| 【発明の名称】 |
調整ボルトの操作方法および電磁石の位置・姿勢調整方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】北原 隆
【氏名】今岡 静男
【氏名】山本 祐一
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| 【要約】 |
【課題】電磁石の高精度な据付を容易に行える調整ボルトの操作方法を提供する。
【解決手段】調整ボルト24の操作方法は、加速器を構成する電磁石20の下側に調整ボルト24(鉛直方向調整ボルトおよび水平方向調整ボルト)を配置し、これらの調整ボルト24を用いて電磁石20の位置および姿勢を調整するときに用いられるものである。そして調整ボルト24の操作方法は、電磁石20を移動させるために操作対象となっている調整ボルト24を締め込むときに、操作対象以外の調整ボルト24を予め求めたトルクで締め込むまたは開放しておく構成である。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 加速器を構成する電磁石の下側に鉛直方向調整ボルトおよび水平方向調整ボルトを配置し、前記鉛直方向調整ボルトおよび前記水平方向調整ボルトを用いて前記電磁石の位置・姿勢を調整するときの調整ボルトの操作方法であって、 前記鉛直方向調整ボルトを操作して、前記電磁石の水平方向への移動を拘束しつつ鉛直方向へ移動可能にする前記水平方向調整ボルトのトルクを予め求め、 このトルクで前記水平方向調整ボルトを締め付け操作するとともに、前記鉛直方向調整ボルトを操作して前記電磁石を鉛直方向へ移動させ、 移動方向に応じた操作対象の前記水平方向調整ボルトの操作して、前記電磁石の移動方向以外への移動を拘束する操作対象以外の他の前記水平方向調整ボルトのトルクを予め求め、 このトルクで他の前記水平方向調整ボルトを締め付け操作するとともに、操作対象の前記水平方向調整ボルトを操作して前記電磁石を水平方向へ移動させる、 ことを特徴とする調整ボルトの操作方法。 【請求項2】 加速器を構成する電磁石の下側に鉛直方向調整ボルトおよび水平方向調整ボルトを配置し、前記鉛直方向調整ボルトおよび前記水平方向調整ボルトを用いて前記電磁石の位置・姿勢を調整するときの調整ボルトの操作方法であって、 前記電磁石の水平方向への移動を拘束しつつ鉛直方向へ移動可能にする前記水平方向調整ボルトのトルクを求め、 このトルクで前記水平方向調整ボルトを締め付け操作するとともに、前記鉛直方向調整ボルトを操作して前記電磁石を鉛直方向へ移動させる、 ことを特徴とする調整ボルトの操作方法。 【請求項3】 加速器を構成する電磁石の下側に水平方向調整ボルトを配置し、前記水平方向調整ボルトを用いて前記電磁石の位置・姿勢を調整するときの調整ボルトの操作方法であって、 移動方向に応じた操作対象の前記水平方向調整ボルトの操作して、前記電磁石の移動方向以外への移動を拘束する操作対象以外の他の前記水平方向調整ボルトのトルクを求め、 このトルクで他の前記水平方向調整ボルトを締め付け操作するとともに、操作対象の前記水平方向調整ボルトを操作して前記電磁石を移動方向へ移動させる、 ことを特徴とする調整ボルトの操作方法。 【請求項4】 加速器を構成する電磁石の下側に、前記電磁石の位置・姿勢調整用の調整ボルトを複数配置し、 操作対象の前記調整ボルトを操作して前記電磁石を移動させるときの、操作対象以外の前記調整ボルトのトルクを予め求め、 操作対象以外の前記調整ボルトを前記トルクで締め付けるとともに、操作対象の前記調整ボルトを操作して前記電磁石を移動させ、前記電磁石の位置・姿勢を計測するのを前記調整ボルト毎に行い、 ヤコビアン行列の一般化逆行列を用いて、この計測結果から前記各調整ボルトの調整量を求め、 操作対象以外の前記調整ボルトを前記トルクで締め付けるとともに、操作対象の前記調整ボルトを前記調整量に応じて操作して前記電磁石を移動させ、前記電磁石の位置・姿勢を調整する、 ことを特徴とする電磁石の位置・姿勢調整方法。
