| 【発明の名称】 |
有機EL素子アレイ |
| 【発明者】 |
【氏名】永山 耕平
|
| 【要約】 |
【課題】発光領域に水分や酸素が浸入しにくく、より長時間高品質の発光をすることができる有機EL素子アレイを提供する。
【解決手段】一対の電極間に配置される有機化合物層104において発光する有機EL発光部を複数有する発光領域(領域I)と、一対の電極のうちの上部電極と接している保護層106と、保護層上に配置される部材108と、保護層106と部材108との間に配置される中間層107と、を有する有機EL素子アレイにおいて、中間層107の厚さが最も薄い部分を面内の発光領域外(領域O)に有する。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 一対の電極間に配置される有機化合物層において発光する有機EL発光部を複数有する発光領域を面内に有し、 前記一対の電極のうちの上部電極と接している保護層と、 前記保護層上に配置される部材と、 前記保護層と前記部材との間に配置される中間層と、を有する有機EL素子アレイにおいて、 前記中間層の厚さが最も薄い部分を前記面内の前記発光領域外に有することを特徴とする有機EL素子アレイ。 【請求項2】 前記発光領域外に絶縁膜を有し、かつ、前記絶縁膜の上に前記中間層が配置されていて、前記最も薄い部分を前記絶縁膜の上に有することを特徴とする請求項1に記載の有機EL素子アレイ。 【請求項3】 前記発光領域外に配置される前記絶縁膜の上に前記有機化合物層が配置されることを特徴とする請求項2に記載の有機EL素子アレイ。 【請求項4】 隣接する前記有機発光部の間に絶縁膜が配置されていて、 前記発光領域外に配置される前記絶縁膜の、前記発光領域の面内方向における長さが、前記隣接する前記有機EL発光部の間に配置される前記絶縁膜の、前記面内方向における長さよりも長いことを特徴とする請求項2または請求項3のいずれか1項に記載の有機EL素子アレイ。 【請求項5】 前記発光領域外に配置される前記絶縁膜の膜厚が、前記隣接する前記有機EL発光部の間に配置される前記絶縁膜の膜厚よりも厚いことを特徴とする請求項2乃至請求項4のいずれか1項に記載の有機EL素子アレイ。 【請求項6】 前記保護層上に配置される前記部材が前記中間層側に突起部を有し、前記突起部と前記保護層との間において前記中間層の厚さが最も薄いことを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の有機EL素子アレイ。 【請求項7】 前記部材の端部及び前記中間層の端部が樹脂で覆われることを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の有機EL素子アレイ。 【請求項8】 請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載の有機EL素子アレイを表示部に有することを特徴とする表示装置。 【請求項9】 請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載の有機EL素子アレイと、撮像手段とを有することを特徴とする撮像装置。
|
【発明の詳細な説明】【技術分野】 【0001】 本発明は有機EL素子アレイに関する。 【背景技術】 【0002】 近年、フラットパネルディスプレイとして、自発光型デバイスである有機EL素子が、注目されている。有機EL素子の構成は、ガラス基板上に有機発光層が2つの電極の間に挟まれたサンドイッチ構造である。 【0003】 ところで、有機EL素子は一般的に水分に極めて弱いという問題がよく知られている。水分が有機発光層に浸入することにより、ダークスポットと称する非発光領域が発生、発光が維持できなくなるといった課題がある。 【0004】 水分が有機発光層に侵入するのを防ぐ工夫を施した表示装置が、特許文献1に開示されている。 【0005】 特許文献1に記載の表示装置について、図6に示す。図6に示す表示装置は、表示領域10を封止樹脂13中に封止した表示装置である。基板1と板状の封止基板14との間には、表示領域10を覆う状態で全面に封止樹脂13が充填される。そして、封止樹脂13の外周露出部分を覆う状態で、ゲッター剤層21が全周に亘って設けられており、ゲッター剤層21を覆う状態で封止層23が設けられている。 