トップ :: H 電気 :: H05 他に分類されない電気技術




【発明の名称】 色変換フィルターの製造方法、ならびに色変換フィルター基板の製造方法および多色発光デバイスの製造方法
【発明者】 【氏名】濱 敏夫

【要約】 【課題】樹脂への色素の溶出を抑止することで、ナノポーラスシリカに担持された色素により得られる性能を、長期にわたって発揮させることができる、色変換フィルターの提供。

【解決手段】ナノポーラスシリカの細孔の入口に、単量体の官能基、単量体化され得る官能基、またはそれらの両方を導入する工程、前記工程で単量体化され得る官能基を導入した場合に、該官能基に、第1の外部刺激を加えて前記官能基を単量体化する工程、ナノポーラスシリカの細孔に色素を担持する工程、官能基に第2の外部刺激を加えて官能基を二量体化する工程、および色素が担持されたナノポーラスシリカをマトリクス樹脂内に導入し、マトリクス樹脂を硬化させる工程を含むことを特徴とする色変換フィルターの製造方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
3〜10nmの平均孔径を有するナノポーラスシリカの細孔の入口に、単量体の官能基、単量体化され得る官能基、またはそれらの両方を導入する工程、
前記工程で単量体化され得る官能基を導入した場合に、該官能基に、第1の外部刺激を加えて前記官能基を単量体化する工程、
前記ナノポーラスシリカの細孔に、ある波長の光を吸収し、吸収波長と異なる波長を含む光を出力する色素を担持する工程、
前記単量体の官能基または単量体化された官能基に、第2の外部刺激を加えてこれらの官能基を二量体化する工程、および
前記色素が担持されたナノポーラスシリカをマトリクス樹脂内に導入し、前記マトリクス樹脂を硬化させる工程
を含むことを特徴とする色変換フィルターの製造方法。
【請求項2】
前記官能基がクマリン誘導基であり、前記第1の外部刺激が波長210〜260nmの光の照射であり、前記第2の外部刺激が波長310〜340nmの光の照射であることを特徴とする請求項1に記載の色変換フィルターの製造方法。
【請求項3】
前記色素に、少なくとも1種のローダミン染料を用いることを特徴とする請求項1または2に記載の色変換フィルターの製造方法。
【請求項4】
透明な支持基板上に、それぞれ異なる波長域の光を透過する、少なくとも2種のカラーフィルターを独立して配列する工程、および
少なくとも1種の前記カラーフィルター上に、請求項1〜3のいずれかに記載の製造方法により色変換フィルターを形成する工程
を含むことを特徴とする色変換フィルター基板の製造方法。
【請求項5】
請求項4に記載の製造方法により得られた色変換フィルター基板上に、少なくとも、第1電極、有機発光体、第2電極を順次積層することを特徴とする多色発光デバイスの製造方法。
【請求項6】
請求項4に記載の製造方法により得られた色変換フィルター基板上と、支持基板上に少なくとも第1電極、有機発光体および第2電極が順次積層されている有機発光素子とを貼り合わせることを特徴とする多色発光デバイスの製造方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は色変換フィルターの製造方法、ならびに多色表示を可能とする色変換フィルター基板の製造方法および多色発光デバイスの製造方法に関する。色変換フィルター基板を用いた多色発光デバイスは、イメージセンサー、パーソナルコンピューター、ワードプロセッサー、テレビ、オーディオ、ビデオ、カーナビゲーション、電話機、携帯端末ならびに産業用計測器等の表示などに使用することが可能である。
【背景技術】
【0002】
電界発光素子を用いたフルカラーディスプレイの作製方式としては、電界をかけることにより赤・青・緑にそれぞれ発光する素子を配列する「3色発光方式」、および、白色の発光を、カラーフィルターでカットし、赤・青・緑を表現する「カラーフィルター方式」、さらに、近紫外光、青色光、青緑色光または白色光を吸収し、波長分布変換を行って可視光域の光を発光する色変換色素をフィルターに用いる「色変換方式」が提案されている。
【0003】
なかでも、色変換方式は高い色再現性・効率を実現でき、また、3色発光方式と異なり、電界発光素子は単色でよいことから大画面化の難易度が低いことが言われており、次世代ディスプレイの候補として有望視されている。
【0004】
ディスプレイとして必要な要件としては、高い色再現性・効率に加え、高い安定性が挙げられる。しかしながら、特許文献1に記載されているように、有機蛍光色素を高分子樹脂へ分散させた色変換フィルターにおいては、色素を励起する波長の光の照射に伴い、蛍光輝度が低下することが知られている。これは、励起状態にある色素が蛍光を発し、基底状態へと変化するのではなく、高分子樹脂成分と反応し、機能を失活することが原因と推定される。
【0005】
特許文献2では、ローダミン色素へ立体障害基を導入し、耐光性の向上を達成している。しかしながら、立体障害基を導入した色素においても、樹脂との反応を完全に防止することはできない。このため、大画面TVのように、数万時間の耐久性を要求される用途に対し、十分な耐久性を有する色変換フィルターが実現できていないのが現状である。
【0006】
特許文献3では、色素を有機または無機の微粒子に含ませて有機バインダー樹脂(マトリクス)に分散させる構成が開示されている。この構成によれば、蛍光色素間の会合が少なく、濃度消光が低減され、安定した蛍光変換能を有するとともに、耐熱性および耐光性が改善される。しかしながら、有機微粒子を使用した場合は、有機微粒子とマトリクスである有機バインダー樹脂との反応を十分防止することができず、数万時間の要求耐久性は実現できていない。また、酸化チタン、酸化ケイ素(シリカ)、酸化アルミニウムなどの無機微粒子を使用した場合には、有機バインダー樹脂に色素が溶け出すなど、色素を効率よく微粒子に担持させることが困難であった。
【0007】
特許文献4では、シリカ系無機多孔質体の細孔内に、無機系緑色蛍光体である酸化亜鉛微粒子を内包する構成が記載されている。しかしながら、本文献においては、無機蛍光体にEL用色変換フィルターの赤色蛍光体として有用なものは開示されていない。特に、この赤色蛍光体は、濃度消光に伴う失活が起こりやすいため、その開発は重要である。また、これまでに、例えば、シリカ系無機多孔質体の細孔内に内包できる赤色蛍光体は報告されていない。
【0008】
また、上記の無機蛍光体は一般に酸化物系または窒化物系の材料を焼成して、径数ミクロンの粒子とするため、その粒径が大き過ぎて有機EL用色変換フィルターには容易に適用できない。特許文献4では、酸化亜鉛をそのままシリカ系無機多孔質体に導入できず、イオンの形で一旦導入し、それを大気中で焼結している。これは酸化亜鉛に特有の方法であり、有機EL用色変換フィルターには適用できない製法である。
【0009】
【特許文献1】特許第2795932号公報
【特許文献2】特開2000−44824号公報
【特許文献3】特開2000−212554号公報
【特許文献4】特開2003−201473号公報
【特許文献5】特開2004−026636号公報
【特許文献6】特開平09−031333号公報
【特許文献7】特開昭60−145903号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
