| 【発明の名称】 |
水及び酸素の捕捉剤、有機電子デバイス |
| 【発明者】 |
【氏名】川田 靖
【氏名】新井 隆之
【氏名】竹内 安正
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| 【要約】 |
【課題】取り扱いが容易で、水及び酸素の捕捉能が高い有機電子デバイス用の捕捉剤を提供すること。
【解決手段】 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 下記化学式で示される化合物から成ることを特徴とする有機電子デバイス用の捕捉剤。 R1R2R3M (R1、R2及びR3は、各々、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、環式アルキル基、アリール基、アルコキシ基、カルボキシル基、チオレート基及び2級アミノ基からなる群より選ばれた1種のものであって、互いに同じでも異なっていてもよいが、1つ以上のM−C結合を有するように選ばれたものである。Mはアルミニウム又はホウ素である。) 【請求項2】 請求項1記載の有機電子デバイス用の捕捉剤と他の捕捉剤を混合して成ることを特徴とする有機電子デバイス用の捕捉剤。 【請求項3】 請求項2における前記他の捕捉剤が、請求項1の有機電子デバイス用捕捉剤と反応しない有機溶媒に溶解することを特徴とする有機電子デバイス用の捕捉剤。 【請求項4】 請求項1〜3のいずれか一に記載の有機電子デバイス用の捕捉剤と反応しないバインダーを混合して成ることを特徴とする有機電子デバイス用の捕捉剤。 【請求項5】 有機電子デバイスの所定位置に塗布法により配することができるようにして成ることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一に記載の有機電子デバイス用の捕捉剤。 【請求項6】 前記有機電子デバイスが、有機薄膜トランジスタ、有機太陽電池又は有機CMOSセンサであることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一に記載の有機電子デバイス用の捕捉剤。 【請求項7】 水及び酸素の捕捉剤として請求項1乃至5のいずれか一に記載の有機電子デバイス用の捕捉剤を使用して成る有機電子デバイスであって、該有機電子デバイスが有機TFT、有機太陽電池又は有機CMOSセンサであることを特徴とする有機電子デバイス。
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【発明の詳細な説明】【技術分野】 【0001】 本発明は、有機材料を使用した有機電子デバイス(例えば、有機EL(Eletroluminescence)、有機薄膜トランジスタ(TFT(Thin Film Transistor))、有機太陽電池)用として使用され水及び酸素を捕捉する捕捉剤及び前記捕捉剤を使用した有機電子デバイスに関する。 【背景技術】 【0002】 従来から、有機EL、有機TFT、有機太陽電池等の有機化合物を用いた電子デバイスである有機電子デバイスが開発されている。これらの有機電子デバイスは、水や酸素の痕跡量の存在によってその性能が鋭敏にしかも著しく悪影響を受ける有機化合物を使用しているため、痕跡量程度の微量の酸素及び/又は水が存在する場合でも、これらの影響を受けて性能が劣化する。 【0003】 有機電子デバイスは有機材料を用いて、これに電子及び正孔の注入、取り出しを繰り返すことによって種々の機能を発現するデバイスである。すなわち、その有機材料を繰り返して酸化還元反応を行わせることをデバイス作動機構としている。 有機材料及びその酸化体又は還元体は、本質的な酸素及び/又は水との化学的反応性が無機材料に対して高く、これが有機材料を劣化させ本来の電子デバイスとしての機能を損ね、性能が劣化する原因となる。 【0004】 そこで有機電子デバイスを配置するには通常密封容器が用いられ、これには極力、酸素及び/又は水分を痕跡量以下に保つことが必要である。従って、有機電子デバイスの作製は、超高真空下及び/又は不活性雰囲気下で製造操作を行っている。 さらに有機電子デバイスの構成として、材料由来のアウトガス及び/又は密封容器の封止部分から侵入する劣化因子を捕捉する捕捉剤をデバイス内に配することによって、これらの影響を出来るだけ小さくするように配慮している。 【0005】 しかしながら、現在までに知られているこれらの捕捉剤は、系内の酸素及び/又は水を除去する能力が十分なものは少ない。また同一の物質によって、水及び酸素を共に捕捉しうる捕捉材は極めて少ない。 