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【発明の名称】 カメラの光学ファインダー
【発明者】 【氏名】姜 華
【課題】無効領域の背景を視認しながら最適な撮影範囲と画角を決定する。

【解決手段】撮像素子の画像データの内の一部を記録するクロップ高速撮影機能を備えたデジタル一眼レフカメラの光学ファインダーにおいて、クロップ高速撮影モードが設定されると、ファインダー画像の中のクロップ高速撮影で画像を記録しない領域(無効領域)(34)の画像を半透過にする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像素子の画像データの内の一部を記録するクロップ高速撮影機能を備えたデジタル一眼レフカメラの光学ファインダーにおいて、
クロップ高速撮影モードが設定されると、ファインダー画像の中のクロップ高速撮影で画像を記録しない領域(以下、無効領域という)の画像を半透過にする半透過手段を備えることを特徴とするデジタル一眼レフカメラの光学ファインダー。
【請求項2】
請求項1に記載のデジタル一眼レフカメラの光学ファインダーにおいて、
被写界を測光する測光手段を備え、
前記半透過手段は、前記測光手段の測光結果に応じて前記無効領域の透過率を変えることを特徴とするデジタル一眼レフカメラの光学ファインダー。
【請求項3】
請求項2に記載のデジタル一眼レフカメラの光学ファインダーにおいて、
前記半透過手段は、前記測光手段の測光結果の被写体輝度が高いほど透過率を低くすることを特徴とするデジタル一眼レフカメラの光学ファインダー。
【請求項4】
請求項2に記載のデジタル一眼レフカメラの光学ファインダーにおいて、
前記測光手段は、撮影画面の中のクロップ高速撮影で画像を記録する領域(以下、有効領域という)の被写体輝度を測光し、
前記半透過手段は、前記測光手段による前記有効領域の被写体輝度が高いほど透過率を低くすることを特徴とするデジタル一眼レフカメラの光学ファインダー。
【請求項5】
請求項2に記載のデジタル一眼レフカメラの光学ファインダーにおいて、
前記測光手段は、撮影画面の中のクロップ高速撮影で画像を記録する領域(以下、有効領域という)の被写体輝度と前記無効領域の被写体輝度を測光し、
前記有効領域と前記無効領域の輝度差に応じて前記半透過手段で決定した透過率を補正する補正手段を備えることを特徴とするデジタル一眼レフカメラの光学ファインダー。
【請求項6】
請求項5に記載のデジタル一眼レフカメラの光学ファインダーにおいて、
前記補正手段は、前記有効領域の被写体輝度が前記無効領域の被写体輝度より高いほど透過率が高くなるように補正することを特徴とするデジタル一眼レフカメラの光学ファインダー。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項に記載のデジタル一眼レフカメラの光学ファインダーを備えることを特徴とするデジタル一眼レフカメラ。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明はカメラの光学ファインダーに関する。
【背景技術】
【0002】
撮像素子の撮像領域全域の画素出力を画像データとして記録する通常撮影モードの他に、撮像領域の中の中央部の画素出力を画像データとして記録するクロップ高速撮影モードを備えたデジタル一眼レフカメラがある。クロップ高速撮影モードでは通常撮影モードに比べて画像データ量が少ないので高速撮影が可能である。
【0003】
クロップ高速撮影モードを備えたカメラでは、ファインダーに結像される被写体像のどの部分が記録されるのかを撮影者に認識させるために、スーパーインポーズ表示板(以下、SI表示板という)にクロップ高速撮影枠マークを描き、被写体像に重畳して表示している。
【0004】
ところが、クロップ高速撮影枠マークのみでは解りにくいため、クロップ高速撮影モードを頻繁に使用する撮影者のために、クロップ高速撮影専用ファインダーが提供されている。このクロップ高速撮影専用ファインダーでは、ファインダーに表示される被写体像の中の画像が記録されない領域(以下、無効領域という)に対してはSI表示板上に薄い膜を蒸着させ、画像が記録される領域(以下、有効領域という)よりも透過率を低くしている。
