| 【発明の名称】 |
項目応答理論におけるパラメータ推定方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】植野 真臣
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| 【要約】 |
【課題】不安定な数値的手法を用いずに項目応答理論のパラメータ推定を行える画期的な方法を提供する。
【解決手段】項目応答理論のモデルは、反応パターンをuj(=1:項目jに対して正答,=0:項目jに対して誤答)としたときに、学習者iの能力パラメータθiとし、項目jの特性パラメータaj,bjを有する式P(uj=1|θi)=1/(1+exp(−ajθi+bj))により示されるものとし、m個の項目への反応データを得た際、パラメータajを反応パターン出現頻度の条件付確率から計算した対数オッズの標準偏差により推定する。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 項目応答理論における2−パラメータ・ロジスティック・モデルのパラメータ推定方法であって、項目応答理論のモデルは、反応パターンを 【数1】
としたときに、学習者iの能力パラメータθiとし、項目jの特性パラメータaj,bjを有する下記式 【数2】
により示されるものとし、m個の項目への反応データを得た際、この項目応答理論の少なくともパラメータajを下記の方法により推定することを特徴とする項目応答理論におけるパラメータ推定方法。 記 データからuj=1を所与としてその他の項目へのすべての反応パターンのu1,…,uj−1,uj+1,…umの出現頻度を数え上げ、それより、uj=1を所与とした反応パターンu1,…,uj−1,uj+1,…umの条件付確率p(u1,…,uj−1,uj+1,…um|uj,=1)を求め、また、データからuj=0を所与としてその他の項目へのすべての反応パターンu1,…,uj−1,uj+1,…umの出現頻度を数え上げ、それより、uj=0を所与とした反応パターンu1,…,uj−1,uj+1,…umの条件付確率p(u1,…,uj−1,uj+1,…um|uj,=0)を求め、対数オッズを下記式 【数3】
により計算し、同様の方法ですべての反応パターンu1,…,uj−1,uj+1,…umについて前記対数オッズを計算し、その標準偏差を計算すると共に、この標準偏差の数値を項目応答理論のパラメータajとし、σ(A)をAの標準偏差を返す関数とする下記式 【数4】
により前記パラメータajを推定する方法。 【請求項2】 項目応答理論における2−パラメータ・ロジスティック・モデルのパラメータ推定方法であって、項目応答理論のモデルは、反応パターンを 【数5】
としたときに、学習者iの能力パラメータθiとし、項目jの特性パラメータaj,bjを有する下記の式 【数6】
により示されるものとし、m個の項目への反応データを得た際、この項目応答理論のパラメータaj,bjを下記の方法(1)(2)を任意の順に行うことにより推定することを特徴とする項目応答理論におけるパラメータ推定方法。 記 方法(1):データからuj=1を所与としてその他の項目へのすべての反応パターンのu1,…,uj−1,uj+1,…umの出現頻度を数え上げ、それより、uj=1を所与とした反応パターンu1,…,uj−1,uj+1,…umの条件付確率p(u1,…,uj−1,uj+1,…um|uj,=1)を求め、また、データからuj=0を所与としてその他の項目へのすべての反応パターンu1,…,uj−1,uj+1,…umの出現頻度を数え上げ、それより、uj=0を所与とした反応パターンu1,…,uj−1,uj+1,…umの条件付確率p(u1,…,uj−1,uj+1,…um|uj,=0)を求め、対数オッズを下記式 【数7】
により計算し、同様の方法ですべての反応パターンu1,…,uj−1,uj+1,…umについて前記対数オッズを計算し、その標準偏差を計算すると共に、この標準偏差の数値を項目応答理論のパラメータajとし、σ(A)をAの標準偏差を返す関数とする下記式 【数8】
により前記パラメータajを推定する方法。 方法(2):項目jの正答確率p(uj=1)を反応データより求めて、対数確率比を下記式 【数9】
により計算し、この対数比の数値を項目応答理論のパラメータbjとし、下記式 【数10】
により前記パラメータbjを推定する方法。
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【発明の詳細な説明】【技術分野】 【0001】 本発明は、項目応答理論における2−パラメータ・ロジスティック・モデルのパラメータ推定方法に関するものである。 【背景技術】 【0002】 従来、項目応答理論におけるパラメータ推定は、以下の対数尤度を最大化することによって求められてきた。 【0003】 具体的には、n人のm項目へのデータX={Xij},(i=1,…,n,j=1,…,n) 【数11】
について、以下の対数尤度f 【数12】
