、熱可塑性ポリエーテルイミド、熱可塑性ポリエステルイミド等を好適に用いることができる。中でも、低吸湿特性の点から、熱可塑性ポリエステルイミドが特に好適に用いられる。
【0024】
また、既存の装置でラミネートが可能であり、かつ得られる金属張積層板の耐熱性を損なわないという点から考えると、本発明における熱可塑性ポリイミドは、150〜300℃の範囲にガラス転移温度(Tg)を有していることが好ましい。なお、Tgは動的粘弾性測定装置(DMA)により測定した貯蔵弾性率の変曲点の値により求めることができる。
【0025】
本発明に用いられる熱可塑性ポリイミドの前駆体であるポリアミド酸については、特に限定されるわけではなく、公知のあらゆるポリアミド酸を用いることができる。その製造に関しても、公知の原料や反応条件等を用いることができる。また、必要に応じて無機あるいは有機物のフィラーを添加しても良い。
【0026】
<接着性フィルムの製造方法>
本発明にかかるフレキシブル金属張積層板の製造に用いる接着性フィルムは、上記コアフィルムの少なくとも片面に熱可塑性ポリイミドを含有する接着層を設けることにより得られる。接着性フィルムの製造方法としては、コアフィルムに接着層を形成する方法、又は接着層を別途シート状に成形し、これを上記コアフィルムに貼り合わせる方法等が好適に例示され得る。このうち、前者の方法を採る場合、接着層に含有される熱可塑性ポリイミドの前駆体であるポリアミド酸を完全にイミド化してしまうと、有機溶媒への溶解性が低下する場合があることから、コアフィルム上に上記接着層を設けることが困難となることがある。従って、上記観点から、熱可塑性ポリイミドの前駆体であるポリアミド酸を含有する溶液を調製して、これをコアフィルムに塗布し、次いでイミド化する手順を採った方がより好ましい。この時のイミド化の方法としては、熱キュア法若しくはケミカルキュア法のどちらも用いることができるが、ケミカルキュア法は接着層を熱劣化させずに化学的転化剤等を除去する加熱条件を設定しなくてはならない場合があるという点から、熱キュア法によりイミド化する方がより好ましい。
一方、熱可塑性ポリイミドが有機溶媒に対して良好な溶解性を示す場合は、ポリアミド酸を完全にイミド化してポリイミドを得た後、これを適当な有機溶媒に溶解させた溶液を上記コアフィルムに塗工しても良い。
また、前記ポリアミド酸溶液には、用途に応じて、例えば、フィラーのような他の材料を含んでもよい。
また、接着性フィルム各層の厚み構成については、用途に応じた総厚みになるように適宜調整すれば良い。更に、必要に応じて、接着層を設ける前または設けた後にコロナ処理、プラズマ処理、カップリング処理等の各種表面処理をコアフィルム表面に施しても良い。
<フレキシブル金属張積層板の製造方法>
本発明にかかるフレキシブル金属張積層板の製造方法は、上記接着性フィルムに金属箔を貼り合わせるものである。使用する金属箔としては特に限定されるものではないが、電子機器・電気機器用途に本発明のフレキシブル金属張積層板を用いる場合には、例えば、銅若しくは銅合金、ステンレス鋼若しくはその合金、ニッケル若しくはニッケル合金(42合金も含む)、アルミニウム若しくはアルミニウム合金からなる箔を挙げることができる。一般的なフレキシブル金属張積層板では、圧延銅箔、電解銅箔といった銅箔が多用されるが、本発明においても好ましく用いることができる。なお、これらの金属箔の表面には、防錆層や耐熱層あるいは接着層が塗布されていてもよい。
【0027】
本発明において、上記金属箔の厚みについては特に限定されるものではなく、その用途に応じて、十分な機能が発揮できる厚みであればよい。
【0028】
上記接着性フィルムと金属箔とを貼り合わせて、本発明にかかるフレキシブル金属張積層板を得るためには一対以上の加熱ロールを有する熱ロールラミネート装置を用いる。加熱加圧成形装置としては、他にダブルベルトプレス(DBP)が挙げられるが、装置構成が単純であり保守コストの面で有利であるという点から、一対以上の加熱ロールを有する熱ロールラミネート装置を用いるのが好ましい。ここでいう「一対以上の加熱ロールを有する熱ロールラミネート装置」とは、材料を加熱加圧するための加熱ロールを少なくとも一対有している装置のことを示す。
【0029】
