| 【発明の名称】 |
エアロゾル荷電中和装置 |
| 【発明者】 |
【氏名】大司 毅
【氏名】小山 哲司
【氏名】權 純博
【氏名】瀬戸 章文
【氏名】櫻井 博
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| 【要約】 |
【課題】構造が簡単で、かつ保守も容易なエアロゾル荷電中和装置を提供する
【解決手段】エアロゾルが流通可能なエアロゾル流通路を構成している導電材製の筒体を有し筒体の中心線11を挟んで対向して配置されて筒体壁面を貫通する対をなす開口からなる開口対を有するエアロゾル流通容器2と、絶縁材料製の筒部を有し筒部の中心線11を挟んで対向して配置されて筒部壁面を貫通する対をなす窓14a、14bからなる窓対14を有していて窓14a、14bが開口と一致する状態でエアロゾル流通容器2の外面に同心状に嵌合している絶縁筒と、誘電体膜上に放電電極22を有し窓14a、14bを閉じかつ放電電極22がエアロゾル流通路に露出している状態で絶縁筒に取り付けられている両極イオン発生素子と、及び絶縁筒と両極イオン発生素子とをエアロゾル流通容器2との間に気密に内包する外筒4とを備える |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 上流端にエアロゾル流入口を有し下流端にエアロゾル流出口を有してエアロゾルが流通可能なエアロゾル流通路を構成している導電材製の筒体を有し前記筒体の中心線を挟んで対向して配置されて筒体壁面を貫通する対をなす開口からなる開口対を有するエアロゾル流通容器と、絶縁材料製の筒部を有し前記筒部の中心線を挟んで対向して配置されて筒部壁面を貫通する対をなす窓からなる窓対を有していて前記窓が前記開口と一致する状態で前記エアロゾル流通容器の外面に同心状に嵌合している絶縁筒と、誘電体膜上に放電電極を有し前記窓を閉じかつ前記放電電極が前記エアロゾル流通路に露出している状態で前記絶縁筒に取り付けられている両極イオン発生素子と、及び前記絶縁筒と前記開口と前記両極イオン発生素子とを前記エアロゾル流通容器との間に気密に内包する外筒とを備えることを特徴とするエアロゾル荷電中和装置。 【請求項2】 前記開口対及び窓対はそれぞれ一または二以上であることを特徴とする請求項1記載のエアロゾル荷電中和装置。 【請求項3】 前記外筒は前記エアロゾル流通容器との間の気密を保つO−リングによるシール部を持つことを特徴とする請求項1記載のエアロゾル荷電中和装置。 【請求項4】 両極イオン発生素子を複数対有するエアロゾル荷電中和装置であって前記複数対は陽極イオン発生素子の対と陰極イオン発生素子の対を交互に前記中心線回りに配置してなり、それぞれの対においては同一極性のイオン発生素子が前記中心線を挟んで対向するように設置することを特徴とする請求項1記載のエアロゾル荷電中和装置。 【請求項5】 両極イオン発生素子の放電電極をエアロゾルの主流方向に対して平行に設置した請求項1記載のエアロゾル荷電中和装置。
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【発明の詳細な説明】【技術分野】 【0001】 本発明は、エアロゾルの荷電分布を中和化する技術に関するもので、エアロゾル中の粒子の粒径分布計測において、既知の荷電分布量を簡便に実現するため等に利用されるものである。 【背景技術】 【0002】 エアロゾルの構成粒子の荷電量は一般に分布を持つが、その分布の平均をほぼゼロ(無荷電)にする中和技術は、電気移動度分級によるエアロゾル粒子の粒径分布計測で重要な技術として広く用いられている。中和技術を用いた電気移動度分布計測は、従来から詳細に議論されており(非特許文献1参照)、また、これまでに米国TSI社を含め複数の製造業者により商品化されている。こうした測定装置は、微粒子を用いる製造プロセス中の粒子粒径分布や、大気エアロゾルや自動車排ガス中の微粒子の粒径分布の測定などに幅広く用いられている。 