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【発明の名称】 熱サイクル装置及び複合熱サイクル発電装置
【発明者】 【氏名】正田 登

【要約】 【課題】圧縮機、第1タービン、第1及び第2の熱交換器、第1ポンプ、及び膨張器を含む高効率の熱サイクル装置及びそれを用いた複合熱サイクル発電装置を提供する。

【解決手段】圧縮機Cで圧縮された作動ガスFgが、第1タービンSを駆動した後、第1の熱交換器7の放熱側71を通り冷却され、その後に第1ポンプPにより昇圧されて高圧作動液Feとされる。高圧作動液Feは膨張器Kにおいて膨張され蒸発し作動ガスFgとされる。作動ガスFgが、第2の熱交換器の受熱側82を通り加熱された後、圧縮機Cへ導入される。第2の熱交換器の放熱側81は、冷却機械20の放熱部又は熱機械30の廃熱の放熱部により構成される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧縮機、第1タービン、第1及び第2の熱交換器、第1ポンプ、及び膨張器を含む熱サイクル装置であって、圧縮機(C)で圧縮された作動ガスが、第1タービン(S)を駆動した後、第1の熱交換器(7)の放熱側(71)を通り冷却され、その後に第1ポンプ(P)により昇圧されて高圧作動液(Fe)とされ、この高圧作動液が膨張器(K、V)において膨張され蒸発し作動ガス(Fg)とされ、この作動ガスが、第2の熱交換器の吸熱側(82)を通り加熱された後、圧縮機へ導入され、第2の熱交換器の放熱側(81)が低温室又は廃熱の放熱部により構成される熱サイクル装置。
【請求項2】
前記膨張器は反動水車(K)であり、高圧作動液(Fe)が反動水車(K)を駆動し仕事(W)を出力すると共に膨張され蒸発し作動ガス(Fg)とされ、該作動ガスが、第1の熱交換器の受熱側(72)及び第2の熱交換器の受熱側(82)を通り加熱された後、圧縮機Cへ導入され、請求項1の熱サイクル装置。
【請求項3】
前記膨張器は膨張弁(V)であり、前記高圧作動液が膨張弁(V)を通り膨張され蒸発し作動ガスとされる請求項1の熱サイクル装置。
【請求項4】
前記前記低温室は、冷房室、冷蔵庫又は製氷室である請求項1の熱サイクル装置。
【請求項5】
前記熱機械(30)の廃熱の放熱部は、前記圧縮機、第1タービン、第1発電機(G)及び圧縮機駆動モータの潤滑冷却系統の廃熱を放熱するための放熱部である請求項1の熱サイクル装置。
【請求項6】
請求項1の熱サイクル装置を用いる発電プラントであって、第1タービン(S)により駆動される第1発電機(G)、外部へ電力を供給するための出力端(11)、並びに第1発電機(G)、出力端(11)、圧縮機の駆動モータ(M)、第1ポンプの駆動モータ(M)を電気的に結合する導線(12)を含む発電プラント。
【請求項7】
圧縮機、第1及び第2の熱交換器、及び膨張器を含む冷凍機(J)、並びにボイラ、第2タービン、復水器、第2タービンにより駆動される第3の発電機、及び第2ポンプを含む蒸気機関(A)から成る複合熱サイクル発電装置であって、
圧縮機(C)で圧縮された作動ガスが、第1の熱交換器(7)の放熱側(71)を通り冷却されて作動液(Fe)とされ、該作動液が膨張弁(V)において膨張され作動ガス(Fg)とされ、該作動ガスが、第2の熱交換器(Y)の受熱側(82)を通り加熱された後、圧縮機へ導入され、
ボイラ(B)で発生された蒸気(Eg)が第2タービン(S)を駆動した後、復水器(Y)の放熱側(81)を通り冷却凝縮され、第2ポンプ(P)で昇圧されて高圧復水(Ee)となり、高圧復水(Ee)が第1の熱交換器の受熱側(73)を通り加熱された後にボイラ(B)へ循環され、復水器(Y)の受熱側は第2の熱交換器の受熱側(82)により構成される複合熱サイクル発電装置。
【請求項8】
前記第1の熱交換器(7)は、給湯のための受熱部(74)を備える請求項7の複合熱サイクル発電装置。
【請求項9】
圧縮機、第1タービン、第1の熱交換器、第1ポンプ、膨張器、及び第1発電機を含む熱サイクル装置(J)、並びにボイラ、第2タービン、第3発電機、復水器及び第2ポンプを含む蒸気機関(A)を含む複合熱サイクル発電装置であって、
圧縮機(C)で圧縮された作動ガスが、第1タービン(S)を駆動した後、第1の熱交換器(7)の放熱側(71)を通り冷却され、その後に第1ポンプ(P)により昇圧されて高圧作動液(Fe)とされ、該高圧作動液が膨張器(K、V)において膨張され蒸発し作動ガス(Fg)とされ、圧縮機へ導入され、
ボイラ(B)で発生された蒸気(Eg)が第2タービン(S)を駆動した後、復水器(Y)で冷却され、第2ポンプ(P)で昇圧されて高圧復水(Ee)となってボイラ(B)へ循環され、
前記作動ガス(Fg)が、第1の熱交換器の受熱側(72)及び復水器(Y)の受熱側(82)を通り加熱された後、圧縮機Cへ導入され、第1発電機(G)が第1タービンにより駆動され、第3発電機(G)が第2タービンにより駆動される複合熱サイクル発電装置。
【請求項10】
前記高圧復水(Ee)はボイラ(B)へ循環される前に、第1の熱交換器の第2の受熱側(73)又は復水器(Y)の受熱側(83)において加熱される請求項8の複合熱サイクル発電装置。
【請求項11】
第1圧縮機、第1タービン、第1タービンにより駆動される発電機、第1及び第2の熱交換器、第1ポンプ、膨張器、第1発電機を含む熱サイクル装置、並びに第2圧縮機、燃焼器、第2タービン及び第3発電機を含む開放型ガスタービンを含む複合熱サイクル発電装置であって、
第1圧縮機(C)で圧縮された作動ガス(Fg)が、第1タービン(S)を駆動した後、第1の熱交換器(7)の放熱側(71)を通り冷却され、その後に第1ポンプ(P)により昇圧されて高圧作動液(Fe)とされ、この高圧作動液が膨張器(V)において膨張され蒸発し作動ガス(Fg)とされ、この作動ガス(Fg)が、第1の熱交換器の受熱側(72)及び第2の熱交換器の吸熱側(82)を通り加熱された後、圧縮機(C)へ循環され、
入口空気(34)が第2圧縮機(C)により圧縮されて燃焼器(35)へ供給され、燃焼器において圧縮空気に燃料が混合され点火燃焼され燃焼ガスを生じ、生じた燃焼ガスは第2タービン(S)を駆動した後、第2の熱交換器の放熱側(81)を通り降温され排気(36)として大気へ放出され、第1発電機(G)及び第3発電機(G)が、第1タービン(S)及び第2タービン(S)によりそれぞれ駆動される複合熱サイクル発電装置。