本発明にかかる製造方法においては、熱ラミネートを実施する際に、得られる積層板の外観を良好なものとするために、加圧面と金属箔との間にプラスチックからなる保護フィルムを配置する。保護フィルムを配することにより、ラミネート時の材料の膨張・収縮挙動を抑制し、得られる積層板の外観が良好なものとなる。また、保護フィルムを配することにより、加圧面の汚染を防いだり、緩衝効果によって加圧面の微細な凹凸が積層板表面に転写されるのを防ぐことが可能となる。保護フィルムとしては、熱ラミネート工程の加熱温度に耐えうる材質である必要があり、ポリイミドフィルム等の耐熱性プラスチック、銅箔、アルミニウム箔、SUS箔等の金属箔等が挙げられるが、中でも、耐熱性、再使用等のバランスが優れる点から、非熱可塑性ポリイミドフィルムもしくはガラス転移温度が高い熱可塑性ポリイミドフィルムを用いることが好ましい。保護フィルムに熱可塑性ポリイミドフィルムを使用する場合、ガラス転移温度がラミネート温度よりも50℃以上高い熱可塑性ポリイミドフィルムを使用する。ガラス転移温度が上記値よりも低い場合、ラミネート時にロールや金属箔に貼り付く可能性がある。また、厚みが薄いとラミネート時の緩衝ならびに保護の役目を十分に果たさなくなるため、非熱可塑性ポリイミドフィルムの厚みは75μm以上であることが好ましい。本願発明で保護フィルムとして使用するポリイミドフィルムは、前述した製造方法と同様の方法で得ることが可能である。
【0030】
接着性フィルムの厚みがある程度以上の場合、具体的には15μmを超える場合には、前述した保護フィルムの効果により、外観に優れたフレキシブル金属張積層板を得ることが可能であった。しかしながら、接着性フィルムの厚みが15μm以下となると、保護フィルムの効果だけでは、外観に優れたフレキシブル金属張積層板を得ることが困難となる。
【0031】
フレキシブル金属張積層板の外観が悪化する主要因は、接着性フィルムの厚みが薄くなることにより、張力の影響を受け易くなり、接着性フィルムが搬送方向(MD方向)に波打った状態でラミネートされるからである。特に加熱ロール周辺はロールから発生する熱によって高温雰囲気下にあり、接着性フィルムが軟化するため、加熱ロールに近づくにつれて波打ちが生じ易くなる。
【0032】
本発明者らは鋭意検討を重ねた結果、加熱ロールの手前に、接着性フィルムを幅方向(TD方向)に広げる手段を設けることで、上記課題を解決できることを見出した。接着性フィルムをTD方向に広げる手段としては特に限定されないが、設置スペースと効果の兼ね合いから、接着性フィルムをTD方向に引っ張る作用を与えるロールを用いることが好ましい。
【0033】
上記ロールとしては、特に限定されないが、エキスパンダロールやゼブラロールが好ましく用いられ得る。ロールの設置本数は、設置スペースと効果の兼ね合いから適宜選択すれば良い。また、ロールの材質についても適宜選択され得るが、高温状態にある加熱ロール付近に設置することを考えると、200℃以上の耐熱性を有するゴムか、金属製であることが好ましい。
【0034】
本発明の熱ラミネート手段における被積層材料の加熱方式は特に限定されるものではなく、例えば、熱循環方式、熱風加熱方式、誘導加熱方式等、所定の温度で加熱し得る従来公知の方式を採用した加熱手段を用いることができる。同様に、上記熱ラミネート手段における被積層材料の加圧方式も特に限定されるものではなく、例えば、油圧方式、空気圧方式、ギャップ間圧力方式等、所定の圧力を加えることができる従来公知の方式を採用した加圧手段を用いることができる。
【0035】
上記熱ラミネート工程における加熱温度、すなわちラミネート温度は、接着性フィルムの接着層のガラス転移温度(Tg)+50℃以上の温度であることが好ましく、接着性フィルムの接着層のTg+100℃以上がより好ましい。Tg+50℃以上の温度であれば、接着性フィルムと金属箔とを良好に熱ラミネートすることができる。またTg+100℃以上であれば、ラミネート速度を上昇させてその生産性をより向上させることができる。
【0036】
上記熱ラミネート工程におけるラミネート速度は、1.0m/分以上であることが好ましく、1.5m/分以上であることがより好ましい。1.0m/分以上であれば十分な熱ラミネートが可能になり、1.5m/分以上であれば生産性をより一層向上することができる。しかし、ラミネート温度が高い場合、保護フィルムが加熱ロールに接触した瞬間に急激に熱膨張し、それに起因するシワが入った状態でラミネートされる場合がある。そうなると、保護フィルムのシワが転写して、得られる積層板の外観が悪化する原因となる。その場合は、保護フィルムを加熱ロールの一部に抱かせるようなパスライン設定し、ラミネート前に保護フィルムを加熱ロールに接触させて予め予備加熱を行った方が好ましい。