【特許文献1】特開2002−270366号公報 【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】 【0006】 しかしながら、封止樹脂は一般に無機材料と比べてはるかに水分や酸素等を透過させやすいため、一旦水分や酸素等が封止層、及びゲッター剤層を透過して侵入した場合には、封止樹脂を介して有機薄膜に到達し、発光を妨げてしまう。一般的に封止層等は水分や酸素等を遮断する機能を有する材料からなるものであるが、時間の経過とともに徐々に水分や酸素等が浸入していくことも考えられる。また、保護層中にできた欠陥等を通過して侵入してくることもあるため、有機薄膜に水分や酸素等が侵入しにくい構造であることが求められる。 【0007】 そこで、本発明は、有機EL発光部を複数有する発光領域に水分や酸素等が浸入しにくく、より長時間にわたって高品質の発光をすることができる有機EL素子アレイを提供することを目的とする。 【課題を解決するための手段】 【0008】 本発明は、一対の電極間に配置される有機化合物層において発光する有機EL発光部を複数有する発光領域を面内に有し、前記一対の電極のうちの上部電極と接している保護層と、前記保護層上に配置される部材と、前記保護層と前記部材との間に配置される中間層と、を有する有機EL素子アレイにおいて、 前記中間層の厚さが最も薄い部分を前記面内の前記発光領域外に有することを特徴とする有機EL素子アレイを提供する。 【発明の効果】 【0009】 本発明によれば、中間層の厚さが最も薄い部分を面内の発光領域外に有することによって、水分等が侵入するための経路を狭くすることができる。その結果、水分等が発光領域に侵入しにくくなるので、有機EL素子アレイの寿命を長くすることが出来る。 【発明を実施するための最良の形態】 【0010】 本発明に係る有機EL素子アレイは、一対の電極間に配置される有機化合物層において発光する有機EL発光部を複数有する発光領域と、前記一対の電極のうちの上部電極と接している保護層と、前記保護層上に配置される部材と、前記保護層と前記部材との間に配置される中間層と、を有する。そして、中間層の厚さが最も薄い部分を面内の発光領域外に有することを特徴とする。 【0011】 発光領域外において中間層の厚さが最も薄いことによって、発光領域内に水分等が浸入しにくい構造にすることができる。 【0012】 保護層及びその上に配置される部材は一般的に水分等を通過させにくい材料で構成されるが、中間層に用いられる材料は樹脂材料等の水分等を通過させやすい材料である。そのため、外部から侵入した水分等は中間層を介して有機EL素子アレイ全体に浸透していくのである。 【0013】 一対の電極とその間に配置された有機化合物層は保護層に覆われているため、中間層に存在する水分は保護層によって遮断され、有機化合物層に達することは困難である。しかし、時間の経過とともに徐々に水分が侵入してくることもある。また、保護層中にできた欠陥等を通過して有機化合物層に達することも考えられる。これらのことによって有機化合物層に到達した水分等は、有機化合物層にダメージを与え、発光を阻害する要因になるのである。 【0014】 そこで、本発明は、中間層の厚さが最も薄い部分を面内の発光領域外に有することによって、中間層に侵入した水分等が発光領域上に浸透することを低減することができるのである。そして、より長時間にわたって高品質の発光が可能となる。 【0015】 本発明に係る有機EL素子アレイは、テレビ受像機、PCのモニタ、携帯電話等の表示部に好ましく用いることができる。本発明の有機EL素子アレイを表示部に有する表示装置は、より長時間にわたって高品質の表示が可能となる。 【0016】 また、本発明に係る有機EL素子アレイは、デジタルカメラ等の撮像装置に好ましく用いることもできる。本発明の有機EL素子アレイを有する撮像装置は、より長時間にわたって高品質の表示が可能となる。 【0017】 以下本発明に係る有機EL素子アレイを、図面に基づいて詳細に説明する。 【0018】 (第1の実施の形態) 図1は、本発明に係る有機EL素子アレイを示す平面模式図である。101は基板、102は下部電極、103a及び103bは絶縁膜、108は保護層106の上に配置される部材である。 【0019】 そして、図2は第1の実施の形態に係る有機EL素子アレイについて、図1に示すA点とB点との間の構造を表す断面模式図である。