【0005】
しかし、通常撮影用ファインダーをクロップ高速撮影専用ファインダーに交換する手間がかかるため、拡散型液晶を用いてSI表示板を製作し、無効領域の被写体像を遮光して有効領域の画像のみを表示するようにしたファインダーが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
この出願の発明に関連する先行技術文献としては次のものがある。
【特許文献1】特開平11−249204号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述した後者のファインダーでは、ファインダー自体を交換する手間は省かれるが、無効領域の画像が表示されないので無効領域にある背景を視認できなくなり、撮影に先立って撮影範囲と画角を決定するときに不便である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1) 請求項1の発明は、撮像素子の画像データの内の一部を記録するクロップ高速撮影機能を備えたデジタル一眼レフカメラの光学ファインダーにおいて、クロップ高速撮影モードが設定されると、ファインダー画像の中のクロップ高速撮影で画像を記録しない領域(無効領域)の画像を半透過にする半透過手段を備える。
(2) 請求項2のデジタル一眼レフカメラの光学ファインダーは、被写界を測光する測光手段を備え、半透過手段によって、測光手段の測光結果に応じて無効領域の透過率を変えるようにしたものである。
(3) 請求項3のデジタル一眼レフカメラの光学ファインダーは、半透過手段によって、測光手段の測光結果の被写体輝度が高いほど透過率を低くするようにしたものである。
(4) 請求項4のデジタル一眼レフカメラの光学ファインダーは、測光手段によって、撮影画面の中のクロップ高速撮影で画像を記録する領域(有効領域)の被写体輝度を測光し、半透過手段によって、測光手段による有効領域の被写体輝度が高いほど透過率を低くするようにしたものである。
(5) 請求項5のデジタル一眼レフカメラの光学ファインダーは、測光手段によって、撮影画面の中のクロップ高速撮影で画像を記録する領域(有効領域)の被写体輝度と無効領域の被写体輝度を測光し、有効領域と無効領域の輝度差に応じて半透過手段で決定した透過率を補正する補正手段を備えたものである。
(6) 請求項6のデジタル一眼レフカメラの光学ファインダーは、補正手段によって、有効領域の被写体輝度が無効領域の被写体輝度より高いほど透過率が高くなるように補正するようにしたものである。
(7) 請求項7の発明は、請求項1〜6のいずれか1項に記載の光学ファインダーを備えたデジタル一眼レフカメラである。
【発明の効果】
【0009】
(1) 請求項1の発明によれば、撮影に先だって無効領域の背景を視認しながら最適な撮影範囲と画角を決定することができる。
(2) 請求項2の発明によれば、被写体輝度が変化しても撮影画面の中の有効領域を確実に認識することができる。
(3) 請求項3の発明によれば、被写体輝度が高いときは透過率を低くしても無効領域の背景を十分に認識でき、撮影に先だって無効領域の背景を視認しながら最適な撮影範囲と画角を決定することができる。さらに、被写体輝度が高いときは有効領域と無効領域の明るさの違いが大きくなるので、撮影画面の中の有効領域を確実に認識することができる。
(4) 請求項4の発明によれば、請求項3の上記効果に加え、主要被写体を捕捉している有効領域の輝度のみを用いて無効領域の透過率を決定するので、ファインダー画像上において主要被写体(有効領域)とその背景(無効領域)との境界をより明確に表示することができる。
(5) 請求項5の発明によれば、有効領域と無効用域の輝度差に応じた最適な無効領域の透過率を設定することができる。
