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【発明の名称】 X線装置の運転方法及びX線装置
【発明者】 【氏名】エバーハルト レンツ

【要約】 【課題】X線装置を長期間運転する際の陽極表面の変形による性能低下を少なくする。

【解決手段】X線装置の運転の際にX線Rを発生させるため、陰極4と陽極5との間に与えられる電流Iないし電圧Uが、投入時点からあらかじめ与えられた期間t1の終了まで間断なく動作電流の強さIBないし動作電圧UBに向かって高められるように制御される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
X線装置の運転の際にX線(R)を発生させるため、陰極(4)と陽極(5)との間に出発値に関してあらかじめ与えられた動作電流の強さ(IB)の電流ないしあらかじめ与えられた高さの動作電圧(UB)が与えられるX線装置の運転方法において、動作電流の強さ(IB)ないし動作電圧(UB)が投入時点からあらかじめ与えられた第1の期間(t1)の終了まで間断なく動作電流の強さ(IB)ないし動作電圧(UB)に向かって高められるように、電流(I)ないし電圧(U)が制御されることを特徴とするX線装置の運転方法。
【請求項2】
X線装置の運転の際にX線(R)を発生させるため、陰極(4)に加熱のため出発値に関してあらかじめ与えられた動作電流の強さ(IB)の電流ないしあらかじめ与えられた高さの動作電圧(UB)が与えられるX線装置の運転方法において、動作電流の強さ(IB)ないし動作電圧(UB)が投入時点からあらかじめ与えられた第1の期間(t1)の終了まで間断なく動作電流の強さ(IB)ないし動作電圧(UB)に向かって高められるように、電流(I)ないし電圧(U)が制御されることを特徴とするX線装置の運転方法。
【請求項3】
動作電流の強さ(IB)ないし動作電圧(UB)が遮断時点から第2の期間(t2)の終了まで間断なく出発値に向かって低下されるように電流(I)ないし電圧(U)が制御されることを特徴とする請求項1又は2記載の運転方法。
【請求項4】
第1の期間(t1)及び第2の期間(t2)又はそのいずれか一方の期間が0.5〜2秒の値であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の方法。
【請求項5】
X線(R)を発生させるため、あらかじめ与えられた動作電流の強さ(IB)を有する電流ないしあらかじめ与えられた動作電圧(UB)を有する電圧を発生させるための装置(1)が陰極(4)と陽極(5)との間に設けられているX線装置において、電流(I)ないし電圧(U)を制御するための装置(3)が設けられ、動作電流の強さ(IB)ないし動作電圧(UB)が投入時点から第1の期間(t1)の終了まで間断なく動作電流の強さ(IB)ないし動作電圧(UB)に向かって高められるようになっていることを特徴とするX線装置。
【請求項6】
X線(R)を発生させるため、あらかじめ与えられた動作電流の強さ(IB)を有する電流ないしあらかじめ与えられた動作電圧(UB)により陰極(4)を加熱するための陰極加熱部が設けられているX線装置において、電流(I)ないし電圧(U)を制御するための装置(3)が設けられ、動作電流の強さ(IB)ないし動作電圧(UB)が投入時点から第1の期間(t1)の終了まで間断なく動作電流の強さ(IB)ないし動作電圧(UB)に向かって高められるようになっていることを特徴とするX線装置。
【請求項7】
装置(3)によって、動作電流の強さ(IB)ないし動作電圧(UB)が遮断時点から第2の期間(t2)の終了まで間断なく出発値に向かって低下されるように電流(I)ないし電圧(U)が制御されることを特徴とする請求項5又は6記載のX線装置。
【請求項8】
第1の期間(t1)及び第2の期間(t2)又はそのいずれか一方の期間が0.5〜2秒の値であることを特徴とする請求項5〜7のいずれか1つに記載のX線装置。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、X線装置を運転するための方法及びX線装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来技術によれば、真空密のハウジング内に陰極及び向かい合った配置で陽極が設けられているX線装置が一般に知られている。X線を発生させるため、陰極と陽極との間に高電圧が加えられ、陰極が加熱される。陽極に向けられた電子線が形成され、その電子線によって衝突の際陽極上にX線と熱とが発生する。特に、高い勾配の形成を伴う熱が繰り返し発生することにより、陽極の表面が変形する。そこにはいわゆる「オレンジ肌」が生じる。その結果陽極の表面に場合によって設けられている保護被膜もはがれることがある。