【0003】 中和荷電分布状態のエアロゾルは、その構成粒子のほとんどが無帯電であるが、同時に一部の粒子は正か負かの電荷を一価、あるいは多価帯びて存在する。それぞれの価数の粒子数は正負ほぼ同数であり、荷電価数を横軸にとり、それぞれの荷電価数の粒子の存在頻度を縦軸にとった頻度分布は、ゼロを最頻値とした正負対称の分布となる。この様な荷電分布状態を中和状態と称する。中和状態では、こうした荷電数と荷電・無荷電率の分布が粒径毎にわかっているので、電気移動度法により測定された荷電粒子の粒径分布から、無帯電粒子をも含めた全粒子の粒径分布を換算し、正確に求めることができる。 【0004】 エアロゾル粒子の中和化には、放射性物質を用いた装置がもっとも頻繁に利用されている。このような中和装置は例えば非特許文献1に詳しく述べられており、その構成の一例を図8に記す。この装置50内では、放射性物質51から放出される高エネルギー粒子が気体分子と衝突し、多量のイオンを正負ほぼ同数発生させる。このようにして発生した両極イオンがブラウン運動する過程で浮遊粒子に付着し、粒子の荷電量を変化させる。正と負のイオンがほぼ同数存在する状況における荷電粒子へのイオンの付着確率は、粒子の持つ電荷と反対の極性を持つイオンの付着確率が、粒子と同じ極性をもつイオンの付着確率を上回るので、その結果、両極イオンと粒子の間の付着反応は、大多数の粒子を無帯電状態化する。しかしながら、一部の粒子は正か負の一価に帯電し、さらに少数の粒子は正または負の多価に帯電し、粒子全体としては上記の中和荷電状態に至る。 【0005】 エアロゾルの中和化を目的とした両極イオン発生には、放電を利用することも可能である。例えば、直流コロナ放電を用いて、正の直流コロナ放電による正イオンの発生と負の直流コロナ放電による負イオンの発生を同時に行い、それらのイオンを混合することにより正と負のイオンをほぼ同量含む両極イオンを発生させている。この装置では、イオン発生場と粒子を荷電中和する場を分離している。この分離は、直流コロナ放電場内での粒子の損失を防ぐために必要である(非特許文献2及び、非特許文献3参照)。また、交流コロナ放電を用いた両極イオンの発生装置とエアロゾル粒子の中和化への適用が論じられているが、この中和法においても、両極イオン発生部は粒子荷電中和場と分離されている(特許文献1参照)。 また、交流電源を用いた沿面バリア放電を用いた荷電中和装置(特許文献2参照)は、1)高いイオン濃度を得るためには比較的高周波が必要、2)オゾン濃度が高い、3)イオンバランスの制御のために、バイアスが不要である、といった特徴をもつ。 【0006】 両極イオンの発生によるエアロゾルの中和技術としては、このほかに紫外線照射による光電子放出を利用した正イオンと光電子の発生を用いた技術がある(特許文献3参照)。 しかしこの方法では、中和装置内に直流電場を発生させて正負イオン数の調節を行うとする原理のため、帯電した粒子は中和装置内の電場により装置壁面に輸送され損失されてしまう。電気移動度測定は荷電粒子にのみ有効であるので、この中和法は電気移動度測定と組み合わせての使用には適さない。 【0007】 エアロゾル粒子の荷電分布を調節する技術はこの他にも数多く提案・実用化されている。そうした技術は、中和化が目的ではなく、正または負の単極イオンを用いて無帯電状態の粒子を帯電状態化することを目的とするものがほとんどである。 粒子の帯電化の結果、粒子の空間中での輸送制御を容易にすることを目的とし、そうした荷電技術と輸送制御技術は、粒子を材料要素とする製造プロセスにおける生産効率の向上や(特許文献4参照)、コピー機中でのトナー粒子の制御(特許文献5参照)、電気集塵による気中からの粒子除去(特許文献6参照)、さらには荷電粒子にのみ感度を持つ粒子計測装置の測定感度の上昇(特許文献7参照)といった用途に利用されている。 これらの荷電技術では、直流放電から発生する単極イオンや(特許文献8参照)、放射性物質から発生する両極イオンのうち単極成分のみを取り出したもの(特許文献9参照)を用いたものがある。