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【発明の名称】 グリス供給装置
【発明者】 【氏名】浦田 雅彦
【氏名】西村 浩一
【課題】グリスを収容したカートリッジの初期異常と使用途中の異常の検出と報知。

【解決手段】ポンプに装着されたグリス収容カートリッジの初期重量wintを計測し、基準重量Wintと比較し、誤差が適正範囲であるか判断し(S1/2)、S3またはS10へ進む。適正ならポンプ起動可能状態とし、ポンプ起動信号が出力されたら、重量wc1を計測する(S3〜S5)。ポンプ2を1サイクル動作させた後、重量wc2を計測し、減少重量Δwを計算する(S6/S7)。減少重量Δwをグリス基準供給重量ΔWと比較し、差が適正範囲内ならばS5へ戻る。不適正ならポンプ起動を禁止状態に戻す(S9)。S10では、S2またはS8における不適正の内容をディスプレイ上に表示する。ブザー10を鳴らして処理を終了する(S11)。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
グリスを収容したカートリッジが装着され、該カートリッジに収容されたグリスを給脂対象へ供給するポンプと、
該ポンプの出力を制御する制御装置とを備え、
該制御装置は、前記ポンプを間欠的に動作させ、各動作サイクル毎に、前記カートリッジから所定容積のグリスを吸引して前記給脂対象へ供給するグリス給脂装置において、
前記ポンプに装着されたカートリッジの重量を測定する重量測定手段と、
カートリッジの適正な初期重量を表わすカートリッジ基準重量を記憶する第1の記憶手段と、
前記重量測定手段によって計測された前記カートリッジの重量を、前記第1の記憶手段に記憶された前記カートリッジ基準重量と比較し、前記カートリッジに収容されたグリス量が適切であるか否か判断する第1の判断手段と、
該第1の判断手段による判断結果を報知する手段を備えていることを特徴とする、グリス供給装置。
【請求項2】
前記所定容積のグリスの持つ重量に対応するグリス供給基準重量を記憶する第2の記憶手段と、
前記所定容積のグリスの供給が行われる1回の動作サイクルの前後の、前記ポンプの各休止期間中に、前記重量測定手段によって計測された前記カートリッジの重量に基づいて、該1回の動作サイクルによるグリス供給量を算出する算出手段と、
該算出手段によって算出された、該1回の動作サイクルによるグリス供給量を、前記第2の記憶手段に記憶されたグリス供給基準重量とを比較することにより、前記1回の動作サイクルによるグリス供給量が適正であったか否か判断する第2の判断手段と、
前記第2の判断手段による判断結果を報知する手段を備えていることを特徴とする、請求項1に記載のグリス供給装置。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、産業機械において所要箇所へのグリスの適用(給脂)に用いられるグリス供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
周知のように、産業機械においては、各種の機械要素(例えば歯車、軸受等)へのグリスの適用(給脂)が必要とされており、そのためのグリス供給を自動的に行うグリス供給装置も知られている。例えば、鋳型に潤滑剤(グリス)の供給を行う場合に、供給量を計量して投入することも知られている(下記特許文献1参照)。また、給脂対象箇所が複数存在する場合に、各給脂対象箇所毎において排出グリス量を監視する手法も知られている(下記特許文献2参照)。
【0003】
【特許文献1】特開平6−39512号公報
【特許文献2】特開2003−83351号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、これら公知技術においては、使用しているグリスの種類が適正なものか使用開始時に知ることができない。特に、一定量のグリスを収容したカートリッジをポンプに装着して使用するタイプのものでは、カートリッジへの充填量の不足、収容しているグリス種類、品質に異常がないか知る手段がなく、不便であった。
【0005】
そこで、本発明は、グリスを収容したカートリッジをポンプに装着して使用するタイプの給脂装置を改良し、グリス充填量、種類、品質等の異常を高い確率で知ることができるようにすることを基本的な目的とする。更に、本発明は、ポンプの間欠動作により供給されるグリスの供給量を、1回の動作サイクルの前後のグリス残量変化重量でチェックできる機能も加えることで、供給途中における装置の異常、グリス残量不足等を知ることができるようにすることを併せて企図している。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、グリスを収容したカートリッジが装着され、該カートリッジに収容されたグリスを給脂対象へ供給するポンプと、該ポンプの出力を制御する制御装置とを備え、該制御装置は、前記ポンプを間欠的に動作させ、各動作サイクル毎に、前記カートリッジから所定容積のグリスを吸引して前記給脂対象へ供給するグリス給脂装置に適用される。