通常、シリカ粒子を用いた色変換フィルターにおいては、その塗膜形成前に、シリカおよび色素をマトリクスである樹脂中に分散させるとともに、樹脂を溶解するためのアルコールなどの溶媒を加えて塗液を得る。この溶媒は、シリカへの色素の導入剤としての機能も果たす。しかしながら、場合によっては、このような溶媒によって、担持された色素が溶出し、一部の色素が溶解するおそれがある。
【0011】
このようにシリカから色素が溶出して樹脂中に混入すると、シリカの細孔中に色素が十分に担持されずに、樹脂中に混入した色素が劣化することにより、色変換フィルターの性能が長期にわたって安定しないという問題がある。
【0012】
本発明の課題は、樹脂への色素の溶出を抑止することで、特定の平均孔径を有するナノポーラスシリカに担持された色素により得られる性能を、長期にわたって発揮させることができる、色変換フィルターの製造方法、ならびにこの製造方法を用いた色変換フィルター基板の製造方法および多色発光デバイスの製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
発明者らは、上記課題を解決するために、その製造工程において、樹脂への色素の溶出を抑止することで、ナノポーラスシリカに担持された色素により得られる性能を、長期にわたって発揮させることができる、色変換フィルターについて、鋭意検討を重ねた。その結果、ナノポーラスシリカの細孔の入口に、外部刺激による化学反応により最終的に二量体化することのできる官能基を、単量体の状態および/または単量体化され得る状態で導入し、該官能基が単量体であるとき、即ちナノポーラスシリカの細孔が開放された状態のときに該細孔に色素を担持し、その後該官能基を二量体化することでナノポーラスシリカの細孔を該官能基により塞ぎ、さらにこの状態のナノポーラスシリカをマトリクスである樹脂に分散させた後に樹脂を硬化させることにより、たとえその後に官能基が単量体化してナノポーラスシリカの細孔が開放された場合であっても、細孔の入口を硬化樹脂が覆うことにより、ナノポーラスシリカからの色素の溶出を効果的に抑止することができ、ナノポーラスシリカに担持された色素により得られる性能を、長期にわたって発揮させることができる、色変換フィルターが得られるとの知見を得た。なお、発明者らは、例えば、上記官能基にクマリン誘導基を用いるとともに、上記外部刺激として特定波長の光の照射が有効であるとの知見を得た。
【0014】
それによれば、本発明の課題は、3〜10nmの平均孔径を有するナノポーラスシリカの細孔の入口に、単量体の官能基、単量体化され得る官能基、またはそれらの両方を導入する工程、前記工程で単量体化され得る官能基を導入した場合に、該官能基に、第1の外部刺激を加えて前記官能基を単量体化する工程、前記ナノポーラスシリカの細孔に、ある波長の光を吸収し、吸収波長と異なる波長を含む光を出力する色素を担持する工程、前記単量体の官能基または単量体化された官能基に、第2の外部刺激を加えてこれらの官能基を二量体化する工程、および前記色素が担持されたナノポーラスシリカをマトリクス樹脂内に導入し、前記マトリクス樹脂を硬化させる工程を含むことを特徴とする色変換フィルターの製造方法とすることによって、解決される。
【0015】
このような色変換フィルターの製造方法においては、前記官能基がクマリン誘導基であり、前記第1の外部刺激が波長210〜260nmの光の照射であり、前記第2の外部刺激が波長310〜340nmの光の照射であることが望ましい。また、前記色素に、少なくとも1種のローダミン染料を用いることが望ましい。
【0016】
また、本発明の課題は、透明な支持基板上に、それぞれ異なる波長域の光を透過する、少なくとも2種のカラーフィルターを独立して配列する工程、および少なくとも1種の前記カラーフィルター上に、上記の製造方法により色変換フィルターを形成する工程を含むことを特徴とする色変換フィルター基板の製造方法とすることによって、解決される。
【0017】
さらに、本発明の課題は、このような製造方法により得られた色変換フィルター基板上に、少なくとも、第1電極、有機発光体、第2電極を順次積層することを特徴とする多色発光デバイスの製造方法、または、このような製造方法により得られた色変換フィルター基板上と、支持基板上に少なくとも第1電極、有機発光体および第2電極が順次積層されている有機発光素子とを貼り合わせることを特徴とする多色発光デバイスの製造方法とすることによって、解決される。
【発明の効果】
【0018】
以上によれば、本発明の色変換フィルターの製造方法により、ナノポーラスシリカに担持された色素により得られる性能を、長期にわたって発揮させることができる、色変換フィルターを提供することができる。加えて、本発明の色変換フィルターの製造方法を用いて、色変換フィルター基板の製造方法および多色発光デバイスの製造方法を使用した場合には、耐久性の高い色変換フィルター基板および多色発光デバイスを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
[色変換フィルターの製造方法]
まず、本発明の主要部である、色変換フィルターの製造方法について詳述する。
本発明の色変換フィルターの製造方法は、3〜10nmの平均孔径を有するナノポーラスシリカの細孔の入口に、単量体の官能基、単量体化され得る官能基、またはそれらの両方を導入する工程(以下、「第1工程」と称する場合がある)、前記工程で単量体化され得る官能基を導入した場合に、該官能基に、第1の外部刺激を加えて前記官能基を単量体化する工程(以下、「第2工程」と称する場合がある)、前記ナノポーラスシリカの細孔に、ある波長の光を吸収し、吸収波長と異なる波長を含む光を出力する色素を担持する工程(以下、「第3工程」と称する場合がある)、前記単量体の官能基または単量体化された官能基に、第2の外部刺激を加えてこれらの官能基を二量体化する工程(以下、「第4工程」と称する場合がある)、および前記色素が担持されたナノポーラスシリカをマトリクス樹脂内に導入し、前記マトリクス樹脂を硬化させる工程(以下、「第5工程」と称する場合がある)、を含む。以下、各工程を詳細に説明する。
【0020】
[第1工程]
第1工程は、後述する第3工程で担持される色素のナノポーラスシリカからの溶出を抑止するために、ナノポーラスシリカに細孔の入口に、細孔の蓋となる官能基を予め導入する工程である。
【0021】
(ナノポーラスシリカ)
ナノポーラスシリカとは、例えば、特許文献5に開示されている、ナノポーラスシリカを用いることができる。当該耐熱性層状ナノポーラスシリカは、結晶性層状ケイ酸塩の板状のシート層が複数積層し、隣接する上記シート層の層間がシロキサン結合による結合点において縮幅し、該結合点の間においては拡幅して微孔を形成しているハニカム状多孔構造の層状ナノポーラスシリカである。
【0022】
このナノポーラスシリカは、その孔径が数nm〜数10nmと微細であり、比表面積は1000m/g以上であるという特徴を有する。このような物質はメソ多孔体と呼ばれ、タンパク質などの大きな生体分子を収めるのに適当な大きさの細孔を有する。そのハニカムの壁の部分はシリカで形成されており、細孔は空洞である。このハニカム構造は、製造過程の途中で混在させている界面活性剤の自己組織化の性質により形成できるもので、界面活性剤の分子長を調整することで細孔の大きさを3nm〜10nm程度まで制御できる。
【0023】
