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【発明の名称】 X線診断装置
【発明者】 【氏名】藤井 英樹

【要約】 【課題】被検体の体厚の大きさに基づくX線撮影条件の変更の手間と時間を減らし、X線診断を円滑に行い、かつ、良好な画像を得ることができるX線診断装置を提供することを目的とする。

【解決手段】自動露出検出器2で検出されたX線透過量に基づいて、X線照射を終了させる演算終了タイミングを演算するタイミング演算部22を備え、判定部23により演算終了タイミングが基準終了タイミング以前の時間ではないと判定された場合に、照射制御部4は、記憶部12に記憶されている撮影項目に対応した体厚補正条件を使ってX線撮影条件を補正し、X線管1からX線を照射させる制御を行うので、補正前のX線撮影条件での撮影時間より短い時間でX線撮影が行われ、X線画像にぶれが生じることを低減させ、かつ、X線画像にコントラストがつきにくくなることを低減させたX線画像を得ることができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)X線を照射するX線照射手段と、(B)撮影項目に対応した、前記X線照射手段から照射されるX線の条件を示すX線撮影条件、および撮影項目に対応した、被検体の体厚が大きいことに基づいて前記X線照射手段から照射されるX線を大きなものとする補正条件を示す体厚補正条件を記憶する記憶手段と、(C)前記記憶手段に記憶されているX線撮影条件に基づいて、前記X線照射手段からX線を照射させる制御を行う照射制御手段と、(D)前記X線照射手段から照射され、被検体を透過したX線を検出するX線検出手段と、(E)前記X線検出手段で検出された全てのX線の透過量が所定のX線透過量に達すると、前記照射制御手段に対してX線の照射を終了させる制御を行う自動露出制御手段と、(F)所定の期間に前記X線検出手段で検出されたX線透過量に基づいて、前記自動露出制御手段が前記照射制御手段に対してX線照射を終了させる演算終了タイミングを演算するタイミング演算手段と、(G)前記自動露出制御手段が前記照射制御手段に対してX線照射を終了させる基準のタイミングを基準終了タイミングとし、前記タイミング演算手段で演算された演算終了タイミングが基準終了タイミング以前の時間であるか否かを判定する判定手段と、(H)前記判定手段により演算終了タイミングが基準終了タイミング以前の時間ではないと判定された場合に、前記照射制御手段は、前記記憶手段に記憶されている体厚補正条件を使ってX線撮影条件を補正し、この補正されたX線撮影条件に基づいて、前記X線照射手段からX線を照射させる制御を行うことを特徴とするX線診断装置。
【請求項2】
請求項1に記載のX線診断装置において、(I)前記タイミング演算手段は、前記照射制御手段が補正されたX線撮影条件に基づいて、前記X線照射手段からX線を照射させる制御を行った後の所定の期間に、前記X線検出手段で検出されたX線透過量に基づいて、前記自動露出制御手段が前記照射制御手段に対してX線照射を終了させる演算終了タイミングの演算を行い、(J)前記判定手段は、当該タイミング演算手段で演算された演算終了タイミングを用いて、当該判定手段で演算終了タイミングが基準終了タイミング以前の時間であると判定されるまで所定の回数の判定を行い、(K)当該判定手段での判定の回数を計数する計数手段と、(L)前記計数手段で計数されるごとに、前記記憶手段に記憶されている体厚補正条件を前記X線照射手段から照射されるX線を大きなものとする補正条件へと変更する体厚補正条件変更手段と、を備え、(M)前記照射制御手段は、前記体厚補正条件変更手段により前記記憶手段に記憶されている体厚補正条件が変更されると、変更された体厚補正条件を使ってX線撮影条件を補正し、前記X線照射手段からX線を照射させる制御を行うことを特徴とするX線診断装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のX線診断装置において、体厚補正条件を入力することが可能な入力手段を備え、前記入力手段で入力された体厚補正条件は、前記記憶部に記憶されることを特徴とするX線診断装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一つに記載のX線診断装置において、前記記憶部に記憶されている体厚補正条件は、管電圧を示すものであることを特徴とするX線診断装置。
【請求項5】
請求項1から3のいずれか一つに記載のX線診断装置において、前記記憶部に記憶されている体厚補正条件は、管電流時間積を示すものであることを特徴とするX線診断装置。


【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
この発明は、X線照射手段から撮影対象にX線を照射し、撮影対象のX線画像を取得するX線診断装置に係り、特に、被検体の体厚に基づく体厚補正条件を使ってX線撮影条件を補正する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、X線診断装置でのX線診断は、X線撮影条件に基づいてX線撮影が行われている。また、X線照射手段から照射され、被検体を透過したX線が所定の量に達した時に、X線照射手段からのX線の照射を終了(遮断)する自動露出制御を行い、X線画像のコントラストを最適な状態にしている(特許文献1参照)。
【0003】
また、術者(X線撮影技師など)はX線撮影前に患者(被検体)の体格(体厚)を目視またはメジャー等での測定を行うことで体厚の大きさを得る。さらに、術者は、この体厚の大きさが標準より大きい場合など、目標(基準)とするX線照射時間内に自動露出制御によりX線照射を遮断することができず、X線画像にコントラストがつきにくくなると判断した場合に、手動でX線管電圧を高くしたり、体厚補正用スイッチを押したりすることによりX線撮影条件の補正を行う。その結果、補正前のX線撮影条件での撮影時間より短い時間でX線撮影が行われ、X線画像にぶれが生じることを低減させ、かつ、X線画像にコントラストがつきにくくなることを低減させた、良好な画像を得ている。
【特許文献1】特開2000−173795号公報(2頁、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来のX線診断装置では、次のような問題がある。すなわち、術者が患者(被検体)の体格(体厚)を目視する場合には、正確な体厚の大きさを得ることはできず、また術者が、メジャー等で測定すると正確な体厚の大きさを得ることは可能となるが、体厚の大きさを得るための手間と時間が必要となる。つまり、正確な体厚の大きさに基づいてX線撮影条件の補正を行い、良好な画像を得るためには、手間と時間がかかり、X線診断を円滑に行うことができないという問題がある。
