トップ :: F 機械工学 照明 加熱 武器 爆破 :: F16 機械要素または単位;機械または装置の効果的機能を生じ維持するための一般的手段

【発明の名称】 給油装置
【発明者】 【氏名】藤木 正明
【課題】印刷機を構成する各駆動系に潤滑油を給油し回収する給油ポンプを備えた給油装置において、印刷機を構成する各駆動系に、摩耗粉や水分を除去して清浄された潤滑油のみを安全に給油でき、しかも、潤滑油としての性能を十分に発揮できる給油装置を提供すること。

【解決手段】潤滑油を所要の温度に制御する油温調整手段1と、油温調整手段1の吐出側に配設され、潤滑後の汚れた潤滑油を濾過させる第1フィルタ2と、第1フィルタ2より下流側に配設され、該第1フィルタ2で濾過された潤滑油をさらに濾過させる第2フィルタ4とを備えて給油装置を構成する。このように構成することで、第2フィルタ4を通過して浄化された適温の潤滑油Aのみを印刷機Mを構成する各駆動系に給油することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷機を構成する各駆動系に潤滑油を給油し回収する給油ポンプを備えた給油装置であって、
潤滑油を所要の温度に制御する油温調整手段と、
前記油温調整手段の吐出側に配設され、潤滑後の汚れた潤滑油を濾過させる第1フィルタと、
前記第1フィルタより下流側に配設され、該第1フィルタで濾過された潤滑油をさらに濾過させる第2フィルタとを備えてなり、
前記第2フィルタを通過して浄化された適温の潤滑油のみを、前記印刷機を構成する各駆動系に給油させることを特徴とする給油装置。
【請求項2】
前記油温調整手段は、ポンプ機能を備えてなることを特徴する請求項1記載の給油装置。
【請求項3】
前記給油ポンプは、前記第1フィルタと前記第2フィルタとの間に配設されてなることを特徴とする請求項1または2記載の給油装置。
【請求項4】
前記給油ポンプと前記第2フィルタとの間の油圧に基づいて作動可能に配設されると共に、上昇した該油圧を油温調整手段の吸込側または吐出側に逃がすリリーフ弁が設けられていることを特徴とする請求項3記載の給油装置。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷機を構成する各駆動系に潤滑油を給油し回収するオイル循環式の給油装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から印刷機は、オイル循環式の給油装置を用いて、圧胴や版胴などの胴ギア部、インキングのギア部、カム、レバー等、各駆動系の構成部に潤滑油を給油している。
【0003】
この給油装置の先行例として、例えば、オイルバスに貯えられた潤滑油を、まず、給油ポンプより下流側に設けた第1フィルタに取り込んで濾過し、給油ポンプから吐出した潤滑油を分流器によって二方に分流する。そして、一方に分流した潤滑油を印刷機に供給すると共に、他方に分流した潤滑油を、第2フィルタに取り込んで摩耗粉や水分を吸収し、第1フィルタの下流側に送り込む、としたものがある。このように、不純物を濾過するフィルタを2個所に配設して浄化を向上させている(例えば特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2005−90649(第2頁、図3)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記した従来の給油装置は、オイルバスで受けた潤滑後のオイルを、第1フィルタによって濾過した後、二方に分流し、その一方を印刷機に供給する構成になっているため、結果的には、第1フィルタによって濾過できない摩耗粉や水分を含んだ潤滑油を、圧胴や版胴などの胴ギア部、インキングのギア部、カム、レバー等、各駆動系の構成部に供給することになり、構成部材の磨耗やキズの発生等が生じやすいといった問題点を有していた。
【0005】
また、駆動開始直後の印刷機と、駆動から数時間を経た印刷機では、当然のことながら後者の印刷機の方が、印刷機を構成する各駆動系の温度がフリクションによって上昇している。より具体的には、軸やその軸と係合する軸受け等では、軸の回転による摩擦で各構成部材が熱膨張して、作動不良・故障の発生原因となる。
【0006】
潤滑油は周知の通り、油温が高いと動粘性係数は低くなり、その逆に油温が低いと動粘性係数は高くなるが、潤滑油としての性能を十分に発揮させるためには、所謂適温の領域がある。しかしながら、先行した従来の給油装置は、油温のコントロールについて考慮していないために、最適な油温による潤滑油の給油ができない。
【0007】