しかしながら、無帯電粒子の荷電化を目的とするこうした手法では、いずれの場合でも粒子の荷電分布がゼロから正または負の一方に偏り、中和状態の荷電分布には至らない。また、多くの多価荷電粒子が発生するので、電気移動度法による粒径分布測定においては、多価荷電を有する粗大粒子と一価荷電の微小粒子が同じ電気移動度として測定される感度交差の問題を発生させてしまう。したがってこうした粒子荷電技術を電気移動度法による粒径測定を目的とした中和技術としてそのまま利用することは困難である。 【0008】 【特許文献1】特許第3393270号公報 【特許文献2】特開2005−106670号公報 【特許文献3】特許第2670942号公報 【特許文献4】特開2002−190258号公報 【特許文献5】特開2000−187369号公報 【特許文献6】特開昭52−99480号公報 【特許文献7】特表2000−504111号公報 【特許文献8】特許昭62−19033号公報 【特許文献9】特開平−24357号公報 【非特許文献1】Knutson, E. O. 1976). Extended electric mobility method for measuring aerosol particle size and concentration. Fine Particles, Aerosol Generation, Measurement, Sampling, and Analysis. B. Y. H. Liu. NewYork, NY, Academic press: 740-762. 【非特許文献2】Adachi, M. et al. (1993). "Aerosol charge neutralization by a corona ionizer." Aerosol Sci. Technol. 18:48-58. 【非特許文献3】Wiedensohler, A. (1988). "An approximation of the bipolar charge distribution for particles in the submicron size range." J. Aerosol Sci. vol. 19. 3:387-389. 【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】 【0009】 前記の放射性物質を用いた中和装置は、放射性物質使用認可を受けた場所においてのみ、かつ放射性物質取扱認可を受けた者によってのみ使用が可能であるという制限があった。また、認可条件を満たす場合であっても、放射性物質の使用に伴う人体への健康影響をなくすための安全管理や保管に関して特別な取り扱いが必要であった。 【0010】 また、非特許文献2ならびに特許文献1のコロナ放電を用いた中和装置では、イオン発生部がエアロゾルの流路と分離されており、イオン発生部で生じたイオンを被中和エアロゾルと混合させるために、イオン発生部独自のガス導入と流量制御が必要となり、中和装置の構造の複雑化を伴う。また、イオンを含むガスの被中和エアロゾルへの混入はエアロゾルを希釈し粒子濃度の低下を生じさせる。さらに、特許文献3では、装置内の直流電場による荷電粒子の損失が生じる。 【0011】 特許文献2の交流放電を用いた中和装置では、高いイオン濃度を得るためには比較的高周波が必要であり、オゾン濃度が高いという特徴がある。高周波を必要とするため、電源には高速アンプを必要とし、装置の大型化とコストが高い点が課題となっていた。 【課題を解決するための手段】 【0012】 本発明は、直流にバイアスが印加されたパルス電圧を微細電極に印加することによって放電させ、イオン発生素子から正負イオンを別々に発生させることによりエアロゾルの荷電分布を中和化する。このとき、イオン発生素子の電極を正負それぞれ同一極性が対面となるように配置することにより、イオンの散逸を打ち消し合うことで、直流放電を用いても粒子損失を生じることがない荷電中和装置を作り出すことに成功した。