| 【発明の名称】 |
回路パターン形成方法および回路基板 |
| 【発明者】 |
【氏名】鶴岡 裕二
【氏名】毛利 孝志
【氏名】古川 雅朗
【氏名】神谷 誠一
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| 【要約】 |
【課題】導電パターンと絶縁パターンとの間に滲みや段差が発生するのを防止できると共に、各溶液の吐出位置が多少ずれていても、所望の回路パターンを容易に形成できる回路パターン形成方法の提供を目的とする。
【解決手段】導電性微粒子(金属コロイド)5を含む導電パターン用溶液4と、導電性微粒子(金属コロイド)5との反応性を有する絶縁性微粒子6を含む前記絶縁パターン用溶液と、を合体させた液中において、導電性微粒子(金属コロイド)5を絶縁性微粒子6の表面に凝集させる。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 絶縁性微粒子を含み、絶縁パターンを形成する絶縁パターン用溶液と、 前記絶縁性微粒子と接触すると、該絶縁性微粒子の表面に凝集する導電性微粒子を含み、導電パターンを形成する導電パターン用溶液と、 を互いに接触するように基材上に付与することによって前記導電パターンと前記絶縁パターンとからなる回路パターンを形成する回路形成方法。 【請求項2】 前記導電性微粒子と前記絶縁性微粒子との凝集物同士を凝集させることを特徴とする請求項1に記載の回路パターン形成方法。 【請求項3】 前記基材に接する前記絶縁性微粒子同士を凝集させることを特徴とする請求項1または2に記載の回路パターン形成方法。 【請求項4】 前記導電パターン用溶液は、アニオン性又はカチオン性の導電性微粒子を含み、前記絶縁パターン用溶液は前記導電性微粒子と逆極性を有する絶縁性微粒子を含むことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の回路パターン形成方法。 【請求項5】 液滴を吐出する液体吐出手段によって、前記導電パターン用溶液と前記絶縁パターン用溶液とをそれぞれ液滴として前記基材上に吐出することにより、前記導電パターンと前記絶縁パターンとを形成することを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の回路パターン形成方法。 【請求項6】 前記基材上に付与された導電パターン用溶液と前記絶縁パターン用溶液の溶剤を除去して前記導電性微粒子および前記絶縁性微粒子を前記基材上に定着させる定着工程を有することを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載の回路パターン形成方法。 【請求項7】 前記定着工程は、前記導電パターン用溶液中の溶剤および前記導体パターン用溶液中の溶剤を多孔質の基材に浸透させる工程であることを特徴とする請求項6に記載の回路パターン形成方法。 【請求項8】 前記定着工程は、前記基材を加熱して前記導電性微粒子と絶縁性微粒子の定着を促進する第1の定着促進工程を有することを特徴とする請求項6または7に記載の回路パターン形成方法。 【請求項9】 前記基材の多孔質構造に浸透した前記溶剤を吸引して定着を促進する第2の定着促進工程を有することを特徴とする請求項6ないし8のいずれか1項に記載の回路パターン形成方法。 【請求項10】 前記回路パターンの定着後に、定着した前記回路パターンの上に、さらに回路パターンを積層して形成することを特徴とする請求項1ないし9のいずれか1項に記載の回路パターン形成方法。 【請求項11】 請求項1ないし10のいずれか1項に記載の回路パターン形成方法によって基材上に回路パターンを形成してなることを特徴とする回路基板。
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【発明の詳細な説明】【技術分野】 【0001】 本発明は、電子回路の回路パターンを基材に形成するための回路パターン形成方法および回路基板に関するものである。 【背景技術】 【0002】 LSI等の半導体や各種電子部品等を実装した回路基板は、電子機器や通信機器、およびコンピューター等の心臓部として現在広く使用されている。これらの用途に使用される回路基板は、その基材としてセラミックやガラス繊維などの補強材と、エポキシ樹脂などの合成樹脂との複合材を用いるものが主流である。しかし、携帯電話やカメラなどの小型機器に組み込まれる回路基板は実装性を向上させるため、基材にポリエステル樹脂やアラミド樹脂等を使用して屈曲性を持たせたものもある。回路基板上に形成される回路パターン層数についても、かつては片面基板や両面基板がほとんどであったが、装置の小型化、高密度化に従って、現在では8層や16層などの多層回路基板が主流となっている。また、回路パターンも電子回路の高速化に伴ってパターンの微細化と高密度化が急速に進んでいる。 【0003】 回路基板の回路パターン形成方法としては様々な方法が実用化されているが、現在の主流はサブトラクテイブ法である。しかし、サブトラクテイブ法は穴開け工程、無電解メッキ工程、ドライフィルム等によるパターニング工程、電解メッキ工程、エッチング工程、半田剥離工程など多くの工程を経るため、製造原価に占める加工費の割合が高く、この加工費の低減が回路基板業界の大きな課題になっている。また、メッキ工程やエッチング工程で発生する廃液処理による環境問題も抱えている。 【0004】 これらの問題を解決するため、特許文献1では導電パターン用溶液と絶縁パターン用溶液を液体吐出ヘッドから吐出する、いわゆるインクジェット法により、直接基材表面上に吐出して導電パターンと絶縁パターンを描画し、回路パターンを形成する方法が開示されている。 【0005】 【特許文献1】特開平11−163499号公報 【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】 【0006】 従来技術においては、この方法では導電パターン用溶液と絶縁パターン用溶液の境界面で両溶液が混じり合い、回路パターンに滲みが生じるため、回路パターンの微細化と高密度化が困難であった。さらに、導電パターン用溶液と絶縁パターン用溶液を同時に基材上に付与して、導電パターンと絶縁パターンを隣接して形成するため、導電パターン用溶液および絶縁パターン用溶液を吐出する位置がずれると微細な回路パターンを形成することができなかった。 【0007】 本発明は、上記の問題点に着目してなされたものであって、導電パターンと絶縁パターンとの間に滲みや段差が発生するのを防止できると共に、各溶液の吐出位置が多少ずれていても、所望の回路パターンを容易に形成できる回路パターン形成方法の提供を目的とする。 【課題を解決するための手段】 【0008】 上記目的を達成するために本発明は、以下のような構成を有する。 【0009】 すなわち、本発明の第1の形態は、絶縁性微粒子を含み、絶縁パターンを形成する絶縁パターン用溶液と、前記絶縁性微粒子と接触すると、該絶縁性微粒子の表面に凝集する導電性微粒子を含み、導電パターンを形成する導電パターン用溶液と、を互いに接触するように基材上に付与することによって前記導電パターンと前記絶縁パターンとからなる回路パターンを形成する回路形成方法である。 【0010】 また、本発明の第2の形態は、前記回路パターン形成方法によって基材上に回路パターンを形成してなることを特徴とする回路基板である。 【発明の効果】 【0011】 本発明によれば、導電性パターン用溶液に含まれる導電性微粒子を絶縁パターン用溶液に含まれる絶縁性微粒子の表面に凝集させるため、導電パターンと絶縁パターン間に滲みがなく、段差の少ない平坦性に優れた回路パターンを形成することができる。