| 【発明の名称】 |
プラズマ生成方法及び装置並びにプラズマ処理装置 |
| 【発明者】 |
【氏名】加藤 健治
【氏名】出口 洋成
【氏名】米田 均
【氏名】久保田 清
【氏名】江部 明憲
【氏名】節原 裕一
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| 【要約】 |
【課題】誘導結合型プラズマを発生させるプラズマ生成方法及び装置であって、プラズマ密度の低下を招くことなく、プラズマの電子温度を低く抑制することができる方法及び装置を提供する。かかるプラズマ生成装置を利用したプラズマ処理装置を提供する。
【解決手段】プラズマ生成室1内に複数本の高周波アンテナ2を設置し、高周波電力供給装置(電源41、42、位相制御部Cont等)から供給される高周波電力をアンテナ2から室1内ガスに印加して誘導結合型プラズマを発生させるプラズマ生成方法及び装置。複数本のアンテナ2は、各隣り合うもの同士が互いに向かい合った並列配置となるように設置される。高周波電力供給装置は、各アンテナ2に印加する高周波電圧の位相を制御することで誘導結合プラズマにおける電子温度を制御する。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 プラズマ生成室内に複数本の高周波アンテナを設置し、該高周波アンテナにて該プラズマ生成室内ガスに高周波電力を印加して誘導結合型プラズマを発生させるプラズマ生成方法であり、該複数本の高周波アンテナのうち少なくとも一部の複数本の高周波アンテナについては、順次隣り合わせて、且つ、各隣り合うもの同士が互いに向かい合った並列配置となるように設置するとともに、該順次隣り合わせて、且つ、各隣り合うもの同士が互いに向かい合った並列配置となるように設置した高周波アンテナのそれぞれに印加する高周波電圧の位相を制御することで誘導結合プラズマにおける電子温度を制御することを特徴とするプラズマ生成方法。 【請求項2】 前記順次隣り合わせて、且つ、各隣り合うもの同士が互いに向かい合った並列配置となるように設置した複数本の高周波アンテナにおける各隣り合う高周波アンテナのそれぞれについて、隣り合う高周波アンテナ同士において極性が同一極性となり、且つ、高周波電圧の位相差が180°となるように、又は隣り合う高周波アンテナ同士において極性が異極性となり、且つ、高周波電圧の位相差が0°となるように、該各高周波アンテナに高周波電力を供給する請求項1記載のプラズマ生成方法。 【請求項3】 前記順次隣り合わせて、且つ、各隣り合うもの同士が互いに向かい合った並列配置となるように設置した複数本の高周波アンテナにおける各隣り合う高周波アンテナ同士において極性が同一極性となり、且つ、高周波電圧の位相差が180°となるように、該各高周波アンテナに高周波電力を供給する請求項1記載のプラズマ生成方法。 【請求項4】 前記順次隣り合わせて、且つ、各隣り合うもの同士が互いに向かい合った並列配置となるように設置した複数本の高周波アンテナにおける各隣り合う高周波アンテナ同士において極性が異極性となり、且つ、高周波電圧の位相差が0°となるように、該各高周波アンテナに高周波電力を供給する請求項1記載のプラズマ生成方法。 【請求項5】 プラズマ生成室、該室内に設置された複数本の高周波アンテナ及び該高周波アンテナに高周波電力を供給する高周波電力供給装置を有し、該高周波電力供給装置から供給される高周波電力を該高周波アンテナから該プラズマ生成室内ガスに印加して誘導結合型プラズマを発生させるプラズマ生成装置であり、該複数本の高周波アンテナのうち少なくとも一部の複数本の高周波アンテナについては、順次隣り合わせて、且つ、各隣り合うもの同士が互いに向かい合った並列配置となるように設置されているとともに、該高周波電力供給装置は、該順次隣り合わせて、且つ、各隣り合うもの同士が互いに向かい合った並列配置となるように設置された高周波アンテナのそれぞれに印加する高周波電圧の位相を制御することで誘導結合プラズマにおける電子温度を制御することを特徴とするプラズマ生成装置。 【請求項6】 前記高周波電力供給装置は、前記順次隣り合わせて、且つ、各隣り合うもの同士が互いに向かい合った並列配置となるように設置した複数本の高周波アンテナにおける各隣り合う高周波アンテナのそれぞれについて、隣り合う高周波アンテナ同士において極性が同一極性となり、且つ、高周波電圧の位相差が180°となるように、又は隣り合う高周波アンテナ同士において極性が異極性となり、且つ、高周波電圧の位相差が0°となるように、該各高周波アンテナに高周波電力を供給する請求項5記載のプラズマ生成装置。 【請求項7】 前記高周波電力供給装置は、前記順次隣り合わせて、且つ、各隣り合うもの同士が互いに向かい合った並列配置となるように設置した複数本の高周波アンテナにおける各隣り合う高周波アンテナ同士において極性が同一極性となり、且つ、高周波電圧の位相差が180°となるように、該各高周波アンテナに高周波電力を供給する請求項5記載のプラズマ生成装置。 【請求項8】 前記高周波電力供給装置は、前記順次隣り合わせて、且つ、各隣り合うもの同士が互いに向かい合った並列配置となるように設置した複数本の高周波アンテナにおける各隣り合う高周波アンテナ同士において極性が異極性となり、且つ、高周波電圧の位相差が0°となるように、該各高周波アンテナに高周波電力を供給する請求項5記載のプラズマ生成装置。 【請求項9】 被処理物にプラズマのもとで目的とする処理を施すプラズマ処理装置であって、請求項5から8のいずれかに記載のプラズマ生成装置を含むことを特徴とするプラズマ処理装置。 【請求項10】 前記被処理物のプラズマ処理対象面を前記高周波アンテナへ向けて保持するためのホルダが前記プラズマ生成室内に配置されており、前記プラズマ生成室の室壁内面のうち少なくとも一部が電気絶縁性部材で覆われている請求項9記載のプラズマ処理装置。 【請求項11】 前記プラズマ生成室壁のうち、前記高周波アンテナが設置され、前記ホルダに保持される被処理物のプラズマ処理対象面が対向する壁の内面が前記電気絶縁性部材で覆われている請求項10記載のプラズマ処理装置。 