|
|
【発明の名称】 |
建物 |
| 【発明者】 |
【氏名】湯山 康樹 【氏名】種村 尚之 |
【課題】居室空間の間仕切、電気設備、給排水設備および空調設備などの変更に柔軟に対応する。
【解決手段】外周壁をコア壁101とした内部空間の対向する両端部にそれぞれ設備空間200(主に階段室空間201、増設用空間202および機械室空間203)を配置し、かつ当該設備空間200の同等空間を点対称となる位置に配置してあり、さらに各設備空間200の間である内部空間の中央部に居室空間300を配置した平面構造と、複数のリブ1031を平行に設けたプレストレストコンクリート製のスラブ103と、設備空間200および居室空間300の床下に設けた電気・排水配管スペース104とを備える。この結果、将来の使用変化を考慮して平面計画、設備計画、内装計画に可変性を備え、居室空間300の間仕切、電気設備、給排水設備および空調設備などの変更に柔軟に対応することができる建物100を得ることが可能である。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 外周壁をコア壁とした内部空間の対向する両端部にそれぞれ設備空間を配置し、かつ当該設備空間の同等空間を点対称となる位置に配置してあり、さらに各設備空間の間である内部空間の中央部に居室空間を配置した平面構造と、 複数のリブを平行に設けたプレストレストコンクリート製のスラブと、 前記設備空間および居室空間の床下に設けた電気・排水配管スペースと を備えたことを特徴とする建物。
|
【発明の詳細な説明】【技術分野】 【0001】 本発明は、居室空間の変更に柔軟に対応する建物に関するものである。 【背景技術】 【0002】 従来、機能的で可変性に優れる居室空間を得る建物が提案されている。この建物は、外周部に複数の機械室を分散配置し、各機械室間の外壁部にその内部の居室空間に通じる窓を設ける。そして、機械室とそれに隣接して設けられた窓とその窓に面する所定領域の居室空間とを要素とするモジュールを設定し、当該モジュールを多数連続配置することで各モジュールの居室空間を連続した大居室空間を構成する。また、各モジュールの機械室に、当該モジュールの居室空間を対象として少なくともその空調負荷を処理し得る空調設備を設置する。さらに、空調設備は、モジュールの居室空間に対する外気冷房が可能な構成とする(例えば、特許文献1参照)。 【0003】 【特許文献1】特開2001−342747号公報 【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】 【0004】 上述した従来の建物では、空調方式として二重床をサプライチャンバとして通気性床材を通して床全面から微風速で給気を吹き出すフロアフロー方式が一例として挙げられている。しかし、居室空間においては、空調設備の他に電気設備や給排水設備もある。このため、空調設備を含み、電気設備や給排水設備の変更に自由に対応することが望まれている。 【0005】 本発明は、上記実情に鑑みて、居室空間の間仕切、電気設備、給排水設備および空調設備などの変更に柔軟に対応することができる建物を提供することを目的とする。 【課題を解決するための手段】 【0006】 上記の目的を達成するために、本発明の請求項1に係る建物は、外周壁をコア壁とした内部空間の対向する両端部にそれぞれ設備空間を配置し、かつ当該設備空間の同等空間を点対称となる位置に配置してあり、さらに各設備空間の間である内部空間の中央部に居室空間を配置した平面構造と、複数のリブを平行に設けたプレストレストコンクリート製のスラブと、前記設備空間および居室空間の床下に設けた電気・排水配管スペースとを備えたことを特徴とする。 【発明の効果】 【0007】 構造的に必要な要素を外周壁のコア壁によって確保して、建物内部の居室空間での構造的制約を極力減らしているため、柔軟性を有した居室空間の使用計画を実現することができる。 【0008】 また、建物両端部の各設備空間の同等空間を点対称となる位置に配置することで、例えば設備空間としての階段室空間、機械室空間が建物の対角に配置できる。このため、居室空間から各階段室空間への避難導線を明確にすることができる。また、機械室空間に設置した空調機から居室空間への空調設備配管の給排導線を明確にし、かつ空調容量を2系統に分けることができる。また、機械室空間に空調機を設ければ、屋上に空調設備機器を設置せずに各階で空調設備を完結できるので、屋上を永年構造にするなど有効活用ができる。 【0009】 また、複数のリブを平行に設けたプレストレストコンクリート製のスラブを備えたことで、大スパンの居室空間を得ることができ、居室空間を仕切る間仕切を設ける自由度を確保することができる。さらに、上記スラブによって天井側に設置する空調設備配管をリブに沿って設けることで空調設備配管の導線を確保することができる。 【0010】 また、設備空間および居室空間の床下に電気・排水配管スペースを備えたことにより、電気設備配管および排水設備配管は、天井側に設けた空調設備配管に対して分離されるので、空調設備配管、電気設備配管および排水設備配管の配管増設や変更の際に柔軟に対応することができる。 【0011】 このように、本発明に係る建物は、将来の使用変化を考慮して平面計画、設備計画、内装計画に可変性を備え、居室空間の間仕切、電気設備、給排水設備および空調設備などの変更に柔軟に対応することができる。 【発明を実施するための最良の形態】 【0012】 以下に添付図面を参照して、本発明に係る建物の好適な実施の形態を詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。 