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【発明の名称】 気泡検査装置および気泡検査方法
【発明者】 【氏名】日下 圭吾

【要約】 【課題】流体軸受装置の潤滑流体に含まれる気泡を高精度に検出することが可能な気泡検査装置および気泡検査方法を提供する。

【解決手段】気泡検査装置20aは、検査対象となる流体軸受装置10aをセットするための減圧チャンバ21と、減圧チャンバ21内を大気圧から減圧するための真空ポンプ22と、流体軸受装置10aの開放端側において大気圧におけるオイル18aの液面の面積と減圧条件下における液面の面積との差を算出する制御ユニット30と、を備えている。制御ユニット30は、算出したその差が所定の閾値以上である場合には、この流体軸受装置10aをオイル18a内に気泡が混入した不良品として判定する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体軸受装置に充填された潤滑流体に存在する気泡を検出する気泡検査装置であって、
前記流体軸受装置が載置され、密閉空間を形成する筐体と、
前記筐体内を第1の気圧から前記第1の気圧よりも低い第2の気圧に変化させる減圧部と、
前記潤滑流体の前記第1の気圧における第1基準物理量と、前記第2の気圧における第2基準物理量とを検出する検出部と、
を備えている気泡検査装置。
【請求項2】
前記検出された前記第1・第2基準物理量を比較して、前記第1基準物理量と前記第2基準物理量とが所定量以上差がある場合には、前記潤滑流体に気泡が存在していると判定する処理部をさらに備えている、
請求項1に記載の気泡検査装置。
【請求項3】
前記第1・第2基準物理量は、前記潤滑流体の平面視における液面面積である、
請求項1または2に記載の気泡検査装置。
【請求項4】
前記第1・第2基準物理量は、前記潤滑流体の液面高さである、
請求項1または2に記載の気泡検査装置。
【請求項5】
前記第1・第2基準物理量は、前記潤滑流体の漏れ出し量である、
請求項1または2に記載の気泡検査装置。
【請求項6】
前記流体軸受装置に含まれる軸部の開放端側を軸方向に押圧する押圧部をさらに備えている、
請求項1から5のいずれか1項に記載の気泡検査装置。
【請求項7】
前記流体軸受装置の開放端側を撮影した画像に基づいて、前記開放端側における前記潤滑流体の前記第1・第2基準物理量を検出する画像処理部をさらに備えている、
請求項1から6のいずれか1項に記載の気泡検査装置。
【請求項8】
前記流体軸受装置の開放端側に、前記潤滑流体の液面に沿って配置される検査枠をさらに備えている、
請求項1から7のいずれか1項に記載の気泡検査装置。
【請求項9】
前記筐体は、前記流体軸受装置の開放端側に取り付けられる透明なカバー部材を有している、
請求項1から8のいずれか1項に記載の気泡検査装置。
【請求項10】
前記流体軸受装置の開放端側を照らす照明装置をさらに備えている、
請求項1から9のいずれか1項に記載の気泡検査装置。
【請求項11】
前記第1の気圧は、大気圧である、
請求項1から10のいずれか1項に記載の気泡検査装置。
【請求項12】
流体軸受装置に充填された潤滑流体に存在する気泡を検出する気泡検査方法であって、
密閉空間を形成する筐体内に前記流体軸受装置を載置する第1のステップと、
前記筐体内を第1の気圧とする第2のステップと、
前記第1の気圧において、前記潤滑流体の第1基準物理量を検出する第3のステップと、
前記第1の気圧から、前記第1の気圧よりも低い第2の気圧に変化させる第4のステップと、
前記第2の気圧において、前記潤滑流体の第2基準物理量を検出する第5のステップと、
を備えている気泡検査方法。
【請求項13】
前記第3のステップおよび前記第5のステップにおいて検出された前記第1基準物理量と前記第2基準物理量とを比較する第6のステップと、
前記第1基準物理量と前記第2基準物理量とが所定量以上差がある場合には、前記潤滑流体に気泡が存在していると判定する第7のステップと、
をさらに備えている、
請求項12に記載の気泡検査方法。

【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、流体軸受装置の潤滑流体に気泡が存在しているか否かの検査を行う気泡検査装置および気泡検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、磁気ディスクや光ディスク等の記録ディスクを回転駆動するスピンドルモータに搭載される軸受装置として、軸部材と、軸部材を受ける軸受体と、軸部材と軸受体との間の隙間に充填される潤滑流体と、を備えた流体軸受装置が用いられている。
この流体軸受装置では、潤滑流体内に気泡が存在すると、動圧発生溝に入り込んだ気泡によって軸受性能が低下したり、気泡が潤滑流体を押し出すことで潤滑流体が飛散したりする等の不具合を発生させるおそれがある。このため、潤滑流体に対する気泡の混入や溶け込みを防止するための様々な対策が採られている。
例えば、特許文献1には、潤滑流体を減圧下において軸受装置に注入した後で常圧に戻す方法等が開示されている。
【特許文献1】特開2002−174243号公報(平成14年6月21日公開)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記従来の気泡混入等の防止措置では、以下に示すような問題点を有している。
すなわち、上記公報に開示された気泡混入等の防止措置でも、気泡の混入等を全く無くすことは非常に困難である。また、製造中に気泡が混入しないように流体軸受装置を製造した場合でも、製造過程や使用中等において、流体軸受装置に対して付与された衝撃等によっても潤滑流体内に負圧が発生したり、界面から空気が巻き込まれたりして気泡が混入する場合がある。
このため、潤滑流体に存在する気泡を確実に検出するために、従来は潤滑流体の充填量を管理して気泡の存在を推定していたが、この気泡検出方法では高精度な気泡の検出は困難であった。
本発明の課題は、流体軸受装置の潤滑流体に含まれる気泡を高精度に検出することが可能な気泡検査装置および気泡検査方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
第1の発明に係る気泡検査装置は、流体軸受装置に充填された潤滑流体に存在する気泡を検出する気泡検査装置であって、筐体と、減圧部と、検出部と、を備えている。筐体は、流体軸受装置が載置され、密閉空間を形成する。減圧部は、筐体内を第1の気圧から第1の気圧よりも低い第2の気圧に変化させる。検出部は、潤滑流体の第1の気圧における第1基準物理量と、第2の気圧における第2基準物理量とを検出する。
ここでは、筐体内に気泡検査を行う流体軸受装置を載置し、例えば、大気圧において第1基準物理量を検出し、次に、300Torr程度まで減圧して第2基準物理量を検出して、潤滑流体内に気泡が存在するか否かを判定する。なお、この判定については、第1・第2基準物理量の検出結果を考慮して、人が行ってもよいし、装置に搭載された判定部等によって自動的に行われてもよい。
ここで、上記基準物理量には、潤滑流体が充填された流体軸受装置の開放端側から観察可能な潤滑流体の液面の高さや面積、減圧前後における潤滑流体の漏れ出し量等が含まれる。通常、潤滑流体に存在する気泡は、減圧下におかれると潤滑流体内において膨張する。このため、減圧前後における潤滑流体の液面の高さや面積等の変化を検出することで、気泡の有無を容易に判定することができる。
【0005】
これにより、気圧の異なる2つの条件下において、それぞれ潤滑流体の液面高さ等の基準物理量を検出することで、単に潤滑流体の充填量を管理して気泡の存在の検査を行う従来の気泡検査方法と比較して、高精度に潤滑流体内における気泡の有無を検出することができる。
第2の発明に係る気泡検査装置は、第1の発明に係る気泡検査装置であって、検出された第1・第2基準物理量を比較して、第1基準物理量と第2基準物理量とが所定量以上差がある場合には、潤滑流体に気泡が存在していると判定する処理部をさらに備えている。
ここでは、第1基準物理量と第2基準物理量とを比較して、その差、つまり減圧前後における基準物理量の変化量が所定量以上であった場合には、処理部が、この流体軸受装置を潤滑流体内に気泡が混入した装置と判定する。
これにより、検出部における第1・第2基準物理量の検出結果に基づいて、自動的に流体軸受装置内に気泡が存在するか否かを判定することができる。