【0005】
この発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、被検体の体厚の大きさに基づくX線撮影条件の補正の手間と時間を減らし、X線診断を円滑に行い、かつ、良好な画像を得ることができるX線診断装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明は、このような目的を達成するために、次のような構成をとる。
すなわち、請求項1に記載のX線診断装置の発明は、(A)X線を照射するX線照射手段と、(B)撮影項目に対応した、前記X線照射手段から照射されるX線の条件を示すX線撮影条件、および撮影項目に対応した、被検体の体厚が大きいことに基づいて前記X線照射手段から照射されるX線を大きなものとする補正条件を示す体厚補正条件を記憶する記憶手段と、(C)前記記憶手段に記憶されているX線撮影条件に基づいて、前記X線照射手段からX線を照射させる制御を行う照射制御手段と、(D)前記X線照射手段から照射され、被検体を透過したX線を検出するX線検出手段と、(E)前記X線検出手段で検出された全てのX線の透過量が所定のX線透過量に達すると、前記照射制御手段に対してX線の照射を終了させる制御を行う自動露出制御手段と、(F)所定の期間に前記X線検出手段で検出されたX線透過量に基づいて、前記自動露出制御手段が前記照射制御手段に対してX線照射を終了させる演算終了タイミングを演算するタイミング演算手段と、(G)前記自動露出制御手段が前記照射制御手段に対してX線照射を終了させる基準のタイミングを基準終了タイミングとし、前記タイミング演算手段で演算された演算終了タイミングが基準終了タイミング以前の時間であるか否かを判定する判定手段と、を備え、(H)前記判定手段により演算終了タイミングが基準終了タイミング以前の時間ではないと判定された場合に、前記照射制御手段は、前記記憶手段に記憶されている体厚補正条件を使ってX線撮影条件を補正し、この補正されたX線撮影条件に基づいて、前記X線照射手段からX線を照射させる制御を行うことを特徴とするものである。
【0007】
[作用・効果]請求項1の発明の作用は次のとおりである。
まず、X線撮影前には、記憶手段において撮影項目に対応した、X線照射手段から照射されるX線の条件を示すX線撮影条件、および撮影項目に対応した、被検体の体厚が大きいことに基づいて前記X線照射手段から照射されるX線を大きなものとする補正条件を示す体厚補正条件が記憶されている。次に、X線撮影時において、照射制御手段が記憶手段に記憶されているX線撮影条件に基づいてX線照射手段を制御し、X線照射手段からX線が照射される。この照射されたX線は被検体を透過しX線検出器で検出される。さらに、X線検出手段で検出された全てのX線の透過量が所定のX線透過量に達すると、自動露出制御手段は照射制御手段に対してX線の照射を終了させる制御を行う。また、タイミング演算手段は、所定の期間にX線検出手段で検出されたX線透過量に基づいて、自動露出制御手段が前記照射制御手段に対してX線照射を終了させる演算終了タイミングを演算する。さらに、判定手段は、このタイミング演算手段で演算された演算終了タイミングが、自動露出制御手段が照射制御手段に対してX線照射を終了させる制御を行う基準のタイミングである基準終了タイミング以前の時間であるか否かを判定する。ここで判定手段により演算終了タイミングが基準終了タイミング以前の時間であると判定された場合に、照射制御手段は記憶手段に記憶されている体厚補正条件を使ってX線撮影条件を補正し、この補正されたX線撮影条件に基づいて、X線照射手段からX線を照射するように制御する。
【0008】
このようにして、良好な画像を得るために、X線照射前に術者(X線撮影技師など)は被検体(患者)の体格(体厚)を目視またはメジャー等での測定を行う必要はなく、自動で被検体の体厚が大きいことに基づく体厚補正条件を使ってX線撮影条件を補正し、X線照射手段からX線を照射され、補正前のX線撮影条件での撮影時間より短い時間でX線撮影が行われ、X線画像にぶれが生じることを低減させ、かつ、X線画像にコントラストがつきにくくなることを低減させたX線画像を得ることができる。つまり、被検体の体厚の大きさに基づくX線撮影条件の補正の手間と時間を減らし、X線診断を円滑に行い、かつ、良好な画像を得ることができる。
【0009】
また、請求項2の発明は、請求項1に記載のX線診断装置において、(I)前記タイミング演算手段は、前記照射制御手段が補正されたX線撮影条件に基づいて、前記X線照射手段からX線を照射させる制御を行った後の所定の期間に、前記X線検出手段で検出されたX線透過量に基づいて、前記自動露出制御手段が前記照射制御手段に対してX線照射を終了させる演算終了タイミングの演算を行い、(J)前記判定手段は、当該タイミング演算手段で演算された演算終了タイミングを用いて、当該判定手段で演算終了タイミングが基準終了タイミング以前の時間であると判定されるまで所定の回数の判定を行い、(K)当該判定手段での判定の回数を計数する計数手段と、(L)前記計数手段で計数されるごとに、前記記憶手段に記憶されている体厚補正条件を前記X線照射手段から照射されるX線を大きなものとする補正条件へと変更する体厚補正条件変更手段と、を備え、(M)前記照射制御手段は、前記体厚補正条件変更手段により前記記憶手段に記憶されている体厚補正条件が変更されると、変更された体厚補正条件を使ってX線撮影条件を補正し、前記X線照射手段からX線を照射させる制御を行うことを特徴とするものである。
【0010】
[作用・効果]請求項2の発明によれば、タイミング演算手段は、照射制御手段が補正されたX線撮影条件に基づいて、X線照射手段からX線を照射させる制御を行った後の所定の期間に、X線検出手段で検出されたX線透過量に基づいて、自動露出制御手段が照射制御手段に対してX線照射を終了させる演算終了タイミングの演算を行う。次に、判定手段は、当該タイミング演算手段で演算された演算終了タイミングが基準終了タイミング以前の時間であるか否かを判定する。さらに、計数手段は、照射制御手段が補正されたX線撮影条件に基づいて、X線照射手段からX線を照射させる制御を行った後に行われた当該判定手段での判定の回数を計数する。体厚補正条件変更手段は、計数手段で計数されるごとに、記憶手段に記憶されている体厚補正条件をX線照射手段から照射されるX線を大きなものとする補正条件へと変更する。ここで、照射制御手段は、体厚補正条件変更手段により記憶手段に記憶されている体厚補正条件が変更されると、変更された体厚補正条件を使ってX線撮影条件を補正し、X線照射手段からX線を照射させる制御を行い、X線照射手段からX線が照射される。その後、これら上述したことを演算終了タイミングが基準終了タイミング以前の時間であると判定されるまで繰り返して行われる。したがって、体厚補正条件変更手段により、記憶手段に記憶されている体厚補正条件をX線照射手段から照射されるX線を大きなものとする補正条件へと変更され、自動露出制御手段は、照射制御手段に対して基準終了タイミング以前の時間にX線照射を終了させることができる。その結果、X線画像にぶれが生じることを、さらに低減させた良好な画像を得ることができる。