【請求項12】 前記プラズマ生成室壁のうち、前記高周波アンテナが設置され、前記ホルダに保持される被処理物のプラズマ処理対象面が対向する壁の内面及び前記ホルダを側方から囲む側周壁の内面が前記電気絶縁性部材で覆われている請求項10記載のプラズマ処理装置。 【請求項13】 前記プラズマ生成室壁のうち前記高周波アンテナを設置した壁の内面における各高周波アンテナに隣り合う部分を含む各アンテナ周囲部分が局所的に前記電気絶縁性部材で覆われている請求項10記載のプラズマ処理装置。 【請求項14】 前記電気絶縁性部材は石英、アルミナ、窒化アルミニゥム、イットリア及び炭化ケイ素から選ばれた少なくとも1種の材料から形成されている請求項10から13のいずれかに記載のプラズマ処理装置。 【請求項15】 前記プラズマ生成室内に膜形成のためのガスを供給するガス供給部を備えており、該ガス供給部から該プラズマ生成室内に供給されるガスに前記高周波アンテナから高周波電力を印加して誘導結合型プラズマを発生させ、該プラズマのもとで前記被処理物に薄膜を形成する薄膜形成装置である請求項9から14のいずれかに記載のプラズマ処理装置。 【請求項16】 前記ガス供給部は前記被処理物のプラズマ処理対象面にシリコン膜を形成するためのガスを前記プラズマ生成室内へ供給するものであり、前記被処理物に形成される膜はシリコン膜である請求項15記載のプラズマ処理装置。
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【発明の詳細な説明】【技術分野】 【0001】 本発明はガスプラズマを生成させるプラズマ生成方法及び装置並びにかかるプラズマ生成装置を利用したプラズマ処理装置、すなわち、被処理物にプラズマのもとで目的とする処理を施すプラズマ処理装置に関する。 【背景技術】 【0002】 プラズマは、例えば、プラズマのもとで膜形成するプラズマCVD法及び装置、プラズマのもとでスパッタターゲットをスパッタリングして膜形成する方法及び装置、プラズマのもとでエッチングを行うプラズマエッチング方法及び装置、プラズマからイオンを引き出してイオン注入やイオンドーピングを行う方法及び装置等に利用され、さらには、そのような方法や装置を利用して各種半導体デバイス(例えば液晶表示装置等に利用される薄膜トランジスタ)或いはそれ用の材料基板等を製造する装置などのように、プラズマを利用する各種装置に利用される。 【0003】 プラズマ生成方法及び装置としては、例えば、容量結合型プラズマを生成するもの、誘導結合型プラズマを生成するもの、ECR(電子サイクロトロン共鳴)プラズマを生成するもの、マイクロ波プラズマを生成するものなど、種々のタイプのものが知られている。 【0004】 これらのうち、誘導結合型プラズマを生成するプラズマ生成方法及び装置は、プラズマ生成室内にできるだけ高密度で均一なプラズマを得るために、プラズマ生成室に対し高周波アンテナを設け、該高周波アンテナから該室内のガスに高周波電力を印加して誘導結合プラズマを生成するものである。さらに言えば、高周波アンテナに高周波電力を供給することでプラズマ生成室内に誘導電磁界を発生させ、該誘導電磁界の作用で誘導結合型プラズマを生成するものである。 【0005】 かかる高周波アンテナは、プラズマ生成室外に配置されることもあるが、投入される高周波電力の利用効率を向上させる等のために、プラズマ生成室内に配置することも提案されている。 【0006】 例えば、特開2004−200233号公報には、高周波アンテナをプラズマ生成室内に設けるとともに、プラズマ密度分布の均一化及びプラズマ密度の向上ために、プラズマ生成室内に複数本の高周波アンテナを、それらが同一平面に位置するように順次直列的に配置し、各隣り合うアンテナにおいて隣り合う電極同士を同一極性とすることが記載されている。 【0007】 ところで、プラズマに於ける電子温度(換言すれば電子のエネルギー)は、プラズマに曝される物質の原子間結合の切断に影響し、電子温度が高いと原子間結合が切断されやすくなる。従って、プラズマ処理においては、被処理物等のプラズマに起因するダメージを抑制したり、所望の良好なエッチング処理を行うために、プラズマの電子温度を制御すること、特にそれを低い値にすることが望ましい。例えば、プラズマCVD法によりボトムゲート型TFT用シリコン薄膜を形成する場合、一般的には、ゲート絶縁膜(例えば、窒化シリコン、酸化シリコン、又はこれらの混合物からなる膜)を堆積させた基板上に該シリコン薄膜を形成するのであるが、このシリコン薄膜形成においてプラズマの電子温度が高いと、例えばゲート絶縁膜における欠陥、或いはシリコン薄膜自体における欠陥が発生することがある。 【0008】 この点については、例えば特開平11−74251号公報に、プラズマCVD法では、プラズマにおける電子温度が3eV以下になると、イオン温度も低下するので、プラズマCVDにおける被処理基板のイオンダメージを低減することができる旨記載されている。 そして、電子温度を3eV以下に設定する手法として、プラズマ状態を制御するための静磁界が存在しないプラズマ生成室(真空容器)の凸部に、被成膜基板付近より高密度プラズマを発生させることが記載されている。 【0009】 また、特開2004−311975号公報に、プラズマCVD法において、プラズマ発生空間における電子温度を3eV以下とすることで、原料ガスの過度の分解を防止して良好な絶縁膜を形成できることが記載されている。 そして、電子温度を3eV以下に設定する手法として、マイクロ波プラズマを生成し、該マイクロ波の導波管に接続された平面アンテナに周方向に沿って多数のスリットを形成することが記載されている。 【0010】 【特許文献1】特開2004−200233号公報 【特許文献2】特開平11−74251号公報 【特許文献3】特開2004−311975号公報 【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】 【0011】 しかしながら、前記特開2004−200233号公報には、高周波アンテナをプラズマ生成室内に複数本設け、且つ、隣り合うアンテナにおいて隣り合う電極同士を同一極性とすることで、プラズマ密度分布の均一化及びプラズマ密度の向上をもたらすことができることが記載されているが、プラズマの電子温度を低く抑制することには言及されていない。 