【請求項12】
請求項9乃至11のいずれか1項の複合熱サイクル発電装置であって、外部へ電力を供給するための出力端(11)、並びに第1発電機、第3発電機、及び出力端(11)を電気的に結合する導線(12)を更に含む複合熱サイクル発電装置。
【請求項13】
請求項9乃至12のいずれか1項の複合熱サイクル発電装置により発生された電力を500km以上離間した電力消費地へ送電線により送電することを特徴とする電力供給システム。
【請求項14】
圧縮機、第1タービン、第1及び第2の熱交換器、第1ポンプ、及び膨張器を含む第1の熱サイクル装置、並びに第2の圧縮機、凝縮器、第2の膨脹器、及び蒸発器を含む第2の熱サイクル装置を含む複合熱サイクル装置であって、
圧縮機(C)で圧縮された作動ガスが、第1タービン(S)を駆動した後、第1の熱交換器(7)の放熱側(71)を通り冷却され、その後に第1ポンプ(P)により昇圧されて高圧作動液(Fe)とされ、該高圧作動液が膨張器(V)において膨張され蒸発し作動ガス(Fg)とされ、該作動ガスが、第2の熱交換器(8)の吸熱側(82)を通り加熱された後、圧縮機へ循環され、
第2の圧縮機(C)で圧縮された冷媒ガス(8g)が凝縮器(81)を通り冷却され冷媒液(8e)とされ、該冷媒液が第2の膨張器(V)において膨張され蒸発器(9)の吸熱側(92)において蒸発すると共に蒸発器(9)の放熱側(91)の熱を吸収して冷媒ガス(8g)とされ、該冷媒ガスが第2の圧縮機(C)へ循環され、第2の熱交換器の放熱側(81)により前記凝縮器が構成される複合熱サイクル装置。
【請求項15】
前記蒸発器(9)の放熱側(91)によりガス液化装置の冷熱源を構成する請求項14の複合熱サイクル装置。
【請求項16】
圧縮機、第1タービン、該第1タービンにより駆動される発電機、第1及び第2の熱交換器、第1ポンプ、及び膨張器を含む熱サイクル装置と、電気ボイラを含む発電熱出力設備であって、
圧縮機(C)で圧縮された作動ガス(Fg)が、第1タービン(S)を駆動した後、第1の熱交換器(7)の放熱側(71)を通り冷却液化され、その後に第1ポンプ(P)により昇圧されて高圧作動液(Fe)とされ、該高圧作動液が膨張器(V)において膨張され蒸発し作動ガス(Fg)とされ、該作動ガスが、第2の熱交換器の吸熱側(82)を通り加熱された後、圧縮機へ循環され、
熱出力用の水(U)が第1の熱交換器(7)の受熱側(73)において加熱された後に前記電気ボイラ(15)により所定の温度まで加熱され、前記第1タービンにより駆動される発電機(G)により発生された電力が前記電気ボイラ(15)に供給される発電熱出力設備。
【請求項17】
前記作動ガスが、第2の熱交換器の吸熱側(82)を通る前に第1の熱交換器(7)の受熱側(72)を通り加熱され、第2の熱交換器の放熱側(81)が低温室又は廃熱の放熱部により構成される請求項16の発電熱出力設備。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、圧縮機、膨張器、発電機及び熱交換器を含む熱サイクル装置及びそれを利用した複合熱サイクル発電装置に関する。特に本発明は、圧縮機で圧縮された作動ガスが、第1タービンを駆動した後、熱交換器の放熱側を通り冷却凝縮され、その後にポンプにより昇圧されて高圧作動液とされ、この高圧作動液が膨張器において膨張され蒸発し作動ガスとされ、作動ガスが熱交換器の受熱側を通り加熱(熱クロス)された後、圧縮機へ導入される熱サイクル装置、及び熱サイクル装置をランキンサイクル装置と結合した複合熱サイクル発電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
熱量を作動流体を介し仕事や電力に高効率で変換する多数の熱サイクル装置の発明がなされてきた。例えば、特開昭54−27640号公報は、高温排気ガスの熱エネルギーを回収する発電設備を開示する。この発電設備は、高温排ガス流路の上流側に廃熱ボイラ、下流側に流体予熱器をそれぞれ配置する。特開昭61−229905号公報又はGB2,174,148Aは、二種類の非混和性の流体を用いる第1サイクルと冷媒流体を用いる第2サイクルが組み合わせた機械的動力動力発生方法を開示する。また、特開平2−40007号公報は、逆ランキンサイクルとランキンサイクルを組み合わせた動力システムを開示する。
【特許文献1】特開昭54−27640号公報
【特許文献2】特開昭61−229905号公報
【特許文献3】GB2,174,148A
【特許文献4】特開平2−40007号公報
【0003】
最初に熱サイクル装置の熱効率について考察する。動作物質が、1サイクルを行う、即ち変化を連続して行った後に再び元の状態に戻る間に、温度Tの高熱源から熱量Qを受取り、温度Tの低熱源へ熱量Qを捨て、外部へ仕事L(熱量換算値とする)を行うとき、
=Q+L…(式1)の関係がある。外部へ仕事Lを与える場合が熱機関であり、仕事Lを外部から作動流体に与える場合が冷凍機又は熱ポンプ(heat pump)である。熱機関の場合は、高熱源から受取る熱量Qが少なく外部へ与える仕事Lが大きいことが望ましい。従って、
η=L/Q…(式2)を熱効率という。上式によりLを書き換えると、
η=(Q−Q)/Q…(式3)である。可逆カルノーサイクルを行う熱機関の熱効率ηを熱力学的温度T°K及びT°Kで表すと、
η=(T−T)/T=1−(T/T)…(式4)である。
【0004】
一般的に低温物体から熱を高温物体に移す装置を冷凍機と称する。冷凍機は一般的に物を冷やす目的の装置であるが、熱を低温側物体から高温物体へ移動させ、高温物体を加熱する装置は、「熱ポンプ(heat pump)」と呼ばれる。「熱ポンプ」は、冷凍機の使用方法を変更した場合の名称であると言える。熱ポンプは、例えば、冷暖房用空調機の暖房運転の場合に使用される。低温物体から吸収した熱量Q、高温物体へ与える熱量Q、熱ポンプを作動させるため外部からした仕事量L(熱量換算値)の間には、
=Q+L…(式5)の関係がある。
【0005】
熱ポンプは、同一仕事量に対して、与える熱量Qが大きい程、その経済性が高いといえる。そこで
ε=Q/L…(式6)を熱ポンプの成績係数又は動作係数という。上記式5から
L=Q−Q…(式7)であるから、