また、導電パターン用溶液と絶縁パターン用溶液の吐出位置が多少ずれていても両粒子の凝集反応によって微細な回路パターンを形成することが可能となる。 【発明を実施するための最良の形態】 【0012】 以下、本発明の実施形態を下記の順序に従って説明する。 1.回路パターン形成装置の外観構成および制御系の説明 2.回路パターン形成に使用される材料についての説明 2−1.基材 2−2.導電パターン用溶液と絶縁パターン用溶液の特性 2−3.導電パターン用溶液 2−4.絶縁パターン用溶液 3.回路パターン形成方法の具体的な説明 【0013】 [1.回路パターン形成装置の外観構成および制御系の構成] まず、本発明の実施形態として、基材上に絶縁パターンと導電パターンとからなる回路パターンを形成するために使用される回路パターン形成装置を説明する。 【0014】 図1は、本実施形態における回路パターン形成装置の外観構成を概略的に示す斜視図である。 ここに示す回路パターン形成装置は、主走査方向(X方向)に沿って往復移動するキャリッジ109と、回路パターンを形成するための基材1が搭載されるステージ103などを有している。このキャリッジには、基材1上に絶縁パターン用溶液を吐出する液体吐出ヘッド123と、導電パターン用溶液を噴射するための液体吐出ヘッド122と、両液体吐出ヘッド122、123に絶縁パターン用溶液と導電パターン用溶液をそれぞれ供給するための2つのタンク(不図示)と、が搭載されている。 【0015】 また、キャリッジ109を往走査および復走査させる動力源としてCRリニアモータ(キャリッジリニアモータ)101が設けられると共に、基材1をY方向へと移動させる基材移動手段として、前記ステージ103とこれを移動させるLFリニアモータ(ラインフィードリニアモータ)102が設けられている。LFリニアモータ102は定盤108に確固に固定されており、ステージ103が移動しても基材1を載せるステージ103の上面を、定盤108の上面に対して常に平行に保ち得るようになっている。一方、CRリニアモータ101は定盤108の上にベース104および105を介して高い剛性を保つよう固定されている。 【0016】 また、キャリッジ109は、定盤面の上面、すなわちステージ表面に対し、主走査方向(X方向)に沿って往復移動する。CRリニアモータ101およびLFリニアモータ102にはそれぞれリニアエンコーダ111、112および原点センサ106、107が内蔵されており、それらの出力は、各リニアモータの駆動時時のサーボ制御入力として利用される。さらに、キャリッジ側のリニアエンコーダ111は溶液の吐出タイミングの生成にも利用される。エンコーダの分解能は0.5μmと高精度であるため、数10μm幅の回路パターンを形成するには充分である。 また、本実施形態における回路パターン形成装置には、ホスト装置として不図示のパーソナルコンピュータ(以下、パソコンと称す)が接続されている。このパソコンから送られた図形情報(回路パターン形成情報)に基づいて、回路パターン形成装置は、ステージ103をLFモータ102によって所定の位置に移動させる一方、キャリッジ109をCRリニアモータ101で走査させながら各液体の基材上の所定位置にヘッドから導電パターン用溶液と絶縁パターン用溶液を吐出させ、導電パターンと絶縁パターンを形成する。 【0017】 なお、以上のように回路パターン形成装置によって基材上に回路パターンを形成できるが、回路基板として完成させるためには、各溶液中の溶剤を揮発させて回路パターンを基材上に定着させることが必要である。そこで、回路パターン形成装置とは別に乾燥機が必要である。 【0018】 次に、本実施形態の回路パターン形成装置の制御系について説明する。 図2は、本実施形態の回路パターン形成装置における制御系の全体構成を概略的に示すブロック図である。機構部46は、液体吐出ヘッド2および3を搭載したキャリッジ109を主走査方向に移動させるためのCRリニアモータ101、基材1を搭載したステージ103を搬送するLFリニアモータ102などを備えている。 【0019】 主制御部44は、液体吐出ヘッドおよび機構部46等をはじめとする本実施形態における回路パターン形成装置全体を制御する中枢部分であり、CPUおよび動作プログラムなどを格納してなるROM、種々のデータの書き込みおよび読み出しを可能とする作業用RAMなどを備えている。 【0020】 主制御部44は、機構部46に対し制御信号を出力してキャリッジ109の移動やステージ103の移動などの機構制御を行うと共に、ヘッド制御部42、メモリ制御部50および描画位置信号発生部41などとの間でも信号の授受を行い、液体吐出ヘッド2の駆動を制御する。I/F部47は、不図示のパソコンと回路パターン形成装置とのインターフェース部分でパソコンなどのホスト装置からコマンドおよび回路パターンの描画データ(回路パターン形成データ)の受信を行う。メモリ制御部50は、I/F部47から入力されたコマンドを主制御部44に転送すると共に、主制御部44の制御の下で描画データをバッファメモリ45に書き込むようアドレス信号と書き込みタイミング信号を生成する。 【0021】 さらに、主制御部44は、I/F部47から入力されたコマンドを解析し、その解析結果により描画速度や描画解像度などの描画条件を設定し、その描画条件に基づき機構部46および描画位置信号発生部41を制御して、所定の条件で描画を実行させる。 また、不図示のパソコンから受信した描画データは、一時メモリであるバッファメモリ45に記憶されたあと、主制御部44から指令を受けたメモリ制御部50の制御により、ヘッド制御部42に転送される。 【0022】 ヘッド制御部42は、描画位置信号発生部41から出力される描画位置信号に同期して、バッファメモリ45から転送された描画データに従い、液体吐出ヘッドの各ノズルを駆動し、描画を行う。 【0023】 [2−1.基材] 本実施形態に使用される基材1は、基本的には、形状的にはフィルム状、シート状あるいは板状などの平面形状を有するものである。回路パターン層を形成する際、溶剤を揮発させて定着を促進するため、耐熱性にすぐれたものが特に好ましい。また、平面形状でなくても、インクジェット方式による回路パターンの形成が可能であれば曲面形状をなすものでも良い。材質的には、ポリエステルフィルムや芳香族ポリアミドフイルム、ポリイミドフイルムのような熱可塑性樹脂フィルム、あるいは、ガラス繊維やポリエステル繊維、芳香族ポリアミド繊維による織物や不織布に熱可塑性樹脂やエポキシ樹脂を含浸硬化させシート状としたもの、また、通常の回路基板に用いられるガラスエポキシ積層板のような板状のものを挙げることができる。 【0024】 [2−2.導電パターン用溶液および絶縁パターン用溶液の特性] 以下、本発明を特徴づける導電パターン用溶液及び絶縁パターン用溶液の実施形態について詳細に説明する。 先ず、本明細書におけるカチオン性もしくはアニオン性の導電パターン用溶液の定義について述べる。導電パターン用溶液のイオン特性について言うとき、導電パターン用溶液自体は荷電されておらず、それ自体では中性であることは、当該技術分野においてよく知られていることである。ここでいうアニオン性もしくはカチオン性の導電パターン用溶液とは、導電パターン用溶液中の成分として、例えば、金属コロイドがアニオン性基もしくはカチオン性基を有するもの、または金属コロイドの表面をアニオン性基もしくはカチオン性基を有する化合物によって処理されたものであって、導電パターン用溶液中において、これらの基がアニオン性基又はカチオン性基として挙動するように調整されている導電パターン用溶液を指すものである。