【0011】
また、請求項3の発明は、請求項1または請求項2に記載のX線診断装置において、体厚補正条件を入力することが可能な入力手段を備え、前記入力手段で入力された体厚補正条件は、前記記憶部に記憶されることを特徴とするものである。
【0012】
[作用・効果]請求項3の発明によれば、入力手段は、体厚補正条件を入力することが可能であり、入力手段で入力された体厚補正条件は、記憶部に記憶される。したがって、体厚補正条件自体を入力手段で入力することができ、容易に所定の体厚補正条件を記憶部に記憶させることができる。
【0013】
また、請求項4の発明は、請求項1から3のいずれか一つに記載のX線診断装置において、前記記憶部に記憶されている体厚補正条件は、管電圧を示すものであることを特徴とするものである。
【0014】
[作用・効果]請求項4の発明によれば、記憶部に記憶されている体厚補正条件は、管電圧を示すものである。したがって、この体厚補正条件である管電圧を使ってX線撮影条件の管電圧を補正することができる。
【0015】
また、請求項5の発明は、請求項1から3のいずれか一つに記載のX線診断装置において、前記記憶部に記憶されている体厚補正条件は、管電流時間積を示すものであることを特徴とするものである。
【0016】
[作用・効果]請求項5の発明によれば、記憶部に記憶されている体厚補正条件は、管電流時間積を示すものである。したがって、この体厚補正条件である管電流時間積を使ってX線撮影条件の管電流時間積を補正することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、被検体の体厚の大きさに基づく体厚補正条件を使ったX線撮影条件の補正の手間と時間を減らし、X線診断を円滑に行い、かつ、良好な画像を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、X線診断装置の各種の実施の形態を、図面に基づいて詳細に説明する。
【実施例1】
【0019】
実施例1のX線診断装置を、図面に基づいて詳細に説明する。図1はX線診断装置の全体構成を示すブロック図である。図2は実施例1に係る撮影制御部の構成を示すブロック図である。図3は表示部の設定画面を示す模式図である。図4は表示部の撮影画面を示す模式図である。
【0020】
X線診断装置の全体の構成について図1を用いて説明する。図1に示すように、X線診断装置は、被検体(患者)Mに向けてX線を照射するX線管1と、X線管1から照射され、被検体Mを透過したX線を検出する自動露出検出器2と、X線撮影に関する種々の制御を行う撮影制御部3と、撮影制御部3からの制御に基づいてX線管1の制御を行う照射制御部4と、X線撮影条件などを入力する入力部5と、X線撮影条件などを表示する表示部6と、X線撮影開始(X線照射開始)を指示する照射スイッチ7などが備えられている。つまり、照射スイッチ7の操作によりX線照射開始が指示され、撮影制御部3は入力部5で入力されたX線撮影条件に基づいて照射制御部4で高電圧を発生させてX線管1からX線を照射させる構成となっている。以下に、これら構成について詳細に説明する。
【0021】
まず、X線診断装置には、被検体(患者)Mを間にしてX線管1およびX線フィルム8が対向して配置されている。また、被検体MとX線フィルム8との間の被検体M側には散乱線除去用グリッド99、被検体MとX線フィルム8との間のX線フィルム8側には、自動露出検出器2が備えられている。散乱線除去用グリッド9は散乱線を除去し、X線フィルム8に散乱線を入射させないものであり、散乱線による画質の低下改善する構成となっている。また、X線フィルム8は、被検体Mを透過したX線によるX線透過像を写し出すものである。したがって、X線フィルム8には、散乱線が除去されたX線透過像を写し出すことが可能な構成となっている。また、自動露出検出器2は、X線管1から照射され被検体Mを透過したX線の強度に応じて発光する蛍光パネル(図示省略)と、この蛍光パネルにより発光した光を電気信号に変換する光電子増倍管(図示省略)などで構成されている。つまり、自動露出検出器2は、被検体Mを透過したX線の透過量に応じた電気信号を撮影制御部3に出力する構成となっている。なお、上述した、X線管1は、本発明におけるX線照射手段手段に相当する。上述した、自動露出検出器2は、本発明におけるX線検出手段に相当する。
【0022】
次に、撮影制御部3は、図2に示すように、自動露出検出器2から出力された電気信号を入力し、入力された全ての電気信号により示されるX線透過量が所定のX線透過量に達すると、照射制御部4に対してX線の照射を終了させる制御を行い、X線フィルム8に写し出される画像濃度を適正な状態とする自動露出制御を行う自動露出制御部(AEC)10と、この撮影制御部3内で必要となる演算制御処理を行うCPU11と、この演算制御などに必要なプログラムやデータを予め記憶する記憶部12と、CPU11により入出力制御され、撮影制御部3内のプログラムやデータなどの入出力が行われる入出力回路13(図1参照)と、照射スイッチ7でX線照射開始の操作を行った時点からの時間を計時するタイマ14とを備えている。
【0023】
具体的に、自動露出制御部10は、積分器15,比較検出器16,基準電圧メモリ17などから構成されている。積分器15は、自動露出検出器2から出力された電気信号を時間積分し、全てのX線透過量示す電圧信号として比較検出器16に出力する。比較検出器16は、積分器15から出力された電圧信号と、基準電圧メモリ17に記憶されている、撮影項目に対応した所定のX線透過量を示す基準電圧とを比較し、両方の電圧値が一致した時、つまり、積分器15から出力された電圧信号が基準電圧に達した時にX線照射終了信号をCPU11に出力する。また、基準電圧メモリ17に記憶される撮影項目に対応した基準電圧は、予め入力部5により入力され設定されている。なお、上述した、自動露出制御部10は、本発明における自動露出制御手段に相当する。
【0024】
記憶部12は、撮影項目に対応した、X線管1から照射されるX線の条件を示すX線撮影条件を記憶するX線撮影条件メモリ18と、撮影項目に対応した、被検体Mの体厚に基づくX線の補正条件を示す体厚補正条件を記憶する体厚補正条件メモリ19と、自動露出制御部10が照射制御部4に対してX線照射を終了させる基準のタイミングである基準終了タイミングを記憶する基準終了タイミングメモリ20と、X線撮影条件を設定するX線撮影プログラムなどの各種プログラムが記憶されているプログラムメモリ21などのメモリを備えている。