【0003】
表面における上述の可塑的な変形の形成及び場合によっては保護被膜のはがれは、時間の経過に従い、得られるべき性能の低下に導く。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の課題は、X線装置の運転方法及びX線装置において、X線装置を長期間運転する際の性能低下をより少なくすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この課題は、請求項1、2、5及び6の特徴によって解決される。好適な実施態様は、請求項3及び4並びに7及び8の特徴からもたらされる。
【0006】
本発明によれば、電流ないし電圧は、動作電流の強さないし動作電圧が投入時点からあらかじめ与えられた第1の期間の終了まで、動作電流の強さないし動作電圧に向かって間断なく高められるように制御される。
【0007】
「電流」ないし「電圧」という概念は、X線の発生のために、陰極と陽極との間に加えられる電流ないし電圧、又は陰極を加熱するために使用される電流ないし電圧を意味する。もちろん、両電流ないし電圧を、本発明の意味において、陽極の間断ない加熱ないし冷却が得られるように変えることも可能である。
【0008】
本発明の特徴によれば、陽極の表面における熱衝撃電圧の形成及びその結果可塑的な変形を著しく減ずることができる。場合によって陽極表面に設けられる保護被膜が剥げ落ちることはない。X線装置は長期間にわたって変わらない性能で駆動することができる。
【0009】
「間断なく」という概念は、本発明の枠内においては、動作電流の強さないし動作電圧を含めて電流ないし電圧の連続的な、しかしまた不連続な上昇を意味する。不連続な上昇とは、例えば段階状の上昇である。「期間」は、陽極が突然にではなく連続的に加熱され、それにともなって熱衝撃電圧の形成が避けられるように選ばれる。
【0010】
有利な構成に従えば、電流ないし電圧は、動作電流の強さないし動作電圧が遮断時点から第2の期間の終了まで出発値に向かって低下されるように制御されることが定められている。それにともなって、高い温度値の特に急速な冷却およびそれと結びつく熱衝撃電圧の形成を回避することができる。それ故陽極の表面における望ましくない可塑的な変形がさらに減ぜられる。
【0011】
第1、第2の期間は0.5〜2秒の値が有利である。実際上はこれらの期間はX線装置、特に固定陽極を持ったX線装置の利用可能性(アベイラビリティ)を制限するものではない。それにもかかわらず、これらの比較的短い期間によって、X線装置の性能の長期間にわたる著しい改善が達成される。
【0012】
本発明によればさらに、X線装置において、電流ないし電圧を制御するための装置が設けられ、その結果動作電流の強さないし動作電圧を投入時点から第1の期間の終了まで間断なく動作電流の強さないし動作電圧へ向かって高めることができる。
【0013】
「電流」ないし「電圧」という概念は、電子線を発生するため陰極と陽極との間に加えられる電流ないし電圧、又は陰極を加熱するために使用される電流ないし電圧を意味する。陽極の間断のない加熱ないし冷却を達成するため、両電流ないし電圧を変えることができる。このようなX線装置によれば、長期間にわたっても卓越した性能を達成することができる。
【0014】
「電流ないし電圧を制御するための装置」とは、この装置によってX線管の電流ないし電圧をあらかじめ与えられた動作電流の強さないし動作電圧に向かって間断なく上昇させることができる従来から知られている装置を用いることができる。このような制御のための装置の代わりに、調節のための装置を使用することもできる。その場合操作値として陽極の温度又は陽極から照射されるX線の強度を用いることができる。
【0015】