そこで本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、印刷機を構成する各駆動系に、摩耗粉や水分を除去して清浄された潤滑油のみを安全に給油でき、しかも、潤滑油としての性能を十分に発揮できる給油装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記技術課題を達成するために、本発明にかかる給油装置は、下記の技術的手段を講じた。
【0009】
すなわち、請求項1にかかる給油装置は、印刷機を構成する各駆動系に潤滑油を給油し回収する給油ポンプを備えた給油装置であって、潤滑油を所要の温度に制御する油温調整手段と、前記油温調整手段の吐出側に配設され、潤滑後の汚れた潤滑油を濾過させる第1フィルタと、前記第1フィルタより下流側に配設され、該第1フィルタで濾過された潤滑油をさらに濾過させる第2フィルタとを備えてなり、前記第2フィルタを通過して浄化された適温の潤滑油のみを、前記印刷機を構成する各駆動系に給油させることを特徴とする。
【0010】
請求項2にかかる給油装置は、請求項1において、前記油温調整手段は、ポンプ機能を備えてなることを特徴する。
【0011】
請求項3にかかる給油装置は、請求項1または2において、前記給油ポンプは、前記第1フィルタと前記第2フィルタとの間に配設されてなることを特徴とする。
【0012】
請求項4にかかる給油装置は、請求項3において、前記給油ポンプと前記第2フィルタとの間の油圧に基づいて作動可能に配設されると共に、上昇した該油圧を油温調整手段の吸込側または吐出側に逃がすリリーフ弁が設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、第1フィルタを経て第2フィルタを通過した清浄で適温の潤滑油のみを、印刷機を構成する各駆動系に給油させる構成にしたから、特に軸や軸受けの熱膨張変化がなく、良好な状態に保つことができる。加えて、圧胴や版胴などの胴ギア部、インキングのギア部、カム、レバー等、各駆動系の構成部材に、磨耗やキズの発生等が生じにくい、極めて好適な給油装置を提供できる。
【0014】
しかも、油温調整手段を設けて、潤滑油としての性能を十分に発揮できる温度に調整可能になったから、常にベストな条件で給油を行うことができる。例えば、印刷機の始動時には加温した給油を、始動から数時間を経た稼動時には冷却した給油を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
次に、本発明にかかる給油装置の実施の形態を説明する。
【0016】
本実施の形態にかかる給油装置は、圧胴や版胴などの胴ギア部、インキングのギア部、カム、レバー等、各駆動系の各部に連通された油道部(図示せず)と、オイルバス(潤滑後の潤滑油貯め)とを備えた印刷機に用いられるもので、浄化された潤滑油を上記した油道部を介して各部へ給油し、オイルバスへ貯められた汚れた潤滑油を回収・浄化し、再度、その浄化された潤滑油を油道部へ送り込む、といった一連のオイル循環サイクルが構築されるように構成されている。図中、符号1は、油温調整手段を、符号2は、第1フィルタを、符号4は、第2フィルタを夫々示す。
【0017】
本実施の形態にかかる給油装置は、図1に示すように、油温調整手段1と、第1フィルタ2と、給油ポンプ3と、第2フィルタ4と、リリーフ弁5とを備えて構成される。
【0018】
油温調整手段1は、ヒータと、そのヒータ(図示せず)を制御して潤滑油Aを所望の温度にする制御部(図示せず)と、ポンプ機能を備えて構成され、潤滑油Aの吸い込んで所望の温度に加温(または冷却)し、その加温された潤滑油Aを吐出するようになっている。この油温調整手段1は、その吸込側と吐出側が、配管を介してオイルバスm1と接続されている。
【0019】
第1フィルタ2は、油分中の水分や微細な磨耗粉以外のその他の汚れを濾過する目詰まり検知付のサクションフィルタであり、その上流側が配管を介して油温調整手段1の吐出側とオイルバスm1との間に配管中途部に接続され、下流側が配管を介して後述する給油ポンプ3の吸込側に接続されている。
【0020】
給油ポンプ3は、潤滑油Aの吸い込み及び吐出をするもので、上記したように、給油ポンプ3の吸込側が配管を介して第1フィルタ2の下流側に接続され、給油ポンプ3の吐出側が配管を介して第2フィルタ4の上流側に接続されている。また、給油ポンプ3の吐出側と第2フィルタ4の上流側との間には、その間の油圧を検出する第1圧力計6が配設されている。
【0021】
第2フィルタ4は、油分中の水分の除去や微細な磨耗粉を除去するラインフィルタであり、上記したように、その上流側が配管を介して給油ポンプ3の吐出側に接続されている。
【0022】