を最大にするパラメータaj,bj,θiを求めればよい。また、周辺対数尤度、ベイズ事後分布を最大化する手法もあるが、これらの手法では、一般にニュートン法を用いた数値的計算法によって求められる。 【0004】 例えば、これらの詳細については、以下の文献がある。 (1)芝祐順,項目反応理論 基礎と応用,東京大学出版会,東京,1991年 (2)豊田秀樹,項目反応理論[入門編]−テストの測定と科学−,株式会社朝倉書店,東京,2002年 (3)豊田秀樹,項目反応理論[理論編]−テストの数理−,株式会社朝倉書店,東京,2005年 しかし、それらの文献でも指摘されているが、ニュートン法を用いた項目応答理論のパラメータ推定手法では、以下のような欠点が挙げられる。 【0005】 1.推定精度が初期値の設定に大きく依存し、一般にパラメータ推定が安定しない。 2.すべての学習者が正解、または誤答である項目については、パラメータ推定が行えない。 【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】 【0006】 本発明は、項目応答理論において解析的にパラメータ推定を行うことにより上記問題点を全て解決し得る、画期的な項目応答理論のパラメータ推定方法を提案するものである。 【課題を解決するための手段】 【0007】 添付図面を参照して本発明の要旨を説明する。 【0008】 項目応答理論における2−パラメータ・ロジスティック・モデルのパラメータ推定方法であって、項目応答理論のモデルは、反応パターンを 【数13】
としたときに、学習者iの能力パラメータθiとし、項目jの特性パラメータaj,bjを有する下記式 【数14】
により示されるものとし、m個の項目への反応データを得た際、この項目応答理論の少なくともパラメータajを下記の方法により推定することを特徴とする項目応答理論におけるパラメータ推定方法に係るものである。 記 データからuj=1を所与としてその他の項目へのすべての反応パターンのu1,…,uj−1,uj+1,…umの出現頻度を数え上げ、それより、uj=1を所与とした反応パターンu1,…,uj−1,uj+1,…umの条件付確率p(u1,…,uj−1,uj+1,…um|uj,=1)を求め、また、データからuj=0を所与としてその他の項目へのすべての反応パターンu1,…,uj−1,uj+1,…umの出現頻度を数え上げ、それより、uj=0を所与とした反応パターンu1,…,uj−1,uj+1,…umの条件付確率p(u1,…,uj−1,uj+1,…um|uj,=0)を求め、対数オッズを下記式 【数15】
により計算し、同様の方法ですべての反応パターンu1,…,uj−1,uj+1,…umについて前記対数オッズを計算し、その標準偏差を計算すると共に、この標準偏差の数値を項目応答理論のパラメータajとし、σ(A)をAの標準偏差を返す関数とする下記式 【数16】
により前記パラメータajを推定する方法。 【0009】 また、項目応答理論における2−パラメータ・ロジスティック・モデルのパラメータ推定方法であって、項目応答理論のモデルは、反応パターンを 【数17】
としたときに、学習者iの能力パラメータθiとし、項目jの特性パラメータaj,bjを有する下記の式 【数18】
により示されるものとし、m個の項目への反応データを得た際、この項目応答理論のパラメータaj,bjを下記の方法(1)(2)を任意の順に行うことにより推定することを特徴とする項目応答理論におけるパラメータ推定方法に係るものである。 記 方法(1):データからuj=1を所与としてその他の項目へのすべての反応パターンのu1,…,uj−1,uj+1,…umの出現頻度を数え上げ、それより、uj=1を所与とした反応パターンu1,…,uj−1,uj+1,…umの条件付確率p(u1,…,uj−1,uj+1,…um|uj,=1)を求め、また、データからuj=0を所与としてその他の項目へのすべての反応パターンu1,…,uj−1,uj+1,…umの出現頻度を数え上げ、それより、uj=0を所与とした反応パターンu1,…,uj−1,uj+1,…umの条件付確率p(u1,…,uj−1,uj+1,…um|uj,=0)を求め、対数オッズを下記式 【数19】
により計算し、同様の方法ですべての反応パターンu1,…,uj−1,uj+1,…umについて前記対数オッズを計算し、その標準偏差を計算すると共に、この標準偏差の数値を項目応答理論のパラメータajとし、σ(A)をAの標準偏差を返す関数とする下記式 【数20】
により前記パラメータajを推定する方法。 方法(2):項目jの正答確率p(uj=1)を反応データより求めて、対数確率比を下記式 【数21】
により計算し、この対数比の数値を項目応答理論のパラメータbjとし、下記式 【数22】