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【発明の詳細な説明】【技術分野】 【0001】 本発明は、加速器に用いられる電磁石を据え付けるときに操作する調整ボルトの操作方法および電磁石の位置・姿勢調整方法に関する。 【背景技術】 【0002】 高エネルギ粒子を得るための加速器には、高エネルギ粒子の軌道を制御するために、複数の偏向電磁石や四極電磁石等が連続して設けられている。これらの電磁石は、高エネルギ粒子の周回軌道に対して正確に設置される必要がある。このため電磁石を建屋に据え付けるときは、高エネルギ粒子の周回軌道に合致するように電磁石をアライメントしなければならない。 【0003】 そして加速器に用いられる電磁石をアライメントする方法について開示されたものとして、例えば特許文献1が挙げられる。この特許文献1に開示された電磁石には、そのコアに水平方向の貫通孔が形成されており、この貫通孔の両端部出口にアライメントターゲットが配されている。そして1台のオートレベラーで貫通孔の一方側からこの貫通孔内を覗き込んで、貫通孔の両端部に配されたアライメントターゲットの高さが一致するように電磁石の高さを調整することにより、電磁石の高さ方向のアライメントを行っている。 【特許文献1】特開平6−163197号公報 【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】 【0004】 電磁石の位置および姿勢を調整する場合には、電磁石の下側に配置されている調整ボルトを操作して行っている。この調整ボルトは、電磁石を水平方向に調整する水平方向調整ボルトと、鉛直方向に調整する鉛直方向調整ボルトから構成され、それぞれ複数配置されている。 【0005】 この電磁石の位置および姿勢の調整作業は、作業員の手作業で行われているので作業員の経験によるところが大きく、容易に行うことができなかった。すなわち、例えばある1本の鉛直方向調整ボルトを操作する場合、水平方向調整ボルトを開放しておくのかまたは閉め込んでおくのか決められてなく、また閉め込んでおく場合でも締め込み量をどのくらいにするのか決められていなかった。そして水平方向調整ボルトを開放しておくとまたは締め込み量が少ないと、鉛直方向調整ボルトと電磁石の接触が完全な点接触ではないため、また電磁石を支えている鉛直方向調整ボルトと電磁石の重心位置との荷重負荷状態が均等ではないため、鉛直方向調整ボルトと電磁石の摩擦力によりこの調整ボルトの回転によって電磁石が水平方向に移動してしまう。この電磁石が思いもよらぬ方向へ動いてしまうことから、電磁石のアライメントを容易に行うことができなかった。また水平方向調整ボルトの締め込み量が多いと、鉛直方向調整ボルトを操作しても電磁石が全く動かないこととなる。またある1本の水平方向調整ボルトを操作した場合も、前述した鉛直方向調整ボルトと同様のことが起こる。 【0006】 また電磁石の位置および姿勢の調整作業は、調整ボルトを少しずつ操作して、トライアンドエラーの繰り返しで電磁石を目標値に追い込んでいくものであるから、電磁石1台当たりの据付時間がまちまちで予測が困難であり、ひいては加速器全体の工期に大きな影響を及ぼす虞があった。 本発明は、電磁石の高精度な据付を容易に行える調整ボルトの操作方法および電磁石の位置・姿勢調整方法を提供することを目的とする。 【課題を解決するための手段】 【0007】 本発明に係る調整ボルトの操作方法は、加速器を構成する電磁石の下側に鉛直方向調整ボルトおよび水平方向調整ボルトを配置し、前記鉛直方向調整ボルトおよび前記水平方向調整ボルトを用いて前記電磁石の位置・姿勢を調整するときに用いられるものである。 【0008】 そして本発明に係る調整ボルトの操作方法は、前記鉛直方向調整ボルトの操作して、前記電磁石の水平方向への移動を拘束しつつ鉛直方向へ移動可能にする前記水平方向調整ボルトのトルクを予め求め、前記電磁石を鉛直方向へ移動可能にする前記水平方向調整ボルトの前記トルクで前記水平方向調整ボルトを締め付け操作するとともに、前記鉛直方向調整ボルトを操作して前記電磁石を鉛直方向へ移動させることを特徴としている。 