図2中図1に対応するものについては同じ符号で示している。それ以外のものについて、104は有機化合物層、105は上部電極、106は保護層、107は中間層、109は有機樹脂である。 【0020】 図2において、基板101上には下部電極102が形成されており、下部電極2の端部を覆うように絶縁膜103a、103bが形成されている。そして、絶縁膜が形成されず下部電極が露出している部分において下部電極102の上には有機化合物層104が積層されており、さらにその上に上部電極105が積層されている。この状態で、下部電極102と上部電極105間に電流を流すと、下部電極102が露出した部分のみが発光する。この部分が有機EL発光部である。また、発光領域とは、隣接する有機EL発光部間の領域を含め、複数の有機EL発光部全体の領域のことを指し、図2における点線で囲まれた領域Iに対応する。そして、発光領域外とは、前述の発光領域の外にある領域のことであり、図2における領域Oに対応する。 【0021】 そして、保護膜106が有機EL素子アレイ全面に形成されており、基板101上に配置された保護膜106と部材108とが中間層107で貼り合わされている。部材108の端部及び中間層107の端部は有機樹脂109によって覆われている。 【0022】 本発明では、中間層107の厚さが最も薄い部分を発光領域外(領域O)に有する。より具体的には、中間層107の厚さが最も薄い部分を絶縁膜103b上に有する。その結果、中間層107に侵入する水分等は最も薄い部分によって遮断され、発光領域(領域I)に侵入するのを妨げられる。そして、発光領域に侵入する水分等の量を減らすことができるので、水分等による有機化合物層104へのダメージを低減することができ、より長時間にわたる発光を可能にするのである。図2においては、最も薄い厚さはdminである。dminは、1μm以上50μm以下の範囲であることが好ましい。1μm(下限値)より薄い場合には、製造時に中間層107を発光領域全面に行き渡らせることが難しくなり、気泡が混入する可能性があるからである。また、熱膨張等の変形によって部材108と保護膜106とが接触し、保護膜106にダメージを与える可能性もある。一方、50μm(上限値)よりも厚い場合には、水分等の侵入経路が広くなってしまい、発光領域に侵入する水分等の量を十分に減らすことができない可能性がある。 【0023】 さらに本発明では、発光領域外において中間層107の厚さが最も薄くなる部分の有機EL素子アレイの面内方向の長さが、より長いことが好ましい。この長さがより長いことによってより高い水分遮断効果を期待できるからである。本実施の形態においては、発光領域外に配置された絶縁膜103bの面内方向の長さが、互いに隣接する有機EL発光部間に配置された絶縁膜103aの長さより長い。有機EL素子アレイの面内方向の長さとは、図2に示すWのことを示す。ただし、発光領域外の面積が大きくなるほど、発光領域の面積は相対的に小さくなるため、前記長さは一定の範囲に抑える必要がある。一定の範囲は、具体的には0.1mm以上5mm以下であることが好ましい。 【0024】 なお、本発明において、最も薄いとは発光領域(領域I)に同じ厚さを有する部分があることを除外するものではない。つまり、発光領域外(領域O)に発光領域(領域I)のいずれの部分よりも中間層107の厚さが薄い部分が存在するものだけでなく、発光領域(領域I)に中間層107の厚さがdminとなる部分が存在するものも含む。発光領域(領域I)に同じ厚さを有する部分があっても、dminが最も薄い厚さであることには変わりがなく、同等の水分等遮断効果を得ることができるからである。本実施の形態においては、最も薄い厚さとなる部分が発光領域の絶縁膜103b上にも存在する。 【0025】 また、本実施の形態において、中間層107の厚さは絶縁膜103aの上に有機化合物層104、上部電極105、及び保護膜106が配置されることによって最も薄くなっているが、他の構成によって最も薄くなるものであってもよい。例えば、有機化合物層104、上部電極105、保護膜106、あるいは縁膜103aの膜厚が他の部分よりも厚くなっていること、あるいは当該部分にのみ別の部材が配置されることであっても良い。別の部材とは、例えば発光領域外において上部電極105との電気的導通をとって配置される補助電極(不図示)等の部材のことである。 