特許文献1には、水及び酸素に非常に高い反応性を持つアルカリ(土類)金属類を捕捉剤として用いる発明が開示されているが、アルカリ(土類)金属はその取り扱いが著しく危険を伴う煩雑なものであり、デバイス内に配する場合もその方法が限定されていた。 【0006】 また、アルカリ(土類)金属の水及び/又は酸素の捕捉機構を考察すると、特に水との反応によって水素を発生することになり、水素の高い蒸気圧は有機電子デバイスの封止を破壊する高い可能性がある。 さらに、これらを配したデバイスが廃棄処分や事故などで破壊され、通常の大気雰囲気中の高濃度な水及び/又は酸素に晒された場合、自然発火の可能性があり危険なものである。それ故、一般的な捕捉材として使用するには適当ではない。 【0007】 特許文献2に記載された発明では、有機EL層を構成する材料を捕捉剤として用いることを特徴としている。しかし、水及び/又は酸素との反応速度は電子ないし正孔を授受している、すなわち励起状態にある有機材料の方が著しく速い。そのため捕捉剤として提案されている有機材料が本質的にその機能を高く保持しているか疑問であり、さらに透明性に関してもヘテロ元素(酸素、窒素、硫黄など)を含む有機材料が劣化した場合に着色してしまうことは一般的に知られており、捕捉剤層が薄いとしても問題となる可能性がある。 【0008】 このように、従来の捕捉剤は、酸素及び水素の双方を捕捉できるものはあまりなく、あったとしても取扱が危険なものである。 【特許文献1】特開2002−008852号公報 【特許文献2】特開2006−004721号公報 【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】 【0009】 本発明は、取り扱いが容易で水及び酸素の捕捉能が高い捕捉剤を提供することを課題としている。 また、本発明は、有機電子デバイスの様々な位置に配することが可能な捕捉剤を提供することを課題としている。 また、本発明は、水や酸素の影響が小さく長寿命な有機電子デバイスを提供することを課題としている。 【課題を解決するための手段】 【0010】 本発明によれば、下記化学式で示される化合物から成ることを特徴とする有機電子デバイス用の捕捉剤が提供される。 R1R2R3M (R1、R2及びR3は、各々、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、環式アルキル基、アリール基、アルコキシ基、カルボキシル基、チオレート基及び2級アミノ基からなる群より選ばれた1種のものであって、互いに同じでも異なっていてもよいが、1つ以上のM−C結合を有するように選ばれたものである。Mはアルミニウム又はホウ素である。) 【0011】 ここで、前記有機電子デバイス用の捕捉剤と他の捕捉剤を混合して成るように構成してもよい。 また、前記他の捕捉剤が、前記有機電子デバイス用の捕捉剤と反応しない有機溶媒に溶解することが好ましい。 また、前記各有機電子デバイス用の捕捉剤と反応しないバインダーを混合して成るように構成してもよい。 【0012】 また、前記各有機電子デバイス用の捕捉剤は、有機電子デバイスの所定位置に塗布法により配することができるように構成してもよい。 また、前記有機電子デバイスは、有機薄膜トランジスタ、有機太陽電池又は有機CMOSセンサであってもよい。 また、本発明によれば、水及び酸素の捕捉剤として前記いずれか一に記載の有機電子デバイス用の捕捉剤を使用して成る有機電子デバイスであって、該有機電子デバイスが有機TFT、有機太陽電池又は有機CMOSセンサであることを特徴とする有機電子デバイスが提供される。 【発明の効果】 【0013】 本発明の有機電子デバイス用の捕捉剤は、取り扱いが容易で、水分捕捉能及び酸素捕捉能ともに極めて優れている。したがって、有機電子デバイスに使用することにより、有機電子デバイスに悪影響を与える水分や酸素を低減することが可能になる。 また、本発明の有機電子デバイス用の捕捉剤は、捕捉剤溶液を均一な溶液とすることができるため、塗布法によって有機電子デバイスの様々な位置に配することが可能になる。 また、本発明の有機電子デバイスによれば、水や酸素による寿命低下を抑制することができるため、長寿命化を図ることが可能になるという効果を奏する。 【発明を実施するための最良の形態】 【0014】 以下、本発明の実施の形態に係る有機電子デバイス用の捕捉剤及び有機電子デバイスについて説明する。尚、有機電子デバイスは、その主要な機能を発揮するために必要な部分に有機材料を用いており、前記有機材料に電子的な働きを行わせることによって機能を発揮するように構成された電子素子である。即ち、有機電子デバイスは、有機材料を用いて、これに電子及び正孔の注入、取り出しを繰り返すことによって種々の機能を発現する電子デバイスであり、その有機材料を繰り返して酸化還元反応を行わせることをデバイス作動機構としている。 