第3の発明に係る気泡検査装置は、第1または第2の発明に係る気泡検査装置であって、第1・第2基準物理量は、潤滑流体の平面視における液面面積である。
ここでは、流体軸受装置に含まれる潤滑流体内における気泡の有無を検査するために、潤滑流体の平面視における液面面積の変化を検出する。
【0006】
これにより、潤滑流体に気泡が存在している場合には、第1の気圧から第2の気圧へ減圧した際に潤滑流体があふれて液面の面積が大きくなるものと考えられるため、例えば、フランジレスシャフトに多い抜け止めを兼ねたシールキャップを備え、液面が半径方向に開口している流体軸受装置の開放端側から確認できる潤滑流体の液面の面積の変化を、減圧の前後において検出することで、容易に潤滑流体内における気泡の有無を確認することができる。
第4の発明に係る気泡検査装置は、第1または第2の発明に係る気泡検査装置であって、第1・第2基準物理量は、潤滑流体の液面高さである。
ここでは、流体軸受装置に含まれる潤滑流体内における気泡の有無を検査するために、潤滑流体の液面高さの変化を検出する。
これにより、潤滑流体に気泡が存在している場合には、第1の気圧から第2の気圧へ減圧した際に潤滑流体の液面が大きく上昇するものと考えられるため、例えば、フランジ付きシャフトに多い液面が軸方向に開口している流体軸受装置の開放端側から確認できる潤滑流体の液面の高さの変化を、減圧の前後において検出することで、容易に潤滑流体内における気泡の有無を確認することができる。
【0007】
第5の発明に係る気泡検査装置は、第1または第2の発明に係る気泡検査装置であって、第1・第2基準物理量は、潤滑流体の漏れ出し量である。
ここでは、流体軸受装置に含まれる潤滑流体内における気泡の有無を検査するために、潤滑流体の漏れ出し量の変化を検出する。
これにより、潤滑流体に気泡が存在している場合には、第1の気圧から第2の気圧へ減圧した際に潤滑流体があふれて漏れ出すものと考えられるため、例えば、フランジ付きシャフトに多い液面が軸方向に開口している流体軸受装置の開放端側から確認できる潤滑流体の液面の変化を、減圧の前後において検出することで、容易に潤滑流体内における気泡の有無を確認することができる。
第6の発明に係る気泡検査装置は、第1から第5の発明のいずれか1つに係る気泡検査装置であって、流体軸受装置に含まれる軸部の開放端側を軸方向に押圧する押圧部をさらに備えている。
ここでは、第2の気圧において、押圧部によって、流体軸受装置に含まれる回転軸となる軸部を、例えば、軸方向下向きに押圧しながら潤滑流体の液面高さ等の基準物理量を検出する。
【0008】
ここで、押圧部としては、バネ等の弾性部材を用いることができる。通常、軸部の側面に気泡が存在する場合には減圧条件下においてその気泡が膨張して液面を押し上げる一方、軸部の下に気泡が存在する場合には、減圧条件下においてその気泡が膨張しても、軸部を浮き上がらせるだけで、潤滑流体の液面の高さ等は変化しない場合がある。
これにより、第2の気圧に減圧されたことによって軸部の下に存在する気泡が膨張した状態でも、押圧部が軸方向下向きに軸部を押し込むことで、軸部を浮き上がらせることを防止することができる。この結果、軸部の下に隠れた気泡が存在する場合でも、膨張した気泡が液面を確実に押し上げるため、これについても高精度に検出することができる。
第7の発明に係る気泡検査装置は、第1から第6の発明のいずれか1つに係る気泡検査装置であって、流体軸受装置の開放端側を撮影した画像に基づいて、開放端側における潤滑流体の第1・第2基準物理量を検出する画像処理部をさらに備えている。
ここでは、筐体内に載置された流体軸受装置の開放端側における潤滑流体の基準物理量の変化を、開放端側を撮影した画像を処理して検出する。
これにより、例えば、流体軸受装置の開放端側に置かれたカメラ等によって撮影された画像を処理して画像に含まれる各画素を2値化し、潤滑流体の液面を特定することができる。この液面を減圧の前後において比較することで、液面の面積の変化や潤滑流体の漏れ出し等の変化を容易に検出することが可能になる。この結果、潤滑流体の液面の変化を容易に検出して、気泡の有無を高精度に判定することができる。
【0009】
なお、カメラ等の撮像装置については、筐体の内部に設置されていてもよいし、外部に設置されていてもよい。
第8の発明に係る気泡検査装置は、第1から第7の発明のいずれか1つに係る気泡検査装置であって、画像処理部は、流体軸受装置の開放端側を撮影した画像に対して、潤滑流体の液面に沿って配置される検査枠を用いて第1・第2基準物理量を検出する。
ここでは、流体軸受装置の開放端側における潤滑流体の液面に沿って検査枠を固定して、第1・第2基準物理量を検出する。
これにより、検査枠は、流体軸受装置の開放端側を撮影した画像における潤滑流体の液面の部分に沿って配置されるため、流体軸受装置の開放端側における潤滑流体の液面の変化を容易に検出することができる。
第9の発明に係る気泡検査装置は、第1から第8の発明のいずれか1つに係る気泡検査装置であって、筐体は、流体軸受装置の開放端側に取り付けられる透明なカバー部材を有している。
ここでは、検査対象となる流体軸受装置を載置するための筐体の開放端側の一部に、透明なカバー部材を設けている。
【0010】
これにより、例えば、減圧前後における潤滑流体の基準物理量の変化を人の目によって検出する場合でも、透明なカバー部材を介してその変化を容易に観察することができる。また、カメラ等の撮像装置が筐体外に設置されており、撮像装置によって取得された画像に基づいて画像処理部によって上記基準物理量の変化を検出する場合でも、透明なカバー部材を介して鮮明な画像を取得することができるため、画像処理の結果、高精度な気泡検出が可能になる。
第10の発明に係る気泡検査装置は、第1から第9の発明のいずれか1つに係る気泡検査装置であって、流体軸受装置の開放端側を照らす照明装置をさらに備えている。
ここでは、流体軸受装置の開放端側を照明装置によって明るくした状態で、潤滑流体の基準物理量の変化を検出する。
これにより、例えば、上記基準物理量の変化を画像処理によって検出する場合でも、照明装置によって照らされて光が反射した画像中の明るい部分を潤滑流体の液面として検出することで、容易に高精度な潤滑流体の基準物理量の変化を検出することができる。
なお、照明装置については、筐体の内部に設置されていてもよいし、外部に設置されていてもよい。
【0011】
第11の発明に係る気泡検査装置は、第1から第10の発明のいずれか1つに係る気泡検査装置であって、第1の気圧は、大気圧である。
ここでは、大気圧において、潤滑流体の第1基準物理量を検出する。
これにより、筐体内に流体軸受装置を載置したままの状態で第1基準物理量を取得できるため、減圧部による筐体内の減圧処理を1回で済ませることができる。この結果、検査に必要な工程を減らして工程を簡略化することで、コストダウンが図れる。
第12の発明に係る気泡検査方法は、流体軸受装置に充填された潤滑流体に存在する気泡を検出する気泡検査方法であって、第1から第7のステップを備えている。第1のステップでは、密閉空間を形成する筐体内に流体軸受装置を載置する。第2のステップでは、筐体内を第1の気圧とする。第3のステップでは、第1の気圧において、潤滑流体の第1基準物理量を検出する。第4のステップでは、第1の気圧から、第1の気圧よりも低い第2の気圧に変化させる。第5のステップでは、第2の気圧において、潤滑流体の第2基準物理量を検出する。
ここでは、筐体内に気泡検査を行う流体軸受装置を載置し、例えば、大気圧において第1基準物理量を検出し、次に、300Torr程度まで減圧して第2基準物理量を検出して、潤滑流体内に気泡が存在するか否かを判定する。なお、この判定については、第1・第2基準物理量の検出結果を考慮して、人が行ってもよいし、装置に搭載された判定部等によって自動的に行われてもよい。
【0012】
ここで、上記基準物理量には、潤滑流体が充填された流体軸受装置の開放端側から観察可能な潤滑流体の液面の高さや面積、減圧前後における潤滑流体の漏れ出し量等が含まれる。通常、潤滑流体に存在する気泡は、減圧下におかれると潤滑流体内において膨張する。このため、減圧前後における潤滑流体の液面の高さや面積等の変化を検出することで、気泡の有無を容易に判定することができる。