【0037】
上記熱ラミネート工程における圧力、すなわちラミネート圧力は、高ければ高いほどラミネート温度を低く、かつラミネート速度を速くすることができる利点があるが、一般にラミネート圧力が高すぎると得られる積層板の寸法変化が悪化する傾向がある。また、逆にラミネート圧力が低すぎると得られる積層板の金属箔の接着強度が低くなる。そのためラミネート圧力は、49〜490N/cm(5〜50kgf/cm)の範囲内であることが好ましく、98〜294N/cm(10〜30kgf/cm)の範囲内であることがより好ましい。この範囲内であれば、ラミネート温度、ラミネート速度およびラミネート圧力の三条件を良好なものにすることができ、生産性をより一層向上することができる。
【0038】
ラミネート時の金属箔の張力は、0.1〜200N/cm、さらには1〜100N/cm、特には5〜50N/cmが好ましい。張力がこの範囲を下回ると、搬送時にたるみ等が生じるため、外観の良好なフレキシブル金属張積層板を得ることが困難となる場合があり、またこの範囲を上回ると、弾性率の高い金属箔でも張力の影響が大きくなるため、ラミネートの進行方向に沿って金属箔に縦皺が生じ、接着性フィルムと均一に圧着することが困難となる場合がある。
【0039】
また、ラミネート時の接着性フィルム張力は、0.01〜2N/cm、さらには0.02〜1.5N/cm、特には0.05〜1.0N/cmが好ましい。張力がこの範囲を下回ると、搬送時にたるみ等が生じるため、外観の良好なフレキシブル金属張積層板を得ることが困難となる場合があり、またこの範囲を上回ると、接着性フィルムがラミネートの進行方向に強く引っ張られた状態でラミネートが行われることになり、縦皺が生じて、金属箔と均一に圧着することが困難となる場合がある。
【0040】
本発明では、連続的に被積層材料を加熱しながら圧着する熱ロールラミネート装置を用いることが好ましいが、この熱ロールラミネート装置では、熱ラミネート手段の前段に、被積層材料を繰り出す被積層材料繰出手段を設けてもよいし、熱ラミネート手段の後段に、被積層材料を巻き取る被積層材料巻取手段を設けてもよい。これらの手段を設けることで、上記熱ロールラミネート装置の生産性をより一層向上させることができる。上記被積層材料繰出手段および被積層材料巻取手段の具体的な構成は特に限定されるものではなく、例えば、接着性フィルムや金属箔、あるいは得られる積層板を巻き取ることのできる公知のロール状巻取機等を挙げることができる。
【0041】
さらに、保護フィルムを巻き取ったり繰り出したりする保護フィルム巻取手段や保護フィルム繰出手段を設けると、より好ましい。これら保護フィルム巻取手段・保護フィルム繰出手段を備えていれば、熱ラミネート工程で、一度使用された保護フィルムを巻き取って繰り出し側に再度設置することで、保護フィルムを再使用することができる。また、保護フィルムを巻き取る際に、保護フィルムの両端部を揃えるために、端部位置検出手段および巻取位置修正手段を設けてもよい。これによって、精度よく保護フィルムの端部を揃えて巻き取ることができるので、再使用の効率を高めることができる。なお、これら保護フィルム巻取手段、保護フィルム繰出手段、端部位置検出手段および巻取位置修正手段の具体的な構成は特に限定されるものではなく、従来公知の各種装置を用いることができる。
【0042】
本発明にかかる製造方法によれば、張力の影響を受け易い薄い接着性フィルムを用いても、外観の良好なフレキシブル金属張積層板を得ることが可能である。
【0043】
もちろん、本発明の用途は配線板に限定されるものではなく、金属箔を含む積層体であれば、種々の用途に利用できることはいうまでもない。
【実施例】
【0044】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。
【0045】
なお、実施例及び比較例における、CCL外観の評価法は次の通りである。
【0046】
(CCL外観)