ε=Q/(Q−Q)…(式8)である。低熱源の絶対温度をT°K、高熱源の絶対温度をT°Kとすると、この両熱源の間に作用する熱ポンプで、最も成績係数の大きいものは、逆カルノーサイクルを行う熱ポンプであり、その成績係数εは、
ε=T/(T−T)…(式9)である。逆カルノーサイクルは、2つの等温変化及び2つの断熱変化であり、同一の高熱源と低熱源の間に作用するすべてのサイクルの中で熱効率が最大である。
【0006】
図1は、従来の冷凍機Jから成る熱サイクル装置の構成要素を示す配置図であり、圧縮機Cで昇圧された冷媒ガスFgが熱交換器(凝縮器)7で流体Zに熱Qを与えて凝縮された後、膨張弁Vで膨張され、温度低下すると共に熱交換器8で流体Zから熱Qを吸収して流体Zを冷却し、その後、圧縮機Cへ戻され、循環される。図1の冷凍機において、熱計算の検討を、冷媒がアンモニアである冷凍機について行う。簡略化のため機械的損失がないとする。冷媒の温度の1例は、圧縮機C出口で110°C(T)、凝縮器7の出口で、38°C(T)、蒸発器V出口で、−10°C(T)である。それ故、この場合の逆カルノーサイクルでの冷凍機の成績係数(理論的に最大の成績係数)εを求めると、εは、
ε=T/(T−T)
=[273.15+(−10)]/[38−(−10)]≒5.4…(式10)である。図1の冷凍機において、圧縮機Cの入力L(仕事)を1とした場合、ヒートポンプの成績係数εは、冷凍機成績係数+1であるから、
ε=5.4+1=6.4…(式11)である。
【0007】
図2は、蒸気タービン(熱機関A)から成る熱サイクル装置の構成要素を示す配置図であり、ボイラBで発生された高温高圧蒸気FgがタービンSへ供給されタービンを回転させて動力(仕事)Wを発生し、タービンの排気口と連通される復水器Yにおいて蒸気が冷却され復水Eeとされ、復水EeはポンプPで昇圧されボイラBへ供給される。図2の熱サイクル装置において、復水器Yの廃熱Qを全く利用しない場合、タービンSで発生される仕事W(熱量換算値)は、
W=Q−Q…(式12)であり、タービンSの熱効率ηは、
η=(Q−Q)/Q…(式13)である。ここで、Qは、タービン入口側の作動流体の保有熱量であり、Qは、タービン出口側の作動流体よりの出熱量であり復水器Yから排出される廃熱に等しい。
【0008】
図2の熱サイクル装置の熱効率η、即ち、熱サイクル装置の作動流体の入熱量(保有熱量)Qに対するタービンSで発生される仕事Wの割合ηは、
η=W/Q…(式14)、このWを式12のW=Q−Qで置換すると、
η=(Q−Q)/Q…(式16)であり、これは、前記ηと同じであるから、
η=η…(式17)ということができる。
【0009】
図2の熱サイクル装置において、復水器Yの廃熱Qの一部又は全部Qを給水予熱器Yによりボイラ入口の復水へ移動させる、即ち、
0≦Q≦Q…(式18)とすると共に、ボイラの入熱量を復水器Yから移動される熱量Qと同じだけ減少させると、ボイラの入熱量は、Q−Qとなる。タービンS入口の蒸気Fgの保有する熱量は、
ボイラの入熱量(Q−Q)+(Yによる移動熱量Q)=Q…(式19)となる。タービンS出口の蒸気Fgの保有する熱量はQであると考えることができるから、タービンSで発生される動力W(熱量換算値)は、
W=Q−Q…(式20)となる。それ故、タービンSの熱効率ηは、
η=(Q−Q)/Q…(式21)であり、復水器Yの廃熱Qを利用しない場合と同じである。
【0010】
図2の熱サイクル装置において、復水器Yの廃熱Qの一部又は全部Qを給水予熱器Yによりボイラ入口の復水へ移動させると共に、ボイラの入熱量を復水器Yから移動される熱量Qと同じだけ減少させる、即ち(Q−Q)とする場合、図2の熱サイクル装置の熱効率η、即ち熱サイクル装置の入熱量に対するタービンSで発生される仕事Wの割合ηは、仕事Wが
W=Q−Q…(式22)であり、熱サイクル装置の入熱量が(Q−Q)であるから、
η=W/(Q−Q)=(Q−Q)/(Q−Q)…(式23)である。
【0011】
図2の熱サイクル装置において、復水器Yの廃熱Qを全く利用しない、即ち、
=0の場合は、上述式23は、
η=(Q−Q)/Q…(式24)となる。
=がQの一部即ち、0≦Q≦Q…(式18)の場合、上記式23は、
η=(Q−Q)/(Q−Q)…(式25)であるから、式24の場合に比べ、式25の場合は、分母が−Qだけ小さい分だけηの値は、大きくなる。また、復水器の廃熱の全部QをポンプPの前又は後の復水へ移動させる場合は、Q=Q…(式26)であるから、
η=1…(式27)となる。
【0012】
図2の熱サイクル装置において、0≦Q≦Q…(式18)の場合の熱サイクル装置の熱効率ηは、上記の通り、
η=(Q−Q)/(Q−Q)…(式28)であり、分母及び分子をQで割ると、
η=[(Q−Q)/Q]/[(Q−Q)/Q]…(式29)となる。これを変形すると、
η=[(Q−Q)/Q]/[1−(Q/Q)]…(式30)であり、これに
η=(Q−Q)/Q…(式21)を挿入すると、
η=η/(1−Q/Q)…(式32)となる。本発明は、廃熱等の利用価値の低い熱をも熱ポンプを用いて熱サイクル装置内に取り入れ、熱サイクル装置内のタービンにより動力出力を取り出す。本発明の熱サイクル装置は、タービンにより高効率で動力を取り出すため、熱クロスを用いる。復水器Yの廃熱Qを全部利用する場合、式27によりη=1である。
【0013】
上記式32からわかるように、タービンSの熱効率η、及びポンプPの前又は後の復水へ復水器Yの廃熱から移動させる熱量Qが決まれば、熱サイクル装置の熱効率ηが決まる。Qが大きくなりQに近づくに伴い、式30の分母の(1−Q/Q)は小さくなるから、ηは、大きくなる。冷凍サイクル以外の熱サイクルでは、熱クロス率Q/Qを大きくすることは困難である。熱移動(熱クロス)させる為の高熱源と低熱源の温度差を大きくとれないからである。また冷凍サイクル以外の熱サイクルでは式27を実現できない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明は、圧縮機、膨張器、並びに第1及び第2の熱交換器を含む高効率の熱サイクル装置及びそれを用いた複合熱サイクル発電装置を提供することを目的とする。本発明は、熱サイクル装置の第2の熱交換器の放熱側を空調すべき室、冷蔵庫、製氷室等の低温室又は各種の廃熱の放熱部とすることができる熱サイクル装置を提供することを目的とする。本発明は、廃熱又は自然界の熱を作動流体へ移動させ利用する高効率熱サイクル装置を提供することを目的とする。本発明は、また蒸気タービンと冷凍機を組合せた複合熱サイクル装置の熱効率を向上させることを目的とする。本発明は、また蒸気タービン出口蒸気の廃熱を蒸気タービン入口の作動流体へ移動(熱クロス)させ熱サイクル発電装置の熱効率を向上させることを目的とする。本発明は、熱サイクル装置の受熱側(吸熱側)を冷却機械の放熱側と組合せることにより、LNG、LPG等のガスを液化できる程度の極めて低い温度の冷熱源を形成可能な熱サイクル装置を提供することを目的とする。