【0025】
ここで、撮影項目とは、撮影部位や撮影方向などを示すものであり、例えば、撮影部位には胸部,腹部,頭部などがあり、撮影方向には、正面,側面などがある。また、X線撮影条件とは、X線管1から照射されるX線を決定するための管電圧,管電流(管電流時間積),X線照射上限時間である。ここで、撮影項目に対応したX線撮影条件とは、例えば、胸部正面に対応した管電圧,管電流(管電流時間積),X線照射上限時間のそれぞれである。さらにX線照射上限時間とは、X線照射開始からX線が照射される最大の時間である。また、体厚補正条件とは、被検体Mの体厚に基づくX線の補正条件を示すものである。ここで、撮影項目に対応した補正条件とは、例えば、胸部正面に対応した補正条件(例えば、管電圧を4kV高くするなど)である。
【0026】
また、基準終了タイミングは、X線撮影条件の一つであるX線照射上限時間以前の所定の時間、例えば、X線照射上限時間半分の時間として設定される。なお、上述した、記憶部12は、本発明における記憶手段に相当する。
【0027】
CPU11は、このCPU11の一機能として、入力部5でX線撮影を行う撮影部位および撮影方向が入力されると、記憶部12のX線撮影条件メモリ18に記憶されている、撮影部位および撮影方向に対応したX線撮影条件と、記憶部12のプログラムメモリ21に記憶されているX線撮影プログラムとを読み出して、X線撮影条件(管電圧,管電流,X線照射上限時間)を示すX線撮影条件信号を照射制御部4に出力される構成となっている。さらに表示部6でこれらの撮影部位,撮影方向,X線撮影条件が表示される構成となっている。また、入力部5でX線撮影を行う撮影部位および撮影方向が入力されると、記憶部12の体厚補正条件メモリ19に記憶されている体厚補正条件が表示部6で表示される構成となっている。
【0028】
さらに、CPU11の一機能として、入力部5で撮影部位および撮影方向が入力され、X線撮影が行われるX線撮影条件(X線照射上限時間)が設定されると、記憶部12に記憶されているX線照射上限時間に基づいて、基準終了タイミングを演算し、基準終了タイミングメモリ20に記憶させ、さらに表示部6で基準終了タイミングが表示される構成となっている。
【0029】
また、CPU11は、照射スイッチ7からX線撮影を開始する指示がされたことを示すX線照射開始信号が入力されると、照射制御部4に対してX線照射開始信号を出力し、X線の照射を開始させる制御を行う。
【0030】
また、CPU11の一機能として、所定の期間に自動露出検出器2で検出されたX線透過量に基づいて、自動露出制御部10が照射制御部4に対してX線照射を終了させる演算終了タイミングを演算するタイミング演算部22と、このタイミング演算部22で演算された演算終了タイミングが、記憶部12の基準終了タイミングメモリ20に記憶されている基準終了タイミング以前の時間であるか否かを判定する判定部23などを備えている。さらに、判定部23により演算終了タイミングが基準終了タイミング以前の時間ではないと判定された場合、CPU11は、体厚補正条件メモリ19に記憶されている撮影項目に対応した体厚補正条件を読み出して、この撮影項目に対応した体厚補正条件を使ってX線撮影条件を補正した体厚補正条件信号を照射制御部4に出力し、さらに表示部6で補正後のX線撮影条件が表示される構成となっている。
【0031】
また、自動露出制御部10からのX線照射終了信号を入力すると、CPU11は照射制御部4に対してX線照射終了信号を出力し、X線の照射を終了させる制御を行う。なお、上述した、タイミング演算部22は、本発明におけるタイミング演算手段に相当する。上述した、判定部23は、本発明における判定手段に相当する。
【0032】
次に、照射制御部4は、図1に示すように管電圧制御部24,フィラメント電流制御部25を備えている。管電圧制御部24は、商用等の電源から高電圧に変換し、X線管1の陽極と陰極との電圧を制御するものである。また、フィラメント電流制御部25は、X線管1のフィラメント(陰極)を加熱し、これを制御してX線管1に流れる電流を制御するものである。具体的には、撮影制御部3から出力されたX線撮影条件信号を入力することで、管電圧制御部24から出力される電圧およびフィラメント電流制御部25から制御されるX線管1に流れる電流が設定される。さらに、照射制御部4は、撮影制御部3からのX線照射開始信号を入力すると、X線管1にX線の照射を開始させる制御を行われる構成となっている。
【0033】
さらに、照射制御部4は、撮影制御部3からの体厚補正条件信号を入力すると、体厚補正条件信号に基づいて、管電圧制御部24,フィラメント電流制御部25によりX線管1の制御が行われる。また、撮影制御部3からのX線照射終了信号を入力すると、X線管1からX線を照射させることを終了させる制御を行う構成となっている。また、X線が照射開始されてからX線照射上限時間(40ms)までに、X線照射終了信号が入力されない場合には、X線管1からX線を照射させることを終了させる制御を行う構成となっている。なお、上述した、照射制御部4は、本発明における照射制御手段に相当する。
【0034】
次に、入力部5は、キーボードやマウスなどの入力装置からなり、図3に示すような表示部6の画面上の撮影部位と撮影方向との組み合わせごとのX線撮影条件、被検体Mの体厚に基づく体厚補正条件を入力することが可能な構成となっている。
【0035】
次に、このX線診断装置を用いた、自動的に体厚補正条件をX線撮影条件に補正してX線撮影が行われる動作の流れについて図3〜図6を用いて詳細に説明する。図5は、実施例1に係る自動的に体厚補正条件をX線撮影条件に補正してX線撮影が行われる動作の流れを示すフローチャートである。図6は、実施例1に係るX線照射終了時間を示すグラフである。
【0036】
〔ステップS1〕X線撮影条件・体厚補正条件の設定
X線撮影前に撮影項目に対応したX線撮影条件の設定、撮影項目に対応した体厚補正条件の設定、撮影項目に対応した自動露出制御部10の基準電圧の設定を行う。まず、図3に示される表示部6の表示画面の下部に示される「設定」をマウスなどでクリックすることで、図3の上部には、「設定画面」と表示され、マウスおよびキーボードの操作により撮影項目に対応したX線撮影条件、撮影項目に対応した体厚補正条件、撮影項目に対応した自動露出制御部10の基準電圧を設定することが可能な状態となる。
【0037】