CCL外観は、巻き取り工程で目視確認を行った。10m2あたりにシワが全く無いものを◎、1〜5個のものを○、5個以上のものを×とした。◎および○を合格とした。
【0047】
(合成例1;熱可塑性ポリイミド前駆体の合成)
容量2000mlのガラス製フラスコにDMFを780g、2,2−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕プロパン(以下、BAPPともいう。)を103.9g加え、窒素雰囲気下で攪拌しながら、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物(以下、BTDAともいう。)を28.6g徐々に添加した。続いて、3,3’,4,4’−エチレングリコールジベンゾエートテトラカルボン酸二無水物(以下、TMEGともいう。)を65.4g添加し、氷浴下で30分間撹拌した。2.1gのTMEGを20gのDMFに溶解させた溶液を別途調製し、これを上記反応溶液に、粘度に注意しながら徐々に添加、撹拌を行った。粘度が3000poiseに達したところで添加、撹拌をやめ、ポリアミド酸溶液を得た。
【0048】
(実施例1)
合成例1で得られたポリアミド酸を、接着性フィルムの接着層としての熱可塑性ポリイミド層の最終片面厚みが2μmとなるように、接着性フィルムのコアフィルムとしての10μm厚のポリイミドフィルム(アピカル10HPP,株式会社カネカ製)の両面に塗布し、160℃に設定した乾燥炉内を1分間通して加熱を行った。続いて、雰囲気温度330℃の遠赤外線ヒーター炉の中を20秒間通して接着層の加熱イミド化を行って、接着性フィルムを得た。接着性フィルムは巻き取ってロール状とした。
【0049】
加熱ロールの手前にゼブラロールを設置した熱ロールラミネート装置に、得られた接着性フィルムのロール、その上下に18μm厚の圧延銅箔(BHY−22B−T,ジャパンエナジー社製)のロール、さらにその上下に保護フィルムとして、125μm厚のポリイミドフィルム(アピカルNPI,株式会社カネカ製)のロールを設置した。それぞれのロールから材料を繰り出し、かつ加熱ロール手前で接着性フィルムをゼブラロールに接触させ、接着性フィルムの張力1.0N/cm、ラミネート温度330℃、ラミネート圧力196N/cm(20kgf/cm)、ラミネート速度1.5m/分の条件で連続的に熱ラミネートを行った。ラミネート後、両側の保護フィルムを剥離し、フレキシブル銅張積層板を回収した。得られたフレキシブル銅張積層板の外観は◎であった。
【0050】
(実施例2)
接着性フィルムのコアフィルムとして、7.5μm厚のポリイミドフィルム(アピカル7.5HPP,株式会社カネカ製)を使用する以外は実施例1と同様の操作を行い、フレキシブル銅張積層板を回収した。得られたフレキシブル銅張積層板の外観は○であった。
【0051】
(比較例1)
ゼブラロールを使用しない以外は実施例1と同様の操作を行い、フレキシブル銅張積層板を回収した。得られたフレキシブル銅張積層板の外観は×であった。
【0052】
(参考例1)
接着性フィルムのコアフィルムとして、12.5μm厚のポリイミドフィルム(アピカル12.5NPP,株式会社カネカ製)を使用し、接着層の最終厚みが3μmとなるようにした以外は、比較例1と同様の操作を行い、フレキシブル銅張積層板を回収した。得られたフレキシブル銅張積層板の外観は◎であった。
【0053】
参考例1に示すように、接着性フィルムの厚みが15μmより厚い場合は、接着性フィルムをTD方向に広げる手段を設けていない場合でも、得られるフレキシブル銅張積層板に外観異常は発生しなかった。しかし、比較例1に示すように、接着性フィルムの厚みが15μm以下である場合、接着性フィルムをTD方向に広げる手段を設けていないと、得られるフレキシブル銅張積層板に外観異常が発生した。
【0054】
これに対し、接着性フィルムをTD方向に広げる手段を設けた実施例1ならびに2では、15μm以下の接着性フィルムを使用して、外観の良好なフレキシブル銅張積層板を生産することができた。
【出願人】 【識別番号】000000941
【氏名又は名称】株式会社カネカ
【出願日】 平成17年7月28日(2005.7.28)
【代理人】
【公開番号】 特開2007−36047(P2007−36047A)
【公開日】 平成19年2月8日(2007.2.8)
【出願番号】 特願2005−219381(P2005−219381)