【0009】 また本発明に係る調整ボルトの操作方法は、移動方向に応じた操作対象の前記水平方向調整ボルトを操作して、前記電磁石の移動方向以外への移動を拘束する操作対象以外の他の前記水平方向調整ボルトのトルクを予め求め、前記電磁石を水平方向へ移動可能にする操作対象以外の他の前記水平方向調整ボルトの前記トルクで他の前記水平方向調整ボルトを締め付け操作するとともに、操作対象の前記水平方向調整ボルトを操作して前記電磁石を水平方向へ移動させることを特徴としている。 【0010】 また本発明に係る電磁石の位置・姿勢調整方法は、加速器を構成する電磁石の下側に、前記電磁石の位置・姿勢調整用の調整ボルト(鉛直方向調整ボルトおよび水平方向調整ボルト)を複数配置し、操作対象の前記調整ボルトを操作して前記電磁石を移動させるときの、操作対象以外の前記調整ボルトのトルクを予め求め、操作対象以外の前記調整ボルトを前記トルクで締め付けるとともに、操作対象の前記調整ボルトを操作して前記電磁石を移動させ、前記電磁石の位置・姿勢を計測するのを前記調整ボルト毎に行い、ヤコビアン行列の一般化逆行列を用いて、この計測結果から前記各調整ボルトの調整量を求め、操作対象以外の前記調整ボルトを前記トルクで締め付けるとともに、操作対象の前記調整ボルトを前記調整量に応じて操作して前記電磁石を移動させ、前記電磁石の位置・姿勢を調整する、ことを特徴としている。 【発明の効果】 【0011】 この調整ボルトの操作方法によれば、操作対象となっている調整ボルトを操作するときは、操作対象となっていない調整ボルトを所定のトルクで締め付けたり、開放したりしているので、電磁石を所望の移動方向のみに移動させることができる。すなわち本発明に係る調整ボルトの操作方法によれば、電磁石を移動させたい方向以外へ動くことがなく、また開放していなければならない調整ボルトを締め付けたことにより、この調整ボルトに干渉して電磁石の移動が妨げられる事態が発生しない。したがって電磁石の据え付け作業を容易に行うことができる。また電磁石の位置調整および姿勢調整して据え付けるまでの時間が短縮でき、電磁石1台当たりの据付時間を予測することができ、ひいては加速器全体の工期を見積もることができる。 【発明を実施するための最良の形態】 【0012】 以下に、本発明に係る調整ボルトの操作方法および電磁石の位置・姿勢調整方法の最良の実施形態について説明する。図1はアライメントシステムの説明図である。図2は調整ボルトの配置位置を説明する概念図である。図3は水平方向調整ボルトの配置位置の説明図である。 図1に示されるアライメントシステム10は、高エネルギ粒子の周回軌道に合致させて電磁石20を配設するために、3次元計測器12および演算手段14を備えている。電磁石20は、建屋の床16に配設された架台22上に配置されている。この架台22に調整ボルト24が設けられており、この調整ボルト24は、電磁石20を鉛直方向に移動させる鉛直方向調整ボルトV1〜V4と、水平方向に移動させる水平方向調整ボルトH1〜H6から構成されている(図2参照)。なお本実施形態では、鉛直方向調整ボルトV1〜V4は4本配置され、水平方向調整ボルトH1〜H6は6本配置されている。 【0013】 鉛直方向調整ボルトV1〜V4は、架台22の上面から突出して上下に移動可能に設けられており、この鉛直方向調整ボルトV1〜V4上に電磁石20が載せられている。具体的には、図2に示される鉛直方向調整ボルトV1〜V4は、電磁石20の底面の各角部と接触している。また電磁石20には、その下側における長手方向の両端付近に突起部30が設けられており、架台22に形成された突起部30よりも平面サイズの大きい孔部32(図3参照)に突起部30が差し込まれている。