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【発明の名称】 既設建築物の補強構造及び補強方法
【発明者】 【氏名】小泉 雅生

【氏名】藤田 香織

【氏名】藤江 創

【氏名】金箱 温春

【氏名】高橋 壮太郎

【要約】 【課題】居住者の生活に与える影響を低減し、より簡易に既設建築物の構造補強を行なうこと。

【解決手段】引き違い建具と当該引き違い建具の上方に配設された欄間とを有する既設建築物の補強方法であって、前記引き違い建具の開口部の中央部において、天井裏の既設梁と床下の土台との間に柱部材を新設する工程と、前記引き違い建具の一方の建具に代えて第1パネル部材を新設し、前記柱部材と前記開口部を規定する既設柱のうちの一方の既設柱とに前記第1パネル部材を固定する工程と、前記第1パネル部材の上方において前記欄間の一部に代えて天井裏へ延びる第2パネル部材を新設し、前記柱部材と前記一方の既設柱と前記既設梁とに前記第2パネル部材を固定する工程と、を備え、前記引き違い建具の他方の建具を開閉可能に構成したことを特徴とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
引き違い建具と当該引き違い建具の上方に配設された欄間とを有する既設建築物の補強構造であって、
前記引き違い建具の開口部の中央部において、天井裏の既設梁と床下の土台との間に新設された柱部材と、
前記引き違い建具の一方の建具に代えて新設され、前記柱部材と前記開口部を規定する既設柱のうちの一方の既設柱とに固定された第1パネル部材と、
前記第1パネル部材の上方において前記欄間の一部に代えて新設され、天井裏へ延びると共に、前記柱部材と前記一方の既設柱と前記既設梁とに固定された第2パネル部材と、
を備え、
前記引き違い建具の他方の建具を開閉可能に構成したことを特徴とする既設建築物の補強構造。
【請求項2】
前記第1パネル部材と前記第2パネル部材とが一体のパネル部材であることを特徴とする請求項1に記載の既設建築物の補強構造。
【請求項3】
引き違い建具と当該引き違い建具の上方に配設された欄間とを有する既設建築物の補強方法であって、
前記引き違い建具の開口部の中央部において、天井裏の既設梁と床下の土台との間に柱部材を新設する工程と、
前記引き違い建具の一方の建具に代えて第1パネル部材を新設し、前記柱部材と前記開口部を規定する既設柱のうちの一方の既設柱とに前記第1パネル部材を固定する工程と、
前記第1パネル部材の上方において前記欄間の一部に代えて天井裏へ延びる第2パネル部材を新設し、前記柱部材と前記一方の既設柱と前記既設梁とに前記第2パネル部材を固定する工程と、
を備え、
前記引き違い建具の他方の建具を開閉可能に構成したことを特徴とする既設建築物の補強方法。
【請求項4】
引き違い建具を有する既設建築物の補強構造であって、
前記引き違い建具の開口部を規定する既設柱間に、天井裏において新設された梁部材と、
前記開口部の中央部において、該梁部材と床下の土台との間に新設された柱部材と、
前記柱部材と一方の前記既設柱とに固定されたパネル部材と、
を備え、
前記引き違い建具の一方の建具を開閉可能に構成したことを特徴とする既設建築物の補強構造。
【請求項5】
前記既設建築物は前記引き違い建具の上方に欄間が既設された建築物であり、
当該欄間に代えて新設された第2のパネル部材を更に設けたことを特徴とする請求項4に記載の既設建築物の補強構造。
【請求項6】
前記パネル部材が前記開口部の半分を覆うことを特徴とする請求項4に記載の既設建築物の補強構造。
【請求項7】
前記パネル部材が前記引き違い建具の他方の建具であることを特徴とする請求項4に記載の既設建築物の補強構造。
【請求項8】
引き違い建具を有する既設建築物の補強方法であって、
既設の引き違い建具の開口部を規定する既設柱間に、天井裏において、梁部材を新設する工程と、
該梁部材と床下の土台との間に柱部材を新設する工程と、
前記柱部材と一方の前記既設柱にパネル部材を固定する工程と、
を備え、
前記引き違い建具の一方の建具を開閉可能に構成したを特徴とする既設建築物の補強方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は既設建築物の補強技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
耐震基準の改訂前(1981年以前)の木造建築物は現行基準で定められた耐震性能を満たしていないものが多い。現行基準で定められた耐震性能を満たすために建築物の建替えが挙げられるが、経済的な条件が厳しいこと等の理由からその採用が困難な場合が多い。そこで、既設建築物の一部を改修して耐震性能を向上することが行なわれている。
【0003】
【特許文献1】特開2005−226450号公報
【特許文献2】特開2006−9557号公報
【特許文献3】特開2005−180160号公報
【特許文献4】特開2005−179978号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来の耐震補強方法は既設壁の解体を伴うものが多く、廃材の量が多くなる他、作業規模が大きくなって作業日数が長くなる。このため、居住者が居住しながら補強工事を行なうことが困難であり、居住者の生活に影響を与えるという問題がある。また、耐震補強の結果、建築物の機能が変更され、居住者の生活に影響を与える場合も少なくない。
【0005】