(6) 請求項6の発明によれば、撮影に先立って無効領域の背景を視認しながら最適な撮影範囲と画角を決定することができる上に、有効領域の輝度が無効領域の輝度より高いときは、無効領域の透過率が高くなるように補正しても有効領域と無効領域の明るさ違いは確保されるから撮影画面の中の有効領域を確実に認識できる。
(7) 請求項7の発明によれば、撮影に先だって無効領域の背景を視認しながら最適な撮影範囲と画角を決定することができ、ベストショットを得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
《発明の第1の実施の形態》
図1は一実施の形態のカメラの上面図、図2は同カメラの背面図である。なお、通常、カメラには多くの操作部材や表示部材、あるいは制御機器が取り付けられているが、この明細書では本発明に直接、関係のある部材のみを中心に説明する。カメラボディ1にはレンズ2が装着されている。レンズ2は交換可能であり、撮影条件などに応じて各種レンズを装着することができる。
【0011】
カメラボディ1の上面にはメインスイッチ3が配置されており、このメインスイッチ3によりカメラの電源を入り切りすることができる。また、上面表示パネル4にはシャッター秒時、絞り値、電池残量、撮影コマ数、AF(Auto Focus)エリアなどの撮影に関する情報が表示される他、クロップ高速撮影モードなどの各種撮影モードの設定状態が表示される。
【0012】
カメラボディ1の背面上部にはファインダー接眼窓11が設けられ、撮影者がレンズ2で捕捉している被写体像を視認することができる。詳細を後述するが、この被写体像にはスーパーインポーズ表示板(SI表示板)を用いてシャッター秒時、絞り値、撮影コマ数、AFエリアなどの撮影に関する情報の他に、クロップ高速撮影モード設定時に画像が記録される領域(有効領域)と画像が記録されない領域(無効領域)などが表示される。
【0013】
カメラボディ1の背面中央にはTFT液晶モニター12が配置され、撮像した画像や各種メニュー画面などが表示される。クロップ高速撮影モードなどのカメラの各種撮影条件を設定する場合には、カメラボディ1の背面にあるメニューボタン13を操作してモニター12にメニュー画面を表示させ、マルチセレクター14を操作して任意の撮影条件を設定する。
【0014】
図3は、一実施の形態のカメラの撮像光学系とファインダー光学系を示す横断面図である。撮像時はメインミラー21とサブミラー22がレンズ2の撮影光路から待避され、レンズ2から入射した被写体光が撮像素子23へ導かれ、その受光面上に被写体像が結像される。一方、非撮影時にはメインミラー21とサブミラー22がレンズ2の撮影光路中に置かれ、レンズ2から入射した被写体光の一部はメインミラー21により反射され、拡散型ファインダースクリーン24と上述したSI表示板25を透過し、さらにペンタプリズム26で反射されて接眼レンズ27へ導かれる。
【0015】
ファインダースクリーン24上にはレンズ2により被写体像が結像され、さらにSI表示板25により被写体像にクロップ高速撮影モードの有効領域と無効領域を含む各種撮影情報が重畳して表示される。撮影者は接眼レンズ27を介してレンズ2で捕捉している被写体像と各種撮影情報とを視認することができる。
【0016】
図4はSI表示板25の正面図であり、(a)はクロップ高速撮影モード設定時のファインダー内表示を示し、(b)は通常撮影モード設定時のファインダー内表示を示す。SI表示板25の中央部にはAFエリアマーク31が配置され、信号端子32を介してAFエリアマーク31を駆動し選択エリアを表示する。
【0017】
ここで、SI表示板25には、無効領域34に印加する電圧レベルによって光の散乱具合が変化する部材を用いる。このような部材として例えばゲストホスト液晶、ナノクロミック素子、液晶ホログラムを用いることができる。ゲストホスト液晶とナノクロミック素子は、両面ガラスの透明電極に印加する電圧に応じて透過率が変化し、高い電圧を印加するほど透過率が低くなる特性を有する。一方、液晶ホログラムは、両面ガラスの透明電極に印加する電圧に応じて透過率が変化し、高い電圧を印加するほど透過率が高くなる特性を有する。この第1の実施の形態では、SI表示板25に後者の液晶ホログラムを用いた例を示すが、ゲストホスト液晶やナノクロミック素子を用いてもよい。