【0015】 本発明の実施の形態に係る有機電子デバイス用の捕捉剤は、下記式(1)で表される化合物から成っている。 R1R2R3M ・・・(1) 但し、R1、R2及びR3は、各々、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、環式アルキル基、アリール基、アルコキシ基、カルボキシ基、チオレート基及び2級アミノ基からなる群より選ばれた1種のものであって、互いに同じでも異なっていてもよいが、補足剤として1つ以上のC−M結合を有するように選ばれたものである。ここで、Mはアルミニウム又はホウ素である。R1、R2、R3の基は、好ましくは炭素数が1〜20、より好ましくは炭素数が2〜18であり、同一でも異なっていてもよい。 【0016】 前記化合物は、水及び/又は酸素がこのC−M結合と反応することにより、有機電子デバイス用の水及び酸素の捕捉剤として有用な役割を果たす。 水との反応は下記式で示される。 C−M + H2O → C−H + M(OH) また、酸素との反応は下記式で示される。 2C−M + O2 → 2C−O−M 【0017】 R1、R2およびR3の具体例としては、水素、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、の如き炭素数1〜18のアルキル基、プロペニル基、ブテニル基、オクテニル基、ドデセニル基、オクタデセニル基の如き不飽和基を有するアルケニル基、プロピニル基、フェニルエチニル基の如きアルキニル基、シクロプロピル基、シクロヘキシル基の如き脂環式アルキル基、フェニル基、ナフチル基の如きアリール基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基などのアルコキシ基などを好適に挙げることができる。チオレート基の置換基には上記アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基を挙げることができ、2級アミノ基の置換基は上記アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基を挙げることができる。これらアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、チオレート基及び2級アミノ基の置換基は直鎖状でもよく環状でもよく、また分岐していてもよい。 【0018】 前記式(1)で示される化合物の中で好ましい化合物の具体例としては、トリエチルアルミニウム、トリ−n−プロピルアルミニウム、トリイソプロピルアルミニウム、トリシクロプロピルアルミニウム、トリ−n−ブチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリ‐t−ブチルアルミニウム、トリ−2−メチルブチルアルミニウム、トリ−n−ヘキシルアルミニウム、トリシクロヘキシルアルミニウム、トリ(2−エチルヘキシル)アルミニウム、トリ−n−オクチルアルミニウム、トリ−n−デシルアルミニウム、トリフェニルアルミニウム、トリベンジルアルミニウム、ジメチルフェニルアルミニウム、ジブチルフェニルアルミニウム、ジイソブチルフェニルアルミニウム、メチルジフェニルアルミニウム、エトキシジエチルアルミニウム、エトキシジ−n−オクチルアルミニウム、トリエチルボラン、トリブチルボラン、トリ−n−オクチルボラン、トリ−n−ドデシルボラン、トリフェニルボランなどを挙げることができる。これらの化合物は、単独でも、あるいは2種類以上の化合物を混合して使用することもできる。 【0019】 水及び/又は酸素などとの反応で発生する生成物の蒸気圧を考えると、炭素数が8以上の基で好ましくはトリ−n−オクチルアルミニウム、トリ−n−デシルアルミニウム、トリ−n−ドデシルアルミニウムなどであり、捕捉剤組成物の透明性を考慮するとより好ましくは、トリ−n−オクチルアルミニウム、トリ−n−デシルアルミニウムである。 本発明の実施の形態に用いられる水及び酸素の捕捉剤は、前記式(1)で示した化合物に他の捕捉剤(水分は捕捉するが酸素は捕捉しない捕捉剤である水分捕捉剤も含む)を混合できる。前記他の水分捕捉剤としては、化学的に水分子と反応するもの、物理的に水分子を吸着するもの、その他いずれの物でもよい。 【0020】 化学的に水分子と反応するものとしては、金属酸化物、硫酸塩、金属ハロゲン化物、有機金属化合物などが挙げられる。金属酸化物としては、酸化カルシウム、酸化バリウム、酸化マグネシウムなどが挙げられる。硫酸塩としては、硫酸リチウム、硫酸ナトリウム、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウムなどが挙げられる。