【0007】
本発明の基本的な特徴は、上記グリス給脂装置に、前記ポンプに装着されたカートリッジの重量を測定する重量測定手段と、カートリッジの適正な初期重量を表わすカートリッジ基準重量を記憶する第1の記憶手段と、前記重量測定手段によって計測された前記カートリッジの重量を、前記第1の記憶手段に記憶された前記カートリッジ基準重量と比較し、前記カートリッジに収容されたグリス量が適切であるか否か判断する第1の判断手段と、該第1の判断手段による判断結果を報知する手段とを具備させたことである。
【0008】
ここで、グリス給脂装置は、前記所定容積のグリスの持つ重量に対応するグリス供給基準重量を記憶する第2の記憶手段と、前記所定容積のグリスの供給が行われる1回の動作サイクルの前後の、前記ポンプの各休止期間中に、前記重量測定手段によって計測された前記カートリッジの重量に基づいて、該1回の動作サイクルによるグリス供給量を算出する算出手段と、該算出手段によって算出された、該1回の動作サイクルによるグリス供給量を、前記第2の記憶手段に記憶されたグリス供給基準重量とを比較することにより、前記1回の動作サイクルによるグリス供給量が適正であったか否か判断する第2の判断手段と、前記第2の判断手段による判断結果を報知する手段を更に具備していることが好ましい。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、グリス給脂装置のポンプに装着したカートリッジの充填量、種類、品質等の異常を高い確率で知ることができる。従って、作業者が誤って種類の違うグリスを収容したカートリッジ、収容量の不足(例えば使用済み)したカートリッジ等を使用しようとした時や、カートリッジが不良品(充填容積不足、比重異常等)であることに起因するトラブルを未然に防ぐことができる。また、各動作サイクルの前後のグリス残量変化重量のチェックにより、供給途中における装置の異常、グリス残量不足等を知るようにすることも可能である。従って、カートリッジ使用タイプのグリス給脂装置の利便性が高まる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
図1は、本発明の1つの実施形態に係るグリス給脂装置を含むシステムの全体構成の概略を記したブロック図である。符号1は、グリス給脂装置の各部を制御する制御装置で、周知の態様でCPU、メモリ、各種インターフェイス(I/F)等が装備されている。この制御装置1には、例えばパーソナルコンピュータ、あるいは、数値制御装置などを利用することができる。制御装置1には、ポンプ2、ディスプレイ9、ブザー10の他に、図示は省略したがマニュアル操作部(キーボード、操作パネル、マウス等)が接続されている。
ポンプ2には、カートリッジ装着部3が取付けられている。カートリッジ装着部3には、所定のサイズと構造を有するカートリッジ4が装着できるようになっている。カートリッジ装着部3の下部には、重量センサ5が設けられており、カートリッジ4はカートリッジ装着部3に装着し、ポンプ2の吸引部6を、カートリッジ4の底部近くに設けた吸出し口に接続した状態で、カートリッジ4の底面が重量センサ5上に載置され、カートリッジ4全体の重量が、重量センサ5にかかるようになっている。そのために、吸引部6は、その根元側(ポンプ2側)で自身の全重量を支えており、カートリッジ4の吸出し口に接続した状態で、カートリッジ4に対して及ぼす力は無視できる程小さくなっている。
【0011】
ポンプ2自体は周知のもので、制御装置1からの指令に従って、出力が制御される。出力の制御には、起動、停止、並びに動作時の供給力(吸引/吐出の能力)の制御が含まれる。符号7は、グリスを給脂箇所付近まで送る給送配管で、給脂ノズル8を介してグリスを給脂箇所に滴下する。給脂箇所が複数存在する場合は、分岐管等を用いてそれら給脂箇所への近傍まで給送し、各給脂箇所毎に設けられた給脂ノズルを介してグリスが各給脂箇所に滴下される。
【0012】
通常の運転モードにおいて、ポンプ2の動作は間欠的であり、各動作サイクル毎に所定の容積のグリスがカートリッジ4から吸引され、給送配管7へ送り出される。そのために、本実施形態では、各動作サイクルにおける起動から停止までのポンプ2の出力(供給電力)の推移パターンは予め制御装置1のメモリに記憶されており、「ポンプ起動信号」が出力される毎にこの推移パターンに従った動作サイクルが実行される。ここで、「ポンプ起動信号」は、給脂箇所を持つ機械(図示省略)の運転量(運転時間、運転回数等)が一定量に到達する毎に、制御装置1で受けることができる。
【0013】