また、アニオン性又はカチオン性の絶縁パターン用溶液に関してもその意味は上記と同様である。 【0025】 [2−3.導電パターン用溶液] (導電性微粒子) 本実施形態において導電パターン用溶液に用いられる導電性微粒子として使用される金属コロイドに望まれる作用としては、絶縁パターン用溶液と混合した際に、絶縁パターン用溶液中の絶縁性微粒子と凝集反応を起こし、絶縁性微粒子表面に吸着されること等が挙げられ、これらの作用を達成できる金属コロイドが好適に用いられる。なお、これらの作用は、1種もしくは2種以上の金属コロイドによって達成されても良い。 【0026】 この作用を満たすための性質として、例えば、絶縁性微粒子と逆のイオン性を呈することが挙げられる。これにより、絶縁性微粒子は金属コロイドを静電的に吸着できる。絶縁性微粒子がアニオン性の場合はカチオン性の金属コロイドを用い、逆に絶縁性微粒子がカチオン性の場合はアニオン性の金属コロイドが用いられる。 【0027】 以下、それぞれのイオン性の金属コロイドを含有する導電パターン用溶液に関して、具体的に説明する。 【0028】 [2−3−1.アニオン性の導電パターン用溶液] (アニオン性金属コロイド) アニオン性の導電パターン用溶液に使用される金属コロイドは、ゼータ電位がマイナスの値を示すものである。ゼータ電位がマイナスを示す金属コロイドとしては、Ag、Pt、SnO2などが存在するが、導電性などの面からAgやSnO2が望ましい。一般にコロイド粒子の直径は数100nmであるが、本発明の実施形態で使用するアニオン性金属コロイドは、回路パターンの均一性や安定性等の観点から、粒子直径が数10〜数100nmの範囲のものが好適に用いられる。この範囲内ではアニオン性の金属コロイドが導電パターン用溶液中で沈降することも抑えられ、導電パターン用溶液の保存安定性の低下を有効に防止することができる。 【0029】 (塩基) 塩基は、アニオン性の金属コロイド表面をイオン化し、表面電位を高めることにより液中での分散安定性を向上させると共に、絶縁パターン用溶液中のカチオン性化合物の吸着性向上や導電パターン用溶液の粘度調整の役割を果たす。本発明の実施形態に好適に用いられる塩基は、使用するアニオン性の金属コロイドと組み合わせた場合に、所望のpHやゼータ電位、金属コロイドの分散性等の物性が得られるものであれば特に限定されるものではなく、下記に挙げるような無機化合物や有機化合物等から自由に選択して、使用することができる。 【0030】 具体的には、例えば、炭酸アンモニウム、アンモニア、酢酸アンモニウム、モルホリンやモノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、エチルモノエタノールアミン、ノルマルブチルモノエタノールアミン、ジメチルエタノールアミン、ジエチルエタノールアミン、エチルジエタノールアミン、ノルマルブチルジエタノールアミン、ジノルマルブチルエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、またはトリイソプロパノールアミン等のアルカノールアミン等を用いることができる。これらの中でも特に、塩基の水中での一次解離定数pkbが5以下の塩基は、アニオン性金属コロイドの分散安定性やカチオン性化合物の吸着性に特に優れるため、好適に用いられる。 【0031】 (他の構成成分) 本発明の実施形態で使用される上記のようなアニオン性の導電パターン用溶液には、さらに、水、水溶性有機溶剤またはその他の成分、例えば、粘度調整剤、pH調整剤、防腐剤、界面活性剤、酸化防止剤等が必要に応じて含まれて構成される。 【0032】 [2−3−2.カチオン性の導電パターン用溶液] (カチオン性金属コロイド) カチオン性の導電パターン用溶液に使用される金属コロイドは、ゼータ電位がプラスの値を示すものである。ゼータ電位がプラスを示す金属コロイドとしてはAl、Cr、Zn、Feなどの水酸化物が存在するが、導電性の面からAlが望ましい。一般にコロイド粒子の直径は数100nm以下であるが、本発明の実施形態で使用するカチオン性金属コロイドは回路パターンの均一性や安定性等の観点から、粒子直径が数10〜数100nmの範囲のものが好適に用いられる。この範囲内では、カチオン性の金属コロイドが導電パターン用溶液中で沈降することも抑えられ、導電パターン用溶液の保存安定性の低下を有効に防止することができる。 【0033】 (酸) 酸は、カチオン性の金属コロイド表面をイオン化し、表面電位を高めることにより、液中での金属コロイドの分散安定性を向上させると共に、絶縁パターン用溶液中のアニオン性化合物の吸着性向上や、導電パターン用溶液の粘度調整の役割を果たす。本発明の実施形態に好適に用いられる酸は、使用するカチオン性の金属コロイドと組み合わせて、所望のpHやゼータ電位、金属コロイドの分散性等の物性が得られるものであれば特に限定はなく、下記に挙げる無機酸や有機酸等から自由に選択して使用することができる。 具体的には、無機酸としては、例えば、酢酸、塩酸、硫酸、亜硫酸、硝酸、亜硝酸、燐酸、硼酸、炭酸等が挙げられ、有機酸としては、カルボン酸やスルホン酸、アミノ酸等が挙げられる。 【0034】 そして、本発明の実施形態で使用する導電パターン用溶液においては、これらを1種または2種以上混合して使用することができる。これらの中でも、酸の水中での一次解離定数pkaが5以下の酸は、カチオン性金属コロイドの分散安定性やアニオン性化合物の吸着性に特に優れるため、好適に用いることができる。具体的には、塩酸、硝酸、硫酸、燐酸、酢酸、ギ酸、シュウ酸、乳酸、クエン酸、マレイン酸、マロン酸等が挙げられる。 【0035】 (他の構成成分) 本発明の実施形態で使用される上記のようなカチオン性の導電パターン用溶液には、上記成分にさらに、水、水溶性有機溶剤及びその他の成分、例えば、粘度調整剤、pH調整剤、防腐剤、界面活性剤、酸化防止剤等が必要に応じて含まれて構成される。 【0036】 [2−4.絶縁パターン用溶液] 以下に絶縁パターン用溶液について説明する。 (絶縁性微粒子) 本発明の実施形態において用いられる絶縁性微粒子に望まれる作用としては、 1)導電パターン用溶液と混合した際に、金属コロイドの本来持つ導電性を損なわずに、金属コロイドを吸着すること、 2)導電パターン用溶液と混合した際或いは基材に付与された際に、分散安定性が低下して、基材表面に残存すること、等が挙げられ、これらの作用を達成できる絶縁性微粒子が好適に用いられる。なお、これらの作用は、1種若しくは2種以上の絶縁性微粒子によって達成されても良い。 【0037】 1)の作用を満たすための性質として、例えば、金属コロイドと逆のイオン性を呈することが挙げられる。これにより、絶縁性微粒子は金属コロイドを静電的に吸着できる。金属コロイドがアニオン性の場合はカチオン性の絶縁性微粒子を用い、逆に金属コロイドがカチオン性の場合はアニオン性の絶縁性微粒子が用いられる。 【0038】 2)の作用は、導電パターン用溶液や基材との相互作用によって引き起こされる。このため、各構成により達成されれば良いが、例えば、絶縁性微粒子の性質として、導電パターン用溶液の組成成分や基材の構成成分と逆のイオン性を呈することが挙げられる。また、導電パターン用溶液中或いは絶縁パターン用溶液中に電解質を共存させることによっても、絶縁性微粒子の分散安定性は影響を受ける。 【0039】 本発明において、上記1)と2)の作用のどちらか一方の作用が、瞬時に得られることが望ましい。更には、上記1)と2)と両方の作用が、瞬時に得られることが好ましい。 【0040】 以下、夫々のイオン性の絶縁性微粒子を含有する絶縁パターン用溶液に関して、具体的に説明する。 