具体的には、撮影項目の一つである撮影部位が胸部,撮影方向が正面でのX線撮影条件および体厚補正条件の設定をする場合には、図3の表示画面において、撮影部位「胸部」、撮影方向「正面」を選択し、またX線撮影条件である管電圧「120」kV,管電流「250」mA,X線照射上限時間「40」ms(X線照射開始から最大40msの期間についてX線が照射される)などの数値を入力する。また、体厚補正条件には、「4」kVなどの数値を入力する。また、自動露出制御基準電圧「1.75」Vなどの数値を入力する。これらの入力を行った後、表示画面の下部に示される「確定」を選択し設定を終了する。さらに、表示部6での表示画面で「確定」が選択されると、撮影制御部3のCPU11の処理により、設定された撮影部位と撮影方向とに基づくX線撮影条件を記憶部12のX線撮影条件メモリ18に記憶され、撮影部位と撮影方向とに基づく被検体Mの体厚に基づくX線の体厚補正条件が体厚補正条件メモリ19に記憶され、撮影部位と撮影方向とに基づく自動露出制御基準電圧が自動露出制御部10の基準電圧メモリ17に記憶される。
【0038】
さらに、記憶部12のX線撮影条件メモリ18にX線撮影条件(X線照射上限時間)が記憶されると、CPU11は、記憶部12に記憶されているX線照射上限時間を読み出して、基準終了タイミングを演算し、基準終了タイミングメモリ20に記憶させる。例えば、X線照射上限時間40msである場合には、このX線照射上限時間の1/2の時間である20msが演算され、基準終了タイミングメモリ20に記憶される。
【0039】
ここで、胸部正面での例を示したが、その他の撮影項目に対応した、X線撮影条件,体厚補正条件,自動露出制御基準電圧についても同様にして入力部5での入力により設定され、記憶部12のX線撮影条件メモリ18にはX線撮影条件、体厚補正条件メモリ19には体厚補正条件記憶され、さらに、撮影項目に対応した基準終了タイミングが演算され基準終了タイミングメモリ20に記憶される。また、自動露出制御基準電圧は、自動露出制御部10の基準電圧メモリ17に記憶される。
【0040】
〔ステップS2〕X線撮影を行う撮影部位と撮影方向とを選択
例えば、図4に示される表示部6での表示画面の下部に示される「撮影」をマウスなどでクリックすると、図4に示すように表示画面の上部には、「撮影画面」と表示され、マウスおよびキーボードの操作によりX線撮影を行う撮影項目である撮影部位と撮影方向とを選択(入力)することができる状態となる。この撮影部位と撮影方向との入力に基づいて、撮影制御部3のCPU11により、記憶部12のX線撮影条件メモリ18に記憶されている撮影条件と、プログラムメモリ21に記憶されているX線撮影プログラムが読み出され、X線撮影条件(管電圧,管電流,X線照射上限時間)を示すX線撮影条件信号を照射制御部4に出力される。さらに、照射制御部4の管電圧制御部24から出力される電圧およびフィラメント電流制御部25から制御されるX線管1に流れる電流が設定される。また、図4に示される表示部6でX線撮影条件が表示される構成となっている。
【0041】
また、図4に示される表示部6での上部右側に表示されている自動露出制御の欄をマウスでクリックすることで、「ON」の表示をさせ、さらに、CPU11の処理により自動露出制御部10が動作状態となる設定がされる。
【0042】
〔ステップS3〕X線撮影開始
被検体(患者)Mを間にしてX線管1およびX線フィルム8を対向して配置させる。また、被検体(患者)Mは、X線撮影を行う撮影部位と撮影方向のX線透過像を得ることができる所定の位置に移動し、さらに所定の位置で静止した状態を保持することでX線撮影可能な状態となる。さらに、X線撮影技師などの術者は、X線撮影可能な状態と判断すると、ハンドスイッチである照射スイッチ7を押す操作によりX線撮影開始(X線照射開始)を指示する。
【0043】
照射スイッチ7が押されると、照射スイッチ7からはX線撮影を開始する指示がされたことを示すX線照射開始信号が撮影制御部3のCPU11に出力される。さらに、CPU11は、X線照射開始信号を照射制御部4に出力し、照射制御部4の撮影制御部3および管電圧制御部24から予め設定されているX線撮影条件(管電圧120kV,管電流250mA,X線照射上限時間40ms)に基づいて、X線管1を制御し、X線管1からX線が照射される。X線管1からX線が照射されると、照射されたX線は被検体Mを透過して散乱線除去用グリッド9、自動露出検出器2を透過してX線フィルム8に到達する。また、自動露出検出器2では、被検体Mを透過したX線の透過量に応じた電気信号を撮影制御部3の自動露出制御部10に出力する。
【0044】
また、照射スイッチ7が押されると、X線照射開始信号が撮影照射部のタイマ14にも出力され、タイマ14では、X線照射開始からの時間を計時し、撮影照射部のCPU11に出力する。
【0045】
〔ステップS4〕タイミング演算部での演算終了タイミング演算
CPU11のタイミング演算部22は、所定の期間に自動露出検出器2で検出されたX線透過量に基づいて、自動露出制御部10が照射制御部4に対してX線照射を終了させる演算終了タイミングを演算する。具体的には、所定の期間は、例えば、基準終了タイミングメモリ20に記憶されている基準終了タイミングの1/5の時間であり、基準終了タイミングが20msである場合には、所定の期間はX線照射開始から4msの期間である。したがって、タイミング演算部22は、タイマ14で計時された時間に基づいて、X線照射開始から4ms後に、自動露出制御部10の積分器15で時間積分される全てのX線透過量示す電圧信号(例えば、0.2V)を読み出す。また、タイミング演算部22は、自動露出制御部10の基準電圧メモリ17に記憶されている基準電圧(1.75V)を読み出す。ここで、タイミング演算部22は、X線照射開始から4ms後のX線透過量を示す電圧が0.2Vであることから、1msでX線透過量を示す電圧が0.05V増加し、基準電圧の1.75Vに到達するには、X線照射開始から35ms後であることが演算される。つまり演算終了タイミングは、X線照射開始から35msである。CPU11の判定部23に、この演算終了タイミングを示す信号を出力する。
【0046】
〔ステップS5〕判定部での判定
CPU11の判定部23は、タイミング演算部22からの演算終了タイミングを示す信号を入力し、また、記憶部12に記憶されている基準終了タイミングメモリ20に記憶されている演算終了タイミングを読み出す。さらに、演算終了タイミングが基準終了タイミング以前の時間であるか否かを判定する。例えば、演算終了タイミングが35ms、基準終了タイミング20msである場合には、演算終了タイミングが基準終了タイミング以前の時間ではないと判定されステップS6に進み、演算終了タイミングが基準終了タイミング以前の時間である場合には、ステップS8に進む。なお、基準終了タイミングは、被検体Mの体厚が通常の人の場合として設定しているため、被検体Mの体厚が通常の人より大きい場合に、このように演算終了タイミングが基準終了タイミング以前の時間ではないと判定されることになる。
【0047】
〔ステップS6〕体厚補正条件の読み出し