特許文献5に記載の製法に従えば、水溶液中でハニカム構造を形成し得る界面活性剤を鋳型として、ハニカム構造のナノポーラスシリカを調製し、得られたナノポーラスシリカに含まれる界面活性剤を除去する前に、光により二量体化し得る有機官能基をヘキサゴナル構造のメタポーラスシリカに導入し、界面活性剤を溶剤により除去する。このような製法により、最終的には界面活性剤は取り除かれ、シリカの壁だけが残る。
【0024】
上記ナノポーラスシリカの細孔にローダミン系色素を担持する場合には、担持量は細孔の孔径に依存する。即ち、担持量は、平均孔径が3nm以上、好ましくは平均孔径が4nmから6nmである場合に大きい。平均孔径が3nm以上の場合には、例えば、平均孔径が1.5nmである場合の10倍の担持量が得られる。従って、ローダミン系色素を担持するナノポーラスシリカには、平均孔径が3nm以上のナノポーラスシリカを用いることが有利である。なお、上述したとおり、平均孔径が10nm以下の場合には、色素の担持態様を均一化することができるため、平均孔径の上限値は10nmとする。
【0025】
以上に示すように、本発明では、ローダミン系色素を担持するためのナノポーラスシリカとしては、平均孔径が3〜10nmのものを使用する。このような平均孔径のシリカを使用するにあたり、それらの平均孔径は、窒素吸着測定によって確認することができる。
【0026】
なお、ナノポーラスシリカは焼結体であるため、その粒径は数μm程度である。この粒径の焼結体をそのまま(後述する)マトリクスに分散させたのでは、粒径が大き過ぎるため、マトリクス中での分散が容易でなくなる。しかしながら、色変換フィルターに用いる際に、ナノポーラスシリカをあまり細かく粉砕すると色素担持能力が低下する。従って、ナノポーラスシリカを実際に作製してマトリクスに分散させるに当たっては、色変換色素を担持させる前に焼結体を粉砕してその粒径を200〜400nmとする。
【0027】
(官能基)
ナノポーラスシリカの細孔の入口に導入する官能基としては、第1工程で単量体として導入するものであれば、後述する第4工程においてニ量体化できるもの、第1工程で単量体化され得るものとして導入するものであれば、後述する第2工程において、外部刺激により、単量体化を図ることができるとともに、一旦単量体化された後に、後述する第4工程において、再度二量体化できるものであればよい。また、これらの両方のタイプが混在した官能基を第1工程時に導入することもできる。即ち、単量体のものまたは単量体化されたものにおいて、ナノポーラスシリカの細孔が開放されて所定の色素を導入でき、その後二量体化することで、該細孔に蓋をして、該色素をナノポーラスシリカの細孔内に閉じ込めることができるものであればよい。具体的には、光の照射または酸化還元反応により、二量体から単量体、および単量体から二量体へと変化するものなどを用いることができる。
【0028】
なお、後述するように、色素を担持して、二量体化した官能基により細孔に蓋がされたナノポーラスシリカをマトリクス樹脂に導入した後、該樹脂を硬化させ、細孔をさらに樹脂硬化膜で覆う。このため、それまで蓋の役割をしていた二量体の官能基がその後に単量体化して蓋の役割をしなくなっても、硬化樹脂が代わって蓋の役割を果たし、色素の溶出は抑止できる。従って、官能基の蓋としての役割は、マトリクス樹脂の硬化前に特に重要である。
【0029】
このような官能基としては、例えば、クマリン誘導基を用いることができる。クマリン誘導基の二量体化機構および単量体化機構については、特許文献5に開示されているとおりであり、例えば、特定波長の照射等により可逆的に実現することができる。また、このように可逆的に二量体化できる他の官能基を有する化合物としては、7−アミノ−4−メチルクマリン等の水酸基、アミノ基、カルボキシル基、エステル基等の置換基を少なくとも1個、好ましくは1〜2個有するカルコン類を挙げることができる。
【0030】
以下に、ナノポーラスシリカに官能基を導入する具体的態様を詳細に説明する。
まず、ナノポーラスシリカの細孔の入口に単量体の官能基を導入する方法を述べる。
上記のような二量体化できる官能基を有する化合物(以下、「二量化性化合物」と称する場合がある。)ナノポーラスシリカに導入するために、例えば、二量化性化合物にオレフィン基を導入した後、ヒドロシラン類を反応させて二量化性基含有シラン化合物を合成する。
【0031】
二量化性化合物へのオレフィン基の導入は、例えば、オレフィン基を有する有機ハロゲン化物を二量化性化合物の水酸基などの官能基に常法に従って、例えば溶媒中、塩基の存在下で、反応させることにより行うことができる。オレフィン基を有する有機ハロゲン化物としては特に限定されないが、塩化アリル、臭化アリル、ヨウ化アリル、3−臭化シクロヘキセン、6−臭化−1−ヘキセン等の炭素数3〜8程度のオレフィン基含有有機ハロゲン化物を挙げることができる。オレフィン基を有する有機ハロゲン化物の種類(炭素数)は、二量化し得る有機基を有する化合物の種類に応じて、二量化した後、メソポーラス無機材料の細孔の入り口を塞ぐことができるようなものを、適宜選択することができる。
【0032】
溶媒としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等が挙げられる。特に、アセトンが好ましい。塩基としては、例えば、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カリウム、炭酸セシウム、ナトリウムメトキシド、カリウム−t−ブトキシド等が挙げられる。塩基の使用量は、例えば、7−ヒドロキシクマリンなどの二量化性化合物に対し、1〜3当量であればよい。反応温度は、例えば、40〜100℃程度であればよく、好ましくは、60〜80℃である。反応時間は、例えば、3〜24時間程度である。
【0033】
こうして得られたオレフィン含有二量化性化合物に、アルコキシシランを、常法に従って反応させ二量化性基含有シラン化合物を得る。ここで用いるアルコキシシランとしては、一次元細孔構造のメソポーラスシリカのシラノール基と反応して、二量化性官能基を該メソポーラスシリカに導入できるものなら特に限定されないが、例えば、少なくとも1個のアルコキシ基を有する化合物、好ましくはHSiR(式中、Rは、同一又は異なっても良く、炭素数1〜4程度のアルキル基又は炭素数1〜3程度のアルコキシ基を示し、Rの少なくとも1つが炭素数1〜3程度のアルコキシ基である。)で表されるアルコキシシランが挙げられる。具体的には、トリエトキシシラン、トリメトキシシラン、ジエトキシメチルシラン、エトキシジメチルシラン等を挙げることができる。
【0034】
当該反応は、溶媒の存在下、触媒の存在下に反応させることにより行うことができる。溶媒としては、例えば、トルエン、キシレン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ベンゼン、ヘキサン、ジクロロメタン、クロロホルム等が挙げられる。特に、トルエン、キシレンが好ましい。オレフィン含有二量化性化合物の使用量としては、アルコキシシランに対して、例えば、1〜1.5当量程度が好ましく、特に、1〜1.2当量程度が好ましい。触媒としては、例えば、白金−1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン錯体、白金−2,4,6,8−テトラメチル−2,4,6,8−テトラビニル−シクロテトラシロキサン錯体、塩化白金酸、活性炭担持白金、アルミナ担持白金等の白金触媒、ウィルキンソン錯体(RhCl(PPh)、活性炭担持ロジウム、アルミナ担持ロジウム等のロジウム触媒、テトラキストリフェニルホスフィンパラジウム、活性炭担持パラジウム等のパラジウム触媒等が挙げられる。当該触媒の使用量は、アルコキシシランに対して、例えば、0.005〜0.5mol%程度であればよく、好ましくは0.02〜0.1mol%程度である。反応温度は、例えば、0〜80℃程度であればよく、好ましくは、室温(25℃付近)〜30℃程度である。反応時間は、例えば、10分〜4時間程度である。