【0026】 以下本実施の形態に係る有機EL素子アレイを構成する各要素について説明する。 【0027】 本発明において、下部電極102は光反射性の部材であることが好ましく、例えばCr、Al、Ag、Au、Pt等の材料からなることが好ましい。反射率が高い部材であるほど、光取り出し効率を向上できるからである。 【0028】 有機化合物層104は、複数の層であってもよく、例えば正孔輸送層、発光層、電子輸送層の103層であってもよいし、正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子輸送層、電子注入層の105層であってもよい。 【0029】 上部電極5は、光透過性の部材であることが好ましく、例えばITO、IZO等の透明導電材料からなることが好ましい。また、半透過性の反射部材を用いてもよく、この場合には例えば、厚さ1nm〜60nm程度の金属膜であることが好ましい。 【0030】 なお、本発明において、光取り出し方向は下部電極102側あるいは上部電極105側のどちらであってもよい。下部電極102側から光を取り出す場合には、上記の説明とは逆に下部電極102が光透過性の部材であることが好ましく、上部電極105が光反射性の部材であることが好ましい。 【0031】 保護膜106は、窒化シリコン膜などの防湿性の高い部材であることが好ましく、また保護膜106側から光を取り出す場合には光の吸収が少ない部材であることが好ましい。 【0032】 中間層107は、粘度が低い部材であることが好ましく、また中間層107側から光を取り出す場合には屈折率が保護膜106とガラス板108との間でありかつ透明性の高い部材であることが好ましい。例えば、アクリル酸エステル樹脂等の粘着材である。 【0033】 部材108は、防湿性の高い部材、あるいは衝撃に強い部材であることが好ましく、例えばガラスなどの部材であることが好ましい。また、部材108は円偏光板のような光学部材であってもよい。このような光学部材を配置する場合には、外光反射を低減させる機能や光取り出し効率を向上させる機能を向上させることができる。 【0034】 有機樹脂109は、熱硬化型、常温硬化型、光硬化型の接着剤であってもよく、その場合には例えばアクリル樹脂、エポキシ樹脂等であることが好ましい。 【0035】 本発明において、部材108の端部及び中間層107の端部が有機樹脂109で覆われていることが好ましい。こうすることによって、パネル額縁が余分に増えないようにすることができる。さらには中間層107が保護層106、部材108、及び有機樹脂109によって、外部から中間層107に侵入する水分等の量を少なくすることができる。 【0036】 (第2の実施の形態) 図3は、第2の実施の形態に係る有機EL素子アレイについて、図1に示すA点とB点との間の構造を表す断面模式図である。図面中の符号は図2と同様のものに関しては同じ符号で示す。 【0037】 本実施の形態において、絶縁膜103bの膜厚が厚いことによって、発光領域外において中間層107の厚さが最も薄くなっていることを特徴とする。このような構成においても、外部から中間層107に侵入した水分等が、発光領域に侵入することを防ぐことができる。 【0038】 絶縁膜103bの膜厚は、互いに隣接する有機EL発光部間に配置された絶縁膜103aの膜厚よりも厚い。その結果、中間層107の膜厚は発光領域外に配置された絶縁膜103b上で最も薄くなり、発光領域内に侵入する水分等の量を減らすことができるのである。 【0039】 なお、有機化合物層104は、図3のように絶縁膜103bの一部に積層されていてもよいし、絶縁層103bをすべて覆うように積層されていてもよい。 【0040】 (第3の実施の形態) 図4は、第3の実施の形態に係る有機EL素子アレイについて、図1に示すA点とB点との間の構造を表す断面模式図である。図面中の符号は図2あるいは図3と同様のものに関しては同じ符号で示す。103cは第2の絶縁膜を示す。 【0041】 本実施の形態は、発光領域外に配置される絶縁層103bの上に第2の絶縁膜が配置されることを特徴とする。第2の絶縁膜103cが配置されることによって中間層107の厚さが薄くなるのである。 【0042】 図4においては、第2の絶縁膜103cの上に上部電極が配置されているが配置されていなくてもよい。また、図4において第2の絶縁膜103cの上に有機化合物層104は配置されていないが、配置されていてもよい。 