【0018】
クロップ高速撮影モード設定時には、(a)図に示すように、被写体像の中の画像を記録する中央領域すなわち有効領域33と、画像を記録しない周辺領域すなわち無効領域34とを明確に視認できるように表示する。この第1の実施の形態ではSI表示板25に液晶ホログラムを用いるので、信号端子35に駆動電圧を印加しないようにして無効領域34の透過率が低下させ、被写体像の有効領域33は鮮明に視認できるが無効領域34は見えにくくする。これにより、画像を記録する領域と記録しない領域とを撮影者に明確に認識させることができる。
【0019】
一方、通常撮影モード設定時には、被写体像の中の中央部の有効領域33と周辺部の無効領域34の両方の画像を記録するので、(b)に示すように、有効領域33と無効領域34のどちらの被写体像も鮮明に視認できなければならない。この第1の実施の形態ではSI表示板25にゲストホスト液晶を用いるので、信号端子35に駆動電圧を印加して無効領域34の透過率を高くして有効領域33の透過率と等しくなるようにし、被写体像の全領域を鮮明に視認させる。
【0020】
図5は第1の実施の形態のカメラの電気ブロック図である。なお、図1〜図4に示す機器と同様な機器に対しては同一の符号を付して説明を省略する。マイクロコンピューター41はカメラの各種演算、シーケンス動作などを制御する。バッテリー42はカメラ各部に電源を供給する。
【0021】
DC/DCコンバーター43はバッテリー4の電源電圧を所定の電圧に変換し、各種制御回路とアクチュエーターへ供給する。マイクロコンピューター41によりコントロール端子CTLがハイレベルにされるとDC/DCコンバーター43が起動し、各種電源Vcrop、Vsi、Vccの供給を開始する。VcropはSI表示板25の端子35へ供給されるクロップ高速撮影モード設定時の駆動電源である。また、Vccは制御用電源であり、VsiはSI表示板25の制御用電源である。
【0022】
レギュレーター44はバッテリー4の電源電圧を入力して所定電圧の安定化電源Vregを生成し、マイクロコンピューター41へ供給する。スイッチ45はメニューボタン13が押圧されると閉路するスイッチであり、閉路時にはモニター12にメニュー画面を表示する。スイッチ46はマルチセレクター14に連動して開閉するスイッチであり、開閉状態に応じてメニュー画面に表示された複数のメニューの中から任意のメニューを選択する。
【0023】
TFTドライバー47はTFT液晶モニター12を駆動し、マイクロコンピューター41から送られる表示データとコマンドにしたがって各種情報をモニター12に表示する。EEPROM48は、カメラの各種設定情報や制御パラメーターなどを記憶する不揮発性メモリである。
【0024】
測光部49は被写体の輝度を測定する。なお、クロップ高速撮影モードのために、画面中央部の有効領域33と周辺部の無効領域34とを独立に測光することもできる。測距部50は被写体の撮影距離を測定する。マイクロコンピューター41は、測光部49による測光結果に基づいてシャッター秒時や絞りなどの露光条件を決定するとともに、測距部50による測距結果に基づいてレンズ2のフォーカシングを行う。記録媒体51は撮像画像を記録するメモリであり、CFカードやSDカードを用いることができる。
【0025】
AFエリア表示ドライバー52はSI表示板25の信号端子32を介してAFエリアマーク31を駆動し、撮影者がマルチセレクター14により選択したAFエリア、またはカメラが自動的に選択したAFエリア、あるいは合焦したAFエリアを点灯表示する。
【0026】
FET53はSI表示板25の信号端子35を介して無効領域34を駆動し、クロップ高速撮影モード設定時に無効領域34の透過率を低下させる。マイクロコンピューター41によりFET53がオンされると、SI表示板25の信号端子35に電源Vcropを抵抗器54、55で分圧した電圧が印加され、無効領域34の透過率が有効領域33と同一の透過率になる。この結果、有効領域33はもちろんのこと、無効領域34の被写体像も鮮明に表示される。