【0012】 また、特開平11−74251号公報及び特開2004−311975号公報は、電子温度を低く抑制することに言及しているが、そのための手法は、前者では、プラズマ状態を制御するための静磁界が存在しないプラズマ生成室(真空容器)の凸部に、被成膜基板付近より高密度プラズマを発生させる、というものであり、プラズマ生成室(真空容器)にわざわざプラズマ状態を制御するための静磁界が存在しない凸部を形成しなければならない。 後者では、マイクロ波プラズマを生成し、該マイクロ波の導波管に接続された平面アンテナに周方向に沿って多数のスリットを形成する、というものであり、わざわざかかる平面アンテナを準備しなければならない。 【0013】 そこで本発明は、プラズマ生成室内に複数本の高周波アンテナを設置し、該高周波アンテナにて該プラズマ生成室内ガスに高周波電力を印加して誘導結合型プラズマを発生させるプラズマ生成方法であって、従来に比べると簡易に、プラズマ密度の低下を招くことなく、プラズマの電子温度を低く抑制することができるプラズマ生成方法を提供することを第1の課題とする。 【0014】 また本発明は、プラズマ生成室、該室内に設置された複数本の高周波アンテナ及び該高周波アンテナに高周波電力を供給する高周波電力供給装置を有し、該高周波電力供給装置から供給される高周波電力を該高周波アンテナから該プラズマ生成室内ガスに印加して誘導結合型プラズマを発生させるプラズマ生成装置であって、従来に比べると簡易に、プラズマ密度の低下を招くことなく、プラズマの電子温度を低く抑制することができるプラズマ生成装置を提供することを第2の課題とする。 【0015】 また本発明は、被処理物に対する目的とする処理を、被処理物等のプラズマによるダメージを抑制する等して速く行えるプラズマ処理装置を提供することを第3の課題とする。 【0016】 また本発明は、被処理物に対する目的とする処理を、被処理物等のプラズマによるダメージを抑制する等して速く行うことができ、さらに、好ましくない不純物の付着や混入を抑制してプラズマ処理を実施できるプラズマ処理装置を提供することを第4の課題とする。 【課題を解決するための手段】 【0017】 本発明者はかかる課題を解決するため研究を重ね、次のことを知見するに至った。 すなわち、プラズマ生成室内に高周波アンテナを複数本設置して誘導結合プラズマを生成させる場合、該複数本の高周波アンテナのうちの全部又は一部の複数本のアンテナについては、順次隣り合わせて、且つ、各隣り合うもの同士が互いに向かい合った並列配置となるように設置するとともに、それら高周波アンテナのそれぞれに印加する高周波電圧の位相を制御することで、比較的簡易にプラズマの電子温度を低く制御することが可能である。また、そのように高周波電圧の位相を制御することでプラズマ電子温度を低く抑制しても、プラズマ密度については問題視すべき低下を招くことがなく、アンテナ本数等にみあった高密度プラズマを得ることができる。 【0018】 かかる知見に基づき本発明は、前記第1の課題を解決するために、 プラズマ生成室内に複数本の高周波アンテナを設置し、該高周波アンテナにて該プラズマ生成室内ガスに高周波電力を印加して誘導結合型プラズマを発生させるプラズマ生成方法であり、該複数本の高周波アンテナのうち少なくとも一部の複数本の高周波アンテナについては、順次隣り合わせて、且つ、各隣り合うもの同士が互いに向かい合った並列配置となるように設置するとともに、該順次隣り合わせて、且つ、各隣り合うもの同士が互いに向かい合った並列配置となるように設置した高周波アンテナのそれぞれに印加する高周波電圧の位相を制御することで誘導結合プラズマにおける電子温度を制御するプラズマ生成方法を提供する。 【0019】 また、第2の課題を解決するために、 プラズマ生成室、該室内に設置された複数本の高周波アンテナ及び該高周波アンテナに高周波電力を供給する高周波電力供給装置を有し、該高周波電力供給装置から供給される高周波電力を該高周波アンテナから該プラズマ生成室内ガスに印加して誘導結合型プラズマを発生させるプラズマ生成装置であり、該複数本の高周波アンテナのうち少なくとも一部の複数本の高周波アンテナについては、順次隣り合わせて、且つ、各隣り合うもの同士が互いに向かい合った並列配置となるように設置されているとともに、該高周波電力供給装置は、該順次隣り合わせて、且つ、各隣り合うもの同士が互いに向かい合った並列配置となるように設置された高周波アンテナのそれぞれに印加する高周波電圧の位相を制御することで誘導結合プラズマにおける電子温度を制御するプラズマ生成装置を提供する。 【0020】 本発明に係るプラズマ生成方法及び装置によると、プラズマ生成室内に設置される複数本の高周波アンテナのうち少なくとも一部の複数本の高周波アンテナについては、順次隣り合わせて、且つ、各隣り合うもの同士が互いに向かい合った並列配置となるように設置するとともに、該順次隣り合わせて、且つ、各隣り合うもの同士が互いに向かい合った並列配置となるように設置された高周波アンテナのそれぞれに印加する高周波電圧の位相を制御することで、プラズマ電子温度を低く抑制することができる。また、前記知見のとおり、該各高周波アンテナに印加する高周波電圧の位相をプラズマ電子温度を低く抑制する方向に制御しても、プラズマ密度の問題視すべき低下を招くことはない。 