また、粒子を中和する場のごく近傍にイオン発生機能を持つことができるため、構造が簡単でコントロールしやすく取り扱いやすいエアロゾルの荷電中和装置を作り出すことに成功した。また、両極イオン発生素子の電極を粒子を中和する場のごく近傍に持ち、絶縁体からなる絶縁ケースを用いることで、両極イオン発生素子の電極と導電体で作られたエアロゾル流通容器との電気的絶縁を確保するとともに、小型で電極交換などのメンテナンスが容易な荷電中和装置を作り出すことに成功した。また、パルス放電を用いることで放電によるオゾンの発生を100ppb以下に低減することが可能となった。 すなわち、本発明は、上流端にエアロゾル流入口を有し下流端にエアロゾル流出口を有してエアロゾルが流通可能なエアロゾル流通路を構成している導電材製の筒体を有し前記筒体の中心線を挟んで対向して配置されて筒体壁面を貫通する対をなす開口からなる開口対を有するエアロゾル流通容器と、絶縁材料製の筒部を有し前記筒部の中心線を挟んで対向して配置されて筒部壁面を貫通する対をなす窓からなる窓対を有していて前記窓が前記開口と一致する状態で前記エアロゾル流通容器の外面に同心状に嵌合している絶縁筒と、誘電体膜上に放電電極を有し前記窓を閉じかつ前記放電電極が前記エアロゾル流通路に露出している状態で前記絶縁筒に取り付けられている両極イオン発生素子と、及び前記絶縁筒と前記開口と前記両極イオン発生素子とを前記エアロゾル流通容器との間に気密に内包する外筒とを備えることを特徴とするエアロゾル荷電中和装置を提供する。 【発明の効果】 【0013】 本発明においては、直流にバイアスを印加したパルス電圧による両極イオン発生素子を用いるため、放射性物質を用いないので、中和装置使用に際して使用認可や取扱認可を受ける必要がなくなる。また、中和装置の取り扱いや保管が、放射性物質を用いるものより容易になる。 【0014】 本発明においては、直流にバイアスを印加したパルス電圧によるイオン発生素子は、微細な突起を表面に有する構造の放電電極を使用し、かつ、正負の電極をそれぞれ同一極性で対面に配置することにより、放電を用いても電極周辺で粒子損失を生じることがないので、放電電極を被中和エアロゾル流路近傍に置くことが可能となる。その結果、イオン発生部をエアロゾル流路から分離する必要がなくなり、ガスを新たに導入する必要がなく、流量制御などの装置構造を簡略化することができる。 【0015】 本発明においては、放電に用いる印加電圧を発生する電源は通常電圧の発生・停止が制御できるものを用いることから、そうした電源を操作することにより、装置の取り外しをすることなく中和作用の有無を制御できる。 【0016】 本発明においては、放電に用いる印加電圧をパルス放電にすることで、オゾン発生濃度を100ppb以下にすることが可能である。 【0017】 本発明においては、放電に用いる印加電圧を直流にバイアスを印加したパルス電圧にすることで、高周波を発生させるアンプなどを必要としないため、電源部も含めて小型にすることができる。 【0018】 本発明においては、放電に用いる印加電圧を直流にバイアスを印加したパルスにし、正負それぞれの電極を有することで、正負のイオンバランスをそれぞれの電圧を制御することで、変更することが可能である。 【0019】 特に重要なこととして、本発明のエアロゾル荷電中和装置では、装置の主要部分を、同心状に配置させ、かつ中心線方向にスライドさせて組立及び分離が可能なエアロゾル流通容器と絶縁筒と外筒で構成するので、構造が簡単で、かつ保守も容易である。 【発明を実施するための最良の形態】 【0020】 本発明においては、直流にバイアスを印加したパルス電圧による両極イオン発生素子は、空間を構成する導電材に設けたスリットのごく近傍に設置されており、偶数個の両極イオン発生素子の正負それぞれの電極は、それぞれ同一極性で対面に配置されているエアロゾルの荷電中和装置とすることができる。