【0027】
一方、マイクロコンピューター41によりFET53がオフされるとSI表示板25の信号端子35に電圧が印加されなくなり、無効領域34の透過率が低下する。これにより、有効領域33の被写体像は鮮明に表示されるが、無効領域34の被写体像は見えにくくなり、クロップ高速撮影モード設定時の画像記録領域を正しく把握させることができる。
【0028】
図6は第1の実施の形態のカメラのメイン処理を示すフローチャート、図7はクロップ高速撮影割り込み処理を示すフローチャート、図8はクロップ表示処理ルーチンを示すフローチャートである。これらのフローチャートにより、第1の実施の形態の動作を説明する。マイクロコンピューター41は、メインスイッチ3がオンされると図6に示すカメラのメイン処理を開始する。
【0029】
図6のステップ101においてメインスイッチ3がオンされるとDC/DCコンバーター43を起動し、各種電源Vcrop、Vsi、Vccをカメラの各種回路および機器へ供給する。続くステップ102でEEPROM48からカメラの設定情報や制御パラメーターを読み出し、カメラの初期設定を行う。これらの設定情報の中にはクロップ高速撮影モードの設定情報が含まれる。また、ステップ103では測光部50から測光情報を取得する。
【0030】
ステップ104においてクロップ高速撮影モードが設定されているか否かを確認し、設定されているときはステップ105へ進み、設定されていないときはステップ105をスキップする。クロック高速撮影モードが設定されているときは、ステップ105で図8に示すクロップ表示処理ルーチンを実行する。
【0031】
図8のステップ301においてFET53をオフしてSI表示板25の信号端子35への電圧印加を解除する。これにより、無効領域34の透過率が有効領域33の透過率よりも低い所定の透過率になり、有効領域33の被写体像は鮮明に表示されるが、無効領域34の被写体像は見えにくくなり、クロップ高速撮影モード設定時の画像記録領域を正しく認識させることができる。
【0032】
図6のステップ106において測距部50から測距情報を取得し、続くステップ107でレンズ2と通信を行い、測距情報に基づいてレンズ2のフォーカシングを行う。その後、ステップ103へ戻って上述した処理を繰り返し、撮影に必要な最新の測光情報と測距情報を取得する。
【0033】
なお、メインスイッチ3をオフすると、カメラの設定情報や制御パラメーターをEEPROM48に記憶してからDC/DCコンバーター43を停止し、カメラの各種回路および機器への各種電源Vcrop、Vsi、Vccの供給を停止する。なお、EEPROM48に記憶される設定情報にはクロップ高速撮影モードの設定情報も含まれる。
【0034】
次に、図7に示すクロップ高速撮影割り込み処理を説明する。マイクロコンピューター41は、メニューボタン13が押圧されスイッチ45が閉路すると、このクロップ高速撮影割り込み処理を開始する。ステップ201でスイッチ45の開閉状態によりメニューボタン13の操作を確認する。メニューボタン13の押圧操作がないときはステップ208へ進み、その他の割り込み要因を判定し、その処理を行う。
【0035】
メニューボタン13が押圧操作されたときはステップ202へ進み、メニュー画面の表示データをTFTドライバー47へ送り、モニター12にメニュー画面を表示する。続くステップ203でマルチセレクター14によりクロップ高速撮影モードが選択されたか否かを確認する。クロップ高速撮影モードが選択されていないときはステップ207へ進み、選択された他のメニュー処理を行う。
【0036】
クロップ高速撮影モードが選択されたときはステップ204へ進み、マルチセレクター14によりクロップ高速撮影モードの設定操作がなされたか否かを確認する。クロップ高速撮影モードの設定操作がなされたときはステップ205へ進み、図8に示すクロップ表示処理ルーチンを実行する。