【0041】 [2−4−1.カチオン性の絶縁パターン用溶液] (カチオン性の絶縁性微粒子) カチオン性の絶縁性微粒子とは、ゼータ電位がプラスの値を示すものである。微粒子の分散系における表面の性質は、分散質と分散媒との界面に生じる電気二重層によって議論される。実際には、電気泳動異動度などから得られるゼータ電位に置き換えられる。ゼータ電位の値は、界面に存在するOH-イオンの濃度に大きく支配され、従って微粒子の表面の性質は、絶縁パターン用溶液のpHに大きな影響をうける。 【0042】 本発明の実施形態において、カチオン性の絶縁性微粒子のゼータ電位は、好ましくは+5〜+90mVである。その理由は定かではないが、上記範囲においては、導電パターンとの境界部の滲みが少なく、絶縁性の高いパターンを得ることができた。 【0043】 pHはゼータ電位が上記の値となるように調整される。但し、インクジェットヘッドに使われている部材の腐食の原因となる場合があるので、好ましくは2〜11.5のpH範囲とされるのが望ましい。そのため本発明の実施形態で使用する絶縁パターン用溶液に用いられる絶縁性微粒子は、その表面がカチオン性である必要があるが、本質的にカチオン性である絶縁性微粒子は勿論のこと、本来は静電的にアニオン性あるいは中性である絶縁性微粒子であっても、処理によって表面がカチオン化された絶縁性微粒子であれば用いることができる。 【0044】 本発明の実施形態で好適に用いられるカチオン性絶縁性微粒子は、具体的には、特に材料種に限定はなく、無機系絶縁性微粒子や有機系絶縁性微粒子、無機有機複合絶縁性微粒子等が挙げられるが、本発明の実施形態による回路パターン形成工程には定着工程を含むため、耐熱性に優れたものが特に好ましい。無機系絶縁性微粒子としては、カチオン化した、シリカ、アルミナ、アルミナ水和物、チタニア、ジルコニア、ボリア、シリカボリア、セリア、マグネシア、シリカマグネシア、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化亜鉛等が挙げられる。また、有機系絶縁性微粒子としては、スチレンアクリルやアクリル酸エステル共重合体、メタクリル酸エステル共重合体、SBRラテックス等の共役ジエン系共重合体、エチレン酢酸ビニル共重合体等のビニル系共重合体のカチオン性エマルジョンやラテックス、またはメラミンビーズやプラスチックピグメント等のカチオン変性体等が挙げられる。さらに、無機有機複合絶縁性微粒子としては、1級2級及び3級アミン塩型の官能基を表面に有する無機絶縁性微粒子等が挙げられる。 【0045】 また、本発明の実施形態で使用する上記したようなカチオン性の絶縁性微粒子は、回路パターンの均一性や安定性等の観点から、金属コロイド粒子径の10倍程度、すなわち粒子直径が数100nm〜数μmの範囲のものが好適に用いられる。この範囲内では、カチオン性の絶縁性微粒子が絶縁パターン用溶液中で沈降することも抑えられ、絶縁パターン用溶液の保存安定性の低下も有効に防止することができる。 【0046】 本発明の実施形態で使用する絶縁パターン用溶液においては、上記したようなカチオン性の絶縁性微粒子の含有量を多くするほど回路パターン形成には好適ではあるが、重量基準で50重量%程度が上限である。この範囲内では、絶縁パターン用溶液の吐出安定性や保存安定性についても特に問題はない。 【0047】 (酸) 酸は、カチオン性の絶縁性微粒子表面をイオン化し、表面電位を高めることにより、液中での絶縁性微粒子の分散安定性を向上させると共に、導電パターン用溶液中のアニオン性化合物の吸着性向上や、絶縁パターン用溶液の粘度調整の役割を果たす。本発明に好適に用いられる酸は、使用するカチオン性の絶縁性微粒子と組み合わせて、所望のpHやゼータ電位、絶縁性微粒子の分散性等の物性が得られるものであれば特に限定はなく、下記に挙げる無機酸や有機酸等から自由に選択して使用することができる。ただし、最終的には絶縁パターンとして高い絶縁性を維持しなければならないため、揮発して無くなるもの、あるいは昇華するものが望ましい。 【0048】 具体的には、無機酸としては、例えば、酢酸、塩酸、硫酸、亜硫酸、硝酸、亜硝酸、燐酸、硼酸、炭酸等が挙げられ、有機酸としては、例えば、下記に挙げるようなカルボン酸やスルホン酸、アミノ酸等が挙げられる。カルボン酸としては、例えば、ギ酸、クロロ酢酸、ジクロロ酢酸、トリクロロ酢酸、フルオロ酢酸、トリメチル酢酸、メトキシ酢酸、メルカプト酢酸、グリコール酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、カプリル酸、カブリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、シクロヘキサンカルボン酸、フェニル酢酸、安息香酸、o−トルイル酸、m−トルイル酸、p−トルイル酸、o−クロロ安息香酸、m−クロロ安息香酸、p−クロロ安息香酸、o−ブロモ安息香酸、m−ブロモ安息香酸、p−ブロモ安息香酸、o−ニトロ安息香酸、m−ニトロ安息香酸、p−ニトロ安息香酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、酒石酸、マレイン酸、フマル酸、クエン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、サリチル酸、p−ヒドロキシ安息香酸、アントラニル酸、m−アミノ安息香酸、p−アミノ安息香酸、o−メトキシ安息香酸、m−メトキシ安息香酸、p−メトキシ安息香酸等が挙げられる。 【0049】 また、スルホン酸としては、例えば、ベンゼンスルホン酸、メチルベンゼンスルホン酸、エチルベンゼンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、2,4,6−トリメチルベンゼンスルホン酸、2,4−ジメチルベンゼンスルホン酸、5−スルホサリチル酸、1−スルホナフタレン、2−スルホナフタレン、ヘキサンスルホン酸、オクタンスルホン酸、ドデカンスルホン酸等が挙げられる。また、アミノ酸としては、グリシン、アラニン、バリン、α−アミノ酪酸、γ−アミノ酪酸、β−アラニン、タウリン、セリン、ε−アミノ−n−カプロン酸、ロイシン、ノルロイシン、フェニルアラニン等が挙げられる。 【0050】 そして、本発明の実施形態で使用する絶縁パターン用溶液においては、これらを1種または2種以上混合して使用することができる。これらの中でも、酸の水中での一次解離定数pkaが5以下の酸は、カチオン性絶縁性微粒子の分散安定性やアニオン性化合物の吸着性に特に優れるため、好適に用いることができる。具体的には、塩酸、硝酸、硫酸、燐酸、酢酸、ギ酸、シュウ酸、乳酸、クエン酸、マレイン酸、マロン酸等が挙げられる。 【0051】 (他の構成成分) 次に、カチオン性の絶縁パターン用溶液を構成するその他の成分について具体的に説明する。 本発明の実施形態で使用するカチオン性の絶縁パターン用溶液は、上記したカチオン性絶縁性微粒子を必須の成分とすると共に、上記したような酸を含み、その他に、通常は液媒体として水を含むが、更に、水溶性有機溶剤及びその他の添加剤を配合しても良い。例えば、粘度調整剤、pH調整剤、防腐剤、各種界面活性剤、酸化防止剤及び蒸発促進剤、水溶性カチオン性化合物やバインダー樹脂等の添加剤を適宜配合してもかまわない。 【0052】 [2−4−2.アニオン性の絶縁パターン用溶液] (アニオン性の絶縁性微粒子) アニオン性の絶縁性微粒子とは、ゼータ電位がマイナスの値を示すものである。本発明において、ア二オン性の絶縁性微粒子のゼータ電位は、好ましくは−5〜−90mVである。その理由は定かではないが、上記範囲において、導電パターンとの境界部の滲みが少なく、絶縁性の高いパターン得ることができた。 