また、これとは別に、マニュアル操作で強制的な1サイクル動作を行えるようにしても良い。なお、機械の運転量とは無関係に、タイマを用いて「定期的」(例えば48時間毎)にポンプ起動信号を出力することもあり得る。但し、ポンプ2の起動は、次に述べるように、制御装置1内に設定されたフラグF1の値がF1=1である時のみ許容され、フラグF1の状態では禁止されている。
【0014】
さて、本実施形態では上記システムにおいて、制御装置1を使って図2に示した処理を実行する。処理は、カートリッジ4をカートリッジ装着部3に装着し、吸引部6がカートリッジ4に接続された状態で、作業者がマニュアル操作で「カートリッジ装着完了」を表わす指令を入力することで開始される。なお、この処理のためのプログラム、パラメータ、フラグF1の初期値(F1=0)は、制御装置1のメモリに記憶されている。記憶されるパラメータには、カートリッジ4の適正な初期重量を表わす「カートリッジ基準重量Wint」とその許容偏差δ1、1動作サイクル分の適正なグリス供給重量を表わす「グリス供給基準重量」ΔWとその許容偏差δ2のデータが含まれている。各ステップの要点は下記の通りである。
【0015】
●ステップS1;重量センサ5の出力を用いてカートリッジ4(グリス収容)の初期重量wintを計測する。
●ステップS2;初期重量wintをカートリッジ基準重量Wintと比較し、‖wint−Wint‖<δ1であるか否かを判断する。イエス(適正と判断)であればステップS3へ進み、ノー(適正でないと判断)であればステップS10へ進む。
●ステップS3;フラグF1をF=1に反転させる。これにより、ポンプ起動可能状態となる。
●ステップS4;ポンプ起動信号待ち。ポンプ起動信号の出力タイミングについては上述の通りである。
●ステップS5;ポンプ起動信号が出力されたら、重量センサ5の出力を用いて動作サイクル直前の重量wc1を計測する。
●ステップS6;ポンプ2を起動し、前述の出力推移パターンに従って、1動作サイクル分の運転を行う。これにより、所定容積(但し、誤差があり得る)のグリスがカートリッジ4から吸引され、給送配管7に送り出され、1バッチ分の給脂が実行される。
●ステップS7;重量センサ5の出力を用いて動作サイクル直後の重量wc2を計測し、減少重量(即ち、当該動作サイクルで供給されたグリス重量)Δw=wc1−wc2を計算する。
●ステップS8;減少重量Δwをグリス基準供給重量ΔWと比較し、‖Δw−ΔW‖<δ2であるか否かを判断する。イエス(適正と判断)であればステップS4へ戻る。ノー(適正でないと判断)であればステップS9へ進む。
【0016】
●ステップS9;フラグF1をF=0(初期値)に戻す。これにより、ポンプ起動は禁止された状態となる。
●ステップS10;ステップS2、あるいは、ステップS9における「不適正」の内容(例えばwintの計測値、Wintに対する過不足値、Δwの計測値、ΔWに対するの過不足値等)をディスプレイ9上に表示する。なお、ステップS2、ステップS8における判断結果が「適正」である場合にも、その内容を表示するようにしても良い。
●ステップS11;ブザー(警報器)10を鳴らして処理を終了する。
以上説明したように、上述の処理により、カートリッジへの充填量(容積)の不足、収容しているグリスの比重の異常(種類、品質の異常)は、カートリッジの装着直後の段階に高確率で発見され、作業者に報知される。また、ポンプの異常や配管部の異常、カートリッジの破損、漏れ、グリス使い切り等により、正常な間欠給脂が行われなくなった場合にも、直ちにそれが検出され、作業者に報知される。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の1つの実施形態に係るグリス給脂装置を含むシステムの全体構成の概略を記したブロック図である。
【図2】実施形態について、制御装置内で実行される処理の概略を記したフローチャートである。
【符号の説明】
【0018】
1 制御装置
2 ポンプ
3 カートリッジ装着部
4 カートリッジ
5 重量センサ
6 吸引部
7 給送配管
8 給脂ノズル
9 ディスプレイ
10 ブザー(警報器)
【出願人】 【識別番号】390008235
【氏名又は名称】ファナック株式会社
【出願日】 平成17年11月25日(2005.11.25)
【代理人】 【識別番号】100082304
【弁理士】
【氏名又は名称】竹本 松司

【識別番号】100088351
【弁理士】
【氏名又は名称】杉山 秀雄

【識別番号】100093425
【弁理士】
【氏名又は名称】湯田 浩一

【識別番号】100102495
【弁理士】
【氏名又は名称】魚住 高博
【公開番号】 特開2007−146929(P2007−146929A)
【公開日】 平成19年6月14日(2007.6.14)
【出願番号】 特願2005−340628(P2005−340628)