これにより、気圧の異なる2つの条件下において、それぞれ潤滑流体の液面高さ等の基準物理量を検出し、その変化量が所定量以上になるか否かを検出することで、単に潤滑流体の充填量を管理して気泡の存在の検査を行う従来の気泡検査方法と比較して、高精度に潤滑流体内における気泡の有無を検出することができる。
第13の発明に係る気泡検査方法は、第12の発明に係る気泡検査方法であって、第6のステップと第7のステップとを、さらに備えている。第6のステップでは、第3のステップおよび第5のステップにおいて検出された第1基準物理量と第2基準物理量とを比較する。第7のステップでは、第1基準物理量と第2基準物理量とが所定量以上差がある場合には、潤滑流体に気泡が存在していると判定する。
ここでは、第1基準物理量と第2基準物理量とを比較して、その差、つまり減圧前後における基準物理量の変化量が所定量以上であった場合には、この流体軸受装置を潤滑流体内に気泡が存在する装置と判定する。
【0013】
検出部における第1・第2基準物理量の検出結果に基づいて、自動的に流体軸受装置内に気泡が存在するか否かを判定することができる。
【発明の効果】
【0014】
第1の発明に係る気泡検査装置によれば、軸受装置の潤滑流体に含まれる気泡を高精度に検出することができる。
第2の発明に係る気泡検査装置によれば、自動的に潤滑流体内における気泡の有無を判定することができる。
第3の発明に係る気泡検査装置によれば、容易に潤滑流体内における気泡の有無を確認することができる。
第4の発明に係る気泡検査装置によれば、容易に潤滑流体内における気泡の有無を確認することができる。
第5の発明に係る気泡検査装置によれば、容易に潤滑流体内における気泡の有無を確認することができる。
第6の発明に係る気泡検査装置によれば、軸部の下に隠れた気泡が存在する場合でも、これについても高精度に検出することができる。
第7の発明に係る気泡検査装置によれば、潤滑流体の液面の変化を容易に検出して、気泡の有無を高精度に判定することができる。
第8の発明に係る気泡検査装置によれば、流体軸受装置の開放端側から潤滑流体の液面の変化を容易に検出することができる。
【0015】
第9の発明に係る気泡検査装置によれば、透明なカバー部材を介してその変化を容易に観察することができる。
第10の発明に係る気泡検査装置によれば、容易に高精度な潤滑流体の基準物理量の変化を検出することができる。
第11の発明に係る気泡検査装置によれば、検査に必要な工程を減らして工程を簡略化することで、コストダウンが図れる。
第12の発明に係る気泡検査方法によれば、軸受装置の潤滑流体に含まれる気泡を高精度に検出することができる。
第13の発明に係る気泡検査方法によれば、自動的に潤滑流体内における気泡の存在の有無を判定することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
[実施形態1]
本発明の一実施形態に係る気泡検査装置20aについて、図1〜図5および図13および図14を用いて説明すれば以下の通りである。
本実施形態に係る気泡検査装置20aは、フランジレスタイプのシャフト11aを含む流体軸受装置10a(図2参照)における所定の隙間に充填されたオイル(潤滑流体)18a内に存在する気泡を検出する装置である。
[検査対象となる流体軸受装置10aの構成]
ここで、本実施形態に係る気泡検査装置20aの検査対象となる流体軸受装置10aの構成について説明すれば以下の通りである。なお、以下の説明において用いた開放端側とは、気泡検査装置20aにセットされた流体軸受装置10aの上端側に相当する側を意味している。
すなわち、本実施形態において検査を行う流体軸受装置10aは、図2(軸受断面図)に示すように、フランジレスタイプのシャフト11a、スリーブ12a、シールキャップ13a、スラストプレート14aおよびオイル18aを備えている。なお、説明に使用する図面は、理解を容易にするために簡略化されているものとする。
【0017】
シャフト11aは、スリーブ12aとの間に隙間に充填されたオイル18aが、回転中にスリーブ12a側に形成された図示しない動圧発生溝にかき集められて動圧を発生させることにより、スリーブ12a等に対して非接触状態で相対回転する。
スリーブ12aは、シャフト11aの周りを取り囲むように配置されており、シャフト11aとの対向面、もしくはシャフト11aの外周面に、上述した動圧発生溝が形成されている。
シールキャップ13aは、スリーブ12aを覆うように取り付けられた部材であって、平面視においてその内周部がシャフト11aの一部と重なるように配置されている。これにより、シールキャップ13aは、フランジレスのシャフト11aの抜け止めとして機能する。
スラストプレート14aは、流体軸受装置10aの底部を閉塞するプレートであって、その上にスリーブ12aが配置されている。スラストプレート14aには、シャフト11aとの対向面、もしくはシャフト11aの底面に動圧発生溝が形成されている。
オイル18aは、シャフト11aの側面とスリーブ12aとの間の隙間、シャフト11aの底面とスラストプレート14aとの間の隙間、シャフト11aの上面とシールキャップ13aとの間の隙間、に充填されており、回転中に動圧発生溝にかき集められて動圧を発生させる。これにより、シャフト11aとスリーブ12a等とを非接触状態で相対的に回転させることができる。
【0018】
[気泡検査装置20aの構成]
気泡検査装置20aは、図1および図3(a)等に示すように、減圧チャンバ(筐体)21、真空ポンプ(減圧部)22、撮影・照明装置25、押圧バネ(押圧部)26および制御ユニット(処理部、画像処理部)30を備えている。なお、これらは一体にまとめられているが、各部が別体として存在し、それぞれが互いに組み合わされて機能するように接続されていてもよい。
減圧チャンバ21は、図3(a)等に示すように、内部に流体軸受装置10aを載置した状態で減圧状態とするための密閉された容器であって、カバー部(透明なカバー部材を含む)21a、ケース部21bおよび減圧開口21cを有している。
カバー部21aは、少なくとも一部が透明な樹脂製またはガラス製の材料によって形成されており、減圧前後における流体軸受装置10aの開放端側が観察できるようになっている。
ケース部21bは、減圧チャンバ21の側底面を形成する板材であって、その一部に減圧開口21cが形成されている。
図1(b)および図1(c)に示すように、減圧チャンバ21には、バルブ60、圧力センサ61、真空ポンプ22が接続されている。図中に示す符号62は、大気圧または第1の気圧を示している。バルブ60は、ソレノイドバルブ等が使用され、圧力センサにはピラニーゲージやシリコンダイヤフラム式およびステンレスダイヤフラム式のものが用いられる。制御には、応答性の良さからシリコンダイヤフラム式が多く使用される。
【0019】
減圧開口21cは、バルブ60を介して真空ポンプ22と接続されており、減圧開口21cを介して減圧チャンバ21の内部を減圧状態へ移行させる。
真空ポンプ22は、減圧チャンバ21の内部を減圧状態へ移行させるための減圧部として設けられており、上述した減圧開口21cに対してバルブ60を介して接続されている。
撮影・照明装置25は、減圧チャンバ21の上方、つまり減圧チャンバ21の内部に載置された流体軸受装置10aの開放端側に配置されている。そして、撮影・照明装置25は、流体軸受装置10aの開放端側を撮影するためのCCDカメラや、撮影部位となる流体軸受装置10aの開放端側を明るく照らすための照明を含んでいる。これにより、撮影・照明装置25において撮影されて取得された流体軸受装置10aの開放端側を示す画像は、後述する制御ユニット30へと送られて、オイル18aの液面の面積を特定するための画像処理が施される。なお、撮影・照明装置25については、減圧チャンバ21の内部に設けられていてもよい。
押圧バネ26は、減圧チャンバ21のカバー部21aの中心部分に取り付けられており、カバー部21aの中心部分に対向する位置に載置される流体軸受装置10aのシャフト11aの上端面に対して押圧バネ26の先端に取り付けられた当接部が接触して、シャフト11aを軸方向下向きに押圧する。
【0020】