金属ハロゲン化物としては、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化ストロンチウムなどが挙げられる。有機金属化合物としては、トリアシルシクロボロキシン、アルミニウムオキサイドオクチレートなどが挙げられえる。 物理的に吸着するものとしては、ゼオライト、シリカゲル、活性アルミナなどが挙げられる。 【0021】 前記式(1)で表される捕捉剤と混合するその他の捕捉剤は、前記式(1)で表される捕捉剤をトルエン、キシレン、パラフィン、流動パラフィン、デカリン、ジグライムなど非水溶媒である芳香族有機溶媒、脂肪族溶媒、エーテル系溶媒などに溶解した溶液中に均一に溶解、分散でき、少なくとも沈殿しないものが好ましい。また、塗布乾燥したときに均一透明になることが好ましい。特に好ましいのはボロンオキサイドオクチレート、アルミニウムオキサイドオクチレートなどである。 【0022】 本発明の実施の形態に係る捕捉剤に用いることのできるバインダの種類としては、無機系でも良く、有機系の材料でも良い。 無機系バインダとしてはアルコキシシランのポリマーが挙げられる。アルコキシシランとしてはテトラメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、ジメトキジメチルシラン、ジメトキシジエチルシラン、テトラエトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、ジエトキシジメチルシラン、ジエトキシジエチルシラン、ジメトキシメチルフェニルシランなどが挙げられる。また、塗膜強度を向上させるために、少量のアルコキシジルコニウムを添加することもできる。 【0023】 アルコキシシランのポリマーはアルコキシシランに水を0.1mol%以上添加し、さらに触媒として酸あるいはアルカリをごく微量添加させ反応を起こさせる。触媒を添加せずに加熱することにより重合反応を起こさせることも可能である。反応溶液を高温で濃縮乾燥することにより重合体を得ることができるが、溶媒に再溶解して保存することが好ましい。 【0024】 有機系バインダーとしては前記式(1)の捕捉剤と反応しない透明な樹脂を用いることが出来る。例えばアクリル樹脂、スチレン樹脂等である。また液状ポリマー、石油樹脂を用いることが出来る。液状ポリマーとしては、液状ポリブテン、液状ポリブタジエンなどがあげられる。石油樹脂としては、日石ネオポリマーなどが上げられる。 また有機系バインダと無機系バインダを混合してもよく、あらかじめ反応させたハイブリットタイプの樹脂でも良い。ハイブリットタイプの樹脂としてはカネカゼムラック等アクリルシリコン系が挙げられる。これらの透明樹脂を有機溶媒に溶解することにより塗膜形成用溶液を作製できる。樹脂溶液の濃度は10wt%以上、好ましくは20〜80wt%用いる。 【0025】 捕捉剤塗膜の作製はバインダ溶液に前記式(1)の捕捉剤を含む捕捉剤をバインダの固形分に対し10wt%以上、好ましくは20〜80wt%添加し十分に攪拌し均一溶液を得る.不活性雰囲気下、この捕捉剤溶液を有機電子デバイスの封止基板、例えばキャップガラス基板、あるいは有機電子デバイスの任意の所定位置に塗布した後、揮発成分を留去する。塗布方法はスピンコーター、ロールコーター、スプレーコーター、液滴吐出法、ディスペンサーなどによる方法で良く、特に限定するものではない。成膜温度は50℃以上であり、好ましくは100〜200℃であり、塗布溶液の溶剤等の揮発成分を除去できればよく、特に限定するものではない。 【0026】 次に、本発明の実施の形態に係る捕捉剤が用いられる有機電子デバイスを具体的に説明する。例として有機ELデバイスの構造を説明する。有機ELデバイスの構造自体は公知の構造をとることが出来る。 例えば、陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極から成る有機ELデバイスが挙げられる。ここで、「/」は、層を積層したことを示している。 具体例として低分子材料からなるボトムエミッション型有機ELデバイスでは、各画素の駆動用ドライバ及び配線をあらかじめ作製した透明電極基板の駆動用ドライバと重ならない位置に有機EL層を形成する。このとき駆動用ドライバから配された電極は正孔注入陰極となる。この材料としては、特に限定されないが、PEDOT−PSSが好適に用いられる。 【0027】 他の構成材料も特に限定されないが、α―NPDのような正孔輸送材料、発光材料(例えば、蛍光材料のルブレンや燐光材料のIr(ppy)3)、電子輸送材料(例えば、Alq3)、電子注入層としてイオン化エネルギーの小さい材料として、LiFやCaが用いられる。