【0015】
本発明の別の目的は、ランキンサイクルの低温廃熱を冷凍機により高温熱出力に変換することにある。本発明の更に別の目的は、ランキンサイクルにおけるタービン出口に設置した凝縮器(冷却器)の冷熱源として冷凍機の冷凍出力を用いると共に、冷凍機をヒートポンプとして作用させ、凝縮器の放出熱を昇温し外部へ熱出力として供給可能な熱サイクル装置を提供することである。本発明は、冷凍サイクルを用いて熱クロスQ/Qを大きくし、
η=η/(1−Q/Q)…(式32)において、η=1…(式27)を実現するか、又はηをできるだけ1に近づけることである。本発明において、冷凍サイクルは、冷媒を圧縮機で圧縮する冷凍サイクルにおいて凝縮器の前にタービンを配置したものである。本発明のその他の目的は、以下の説明において明らかにされる。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明の熱サイクル装置(基本サイクル装置)は、圧縮機、第1タービン、第1及び第2の熱交換器、第1ポンプ、及び膨張器を含む。圧縮機(C)で圧縮された作動ガスが、第1タービン(S)を駆動した後、第1の熱交換器(7)の放熱側(71)を通り冷却され、その後に第1ポンプ(P)により昇圧されて高圧作動液(Fe)とされ、該高圧作動液が膨張器(K、V)において膨張され蒸発し作動ガス(Fg)とされ、該作動ガスが、第2の熱交換器の受熱側(82)を通り加熱された後、圧縮機へ導入され、第2の熱交換器の放熱側(81)は、冷却機械(20)の放熱部又は熱機械(30)の廃熱の放熱部により構成される。
【0017】
本発明の熱サイクル装置は、以下の特徴を含むことができる。(1)前記膨張器は反動水車(K)であり、高圧作動液(Fe)が反動水車(K)を駆動し仕事(W)を出力すると共に膨張され蒸発し作動ガス(Fg)とされる。(2)作動ガスが、第1の熱交換器の受熱側(72)及び第2の熱交換器の受熱側(82)を通り加熱された後、圧縮機Cへ導入される。(3)前記冷却機械は、空調機、冷蔵庫又は製氷機のためのものである。(4)前記膨張器は、膨張弁(V)であり、前記高圧作動液が膨張弁(V)を通り膨張され蒸発し作動ガスとされる。(5)前記熱機械(30)の廃熱の放熱部は、前記圧縮機、第1タービン、第1発電機(G)及び圧縮機駆動モータの潤滑冷却系統の廃熱を放熱するための放熱部である。(6)第1タービン(S)により駆動される第1発電機(G)外部へ電力を供給するための出力端(11)、並びに第1発電機(G)、出力端(11)、圧縮機の駆動モータ(M)、第1ポンプの駆動モータ(M)を電気的に結合する導線(12)を含む。
【0018】
本発明の複合熱サイクル装置は、圧縮機、第1及び第2の熱交換器、及び膨張器を含む冷凍機(J)、並びにボイラ、第2タービン、復水器、第2タービンにより駆動される第3の発電機(G)及び第2ポンプを含む蒸気機関(A)から成る。圧縮機(C)で圧縮された作動ガスが、第1の熱交換器(7)の放熱側(71)を通り冷却されて作動液(Fe)とされ、該作動液が膨張弁(V)において膨張され作動ガス(Fg)とされ、該作動ガスが、第2の熱交換器の受熱側(82)を通り加熱された後、圧縮機へ導入され、ボイラ(B)で発生された蒸気(Eg)が第2タービン(S)を駆動した後、復水器(Y)の放熱側(81)を通り冷却され、第2ポンプ(P)で昇圧されて高圧復水(Ee)となり、高圧復水(Ee)が第1の熱交換器の受熱側(73)を通り加熱された後にボイラ(B)へ循環され、復水器(Y)の受熱側は第2の熱交換器の受熱側(82)により構成される。前記第1の熱交換器は、給湯のための受熱部(74)を備えることができる。
【0019】
本発明の複合熱サイクル装置は、圧縮機、第1タービン、第1の熱交換器、第1ポンプ、膨張器、及び第1発電機(G)を含む熱サイクル装置(基本サイクル装置)、並びにボイラ、第2タービン、第3発電機(G)、復水器及び第2ポンプを含む蒸気機関を含む。圧縮機(C)で圧縮された作動ガスが、第1タービン(S)を駆動した後、第1の熱交換器(7)の放熱側(71)を通り冷却され、その後に第1ポンプ(P)により昇圧されて高圧作動液(Fe)とされ、該高圧作動液が膨張器(K、V)において膨張され蒸発し作動ガス(Fg)とされ、圧縮機へ導入され、ボイラ(B)で発生された蒸気(Eg)が第2タービン(S)を駆動した後、復水器(Y)で冷却され、第2ポンプ(P)で昇圧されて高圧復水(Ee)となってボイラ(B)へ循環され、前記作動ガスが、第1の熱交換器の受熱側(72)及び復水器(Y)の受熱側(82)を通り加熱された後、圧縮機Cへ導入される。
【0020】
本発明の熱サイクル装置は、以下の特徴を含むことができる。(1)前記高圧復水(Ee)はボイラ(B)へ循環される前に、第1の熱交換器の第2の受熱側(73)又は復水器(Y)の受熱側(83)において加熱される。(2)前記第1発電機(G)、蒸気機関の第2タービン(S)から出力される仕事(W)を電力に変換する第3発電機(G)、外部へ電力を供給するための出力端(11)、並びに第1発電機、第3発電機、及び出力端(11)とを電気的に結合する導線を含む。本発明の電力供給システムは、複合熱サイクル発電装置により発生された電力を500km以上離間した電力消費地へ送電線により送電することを特徴とする。
【0021】