【0037】
上述したように、図8のステップ301でFET53をオフしてSI表示板25の信号端子35への電圧印加を解除し、無効領域34の透過率を有効領域33の透過率よりも低い所定の透過率にする。これにより、有効領域33の被写体像は鮮明に表示されるが、無効領域34の被写体像は見えにくくなり、クロップ高速撮影モード設定時の画像記録領域を正しく認識させることができる。
【0038】
一方、クロップ高速撮影モードの設定操作がなされなかったときはステップ206へ進み、FET53をオンしてSI表示板25の信号端子35へ電圧を印加し、無効領域34の透過率を有効領域33の透過率と同じにする。これにより、有効領域33と無効領域34の被写体像がともに鮮明に表示される。
【0039】
このように、第1の実施の形態によれば、撮像素子の画像データの内の一部を記録するクロップ高速撮影機能を備えたデジタル一眼レフカメラの光学ファインダーにおいて、クロップ高速撮影モードが設定されると、ファインダー画像の中のクロップ高速撮影で画像を記録しない領域(無効領域)の画像を半透過にするようにしたので、撮影に先だって無効領域の背景を視認しながら最適な撮影範囲と画角を決定することができる。
【0040】
《発明の第2の実施の形態》
上述した第1の実施の形態では、クロップ高速撮影モード設定時には、無効領域34の透過率を有効領域33の透過率よりも低い一定の透過率とする例を示したが、この第2の実施の形態では無効領域34の透過率を被写体輝度に応じた透過率とする例を説明する。
【0041】
図9は第2の実施の形態のカメラの電気ブロック図である。なお、図5に示す機器と同様な機器に対しては同一の符号を付して説明を省略する。D/Aコンバーター61は、マイクロコンピューター41により指示された駆動電圧をSI表示板25の端子35に印加し、無効領域34の透過率を変える。
【0042】
この第2の実施の形態では、SI表示板25にゲストホスト液晶またはナノクロミック素子を用いる例を示すが、もちろん液晶ホログラムを用いてもよい。上述したように、ゲストホスト液晶とナノクロミック素子は、両面ガラスの透明電極に印加する電圧に応じて透過率が変化し、高い電圧を印加するほど透過率が低くなる特性を有する。
【0043】
第2の実施の形態のマイクロコンピューター41の動作において、第1の実施の形態の図6に示すメイン処理と図7に示すクロップ高速撮影割り込み処理については同様であり、それらの図示と説明を省略する。この第2の実施の形態ではクロップ表示処理ルーチンが異なる。図10は第2の実施の形態のクロップ表示処理ルーチンを示すフローチャートである。
【0044】
ステップ401においてSI表示板25の無効領域34の透過率を決定する。マイクロコンピューター41は、このクロップ表示割り込みルーチンの起動直前に測光部49から入手した被写体輝度に基づいて透過率を決定する。ここで、この被写体輝度は撮影画面の中の有効領域33の被写体輝度の平均値である。なお、撮影画面全体、すなわち有効領域33と無効領域34の両方の輝度の平均値に基づいて無効領域34の透過率を決定してもよい。
【0045】
表1に被写体輝度(EV)に対する無効領域34の透過率(%)を示す。また、表2は透過率(%)に対するSI表示板25の駆動電圧(V)を示す。
【表1】


【表2】


【0046】
撮影に先立ち被写界の撮影範囲と画角を決定するときに、画面中央部の主要被写体はもちろんのこと、画面周辺部の背景もしっかり見ながら決定する必要がある。SI表示板25の無効領域34の透過率を低くして画面周辺の背景を遮蔽してしまうと、画面中央部の有効領域33の主要被写体のみを見ながら撮影範囲と画角を決定することになり、最適な撮影範囲と画角で撮影を行うチャンスを逃してしまうことになる。
【0047】
そこで、この第2の実施の形態では、表1から明らかなように、被写体輝度が低いほど無効領域34の透過率を高くする。被写体輝度が低いときは画面周辺の背景が暗い状態にあり、このような場合には透過率を上げて画面周辺の背景を見やすくする。これにより、画面中央部の主要被写体から画面周辺の背景までをしっかり見ながら最適な撮影範囲と画角を決定できる。