陰極にはAl、Au、Agなどが用いられる。ここで各材料の成膜方法は、低分子タイプの材料なので真空蒸着法が好適に用いられるが、高分子材料を使ったデバイスの場合には液滴吐出法等、用いる材料に適した方法を適用することができる。 【0028】 本発明の実施の形態に係る捕捉剤を用いた有機ELパネルは、上記のようにして作製された有機EL素子付き基板を、本発明の実施の形態に係る捕捉剤付きキャップガラスで封止することにより作製することができる。あるいはインクジェット法のような液滴吐出法により有機EL素子付き基板の任意の位置に捕捉剤を配置後、キャップガラスまたはプラスチック基板で封止して作製することができる。 【0029】 以上のように、本発明の実施の形態に係る有機電子デバイス用の捕捉剤は、水分捕捉能及び酸素捕捉能ともに極めて優れている。また、前述したアルカリ(土類)金属のような危険性はないため、取り扱いが容易である。したがって、有機電子デバイスに容易に使用することが可能になり又、有機電子デバイスに悪影響を与える水分や酸素を低減することが可能になる。 【0030】 また、本発明の実施の形態に係る捕捉剤は、捕捉剤溶液が均一な溶液であるため、塗布法によって有機電子デバイスの様々な位置に配することが可能になる。この場合、塗布法にも特に制限は無く、例えば液滴吐出法のような精密に塗布することができる方法をとることも可能となる。 また、本発明の実施の形態に係る捕捉剤は、可視光領域で透明(光透過率が80%以上)であり、有機電子デバイスの光学特性を妨げることがない。 【0031】 また、本発明の実施の形態に係る有機電子デバイスによれば、水や酸素による寿命低下を抑制することができるため、長寿命化を大幅に改善することが可能になる。したがって、次世代電子デバイスの一翼を担うことが期待される有機電子デバイスの実用化への道を大きく前進させることが可能になる。 尚、前記有機電子デバイスの例としては、有機薄膜トランジスタ(TFT(Thin Film Transistor))が挙げられる。また、有機太陽電池が挙げられる。また、他の例として、有機光電変換膜を用いたCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)センサ(有機CMOSセンサ)が挙げられる。更にまた、有機電子ペーパーが挙げられる。 【実施例】 【0032】 次に、本発明の実施例について説明するが、これらに限定されるものではない。 [実施例1] 十分に乾燥した流動パラフィン100グラムに、トリオクチルアルミニウム100グラムを添加し、均一に混合溶解することによって、捕捉剤溶液を作製した。500μm厚の透明ガラス基板にサンドブラスト加工を施し、さらにフッ酸によるエッチング処理を施して深さ300μmの凹部を形成したキャップガラス基板に上記捕捉剤溶液を塗布した後、140℃で20分間焼成し封止ガラスを得た。 【0033】 ボトムエミッション型有機ELデバイスとして、パッシブ型ドライバを配したITO(Indium Tin Oxide)基板を陽極に、正孔注入材料(PRDOT−PSS、40nm)/正孔輸送材料(α―NPD、40nm)/発光材料Ir(ppy)3、15nm)/電子輸送材料(Alq3、30nm)/電子注入層(LiF、0.5nm)/陰極(Al、100nm)をそれぞれ蒸着法で積層した。このデバイスに上記封止ガラスを貼りあわせ封止した。 【0034】 得られた有機ELデバイスの初期特性として、輝度500cdm−2(電流値:6.9×10−1mA、電圧値:12.4V)を得た。このデバイスを65℃、85%RHの恒温恒湿に500時間放置後、デバイス特性を測定したところ、電流値:7.1×10−1mA、電圧値:13.1Vで輝度500cdm−2が得られた。また、非発光点もほとんど観察されず、デバイス特性の劣化は観察されなかった。 【0035】 トリオクチルアルミニウムの脱水性能を図1に示す。図1は、アルミニウム皿に乾燥固化したトリオクチルアルミニウム1.5グラムをのせて密閉した内容積640cm3の容器に入れ、容器内に静置した湿度センサで容器内の湿度の経時変化を測定した結果を示している。比較対象として酸化カルシウム、およびホープ製薬製オリープAOO(主成分:アルミニウムオキサイドオクチレート)と比較した。トリオクチルアルミニウム(図1のグラフA)は比較対象の2つの捕捉剤に対して、優れた吸湿能力を示した。 また、トリオクチルアルミニウムの脱酸素性能を図2に示す。測定は図1の脱水性能の場合と同様にして行った。尚、トリオクチルアルミニウムは2.0グラム用い、酸素センサで容器内の酸素濃度の経時変化を測定した。図2に示すように、トリオクチルアルミニウム(図2のグラフA)は優れた脱酸素能力を示した。 