本発明の複合熱サイクル装置は、圧縮機、第1タービン、第1及び第2の熱交換器、第1ポンプ、及び膨張器を含む第1の熱サイクル装置と、第2の圧縮機、凝縮器、第2の膨脹器、及び蒸発器を含む第2の熱サイクル装置とを結合したものである。この複合熱サイクル装置において、圧縮機(C)で圧縮された作動ガスが、第1タービン(S)を駆動した後、第1の熱交換器(7)の放熱側(71)を通り冷却され、その後に第1ポンプ(P)により昇圧されて高圧作動液(Fe)とされ、この高圧作動液が膨張器(V)において膨張され蒸発し作動ガス(Fg)とされ、この作動ガスが、第2の熱交換器(8)の吸熱側(82)を通り加熱された後、圧縮機へ循環される。第2の圧縮機(C)で圧縮された冷媒ガス(8g)が凝縮器(81)を通り冷却され冷媒液(8e)とされ、この冷媒液が第2の膨張器(V)において膨張され蒸発器(9)の吸熱側(92)において蒸発すると共に蒸発器(9)の放熱側(91)の熱を吸収して冷媒ガス(8g)とされ、この冷媒ガスが第2の圧縮機(C)へ循環される。第2の熱交換器の放熱側(81)が凝縮器を構成する。蒸発器(9)の放熱側(91)によりガス液化装置の冷熱源を構成することができる。
【0022】
本発明の複合熱サイクル発電装置は、第1圧縮機、第1タービン、第1タービンにより駆動される発電機、第1及び第2の熱交換器、第1ポンプ、膨張器、第1発電機を含む熱サイクル装置、並びに第2圧縮機、燃焼器、第2タービン及び第3発電機を含む開放型ガスタービンを含む。この発電装置において、第1圧縮機(C)で圧縮された作動ガス(Fg)が、第1タービン(S)を駆動した後、第1の熱交換器(7)の放熱側(71)を通り冷却され、その後に第1ポンプ(P)により昇圧されて高圧作動液(Fe)とされ、この高圧作動液が膨張器(V)において膨張され蒸発し作動ガス(Fg)とされ、この作動ガス(Fg)が、第1の熱交換器の受熱側(72)及び第2の熱交換器の吸熱側(82)を通り加熱された後、圧縮機(C)へ循環される。入口空気(34)が第2圧縮機(C)により圧縮されて燃焼器(35)へ供給され、燃焼器において圧縮空気に燃料が混合され点火燃焼され燃焼ガスを生じ、生じた燃焼ガスは第2タービン(S)を駆動した後、第2の熱交換器の放熱側(81)を通り降温され排気(36)として大気へ放出され、第1発電機(G)及び第3発電機(G)が、第1タービン(S)及び第2タービン(S)によりそれぞれ駆動される。
【0023】
本発明の発電熱出力設備は、圧縮機、第1タービン、この第1タービンにより駆動される発電機、第1及び第2の熱交換器、第1ポンプ、及び膨張器を含む熱サイクル装置と、電気ボイラを含む。この発電熱出力設備において、圧縮機(C)で圧縮された作動ガス(Fg)が、第1タービン(S)を駆動した後、第1の熱交換器(7)の放熱側(71)を通り冷却され、その後に第1ポンプ(P)により昇圧されて高圧作動液(Fe)とされ、この高圧作動液が膨張器(V)において膨張され蒸発し作動ガス(Fg)とされ、この作動ガスが、第2の熱交換器の吸熱側(82)を通り加熱された後、圧縮機へ循環される。熱出力用の水(U)が第1の熱交換器(7)の受熱側(73)において加熱された後に前記電気ボイラ(15)により所定の温度まで加熱され、前記第1タービンにより駆動される発電機(G)により発生された電力が前記電気ボイラ(15)に供給される。好ましくは、前記作動ガスが、第2の熱交換器の吸熱側(82)を通る前に第1の熱交換器(7)の受熱側(72)を通り加熱され、第2の熱交換器の放熱側(81)が低温室又は廃熱の放熱部により構成される。
【発明の実施の形態】
【0024】
図3は、本発明の第1実施例の熱サイクル装置Jの配置図であり、この熱サイクル装置Jは、圧縮機C及び凝縮器を有する冷凍機にタービンSその他を挿入した構成を有する。圧縮機Cで圧縮された作動流体(冷媒ガスFg)は、タービンSを駆動し仕事Wを出力した後、熱交換器7の放熱側71において冷却液化される。熱交換器7の出口に接続されるポンプPは、作動液Feを吸引し、タービンSの背圧を下げ、タービン出力Wを増大させると共に作動液Feの圧力を上昇させる。昇圧された作動液Feは、反動水車Kを駆動し仕事Wを出力すると共に、膨張弁の作用を行う反動水車Kにより膨張され蒸発し作動ガス(冷媒ガスFg)となる。作動ガスFgは、熱交換器7の受熱側72において加熱され、更に熱交換器8で加熱された後、圧縮機Cへ導入される。
【0025】
図3の熱サイクル装置Jにおいて、熱交換器7は、タービンSの排気(冷媒ガスFg)の熱を放出させ、水車K出口の作動ガスを加熱する作用を行う。タービンSから排出された冷媒ガスFgは、熱交換器7の放熱側71で冷却され凝縮液化しポンプPにより加圧される。熱交換器7の放熱側71は、タービンSから排出された冷媒ガスFgを冷却することによりタービンSの入口と出口の作動流体の温度差を大きくし、タービン出力Wを大きくする。タービンSの出口の作動流体からの廃熱Qは、反動水車Kの下流の作動流体に移動(熱クロス)される。ポンプPにより加圧され位置エネルギーを与えられた作動液Feは、反動水車Kにより位置エネルギーを回収され、同時に膨張しガス化される。この場合、図7に示すように、圧縮機動力が10,000kwの場合において、反動水車Kが回収する位置エネルギーは45kwである。それ故、圧縮機動力が10,000kw程度の規模の場合、反動水車Kを、図4の装置に示すように、比較的低コストの膨張弁Vとしても、変化する熱効率の影響は小さいということができる。
【0026】
図3の熱サイクル装置において、熱交換器7における放熱側71から受熱側72へ移動される熱量、即ちタービンS出口側の作動流体から圧縮機C入口側の作動流体へ移動(熱クロス)される熱量をQとし、熱交換器8における放熱側81(外部)から受熱側82への移動熱量をQとすると、熱サイクル装置の出力(タービンSの出力)Wは、
W=(L+Q)…(式33)となる。仕事Wを電力に変換する第1発電機Gは導線12を介して出力端11と電気結合される。
【0027】
図3の熱サイクル装置において、熱交換器8の放熱側81は、冷却機械20の放熱部又は熱機械の廃熱の放熱部により構成される。即ち、例えば、空調機、冷蔵庫、又は製氷機のいずれかである熱機械20は、冷媒圧縮機21、圧縮された冷媒を冷却するための熱交換器8の放熱側81からなる熱交換器、膨脹弁23及び吸熱部24を備え、吸熱部24が空調されるべき室、冷蔵室又は製氷室25内の温度を降下させる。熱交換器8の放熱側81は、図4の装置と同様に、熱機械30の廃熱の放熱部により構成され得る。
【0028】