【0013】 図1は本発明に係る建物に適用した平面構造を示す概略平面図、図2は図1に示すII−II部分断面図である。ここでの建物100は、矩形状の平面構造を有している。図1に示すように平面構造は、外周壁をコア壁101とした内部の対向する両端部(図1では左右両端部)にそれぞれ設備空間200を配置し、中央部に居室空間300を配置してある。 【0014】 設備空間200としては、例えば階段室空間201、増設用空間202、機械室空間203を主として、他にトイレ室空間204、給湯室空間205、エレベータ室空間206がある。階段室空間201には、上下の階に繋がる階段が設けてある。増設用空間202は、例えば機械室を増設することが可能な空間であって、増設前の状態では、ラウンジなどとして用いられる。この増設用空間202の側部には、上下の階に繋がって電気幹線を収納する電気設備スペース207が設けてある。また、増設用空間202は、バルコニー208および建物100の外部から繋がる搬入通路209に連通してある。機械室空間203は、空調設備などの機械を置く空間である。トイレ室空間204および給湯室空間205には、上下の階に繋がって排水配管を収納する排水設備スペース210が設けてある。エレベータ室空間206には、上下の階に繋がるエレベータが設けてある。 【0015】 本実施の形態の平面構造では、左端部の設備空間200は、階段室空間201、増設用空間202、機械室空間203、トイレ室空間204、給湯室空間205を有している。一方、右端部の設備空間200は、階段室空間201、増設用空間202、機械室空間203、トイレ室空間204、エレベータ室空間206を有している。そして、左右端部の各設備空間200は、同等空間を点対称となる位置に配置してある。なお、本実施の形態では、給湯室空間205とエレベータ室空間206とを同等空間としている。すなわち、給湯室空間205がエレベータ室空間206として構成してあってもよく、逆にエレベータ室空間206が給湯室空間205として構成してあってもよい。また、設備空間200には、各所に窓や小扉などの開口部211が設けてある。 【0016】 居室空間300は、上記設備空間200の間であって、平面構造の中央部に配置してある。この居室空間300においては、図1に示すように柱102を各設備空間200寄りに配置して大スパンの空間としてある。本実施の形態における建物100では、居室空間300を大スパンの空間とするため、図2に示すように複数のリブ1031を各設備空間200の間に渡って平行に設けたプレキャストのプレストレストコンクリート製のスラブ103を採用してある。すなわち、スラブ103を、いわゆるダブルティ床板によって構成してあるため、リブ1031が小梁となって、大梁や柱のない大スパンの居室空間300が得られる。また、居室空間300には、左右端部の各設備空間200の間に窓などの開口部301が設けてある。なお、スラブ103は、プレキャスト部材を複数並設し、その上に配筋(図示せず)を行ってコンクリート1032を打設することで一体化される。 【0017】 また、図2に示すように上記平面構造をなす設備空間200および居室空間300の床下には、フリーアクセス床として形成された電気・排水配管スペース104が設けてある。この電気・排水配管スペース104は、例えば空間高さを300mmとしてある。なお、電気・排水配管スペース104は、複数のプレキャスト部材であるスラブ103を一体化した上記コンクリート1032の上に設けられる。 【0018】 以下、上記構成の建物100の研究棟としての使用例について説明する。図3および図4は居室空間の使用例を示す平面図である。図3に示す居室空間300の使用例は、柱102を基準にして設けた間仕切105によって居室空間300を8個の部屋に仕切った例を示す。ここでは、居室空間300の中央に、各設備空間200の間の動線となる廊下302を設け、当該廊下302を境にして居室空間300を4個ずつ計8個の部屋に分けている。また、廊下302は、各設備空間200に沿う廊下303に繋がっている。これにより、例えば廊下302を境にした一方の4部屋を実験室にして、他方の4部屋を研究室にするように使用できる。また、図4に示す使用例は、柱102を基準にして設けた間仕切105によって居室空間300を大きい1部屋と小さい2部屋に仕切った例を示す。ここでは、居室空間300の中央に、各設備空間200への動線となり、かつ打合せなどが行えるミーティングスペース304を設け、当該ミーティングスペース304を境にして居室空間300を大きい1部屋と小さい2部屋とに分けている。また、ミーティングスペース304は、各設備空間200に沿う廊下303に繋がっている。これにより、例えばミーティングスペース304を境にした一方の大きい1部屋を実験室にして、他方の小さい2部屋を研究室にするように使用できる。なお、図3および図4の使用例においては、スラブ103をダブルティ床板によって構成したことで、図2に示すように間仕切105を設ける自由度が確保されている。また、図1に示すように、居室空間300を1つの部屋として、この部屋を実験室および研究室を含む大きい部屋としても使用できる。 【0019】 このように、構造的に必要な要素を外周壁のコア壁101によって確保して、建物100内部の居室空間300での構造的制約を極力減らしているため、柔軟性を有した居室空間300の使用計画を実現することが可能である。 【0020】 また、設備空間200の同等空間を点対称となる位置に配置することで階段室空間201が建物100の対角に配置してある。