【0021】 プラズマ密度の問題視すべき低下を招くことなく、プラズマ電子温度を低く抑制できる高周波電圧の位相制御の例として、 プラズマ生成方法については、 (1) 前記順次隣り合わせて、且つ、各隣り合うもの同士が互いに向かい合った並列配置となるように設置した複数本の高周波アンテナにおける各隣り合う高周波アンテナのそれぞれについて、隣り合う高周波アンテナ同士において極性が同一極性となり(換言すれば、隣り合う高周波アンテナ同士において電力供給方向が同一となり、さらに言えば、隣り合う高周波アンテナ同士において電流の方向が同一となり)、且つ、高周波電圧の位相差が180°となるように、又は隣り合う高周波アンテナ同士において極性が異極性となり(換言すれば、隣り合う高周波アンテナ同士において電力供給方向が互いに逆方向となり、さらに言えば、隣り合う高周波アンテナ同士において電流の方向が互いに逆方向となり)、且つ、高周波電圧の位相差が0°となるように、該各高周波アンテナに高周波電力を供給する場合、 (2) 前記順次隣り合わせて、且つ、各隣り合うもの同士が互いに向かい合った並列配置となるように設置した複数本の高周波アンテナにおける各隣り合う高周波アンテナ同士において極性が同一極性となり、且つ、高周波電圧の位相差が180°となるように、該各高周波アンテナに高周波電力を供給する場合、 (3) 前記順次隣り合わせて、且つ、各隣り合うもの同士が互いに向かい合った並列配置となるように設置した複数本の高周波アンテナにおける各隣り合う高周波アンテナ同士において極性が異極性となり、且つ、高周波電圧の位相差が0°となるように、該各高周波アンテナに高周波電力を供給する場合 を挙げることができる。 【0022】 また、プラズマ生成装置については、 (1) 前記高周波電力供給装置が、前記順次隣り合わせて、且つ、各隣り合うもの同士が互いに向かい合った並列配置となるように設置した複数本の高周波アンテナにおける各隣り合う高周波アンテナのそれぞれについて、隣り合う高周波アンテナ同士において極性が同一極性となり、且つ、高周波電圧の位相差が180°となるように、又は隣り合う高周波アンテナ同士において極性が異極性となり、且つ、高周波電圧の位相差が0°となるように、該各高周波アンテナに高周波電力を供給する場合、 (2) 前記高周波電力供給装置が、前記順次隣り合わせて、且つ、各隣り合うもの同士が互いに向かい合った並列配置となるように設置した複数本の高周波アンテナにおける各隣り合う高周波アンテナ同士において極性が同一極性となり、且つ、高周波電圧の位相差が180°となるように、該各高周波アンテナに高周波電力を供給する場合、 (3) 前記高周波電力供給装置が、前記順次隣り合わせて、且つ、各隣り合うもの同士が互いに向かい合った並列配置となるように設置した複数本の高周波アンテナにおける各隣り合う高周波アンテナ同士において極性が異極性となり、且つ、高周波電圧の位相差が0°となるように、該各高周波アンテナに高周波電力を供給する場合 を挙げることができる。 【0023】 本発明に係るプラズマ生成方法及び装置における高周波アンテナとしては、周回しないで終端する2次元構造アンテナ(平面的構造のアンテナ)を例示できる。例えば線状或いは帯状の導体を曲げてなる(例えばU字状或いはコの字状等に曲げてなる)アンテナを例示できる。 【0024】 本発明に係るプラズマ生成方法及び装置において、高周波アンテナについて「順次隣り合わせて、且つ、各隣り合うもの同士が互いに向かい合った並列配置となるように設置」における「各隣り合うもの同士が互いに向かい合った並列配置」の状態は、隣り合うアンテナ同士が同じ平面或いは略同じ平面上に順次直列的に隣り合うように配置されているような状態を指すのではなく、隣り合うアンテナが、互いに異なり、互いに並行又は略並行な面にそれぞれ配置されて互いに向かい合って並行又は略並行に配置されている状態を指し、若干ずれて向かい合っていても、発明の効果を達成できるのであればかまわない。 【0025】 また、本発明に係るプラズマ生成方法及び装置においては、プラズマ生成室内に設置される複数本の高周波アンテナの全部について、順次隣り合わせて、且つ、各隣り合うもの同士が互いに向かい合った並列配置となるように設置するとともに、該各高周波アンテナに印加する高周波電圧の位相を制御することで(プラズマ生成装置の場合は前記高周波電力供給装置が該位相を制御することで)誘導結合プラズマにおける電子温度を制御するようにしてもよい。 【0026】 また、本発明に係るプラズマ生成方法及び装置においては、プラズマ生成室内に設置される複数本の高周波アンテナを複数のグループに分け、該複数グループのうち、複数本の高周波アンテナを含むグループのうちの全部又は全部より少ない複数のグループのそれぞれにおいて、高周波アンテナを順次隣り合わせて、且つ、各隣り合うもの同士が互いに向かい合った並列配置となるように設置するとともに、該各高周波アンテナに印加する高周波電圧の位相を制御することで(プラズマ生成装置の場合は前記高周波電力供給装置が該位相を制御することで)誘導結合プラズマにおける電子温度を制御するようにしてもよい。 【0027】 本発明はまた、前記第3の課題を解決するため、被処理物にプラズマのもとで目的とする処理を施すプラズマ処理装置であって、本発明に係るプラズマ生成装置を含むプラズマ処理装置を提供する。 【0028】 本発明に係るプラズマ処理装置は、本発明に係るプラズマ発生装置を利用したものであり、処理に用いるプラズマについて、プラズマ電子温度を低く抑制でき、また、プラズマ密度の問題視すべき低下を招くことなく、アンテナ本数等にみあった高密度プラズマが得られるから、それだけ、被処理物等のプラズマによるダメージを抑制して、速く、被処理物に目的とする処理を施せる。 【0029】 また本発明は、前記第4の課題を解決するため、かかるプラズマ処理装置であって、前記被処理物のプラズマ処理対象面を前記高周波アンテナへ向けて保持するためのホルダが前記プラズマ生成室内に配置されており、該プラズマ生成室の室壁内面のうち少なくとも一部が電気絶縁性部材で覆われたプラズマ処理装置を提供する。 【0030】 プラズマ生成室壁がプラズマに曝されると、室壁構成物が物理的及び(又は)化学的に室壁から持ち出されて被処理物或いは被処理物に形成される膜(プラズマ処理装置が成膜装置の場合)等に付着したり混入したりして所望のプラズマ処理が妨げられることがある。この点、プラズマ生成室の室壁内面のうち少なくとも一部を電気絶縁性部材で覆っておくことで、それだけ室壁から好ましくない室壁構成物が持ち出されることを抑制することができる。 【0031】 よって、このプラズマ処理装置によると、前記第3の課題を解決するプラズマ処理装置と同様に被処理物に対する目的とする処理を、被処理物等のプラズマによるダメージを抑制する等して速く行うことができ、さらに、好ましくない不純物の付着や混入を抑制してプラズマ処理を実施できる。 