図4は、本発明の第2実施例の熱サイクル装置Jの配置図であり、本発明の第1実施例の熱サイクル装置の水車Kを変形し単に膨張弁Vとすると共に温度圧力の例を示す配置図である。タービンSの排気が凝縮器(熱交換器7の放熱側71)において−10°C(T)の冷媒蒸気により、0°C(T)に冷却され、その後、圧力が4.39kgf/cmabsから15.04kgf/cmabsまでポンプPで昇圧され液化される。Tは、図4における凝縮器(熱交換器の放熱側71)の出口の冷媒温度である。ポンプPで昇圧された冷媒液は、膨張弁Vで膨張され、蒸発され、熱交換器7の受熱側72においてQの熱を受け−10°C(T)となる。タービンSの入口温度は、110°C(T)、凝縮器出口冷媒温度が0°C(T)であるから、カルノーサイクル上のタービン効率ηは、
η=(T−T)/T
=(110−0)/(273.15+110)≒0.28…(式34)
である。
【0029】
図4の熱サイクル装置において、熱交換器8の放熱側81は、熱機械30の廃熱の放熱部により構成される。即ち、熱機械30は、熱機械本体31、排ガスからの廃熱を放出するための熱交換器8の放熱側81からなる熱交換器、及び排ガス処理装置又は煙突33を有する。しかしながら、図4の熱サイクル装置において、熱交換器8の放熱側81は、図3の場合と同様に、冷却機械20の放熱部により構成することができる。
【0030】
図5は、本発明の第3実施例の熱サイクル装置Jの配置図である。図5の熱サイクル装置は、本発明の第1実施例(図3)の熱サイクル装置において、熱交換器8の放熱側81が、熱サイクル装置自体を構成する機器からの廃熱、例えば、圧縮機やタービンの冷却系統41の廃熱又は図示しない潤滑系統からの廃熱を放熱するのための放熱部に変更した構成を有する。圧縮機の冷却廃熱は、圧縮機の冷却油、潤滑油からの廃熱、圧縮機本体の冷却から生じる廃熱を含む。図5の実施例のその他の構成は、図3の第1実施例の熱サイクル装置と同様であり、重複説明を省略する。図5の実施例の熱サイクル装置は、装置を構成する機器よりの廃熱を熱交換器8で回収し、その回収分だけ熱サイクル装置への入熱量を減少させる。
【0031】
図6は、本発明の第4実施例の複合熱サイクル装置の配置図である。図6の複合熱サイクル装置は、圧縮機C、第1の熱交換器7、第2の熱交換器8及び膨張器Vを含む冷凍機(熱ポンプ)J、並びにボイラB、第2タービンS、復水器Y、第2タービンSにより駆動される第3の発電機G及び第2ポンプPを含む蒸気機関Aから成り、冷凍機Jの第2の熱交換器8が蒸気機関Aの復水器Yによって構成される。この複合熱サイクル装置において、圧縮機Cで圧縮された作動ガスFgが、第1の熱交換器7の放熱側71を通り冷却されて作動液Feとされ、この作動液が膨張弁Vにおいて膨張され低温作動ガスFgとされ、この低温作動ガスFgが、復水器Yの受熱側82を通り加熱された後、圧縮機Cへ導入される。
【0032】
図6の本発明の第4実施例の複合熱サイクル装置において、ボイラBで発生された蒸気Egが第2タービンSを駆動した後、復水器Yの放熱側81を通り冷却され、第2ポンプPで昇圧されて高圧復水Eeとなり、高圧復水Eeが第1の熱交換器の受熱側73を通り加熱された後にボイラBへ循環される。第1の熱交換器7は、給湯のための受熱部74を備え、例えば、80℃の温水Uを外部へ供給する。図6の複合熱サイクル装置は、本発明の第1実施例(図3)の熱サイクル装置の熱源としてランキンサイクルである蒸気機関Aの廃熱、即ち蒸気タービンSの復水器Yの廃熱を利用する。
【0033】
図7は、本発明の第5実施例の複合熱サイクル装置の配置図である。図7の複合熱サイクル装置は、圧縮機C、第1タービンS、第1の熱交換器7、第1ポンプP、水車K、及び第1発電機Gを含む冷凍機(熱ポンプ)J、並びにボイラB、第2タービンS、第3発電機G、復水器Y、及び第2ポンプPを含むランキンサイクル熱機関Aを含む。圧縮機Cで圧縮された作動ガスFgが、第1タービンSを駆動した後、第1の熱交換器7の放熱側71を通り冷却され、その後に第1ポンプPにより昇圧されて高圧作動液Feとされ、この高圧作動液が水車Kにおいて膨張され蒸発し作動ガスFgとされ、第1の熱交換器7の受熱側72及び復水器Yの受熱側82を通り加熱された後、圧縮機へ導入される。ボイラBで発生された蒸気Egが第2タービンSを駆動した後、復水器Yで冷却され、第2ポンプPで昇圧されて高圧復水EeとなってボイラBへ循環され。作動ガスFgは、第1の熱交換器の受熱側72及び復水器Yの受熱側82を通り加熱された後、圧縮機Cへ導入される。
【0034】
図6の複合熱サイクル装置において、熱ポンプJを休止した状態(熱機関の排出蒸気Egと復水Eeの間で直接的に熱交換させる)における熱機関の運転の1例は、蒸気温度(タービン入口)400°C、復水温度(タービン出口)60°Cであり、カルノーサイクル上の熱効率ηは、
η=(400−60)/(400+273.15)≒0.505…(式45)である。他方、蒸気温度を400°Cとし、図6のように熱ポンプJを作動させると、復水温度(タービン出口)は10°Cとなり、カルノーサイクル上の熱効率ηは、
η≒0.579…(式46)となった。これは、図6の複合熱サイクル装置において、熱ポンプJを作動させることにより、温度差が340°Cから390°Cへ拡大し、タービン本体の熱効率が
0.579−0.505=0.074…(式47)だけ上昇したことを示すものである。
【0035】
次に図6の熱サイクル装置の熱クロスについて考える。熱ポンプJを停止し熱クロスがないときの復水温度(タービン出口)及び給水温度(ボイラ入口)が共に10°Cであり、これが400°Cの蒸気になるには、10°Cの給水を100°Cにするための90単位の熱量、100°Cの復水を100°Cの蒸気にするたの539単位の熱量、並びに100°Cの蒸気を400°Cの蒸気に加熱するため蒸気の比熱を0.5として150単位の熱量が必要であるから、合計779単位の熱量が必要である。
【0036】
熱ポンプJを作動させ熱クロスを行う場合、復水温度(タービン出口)は10°C、ボイラ入口の給水温度は70°Cとなるから、熱クロスを行わない場合の10°Cと比較すると、温度を60°C上昇させる熱量、即ち60単位の熱量が少なくてすみ、これは60/779=0.077…(式48)となる。それ故、熱クロスにより入熱量を減少させることにより、図6の熱サイクル装置は、前述の
η=η/(1−Q/Q)…(式32)、即ち、
η/η=1/(1−Q/Q)…(式49)に基づくと、熱効率が
1÷(1−0.077)=1.08…(式50)となり、約8%向上する。
【0037】
次に図6の熱サイクル装置の熱クロスによる熱落差拡大を考える。熱ポンプJを停止し熱クロスがないときのタービンの熱効率ηは、