【0035】
こうして得られた二量化性基含有シラン化合物を一次元細孔構造のメソポーラスシリカに導入する際には、鋳型である界面活性剤を焼成や抽出等で除いた一次元細孔構造のメソポーラスシリカは用いずに、鋳型界面活性剤で細孔が充填された状態のままのメソポーラスシリカを用いるのが好ましい。細孔には鋳型の界面活性剤が充填されているため、二量化性基含有シラン化合物は、細孔の内部には入り込まず、細孔の入り口のシラノール基とのみ反応し、導入されるからである。
【0036】
一次元細孔構造のメソポーラスシリカを溶媒(例えば、n−ヘキサン、トルエンなど)中に懸濁させ、次いで二量化性基含有シラン化合物を加えて、室温〜80℃程度で10分〜6時間程度反応させることにより、二量化性官能基をメソポーラスシリカの細孔の入り口に導入することができる。
【0037】
二量化性基含有シラン化合物の使用量は、導入後二量化することにより一次元細孔構造のメソポーラスシリカの細孔に内包(充填)させる機能性物質を閉じこめるようなことができるような量であれば特に限定されるものではないが、通常、鋳型界面活性剤が充填されたメソポーラスシリカ100重量部に対して、2〜20重量部程度である。
【0038】
次に、ナノポーラスシリカの細孔の入口に二量体の官能基を導入する方法を述べる。
一次元細孔構造のメソポーラス無機材料の細孔口に、二量化性官能基に代えて、種々の架橋性官能基、例えばエステル基やアミノ基等を公知の反応方法により導入し、第2工程で容易に単量化できるような結合、例えば、エステル結合、アミド結合、アセタール結合などを形成することができる。このような導入によれば、適当な方法により後述する第2工程においてに単量化させて、化学物質の取り込み乃至除去や機能性物質の放出制御などを行うことができる。
【0039】
二量化性官能基をメソポーラスシリカに導入後、細孔内に残留する界面活性剤を、溶媒抽出、或いは、焼成などにより除去する。
【0040】
以上は、ナノポーラスシリカに官能基を導入する具体的態様であるが、導入の仕方は、これらに限られものではなく、他の公知の方法であれば、いかなる方法も用いることもできる。このように、第1工程終了時には、ナノポーラスシリカの入口に、単量体の官能基、単量体化され得る官能基、またはそれらの両方が存在するため、これらの官能基が二量体の官能基を含む場合は、該細孔は一部蓋がされている状態である。
【0041】
[第2工程]
第2工程は、上記のように官能基により蓋がされている場合に、ナノポーラスシリカの細孔を開放する工程である。上記のように、官能基としてクマリン誘導基を用いる場合には、該誘導基に波長210〜260nmの光を照射することにより、官能基を単量体化することができる。
【0042】
具体的な光照射の仕方は、以下のとおりである。上記範囲の波長の光照射は、例えば、低圧水銀ランプで石英ガラスの容器を用いて行うことができる。このような変化は、紫外線スペクトルで光二量化性基の吸収(例えば、クマリン誘導体の場合は、310〜330nmの吸収)の有無を調べることで確認できる。
【0043】
以上は、ナノポーラスシリカに導入された官能基に特定波長の光を照射する具体的態様であるが、照射の仕方は、これらに限られものではなく、他の公知の方法であれば、いかなる方法も用いることもできる。このように、第2工程終了時には、ナノポーラスシリカの細孔にはクマリン誘導基等の官能基が存在するが、細孔は官能基によって蓋がされていない状態となっている。
【0044】
[第3工程]
第3工程は、第2工程において開放されたナノポーラスシリカの細孔に所定の色素を担持する工程である。
【0045】
(色変換色素)
後述する有機発光体から発せられる青色から青緑色領域の光を吸収して、赤色領域の蛍光を発する蛍光色素としては、例えばローダミンB、ローダミン6G、ローダミン3B、ローダミン101、ローダミン110、スルホローダミン、ベーシックバイオレット11、ベーシックレッド2などのローダミン系色素、シアニン系色素、1−エチル−2−〔4−(p−ジメチルアミノフェニル)−1,3−ブタジエニル〕−ピリジニウム−パークロレート(ピリジン1)などのピリジン系色素、あるいはオキサジン系色素などが挙げられる。さらに、各種染料(直接染料、酸性染料、塩基性染料、分散染料など)も蛍光性があれば使用することができる。
【0046】
また、後述する有機発光体から発せられる青色ないし青緑色領域の光を吸収して、緑色領域の蛍光を発する蛍光色素としては、例えば3−(2’−ベンゾチアゾリル)−7−ジエチルアミノクマリン(クマリン6)、3−(2’−ベンゾイミダゾリル)−7−ジエチルアミノクマリン(クマリン7)、3−(2’−N−メチルベンゾイミダゾリル)−7−ジエチルアミノクマリン(クマリン30)、2,3,5,6−1H,4H−テトラヒドロ−8−トリフルオロメチルキノリジン(9,9a,1−gh)クマリン(クマリン153)などのクマリン系色素、あるいはクマリン色素系染料であるベーシックイエロー51、さらにはソルベントイエロー11、ソルベントイエロー116などのナフタルイミド系色素などが挙げられる。さらに、各種染料(直接染料、酸性染料、塩基性染料、分散染料など)も蛍光性があれば使用することができる。
【0047】
(溶媒)
次に、平均孔径が3〜10nmのナノポーラスシリカにローダミン系色素を担持する際に使用する溶媒について説明する。発明者らは、上記ナノポーラスシリカにローダミン系色素を担持させるために用いる溶媒について鋭意検討した。その結果、溶媒として特にエタノール、t−ブタノール、アセトン、アセトニトリル、水と1−プロパノールの混合溶液などを用いた場合に、ローダミン系色素をナノポーラスシリカの細孔内に導入し、その内壁に吸着させることができ、十分な担持量とそれによる優れた蛍光強度を達成することができるとの知見を得た。
【0048】
ナノポーラスシリカの細孔にローダミン系色素を担持するにあたっては、例えば、該色素を特定溶媒中に溶解して得た溶液にナノポーラスシリカを浸漬する方法を用いることができる。
【0049】
具体的な担持の仕方は、以下のとおりである。例えば、二量化性基官能基としてクマリン誘導体を用い場合には、溶媒(溶媒の濃度や溶液の量は特に限定されない)にクマリン誘導基が導入されているナノポーラスシリカを浸漬する(例えば、24時間程度)。その後、ナノポーラスシリカをろ別し、溶媒でよく洗浄する。溶媒を含んだナノポーラスシリカに、耐熱性の硬質ガラスジャケットを通し特定波長の光を除くようにして高圧水銀ランプで紫外線照射する。照射時間は、ナノポーラスシリカの量に応じて適宜設定することができる。
【0050】
以上は、ナノポーラスシリカへ色素を担持する具体的態様であるが、担持の仕方は、これらに限られものではなく、他の公知の方法であれば、いかなる方法も用いることもできる。このように、第3工程終了時は、ナノポーラスシリカの細孔の内壁に所定の色素が吸着された状態で担持されており、該細孔の入口には、依然として単量体化された官能基が存在した状態である。
【0051】
[第4工程]