また、第2フィルタ4より下流側には、潤滑油Aの流れを検出する検流器7と油圧を検出する第2圧力計8とが、配管を介して接続されており、さらに、第2圧力計8より下流側は、配管を介して、印刷機Mの各駆動系の各部に連通された油道部と接続されて各部の潤滑を行い、潤滑後の汚れた潤滑油Aはオイルバスm1に貯えられる。
【0023】
なお、第2フィルタ4を挟んで上流側と下流側に配設された第1圧力計6と第2圧力計8との差に異常が生じたり、検流器7が潤滑油Aの流れの異常を検出した際、(すなわち、第2フィルタ4の目詰まり、第2フィルタ4より下流側の配管内の目詰まりや、各駆動系の各部に連通された油道部内の目詰まりによって生じる)に、黄色または赤色の回転灯や、ブザー等で報知(警報報知)するようになっている。また、第1フィルタ2の目詰まりや配管詰まりの場合にも、同様に警報報知するようになっている。
【0024】
リリーフ弁5は、給油ポンプ3と第2フィルタ4との中途部と、油温調整手段1の吸込側に接続された配管の中途部とを結ぶように配設されており、給油ポンプ3と第2フィルタ4との間の油圧が、所定圧力以上になった場合に、油温調整手段1の吸込側に接続された配管の中途部へその圧力を逃がすようになっている。
【0025】
次に、以上のように構成された本実施の形態にかかる給油装置の一連の動作を説明する。
【0026】
まず、油温調整手段1に備えられたポンプ機能と、給油ポンプ3の作動によって、オイルバスm1へ貯められた汚れた潤滑油Aを吸い込み、油温調整手段1によって、予め設定された温度に加温(または冷却)されて、油温調整手段1の吐出側から吐出する。
【0027】
油温調整手段1の吐出側から吐出した汚れた潤滑油Aは、第1フィルタ2で、油分中の水分や微細な磨耗粉を除いたその他の汚れを濾過する。このとき、第1フィルタ2の目詰まりや、配管詰まりが仮に生じても、第1フィルタ2が検知して異常を報知する。
【0028】
第1フィルタ2を通過した潤滑油Aは、給油ポンプ3を通過して、第2フィルタ4へ流入する。なお、第2フィルタ4側へ流す潤滑油Aの量を調整する場合は、給油ポンプ3の吐出量を調整したり、別途絞り弁を、給油ポンプ3と第2フィルタ4との間に設けて、その絞り弁を所要量開閉したりすることによって可能である。
【0029】
第2フィルタ4へ流入した潤滑油Aに対し、第2フィルタ4は、第1フィルタ2で除去できなかった油分中の水分や微細な磨耗粉を除去して潤滑油Aを浄化し、印刷機Mの各駆動系の各部に連通された油道部に流入して各部の潤滑に供する。
【0030】
このとき、第2フィルタ4の目詰まり、第2フィルタ4より下流側の配管内の目詰まりや、各駆動系の各部に連通された油道部内の目詰まりが仮に生じても、第1圧力計6、第2圧力計8や、検流器7が検知して異常を報知する。また、仮に、給油ポンプ3と第2フィルタ4との間の油圧が、所定圧力以上になったとしても、リリーフ弁5によって、油温調整手段1の吸込側に接続された配管の中途部へその圧力を逃がす。
【0031】
次いで、各部の潤滑に供された潤滑油Aは、各油道部や配管(印刷機Mの)を通ってオイルバスm1に集められ、そして、上記した一連のサイクルを繰り返す。
【0032】
このように本実施の形態にかかる給油装置は、第1フィルタ2を経て第2フィルタ4を通過した清浄で適温の潤滑油Aのみを、印刷機Mの各駆動系に給油するようになっている。したがって、圧胴や版胴などの胴ギア部、インキングのギア部、カム、レバー等、各駆動系の構成部材に、磨耗やキズの発生等が生じにくく、しかも、潤滑油Aが好適な粘性状態を維持しているために、常にベストな条件で給油を行うことができる。
【0033】
以上、本実施の形態にかかる給油装置を説明したが、上述した実施の形態は、本発明の好適な実施の形態の一例を示すものであり、本発明はそれに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲内において、種々変形実施が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本実施の形態にかかる給油装置の油圧回路図である。
【符号の説明】
【0035】
1 油温調整手段
2 第1フィルタ
3 給油ポンプ
4 第2フィルタ
5 リリーフ弁
6 第1圧力計
7 検流器
8 第2圧力計
M 印刷機
m1 オイルバス
A 潤滑油
【出願人】 【識別番号】502033733
【氏名又は名称】アキヤマインターナショナル株式会社
【出願日】 平成17年6月27日(2005.6.27)
【代理人】 【識別番号】100081455
【弁理士】
【氏名又は名称】橘 哲男
【公開番号】 特開2007−2965(P2007−2965A)
【公開日】 平成19年1月11日(2007.1.11)
【出願番号】 特願2005−186420(P2005−186420)