そして水平方向調整ボルトH1〜H6は、孔部32を形成する側部33に水平方向に移動可能として設けられており、電磁石20の外側となる3方向から突起部30に接触している。 【0014】 具体的には、図2において電磁石20の手前側に位置する端部に設けられた突起部30aには、この突起部30aの+Y方向の面に水平方向調整ボルトH5が接触し、−Y方向の面に水平方向調整ボルトH6が接触し、+X方向の面に水平方向調整ボルトH2が接触している。また図2において電磁石20の奥側に位置する端部に設けられた突起部30bには、この突起部30bの+Y方向の面に水平方向調整ボルトH3が接触し、−Y方向の面に水平方向調整ボルトH4が接触し、−X方向の面に水平方向調整ボルトH1が接触している。これにより電磁石20は、その下側に配置された調整ボルト24によって、位置調整および姿勢調整が可能になっている。なお鉛直方向調整ボルトV1〜V4および水平方向調整ボルトH1〜H6の先端は湾曲しており、電磁石20や突起部30と点接触している。 【0015】 各調整ボルト24は、図1に示されるように、ダイヤルゲージ34に接続されており、締め込み量を計測するようになっている。なお図1では、調整ボルト24に接続されるダイヤルゲージ34の記載を一部省略している。また電磁石20の上面には、計測用ターゲットP1,P2,P3が3つ配設されている。この計測用ターゲットP1〜P3は、一直線上に配置されて無く、三角形を構成するように配置されている。 【0016】 そして加速器が設置される建屋内には、計測用ターゲットP1〜P3の3次元座標を取得するための3次元計測器12が配設されている。3次元計測器12は、レーザ光の照射部と受光部を備えるとともに角度センサを備えている(不図示)。3次元計測器12は、レーザ光を計測用ターゲットP1〜P3に照射して、これから反射されてくる反射光を受光することにより、3次元計測器12から計測用ターゲットP1〜P3までの距離を計測するとともに、レーザ光を照射している角度を前記角度センサで計測する。これによって3次元計測器12は、測定している計測用ターゲットP1〜P3の3次元座標を求めている。この3次元計測器12と、ダイヤルゲージ34は、演算手段14に接続されている。 【0017】 次に、アライメントシステム10を用いて電磁石20の位置調整および姿勢調整を行う方法と、調整ボルト24の操作方法について説明する。図4は電磁石の位置および姿勢を調整するためのフローである。まず3次元計測器12を用いて電磁石20の上面に設けられた計測用ターゲットP1〜P3の各初期位置(3次元座標)を計測する(S100)。この計測結果は、3次元計測器12から演算手段14に送られる。 【0018】 次に、調整ボルト24のうちの1つを所定量操作した後、各計測用ターゲットP1〜P3の位置を3次元計測器12で計測する(S110)。具体的な一例として、鉛直方向調整ボルトV1を所定量(例えば1mm)送り込んで電磁石20の一点を持ち上げたときの、各計測用ターゲットP1〜P3の位置を計測する場合について説明する。まず水平方向調整ボルトH1〜H6を所定のトルクで締め付ける。この所定のトルクは、電磁石20の重さや形状等によって異なるが、例えば5[N・m]のトルクであればよい(図5参照)。なお所定のトルクは、電磁石20の水平方向への移動を拘束しつつ鉛直方向への移動を可能にする力であり、予め実験等をすることにより求められる。 【0019】 そして鉛直方向調整ボルトV1に接続されているダイヤルゲージ34で確認しながら、この鉛直方向調整ボルトV1を所定量送り込む。そして3次元計測器12を用いて各計測用ターゲットP1〜P3の位置(3次元座標)を計測し、計測結果を演算手段14に出力する。この計測が終了すると、鉛直方向調整ボルトV1を所定量送り出して、電磁石20をもとの状態に戻す。この後、他の鉛直方向調整ボルトV2〜V4についても、前述した鉛直方向調整ボルトV1と同様にして、所定量操作した後に各計測用ターゲットP1〜P3の位置を計測する。 