また、両極イオン発生素子の電極は、導電材に設けたスリットに対応するスリットをもった、簡便に脱着可能な、絶縁体である絶縁ケースにより導電材に設置され、絶縁と位置固定を行っている。 【0021】 また、本発明においては、直流にバイアスを印加したパルス電圧による両極イオン発生素子は放電電極と接地電極からなり、放電電極にはその表面に微細な突起を有する構造を有するものを使用する。接地電極は薄い絶縁層を介して放電電極を取り囲み、電極近傍空間に局所的にのみ電場を形成することができるよう上記電極の対が設けられているエアロゾルの荷電中和装置とすることができる。 【0022】 そのような放電電極を被中和エアロゾルの流路に設けたスリットのごく近傍に置き、両極イオン発生素子の放電電極をエアロゾルの主流方向に対して平行に設置し、正負の直流にバイアスを印加したパルス電圧をそれぞれ対になった電極に印加する。また、正負それぞれの電圧は、正負ほぼ同量のイオンを発生させるために適切な値にそれぞれ設定する。 【0023】 本発明のエアロゾルの荷電中和装置の詳細を図面を参照して説明する。 図1にエアロゾル荷電中和装置の構成の全体図を示す(透過図)。図2にエアロゾル流通容器を示す。図3に両極イオン発生素子の電極a5を、図4にエアロゾル荷電中和装置の断面図を、図5にエアロゾル荷電中和装置の円管状の絶縁体からなる絶縁ケースを示す。 【0024】 図1及び図2において、1はエアロゾル荷電中和装置である。 エアロゾル荷電中和装置1はそれぞれ略円筒状をなすエアロゾル流通容器2、絶縁ケース3及び外筒4とを中心線11に関して同心状に備えている。 【0025】 エアロゾル流通容器2はエアロゾルを流通させるエアロゾル流路5を形成するもので、図3に示すように、ステンレス等の導電材からなる金属製の円筒体で中心線方向の両端にエアロゾル流入口6及びエアロゾル流出口7とを備えている。エアロゾル流通容器2の中心線11方向のほぼ中央部には1個若しくは複数のスリット対8が形成されている。スリット対8は中心線11を挟んで対向する位置に形成されている対をなす2個の開口を形成するスリット8a、8bから成っている。スリット8a、8bは中心線11に関して対称の位置に形成されてエアロゾル流通容器2を開口しており、このスリット8a、8bを通してエアロゾル流路5は外部と連通する。スリット対8は複数個設けることができるが、その場合も、各スリット対8における対をなす2個のスリット8a、8bは中心線11に関して対称の位置に配置する必要がある。 【0026】 エアロゾル流通容器2の中心線11方向のほぼ中央部の外側に絶縁ケース3が装着されている。絶縁ケース3は図5に示すように、中央部に円筒部分12を有し、両端に配線部13を有する。円筒部分12ではエアロゾル流通容器2のスリット対8の位置に対応して同じ角度位置に窓対14が開口していて、スリット対8のスリット8a、8bに対応した中心線11に関して、対称の位置に開口した窓14a、14bが形成され、窓14aはスリット8aに一致して連通し、窓14bはスリット8bに一致して連通している。両端の配線部13はつば状に形成されていて、外周面には配線を納める溝16が外方に開口して形成されている。 【0027】 絶縁ケース3の円筒部分12の外面には両極イオン発生素子である電極体17が取り付けられており、電極体17が窓14a、14bを覆って閉じている。このとき電極体17の放電電極18は窓14a、14bに臨んでおり、したがって放電電極18はエアロゾル流通容器2のスリット8a、8bを通してエアロゾル流路5に露出していることになる。これにより放電電極18のエアロゾル流通容器との絶縁を保ちつつ放電電極18で発生するイオンをエアロゾル流通容器2内の粒子を荷電中和する場にイオンを導く。放電電極18の電極は直流にバイアスを印加したパルス電圧が印加された場合に安定した放電を持続できるものを用いる必要があり、本発明では表面プラズマ放電電極の構造を用いる。 【0028】 電極体17は図3(a)に示すように、絶縁膜21の上に放電電極18及び接地電極23を備えている。