η=(400−10)/(400+273.15)=0.579…(式51)であり、上記熱効率上昇割合を乗じると、熱サイクル装置の熱効率は、0.625となる。
【0038】
図6の複合熱サイクル装置は、熱ポンプJの動力収支(ポンプの消費動力とタービンの発生仕事)が相殺するか又は幾分プラスであっても、ランキンサイクルに熱クロスを行うことにより熱効率を向上させ得る。またこれに伴ってボイラ容量を増加することは必要でない。例えば、従来、蒸気温度400°C、復水温度(タービン出口)60°C、ボイラ入口給水温度60°Cが、上記のように蒸気温度400°C、復水温度(タービン出口)10°C、ボイラ入口給水温度70°Cと変わり、ボイラ入口給水温度が10°C変わるだけであり、従って、ボイラ容量の増加は不要である。
【0039】
図7は熱ポンプJ及びランキンサイクル熱機関Aの複合熱サイクル装置の配置及び作動流体に出入りする熱量の1例を示す。図7の複合熱サイクル装置において、ボイラBにより蒸気に与えられる熱量は10000KW、タービンSの出力Wが3000KW(熱効率0.3)、タービンSの廃熱(復水器廃熱)が7000KWである。復水器Yで蒸気Egから冷媒Fgへ移動される熱量は7000KWである。
【0040】
図7の右方の熱ポンプJの各要素において、圧縮機Cの入力Lを1単位投入した(L=1)場合、タービンSの出力W、熱交換器7出口における熱クロスQ、熱交換器8における外部からの取入れ熱量Qは次の通りである。ヒートポンプの成績係数εは、冷凍機成績係数+1であるから、
ε=5.4+1=6.4…(式52)である。タービンSの出力Wは、
W=ε×η=6.4×0.28≒1.7…(式53)である。熱交換器7出口における熱クロス量Qは、
=6.4−1.7=4.7…(式54)である。熱交換器8における外部よりの熱吸収量Qは、
=冷凍機の成績係数−Q…(式55)であるから、
=5.4−4.7=0.7…(式56)である。
【0041】
図7の複合熱サイクル装置において、前記の通り復水器Yにおける移動熱量が7000KWであるとすると、吸熱量0.7を7000KWとする比例計算により、熱サイクル装置Jの各機器に出入りする熱量が得られる。即ち、図7において1単位が10000KWであるから、圧縮機Cの入力Lは、L=10000KW、タービンSの仕事W=17000KW、熱交換器7における熱クロスQ=47000KWである。ポンプPの消費動力Lは45KW、水車Kの発生動力Wは45KWである。
【0042】
図8は、本発明の第6実施例の複合熱サイクル装置の配置図である。図8の複合熱サイクル装置は、圧縮機C、第1タービンS、第1の熱交換器7、第1ポンプP、水車K、及び第1発電機Gを含む熱ポンプJ、並びにボイラB、第2タービンS、第3発電機G、復水器Y、及び第2ポンプPを含むランキンサイクル熱機関Aを含む。圧縮機Cで圧縮された作動ガスFgが、第1タービンSを駆動した後、第1の熱交換器7の放熱側71を通り冷却され、その後に第1ポンプPにより昇圧されて高圧作動液Feとされ、この高圧作動液が水車Kにおいて膨張され蒸発し作動ガスFgとされ、第1の熱交換器7の受熱側72及び復水器Yの受熱側82を通り加熱された後、圧縮機Cへ導入される。ボイラBで発生された蒸気Egが第2タービンSを駆動した後、復水器Yで冷却され、第2ポンプPで昇圧されて高圧復水Eeとなり、復水器Yの受熱側83を通り加熱されボイラBへ循環される。図8の複合熱サイクル装置は、それ自体熱クロスを行う熱機関Aにタービンを含む熱ポンプ(冷凍機J)を組合せ、冷凍機Jの冷凍出力により熱機関Aのタービン排気を冷却するものである。
【0043】
図9は、本発明の第7実施例の複合熱サイクル装置の配置図である。図9の複合熱サイクル装置は、第2タービンSの軸91と圧縮機Cの軸93が連結器92により連結され、第2タービンSの機械的出力により圧縮機Cが駆動される他は、図8の実施例と同様である。
【0044】
図7乃至図9の複合熱サイクル装置においては、ランキンサイクル熱機関Aの復水器Yが冷凍機又は熱サイクル装置Jにより冷却され、で第2タービンSの出口温度を低くすることができるので、高い熱効率のタービン出力を得ることができる。また、この複合熱サイクル装置は、海水なしで復水器Yを冷却することができるので、海岸から離間した燃料産出地域に設置することができる。図7乃至図9の複合熱サイクル装置によれば、発電効率を従来の火力発電所の1.9程度とすることができる。そのため、図7乃至図9の複合熱サイクル装置を使用する電力供給システムは、複合熱サイクル発電装置により発生された電力を500km以上離間した電力消費地へ送電線により送電することを可能とする。
【0045】
図10は、本発明の第8実施例の複合熱サイクル装置の配置図である。図10の複合熱サイクル装置は、圧縮機C、第1タービンS、第1及び第2の熱交換器7、8、第1ポンプP、及び膨張器Vを含む第1の熱サイクル装置と、第2の圧縮機C、凝縮器81、第2の膨脹器V、及び蒸発器92含む第2の熱サイクル装置とを結合して成る。図10の複合熱サイクル装置において、圧縮機Cで圧縮された作動ガスFgが、第1タービンSを駆動した後、第1の熱交換器7の放熱側71を通り冷却され、その後に第1ポンプPにより昇圧されて高圧作動液Feとされ、この高圧作動液が膨張器Vにおいて膨張され蒸発し作動ガスFgとされ、この作動ガスが、第1の熱交換器7の吸熱側72、及び第2の熱交換器8の吸熱側82を通り加熱された後、圧縮機Cへ循環される。
【0046】
また、第2の圧縮機Cで圧縮された冷媒ガス8gが、凝縮器81を通り冷却され冷媒液8eとされ、この冷媒液が第2の膨張器Vにおいて膨張され蒸発器9の吸熱側92において蒸発すると共に蒸発器9の放熱側91の熱を吸収して冷媒ガス8gとされ、この冷媒ガスが第2の圧縮機Cへ循環される。凝縮器81は、第2の熱交換器の放熱側81により構成される。図10の複合熱サイクル装置は、2つの冷凍サイクルを直列に配置した構造を有し、第2の熱サイクル装置の放熱側を第1の熱サイクル装置の吸熱側で冷却する故に、第2の熱サイクル装置の冷熱部、即ち、蒸発器9の放熱側91は、極めて低い温度とすることができる。従って、図10の複合熱サイクル装置の冷熱部は、例えば、LNG、LPG等を液化するためのガス液化装置の冷熱源とすることができる。
【0047】