このため、居室空間300からの避難導線が明確になる。 【0021】 また、設備空間200に設けた開口部211、および居室空間300に設けた開口部301によって、採光・通風を確保することが可能になる。 【0022】 また、増設用空間202を設けたことによって、将来の設備増設を行う際のスペースを確保することが可能になる。さらに、増設用空間202を増設前にラウンジなどに利用でき、その他局所排気機器、実験室用給湯器、特殊空調用空調機、特殊ガスボンベなどの設置にも利用できる。また、増設用空間202は、建物100の外部から繋がる搬入通路209に連通してあるため、設備機械や実験機器などの搬出入口を確保できる。この搬出入口は、上階ではクレーンによる搬出入も可能である。 【0023】 図5は設備配管の使用例を示す平面図、図6は設備配管の使用例を示す縦断面図である。図5および図6において実線で示す配管は空調設備配管401を示し、破線で示す配管は電気設備配管402を示す。また、図6において一点鎖線で示す配管は排水設備配管403を示す。なお、図5では、図3で示す居室空間300の使用例に準じた設備配管を示してある。 【0024】 空調設備配管401は、図5および図6に示すように建物100の両端部の各機械室空間203に設けた空調機からスラブ103に沿って居室空間300に至る。このため、居室空間300内の天井に空調機を設置しないので、空調機からの漏水を居室空間300に至らせない設備計画が可能である。また、設備空間200の同等空間を点対称となる位置に配置することで機械室空間203が建物100のほぼ対角に配置してある。このため、空調設備配管401の給排導線が明確になり、かつ空調容量を2系統に等分することが可能である。また、機械室空間203に空調機を設けたことにより、屋上に空調設備機器を設置せずに各階で空調設備を完結できるので、屋上を永年構造にするなど有効活用が可能である。なお、空調設備配管401は、図2に示すようにスラブ103をダブルティ床板によって構成したことでリブ1031に沿って導線を確保できる。 【0025】 電気設備配管402は、図5および図6に示すように建物100の両端部の各電気設備スペース207から床下の電気・排水配管スペース104を通って居室空間300に至る。さらに、排水設備配管403は、図6に示すように居室空間300から床下の電気・排水配管スペース104を通って建物100の両端部の各排水設備スペース210に至る。このため、電気設備配管402および排水設備配管403は、天井側に設けた空調設備配管401に対して分離されるので、配管増設や変更の際に柔軟に対応することが可能である。また、設備空間200の同等空間を点対称となる位置に配置することで電気設備スペース207が建物100のほぼ対角に配置してある。このため、電気設備配管402の給電導線が明確になり、かつ給電容量を2系統に等分することが可能である。さらに、居室空間300の各部屋の使用条件に合った給電容量の電源盤を設置することも可能である。また、電気設備スペース207内に幹線や通信線の増設スペースを確保することができる。 【0026】 このように、上述した建物100では、外周壁をコア壁101とした内部空間の対向する両端部にそれぞれ設備空間200(主に階段室空間201、増設用空間202および機械室空間203)を配置し、かつ当該設備空間200の同等空間を点対称となる位置に配置してあり、さらに各設備空間200の間である内部空間の中央部に居室空間300を配置した平面構造と、複数のリブ1031を平行に設けたプレストレストコンクリート製のスラブ103と、設備空間200および居室空間300の床下に設けた電気・排水配管スペース104とを備えている。この結果、将来の使用変化を考慮して平面計画、設備計画、内装計画に可変性を備え、居室空間300の間仕切、電気設備、給排水設備および空調設備などの変更に柔軟に対応することができる建物100を得ることが可能である。 【図面の簡単な説明】 【0027】 【図1】本発明に係る建物に適用した平面構造を示す概略平面図である。 【図2】図1に示すII−II部分断面図である。 【図3】居室空間の使用例を示す平面図である。 【図4】居室空間の使用例を示す平面図である。 【図5】設備配管の使用例を示す平面図である。 【図6】設備配管の使用例を示す縦断面図である。 【符号の説明】 【0028】 100 建物 101 コア壁 102 柱 103 スラブ 1031 リブ 104 電気・排水配管スペース 105 間仕切 200 設備空間 201 階段室空間 202 増設用空間 203 機械室空間 204 トイレ室空間 205 給湯室空間 206 エレベータ室空間 207 電気設備スペース 208 バルコニー 209 搬入通路 210 排水設備スペース 211 開口部 300 居室空間 301 開口部 302,303廊下 304 ミーティングスペース 401 空調設備配管 402 電気設備配管 403 排水設備配管
|
| 【出願人】 |
【識別番号】000002299 【氏名又は名称】清水建設株式会社
|
| 【出願日】 |
平成18年5月25日(2006.5.25) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100089118 【弁理士】 【氏名又は名称】酒井 宏明
|
| 【公開番号】 |
特開2007−315039(P2007−315039A) |
| 【公開日】 |
平成19年12月6日(2007.12.6) |
| 【出願番号】 |
特願2006−145828(P2006−145828) |
|