第4工程は、第3工程でナノポーラスシリカに担持した色素を細孔内に閉じ込めるための工程である。上記のように、官能基としてクマリン誘導基を用いる場合には、該誘導基に波長310〜340nmの光を照射することにより、官能基を二量体化し、ナノポーラスシリカの細孔に蓋をすることができる。
【0052】
具体的な照射の仕方は、以下のとおりである。用いるランプは、波長310nm以上の紫外線を照射できるものなら特に限定されないが、高圧水銀ランプが好ましい。高圧水銀ランプを用いる場合、耐熱性の硬質ガラスジャケットを通して行うと、波長310nm未満のものを除くことができる。
【0053】
以上は、ナノポーラスシリカに導入された官能基に特定波長の光を照射する具体的態様であるが、照射の仕方は、これらに限られものではなく、他の公知の方法であれば、いかなる方法も用いることもできる。このように、第4工程終了時には、ナノポーラスシリカの細孔は、色素が充填され、かつ、クマリン誘導基等の官能基によって蓋がされた状態となっている。
【0054】
[第5工程]
第5工程は、第4工程において官能基により蓋がされた状態の、色素が担持されたナノポーラスシリカをマトリクス樹脂内に導入し、該マトリクス樹脂を硬化させて、色素を覆うための蓋を2重にする工程である。この工程は、その後、官能基が単量体化されて官能基が蓋の役割を果たさなくなった場合であっても、色素が細孔外に溶出しないようにするために硬化樹脂によって蓋を形成する工程である。
【0055】
(マトリクス樹脂)
本発明の色変換フィルターに用いられるマトリクス樹脂は、光硬化性または光熱併用型硬化性樹脂(レジスト)を光および/または熱処理して、ラジカル種またはイオン種を発生させて重合または架橋させ、不溶不融化させたものである。また、後述する色変換フィルター基板の形成時に、色変換フィルターのパターニングを行うために、該光硬化性または光熱併用型硬化性樹脂は、硬化する前は有機溶媒またはアルカリ溶液に可溶性であることが望ましい。
【0056】
具体的にマトリクス樹脂は、その硬化後に、例えば、以下の(1)〜(4)に示すものとなる樹脂である。
(1)アクロイル基またはメタクロイル基を複数有するアクリル系多官能モノマーおよびオリゴマーと、光または熱重合開始剤からなる組成物膜を光または熱処理して、光ラジカルまたは熱ラジカルを発生させて重合させたもの
(2)ポリビニル桂皮酸エステルと増感剤からなる組成物を光または熱処理により二量化させて架橋したもの
(3)鎖状または環状オレフィンとビスアジドからなる組成物膜を光または熱処理によりナイトレンを発生させ、オレフィンと架橋させたもの
(4)エポキシ基を有するモノマーと酸発生剤からなる組成物膜を光または熱処理により、酸(カチオン)を発生させて重合させたもの
特に硬化後に(1)に示すものとなる光硬化性又は光熱併用型硬化性樹脂が高精細でパターニングが可能であり、耐溶剤性、耐熱性等の信頼性の面でも好ましい。
【0057】
本発明で用いることができる光重合開始剤、増感剤および酸発生剤は、含まれる色変換色素が吸収しない波長の光によって重合を開始させるものであることが好ましい。本発明の色変換フィルターにおいて、光硬化性または光熱併用型硬化性樹脂中の樹脂自身が光または熱により重合することが可能である場合には、光重合開始剤および熱重合開始剤を添加しなくてもよい。
【0058】
色素が担持されたナノポーラスシリカをマトリクス樹脂内に導入する際には、上述した所定の樹脂に色素が担持されたナノポーラスシリカを導入して、後述する色変換フィルターの塗布液を得ることができる。
【0059】
また、マトリクス樹脂の硬化については、以下の要領で行う。即ち、色変換フィルターとして用いるナノポーラスシリカ含有マトリクス樹脂の塗布液を、所定の基板、例えば支持基板上に塗布して樹脂の層を形成し、さらに所望される部分の光硬化性または光熱併用型硬化性樹脂を露光することにより重合させる。第5工程終了時には、色素が担持されたナノポーラスシリカの細孔はクマリン誘導基で蓋がされており、さらに、その外側には硬化樹脂が形成されているので、2重に蓋がされた状態となっている。
【0060】
なお、以上に示す第1〜第5工程を概念的に示すと、図1のようになる。即ち、第1,2工程においては、図1(a)〜(b)に示すように、ナノポーラスシリカの細孔に官能基を導入し、第1の外部刺激を加えることにより(または加えずに)、最終的に官能基を単量体のものだけの状態とする。第3工程では、図1(c)に示すように、該細孔に色素を担持する。第4工程においては、図1(d)に示すように、第2の外部刺激を加えることにより、最終的に官能基を二量体のものだけの状態とする。第5工程では、図1(e)に示すように、ナノポーラスシリカの周りを硬化樹脂で覆う。
【0061】
以上に説明したように、第1〜第5工程によって製造された色変換フィルターは、色素をナノポーラスシリカの細孔に担持し、該細孔の入口を二量体化した官能基により蓋をした上、その外側を硬化したマトリクス樹脂により覆うことで、たとえ該官能基が単量体化して上記蓋の役割をしなくなったとしても、硬化樹脂により、色素の溶出を抑止することができる。従って、本発明によれば、ナノポーラスシリカに担持された色素により得られる性能を、長期にわたって発揮させることができる、色変換フィルターを提供することができる。
【0062】
[色変換フィルター基板の製造方法]
次に、上記色変換フィルターの製造方法を用いた、本発明の色変換フィルター基板の製造方法について詳述する。
本発明の色変換フィルター基板の製造方法は、透明な支持基板上に、それぞれ異なる波長域の光を透過する、少なくとも2種のカラーフィルターを独立して配列する工程、および少なくとも1種の前記カラーフィルター上に、上記した製造方法により色変換フィルターを形成する工程を含むものである。
【0063】
図2は本発明の製造方法により得られた色変換フィルター基板の断面概略図であり、3色のうち、2色を色変換フィルターを通じて出力する際の例である。図2に示す色変換フィルター基板は、透明な支持基板1上に、赤色カラーフィルター2、緑色カラーフィルター4および青色変換フィルター6が別個独立に形成されており、赤色カラーフィルター2および緑色カラーフィルター4上には、それぞれ対応する色の、赤色変換フィルター3および緑色変換フィルター5が形成されている。さらに、これらの構成要素1〜6上には、該構成要素2〜6を取り囲むように保護層7が形成されている。
【0064】
また、図3は本発明の製造方法により得られた色変換フィルター基板の断面概略図であり、1色のみ色変換フィルターを通じて出力する際の例である。図3に示す色変換フィルター基板は、透明な支持基板1上に、赤色カラーフィルター2、緑色カラーフィルター4および青色変換フィルター6が別個独立に形成されており、赤色カラーフィルター2上には対応する色の、赤色変換フィルター3が形成されている。さらに、これらの構成要素1〜4,6上には、該構成要素2〜4,6を取り囲むように保護層7が形成されている。
以下に、各構成要素について詳細に説明するとともに、色変換フィルター基板の製造方法をより具体的に説明する。
【0065】
[透明な支持基板1]
図2および図3において、透明な支持基板1は可視光透過率に優れ、また、色変換フィルター基板および多色発光デバイスの形成プロセスにおいて、これらの性能低下を引き起こさないものであればよく、例としてはガラス基板、各種プラスチック基板、または各種フィルム等が挙げられる。
【0066】