【0032】 このプラズマ処理装置においては、プラズマ生成室壁全体の内面を全部電気絶縁性部材で覆ってしまってもよいが、そのように室壁内面全体を電気絶縁性部材で覆ってしまうとプラズマ電位が上昇し、被処理物或いは被処理物に形成される膜(プラズマ処理装置が成膜装置の場合)等のプラズマによるダメージが無視できないものとなることがある。 【0033】 そこで、室壁内面の電気絶縁性部材による被覆の好ましい例として次のものを例示することができる。以下の例は、室壁内面のうち、プラズマ密度が高くなるアンテナ近傍の室壁内面部分を電気絶縁性部材で覆うものである。 (1)前記プラズマ生成室壁のうち、前記高周波アンテナが設置され、前記ホルダに保持される被処理物のプラズマ処理対象面が対向する壁の内面が前記電気絶縁性部材で覆われている。 (2)前記プラズマ生成室壁のうち、前記高周波アンテナが設置され、前記ホルダに保持される被処理物のプラズマ処理対象面が対向する壁の内面及び前記ホルダを側方から囲む側周壁の内面が前記電気絶縁性部材で覆われている。 (3)前記プラズマ生成室壁のうち前記高周波アンテナを設置した壁の内面における各高周波アンテナに隣り合う部分を含む各アンテナ周囲部分が局所的に前記電気絶縁性部材で覆われている。 【0034】 いずれにしても、プラズマ処理装置の例として、プラズマCVD装置、プラズマのもとでスパッタターゲットをスパッタリングして膜形成する装置、プラズマによるエッチング装置、プラズマからイオンを引き出してイオン注入やイオンドーピングを行う装置、さらには、そのような装置を利用して各種半導体デバイス(例えば液晶表示装置等に利用される薄膜トランジスタ)或いはそれ用の材料基板等を製造する装置などのように、プラズマを利用する各種装置を例示できる。 【0035】 具体例として、前記プラズマ生成室内に膜形成のためのガスを供給するガス供給部を備えており、該ガス供給部から該プラズマ生成室内に供給されるガスに前記高周波アンテナから高周波電力を印加して誘導結合型プラズマを発生させ、該プラズマのもとで前記被処理物に薄膜を形成する薄膜形成装置であるプラズマ処理装置を挙げることができる。 【0036】 さらに具体例として、前記ガス供給部は前記被処理物のプラズマ処理対象面にシリコン膜を形成するためのガスを前記プラズマ生成室内へ供給するものであり、前記被処理物に形成される膜はシリコン膜であるプラズマ処理装置を挙げることができる。 【0037】 いずれにしても前記電気絶縁性部材としては、本発明においては、比抵抗が1×104 Ω・cm以上の材料からなる部材を例示できる。比抵抗が1×104 Ω・cm以上の材料として、ここでは石英(SiO2 )、アルミナ(Al2 O3 )、窒化アルミニゥム(AlN)、イットリア(Y2 O3 )及び炭化ケイ素(SiC)から選ばれた少なくとも一種の材料を例示できる。 【発明の効果】 【0038】 以上説明したように本発明によると、プラズマ生成室内に複数本の高周波アンテナを設置し、該高周波アンテナにて該プラズマ生成室内ガスに高周波電力を印加して誘導結合型プラズマを発生させるプラズマ生成方法であって、従来に比べると簡易に、プラズマ密度の低下を招くことなく、プラズマの電子温度を低く抑制することができるプラズマ生成方法を提供することができる。 【0039】 また本発明によると、プラズマ生成室、該室内に設置された複数本の高周波アンテナ及び該高周波アンテナに高周波電力を供給する高周波電力供給装置を有し、該高周波電力供給装置から供給される高周波電力を該高周波アンテナから該プラズマ生成室内ガスに印加して誘導結合型プラズマを発生させるプラズマ生成装置であって、従来に比べると簡易に、プラズマ密度の低下を招くことなく、プラズマの電子温度を低く抑制することができるプラズマ生成装置を提供することができる。 【0040】 また本発明によると、被処理物に対する目的とする処理を、被処理物等のプラズマによるダメージを抑制する等して速く行えるプラズマ処理装置を提供することができる。 【0041】 また本発明によると、被処理物に対する目的とする処理を、被処理物等のプラズマによるダメージを抑制する等して速く行うことができ、さらに、好ましくない不純物の付着や混入を抑制してプラズマ処理を実施できるプラズマ処理装置を提供することができる。 【発明を実施するための最良の形態】 【0042】 以下図面を参照して本発明の実施形態について説明する。 図1は本発明に係るプラズマ生成装置の1例を示している。図2は図1のプラズマ生成装置における高周波アンテナ等を抽出して示す図である。 【0043】 図1のプラズマ生成装置は、プラズマ生成室1を備えている。プラズマ生成室1の天井壁11から室内へ2本の高周波放電アンテナ2が挿入設置されている。各高周波アンテナは絶縁性部材20で被覆されており、該部材20ごと室天井壁11に設けた絶縁性部材10に挿通されている。 【0044】 2本のアンテナ2は、本例では同じ大きさのU字形状或いはコの字形状とも言えるものであり、互いに向かい合うように並列配置されている。 一方の(図1において左側の)アンテナ2の室天井壁11から室外へ突出した部分21、21’のうち一方の部分21は給電ブスバーB1(図2参照、図1では図示省略)に接続されており、ブスバーB1はマッチングボックス31を介して高周波電源41に接続されている。 【0045】 他方の(図1において右側の)アンテナ2の室天井壁11から室外へ突出した部分21、21’のうち一方の部分21は給電ブスバーB2(図2参照、図1では図示省略)に接続されており、ブスバーB2はマッチングボックス32を介して高周波電源42に接続されている。 【0046】 図1及び図2に示す例では、室1内の2本の向かい合って隣り合うアンテナ2への高周波電力供給は、両アンテナ2の極性が同じになるように、換言すれば、両アンテナ2への電力供給が同方向となるように、さらに換言すれば、両アンテナ2に同じ方向に電流が流れるように、図2のとおりアンテナ2、2の同じ側の突出部分21、21に対して行われる。 【0047】 各アンテナ2は導電性管体からなり、図2に示すように、冷媒循環装置9(図2参照、図1では図示省略)にて冷却媒体(本例では冷却水)を各アンテナに流してアンテナを冷却できるようになっている。すなわち、図2に示した配管91、92、93により、矢印方向に冷却水を流してアンテナを冷却することができる。