制御ユニット30は、真空ポンプ22や撮影装置25等のような気泡検査装置20aに含まれる各部の動作を制御する。さらに、制御ユニット30は、撮影装置25において取得された画像に対して画像処理を行って、流体軸受装置10aの開放端側におけるオイル18aの液面の面積の変化量を検出する。そして、制御ユニット30は、ここでの検出結果に基づいて、オイル18a中に気泡が含まれているか否か、つまり検査を行った流体軸受装置10aが不良品であるか否かの判定を行う。なお、この画像処理に関しては、後段にて詳述する。
<気泡検査装置20aによる気泡検査方法>
本実施形態の気泡検査装置20aによる流体軸受装置10aの気泡検査方法について、図5に示すフローチャートに従って説明すれば以下の通りである。
すなわち、ステップS1においては、注油も含めた流体軸受装置20aの組立てを完成させる。
次に、ステップS2においては、流体軸受装置10aを減圧チャンバ21の内部へセットする。
次に、ステップS3においては、図3(a)に示すように、流体軸受装置10aが内部にセットされた減圧チャンバ21に対して、透明な部分を有するカバー部21aを取り付ける。このとき、カバー部21aに取り付けられた押圧バネ26が、シャフト11aを軸方向下向きに押圧するとともに、スリーブ12aも同方向に押圧する。このときの押圧力Fpは、以下の関係式(1)によって表される。
【0021】
シャフト押圧力Fp>(大気圧Pa−減圧検査設定圧Pv)×シャフト底面面積SS−シャフト重量WS ・・・・・(1)
これにより、シャフト11aの下部に存在するオイル18aに含まれる気泡が膨張した場合でも、シャフト11aが浮き上がらないように、スラストプレート14aに対してシャフト11aを押し付けることができる。
次に、ステップS4においては、大気圧(第1の気圧)における流体軸受装置10aの開放端側のオイル18aの状態(図4(a)参照)を撮影装置25によって撮影する。そして、撮影された画像のデータは、制御ユニット30内の記憶部に記憶される。
次に、ステップS5においては、制御ユニット30が、図13および図14に示す画像処理画面40をモニタ等に表示させながら、まず、図4(a)に示す開放端側の状態を撮影して得られた画像におけるオイル18aの液面の部分対して、ドーナツ形状の検査枠42a・42b(図13および図14参照)を設定する。そして、制御ユニット30は、この検査枠42内において2値化処理を行う。なお、検査枠42は、図13に示すように、画像表示部41内に表示された流体軸受装置10aの開放端側の画像に対して、検査枠42の大きさや位置を変更しながら設定される。
【0022】
具体的な処理としては、この検査枠42内における各画素の明るさに応じて所定の閾値(画素数)以上なら白、閾値未満であれば黒とする画像処理を行う。このとき、オイル18aが流体軸受装置10aの開放端側に漏れ出している場合には、撮影装置25に含まれる照明装置から照射された光がオイル18aに反射して画像のその部分は明るくなる。よって、2値化処理の基準となる閾値は、その反射光の明るさよりも若干暗い値が設定されていればよい。これにより、オイル18aからの反射光の部分だけが白く表示される2値化処理後の画像を得ることができる。
本実施形態では、図4(a)に示すように、オイル18aは開放端側からは見えないため、2値化処理後に白く表示される画像の部分はなく、液面面積は0(第1基準物理量)となる。なお、ここで算出された第1基準物理量としてのオイル18aの液面の面積は、制御ユニット30内の記憶部に記憶される。
次に、ステップS6においては、図3(b)に示すように、真空ポンプ22を用いて減圧チャンバ21の内部を減圧処理する。本実施形態では、減圧チャンバ21内は、約300Torr(第2の気圧)になるまで減圧され、約1sec間保持される。これにより、オイル18a内に気泡が存在している場合には、存在している気泡を約2.5〜3.0倍まで膨張させることができる。
【0023】
次に、ステップS7においては、約300Torrまで減圧処理された減圧チャンバ21の内部にセットされた流体軸受装置10aの開放端側の状態(図4(b)参照)の画像を撮影装置25によって取得する。
次に、ステップS8においては、制御ユニット30が、図4(b)に示す開放端側の状態を撮影して得られた画像におけるオイル18aの液面の部分に対して、ステップS5と同様に、検査枠42を設定し、この検査枠42内において2値化処理を行う。このとき、図4(b)に示すように、オイル18aが流体軸受装置10aの開放端側に漏れ出しているため、照明装置から照射された光がオイル18aに反射して画像のその部分は明るくなる。本実施形態では、図4(b)に示すように、オイル18aは開放端側の一部に見えているため、2値化処理後に白く表示される画像の部分が存在し、この液面の面積が白く表示される画素数(第2基準物理量)に基づいて算出される。そして、ここで算出された第2基準物理量としての液面の面積は、上記ステップS5と同様に、制御ユニット30内の記憶部に記憶される。
次に、ステップS9においては、ステップS5およびステップS8においてそれぞれ算出された液面の面積(第1・第2基準物理量)を比較して、その差を算出する。ここで、算出された差が、予め設定された閾値以上である場合には、ステップS10において、この流体軸受装置10aに充填されたオイル18aには気泡が存在していると判定して「NG」と表示する。一方、閾値に満たない場合には、判定結果の欄に「OK」と表示される。
【0024】
そして、以上のような判定後には、大気圧(または第1の気圧)に通じるバルブ60を開放して、減圧チャンバ21内を大気圧(または第1の気圧)に戻し、不良品あるいは正常品と判定された流体軸受装置10aを減圧チャンバ21から取り出して所定の保管場所へ送る。
通常、検査対象となる流体軸受装置として、フランジレスのシャフト11aを備えた流体軸受装置10aを用いた場合には、オイル18aの液面はシールキャップ13aによって隠れて平面視においては観察できない。しかし、本実施形態のように、この流体軸受装置10aをセットした減圧チャンバ21の内部を減圧することで、オイル18aに含まれる気泡が膨張して、膨張した気泡に相当する分だけオイルの液面を変化させることができる。
これにより、流体軸受装置10aに充填されたオイル18aに含まれる気泡を容易に検出して、不良であるか否かを容易に判定することができる。
そして、押圧バネ26によってシャフト11aを軸方向下向きに押圧することにより、シャフト11aの浮き上がりを抑えることができるため、シャフト11aの底に気泡が存在する場合でも、気泡の存在を液面変化として検出可能とすることができる。
【0025】
[本気泡検査装置20aの特徴]
(1)
本実施形態の気泡検査装置20aでは、図1および図3に示すように、検査対象となる流体軸受装置10aをセットするための減圧チャンバ21と、減圧チャンバ21内を大気圧から減圧するための真空ポンプ22と、流体軸受装置10aの開放端側において大気圧におけるオイル18aの液面の面積と約300Torr減圧条件下における液面の面積との差を算出する制御ユニット30と、を備えている。そして、制御ユニット30は、算出したその差が所定の閾値以上である場合には、この流体軸受装置10aをオイル18a内に気泡が存在する不良品として判定する。
これにより、オイル18aの注油が完了した流体軸受装置10aを減圧条件下におくことにより、減圧前後において、流体軸受装置10aの開放端側におけるオイル18aの液面の面積を検出して比較することで、減圧条件下に置かれて膨張した気泡によって変化するオイル18aの液面の面積の変化を容易に検出することができる。よって、オイル18a内にわずかな気泡が存在している場合でも、これを高精度に検出して不良品であるか否かの判定を行うことができる。
【0026】
(2)
本実施形態の気泡検査装置20aでは、図4(b)に示すように、減圧前後におけるオイル18aの液面の変化を検出するための基準となる基準物理量として、流体軸受装置10aの開放端側におけるオイル18aの液面の面積を用いている。
これにより、例えば、本実施形態のように、開放端側にシールキャップ13aが配置されたフランジレスのシャフト11aを有する流体軸受装置10aの検査を行う場合でも、シールキャップ13aの内側に出てくるオイル18aの量、すなわち平面視における液面の面積を検出することで、容易にオイル18a内の気泡存在の有無を検査することができる。
(3)
本実施形態の気泡検査装置20aでは、図3(a)等に示すように、基準物理量となるオイル18aの液面の面積を検出する際に、押圧バネ26によって、流体軸受装置10aのシャフト11aの上端部分を軸方向下向きに押圧する。