[カラーフィルター2,4,6]
本発明の色変換フィルター基板では、異なる波長域の光を透過させる少なくとも2種類のカラーフィルターが、それぞれ独立して配置される。図2および図3では、3種のカラーフィルター2,4,6を示し、それらは、互いに異なる波長域の光を透過させるカラーフィルターである。例えば、カラーフィルター2は赤色領域の光を透過するものとし、カラーフィルター4は緑色領域の光を透過するものとし、カラーフィルター6は青色領域の光を透過するものとすることができる。各色のカラーフィルター2,4,6は、有機発光体から発せられた光または後述の色変換フィルターにおいて異なる波長に変換された光の色純度を向上させるための層である。カラーフィルターは液晶ディスプレイをはじめとした、ディスプレイ用途のものが適用でき、一般的には顔料を高分子バインダー中へ分散したものである。支持基板1上へのカラーフィルター2,4,6の形成は、フォトリソグラフ法のような公知のいかなる方法によっても行うことができる。
【0067】
[色変換フィルター3,5]
色変換フィルター3,5については、上記した製造方法により得られるものを使用する。具体的には、色変換フィルター3,5はカラーフィルター上に積層することが望ましい(例えば、図2における赤色カラーフィルター2上に赤色変換フィルター3を積層する)。また、青から青緑色光を発する発光部と組み合わせてフルカラー表示を行うことが所望されている場合、図2に示すように赤色カラーフィルター2上の赤色変換フィルター3、および緑色カラーフィルター4上の緑色変換フィルター5の両方を用いることが望ましい。あるいはまた、青緑色光を発する発光部と組み合わせてフルカラー表示を行うことが所望され、該発光部が十分な量の緑色成分を含む場合には、図3に示すように、赤色カラーフィルター2上に赤色変換フィルター3を配設するのみとし、緑色変換フィルターを用いない構成としてもよい。
【0068】
色変換フィルター3,5のカラーフィルター2,4上への具体的な積層は、まず、所定色素を担持したナノポーラスシリカを含有する、光硬化性または光熱併用型硬化性樹脂を主成分とする溶液または分散液を、対応する色のカラーフィルター2,4上にそれぞれ塗布して樹脂の層を形成する。次いで、所望される部分の光硬化性または光熱併用型硬化性樹脂を露光することにより重合して不溶化させた後に、パターニングを行う。該パターニングは、未露光部分の樹脂を溶解または分散させる有機溶媒またはアルカリ溶液を用いて、未露光部分の樹脂を除去するなどの慣用の方法によって実施することができる。
【0069】
以上のようにして行うパターニングにより、図2,3に示す色変換フィルター3,5は、それぞれ対応する色のカラーフィルター2,4上に形成することができる。
【0070】
[保護層7]
保護層7は、その名の通りに色変換フィルターを保護する目的、および膜面の平滑化を目的に配設されるものである。保護層7は、光透過性に富む材料から形成され、かつ色変換フィルターを劣化させることのないプロセスを選択して配設する必要がある。また、保護層7の上面に無機ガスバリア膜または電極として用いられる透明導電膜等を形成する場合、保護層7には、さらにスパッタ耐性も要求されることとなる。保護層7の具体的な形成は、スクリーン印刷法のような公知のいかなる方法によっても行うことができる。
【0071】
前述の通り、保護層7は平滑化の目的も併せ持つため、一般的には塗布法で形成される。その際、適用可能な材料としては、光硬化性または光熱併用型硬化性樹脂を、光および/または熱処理して、ラジカル種またはイオン種を発生させて重合または架橋させ、不溶不融化させたものが一般的である。また、該光硬化性または光熱併用型硬化性樹脂は、所定のパターニングを行うために、硬化をする前は有機溶媒またはアルカリ溶液に可溶性であることが望ましい。
【0072】
具体的に光硬化性または光熱併用型硬化性樹脂とは、その硬化後に、例えば、以下の(1)〜(4)に示すものとなる樹脂である。
(1)アクロイル基またはメタクロイル基を複数有するアクリル系多官能モノマーおよびオリゴマーと、光または熱重合開始剤からなる組成物膜を光または熱処理して、光ラジカルまたは熱ラジカルを発生させて重合させたもの
(2)ポリビニル桂皮酸エステルと増感剤からなる組成物を光または熱処理により二量化させて架橋したもの
(3)鎖状または環状オレフィンとビスアジドからなる組成物膜を光または熱処理によりナイトレンを発生させ、オレフィンと架橋させたもの
(4)エポキシ基を有するモノマーと光酸発生剤からなる組成物膜を光または熱処理により、酸(カチオン)を発生させて重合させたもの
特に硬化後に(1)に示すものとなる光硬化性又は光熱併用型硬化性樹脂が高精細でパターニングが可能であり、耐溶剤性、耐熱性等の信頼性の面でも好ましい。
【0073】
その他、ポリカーボネート(PC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエーテルサルホン、ポリビニルブチラール、ポリフェニレンエーテル、ポリアミド、ポリエーテルイミド、ノルボルネン系樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、イソブチレン無水マレイン酸共重合樹脂、環状オレフィン系等の熱可塑性樹脂;または、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、ビニルエステル樹脂、イミド系樹脂、ウレタン系樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂等の熱硬化性樹脂を用いて保護層7を形成することができる。あるいはまた、色変換フィルターのマトリクス樹脂にも適用しているシリコーンポリマー、具体的にはストレート型シリコーンポリマー、あるいはポリスチレン、ポリアクリロニトリル、ポリカーボネート等と3官能性あるいは4官能性のアルコキシシランとから形成される樹脂変性型シリコーンポリマー等も利用することができる。
【0074】
以上のように、支持基板1上に、各構成部材(カラーフィルター2,4,6、色変換フィルター3,5、および保護層7)を順次形成することにより、色変換フィルター基板が得られる。このようにして得られた色変換フィルター基板は、色変換フィルターの所望の機能が長期にわたって発揮されるため、優れた耐久性を実現することができる。
【0075】
[多色発光デバイスの製造方法]
さらに、上記色変換フィルター基板の製造方法を用いた、本発明の多色発光デバイスの製造方法について詳述する。
本発明の多色発光デバイスは、上記製造方法により得られた色変換フィルター基板上に、少なくとも、第1電極、有機発光体、第2電極を順次積層する方法、または、上記製造方法により得られた色変換フィルター基板上と、支持基板上に少なくとも第1電極、有機発光体および第2電極が順次積層されている有機発光素子とを貼り合わせる方法である。
【0076】
図4,5は本発明の製造方法により得られた多色発光デバイスの断面概略図である。なお、これらの図に示す色変換フィルター基板は、図2に示す製造方法により得られたものである。
【0077】
図4に示す多色発光デバイスは、図2に示す色変換フィルター基板の保護層7上に、第1電極8、有機発光体9および第2電極10を順次積層したものである。有機発光体9は、保護層7上に形成されるとともに、第1電極8を取り囲むように形成されている。
【0078】