また、アンテナ2を被覆する絶縁性部材20は絶縁性管である。 【0048】 アンテナを構成している導電性管体は、本例では銅製の断面円形管である。しかし、それに限定される必要はなく、アルミニウム等の他の導電性材料からなる管体でもよい。また、アンテナは管体で形成される必要はなく、例えば、銅、アルミニウム等の導電性材料からなる、断面円形等の棒体から形成されてもよい。 【0049】 アンテナ2を被覆している絶縁性管は、本例では石英管であるが、それに限定される必要はなく、アルミナ等の他の絶縁性材料からなる管体でもよい。また、絶縁性部材20は管体で形成される必要はなく、絶縁性材料をアンテナ2にコーティングして形成したものでもよい。 【0050】 図1のプラズマ生成装置は、さらに、プラズマ生成室1内へ所定のガスを導入するガス導入部G及び室内から排気して室内を所定のプラズマ生成圧に設定するための排気装置5を備えている。 【0051】 図1のプラズマ生成装置は、さらに、位相制御部Contも備えており、マッチングボックス31は位相検出用ケーブル131で、マッチングボックス32は位相検出用ケーブル132で、それぞれ制御部Contに接続されている。また、制御部Contは、位相制御用ケーブル141で高周波電源41に、位相制御用ケーブル142で高周波電源42に、それぞれ接続されている。 【0052】 制御部Contは、マッチングボックス31、32からケーブル131、132にて送られてくる、アンテナへ印加される高周波電圧の位相と制御部Cont内に予め設定された位相とを比較し、高周波電源41、42から対応するアンテナ2へ印加される高周波電圧の位相が制御部Cont内に設定された位相となるように、高周波電源41、42のそれぞれを制御する。 【0053】 図3は、電源41、42のそれぞれから印加される高周波電圧のいずれか、例えば電源41からのものを基準電圧とした場合に、それに対する電源42からの電圧の位相差が0°(図3(A))、90°(図3(B))、180°(図3(C))の場合の電圧波形を示している。なお、図3(A)は基準電圧波形と位相差0°の電圧波形(点線)をずらして示しているが、理解を容易にするためであり、実際にはずれはない。 【0054】 両アンテナ2の極性が同じになるようにアンテナ2、2の同じ側の突出部分21、21に対して高周波電力を供給する図1、図2に示すプラズマ生成装置では、制御部Contに、一方のアンテナ2へ印加される高周波電圧(例えば、電源41から高周波電圧が印加されるアンテナ2への高周波電圧)を基準のものとし、それに対し他方のアンテナ2へ印加される高周波電圧(例えば、電源42から高周波電圧が印加されるアンテナ2への高周波電圧)の位相差を180°に制御させれば、プラズマの電子温度を低く抑制できる。 【0055】 以上説明した図1、図2に示すプラズマ生成装置によると、排気装置5にてプラズマ生成室1から排気し、室内を所定のプラズマ生成圧より低圧まで減圧し、次いでガス導入部Gから室1内へ所定のガスを導入するとともに排気装置5にて室内を所定のプラズマ生成圧に設定、維持しつつ、電源41、42から両アンテナ2、2へそれぞれ高周波電力を供給することで、室1内に誘導結合プラズマを生成させることができる。 【0056】 このとき、制御部Contの制御のもとに、例えば、電源41から所定の基準高周波電圧を一方のアンテナ2に印加するとともに、電源42から該基準高周波電圧に対し位相差180°の高周波電圧を他方のアンテナ2に印加することで、生成される誘導結合プラズマの電子温度を低く抑制できる。 【0057】 このように、両アンテナ2が互いに向かい合って並列配置され、両アンテナ2に印加される高周波電圧間に位相差180°が設定されることで、プラズマ電子温度を低く抑制することができるとともに、プラズマ密度の問題視すべき低下を招くことなく、高周波アンテナ本数にみあった高密度プラズマが得られる。 【0058】 図1、図2に示すタイプのプラズマ生成装置を用いて行った誘導結合プラズマ生成の実験例1について説明する。 <実験例1> (1) プラズマ発生条件 高周波電力:2本のアンテナのそれぞれに13.56MHz、1250Wを供給 プラズマ生成圧:1.8Pa ガス種及び供給量:水素ガス、300cc/分 なお、当初はプラズマ生成室内から10-5Paオーダーまで排気し、その後に水素ガスを300cc/分導入するとともに室内圧を1.8Paに維持した。 【0059】 (2) アンテナ及び絶縁管条件 各アンテナ材質、構造:外径1/4インチ(約6.35mm)、肉厚1mmの銅製丸管 をU字形状に屈曲させたもので、内部に冷却水を通水可能なも の 各アンテナの水平方向幅w(図2参照)=55mm 鉛直方向長さ=250mm(室1内の長さL=100mm) 互いに向かい合うように並列配置した両アンテナ間距離b=340mm アンテナを被覆する各絶縁管:外径16mm、内径12mmの石英管 【0060】 以上の条件で、両アンテナに印加する高周波電圧の位相差を0°、90°、180°にそれぞれ設定して誘導結合プラズマを生成させ、各位相差の場合について、プラズマの電子温度(eV)及び電子密度(個/cm3 )を測定し、プラズマを評価した。 電子温度及び電子密度の測定は、ラングミューアプローブPを、両アンテナに垂直な水平面における両アンテナ間の中央位置c(図2参照)の直下、且つ、アンテナ下端から距離a(図1参照)=175mmの位置に配置し、その位置を300mmの位置として、さらにプローブを水平方向に50mm刻みの各位置に配置して行った。 【0061】 電子温度(eV)の測定結果を図4に、電子密度の測定結果を図5に示す。 図4、図5からわかるように、電子温度については、位相差180°の場合が最も低く抑制された。一般にプラズマ密度の指標とされる電子密度についも、位相差180°の場合には、位相差0°や90°の場合より大きく、最大となっている。 【0062】 位相差に応じて電子温度が変化することは、各アンテナに高周波電流が流れることによって発生するそれぞれの誘導電界が相互干渉するためと考えられる。