有利な構成に従えば、装置によって、動作電流の強さないし動作電圧が遮断時点から第2の期間の終了まで間断なく出発値へ向かって下げられるように電流ないし電圧を制御することができる。「間断のない」上昇ないし低下とは、連続的又は不連続的な上昇ないし低下を意味する。不連続的な上昇ないし低下とは、例えば段階的な上昇ないし低下である。遮断の際電流ないし電圧が突然ではなく間断なくあらかじめ与えられた時間遅れに従い低下されることによって、陽極の冷却を熱衝撃電圧の形成を避けながら達成することができる。陽極における可塑的な変形を回避することができ、それにともなってX線装置のほぼ同じ性能を長期間にわたっても保証することができる。
【0016】
有利な構成に従えば、第1ないし第2の期間は0.5〜2秒の値である。上述の期間は実際に陽極の表面における熱衝撃電圧を回避するのに十分であることが実証された。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下本発明を図面に示す実施例について詳細に説明する。
【実施例】
【0018】
図1は本発明によるX線装置の概略を示したものである。高電圧発生器1と全体を符号2で示したX線管との間に制御及び調節装置3が接続されている。制御及び調節装置3によって、高電圧発生器1によって供給される電流Iないし電圧Uが制御され、陰極4と陽極5との間に流れる電流が第1の期間t1内では間断なく動作電流の強さIBないし動作電圧UBへ向かって高められる。装置3によって逆のようにして、遮断の際に動作電流の強さIBないし動作電圧UBを遮断時点に続く第2の期間t2内では間断なく出発値、例えば0に低下させることも可能である。
【0019】
図1に示すものと類似する様式で、陰極加熱部が制御及び調節装置を備え、それにともない陰極4の加熱電流を相応に調節し得るようにすることもできる。それによっても陽極5の加熱ないし冷却の所望のプロフィルを得ることができる。
【0020】
図2は電流Iないし電圧Uの経過を任意の単位WEで示す。投入があると、電流Iないし電圧Uは連続的に投入時点から第1の期間t1内ではあらかじめ設定された動作電流の強さIBないし動作電圧UBへ向かって高められる。続いて動作電流の強さIBないし動作電圧UBは遮断時点まで一定に止まる。遮断時点から進行の始まる第2の期間t2内では、電流Iないし電圧Uは連続的に出発値、例えば0まで低下せしめられる。陽極5に加わる電流Iの間断ない上昇ないし減少によって、陽極の温度は、熱衝撃電圧が回避されるような程度で上昇ないし降下する。その結果、それによって引き起こされる陽極5の表面における可塑的な変形は回避される。形成されたX線Rの望ましくない方向への照射及びそれにともなうX線装置の性能の低下を生じる「オレンジ肌」が形成されることはない。
【0021】
第2図に示される陽極に加わる電流Iないし電圧Uの間断ない上昇ないし減少は、直線的のみならず、段階的にも行わせることができる。ここで重要なことは、陽極が従来技術と異なり投入時点において直ちに動作電流の強さIBないし電圧UBを加えられるのではなく、電流Iないし電圧Uはあらかじめ与えられた期間内に動作値へ向かって上昇せしめられ、その結果陽極表面に熱衝撃電圧が形成されることがないことである。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】X線装置の主要構成要素の概略説明図である。
【図2】電流及び電圧の時間に対する経過図である。
【符号の説明】
【0023】
1 高電圧発生器
2 X線管
3 制御及び調節装置
4 陰極
5 陽極
R X線
I 電流
U 電圧
IB 動作電流の強さ
UB 動作電圧
t 時間
1 第1の期間
2 第2の期間
【出願人】 【識別番号】390039413
【氏名又は名称】シーメンス アクチエンゲゼルシヤフト
【氏名又は名称原語表記】Siemens Aktiengesellschaft
【住所又は居所原語表記】Wittelsbacherplatz 2, D−80333 Muenchen, Germany
【出願日】 平成18年8月17日(2006.8.17)
【代理人】 【識別番号】100075166
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 巖


【公開番号】 特開2007−53097(P2007−53097A)
【公開日】 平成19年3月1日(2007.3.1)
【出願番号】 特願2006−222331(P2006−222331)