これにより、シャフト11aの下に隠れるように存在する気泡をシャフト11aの側方へ追い出して検査を行うことができるため、減圧条件下に置かれて膨張した気泡がシャフト11aの下に留まってシャフト11aを押し上げてしまうことで減圧前後において液面面積の変化がない状態となることを回避することができる。この結果、シャフト11aの下に存在する気泡についても高精度に検出することが可能になる。
【0027】
(4)
本実施形態の気泡検査装置20aでは、図1に示すように、流体軸受装置10aの開放端側におけるオイル18aの液面の面積の変化を検出するための画像処理部として、制御ユニット30を備えている。
これにより、撮影装置25によって撮影された開放端側における画像について、オイル18aの液面に相当する部分(画素)を2値化処理等によって検出することができる。この結果、制御ユニット30は、減圧前後における液面の面積の差が所定の閾値以上である場合には、この流体軸受装置10aを不良品として判定することができる。
(5)
本実施形態の気泡検査装置20aでは、画像処理によってオイル18aの液面面積を検出する際には、制御ユニット30が、図13に示すように、オイル18aの液面に沿って検査枠42を設定する。
これにより、この検査枠42内におけるオイル18aの液面に相当する画素の部分を白、それ以外を黒で2値化処理することで、流体軸受装置10aの開放端側におけるオイル18aの液面の面積の変化を、より検出し易くすることができる。
【0028】
(6)
本実施形態の気泡検査装置20aでは、流体軸受装置10aをセットする減圧チャンバ21の天井面側に、少なくとも一部が透明なカバー部21aを取り付けている。
これにより、流体軸受装置10aの開放端側におけるオイル18aの液面の変化を、流体軸受装置10aの上方から容易に観察することができる。この結果、本実施形態のように、流体軸受装置10aの開放端側を撮影した画像に基づいてオイル18aの液面の面積を検出する場合でも、撮影装置25によって容易に開放端側の画像を撮影することができる。
(7)
本実施形態の気泡検査装置20aでは、図3(a)等に示すように、オイル18aの液面面積を検出する際に、撮影装置25に含まれる照明装置によって、流体軸受装置10aの開放端側を明るく照らしている。
これにより、オイル18aの液面において反射した光によって、開放端側を撮影した画像ではオイル18aの液面に相当する部分が白く表示される。これにより、この反射光の明るさの部分だけを検出することで、容易にオイル18aの液面に相当する部分を検出することができる。
【0029】
(8)
本実施形態の気泡検査装置20aでは、図5に示すように、第1基準物理量となるオイル18aの液面の面積の検出を、大気圧条件下において行う。
これにより、第1基準物理量となる液面面積の値を取得する際に、減圧または昇圧処理を行う必要がない。この結果、第1の気圧の条件下において第1基準物理量を検出する場合と比較して、減圧または昇圧処理工程を省くことができ、検査工程を簡略化することができる。
また、次の測定のために減圧チャンバ内を元の圧力に復圧する場合でも、大気に開放するだけですむため、工程を簡略化することができる。
[実施形態2]
本発明の他の実施形態に係る気泡検査装置および気泡検査方法について、図6〜図9を用いて説明すれば以下の通りである。
なお、以下の説明で使用する部材のうち、実施形態1で使用した部材と同様の構成、作用効果を有するものについては、同じ符号を付し、その説明を省略する。
本実施形態の気泡検査装置20は、フランジタイプのシャフト11bを含む流体軸受装置10b(図6参照)における所定の隙間に充填されたオイル(潤滑流体)18b内に存在する気泡を検出する装置である。
【0030】
[検査対象となる流体軸受装置10bの構成]
ここで、本実施形態に係る気泡検査装置20bの検査対象となる流体軸受装置10bの構成について説明すれば以下の通りである。なお、以下の説明において用いた開放端側とは、気泡検査装置20bにセットされた流体軸受装置10bの上端側に相当する側を意味している。
すなわち、本実施形態において検査を行う流体軸受装置10bは、図6に示すように、フランジレスタイプのシャフト11b、スリーブ12b,フランジ15bおよびオイル18bを備えている。
シャフト11bは、スリーブ12bやフランジ15bとの間に隙間に充填されたオイル18bが、回転中にスリーブ12bおよびフランジ15b側に形成された図示しない動圧発生溝にかき集められて動圧を発生させることにより、スリーブ12b等に対して非接触状態で相対回転する。
スリーブ12bは、シャフト11bおよびフランジ15bの周りを取り囲むように配置されており、シャフト11bとの対向面、もしくはシャフト11bの外周面に、上述した動圧発生溝が形成されている。
【0031】
スラストプレート14bは、流体軸受装置10bの底部を閉塞するプレートであって、スリーブ12b底部に配置されている。
フランジ15bは、シャフト11bの下端部に取り付けられており、スリーブ12bやスラストプレート14bとの対向面、もしくはスリーブ12bやスラストプレート14bに、それぞれ図示しない動圧発生溝が形成されている。
オイル18bは、シャフト11bの側面とスリーブ12bとの間の隙間、フランジ15bの底面とスラストプレート14bとの間の隙間、フランジ15bの上面とスリーブ12bとの間の隙間、に充填されており、回転中にスリーブ12bのシャフト11bの対向面等に形成された動圧発生溝にかき集められて動圧を発生させる。これにより、シャフト11bとスリーブ12b等とを非接触状態で相対的に回転させることができる。
[気泡検査装置20bの構成]
気泡検査装置20bは、図7(a)等に示すように、減圧チャンバ21、真空ポンプ(減圧部)22、非接触段差測定部(例えば、ハイソメット(ユニオン光学社製))23、押圧バネ(押圧部)26および制御ユニット(処理部、画像処理部)30(図1参照)を備えている。
【0032】
非接触段差測定部23は、図7(a)等に示すように、減圧チャンバ21内にセットされた流体軸受装置10bの開放端側となる上方に配置されている。そして、非接触段差測定部23は、図8(a)等に示すように、流体軸受装置10bの開放端側から観察されるオイル18bの液面の高さに焦点が合う位置に配置されている。
なお、非接触段差測定部23以外の構成については、上記実施形態1において説明した部材と同様である。
また、非接触段差測定部23については、減圧チャンバ内に設置することもできる。
<気泡検査装置20bによる気泡検査方法>
本実施形態の気泡検査装置20bによる流体軸受装置10bの気泡検査方法について、図9に示すフローチャートに従って説明すれば以下の通りである。
すなわち、ステップS11においては、注油も含めた流体軸受装置20aの組立てを完成させる。
次に、ステップS12においては、流体軸受装置10bを減圧チャンバ21の内部へセットする。
次に、ステップS13においては、図7(a)に示すように、流体軸受装置10bが内部にセットされた減圧チャンバ21に対して、透明な部分を有するカバー部21aを取り付ける。このとき、カバー部21aに取り付けられた押圧バネ26が、シャフト11bを軸方向下向きに押圧するとともに、スリーブ12bも同方向に押圧する。このときの押圧力Fpは、上記実施形態で説明した関係式(1)によって表される。
【0033】
これにより、シャフト11bの下部に存在するオイル18bに含まれる気泡が膨張した場合でも、シャフト11bが浮き上がらないように、スラストプレート14bに対してシャフト11bを押し付けることができる。
次に、ステップS14においては、大気圧(第1の気圧)における流体軸受装置10bの開放端側のオイル18bの状態(図7(a)参照)で、図8(a)に示すように、オイル18bの液面の表面に非接触段差測定部23の焦点を合わせるようにしてオイル18bの液面の高さを検出する。そして、制御ユニット30は、このときの液面の高さ位置、換言すれば、非接触段差測定部23の高さ位置を第1基準物理量として記憶する。
次に、ステップS15においては、図7(b)に示すように、真空ポンプ22を用いて減圧チャンバ21の内部を減圧処理する。本実施形態では、上記実施形態1と同様に、減圧チャンバ21内は、約300Torr(第2の気圧)になるまで減圧され、約1sec間保持される。これにより、オイル18b内に気泡が存在している場合には、存在している気泡を約2.5〜3.0倍まで膨張させることができる。