相互干渉の状態としては、誘導電界の弱め合いが発生し、電子を加速する誘導電界強度が低下する状態が発生し、結果として電子温度が低下すると考えられる(図1に示すタイプの装置では、両アンテナに高周波電力が同じ方向から供給されるので、位相差0°の場合は、誘導電界は同一方向に発生する。位相差を180°とすると、誘導電界は逆方向に発生する。)。 【0063】 しかし、誘導電界の弱め合いが発生したとしても、図5に示すように電子密度はむしろ増加しており、なんら不都合はない。また、位相差180°の場合に電子温度が最低となったことは、それぞれの誘導電界同士の干渉が最大となったためと考えられる。 【0064】 以上説明したプラズマ生成装置では、両アンテナ2の極性が同じになるようにアンテナ2、2の同じ側の突出部分21、21に対して高周波電力を供給したが、図6に示すように、両アンテナの極性が異極性となるように、換言すれば、両アンテナ2への電力供給が逆方向となるように、さらに換言すれば、両アンテナ2に逆方向に電流が流れるように、電源41による高周波電力は該電源に対応するアンテナ2の部分21に、電源42による高周波電力は該電源に対応するアンテナ2の反対側部分21’にそれぞれ供給してもよい。図6において、図1、図2に示す部分、部品等と実質上同じ部分、部品等には図1、図2と同じ参照符号を付してある。 【0065】 図6に示す電力供給方式を採用したタイプのプラズマ生成装置を用いて行った誘導結合プラズマ生成の実験例2について説明する。 <実験例2> (1) プラズマ発生条件 前記実験例1と同じ。 (2) アンテナ及び絶縁管条件 前記実験例1と同じ。 【0066】 以上の条件で、両アンテナに印加する高周波電圧の位相差を0°、90°、180°にそれぞれ設定して誘導結合プラズマを生成させ、各位相差の場合について、プラズマの電子温度(eV)及び電子密度(個/cm3 )を測定し、プラズマを評価した。測定方法、条件は実験例1の場合と同じである。 【0067】 電子温度(eV)の測定結果を図7に、電子密度の測定結果を図8に示す。 図7、図8からわかるように、電子温度については、位相差0°の場合が最も低く抑制された。一般にプラズマ密度の指標とされる電子密度についも、位相差0°の場合には、位相差90°や180°の場合より大きく、最大となっている。 【0068】 実験例2の場合、二つのアンテナには高周波電力が逆方向から供給されるので、位相差0°の場合には、誘導電界は逆方向に発生する。また、位相差180°の場合には、誘導電界は同一方向に発生する。従って、誘導電界の弱め合いが実験例1とは逆に発生し、かかる結果になったと考えられる。 【0069】 しかし、誘導電界の弱め合いが発生したとしても、図8に示すように電子密度はむしろ増加しており、なんら不都合はない。また、位相差0°の場合に電子温度が最低となったことは、それぞれの誘導電界同士の干渉が最大となったためと考えられる。 【0070】 以上説明したプラズマ生成装置は、高周波アンテナを2本採用したものであったが、高周波アンテナは3本以上採用してもよい。その場合でも、 (1) 極性が同一極性となるように、換言すれば、電力供給方向が同一となるように、さらに言えば、電流の方向が同一となるように高周波電力が供給される隣り合う高周波アンテナについは、位相差180°の高周波電圧を印加することで、また、 (2) 極性が異極が異極性となるように、換言すれば、電力供給方向が互いに逆方向となるように、さらに言えば、電流の方向が互いに逆方向となるように高周波電力が供給される隣り合う高周波アンテナについては、位相差0°の高周波電圧を印加することで、 プラズマの電子温度を低く抑制することができる。 【0071】 図9は、アンテナを3本採用し、前者(1) の給電方式を採用したときの、隣り合うアンテナ間の高周波電圧位相差を例示しており、図10は、アンテナを4本採用し、後者(2) の給電方式を採用したときの、隣り合うアンテナ間の高周波電圧位相差を例示している。 【0072】 以上説明したプラズマ生成装置は、これを利用して各種プラズマ処理装置を提供できる。例えば、プラズマCVD装置、プラズマのもとでスパッタターゲットをスパッタリングして膜形成する装置、プラズマによるエッチング装置、プラズマからイオンを引き出してイオン注入やイオンドーピングを行う装置、さらには、そのような装置を利用して各種半導体デバイス(例えば液晶表示装置等に利用される薄膜トランジスタ)或いはそれ用の材料基板等を製造する装置などを提供できる。 【0073】 図11は、図1に示すプラズマ生成装置を利用したプラズマCVD装置の1例を示している。図11のプラズマCVD装置は、図1のプラズマ生成装置において、プラズマ生成室1に成膜室を兼ねさせ、室1内に被成膜基板Sのホルダ6(ヒータ61を内蔵)を配置し、ガス導入部として、ガス導入管7、8を採用し、管7にはモノシランガス供給装置70を、管8には水素ガス供給装置80を接続したもので、基板Sにシリコン薄膜を形成できるシリコン薄膜形成装置である。 【0074】 ところで、例えば、図11のようなシリコン薄膜形成装置においては、シリコン膜形成においてプラズマ生成室壁にも堆積するシリコンをクリーニングガスのプラズマでクリーニングするためにプラズマ生成室1の室壁を、該クリーニングガスに対し耐食性の高いアルミニウム合金で形成することが多々ある。その場合、基板Sへのシリコン膜の形成において、プラズマ生成室壁に由来するアルミニウムが基板S上に形成されるシリコン膜に不純物として付着したり、混入したりする。 【0075】 そこで、既述のとおり、本発明に係るプラズマ処理装置は、好ましくない不純物の付着や混入を抑制してプラズマ処理を実施できるように、プラズマ生成室の室壁内面のうち少なくとも一部を電気絶縁性部材で覆ってもよい。 【0076】 その例を図12、図13及び図14を参照して以下に説明する。 図12(A)は、図11のシリコン薄膜形成装置(プラズマ処理装置の1例)において、プラズマ生成室1を構成する壁のうち、高周波アンテナ2が設置され、ホルダ6に保持される基板Sの膜形成対象面が対向する天井壁11の内面を全面的に電気絶縁性板(アルミナ等でもよいが本例では石英板)111で被覆したシリコン薄膜形成装置を示している。図12(B)はプラズマ生成室1の天井壁11の部分を下から見た図である。 