これに対し、図5に示す多色発光デバイスは、図2に示す色変換フィルター基板と、別個の支持基板11上に、第1電極12、有機発光体13、第2電極14を順次積層した有機発光素子とを、第2電極14と保護層7とを対向させた状態で貼り合わせたものである。有機発光体13は、支持基板11上に形成されるとともに、第1電極12を取り囲むように形成されている。
以下に、各構成要素について詳細に説明するとともに、多色発光デバイスの製造方法をより具体的に説明する。
【0079】
[ガスバリア層]
本発明の製造方法により得られた色変換フィルター基板を、有機発光体と組み合わせる場合、色変換フィルターから発生する水分から有機発光体を守る目的で、保護層7上面にガスバリア層(図示せず)を積層してもよい。ガスバリア層には、透明且つピンホールのない緻密な膜が求められ、例えばSiO、SiN、SiN、AlO、TiO、TaO、ZnO等の無機酸化物または無機窒化物等が使用できる。該ガスバリア層の形成方法としては特に制約はなく、スパッタ法、CVD法、真空蒸着法、ディップ法等の慣用の手法を用いることができる。
【0080】
[有機発光体9,13]
有機発光体は、図4,5に示すように、一対の電極(第1電極8,12および第2電極10,14)の間に挾持されるものである。有機発光体は、少なくとも有機発光層を含み、必要に応じて正孔注入層、正孔輸送層、電子輸送層および/または電子注入層を介在させた構造を有している。あるいはまた、正孔の注入および輸送の両方の機能を有する正孔注入輸送層、電子の注入および輸送の両方の機能を有する電子注入輸送層を用いてもよい。具体的には、有機発光体はその両側に配置される陽極および陰極とともに、下記のような層構造からなるものが採用される。
(1)陽極/有機発光層/陰極
(2)陽極/正孔注入層/有機発光層/陰極
(3)陽極/有機発光層/電子注入層/陰極
(4)陽極/正孔注入層/有機発光層/電子注入層/陰極
(5)陽極/正孔輸送層/有機発光層/電子注入層/陰極
(6)陽極/正孔注入層/正孔輸送層/有機発光層/電子注入層/陰極
(7)陽極/正孔注入層/正孔輸送層/有機発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極
上記の層構成において、陽極および陰極の少なくとも一方は、該有機発光層の発する光の波長域において透明であることが望ましく、および透明である電極を通して光を発して、前記色変換フィルターまたはカラーフィルターに光を入射させる。当該技術において、陽極を透明にすることが容易であることが知られており、本発明においても第1電極8,12を透明な陽極として、および第2電極10,14を陰極として用いることが望ましい。
【0081】
上記各層の材料としては、公知のものが使用される。例えば、有機発光層として青色から青緑色の発光を得るためには、例えばベンゾチアゾール系、ベンゾイミダゾール系、ベンゾオキサゾール系などの蛍光増白剤、金属キレート化オキソニウム化合物、スチリルベンゼン系化合物、芳香族ジメチリディン系化合物などが好ましく使用される。
【0082】
以上に示す各構成部材を使用して、本発明の多色発光デバイスを製造する場合には、以下のような方法を使用することができる。
【0083】
図4に示す形態の多色発光デバイスを製造するには、上記のようにして得られた色変換フィルター基板上に、ガスバリア層(図示せず)を形成し、その上に、例えばスパッタ法にて透明電極(第1電極8である陽極)を形成することができる。次いで、抵抗加熱蒸着装置内で透明電極上に有機発光体9を成膜し、さらに所定のマスクを用いて有機発光体9上に第2電極10である陰極を堆積させることができる。
【0084】
これに対し、図5に示す形態の多色発光デバイスを製造するには、上記のようにして得られた色変換フィルター基板とは別個に、支持基板11上に少なくとも第1電極12、有機発光体13および第2電極14を順次積層した有機発光素子を形成し、この有機発光素子を前記基板と貼り合わせることができる。この際、例えばスパッタ法にて支持基板11に第1電極12を形成し、次いで、抵抗加熱蒸着装置内で第1電極12上に有機発光体13を成膜し、さらに所定のマスクを用いて有機発光体13上に第2電極14である陰極を堆積させることができる。また、貼り合わせに際しては、色変換フィルター基板の保護層7と有機発光素子の第2電極14を対向させた状態で行う。
【0085】
図4,5に示す多色発光デバイスにおいては、第1電極8,12および第2電極10,14のパターンは、それぞれ平行なストライプ状をなし、該パターンが互いに交差するように形成してもよい。その場合には、本発明の有機発光体はマトリクス駆動を行うことができ、すなわち、陽極の特定のストライプと、陰極の特定のストライプに電圧が印加された時に、それらのストライプが交差する部分において有機発光層9,13が発光する。従って、第1電極8,12および第2電極10,14の選択されたストライプに電圧を印加することによって、特定の色変換フィルターおよび/またはカラーフィルターが位置する部分のみを発光させることができる。
【0086】
また、第1電極8,12をストライプパターンを持たない一様な平面電極とし、および第2電極10,14を各画素に対応するようにパターニングしてもよい。その場合には、各画素に対応するスイッチング素子を設けて各画素に対応する第2電極10,14に1対1で接続して、いわゆるアクティブマトリクス駆動を行うことが可能になる。
【実施例】
【0087】
以下、本発明のパターニング法を適用した場合の1つの例を、図面に参照しながら説明する。以下に示す実施例1〜3および比較例1は、図2および図4に基づいて行われたものである。
[実施例1]
(カラーフィルター)
支持基板1であるコーニング社製1737ガラス上に、富士フィルムエレクトロニクスマテリアルズ(株)製CR7001、CG7001、CB7001を用い、フォトリソグラフ法にて、それぞれが重ならないように、幅0.10mm、ピッチ0.33mmのストライプパターンを形成して、赤色カラーフィルター2、緑色カラーフィルター4、および青色カラーフィルター6を得た。各カラーフィルターの膜厚は1.0μmであった。さらに、青色カラーフィルター6であるCB7001の上面にのみ、新日鐵化学製VPAを用い、フォトリソグラフ法にて、厚み10μm、幅0.10mm、ピッチ0.33mmの透明なストライプパターンを形成した。これは、赤色・緑色の色変換フィルターが形成された際に、色ごとの膜厚差を生じないように形成するものである。
【0088】
(緑色変換フィルター)
蛍光色素としてクマリン6(0.7重量部)を溶剤のプロピレングリコールモノエチルアセテート(PGMEA)120重量部へ溶解させた。該溶液に対して100重量部の新日鐵化学製VPAを加えて溶解させ、塗布液を得た。この塗布液を用い、フォトリソグラフ法にて、緑色カラーフィルター4の上面へ、幅0.1mm、ピッチ0.33mm、膜厚10μmのパターンを形成して、緑色変換フィルター5を得た。
【0089】
(赤色変換フィルター)
鋳型となる界面活性剤を含む平均孔径4nmのナノポーラスシリカ(太陽化学株式会社製)を用意し、これを予め粉砕して粒径を200〜400nmの範囲とした。次いで、ナノポーラスシリカの細孔の入口に、官能基として7−ヒドロキシクマリンの二量体を導入した。溶媒により界面活性剤を除去した後、波長254nmの光を照射して、7−ヒドロキシクマリンの二量体を全て単量体化した。さらに、ナノポーラスシリカの細孔に、色変換色素としてローダミン6G(0.3重量部)、ベーシックバイオレット11(0.3重量部)を導入し、これらの色素を担持した。その後、波長310nmの光を照射して、7−ヒドロキシクマリンを二量体化して、上記色素をナノポーラスシリカ内に閉じ込めた。