図11は、本発明の第9実施例の複合熱サイクル装置である発電熱出力設備の配置図である。図11の発電熱出力設備は、圧縮機C、第1タービンS、第1タービンにより駆動される発電機G、第1及び第2の熱交換器7、8、第1ポンプP、及び膨張器Vを含む熱サイクル装置と、電気ボイラ15及び化石燃料ボイラ16を備える。図11の発電熱出力設備において、圧縮機Cで圧縮された作動ガスFgが、第1タービンSを駆動した後、第1の熱交換器7の放熱側71を通り冷却液化され、その後に第1ポンプPにより昇圧されて高圧作動液Feとされ、この高圧作動液が膨張器Vにおいて膨張され蒸発し作動ガスFgとされる。この作動ガスが、第1の熱交換器7の受熱側72及び第2の熱交換器の吸熱側82を通り加熱された後、圧縮機へ循環される。熱出力用の水Uが第1の熱交換器7の受熱側73において加熱された後、電気ボイラ15により所定の温度まで加熱され、必要個所へ供給される。電気ボイラ15へは、第1タービンSにより駆動される発電機Gにより発生された電力が供給される。第2の熱交換器8の放熱側81は、低温室又は廃熱の放熱部により構成されることができる。
【0048】
図12は、本発明の第10実施例の複合熱サイクル装置である複合熱サイクル発電装置の配置図である。図12の複合熱サイクル発電装置は、圧縮機C、第1タービンS、第1タービンにより駆動される発電機G、第1及び第2の熱交換器7、8、第1ポンプP、及び膨張器Vを含む熱サイクル装置Jと、第2圧縮機C、燃焼器35、第2タービンS、及び第3発電機含む開放型ガスタービン32を備える。図12の複合熱サイクル発電装置において、圧縮機Cで圧縮された作動ガスFgが、第1タービンSを駆動した後、第1の熱交換器7の放熱側71を通り冷却液化され、その後に第1ポンプPにより昇圧されて高圧作動液Feとされ、この高圧作動液が膨張器Vにおいて膨張され蒸発し作動ガスFgとされる。この作動ガスFgが、第1の熱交換器7の受熱側72及び第2の熱交換器の吸熱側82を通り加熱された後、圧縮機Cへ循環される。一方、入口空気34が第2圧縮機Cにより圧縮され、燃焼器35へ供給され、燃焼器35において燃料が混合され点火燃焼され、燃焼ガスを生じる。生じた燃焼ガスは、第2タービンSを駆動した後、第2の熱交換器の放熱側81を通り降温され排気36として大気へ放出される。第1タービンS及び第2タービンSによりそれぞれ駆動される第1発電機G及び第3発電機Gにより発生された電力が所望の個所へ供給される。
【0049】
図12の複合熱サイクル発電装置は、開放型ガスタービン32の排気熱を熱サイクル装置Jの入熱部(第2熱交換器の吸熱側82)へ入れ発電する。熱サイクル装置Jは、低温廃熱を利用することが可能である。従って、図12の熱サイクル発電装置は、開放型ガスタービンの利用温度範囲を低温側に広げると共に、開放型ガスタービンの熱落差を拡大することにより熱効率を向上させることができる。図12の複合熱サイクル発電装置は、冷却水源が不要であるので、砂漠地帯等に設置することができる。
【0050】
本発明により発電される電力は、従来の発電システムにおける熱エネルギーの無駄を伴わないものである故に、これを用いた電気ヒータ(電気ボイラ)より得られる熱出力(温水又は蒸気)は無駄を伴わないものである。本発明においては、ヒートポンプにより廃熱から回収して得られた熱を上記電気ボイラにより加熱するので、利用価値の高い高温熱出力を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】従来の冷凍機の構成要素を示す配置図。
【図2】従来のタービンを含む熱機関、即ちランキンサイクルを行う熱サイクル装置の基礎的な構成要素を示す配置図。
【図3】本発明の第1実施例の熱サイクル装置の配置図。
【図4】本発明の第2実施例の熱サイクル装置の配置図。
【図5】本発明の第3実施例の熱サイクル装置の配置図。
【図6】本発明の第4実施例の複合熱サイクル発電装置の配置図。
【図7】本発明の第5実施例の複合熱サイクル発電装置の配置図。
【図8】本発明の第6実施例の複合熱サイクル発電装置の配置図。
【図9】本発明の第7実施例の複合熱サイクル発電装置の配置図。
【図10】本発明の第8実施例の複合熱サイクル装置の配置図。
【図11】本発明の第9実施例の複合熱サイクル装置の配置図。
【図12】本発明の第10実施例の複合熱サイクル装置の配置図である。
【符号の説明】
【0052】
A:熱機関(ランキンサイクル)、B:ボイラ、C:圧縮機、ε:成績係数、η:熱サイクル装置の熱効率、η:タービン単体の熱効率、Eg:蒸気、Ee:水(給水、復水)、Fg:冷媒ガス、Fe:冷媒液、G、G、G:発電機、J:熱サイクル装置(冷凍機、熱ポンプ)、K:水車、L、L:仕事(入力)、N:燃料電池、M、M:モータ、P、P:ポンプ、Q、Q、Q、Q:熱量、S、S:タービン、U:水、V:膨張弁、W、W、W:仕事(出力)、Y:復水器、7、8:熱交換器、9:蒸発器、15:電気ボイラ、20:冷却機械、21:冷媒圧縮機、23:膨脹弁、24:吸熱部、25:室(冷蔵室、製氷室)、30:熱機械、31:熱機械本体、32:開放型ガスタービン、33:煙突(処理装置)、34:入口空気、35:燃焼器、36:排気、41:冷却系統、71、81、91:放熱側、72、73、74、82、83:受熱側(吸熱側)、91、93:軸、92:連結器。
【出願人】 【識別番号】504425381
【氏名又は名称】正田 登
【出願日】 平成17年11月29日(2005.11.29)
【代理人】 【識別番号】100089705
【弁理士】
【氏名又は名称】社本 一夫

【識別番号】100140109
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 新次郎

【識別番号】100075270
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 泰

【識別番号】100080137
【弁理士】
【氏名又は名称】千葉 昭男

【識別番号】100096013
【弁理士】
【氏名又は名称】富田 博行

【識別番号】100093713
【弁理士】
【氏名又は名称】神田 藤博


【公開番号】 特開2007−146766(P2007−146766A)
【公開日】 平成19年6月14日(2007.6.14)
【出願番号】 特願2005−343235(P2005−343235)