により前記パラメータbjを推定する方法。 【発明の効果】 【0010】 本発明は上述のようにするから、従来のパラメータ推定方法では不可能であった以下のような利点を有する。 【0011】 1.パラメータが安定して求められる。 2.すべての学習者が正解、または誤答である項目についてもパラメータを推定することができる。 【0012】 従って、例えばこれまで市販されてきたパラメータ推定ソフトは、何れも従来例に記載したような問題点を有していたところを、本発明のパラメータ推定方法を用いたパラメータ推定ソフトウェアによればこのような問題は生ぜず、安定した推定値を得られるなど、実用性に秀れた画期的な項目応答理論におけるパラメータ推定方法である。 【発明を実施するための最良の形態】 【0013】 従来の手法では、一般的なパラメータ推定手法であるニュートンラフソン法が用いられており、この手法は近似手法である。 【0014】 このニュートンラフソン法そのものの持つ欠点として、(1)初期値の設定に対して解が不安定である,(2)項目応答理論における2−パラメータ・ロジスティック・モデルでは、学習者の反応がすべての項目に対して正解、もしくは誤答であるときにパラメータが推定できない,(3)ニュートンラフソン法では、繰り返し計算が必要であり、また、局所解に陥る確率も高いこと、が挙げられる。これらは、項目応答理論が持っている本来の性質ではない。 【0015】 本発明では、二値同時確率分布を数学的に近似なく2−パラメータ・ロジスティック・モデルを導き、パラメータ推定手法を導出している。すなわち、従来の手法が近似的であり、ニュートンラフソン法に依存していたのに対し、本発明では、数学的に本モデルのパラメータを直接的に導いている。 【0016】 そのため本発明によれば、ニュートンラフソン法による近似的パラメータ推移のように面倒な繰り返し計算は不要で、しかも局所解に陥ることもない。すなわち、前述の(1),(2),(3)の問題は、モデル本来の持つものではなく、ニュートンラフソン法による近似的パラメータ推移のもつ欠点であるから、当然、このような近似法を行わない本発明の手法においては、上記(1),(2),(3)のような問題は生じ得ず安定的にパラメータ推移が行えることとなる。 【実施例】 【0017】 直接的な利用法としては、2−パラメータ・ロジスティック・モデルを用いて、テストデータから各項目の特性パラメータaj,bjを計算することにより、項目の識別力、難易度を計算することができ、項目評価に用いることができる。 【0018】 また、2−パラメータ・ロジスティック・モデルは、大型のテスト項目のデータベースを構築する場合に、あらかじめデータより推定された項目jの特性パラメータaj,bjを属性として用いることができる。このデータベースを用いて、テスト構成を行う際に、テスト情報量を計算しながら、予測効率の良いテスト構成を行うことができたり、また、学習者の能力を逐次的に推定しながら情報量を最大にする項目を逐次選択しながら出題する適応型テストに利用できる。 【0019】 これらの特性パラメータaj,bjをデータより推定するプログラムが必要であるが、安定した解が得られるものが望ましい。本発明でのアルゴリズムを搭載することにより、安定した解の得られるパラメータ推定プログラムを実現することができる。 【0020】 以下に計算例を示す。 【0021】 今、3項目のテストを考え、20人の下記表1のデータが得られたとする。ただし、正答を1、誤答を0とする。
【0022】 【表1】
【0023】 3項目への反応パターンは全部で8パターンあるので、表1のデータより、各反応パターンごとの頻度を数え上げ、下記表2に示す。 【0024】 【表2】
【0025】 上記表1及び表2より、項目1についての特性パラメータaj,bjの推定例を示す。 【0026】 まず、bjについては、下記式 【数23】
によって、求められる。表1より、項目1では、20人中9人が正答しているので、 【数24】
が求められる。 【0027】 ajでは、すべてのパターンについて 【数25】
を計算して、その標準偏差を計算する。表2より、各パターンの値は下記式の通り 【数26】
【数27】
【数28】
【数29】
であるので、これら4つの値の標準偏差は、0.667921であり、この値がajの値となる。これらを残る2項目にも同じ手続きを行うことにより、特性パラメータaj,bjを求めることができる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】304021288 【氏名又は名称】国立大学法人長岡技術科学大学
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| 【出願日】 |
平成18年4月5日(2006.4.5) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100091373 【弁理士】 【氏名又は名称】吉井 剛
【識別番号】100097065 【弁理士】 【氏名又は名称】吉井 雅栄
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| 【公開番号】 |
特開2007−279306(P2007−279306A) |
| 【公開日】 |
平成19年10月25日(2007.10.25) |
| 【出願番号】 |
特願2006−104296(P2006−104296) |
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