【0020】 また水平方向調整ボルトH1を所定量(例えば1mm)送り込んで電磁石20を移動させたときの、各計測用ターゲットP1〜P3の位置を計測する場合は、次のようになる。まず水平方向調整ボルトH1を操作するのでその他の水平方向調整ボルトH2を送り出して突起部30との接触を開放するとともに、その他の水平方向調整ボルトH3〜H6を所定のトルクで締め付ける。この所定のトルクは、電磁石20の重さや形状等によって異なるが、例えば5[N・m]のトルクであればよい(図6参照)。なお所定のトルクは、電磁石20が移動方向以外へ移動するのを拘束して、移動方向への移動を可能にする力であり、予め実験等をすることにより求められる。 【0021】 そして水平方向調整ボルトH1に接続されているダイヤルゲージ34で確認しながら、この水平方向調整ボルトH1を所定量送り込む。なお図2に示される場合では、水平方向調整ボルトH1を送り込んで電磁石20を移動させる方向は+X方向である。そして3次元計測器12を用いて各計測用ターゲットP1〜P3の位置(3次元座標)を計測し、計測結果を演算手段14に出力する。この計測が終了すると、水平方向調整ボルトH1を所定量送り出して、電磁石20をもとの状態に戻す。この後、水平方向調整ボルトH2についても、前述した水平方向調整ボルトH1と同様にして、所定量操作した後に各計測用ターゲットP1〜P3の位置を計測する。 【0022】 さらに水平方向調整ボルトH3を所定量(例えば1mm)送り込んで電磁石20を移動させたときの、各計測用ターゲットP1〜P3の位置を計測する場合は、次のようになる。まず水平方向調整ボルトH3を操作するのでその他の水平方向調整ボルトH1,H4を送り出して突起部30との接触を開放するとともに、その他の水平方向調整ボルトH2,H5,H6を所定のトルクで締め付ける。この所定のトルクは、電磁石20の重さや形状等によって異なるが、例えば5[N・m]のトルクであればよい(図6参照)。なお所定のトルクは、電磁石20が移動方向以外へ移動するのを拘束して、移動方向への移動を可能にする力であり、予め実験等をすることにより求められる。 【0023】 そして水平方向調整ボルトH3に接続されているダイヤルゲージ34で確認しながら、この水平方向調整ボルトH3を所定量送り込む。なお図2に示される場合では、水平方向調整ボルトH3を送り込むと、手前側の突起部30aを中心にして電磁石20が回転移動する。そして3次元計測器12を用いて各計測用ターゲットP1〜P3の位置(3次元座標)を計測し、計測結果を演算手段14に出力する。この計測が終了すると、水平方向調整ボルトH3を所定量送り出して、電磁石20をもとの状態に戻す。この後、他の水平方向調整ボルトH4,H5,H6についても、前述した水平方向調整ボルトH3と同様にして、所定量操作した後に各計測用ターゲットP1〜P3の位置を計測する。 【0024】 なお各調整ボルト24を操作して電磁石20を移動させるときの、操作対象となっていない調整ボルト24の取扱いの一例を図5および図6に示す。ここで鉛直方向調整ボルトV1〜V4の操作時における水平方向調整ボルトH1〜H6の取扱いは図5に示されるようになり、水平方向調整ボルトH1〜H6の操作時におけるその他の水平方向調整ボルトH1〜H6の取扱いは図6に示されるようになっている。 【0025】 そしてS110において計測された計測用ターゲットP1〜P3の位置情報に基づいて、演算手段14は、電磁石20を設計された位置に設置するための各調整ボルト24の調整量を求める(S120)。この調整量の求め方を具体的に説明すると、以下のようになる。まず鉛直方向に電磁石20を移動させるための、鉛直方向調整ボルトV1〜V4の調整量の求め方を説明する。 【0026】 演算手段14は、S100において計測された計測用ターゲットP1〜P3の座標、P1:P10(x10,y10,z10)、P2:P20(x20,y20,z20)およびP3:P30(x30,y30,z30)を3次元計測器12から得て、これら3点の重心Gを求める。