【0043】 また、発光領域外に配置される絶縁層103bの材料と第2の絶縁膜103cの材料とは、別の材料であってもよいし、同じ材料であってもよい。同じ材料である場合には、成膜プロセスをより簡単にすることができる。 【0044】 以上のようにすることによっても、外部からの水分等が浸入しにくい構造とすることができる。外部から中間層107に水分等が浸入したとしても、第2の絶縁膜103cが発光領域外に配置されていることによって、中間層107の厚さが最も薄くなっているため、発光領域に水分等が侵入するのを防ぐことができる。 【0045】 (第4の実施の形態) 図5は、第4の実施の形態に係る有機EL素子アレイについて、図1に示すA点とB点との間の構造を表す断面模式図である。図面中の符号は図2、図3、あるいは図4と同様のものに関しては同じ符号で示す。103dは発光領域外に配置される絶縁膜103bの外側に配置される第3の絶縁膜であり、110は部材108に設けられた突起部である。 【0046】 本実施の形態においては、保護層106の上に配置される部材108が中間層107側に突起部110を有し、突起部110が発光領域外に配置される絶縁膜103bと第3の絶縁膜103dとの間に配置されることを特徴とする。つまり、突起部110と保護層106との間において中間層107の厚さが最も薄いのである。 【0047】 このようにすることによっても、外部からの侵入する水分等が発光領域に浸入しにくい構造とすることができる。 【0048】 また、このような構成では、中間層の厚さが薄くなる部分が長くなるため、水分等を遮断する距離も伸びる。その結果、有機EL素子内への水分等の侵入量が減り、有機EL素子の寿命を長くすることができる。 【0049】 なお、突起部110付きの封止部材108は平らなガラス基板をエッチングすることによって形成することができる。 【0050】 また、突起部110は必ずしも絶縁膜103bと第3の絶縁膜103dとの間の領域の上に配置される必要はなく、絶縁膜103bあるいは第3の絶縁膜103dのいずれかの絶縁膜の上に配置されていてもよい。さらには、第3の絶縁膜103dの外側に配置されていてもよい。 【実施例】 【0051】 本発明の有機EL素子アレイの製造工程は有機EL層の作成工程および多層封止構造の作成工程とを有する。 【0052】 [下部電極形成] ガラス基板上に、CrターゲットをDCスパッタし、Cr膜を100nmの厚さに成膜した。その後、フォトエッチング法によって、各発光部に対応する位置に下部電極を形成した。 【0053】 [絶縁層形成] 次にスピンコート法にて、ポジレジスト型の感光性有機樹脂材料を膜厚1μmで塗布し、プリベークを行った後、フォトマスクを用いて、Cr電極上の発光部に対応する部分と、発光領域の外周部を露光した。その後、露光部を現像液で除去し、230℃でポストベークを行って樹脂を硬化させた。 【0054】 このとき、発光部に対応するCr電極上には開口部が形成され、発光部間には所定の幅の絶縁層が形成される。また、発光領域外に配置される絶縁膜の面内方向における長さが、互いに隣接する有機EL発光部の間に配置される絶縁膜の長さよりも長くなるように形成される(図2)。また、発光領域外に配置される絶縁膜の高さは、有機EL素子アレイの面内で最も高くなるように形成されることが好ましい(図3)。 【0055】 [前処理] 次に基板をアセトン、イソプロピルアルコール(IPA)で順次超音波洗浄し、次いでIPAで煮沸洗浄後乾燥した。さらに、UV/オゾン洗浄した。 【0056】 基板を有機EL蒸着装置へ移し真空排気し、前処理室で基板付近に設けたリング状電極に50WのRF電力を投入し酸素プラズマ洗浄処理を行った。酸素圧力は0.6Pa,処理時間は40秒であった。 【0057】 [正孔輸送層形成] 基板を前処理室より成膜室へ移動し、成膜室を1×10−4Paまで排気した後、正孔輸送性を有するαNPDを抵抗加熱蒸着法により成膜速度0.2〜0.3nm/secの条件で成膜、膜厚35nm正孔輸送層を形成した。なお、正孔輸送層、発光層、および電子注入層は、同一の蒸着マスクを用いることにより所定の部分に蒸着した。所定の部分とは基板上で、Crが露出している部分である。 【0058】 [発光層形成] 続いて正孔輸送層の上にアルキレート錯体であるAlq3を抵抗加熱蒸着法により正孔輸送層と同様の成膜条件で膜厚15nm成膜、発光層を形成した。 