CPU11は、判定部23で演算終了タイミングが基準終了タイミング以前の時間ではないと判定されと、記憶部12の体厚補正条件メモリ19に記憶されている撮影項目に対応した体厚補正条件である管電圧(例えば、+4kV)を読み出して、この撮影項目に対応した体厚補正条件を使ってX線撮影条件を補正する体厚補正条件信号を照射制御部4に出力し、さらに表示部6で補正後のX線撮影条件が表示される。
【0048】
〔ステップS7〕体厚補正条件を使ってX線撮影条件を補正
撮影制御部3からの体厚補正条件信号が入力されると、照射制御部4の管電圧制御部24,フィラメント電流制御部25は、撮影項目に対応した体厚補正条件を使ってX線撮影条件を補正し、X線管1からX線を照射させる制御を行う。例えば、X線撮影条件の管電圧が120kV,体厚補正条件が管電圧+4kVであるとすると、X線照射開始されてから4ms後に管電圧が120kVから124kVに変更されたX線がX線管1から照射される。ここで、管電圧が高くなると、X線管1から照射されるX線量も増え、その結果、被検体Mを透過するX線透過量も増えることになる。したがって、撮影項目に対応した体厚補正条件を使ってX線撮影条件を補正した場合では、X線撮影条件だけの場合と比べて短い時間で、X線撮影を終了することになる。具体的には、図6に示すように、同じ画像濃度を得る場合、例えば、自動露出制御部の基準電圧メモリ17で記憶されている基準電圧が1.75Vである場合に、X線撮影条件だけの場合、図6に示される(a)の線のようになり、X線撮影終了となるのは、X線照射開始されてから35msの時点であるが、撮影項目に対応した体厚補正条件を使ってX線撮影条件を補正した場合には、X線照射開始されてから4ms後に管電圧が120kVから124kVに変更されることで、図6に示される(b)の線のような傾きの線に変化し、X線撮影終了となるのは、X線照射開始されてから4ms後から35msまでの間の時間となる。したがって、X線フィルム8に写し出されるX線画像にぶれが生じることを低減させ、かつ、X線画像にコントラスト(画像濃度)がつきにくくなることを低減させたX線画像を得ることになる。
【0049】
〔ステップS8〕自動露出制御
自動露出検出器2で検出された全てのX線透過量が所定のX線透過量に達したか否かを比較検出器16により検出し、所定のX線透過量に達した場合には、X線管1からのX線照射を終了させるためのX線照射終了信号をCPU11に出力する。所定のX線透過量に達した場合は、X線フィルム8にはコントラストがついたX線透過像を得た状態となり、ステップS9に進み、所定のX線透過量に達していない場合には、このステップS8の動作を繰り返し行われる。
【0050】
〔ステップS9〕X線撮影終了
照射制御部4は、撮影制御部3のCPU11からのX線照射終了信号を入力すると、X線管1からX線を照射させることを終了させる制御が行われる。
【0051】
上述したように実施例1でのX線診断装置によれば、X線撮影前には、撮影項目に対応した、記憶部12においてX線管1から照射されるX線の条件を示すX線撮影条件、および撮影項目に対応した、被検体Mの体厚の体厚が大きいことに基づいてX線管1から照射されるX線を大きなものとする補正条件を示す体厚補正条件が記憶されている。X線撮影時において、照射制御部4が記憶部12のX線撮影条件メモリ18に記憶されているX線撮影条件に基づいて照射制御部4を制御し、X線管1からX線が照射される。この照射されたX線は被検体Mを透過し自動露出検出器2で検出される。さらに、自動露出検出器2で検出された全てのX線の透過量が所定のX線透過量に達すると、自動露出制御部10は照射制御部4に対してX線の照射を終了させる制御を行う。また、タイミング演算部22は、所定の期間に自動露出検出器2で検出されたX線透過量に基づいて、自動露出制御部10が照射制御部4に対してX線照射を終了させる演算終了タイミングを演算する。さらに、判定部23は、このタイミング演算部22で演算された演算終了タイミングが、自動露出制御部10により照射制御部4に対してX線照射を終了させる制御を行う基準のタイミングである基準終了タイミング以前の時間であるか否かが判定する。ここで判定部23により演算終了タイミングが基準終了タイミング以前の時間であると判定された場合に、照射制御部4は記憶部12の体厚補正条件メモリ19に記憶されている体厚補正条件をX線撮影条件に補正して、X線管1からX線を照射するように制御する。したがって、良好な画像を得るために、X線照射前に術者(X線撮影技師など)は被検体(患者)の体格(体厚)を目視またはメジャー等での測定を行う必要はなく、正確な体厚の大きさを示す自動露出制御部10で検出された全てのX線透過量に基づいて、自動で被検体Mの体厚が大きいことに基づく体厚補正条件を使ってX線撮影条件を補正し、X線管1からX線を照射され、補正前のX線撮影条件での撮影時間より短い時間でX線撮影が行われ、X線画像にぶれが生じることを低減させ、かつ、X線画像にコントラストがつきにくくなることを低減させたX線画像を得ることができる。つまり、被検体Mの体厚の大きさに基づくX線撮影条件の補正の手間と時間を減らし、X線診断を円滑に行い、かつ、良好な画像を得ることができる。
【0052】
また、入力部5は、体厚補正条件である管電圧を入力することが可能であり、入力部5で入力された体厚補正条件である管電圧は、記憶部12に記憶される。したがって、体厚補正条件である管電圧を入力部5で入力することができ、容易に所定の体厚補正条件である管電圧を記憶部12に記憶させることができる。
【実施例2】
【0053】
実施例2のX線診断装置を、図面に基づいて詳細に説明する。図7は、実施例2に係る撮影制御部の構成を示すブロック図である。図8は、実施例2に係る自動露出制御部が照射制御部に対して基準終了タイミング以前の時間にX線照射を終了させる動作の流れを示すフローチャートである。図9は、実施例2に係るX線照射終了時間を示すグラフである。なお、上述した実施例1と同様の構成については、詳細な説明を省略する。
【0054】
実施例2のX線診断装置は図7に示すように、撮影制御部のCPU11の一機能として、タイミング演算部22は、照射制御部4が補正されたX線撮影条件に基づいて、X線管1からX線を照射させる制御を行った後の所定の期間に、自動露出検出器2で検出されたX線透過量に基づいて、自動露出制御部10が照射制御部4に対してX線照射を終了させる演算終了タイミングの演算を行い、判定部23は、当該タイミング演算部22で演算された演算終了タイミングを用いて、当該判定部23で演算終了タイミングが基準終了タイミング以前の時間であると判定されるまで所定の回数の判定を行い、当該判定部23での判定の回数を計数する計数部26と、計数部26で計数されるごとに、記憶部12に記憶されている体厚補正条件をX線管1から照射されるX線を大きなものとする補正条件へと変更する体厚補正条件変更部27と、を備えている構成となっている。