【0090】
このように所定の色素を担持したナノポーラスシリカを、溶媒であるプロピレングリコールモノエチルアセテート(PGMEA)120重量部に溶解させた。これに新日鐵化学製VPA100重量部を加えて溶解させ、塗布液を得た。この塗布液を用いて、フォトリソグラフ法にて、赤色カラーフィルター2の上面に、幅0.1mm、ピッチ0.33mm、膜厚10μmのパターンを形成して、赤色変換フィルター3を得た。
【0091】
なお、露光には超高圧水銀ランプを光源とし、主波長365nmの光を用いた。このとき波長300nm以下の光はフィルターにより除去した。フォトリソグラフ工程で、ナノポーラスシリカよりの色素の溶出は抑止できた。
【0092】
(保護層の形成)
クラリアントジャパン社のペルヒドロポリシラザンNP110を用い、スクリーン印刷法により、前記色変換フィルターおよびカラーフィルター上面へ保護層7を形成した。保護層7の膜厚は5μmとした。
【0093】
(ガスバリア層の形成)
スパッタ法にて、0.5μmのSiOx膜からなるガスバリア層を得た。スパッタ装置はRF−プレーナマグネトロン、ターゲットはSiOを用いた。製膜時のスパッタガスはArを使用した。形成時の基板温度は80℃で行った。
【0094】
(有機発光体の作製)
上記のようにして製造したフィルター部の上に、第1電極8(陽極)/有機発光体9(正孔注入層/正孔輸送層/有機発光層/電子注入層の4層)/第2電極10(陰極)を順次形成して、多色発光デバイスを得た。詳細は以下のとおりである。
【0095】
まず、フィルター部の最外層をなすガスバリア層の上面にスパッタ法にて透明電極(ITO)を全面成膜した。ITO上にレジスト剤(OFRP−800」(商品名、東京応化製)を塗布した後、フォトリソグラフィー法にてパターニングを行い、それぞれの色の発光部(赤色、緑色、および青色)に位置する、幅0.094mm、ピッチ0.10mm、膜厚100nmのストライプパターンからなる第1電極8(陽極)を得た。
【0096】
次いで、第1電極8を形成した基板を抵抗加熱蒸着装置内に装着し、有機発光体を、真空を破らずに成膜した。有機発光体9は、正孔注入層、正孔輸送層、有機発光層、電子注入層の4層構成とした。成膜に際して真空槽内圧は1×10-4Paとした。正孔注入層は銅フタロシアニン(CuPc)を100nm積層した。正孔輸送層は4,4’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(α−NPD)を20nm積層した。有機発光層は4,4’−ビス(2,2’−ジフェニルビニル)ビフェニル(DPVBi)を30nm積層した。電子注入層はトリス(8−ヒドロキシキノリナト)アルミニウム(Alq)を20nm積層した。
【0097】
その後、真空を破ることなしに、第1電極8(ITO)のラインと直交する幅0.30mm、ピッチ0.33mmギャップのストライプパターンが得られるマスクを用いて、厚さ200nmのMg/Ag(10:1の重量比率)層を堆積させ、第2電極10(陰極)を形成した。
【0098】
こうして得られた有機発光体をグローブボックス内乾燥窒素雰囲気(酸素および水分濃度ともに10ppm以下)下において、封止ガラス(図示せず)とUV硬化接着剤を用いて封止し、多色発光デバイスを得た。
【0099】
[実施例2]
実施例1の赤色変換フィルター形成時において、色素担持の溶媒を、プロピレングリコールモノエチルアセテート(PGMEA)に代えて、水と1−プロパノールを1:8で混合した溶液とした以外は実施例1と同じ条件で多色発光デバイスを得た。
【0100】
[実施例3]
実施例1の赤色変換フィルターの形成において、平均孔径4nmのナノポーラスシリカにローダミン6Gを担持した色変換層と、平均孔径4nmのナノポーラスシリカにベーシックバイオレット11を担持した色変換層とを別個に作製して積層したこと以外は、実施例1と同一の形成方法にて、多色発光デバイスを得た。
【0101】
[比較例1]
蛍光色素として、ローダミン6G(0.3重量部)、ベーシックバイオレット11(0.3重量部)を、100重量部の新日鐵化学製VPAへ加えて溶解させたものを塗布液とし、フォトリソグラフ法で赤色変換フィルターを形成した以外は、実施例1と同一の形成方法にて多色発光デバイスを得た。
【0102】
[評価]
実施例1〜3および比較例1にて形成した多色発光デバイスを電流量一定にして駆動し、有機発光層の発光輝度100cd/m相当の光を1000時間(室温)照射した際の、赤色輝度の保持率の駆動時間依存性を評価した。
【0103】
本発明の色変換フィルター基板を用いた実施例1〜3の多色発光デバイスでは、赤色輝度の保持率は90〜95%であった。これに対し、比較例1では、赤色輝度の保持率は30%であった。従って、本発明の構成の色変換フィルターを用いれば、赤色輝度の保持率を大幅に向上させることができることが判る。これは、赤色色素がナノポーラスシリカ内に確実に担持されており、駆動時に該色素が外部に溶出せず、それ故に色素の劣化が効果的に抑制された結果である。
【0104】
以上によれば、ナノポーラスシリカの細孔に所定の色素を担持するにあたり、事前に細孔の入口に所定の官能基を配置し、色素の担持後に該官能基を二量体化して細孔に蓋をし、さらにナノポーラスシリカをマトリクス樹脂に導入して樹脂を硬化させることにより、色変換フィルターの駆動時に色素の溶出を抑止することができる。この結果、ナノポーラスシリカに担持された色素により得られる性能を、長期にわたって発揮させることができる、色変換フィルター、ならびに該色変換フィルターを用いた色変換フィルター基板および多色発光デバイスを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0105】
【図1】本発明の色変換フィルターの製造方法の各工程を順に示す図である。
【図2】本発明の製造方法により得られた色変換フィルター基板(1画素分)を示す断面図である。
【図3】本発明の製造方法により得られた色変換フィルター基板(1画素分)を示す断面図である。
【図4】本発明の製造方法により得られた多色発光デバイス(1画素分)を示す断面図である。
【図5】本発明の製造方法により得られた多色発光デバイス(1画素分)を示す断面図である。
【符号の説明】
【0106】
1 透明な支持基板
2 赤色カラーフィルター
3 赤色変換フィルター
4 緑色カラーフィルター
5 緑色変換フィルター
6 青色カラーフィルター
7 保護層
8,12 第1電極
9,13 有機発光層
10,14 第2電極
11 支持基板
【出願人】 【識別番号】000005234
【氏名又は名称】富士電機ホールディングス株式会社
【出願日】 平成18年2月9日(2006.2.9)
【代理人】 【識別番号】100077481
【弁理士】
【氏名又は名称】谷 義一

【識別番号】100088915
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 和夫


【公開番号】 特開2007−213993(P2007−213993A)
【公開日】 平成19年8月23日(2007.8.23)
【出願番号】 特願2006−33019(P2006−33019)