また演算手段14は、S110において鉛直方向調整ボルトV1を操作して電磁石20を移動させたときの計測用ターゲットP1〜P3の座標、P1:P11(x11,y11,z11)、P2:P21(x21,y21,z21)およびP3:P31(x31,y31,z31)を3次元計測器12から得て、これら3点の重心Gαを求める。そして演算手段14は、電磁石20を移動する前の重心Gの位置から移動した後の重心Gαの位置までの移動変動量G1(zg1,θxg1,θyg1)を求める。 【0027】 次に、演算手段14は、S110において鉛直方向調整ボルトV2を操作して電磁石20を移動させたときの計測用ターゲットP1〜P3の座標、P1:P12(x12,y12,z12)、P2:P22(x22,y22,z22)およびP3:P32(x32,y32,z32)を3次元計測器12から得て、これら3点の重心Gβを求める。そして演算手段14は、電磁石20を移動する前の重心Gの位置から移動した後の重心Gβの位置までの移動変動量G2(zg2,θxg2,θyg2)を求める。 【0028】 次に、演算手段14は、S110において鉛直方向調整ボルトV3を操作して電磁石20を移動させたときの計測用ターゲットP1〜P3の座標、P1:P13(x13,y13,z13)、P2:P23(x23,y23,z23)およびP3:P33(x33,y33,z33)を3次元計測器12から得て、これら3点の重心Gγを求める。そして演算手段14は、電磁石20を移動する前の重心Gの位置から移動した後の重心Gγの位置までの移動変動量G3(zg3,θxg3,θyg3)を求める。 【0029】 次に、演算手段14は、S110において鉛直方向調整ボルトV4を操作して電磁石20を移動させたときの計測用ターゲットP1〜P3の座標、P1:P14(x14,y14,z14)、P2:P24(x24,y24,z24)およびP3:P34(x34,y34,z34)を3次元計測器12から得て、これら3点の重心Gδを求める。そして演算手段14は、電磁石20を移動する前の重心Gの位置から移動した後の重心Gδの位置までの移動変動量G4(zg4,θxg4,θyg4)を求める。 【0030】 このような電磁石20を移動させたときの移動変動量G1〜G4から、数式1に示されるヤコビアン関係J(X1)が成立する。 【数1】
ここでL1〜L4は、それぞれ鉛直方向調整ボルトV1〜V4を所定量移動させたときの移動量である。 【0031】 そして鉛直方向調整ボルトV1〜V4は、数式1のヤコビアン行列の一般化逆行列を計算することで求めることができる。すなわち鉛直方向調整ボルトV1〜V4の調整量IJ(X1)は、数式2の関係から求められる。 【数2】
また水平方向に電磁石20を移動させるための、水平方向調整ボルトH1〜H6の調整量の求め方は、前述した鉛直方向調整ボルトV1〜V4の調整量の求め方と同様にして求めればよい。 【0032】 そしてS120で求められた鉛直方向調整ボルトV1〜V4および水平方向調整ボルトH1〜H6の調整量に応じて、各鉛直方向調整ボルトV1〜V4および水平方向調整ボルトH1〜H6を操作する(S130)。このとき、操作対象の調整ボルト24を操作するときは、S110において説明したのと同様に、操作対象以外の調整ボルト24を所定のトルクで締め付け操作しておく。すなわち、一例としては、鉛直方向調整ボルトV1〜V4のうちのいずれか1本を調整するときは、水平方向調整ボルトH1〜H6を図5に示されるトルクで締め付ける。また水平方向調整ボルトH1〜H6のうちのいずれか1本を調整するときは、その他の水平方向調整ボルトH1〜H6を図6に示されるトルクで締め付ける。 【0033】 そして求められた調整量に応じて各調整ボルト24を操作した後は、3次元計測器12を用いて計測用ターゲットP1〜P3の位置を計測する(S140)。この計測結果は演算手段14に送られて、演算手段14において計測された計測用ターゲットP1〜P3の位置が、電磁石20が設置される正規の位置となっているか確認する(S150)。