【0055】
さらに、照射制御部4は、体厚補正条件変更部27により記憶部12に記憶されている体厚補正条件が変更されると、変更された体厚補正条件を使ってX線撮影条件を補正し、X線管1からX線を照射させる制御を行う構成となっている。なお、上述した、計数部26は、本発明における計数手段に相当する。上述した、体厚補正条件変更部27は、本発明における体厚補正条件変更手段に相当する。
【0056】
次に、図8〜9を用いて、自動露出制御部10が基準終了タイミング以前の時間にX線照射を終了させる動作の流れを説明する。ここで、実施例1で説明した図5に示されるフローチャートのステップS1からステップS7については、実施例2においても同様であるので説明を省略し、ステップS7の続きを図8のステップT1とし、以下図8に示すステップT1からステップT6までを説明する。
【0057】
〔ステップT1〕タイミング演算部での演算終了タイミング演算
CPU11のタイミング演算部22は、照射制御部4が補正されたX線撮影条件に基づいて、X線管1からX線を照射させる制御を行った後の所定の期間に、所定の期間に自動露出検出器2で検出されたX線透過量に基づいて、自動露出制御部10が照射制御部4に対してX線照射を終了させる演算終了タイミングを演算する。具体的には、所定の期間は、例えば、図9に示す、照射制御部4が補正されたX線撮影条件に基づいて、X線管1からX線を照射させる制御を行った、X線照射開始から4msの時点からX線照射開始から6ms時点までの、2msの期間である。タイミング演算部22は、タイマ14で計時された時間に基づいて、X線照射開始から6ms後に、自動露出制御部10の積分器15で時間積分される全てのX線透過量を示す電圧信号(例えば、0.36V)を読み出す。また、タイミング演算部22は、自動露出制御部10の基準電圧メモリ17に記憶されている基準電圧(1.75V)を読み出す。ここで、タイミング演算部22は、X線照射開始から4ms後のX線透過量示す電圧が0.2Vであり、2msの期間に0.2Vから0.36Vに変化したことになり、1msでX線透過量を示す電圧が0.08V増加し、0.36Vから基準電圧の1.75Vに到達するには、X線照射開始から約23.4ms後であることが演算される。つまり演算終了タイミングは、X線照射開始から23.4msである。CPU11の判定部23に、この演算終了タイミングを示す信号を出力する。
【0058】
〔ステップT2〕判定部での判定
CPU11の判定部23は、タイミング演算部22からの演算終了タイミングを示す信号を入力し、また、記憶部12に記憶されている基準終了タイミングメモリ20に記憶されている演算終了タイミングを読み出す。さらに、演算終了タイミングが基準終了タイミング以前の時間であるか否かを判定する。演算終了タイミングが23.4ms、基準終了タイミング20msである場合には、演算終了タイミングが基準終了タイミング以前の時間ではないと判定されステップT3に進む。
【0059】
〔ステップT3〕体厚補正条件の設定
CPU11の計数部26は、照射制御部4が補正されたX線撮影条件に基づいて、X線管1からX線を照射させる制御を行った後に行われた当該判定部23での判定の回数を計数し、さらに、体厚補正条件変更部27は、計数部26で計数されるごとに、記憶部12に記憶されている体厚補正条件をX線管1から照射されるX線を大きなものとする補正条件へと変更する。具体的には、照射制御部4が補正されたX線撮影条件に基づいて、X線管1からX線を照射させる制御を行った後に判定部23では、判定は1回行われたので、計数部26で1回が計数され、さらに、体厚補正条件変更部27は、計数部26で計数された回数が1回増えるごとに管電圧を1kVづつ大きくしたものを変更する。この場合、
体厚補正条件変更部27は、記憶部12の体厚補正条件メモリ19に記憶されている体厚補正条件が管電圧(+4kV)を示すものであることから、記憶部12の体厚補正条件メモリ19に記憶されている体厚補正条件を4kVから1kV大きくした管電圧(+5kV)に変更して記憶させる。
【0060】
〔ステップT4〕体厚補正条件を使ってX線撮影条件を補正
照射制御部4は、体厚補正条件変更部27により記憶部12に記憶されている体厚補正条件が変更されると、変更された体厚補正条件である管電圧(+5kV)を使ってX線撮影条件を補正し、X線管1からX線を照射させる制御を行い、X線管1からX線が照射される。具体的には、X線照射が開始されてから6ms後に管電圧が124kVから125kVに変更されたX線がX線管1から照射される。ここで、管電圧が高くなると、X線管1から照射されるX線量も増え、その結果、被検体Mを透過するX線透過量も増えることになる。
【0061】
ここで、ステップT1に戻り、タイミング演算部22での演算終了タイミング演算が演算される。CPU11のタイミング演算部22は、体厚補正条件変更部27により記憶部12に記憶されている体厚補正条件が変更され、この体厚補正条件を使ってX線撮影条件を補正し、X線管1からX線を照射させる制御を行った後の所定の期間に、自動露出検出器2で検出されたX線透過量に基づいて、自動露出制御部10が照射制御部4に対してX線照射を終了させる演算終了タイミングを演算する。例えば、図9に示すように、所定の期間は、X線照射開始から6msの時点からX線照射開始から8ms時点までの、2msの期間である。タイミング演算部22は、タイマ14で計時された時間に基づいて、X線照射開始から8ms後に、自動露出制御部10の積分器15で時間積分される全てのX線透過量を示す電圧信号(例えば、0.56V)を読み出す。また、タイミング演算部22は、自動露出制御部10の基準電圧メモリ17に記憶されている基準電圧(1.75V)を読み出す。ここで、タイミング演算部22は、X線照射開始から6ms後のX線透過量示す電圧が0.36Vであり、2msの期間に0.36Vから0.56Vに変化したことから、1msでX線透過量を示す電圧が0.1V増加し、0.56Vから基準電圧の1.75Vに到達するには、X線照射開始から19.9ms後であることが演算される。
【0062】
さらに、ステップT2に進み、演算終了タイミングが基準終了タイミング以前の時間であるか否かを判定する。CPU11の判定部23は、タイミング演算部22からの演算終了タイミングを示す信号を入力し、また、記憶部12に記憶されている基準終了タイミングメモリ20に記憶されている演算終了タイミングを読み出す。さらに、演算終了タイミングが基準終了タイミング以前の時間であるか否かを判定する。演算終了タイミングが19.9ms、基準終了タイミング20msである場合には、演算終了タイミングが基準終了タイミング以前の時間であると判定され、ステップT5に進む。
【0063】