【0053】 pHはゼータ電位が上記の値となるように調整される。但し、インクジェットヘッドに使われている部材の腐食の原因となる場合があるので、好ましくは2〜11.5のpH範囲とされるのが望ましい。そのため本発明で使用する絶縁パターン用溶液で用いる絶縁性微粒子は、表面がアニオン性に帯電していることが必要であるが、本質的にアニオン性である絶縁性微粒子は勿論のこと、本来は静電的にカチオン性或いは中性の絶縁性微粒子であっても、処理によって表面がアニオン化された絶縁性微粒子であれば用いることができる。 【0054】 本発明で好適に用いられるアニオン性絶縁性微粒子は、具体的には、特に材料種に限定はなく、無機系絶縁性微粒子や有機系絶縁性微粒子、無機有機複合絶縁性微粒子等が挙げられる。本実施形態による回路パターン形成工程には定着工程を含むため、耐熱性にすぐれたものが特に好ましい。無機系絶縁性微粒子としては、アニオン化した、シリカ、チタニア、ジルコニア、ボリア、シリカボリア、セリア、マグネシア、シリカマグネシア、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化亜鉛等が挙げられ、有機系絶縁性微粒子としては、例えば、スチレンアクリルやアクリル酸エステル共重合体、メタクリル酸エステル共重合体、SBRラテックス等の共役ジエン系共重合体、エチレン酢酸ビニル共重合体等のビニル系共重合体のアニオン性エマルジョンやラテックス、又はメラミンビーズやプラスチックピグメント等のアニオン変性体等が挙げられる。また、無機有機複合絶縁性微粒子としては、例えば、水中でアニオン性を呈する官能基を表面に有する無機絶縁性微粒子等が挙げられる。 【0055】 また、本発明の実施形態で使用するアニオン性の絶縁性微粒子は、先に説明したカチオン性の絶縁性微粒子の場合と同様に、回路パターンの均一性や安定性、および基材内部への浸透を防止するため、金属コロイド粒子径の10倍程度、すなわち粒子直径が数100nm〜数μmの範囲のものが好適に用いられる。この範囲内では、アニオン性の絶縁性微粒子が絶縁パターン用溶液中で沈降することも抑えられ、絶縁パターン用溶液の保存安定性の低下も有効に防止することができる。 【0056】 本発明の実施形態で使用する絶縁パターン用溶液においては、上記のようなアニオン性の絶縁性微粒子の含有量を多くするほど回路パターン形成には好適であるが、重量基準で50重量%程度が上限である。この範囲内では、絶縁パターン用溶液の吐出安定性や保存安定性についても特に問題はない。 【0057】 (塩基) 塩基は、アニオン性の絶縁性微粒子表面をイオン化し、表面電位を高めることにより液中での分散安定性を向上させると共に、導電パターン用溶液中のカチオン性化合物の吸着性向上や絶縁パターン用溶液の粘度調整の役割を果たす。本発明の実施形態に好適に用いられる塩基は、使用するアニオン性の絶縁性微粒子と組み合わせた場合に、所望のpHやゼータ電位、絶縁性微粒子の分散性等の物性が得られるものであれば特に限定はなく、下記に挙げるような無機化合物や有機化合物等から自由に選択して使用することができる。ただし、最終的には絶縁パターンとして高い絶縁性を維持しなければならないため、揮発して無くなるもの、あるいは昇華するものが望ましい。 【0058】 具体的には、例えば、炭酸アンモニウム、アンモニア、酢酸アンモニウム、モルホリンやモノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、エチルモノエタノールアミン、ノルマルブチルモノエタノールアミン、ジメチルエタノールアミン、ジエチルエタノールアミン、エチルジエタノールアミン、ノルマルブチルジエタノールアミン、ジノルマルブチルエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン等のアルカノールアミンを用いることができる。これらの中でも特に、塩基の水中での一次解離定数pkbが5以下の塩基は、アニオン性絶縁性微粒子の分散安定性やカチオン性化合物の吸着性に特に優れるため、好適に用いられる。 【0059】 (他の構成成分) 次に、アニオン性の絶縁パターン用溶液を構成するその他の成分について具体的に説明する。 本発明の実施形態で使用するアニオン性の絶縁パターン用溶液は、上記したアニオン性絶縁性微粒子を必須の成分とし、好ましくは上記したような塩基を含み、その他に、通常は液媒体として水を含むが、さらに、水溶性有機溶剤及びその他の添加剤を配合してもよい。例えば、粘度調整剤、pH調整剤、防腐剤、各種界面活性剤、酸化防止剤及び蒸発促進剤、水溶性アニオン性化合物やバインダー樹脂等の添加剤を適宜配合してもかまわない。 【0060】 [3.回路パターン形成方法] 次に、本発明の第1の実施形態における回路パターン形成方法を説明する。 (第1の実施形態) 図3(a)〜(e)は、本発明にかかる回路パターン形成方法の第1の実施形態を説明する概略工程図である。 図3(a)に示すような絶縁パターン用溶液の液滴3が液体吐出ヘッド123から基材1上に付与されると、基材1の表面近傍の絶縁性微粒子61は、図3(b)に示すように基材1表面に物理的または化学的に吸着され、分散状態が不安定となって絶縁性微粒子同士の凝集物9を形成するものもあると考えられる。また、基材1は、前述の2−1の項で既に説明したように、多孔質構造の基材であるため、絶縁性粒子径よりも微細な多数の穴を有する基材1には、絶縁パターン用溶剤中の溶剤が選択的に浸透する。 【0061】 次に、この状態で導電パターン用溶液の液滴2が、液体吐出ヘッド122から基材1上の絶縁パターン用溶液層4の上に付与されると、まず、導電パターン用溶液と絶縁パターン用溶液の界面において、導電パターン用溶液に含まれる金属コロイド5と絶縁パターン用溶液に含まれる絶縁性微粒子62とが化学的に凝集する(図3(c)参照)。本実施形態において使用される金属コロイド5の粒子径は絶縁性微粒子6の粒子径の1/10程度であるため、金属コロイド5は絶縁性微粒子62の表面に均一に吸着すると考えられる。それゆえ、絶縁性微粒子表面近傍では、金属コロイド同士は凝集を起こさないか、あるいは凝集してもわずかであると推測される。 【0062】 一方、未反応の金属コロイド5の一部は拡散し、未反応の絶縁性微粒子表面に凝集しようとする。しかし、この反応は数μs以下の時間で起こる急激な現象であるため、金属コロイド5が界面付近を移動すると、すぐに絶縁性微粒子6と接触して瞬間的に凝集が起こると考えられる。よって、金属コロイド5はほとんど拡散せずに凝集するため、微細な回路パターンの形成が可能となる。次いで、金属コロイド5を吸着した絶縁性微粒子63は、分散状態が不安定となるため、金属コロイド5を吸着した絶縁性微粒子63同士で凝集すると考えられる。 【0063】 このようにして、絶縁性微粒子6同士および、金属コロイド5が表面に凝集した絶縁性微粒子62、63同士の凝集がさらに進行していくが、金属コロイド5が表面に凝集した絶縁性微粒子62、63と、金属コロイド5が表面に凝集していない絶縁性微粒子6はほぼ同様に凝集を起こす。このため、絶縁パターンと導電パターンの境界部には段差がほとんど生じない(図3(d)参照)。この後、別途用意された乾燥機により溶剤を揮発させて回路パターンを基材上に完全に定着させた状態となっても、導電パターン7のベースは絶縁性微粒子であるため、図3(e)に示すように、導電パターン7と絶縁パターンとの間には段差はほとんど生じない。また、導電パターン用溶液と絶縁パターン用溶液の吐出位置が多少ずれていても両粒子の凝集反応によって微細な回路パターンを形成することが可能となる。 