絶縁膜21は、絶縁性材料からなるシート、例えばマイカシートからなっている。マイカシートからなる絶縁膜21は30mm×20mmの矩形で、厚さは0.08である。放電電極18、接地電極23はステンレスで構成されている。 【0029】 図3(b)〜(d)に示すように、放電電極18は絶縁膜21の表面に形成され、接地電極23は裏面に形成されている。放電電極18は0.08mm厚、0.1mm幅、18mm長である。 【0030】 接地電極23は2本に枝分かれして、それぞれ0.08mm厚、0.1mm幅、16mm長である。放電電極18の形状は多数の尖端を持っているが、これはオゾンの発生を抑制するのに有効である。 【0031】 電源は陽陰両極のDCパルスを同時に供給できるように設計されている。図6aは、電極体17とパルス電源28との接続状態を示す結線の概要図である。陽極DCパルスは(+)オフセット電極Vpoによってバイアスされ、陰極DCパルスは(−)オフセット電極Vnoによってバイアスされる。 【0032】 図3に示した両極イオン発生素子である電極体17の放電電極18には、直流にバイアスを印加したパルス電圧が導線33、34を介して放電電極18に印加される。放電電極18の周囲には、薄い絶縁層を介して、これを取り囲むように接地電極23を配置する。この放電電極18と接地電極23の間の間隔は、安定した放電が得られる範囲でできる限り小さくする。接地電極23は導線35を介して接地する。 【0033】 電極体17及び絶縁ケース3を気密に覆う状態に外筒4がエアロゾル流通容器2の外面に装着され、外筒4とエアロゾル流通容器2との間にはO−リング24が配置されて、その間の気密が保たれる。これによって、絶縁ケース3及び電極体17は外筒4とエアロゾル流通容器2との間に気密に保たれる。 【0034】 放電電極18への導線25は絶縁ケース3外面上の電流導入端子26及び、外周部の接地電流端子27を介して正負直流にバイアスを印加したパルス電源28に接続され、パルス電源には、正負それぞれにトリマを用いて出力電圧制御を行う構造となっている。また、導線25は円管状の絶縁体からなる絶縁ケースの外周の配線部13に設置され、導線25周辺に発生する電場による粒子損失を抑制する構造を用いる。 【0035】 また、外筒4とエアロゾル流通容器2の間及び外筒4の本体31と蓋32との間は、O−リング24を用いることで気体のリークを抑えるとともに、直流にバイアスを印加したパルス電源28との接続を行う構造を用いる。 【0036】 中和装置内を流れるエアロゾル流量は、エアロゾル流出口6に接続されるエアロゾル流路下流の装置の流量制御により決定される。 【実施例1】 【0037】 本発明の装置を用いて得られる典型的なイオン濃度を、放射線源(241Am)との比較として、表1に示す。本発明の装置において、正負の電圧制御により、正負同量のイオン濃度が見られる。また、発生させる濃度は放射線源よりも高濃度のイオンが発生されることがわかる。これらの比較から、放電による中和装置が放射線源による中和装置と同等以上の中和性能を持つことが類推される。また、本発明の装置において、正負の電圧の制御によって、正イオンと負イオンの比を0.8から1.5の範囲で制御できることがわかる。 【0038】 【表1】
【実施例2】 【0039】 本発明の装置のエアロゾルの荷電中和特性を実験的に検討した。試験粒子として、噴霧乾燥によって生成したポリスチレンラテックス(PSL)標準粒子及びジオクチルセバケート(DOS)を用い、静電分級装置(DMA)、1台目の中和器(241Am)及びコンデンサを用いて、単分散かつ無帯電の試験粒子(粒径:20〜200nm)を得た。得られた試験粒子を、空気をキャリアガスとして、本発明の装置に導入し、その前後での全粒子数と荷電粒子数の変化をコンデンサと凝縮核計数器を用いて計測した結果を図6に示す。