したがって、図9に示すように、同じ画像濃度を得る場合、例えば、自動露出制御部の基準電圧メモリ17で記憶されている基準電圧が1.75Vである場合に、X線撮影条件(管電圧120kV)だけの場合、図9に示される(a)の線のようになり、X線撮影終了となるのは、X線照射開始されてから35msの時点であるが、体厚補正条件である管電圧(+4kV)を使ってX線撮影条件を補正した場合には、X線照射開始されてから4ms後に管電圧が120kVから124kVに変更されることで、図9に示される(b)の線のような傾きの線に変化し、X線撮影終了となるのは、X線照射開始されてから23.4msの時点であるが、演算終了タイミングが基準終了タイミング以前の時間とはならない。さらに、体厚補正条件である管電圧(+5kV)を使ってX線撮影条件を補正した場合には、演算終了タイミングは、X線照射開始されてから6ms後に管電圧が124kVから125kVに変更されることで、図9に示される(c)の線のような傾きの線に変化し、X線撮影終了となるのは、X線照射開始から19.9msとなり、演算終了タイミングが基準終了タイミング以前の時間となる。
【0064】
〔ステップT5〕自動露出制御
自動露出検出器2で検出された全てのX線透過量が所定のX線透過量に達したか否かを比較検出器16により検出し、所定のX線透過量に達した場合には、X線管1からのX線照射を終了させるためのX線照射終了信号をCPU11に出力する。所定のX線透過量に達した場合は、X線フィルム8にはコントラストがついたX線透過像を得た状態となり、ステップT5に進み、所定のX線透過量に達していない場合には、このステップT5の動作を繰り返し行われる。
【0065】
〔ステップT6〕X線撮影終了
照射制御部4は、撮影制御部3のCPU11からのX線照射終了信号を入力すると、X線管1からX線を照射させることを終了させる制御が行われる。
【0066】
上述したように実施例2でのX線診断装置によれば、タイミング演算部22は、照射制御部4が補正されたX線撮影条件に基づいて、X線管1からX線を照射させる制御を行った後の所定の期間に、自動露出検出器2で検出されたX線透過量に基づいて、自動露出制御部10が照射制御部4に対してX線照射を終了させる演算終了タイミングの演算を行う。次に、判定部23は、当該タイミング演算部22で演算された演算終了タイミングが基準終了タイミング以前の時間であるか否かを判定する。さらに、計数部26は、照射制御部4が補正されたX線撮影条件に基づいて、X線管1からX線を照射させる制御を行った後に行われた当該判定部23での判定の回数を計数する。体厚補正条件変更部27は、計数部26で計数されるごとに、記憶部12に記憶されている体厚補正条件をX線管1から照射されるX線を大きなものとする補正条件へと変更する。ここで、照射制御部4は、体厚補正条件変更部27により記憶部12に記憶されている体厚補正条件が変更されると、変更された体厚補正条件を使ってX線撮影条件を補正し、X線管1からX線を照射させる制御を行い、X線管1からX線が照射される。その後、これら上述したことを演算終了タイミングが基準終了タイミング以前の時間であると判定されるまで繰り返して行われる。したがって、体厚補正条件変更部27により、記憶部12に記憶されている体厚補正条件をX線管1から照射されるX線を大きなものとする補正条件へと変更され、自動露出制御部10は、照射制御部4に対して基準終了タイミング以前の時間にX線照射を終了させることができる。その結果、X線画像にぶれが生じることを、さらに低減させた良好な画像を得ることができる。
【0067】
この発明は、上記実施形態に限られることはなく、下記のように変形実施することができる。
【0068】
(1)上述した実施例1において、タイミング演算部22は、X線照射開始から4ms後に、自動露出制御部10の積分器15で時間積分される全てのX線透過量示す電圧信号を読み出して、演算終了タイミングを演算するようにしていたが、X線照射開始後からではない所定の期間、例えばX線照射開始から1ms後からX線照射開始から4msまでの3msの期間でのX線透過量示す電圧信号を読み出して、1msあたりのX線透過量示す電圧を求めることにより演算終了タイミングを演算するようにしてもよい。
【0069】
(2)上述した実施例1および2において、X線管1から照射され被検体Mを透過したX線は、X線フィルム8により写し出されるようにしていたが、X線フィルム8に代えて、フラットパネル型X線検出器により被検体Mを透過したX線を検出し、検出された信号を画像処理し、モニタやプリンタなどの出力装置により出力するようにしてもよい。
【0070】
(3)上述した実施例1および2において、撮影項目に対応した、被検体の体厚に基づくX線の補正条件を示す体厚補正条件を管電圧として説明したが、体厚補正条件を管電流時間積とするようにしてもよく、また、入力部5は体厚補正条件を管電圧として入力することが可能であったが、体厚補正条件を管電流時間積として、入力部5で入力することができるようにしてもよく、その結果、容易に所定の体厚補正条件である管電流時間積を記憶部12に記憶させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】X線診断装置の全体構成を示すブロック図である。
【図2】実施例1に係る撮影制御部の構成を示すブロック図である。
【図3】表示部の設定画面を示す模式図である。
【図4】表示部の撮影画面を示す模式図である。
【図5】実施例1に係る自動的に体厚補正条件をX線撮影条件に補正してX線撮影が行われる動作の流れを示すフローチャートである。
【図6】実施例1に係るX線照射終了時間を示すグラフである。
【図7】実施例2に係る撮影制御部の構成を示すブロック図である。
【図8】実施例2に係る基準終了タイミング以前の時間にX線照射を終了させる動作の流れを示すフローチャートである。
【図9】実施例2に係るX線照射終了時間を示すグラフである。
【符号の説明】
【0072】
1 …X線管(X線照射手段)
2 …自動露出検出器(X線検出手段)
4 …照射制御部(照射制御手段)
10 …自動露出制御部(自動露出制御手段)
12 …記憶部(記憶手段)
22 …タイミング演算部(タイミング演算手段)
23 …判定部(判定手段)
26 …計数部(計数手段)
27 …体厚補正条件変更部(体厚補正条件変更手段)

【出願人】 【識別番号】000001993
【氏名又は名称】株式会社島津製作所
【出願日】 平成18年2月9日(2006.2.9)
【代理人】 【識別番号】100093056
【弁理士】
【氏名又は名称】杉谷 勉


【公開番号】 特開2007−213979(P2007−213979A)
【公開日】 平成19年8月23日(2007.8.23)
【出願番号】 特願2006−32617(P2006−32617)