【0064】 なお、これまで、絶縁パターン用溶液、導電パターン用溶液の順で、それら溶液を基材に付与した場合を説明したが、本発明は、導電パターン用溶液と絶縁パターン用溶液との境界部分において両溶液の混合が達成されれば良く、絶縁パターン用溶液と導電パターン用溶液の付与順は特に限定されるものではない。つまり、導電パターン用溶液、絶縁パターン用溶液の順で基材上に付与するようにしても良い。 【0065】 (第2の実施形態) 次に、本発明の第2の実施形態として、回路パターンにスルーホール10を含む場合の回路パターン形成方法を、図4(a)〜(e)の概略工程図に従って説明する。 最初にスルーホール10を設けるべき位置を除いて、基材1上に絶縁パターン用溶液の液滴3が液体吐出ヘッド2から付与される(図4(a)参照)。すると、基材1の表面近傍の絶縁性微粒子61は、図4(b)に示すように基材1表面に物理的又は化学的に吸着され、分散状態が不安定となって絶縁性微粒子同士の凝集物9を形成するものもあると考えられる。次に、この状態で導電パターン用溶液の液滴2が、液体吐出ヘッド122から基材1上の絶縁パターン用溶液層4の上に付与されると、導電パターン用溶液と絶縁パターン用溶液の界面(スルーホール部分も含む)において導電パターン用溶液に含まれる金属コロイド5と絶縁パターン用溶液に含まれる絶縁性微粒子62とが化学的に凝集する(図4(c)参照)。本実施形態では金属コロイド5の粒子径は絶縁性微粒子の粒子径の1/10程度であるため、金属コロイド5は絶縁性微粒子62の表面に均一に吸着すると考えられる。このため、絶縁性微粒子表面近傍では、金属コロイド同士は凝集を起こさないか、或いは凝集してもわずかであると推測される。 【0066】 一方、未反応の金属コロイドの一部は拡散し、未反応の絶縁性微粒子表面に吸着しようとする。しかし、この反応は数μs以下の時間で起こる急激な現象であるため、金属コロイドが界面付近を移動すると、すぐに絶縁性微粒子と接触して瞬間的に凝集が起こると考えられる。よって、金属コロイドはほとんど拡散せず凝集するため、微細な回路パターンの形成が可能となる。次いで、金属コロイド5を吸着した絶縁性微粒子63は、分散状態が不安定となるため、金属コロイド5を吸着した絶縁性微粒子63同士で凝集すると考えられる。 【0067】 このようにして、絶縁性微粒子6同士および、金属コロイド5を吸着した絶縁性微粒子62、63同士の凝集がさらに進行していくが、金属コロイド5を吸着した絶縁性微粒子62、63と、金属コロイド5を吸着していない絶縁性微粒子6はほぼ同様に凝集を起こすため、絶縁パターン8と導電パターン7の境界部およびスルーホール部の表層部には段差がほとんど生じない(図4(d)参照)。この後、別途用意された乾燥機によって溶剤を揮発させ、回路パターンを基材1上に完全に定着させた状態となっても、導電パターン7のベースが絶縁性微粒子であるため、導電性パターンと絶縁性パターンとの間に段差はほとんど生じない(図4(e)参照)。 【0068】 なお、スルーホール10の中央付近においては、スルーホール周囲部の界面凝集により絶縁性微粒子6の拡散が阻まれて、絶縁性微粒子6の密度が低下し、金属コロイド5のみの凝集物が多く生成されることが考えられる。しかし、スルーホール10の直径は数100μm以下と微小であるため、ほとんどの金属コロイド5は絶縁性微粒子6と凝集すると考えられる。よって、スルーホール内においても均一な導電パターンが形成できる。 【0069】 また、図4(e)において導電パターン用溶液の液滴を付与する際、スルーホール部分に着弾する液滴よりもそれ以外の液滴が先に着弾すると、絶縁パターン用溶液層が乱れてスルーホール部分に侵入するため、スルーホール部分に着弾する液滴はそれ以外の液滴と同時、またはそれ以外の液滴より早く着弾することが望ましい。 【0070】 (第3の実施形態) 次に、本発明の第3の実施形態として、多層回路パターンを形成する方法を図5(a)、(b)を参照しながら説明する。 本実施形態では、まず、前述の第1の実施形態にて示した工程によって、図5(a)に示すように1層目の回路パターン形成を完了させる。この状態では、1層目の回路パターン形成が完了した状態、すなわち、基材上の回路パターンは定着が完了した状態となっている。従って、この回路パターン自体を基材として使用することが可能である。次に、ここで形成された1層目の回路パターン11の上に、上記第2の実施形態に示した工程によって、スルーホールを含む2層目の回路パターン12を形成する。図5(b)はこのようにして積層した回路パターンを示している。 【0071】 このようにして、1層目の上に2層目を積層することにより、各層の回路パターンをスルーホール10によって接続することが可能となり、多層回路パターンとしての機能を有する回路基板を構成することができる。 【0072】 なお、以上の説明では2層回路基板の形成方法についてのみ言及したが、ここで完成した2層回路基板に、さらに回路パターンを積層すれば任意の層数の微細回路パターンを有する多層回路基板を容易に製造することが可能になる。 【0073】 (第4の実施形態) 次に、本発明の第4の実施形態を説明する。 上記第1の実施形態および第2の実施形態では、絶縁パターン用溶液と導電パターン用溶液とを順次付与して回路パターンを形成する方法について説明したが、以下に説明する本発明の第4の実施形態のように、絶縁パターン用溶液と導電パターン用溶液をほぼ同時に付与して回路パターンを形成することも可能である。 【0074】 図6(a)〜(e)は、この第4の実施形態における回路パターン形成方法の概略工程図である。 図6(a)に示すように、導電パターン用溶液の液滴2と絶縁パターン用溶液の液滴3が、液体吐出ヘッド123と122とによりほぼ同時に基材1上に付与されると、導電パターン用溶液と絶縁パターン用溶液の界面において導電パターン用溶液に含まれる金属コロイド5が絶縁パターン用溶液に含まれる絶縁性微粒子62に化学的に吸着される(図6(b)参照)。本実施形態において、金属コロイド5に粒子径は、絶縁性微粒子の粒子径の1/10程度であるため、金属コロイド5は絶縁性微粒子62の表面に均一に吸着すると考えられる。それゆえ、絶縁性微粒子表面近傍では、金属コロイド同士は凝集を起こさないか、あるいは凝集してもわずかであると推測される。 一方、未反応の金属コロイドの一部は拡散し、未反応の絶縁性微粒子表面に吸着しようとする。しかし、この反応は数μs以下の時間で起こる急激な現象であるため、金属コロイドが界面付近を移動すると、すぐに絶縁性微粒子と接触して瞬間的に凝集が起こる(図6(c)参照)。よって、金属コロイドはほとんど拡散せずに凝集するため、微細な回路パターンの形成が可能となる。次いで、金属コロイド5を吸着した絶縁性微粒子63は、分散状態が不安定となるため、金属コロイドを吸着した絶縁性微粒子同士で凝集すると考えられる。 【0075】 このようにして、絶縁性微粒子同士および金属コロイドを吸着した絶縁性微粒子同士の凝集がさらに進行していくが、金属コロイドを吸着した絶縁性微粒子と、吸着していない絶縁性微粒子はほぼ同様に凝集を起こすため、絶縁パターン8と導電パターン7の境界部には段差がほとんど生じない(図6(d)参照)。そして、このあとのベーク工程を経ても、導電パターン7のベースは絶縁性微粒子であるため、段差は生じない(図6(e)参照)。この後、別途用意された乾燥機によって溶剤を揮発させ、回路パターンが基材上に完全に定着した状態でも、導電パターン7のベースが絶縁性微粒子であるため、導電性パターンと絶縁性パターンとの間に段差はほとんど生じない。 