【0048】
逆に、被写体輝度が高いときは無効領域34の透過率を低くする。被写体輝度が高いときは画面周辺の背景も明るい状態にあり、このような場合には透過率を低くしても画面周辺の背景を十分に視認できるから、最適な撮影範囲と画角を決定できる。さらに、無効領域33の透過率を低くして画面中央部と周辺部との輝度差、つまり明暗差をより大きくすることによって、撮影者はクロップ高速撮影設定時の画像記録領域(有効領域33)を確実に把握することができる。
【0049】
被写体輝度に応じて透過率を決定する実施例を説明する。今、測光部49から5.5EVの被写体輝度を得たとすると、表1から40%の透過率が得られ、表2から2.1Vの駆動電圧が得られる。なお、表2では5%間隔の透過率に対する駆動電圧を示すが、透過率の中間値に対する駆動電圧は補間により求める。
【0050】
クロップ表示用電源Vcropを6Vとし、D/Aコンバーター61の分解能を8bitとすると、マイクロコンピューター41からD/Aコンバーター61へ送信するコマンドは16進数の48Hになる。D/Aコンバーター61はコマンド48Hを受信して2.1Vの電圧をSI表示板25の信号端子35へ印加する。これにより、SI表示板25の無効領域34の透過率が40%になる。
【0051】
図10のステップ402において透過率に応じたコマンドをD/Aコンバーター61へ送り、D/Aコンバーター61により透過率に応じた駆動電圧をSI表示板25の信号端子35へ印加させる。これにより、SI表示板25の無効領域34の透過率が被写体輝度に応じた透過率に設定される。
【0052】
このように、第2の実施の形態によれば、被写界を測光し、その測光結果に応じて無効領域の透過率を変えるようにしたので、被写体輝度が変化しても撮影画面の中の有効領域を確実に認識することができる。
【0053】
また、第2の実施の形態によれば、撮影画面の中のクロップ高速撮影で画像を記録する領域(有効領域)の被写体輝度を測光し、有効領域の被写体輝度が高いほど透過率を低くするようにしたので、被写体輝度が高いときは透過率を低くしても無効領域の背景を十分に認識でき、撮影に先だって無効領域の背景を視認しながら最適な撮影範囲と画角を決定することができる。さらに、被写体輝度が高いときは有効領域と無効領域の明るさの違いが大きくなるので、撮影画面の中の有効領域を確実に認識することができる。
【0054】
なお、有効領域と無効領域の両方の被写体輝度に基づいて無効領域の透過率を決定する場合でも上記とほぼ同様な効果が得られるが、有効領域の被写体輝度のみに基づいて無効領域の透過率を決定する場合の方が、主要被写体を捕捉している有効領域の輝度のみを用いて無効領域の透過率を決定するので、ファインダー画像上において主要被写体(有効領域)とその背景(無効領域)との境界をより明確に表示することができる。
【0055】
《発明の第3の実施の形態》
上述した第2の実施の形態では、撮影画面中央部の被写体輝度または撮影画面全体の被写体輝度に応じてSI表示板25の無効領域34の透過率を決定する例を示したが、この第3の実施の形態では被写体輝度に応じて決定した無効領域34の透過率を、有効領域33と無効領域34の輝度差に応じて補正する例を説明する。なお、この第3の実施の形態の構成と動作については上述した第2の実施の形態の構成と動作と同様であり、図示と説明を省略する。
【0056】
図11に示すように、有効領域33で輝度E1(EV)が測定され、無効領域34で輝度E2(EV)が測定されたとする。まず、第2の実施の形態と同様に有効領域33の平均輝度E1に基づいて表1から無効領域34の透過率を決定する。無効領域34の透過率をTcとする。なお、有効領域33と無効領域34の平均輝度に基づいて無効領域34の透過率を決定してもよい。
【0057】
表3は有効領域33と無効領域34の輝度差ΔE(=E1−E2)(EV)に対する補正係数Phを示す。
【表3】


【0058】