【0059】 [電子注入電極層形成] 次に、発光層の上に抵抗加熱共蒸着法によりAlq3と炭酸セシウム(Cs3CO3)を膜厚比9:1の割合で混合されるよう、各々の蒸着速度を調整して成膜、膜厚35nm電子注入層を形成した。詳しくは、それぞれの蒸着ボートにセットした材料を抵抗加熱方式で蒸発させ、有機層は5Å/secの蒸着速度で膜形成を行った。 【0060】 [上部電極形成] 最後に別の成膜室に基板を移し、電子注入層の上にITOターゲットを用いてDCマグネトロンスパッタリング法により、膜厚が130nmになるようマスク成膜によりCr画素電極を覆って、上部電極を形成した。なお、前述のようにITOターゲット裏面には強磁場タイプのマグネットが配置されており、低電圧スパッタリングが可能となっている。 【0061】 成膜条件としては、基板加熱なしの室温成膜で成膜圧力を1.0Pa,Ar,H2O及びO2ガスを用いそれぞれの流量は、500sccm、1.5sccm、5.0sccmとし、ターゲットに印加する投入パワーはITO:500Wで成膜を行った。透過率は85%(at.450nm)、比抵抗値は8.0×10−4Ωcmであった。 【0062】 以上のようにして、基板上に下部電極、絶縁層、正孔輸送層、発光層、電子注入電極層、上部電極を設け、有機EL層を形成した。 【0063】 [保護膜形成] 次に、ITO膜を成膜後、保護膜形成を行う。CVD(Chemical Vapor Deposition)装置を用いて、基板上に厚さ3μmの窒化シリコン膜を堆積形成した。保護膜としては防湿性の高い膜が良く、窒化シリコンまたは酸化窒化シリコンなどの無機材料が望ましい。 【0064】 [封止工程] 次にガラスなどの封止部材に中間層を形成する。中間層としては、粘度が低く、屈折率が前記保護膜と前記封止基板の間で且つ透明性を有する粘性体であることが好ましい。一例としては、アクリル酸エステル樹脂の粘着剤がある。 【0065】 次に中間層を形成した封止部材と保護膜で覆われた有機EL素子アレイ側のガラス基板を真空中で張り合わせた後に前記封止部材外周部を封止材により封着する工程に移る。 【0066】 封止材は、熱硬化型、常温硬化型、光硬化型の接着剤を使用し、材料としてアクリル樹脂、エポキシ樹脂等を用いることが出来る。 【0067】 このようにして得られた有機EL素子アレイでは、中間層の厚さが最も薄い部分を面内の発光領域外に有する。その結果、水分等が侵入するための経路を狭くすることができ、水分等が発光領域に侵入しにくくなるので、有機EL素子アレイの寿命を長くすることが出来る。 【図面の簡単な説明】 【0068】 【図1】本発明に係る有機EL素子アレイを示す平面模式図である。 【図2】第1の実施の形態に係る有機EL素子アレイについて、図1に示すA点とB点との間の構造を表す断面模式図である。 【図3】第2の実施の形態に係る有機EL素子アレイについて、図1に示すA点とB点との間の構造を表す断面模式図である。 【図4】第3の実施の形態に係る有機EL素子アレイについて、図1に示すA点とB点との間の構造を表す断面模式図である。 【図5】第4の実施の形態に係る有機EL素子アレイについて、図1に示すA点とB点との間の構造を表す断面模式図である。 【図6】背景技術についての表示装置を示す断面模式図である。 【符号の説明】 【0069】 101 基板 102 下部電極 103a 絶縁膜 103b 絶縁膜 103c 第2の絶縁膜 103d 第3の絶縁膜 104 有機化合物層 105 上部電極 106 保護膜 107 中間層 108 部材 109 有機樹脂 110 突起部
|
| 【出願人】 |
【識別番号】000001007 【氏名又は名称】キヤノン株式会社
|
| 【出願日】 |
平成18年2月8日(2006.2.8) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100090538 【弁理士】 【氏名又は名称】西山 恵三
【識別番号】100096965 【弁理士】 【氏名又は名称】内尾 裕一
|
| 【公開番号】 |
特開2007−213914(P2007−213914A) |
| 【公開日】 |
平成19年8月23日(2007.8.23) |
| 【出願番号】 |
特願2006−31045(P2006−31045) |
|