【0076】 このように、この第4の実施形態においても、導電パターン7と絶縁パターン8との間に段差が生じることはないため、上記第3の実施形態と同様にして回路パターンを積層することにより、多層回路基板を良好な状態で形成することが可能になる。 【0077】 ただし、この第4の実施形態における方法では導電パターンの幅が充分に大きい場合、導電パターンの中央付近には絶縁性微粒子が到達できないことも起こり得る。このような事態が生じると、中央付近には金属コロイドのみの凝集物が多く存在することとなり、その結果、従来例と同様に導電パターンの周辺部と、中央付近とで凝集物の組成が異なることとなるため、多少の段差を生じることが考えられる。よって回路パターンを積層する場合には、導電パターンの幅に応じて本実施形態の適用を選択することが望ましい。 【0078】 ところで、上記各実施形態では、絶縁パターン形成用溶液と導電パターン形成用溶液とを付与した後、別途用意された乾燥機により各溶液の溶剤を乾燥させて、基材上に定着させるようにしている。このため、乾燥機への基材の移動、乾燥機での乾燥が必要となり、定着工程の複雑化、工程時間の増大を招く可能性がある。そこで、以下に説明する第5ないし第8の実施形態では、基材に付与された溶液の定着時間の短縮および定着工程の簡略化を図ることを可能としている。 【0079】 (第5の実施形態) この第5の実施形態では、基材1上に吐出された溶液の定着時間を短縮するため、基材1に対して以下のような特性を持たせたものとなっている。すなわち、 1)導電パターン用溶液および絶縁パターン用溶液の溶剤を吸収、浸透して回路パターンの定着性を向上させること、 2)加熱工程および焼成工程に耐えられる耐熱性を有すること、 の2点を考慮したものとなっている。 【0080】 そのため、材質はアルミナ、シリカ、窒化アルミニウム、チタン酸バリウム、ジルコニアなどを焼結した多孔質セラミックス、ポリオレフィンや無機フィラを主材料にした多孔質樹脂フィルムやガラス繊維などがあげられる。ただし、回路パターンの導電性をさらに高める必要がある場合には、導電パターンの融点以上に温度を設定して焼成する必要があるため、多孔質セラミックスが最も望ましい。 【0081】 また、多孔質である基材1は溶剤を浸透、吸収する一方で、絶縁性微粒子や金属コロイドを浸透しないようにその孔径を設定しなければならない。本実施形態では、金属コロイド径を数10〜数100nm、絶縁性微粒子径を0.5μm〜数μmとしたのに対し、基材の孔径は0.5μm以下としている。そのため、絶縁性微粒子単体に対してはほとんど浸透性を持たないが、金属コロイド単体は浸透することになる。しかし、前述の各実施形態で説明したように、金属コロイドは絶縁性微粒子と瞬時に凝集するため、単体として基材に到達することはほとんどない。また、絶縁性微粒子についても基材表面で絶縁微粒子同士がすみやかに凝集するため、絶縁性微粒子径と基材の孔径にそれほど差がなくても浸透することはない。なお、絶縁パターン形成用溶液および導電性パターン形成用溶液などの成分は、上記第1の実施形態にて説明したものと同様である。 【0082】 この第5の実施形態では、上記のように基材を構成することにより、回路パターンの形成工程において、各溶液の溶剤が基材内に吸収することができ、定着時間を短縮することができる。 【0083】 すなわち、この第5の実施形態においても、上記各実施形態と同様に、図3(a)〜(e)の工程によって回路パターンの形成を行うが、基材1は、絶縁性粒子径よりも微細な多数の穴を有しているため、回路形成工程の間、多孔質の基材1には絶縁パターン用溶液および導電パターン用溶液の溶剤が浸透していく。これにより、しばらく時間をおけば基材1上に付与された各溶液の定着が完了し、回路基板はほぼ図3(e)に示すような完成状態となり、定着時間を短縮することができる。また、乾燥機などを別途設けて乾燥させる必要もなくなり、定着工程が簡略化されると共に、設備コストを低減することができ、しかも、従来のように回路形成装置外に設けられた乾燥機へと基材を移動させる工程も必要なくなり、定着工程を簡略化することができる。 ただし、さらに良好な特性を有する回路基板とするためには、ベーク装置により焼成することが望ましい。本実施形態では、基材1に多孔質アルミナを使用し、絶縁性微粒子にも耐熱性のあるアルミナやシリカなどを使用しているためベーク温度は金属コロイドが充分溶解する温度に設定できる。そのため、金属コロイドが溶解して金属結合となるため導電パターン7の導電率が向上し、かつごく僅かに残存していた溶剤も完全に揮発するため、絶縁パターン8の絶縁性もより向上し、良好な品質の回路基板を形成することができる。 【0084】 (第6の実施形態) 次に、本発明の第6の実施形態を説明する。 上記第5の実施形態では、絶縁パターン用溶液および導電パターン用溶液の溶剤を多孔質構造の基材1で吸収させることにより定着時間を短縮するようにしたが、この第2の実施形態では、さらに定着時間を短縮するため、基材1を固定するためのステージ103に加熱ユニットを設けたものとなっている。 【0085】 図7は加熱ユニット115を設けたステージの模式図である。ステージ103上の基材1を保持する部分の下側には加熱ヒータ113と温度センサ114が埋め込まれている。そして、温度センサ114で検出された温度が所望の温度となるように、回路パターン形成装置の主制御部44(図2参照)が、加熱ヒータの電流をON/OFFして制御するようになっている。加熱ヒータ113は、焼成を目的とするものではなく、絶縁パターンおよび導電パターンで構成される回路パターンの定着を目的とするものであるため、加熱ヒータの設定温度は40〜70℃としている。このような簡易的な構成でも充分に定着時間を短縮することができる。 【0086】 本実施形態においては、加熱ユニット115によりステージ103を所望の温度で加熱した状態で、上記第1の実施形態と同様の手順で絶縁パターン用溶液の液滴3と導電パターン用溶液の液滴2を基材1上に順次付与する。これにより、上記第5の実施形態と同様に、それぞれの溶液に含まれる溶剤が多孔質の基材1に吸収されると共に、加熱されたことによって溶剤の温度が上昇して定着時間をさらに短縮することができる。 【0087】 以上のようにして回路パターンの定着が完了すれば回路基板は完成するが、さらに良好な特性を有する回路基板とするためには、別途用意されたベーク装置により焼成すれば良い。本実施形態では基材に多孔質アルミナを使用し、絶縁性微粒子にも耐熱性のあるアルミナやシリカなどを使用しているため、ベーク温度を金属コロイドが充分溶解する温度に設定できる。そのため、金属コロイドは溶解して金属結合するため導電パターンの導電率は向上する。さらに、ごく僅か残存していた溶剤もこの焼成工程によって完全に揮発するため、絶縁パターンの絶縁性もより高まり、より適正な特性を有する回路基板を形成することができる。 【0088】 なお、加熱ユニット115は上記のように回路形成の開始当初からONしておく必要はなく、適用なタイミングでON/OFFするようにして良い。例えば、図3(b)に示すタイミング、すなわち導電パターン用溶液を付与する瞬間にONするようにしても良い。この場合、溶剤を基材上に十分に保持しておくことができるため、絶縁性微粒子と金属コロイドの凝集反応を促進することができる。その後、加熱ユニット115によって基材温度を上昇させることができるので、滲みの少ない回路パターンを形成しながら、短時間で定着も完了することができる。また、ステージ103内に加熱ユニット115が設けられているため、回路形成装置全体が大型化することもなく低コストで構成することができる。 