【0077】 図13は、図11のシリコン薄膜形成装置において、プラズマ生成室1を構成する壁のうち、天井壁11の内面及びホルダ6を側方から囲む側周壁12の内面のそれぞれを全面的に電気絶縁性部材(本例では石英板)111、121で被覆したシリコン薄膜形成装置を示している。 【0078】 図14(A)は、図11のシリコン薄膜形成装置において、プラズマ生成室1を構成する壁のうち、天井壁11の内面における各高周波アンテナ2に隣り合う部分を含む各アンテナ周囲部分を局所的に電気絶縁性部材(本例では石英板)112で被覆したシリコン薄膜形成装置を示している。図14(B)はプラズマ生成室1の天井壁11の部分を下から見た図である。 【0079】 このようにプラズマ生成室壁内面を電気絶縁性部材で覆う場合、プラズマ生成室壁内面全体を電気絶縁性部材で覆ってしまってもよく、そうすれば、基板S上に形成されるシリコン膜へのプラズマ生成室壁由来のアルミニウムの付着や混入を十分抑制できる。しかし、そのように室壁内面全体を電気絶縁性部材で覆ってしまうとプラズマ電位が上昇し、基板Sやそれに形成されるシリコン膜のプラズマによるダメージが無視できないものとなることがある。従って、図12、図13、図14に示すシリコン薄膜形成装置では、プラズマ生成室1の室壁内面の全部ではなく一部を電気絶縁性部材で被覆している。 【0080】 図11〜図14に示す各シリコン薄膜形成装置において、プラズマ生成室1の壁がアルミニウム合金で形成されている場合、基板S上に形成されるシリコン膜へのプラズマ生成室壁由来のアルミニウムの付着や混入は、プラズマ生成室壁内面を電気絶縁性部材で覆っていない図11の装置に比べて、図12、図13、図14のそれぞれに示す、電気絶縁性部材を設けた装置の方が低減される。 【0081】 図14に示す装置では、プラズマ生成室1の天井壁11を覆っている石英板112の合計面積が図12の装置や図13の装置における石英板の合計面積と比べると小さいので、図12の装置や図13の装置と比べると、シリコン膜へのアルミニウムの付着や混入の抑制の程度は若干低下するが、それでも石英板112はプラズマ密度が高くなるアンテナ2に隣り合わせて設けてあるので、実用上無視できる程度に該付着や混入を抑制することができ、しかも、プラズマ生成室壁を覆う各石英板112の面積を小さくしていることで、それだけプラズマ電位の上昇を抑制して、シリコン膜のプラズマによるダメージを抑制できる。 【産業上の利用可能性】 【0082】 本発明は、プラズマのもとで被処理物に目的とする処理を施す各種分野において利用できる。 【図面の簡単な説明】 【0083】 【図1】本発明に係るプラズマ生成装置の1例を示す図である。 【図2】図1のプラズマ生成装置における高周波アンテナ等を抽出して示す図である。 【図3】2本の高周波アンテナに印加する高周波電圧の位相差例を示す図である。 【図4】図1に示すタイプのプラズマ生成装置によるプラズマ生成実験例におけるプラズマ電子温度測定結果を示す図である。 【図5】図1に示すタイプのプラズマ生成装置によるプラズマ生成実験例におけるプラズマ電子密度測定結果を示す図である。 【図6】本発明に係るプラズマ生成装置の他の例における高周波アンテナ等を抽出して示す図である。 【図7】図6に示す構成を採用したタイプのプラズマ生成装置によるプラズマ生成実験例におけるプラズマ電子温度測定結果を示す図である。 【図8】図6に示す構成を採用したタイプのプラズマ生成装置によるプラズマ生成実験例におけるプラズマ電子密度測定結果を示す図である。 【図9】高周波アンテナを3本採用するときの隣り合うアンテナ間での高周波電圧位相差例を示す図である。 【図10】高周波アンテナを4本採用するときの隣り合うアンテナ間での高周波電圧位相差例を示す図である。 【図11】本発明に係るプラズマ処理装置の1例(プラズマCVD装置)を示す図である。 【図12】図12(A)は本発明に係るプラズマ処理装置の他の例(プラズマCVD装置)を示す図であり、図12(B)はプラズマ生成室の天井壁部分を下から見た図である。 【図13】本発明に係るプラズマ処理装置のさらに他の例(プラズマCVD装置)を示す図である。 【図14】図14(A)は本発明に係るプラズマ処理装置のさらに他の例(プラズマCVD装置)を示す図であり、図14(B)はプラズマ生成室の天井壁部分を下から見た図である。 【符号の説明】 【0084】 1 プラズマ生成室 11 室1の天井壁 12 室1の側周壁 111、112、112 電気絶縁性部材例である石英板 2 高周波アンテナ 20 絶縁性部材 10 絶縁性部材 21、21’ アンテナ2の室外突出部分 B1、B2 給電ブスバー 31、32 マッチングボックス 41、42 高周波電源 Cont 位相制御部 131、132 位相検出用ケーブル 141、142 位相制御用ケーブル 5 排気装置 6 基板ホルダ 61 ヒータ G ガス導入部 7、8 ガス導入管 70 モノシランガス供給装置 80 水素ガス供給装置 9 冷媒循環装置 91、92、93 配管
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| 【出願人】 |
【識別番号】000003942 【氏名又は名称】日新電機株式会社 【識別番号】505402581 【氏名又は名称】株式会社イー・エム・ディー
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| 【出願日】 |
平成18年6月29日(2006.6.29) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100074125 【弁理士】 【氏名又は名称】谷川 昌夫
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| 【公開番号】 |
特開2007−149639(P2007−149639A) |
| 【公開日】 |
平成19年6月14日(2007.6.14) |
| 【出願番号】 |
特願2006−178858(P2006−178858) |
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