表3から明らかなように、有効領域33の輝度E1が無効領域34の輝度E2よりも高く、その輝度差ΔEが大きいほど、無効領域34の透過率が高くなるように補正する。つまり、撮影画面の中央部が周辺部よりも明るいほど、換言すれば、撮影画面の周辺部が中央部より暗いほど、周辺部の透過率を高くして周辺部の背景を見やすくする。画面中央部と周辺部との輝度差が大きいときには、周辺部の透過率を高くして周辺部の画像を明るく表示しても、有効領域33と無効領域34の境界、すなわち“クロップ高速撮影枠”を十分認識できるから問題はなく、暗い周辺部の背景を見やすくして最適な撮影範囲と画角を設定できるようにする。
【0059】
逆に、無効領域34の輝度E2が有効領域33の輝度E1よりも高く、その輝度差が大きいほど、無効領域34の透過率が低くなるように補正する。つまり、撮影画面の中央部が周辺部よりも暗いほど、換言すれば、撮影画面の周辺部が中央部より明るいほど、周辺部の透過率を低くし、有効領域33と無効領域34の境界、すなわち“クロップ高速撮影枠”を認識しやすくする。このとき、周辺部の背景は明るいのであるから、透過率を低くしても周辺部の背景を十分に認識でき、最適な撮影範囲と画角を設定できる。
【0060】
次に、先に求めた無効領域34の透過率Tcを補正係数Phにより補正して新しい透過率Tsを得る。
Ts=Tc・Ph ・・・(1)
そして、有効領域33と無効領域34の輝度差ΔEに基づいて補正した後の透過率Tsに応じた駆動電圧を上記表2から求め、D/Aコンバーター61により駆動電圧をSI表示板25の信号端子35へ印加すればよい。
【0061】
このように、第3の実施の形態によれば、撮影画面の中の有効領域の被写体輝度と無効領域の被写体輝度を測光し、有効領域と無効領域の輝度差に応じて透過率を補正するようにしたので、有効領域と無効用域の輝度差に応じた最適な無効領域の透過率を設定することができる。
【0062】
また、第3の実施の形態によれば、有効領域の被写体輝度が無効領域の被写体輝度より高いほど透過率が高くなるように補正するようにしたので、撮影に先立って無効領域の背景を視認しながら最適な撮影範囲と画角を決定することができる上に、有効領域の輝度が無効領域の輝度より高いときは、無効領域の透過率が高くなるように補正しても有効領域と無効領域の明るさ違いは確保されるから撮影画面の中の有効領域を確実に認識できる。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】一実施の形態のカメラの上面図である。
【図2】一実施の形態のカメラの背面図である。
【図3】一実施の形態のカメラの撮影光学系とファインダー光学系を示す横断面図である。
【図4】第1の実施の形態のカメラの電気ブロック図である。
【図5】スーパーインポーズ表示板(SI表示板)の正面図である。
【図6】第1の実施の形態のメイン処理を示すフローチャートである。
【図7】第1の実施の形態のクロップ高速撮影割り込み処理を示すフローチャートである。
【図8】第1の実施の形態のクロップ表示処理ルーチンを示すフローチャートである。
【図9】第2の実施の形態のカメラの電気ブロック図である。
【図10】第2の実施の形態のクロップ表示処理ルーチンを示すフローチャートである。
【図11】撮影画面の有効領域と無効領域の輝度および輝度差を説明するための図である。
【符号の説明】
【0064】
23 撮像素子
25 スーパーインポーズ(SI)表示板
49 測光部
53 FET
54、55 抵抗器
61 D/Aコンバーター
【出願人】 【識別番号】000004112
【氏名又は名称】株式会社ニコン
【出願日】 平成17年12月13日(2005.12.13)
【代理人】 【識別番号】100084412
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 冬紀
【公開番号】 特開2007−166144(P2007−166144A)
【公開日】 平成19年6月28日(2007.6.28)
【出願番号】 特願2005−358774(P2005−358774)