【0089】 また、上記実施形態では、多孔質構造の基材を用いた場合を例に採り説明したが、多孔質構造を有しない基材を用いる場合にも、ステージ103に設けた加熱ユニット115によって基材を加熱すれば、定着時間の短縮化を図ることができる。 【0090】 (第7の実施形態) この第7の実施形態は、上記第6の実施形態と同様に多孔質の基材1を用い、この基材1を固定するためのステージ103に加熱ユニット115を設けると共に、基材1を固定するためのステージ103に、基材に浸透した溶剤を吸引するための吸引手段を設けたものとなっている。これによれば、以下のように定着時間のさらなる短縮化が可能となる。 【0091】 図8は本実施形態におけるステージ103を模式的に示す斜視図である。ここに示すステージ103には、加熱ユニット115に加えて、吸引チャック116が追加されている。吸引チャック116は、基材1の真下に基材1のサイズに合わせて設けられており、吸引チャック116上面に基材1が載置されるようになっている。吸引チャック116の上面には無数の吸引孔が形成されている。この吸引孔はチューブ117を経由して回路パターン形成装置の吸引ユニット(不図示)に連通している。このため、吸引ユニットによって空気を吸引することにより、チューブおよび吸引孔を介して吸引チャック116上に載置されている基材1を吸引し、その吸引力によって基材1に浸透した溶剤を吸引チャック側へと吸引し得るようになっている。また、吸引ユニットは吸引圧力を設定できるようになっており、基材1に浸透した溶剤を所望の圧力で自由に吸引することができる。なお、この吸引チャック116と不図示の吸引ユニットとにより吸引手段が構成されている。 【0092】 次に、図9に従って、加熱ユニット115と吸引手段を併用した回路パターンの形成方法を具体的に説明する。 絶縁パターン用溶液の液滴3が液体吐出ヘッド123から基材1上に付与されると、基材1の表面近傍の絶縁性微粒子61は、図9(b)に示すように基材1表面に物理的又は化学的に吸着され、分散状態が不安定となって絶縁性微粒子同士の凝集物9を形成するものもあると考えられる。それと同時に絶縁性微粒子径よりも微細な多数の孔を有する基材1には絶縁パターン用溶液中の溶剤が浸透する。このタイミングでまず加熱ユニット115をONする。 【0093】 次に導電パターン用溶液の液滴2が液体吐出ヘッド122から基材1上の絶縁パターン用溶液層4の上に付与されると、導電パターン用溶液と絶縁パターン用溶液との界面において導電パターン用溶液に含まれる金属コロイド5が絶縁パターン用溶液に含まれる絶縁性微粒子62へと化学的に凝集する(図9(c)参照)。このタイミングでは、基材1の表面の全面で絶縁性微粒子は既に凝集していると思われる。次に、吸引ユニットを起動し、溶剤の吸引を開始する。この溶剤の吸収および揮発によって分散状態が不安定になり、金属コロイド5が表面に凝集した絶縁性微粒子62、63同士や金属コロイド5が表面に凝集していない絶縁性粒子6同士の凝集が促進される(図9(d)参照)。そして、溶剤がなくなって回路パターンの定着が完了すれば、回路基板が完成する。(図9(e)参照)。 【0094】 ただし、さらに良好な特性を有する回路基板とするためには、別途用意されたベーク装置により焼成すれば良い。 【0095】 なお、本実施形態においても、絶縁パターン用溶液及び導電パターン用溶液の付与順序は特に限定されない。また、本実施形態では定着時間を短縮するため、加熱ユニットと吸引ユニットを併用しているが、吸引ユニットのみを使用しても定着時間の短縮効果は得られる。 【0096】 また、上記第5ないし第7の実施形態では、基材1上に回路パターンを1層だけ形成することを例に採り説明したが、これらの実施形態における回路パターン形成方法を用いれば、基材上に複数の回路パターンを積層した多層回路基板を形成することもできる。すなわち、上記第5ないし第7の実施形態で形成された回路パターンはいずれも平坦であるため、1層目の回路パターンが定着した後に、1層目の回路パターンを基材とみなして、同様の方法により2層目の回路パターンを形成することができる。従って、上記第5ないし第7の実施形態における回路パターン形成装置によれば、回路パターンのパターニングだけでなく、定着までを同一装置上で行うことができる。つまり、ステージ上に基材1を固定したままの状態で複数の回路パターンを積層形成できる。そのため、各層間のアライメント精度を高めることができ、緻密な回路パターンを積層することができる。 【0097】 さらに上記第5ないし6の実施形態によれば、定着時間を著しく短縮できるため、回路パターンの滲みやブレも最小限に抑えることができる。そして、このようにして基材上に回路パターンが積層され、積層された全ての回路パターンが定着が完了すれば多層回路基板が完成する。なお、この場合にも、より良好な特性を有する多層回路基板を形成する場合には、別途用意されたベーク装置により焼成すれば良い。 【図面の簡単な説明】 【0098】 【図1】本発明の実施形態における回路パターン形成装置の外観構成を概略的に示す斜視図である。 【図2】本発明の実施形態における回路パターン形成装置の制御系を概略的に示すブロック図である。 【図3】本発明の第1の実施形態における回路パターン形成方法を説明するための概略工程図である。 【図4】本発明の第2の実施形態における回路パターン形成方法を説明するための概略工程図である。 【図5】本発明の第3の実施形態における回路パターン形成方法を説明するための概略工程図である。 【図6】本発明の第4の実施形態における回路パターン形成方法を説明するための概略工程図である。 【図7】本発明の第6の実施形態におけるステージの模式図である。 【図8】本発明の第7の実施形態におけるステージを模式的に示す斜視図である。 【図9】本発明の第7の実施形態における回路パターンの形成方法を説明する概略肯定図である。 【符号の説明】 【0099】 1 基材 2 導電パターン用溶液の液滴 3 絶縁パターン用溶液の液滴 4 絶縁パターン用溶液層 5 金属コロイド 6 絶縁性微粒子 7 導電パターン 8 絶縁パターン 9 凝集物 10 スルーホール 11 1層目の回路パターン 12 2層目の回路パターン 61 基材近傍の絶縁性粒子 62 金属コロイドが表面に凝集した絶縁性粒子 101 CRリニアモータ 102 LFリニアモータ 103 ステージ 109 キャリッジ 111 リニアエンコーダ 122 導電パターン用溶液を噴射する液滴吐出ヘッド 123 絶縁パターン用溶液を噴射する液滴吐出ヘッド
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| 【出願人】 |
【識別番号】000001007 【氏名又は名称】キヤノン株式会社
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| 【出願日】 |
平成17年6月22日(2005.6.22) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100077481 【弁理士】 【氏名又は名称】谷 義一
【識別番号】100088915 【弁理士】 【氏名又は名称】阿部 和夫
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| 【公開番号】 |
特開2007−5427(P2007−5427A) |
| 【公開日】 |
平成19年1月11日(2007.1.11) |
| 【出願番号】 |
特願2005−181627(P2005−181627) |
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