図より、粒径の増加に伴う荷電粒子比率の増大の傾向が、放射線源を用いた中和装置(241Am)とほぼ一致し、また理論的に予測される値(図中実線)とも良好な一致を得た。 【0040】 また、本発明の装置による全粒子数に対する荷電粒子数の割合と理論値(非特許文献3より求めた理論線)との比較を図6に示す。粒子径が33nmから200nmの粒子に対して本発明の装置による荷電量はほぼ一致していることがわかる。これらのことから本発明の装置による粒子の荷電中和は良好であることがわかる。 【産業上の利用可能性】 【0041】 本発明のエアロゾル荷電中和装置は、直流にバイアスを印加したパルス電圧による両極イオン発生素子を用いるため、放射性物質を用いないので、使用許可や取扱認可による中和装置使用の制限が無くなる。また、中和装置の取り扱いや保管が、放射性物質を用いるものより容易になる。さらに、直流にバイアスを印加したパルス電圧を用いることでオゾンの発生を100ppb以下に抑えることができるので、荷電中和を用いたエアロゾルの測定に画期的な簡便性を与えることができる。 また、正負のイオン濃度バランスを変えることにより、エアロゾルの測定の感度を上げることが可能である。 【図面の簡単な説明】 【0042】 【図1】本発明の一実施形態におけるエアロゾル荷電中和装置の斜視概略図。 【図2】本発明の一実施形態におけるエアロゾル荷電中和装置の縦断面図。 【図3】エアロゾル流通容器の斜視概略図。 【図4】電極体を示す図で、(a)は電極体の平面図、(b)は(a)におけるb−b部断面図、(c)は電極体の上面図、(d)は電極体の下面図。 【図5】本発明の一実施形態におけるエアロゾル荷電中和装置の絶縁ケースの斜視概略図。 【図6】a)両極イオン発生素子設置概略図、b)電源による正負直流パルスの概略図。 【図7】本発明のエアロゾル荷電中和装置による典型的なイオン濃度と従来の放射性物質を用いた中和装置による典型的なイオン濃度(表1)、単分散かつ無帯電の粒子(20〜200nm)を本発明のエアロゾル荷電中和装置により、荷電中和した時の粒子径による荷電粒子の割合と、従来の放射性物質を用いた中和装置によるものとの比較。 【図8】従来の放射性物質を用いたエアロゾル荷電中和装置の斜視概略図。 【符号の説明】 【0043】 1 エアロゾル荷電中和装置 2 エアロゾル流通容器 3 絶縁ケース 4 外筒 5 エアロゾル流路 6 エアロゾル流入口 7 エアロゾル流出口 8 スリット対 8a、8b スリット 11 中心線 12 円筒部分 13 配線部 14 窓対 14a、14b 窓 16 溝 17 電極体 18 放電電極 21 絶縁膜 23 接地電極 24 O−リング 25 導線 26 電流導入端子 27 接地電流端子 28 パルス電源 31 本体 32 蓋 33 導線 34 導線 35 導線 50 装置 51 放射性物質
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| 【出願人】 |
【識別番号】000144968 【氏名又は名称】株式会社司測研 【識別番号】301021533 【氏名又は名称】独立行政法人産業技術総合研究所
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| 【出願日】 |
平成17年11月24日(2005.11.24) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100075133 【弁理士】 【氏名又は名称】川井 治男
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| 【公開番号】 |
特開2007−149371(P2007−149371A) |
| 【公開日】 |
平成19年6月14日(2007.6.14) |
| 【出願番号】 |
特願2005−338546(P2005−338546) |
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