【0036】 [実施例2] 十分に乾燥した液状ポリマー(日石ポリブテン、HV−1900)の50wt%トルエン溶液100グラムにトリデシルアルミニウム100グラムを均一に溶解することによって捕捉剤溶液を作製した。 ボトムエミッション型有機ELデバイスとして、パッシブ型ドライバを配したITO基板を陽極に、正孔注入材料(PRDOT−PSS、40nm)/正孔輸送材料(α―NPD、40nm)/発光材料Ir(ppy)3、15nm)/電子輸送材料(Alq3、30nm)/電子注入層(LiF、0.5nm)/陰極(Al、100nm)をそれぞれ蒸着法で積層した。 【0037】 このデバイスに上記捕捉剤溶液をインクジェット法で、薄膜トランジスタ素子基板側の画素部の近傍で配線間の空間に塗布し、このデバイスを500μm厚の透明ガラス基板を貼りあわせ封止した。 得られた有機ELデバイスの初期特性として、輝度500cdm−2(電流値:7.4×10−1mA、電圧値:13.1V)を得た。このデバイスを65℃、85%RHの恒温恒湿に500時間放置後、デバイス特性を測定したところ、電流値:7.6×10−1mA、電圧値:13.6Vで輝度500cdm−2が得られた。また、非発光点もほとんど観察されず、デバイス特性の劣化は観察されなかった。 【0038】 [実施例3] 500μm厚の透明ガラス基板にサンドブラスト加工を施し、さらにフッ酸によるエッチング処理を施して深さ300μmの凹部を形成したキャップガラス基板に上記捕捉剤溶液を塗布した後、140℃で20分間焼成し封止ガラスを得た。 次に、積層型有機太陽電池、すなわち石英基板/透明電極(ITO(In2O3:Sn))/陽極バッファ層(PEDOT−PSS)/ドナー層(レジオレギュラーポリ(3−ドデシルチオフェン))/アクセプター層(C60)/陰極バッファ層(LiF)/陰極(Al)に、上記封止ガラスを貼りあわせ封止した。 【0039】 初期特性として、開放電圧(VOC)=0.67V、短絡電流(ISC)=88μAcm−1、FF=0.46、変換効率=0.27%を得た。このデバイスを65℃、85%RHの恒温恒湿に500時間放置後、太陽電池特性を測定したところ、VOC=0.68V、ISC=85μAcm−1、FF=0.45、変換効率=0.26%を得られ、ほとんどデバイス特性の劣化は観察されなかった。 【0040】 [実施例4] 500μm厚の透明ガラス基板にサンドブラスト加工を施し、さらにフッ酸によるエッチング処理を施して深さ300μmの凹部を形成したキャップガラス基板に上記捕捉剤溶液を塗布した後、140℃で20分間焼成し封止ガラスを得た。 次に、有機薄膜トランジスタ、すなわちゲート電極(n+型Siウエハ)/絶縁層(SiO2、200nm)/チャネル層(レジオレギュラーポリ(3−ヘキシルチオフェン、80nm)/ソース及びドレイン電極(櫛形金電極、50nm)に、上記封止ガラスを貼りあわせ封止した。初期特性として移動度:6.3×10−2cm2V−1s−1を得た。このデバイスを65℃、85%RHの恒温恒湿に500時間放置後、トランジスタ特性を測定したところ6.1×10−2cm2V−1s−1が得られ、ほとんどデバイス特性の劣化は観察されなかった。 【産業上の利用可能性】 【0041】 本発明の有機電子デバイス用捕捉剤は、有機ELパネル、有機薄膜トランジスタ、有機太陽電池又は有機CMOSセンサ等の有機材料を用いた各種の有機電子デバイスに利用可能である。 【図面の簡単な説明】 【0042】 【図1】本発明の実施例に係る有機電子デバイス用捕捉剤の捕水性能特性を示す図である。 【図2】本発明の実施例に係る有機電子デバイス用捕捉剤の脱酸素能特性を示す図である。
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| 【出願人】 |
【識別番号】597114270 【氏名又は名称】株式会社国際基盤材料研究所
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| 【出願日】 |
平成18年2月10日(2006.2.10) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100099726 【弁理士】 【氏名又は名称】大塚 秀一
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| 【公開番号】 |
特開2007−214015(P2007−214015A) |
| 【公開日】 |
平成19年8月23日(2007.8.23) |
| 【出願番号】 |
特願2006−33611(P2006−33611) |
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