すなわち電磁石20が、高エネルギ粒子の周回軌道に合致して配設されているか確認する。なお電磁石20の据付精度の一例は、±0.1[mm]である。そしてS150において電磁石20の設置位置を確認した結果、正規の設置位置に電磁石20が据え付けられていれば、電磁石20の位置調整および姿勢調整を終了する。これに対し、正規の設置位置に電磁石20が据え付けられていなければ、S120〜S150を繰り返す。 【0034】 このような調整ボルト24の操作方法によれば、操作対象となっている調整ボルト24を操作するときは、操作対象となっていない調整ボルト24を所定のトルクで締め付けたり、開放したりしているので、電磁石20を所望の移動方向のみに移動させることができる。すなわち本実施形態に係る調整ボルト24の操作方法によれば、電磁石20を移動させたい方向以外へ動くことがない。また開放していなければならない調整ボルト24を締め付けたことにより、この調整ボルト24に干渉して電磁石20の移動が妨げられる事態が発生しない。 【0035】 また、この調整ボルト24の操作方法を用いてヤコビアン行列の取得作業を行えば、各調整ボルト24の調整量と電磁石20の座標関係が定量的に、且つ、再現性をもって取得することができる。また、このヤコビアン行列から逆算した調整ボルト24の調整量に応じて各調整ボルト24を操作するときにも、上述した調整ボルト24の操作方法を用いれば、電磁石20を設置する正規の位置へ少ない作業回数で容易に移動させることができる。したがって、電磁石20の位置調整および姿勢調整して据え付けるまでの時間が短縮でき、電磁石20の1台当たりの据付時間を予測することができ、ひいては加速器全体の工期を見積もることができる。 【0036】 また調整ボルト24の調整量と電磁石20の座標値変化が再現性を持って定量的に把握することができるので、経験と熟練技能を必要としていた磁石の据え付け作業を効率化およびスキルフリー化することができ、また作業時間を平滑化することができる。 【図面の簡単な説明】 【0037】 【図1】アライメントシステムの説明図である。 【図2】調整ボルトの配置位置を説明する概念図である。 【図3】水平方向調整ボルトの配置位置の説明図である。 【図4】電磁石の位置および姿勢を調整するためのフローである。 【図5】鉛直方向調整ボルト操作時の水平方向調整ボルトの取扱い説明する図を示す。 【図6】水平方向調整ボルト操作時の鉛直方向調整ボルトの取扱い説明する図を示す。 【符号の説明】 【0038】 12………3次元計測器、14………演算手段、20………電磁石、24………調整ボルト、V1,V2,V3………鉛直方向調整ボルト、H1,H2,H3,H4,H5,H6………水平方向調整ボルト、30………突起部、P1,P2,P3………計測用ターゲット。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000005452 【氏名又は名称】株式会社日立プラントテクノロジー
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| 【出願日】 |
平成17年11月25日(2005.11.25) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100091306 【弁理士】 【氏名又は名称】村上 友一
【識別番号】100086922 【弁理士】 【氏名又は名称】大久保 操
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| 【公開番号】 |
特開2007−149405(P2007−149405A) |
| 【公開日】 |
平成19年6月14日(2007.6.14) |
| 【出願番号】 |
特願2005−339637(P2005−339637) |
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