次に、ステップS16においては、約300Torr(第2の気圧)減圧条件下における流体軸受装置10bの開放端側のオイル18bの状態(図7(b)参照)で、図8(b)に示すように、気泡が膨張することで上昇したオイル18bの液面の表面に非接触段差測定部23の焦点を合わせるように非接触段差測定部23の位置を移動させてオイル18bの液面の高さ(第2基準物理量)を検出する。つまり、非接触段差測定部23の移動距離が、そのまま液面高さの変化量として検出される。
【0034】
次に、ステップS17においては、制御ユニット30が、ステップS14およびステップS16においてそれぞれ検出された液面の高さ(第1・第2基準物理量)を比較して、その差(非接触段差測定部23の移動量)を算出する。ここで、算出された差が、予め設定された閾値以上である場合には、ステップS18において、この流体軸受装置10bに充填されたオイル18bには気泡が存在していると判定する。
そして、判定後には、真空ポンプ22を制御して減圧チャンバ21内を大気圧に戻し、不良品あるいは正常品と判定された流体軸受装置10bを減圧チャンバ21から取り出して所定の保管場所へ送る。
通常、検査対象となる流体軸受装置として、フランジ付きのシャフト11b備えた流体軸受装置10bを用いた場合には、開放端側にシールキャップが設けられていないためにオイル18bの液面は平面視において常に観察できる。よって、本実施形態では、この流体軸受装置10bをセットした減圧チャンバ21の内部を減圧することで、オイル18bに含まれる気泡が膨張して、膨張した気泡に相当する分だけオイルの液面の高さを変化させることを検出して検査を行う。
これにより、流体軸受装置10bに充填されたオイル18bに含まれる気泡を容易に検出して、不良であるか否かを容易に判定することができる。
【0035】
そして、押圧バネ26によってシャフト11bを軸方向下向きに押圧することにより、シャフト11bの浮き上がりを抑えることができるため、シャフト11bの底に気泡が存在する場合でも、気泡の存在を液面変化として検出可能とすることができる。
[本気泡検査装置20bの特徴]
(1)
本実施形態の気泡検査装置20bでは、図7(a)および図7(b)に示すように、検査対象となる流体軸受装置10bをセットするための減圧チャンバ21と、減圧チャンバ21内を大気圧から減圧するための真空ポンプ22と、流体軸受装置10bの開放端側において大気圧におけるオイル18bの液面の高さと約300Torr減圧条件下における液面の高さとの差を算出する制御ユニット30と、を備えている。そして、制御ユニット30は、算出したその差が所定の閾値以上である場合には、この流体軸受装置10bをオイル18b内に気泡が存在する不良品として判定する。
これにより、減圧前後において、流体軸受装置10bの開放端側におけるオイル18bの液面の高さを検出して比較することで、減圧条件下に置かれて膨張した気泡によって変化するオイル18bの液面の高さの変化を容易に検出することができる。よって、オイル18b内にわずかな気泡が存在している場合でも、これを高精度に検出して不良品であるか否かの判定を行うことができる。
【0036】
なお、上記実施形態1において説明した減圧チャンバ21の構成や検査条件等について、本実施形態において同様の説明をしたものについては、それぞれが上記実施形態1において説明した内容と同様の作用効果を奏するものとする。
[実施形態3]
本発明のさらに他の実施形態に係る気泡検査装置および気泡検査方法について、図10
〜図12を用いて説明すれば以下の通りである。
なお、以下の説明で使用する部材のうち、実施形態1,2において使用した部材と同様の構成、作用効果を有するものについては、同じ符号を付し、その説明を省略する。
本実施形態の気泡検査装置20cは、上記実施形態2と同様に、フランジタイプのシャフト11bを含む流体軸受装置10b(図6参照)における所定の隙間に充填されたオイル(潤滑流体)18b内に存在する気泡を検出する装置である。このため、上記実施形態2において説明した流体軸受装置10bの説明については、ここでは省略する。
[気泡検査装置20cの構成]
気泡検査装置20cは、図10(a)等に示すように、減圧チャンバ21、真空ポンプ(減圧部)22、撮影・照明装置25、押圧バネ(押圧部)26および制御ユニット(処理部、画像処理部)30(図1参照)を備えている。
【0037】
なお、気泡検査装置20cに含まれるこれらの構成については、上記実施形態1においてすでに説明済みであるため、ここでは説明を省略する。
<気泡検査装置20cによる気泡検査方法>
本実施形態の気泡検査装置20cによる流体軸受装置10bの気泡検査方法について、図12に示すフローチャートに従って説明すれば以下の通りである。
すなわち、ステップS21においては、注油も含めた流体軸受装置20aの組立てを完成させる。
次に、ステップS22においては、流体軸受装置10bを減圧チャンバ21の内部へセットする。
次に、ステップS23においては、図10(a)に示すように、流体軸受装置10bが内部にセットされた減圧チャンバ21に対して、一部が透明なカバー部21aを取り付ける。このとき、カバー部21aに取り付けられた押圧バネ26が、シャフト11bを軸方向下向きに押圧するとともに、スリーブ12bも同方向に押圧する。このときの押圧力Fpは、実施形態1において説明した上記関係式(1)によって表される。
これにより、シャフト11bの下部に存在するオイル18bに含まれる気泡が膨張した場合でも、シャフト11bが浮き上がらないように、スラストプレート14bに対してシャフト11bを押し付けることができる。
【0038】
次に、ステップS24においては、大気圧(第1の気圧)における流体軸受装置10bの開放端側のオイル18aの状態(図10(a)参照)を撮影装置25によって撮影する。そして、撮影された画像のデータは、制御ユニット30内の記憶部に記憶される。
次に、ステップS25においては、制御ユニット30が、図10(a)に示す開放端側の状態を撮影して得られた画像におけるオイル18bの液面の部分に対して、検査枠42を設定し、この検査枠42内において2値化処理を行う。なお、図13に示す画像処理画面40において各種検出条件の設定等を行う点については、上記実施形態1と同様である。
具体的には、この検査枠42内における各画素の明るさに応じて所定の閾値(画素数)以上なら白、閾値未満であれば黒とする画像処理を行う。このとき、オイル18bが流体軸受装置10bの開放端側に漏れ出している場合には、撮影装置25に含まれる照明装置から照射された光がオイル18bに反射して画像のその部分は明るくなる。よって、2値化処理の基準となる閾値は、その反射光の明るさよりも若干暗い値に設定されていればよい。これにより、オイル18bからの反射光の部分だけが白く表示される2値化処理後の画像を得ることができる。
【0039】
本実施形態では、図10(a)に示すように、オイル18bは開放端側から常に観察できる状態であるため、2値化処理後にはリング形状の部分が白く表示されてこの面積(第1基準物理量)に相当する画素数が算出される。なお、ここで算出された第1基準物理量としてのオイル18aの液面の面積は、制御ユニット30内の記憶部に記憶される。
次に、ステップS26においては、図10(b)に示すように、真空ポンプ22を用いて減圧チャンバ21の内部を減圧処理する。本実施形態では、減圧チャンバ21内は、約300Torr(第2の気圧)になるまで減圧され、約1sec間保持される。これにより、オイル18b内に気泡が存在している場合には、存在している気泡を約2.5〜3.0倍まで膨張させることができる。
次に、ステップS27においては、約300Torrまで減圧処理された減圧チャンバ21の内部にセットされた流体軸受装置10bの開放端側の状態(図11(b)参照)の画像を撮影装置25によって取得する。
次に、ステップS28においては、ステップS25と同様に、制御ユニット30が、図11(b)に示す開放端側の状態を撮影して得られた画像におけるオイル18bの液面の部分対して、ドーナツ状の検査枠42(図13および図14参照)を設定し、この検査枠42内において2値化処理を行う。このとき、図11(b)に示すように、オイル18bが流体軸受装置10bの開放端側において外周側となるスリーブ12b上に漏れ出しているため、照明装置から照射された光がオイル18bに反射して画像のその部分は明るくなる。本実施形態では、図11(b)に示すように、オイル18bは開放端側におけるリング形状の外側に広がるように見えているため、2値化処理後に白く表示される画像の部分が大きくなり、この液面の面積が白く表示される画素数(第2基準物理量)に基づいて算出される。そして、ここで算出された第2基準物理量としての液面の面積(オイル18bの漏れ出し量)は、上記ステップS25と同様に、制御ユニット30内の記憶部に記憶される。
【0040】
次に、ステップS29においては、ステップS25およびステップS28においてそれぞれ算出された液面の面積、つまりオイル18bの漏れ出し量(第1・第2基準物理量)を比較して、その差を算出する。ここで、算出された差が、予め設定された所定の閾値以上である場合には、ステップS30において、この流体軸受装置10bに充填されたオイル18bには気泡が存在していると判定して「NG」と表示する。一方、算出された差が、予め設定された所定の閾値に満たない場合には、ステップS30において、この流体軸受装置10bに充填されたオイル18bには気泡が存在していないと判定して「OK」と表示する。
そして、判定後には、真空ポンプ22を制御して減圧チャンバ21内を大気圧に戻し、不良品あるいは正常品と判定された流体軸受装置10bを減圧チャンバ21から取り出して所定の保管場所へ送る。
通常、検査対象となる流体軸受装置として、フランジ付きのシャフト11b備えた流体軸受装置10bを用いた場合には、開放端側にシールキャップが設けられていないためにオイル18bの液面は平面視においてリング状の形で常に観察できる。よって、本実施形態では、この流体軸受装置10bをセットした減圧チャンバ21の内部を減圧することで、オイル18bに含まれる気泡が膨張して、膨張した気泡に相当する分だけオイル18bがスリーブ12bの上面まで漏れ出して液面の面積を変化させることを検出して気泡存在の検査を行う。
【0041】
これにより、流体軸受装置10bに充填されたオイル18bに含まれる気泡を容易に検出して、不良であるか否かを容易に判定することができる。
[本気泡検査装置20cの特徴]
(1)
本実施形態の気泡検査装置20cでは、図10(a)および図10(b)に示すように、検査対象となる流体軸受装置10bをセットするための減圧チャンバ21と、減圧チャンバ21内を大気圧から減圧するための真空ポンプ22と、流体軸受装置10bの開放端側において大気圧におけるオイル18bの漏れ出し量(液面の面積)と減圧条件下におけるオイル18bの漏れ出し量(液面の面積)との差を算出する制御ユニット30と、を備えている。そして、制御ユニット30は、算出したその差が所定の閾値以上である場合には、この流体軸受装置10bをオイル18b内に気泡が存在する不良品として判定する。
これにより、減圧前後において、流体軸受装置10bの開放端側におけるオイル18bの漏れ出し量(液面の面積)を検出して比較することで、減圧条件下に置かれて膨張した気泡によって変化するオイル18bの液面の変化を容易に検出することができる。よって、オイル18b内にわずかな気泡が存在している場合でも、これを高精度に検出して不良品であるか否かの判定を行うことができる。
【0042】
なお、上記実施形態1,2において説明した減圧チャンバ21の構成や検査条件等について、本実施形態において同様の説明をしたものについては、それぞれが上記実施形態1,2において説明した内容と同様の作用効果を奏するものとする。
以上のように、本発明に係る各実施形態の構成によれば、オイルの注油が完了した流体軸受装置を直接減圧下に置くことにより、オイルに含まれる気泡の有無またはその影響(液面高さ変化または面積変化)を直接観測することができる。
また、上記減圧チャンバ内にセットされた流体軸受装置のシャフトを軸方向下向きに押圧することで、シャフト下部に滞留している気泡が存在する場合でも正確に検出することができる。
さらに、流体軸受装置の液面を照明装置によって明るく照らしながら開放端側の状態を撮影することにより、オイルの液面面積や漏れ出し量等を画像の2値化処理によって容易に計測でき、液面の変化を自動判定することが可能となる。
[他の実施形態]
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0043】
(A)
上記実施形態では、減圧チャンバ21内に、1つ流体軸受装置10aまたは流体軸受装置10bをセットして検査を行う例を挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
例えば、複数の流体軸受装置の気泡存在の検査を一度に行うために、図15(a)および図15(b)に示すような、減圧チャンバ用治具51,52を用いて検査を行ってもよい。
具体的には、セットすると下側に配置される減圧チャンバ用治具51の本体部51aの中央部分近傍に形成された土台部51bに形成された軸受挿入穴51dに10個の流体軸受装置10a,10bをセットする。そして、この減圧チャンバ用治具51の上部に、減圧チャンバ用治具52の本体部52aに形成された窪み部52b内に形成された開口52cから流体軸受装置10a,10bが見えるように、減圧チャンバ用治具52を装着する。このとき、両減圧チャンバ用治具51,52の間はゴムパッキン51cによって互いに密着した状態となる。このとき、減圧チャンバ用治具52側には、各流体軸受装置10a,10bのシャフト11a,11bの上端に当接する押圧部材52dが設けられている。この押圧部材52dは、図16(b)に示すように、減圧チャンバ用治具52の側面から突出するアームの先端部分に設けられており、シャフト11a,11bを軸方向下向きに押圧する。そして、上記実施形態1,3において説明した撮影装置25が、開口52cに沿って移動しながら各流体軸受装置10a,10bの開放端側を撮影することで、一度に10個の流体軸受装置10a,10bの気泡検査を行うことができる。
【0044】
なお、撮影装置25による各流体軸受装置10a,10bの開放端側の撮影は、撮影装置25を移動させるのではなく、流体軸受装置10a,10bをセットした減圧チャンバ用治具51,52側を移動させるようにしてもよい。
また、押圧部材としては、図16(a)に示すように、減圧チャンバ用治具52の内部側面から伸ばす以外に、図16(b)に示すように、減圧チャンバ用治具52の天井面に取り付けられた押圧部材52dであってもよい。この場合には、軸受部分の直上に押圧部材52dを配置することができるため、オイル18a,18bの液面全体における変化を検出することができる点でより好ましい。
(B)
上記実施形態1〜3では、減圧チャンバ21のカバー部21aの内面側に押圧バネ26を取り付けて、シャフト11a,11bを軸方向下向きに押圧しながら検査を行う例を挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
例えば、シャフトを押圧するための押圧バネを有していない気泡検査装置であってもよい。
ただし、シャフトの下部に存在するオイルに気泡が隠れるように存在している場合には、流体軸受装置を減圧条件下において気泡を膨張させてもシャフトを浮き上がらせるだけでオイルの液面の面積や高さ等は変化しない。このため、シャフトの下方に存在するオイルに存在する気泡まで正確に検出するためには、上記実施形態1〜3のように、シャフトの上端を軸方向下向きに押圧するための押圧バネを設けることがより好ましい。
【0045】
(C)
上記実施形態1,3では、オイル18a,18b内の気泡の存在の有無を判定する際に、画像処理部として機能する制御ユニット30を用いた例を挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
例えば、流体軸受装置の開放端側に、オイルの液面高さ等を直接検出するセンサ等を配置して、気泡存在の有無を検出してもよい。
また、画像処理部やセンサ等の装置によることなく、人間が目視でオイル液面の変化を確認して気泡存在の有無を検出してもよい。
(D)
上記実施形態1,3では、オイル18a,18b内の気泡の存在の有無を判定する際に、画像処理部として機能する制御ユニット30が、取得した画像に含まれるオイル18a,18bに相当する部分に沿って検査枠42を設定し、オイル18a,18bの液面の変化を検出する例を挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
例えば、検査枠を使用せずに、オイルに相当する部分の平面視における変化を検出して、気泡の存在の有無の検査を行ってもよい。
【0046】
(E)
上記実施形態1,3では、減圧前後におけるオイル18a,18bの液面の変化を検出する際に、撮影装置25に含まれる照明装置によって流体軸受装置10a,10bの開放端側を明るく照らす例を挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
例えば、照明装置を用いることなく、目視や画像撮影後の画像処理によって、オイルの液面の変化を検出してもよい。
ただし、オイルの液面に照射された光はその表面で反射して白く光るために液面の変化を認識し易くなるという点を考慮すれば、上記実施形態1,3のように照明装置によってオイルの液面を照らしながらオイルの液面の変化を検出することがより好ましい。
(F)
上記実施形態1〜3では、第1基準物理量となるオイルの液面の面積や高さ等を検出する際の条件となる第1の気圧を、大気圧とした例を挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
例えば、10〜30Torr程度を第1の気圧とし、この条件下において第1基準物理量となるオイルの液面の面積や高さ等を検出するようにしてもよい。
【0047】
ただし、大気圧を第1の気圧とした場合には減圧部による減圧処理を1回で済ませられる一方、この場合には、減圧処理を2回にわたって行う必要が生じ、処理工程が増えてしまう。このため、気泡検査の各工程をより簡略化するという観点では、上記実施形態1〜3のように、大気圧において第1基準物理量となるオイルの液面の面積や高さ等を検出することがより好ましい。
(G)
上記実施形態1〜3では、第2基準物理量となるオイルの液面の面積等を検出する際の条件となる第2の気圧を300Torrとした例を挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
例えば、100〜500Torrの範囲内であれば、第2の気圧は、300Torrでなくてもよい。
ただし、オイル中に含まれる気泡を検出可能な適度な大きさまで膨張させるための適度な圧力としては、上記実施形態のように300Torr程度とすることがより好ましい。
(H)
上記実施形態1,3では、図4(a)および図9(a)に示すように、減圧前には、平面視において流体軸受装置10a,10bの開放端側に、オイル18a,18bが全く存在しない例を挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
【0048】
例えば、減圧前の状態において、図4(a)および図9(a)に示すドーナツ状の部分の約1/3くらいの範囲にオイル18a,18bが漏れている状態であってもよい。
この場合でも、減圧前の状態と減圧後の状態とを比較して、流体軸受装置の開放端側から見た平面視におけるオイルの液面面積や漏れ出し量等が増加したことを検出して気泡存在の有無を判定することができる。
(I)
上記実施形態1〜3では、検査を行う際に、流体軸受装置10a,10bに含まれるシャフト11a,11bの上端面を軸方向下向きに押圧する押圧部として、押圧バネ26を用いた例を挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
例えば、押圧部として、図15(b)に示す押圧部材52dや、図16(a)に示すように減圧チャンバ用治具52の内部側面から伸びるアームの先端に取り付けられた押圧部材52d、図16(b)に示すように減圧チャンバ用治具52の天井面に取り付けられた略J字形の押圧部材57a等のように、板バネやゴム等のような他の弾性部材を用いることもできる。
(J)
上記実施形態2では、オイル18b内の気泡の存在を検査するために、オイル18bの液面の高さの変化を、非接触段差測定部23の焦点がオイル18bの表面に合う位置まで非接触段差測定部23を移動させることによって検出する例を挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
【0049】
例えば、非接触段差測定部23の位置を固定したままとし、減圧チャンバ21が載置された基台を、非接触段差測定部23の焦点が合う位置まで移動させることにより、液面高さの変化を検出してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0050】
本発明の気泡検査装置は、流体軸受装置の潤滑流体に含まれる気泡を高精度に検出することで信頼性を向上させることができるという効果を奏することから、PC用途に限らず車載用や携帯用途に使用されるスピンドルモータに搭載される流体軸受装置に対して広く適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明の一実施形態に係る気泡検査装置の外観を示す斜視図。
【図2】図1の気泡検査装置による気泡含有の検査対象となる流体軸受装置を示す側断面図。
【図3】(a),(b)は、図2の流体軸受装置を減圧条件下におく前後におけるオイルの状態を示す側断面図。
【図4】(a),(b)は、図2の流体軸受装置を減圧条件下におく前後におけるオイルの液面面積の変化を流体軸受装置の開放端側となる上方から観察した平面図。
【図5】図1の気泡検査装置による気泡検査方法の処理の流れを示すフローチャート。
【図6】本発明の他の実施形態において気泡含有の検査対象となる流体軸受装置を示す側断面図。
【図7】(a),(b)は、図5の流体軸受装置を減圧条件下におく前後におけるオイルの状態を示す側断面図。
【図8】(a),(b)は、図5の流体軸受装置を減圧条件下におく前後におけるオイルの液面高さの変化を流体軸受装置の横から観察した側面図。
【図9】図7(a)等に示す気泡検査装置による気泡検査方法の処理の流れを示すフローチャート。
【図10】(a),(b)は、本発明のさらに他の実施形態において図5の流体軸受装置を減圧条件下におく前後におけるオイルの状態を示す側断面図。
【図11】(a),(b)は、図5の流体軸受装置を減圧条件下におく前後におけるオイルの漏れ出し量の変化を流体軸受装置の開放端側となる上方から観察した平面図。
【図12】図10(a)等に示す気泡検査装置による気泡検査方法の処理の流れを示すフローチャート。
【図13】図1の気泡検査装置による画像処理手順に従って表示される画像処理画面を示す図。
【図14】図1の気泡検査装置による画像処理手順に従って表示される画像処理画面を示す図。
【図15】(a),(b)は、本発明のさらに他の実施形態において用いられる減圧チャンバの治具の構成を示す平面図。
【図16】(a),(b)は、本発明のさらに他の実施形態に係る気泡検査装置に含まれる押圧部の例を示す側断面図。
【符号の説明】
【0052】
10a,10b 流体軸受装置
11a,11b シャフト
12a,12b スリーブ
13a シールキャップ
14a,14b スラストプレート
15b フランジ
18a,18b オイル(潤滑流体)
20a,20b,20c 気泡検査装置
21 減圧チャンバ(筐体)
21a カバー部(透明なカバー部材を含む)
21b ケース部
21c 減圧開口
22 真空ポンプ(減圧部)
23 非接触段差測定部
25 撮影装置(CCDカメラ、照明装置)
26 押圧バネ(押圧部、弾性部材)
30 制御ユニット(処理部、画像処理部)
40 画像処理画面
41 画像表示部
42 検査枠
51 減圧チャンバ用治具
51a 本体部
51b 土台部
51c ゴムパッキン
51d 軸受挿入穴
52 減圧チャンバ用治具
52a 本体部
52b 窪み部
52c 開口
52d 押圧部材(押圧部)
60 バルブ(ソレノイドバルブ)
61 圧力センサ
62 大気圧もしくは第1の気圧

【出願人】 【識別番号】000005821
【氏名又は名称】松下電器産業株式会社
【出願日】 平成17年12月15日(2005.12.15)
【代理人】 【識別番号】110000202
【氏名又は名称】新樹グローバル・アイピー特許業務法人


【公開番号】 特開2007−162877(P2007−162877A)
【公開日】 平成19年6月28日(2007.6.28)
【出願番号】 特願2005−362317(P2005−362317)