従って、本発明の目的は、居住者の生活に与える影響を低減し、より簡易に既設建築物の構造補強を行なうことにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の本発明によれば、引き違い建具と当該引き違い建具の上方に配設された欄間とを有する既設建築物の補強構造であって、前記引き違い建具の開口部の中央部において、天井裏の既設梁と床下の土台との間に新設された柱部材と、前記引き違い建具の一方の建具に代えて新設され、前記柱部材と前記開口部を規定する既設柱のうちの一方の既設柱とに固定された第1パネル部材と、前記第1パネル部材の上方において前記欄間の一部に代えて新設され、天井裏へ延びると共に、前記柱部材と前記一方の既設柱と前記既設梁とに固定された第2パネル部材と、を備え、前記引き違い建具の他方の建具を開閉可能に構成したことを特徴とする既設建築物の補強構造が提供される。
【0007】
また、第2の本発明によれば、引き違い建具と当該引き違い建具の上方に配設された欄間とを有する既設建築物の補強方法であって、前記引き違い建具の開口部の中央部において、天井裏の既設梁と床下の土台との間に柱部材を新設する工程と、前記引き違い建具の一方の建具に代えて第1パネル部材を新設し、前記柱部材と前記開口部を規定する既設柱のうちの一方の既設柱とに前記第1パネル部材を固定する工程と、前記第1パネル部材の上方において前記欄間の一部に代えて天井裏へ延びる第2パネル部材を新設し、前記柱部材と前記一方の既設柱と前記既設梁とに前記第2パネル部材を固定する工程と、を備え、前記引き違い建具の他方の建具を開閉可能に構成したことを特徴とする既設建築物の補強方法が提供される。
【0008】
上記第1及び第2の本発明によれば、前記引き違い建具の開口部を利用して構造補強を行なうので、既設壁の解体を伴わず、比較的小規模な補強工事で足り、廃材の削減と工期短縮を図れる。よって、居住者の生活に与える影響を小さくできる。また、前記柱部材により構造補強が行なえることに加えて、前記第1及び第2パネル部材により前記開口部のみならず前記欄間も含めて構造補強が行なえる。更に、前記引き違い建具のうちの片方の建具は引き続き開閉可能である。よって、居住者の生活に与える影響を小さくできる。
【0009】
また、第3の本発明によれば、引き違い建具を有する既設建築物の補強構造であって、前記引き違い建具の開口部を規定する既設柱間に、天井裏において新設された梁部材と、前記開口部の中央部において、該梁部材と床下の土台との間に新設された柱部材と、前記柱部材と一方の前記既設柱とに固定されたパネル部材と、を備え、前記引き違い建具の一方の建具を開閉可能に構成したことを特徴とする既設建築物の補強構造が提供される。
【0010】
また、第4の本発明によれば、引き違い建具を有する既設建築物の補強方法であって、既設の引き違い建具の開口部を規定する既設柱間に、天井裏において、梁部材を新設する工程と、該梁部材と床下の土台との間に柱部材を新設する工程と、前記柱部材と一方の前記既設柱にパネル部材を固定する工程と、を備え、前記引き違い建具の一方の建具を開閉可能に構成したを特徴とする既設建築物の補強方法が提供される。
【0011】
上記第3及び第4の本発明によれば、前記引き違い建具の開口部を利用して構造補強を行なうので、既設壁の解体を伴わず、比較的小規模な補強工事で足り、廃材の削減と工期短縮を図れる。また、前記梁部材を新設することで、既設梁の位置を事前に点検する手間を無くし、前記柱部材の長さの現場調整を不要とすることができる。よって、工期短縮を図れ、居住者の生活に与える影響を小さくできる。また、前記柱部材と前記パネル部材とにより構造補強が行なえる。更に、前記引き違い建具のうちの片方の建具は引き続き開閉可能である。よって、居住者の生活に与える影響を小さくできる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、居住者の生活に与える影響を低減し、より簡易に既設建築物の構造補強を行なうことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
<第1実施形態>
図1(a)は補強対象となる木造建築物の引き違い建具の周辺の構成例を示す正面図、図1(b)は図1(a)の線I−Iに沿う断面図である。引き違い建具を構成する左右の引き戸1a及び1bは、一対の既設柱2と、鴨居3と、敷居4と、により画定される開口部1を覆うように配設される。引き戸1a及び1bはそれぞれ開口部1の左右の半分の面積を有し、鴨居3及び敷居4にそれぞれ設けられた一対の溝に案内されて左右に開閉自在となっている。
【0014】
一対の既設柱2の下端部は床板5の下に布設された土台6に支持されており、また、一対の既設柱2の上端部は天井板7の上の天井裏に配設された既設梁8に連結されて既設梁8を支持している。開口部1と天井板7との間には欄間9が設けられている。欄間9には既設梁8に支持された縦桟10a及び横桟10bに支持された化粧板11a及び11bが配設されている。また、鴨居3の近傍には長押12a、12bが一対の既設柱2に架設されている。
【0015】
次に、本発明の第1実施形態の補強方法について図2乃至図4を参照して説明する。本実施形態の補強方法では、まず、既設の引き違い建具の周辺構造を一部解体する解体工程を実施する。図2(a)は解体工程を施した後の引き違い建具の周辺の構成例を示す正面図、図2(b)は図2(a)の線II−IIに沿う断面図である。解体工程では、まず、引き戸1a及び1bが取外される。天井板7に作業用の穴7aが開けられ、天井裏に作業者が侵入できるようにする。鴨居3は引き戸1bが通過するレールの部分はそのままとし、引き戸1aが通過するレールの部分のうち、その略半分の領域3aを除去した鴨居3’とする。敷居4は開口部1の中央部に対応する部位に床下に貫通する穴4aを設ける。図2の例の場合、穴4aは引き戸1aが通過するレールの一部を切り欠いて形成されている。
【0016】
長押12bはそのままとし、長押12aはその一部を除去した長押12a’とする。除去する部分は領域3a上方の部分である。化粧板11bはそのままとし、化粧板11aはその一部を除去した化粧板11a’とする。除去する部分は領域3a上方の部分である。横桟10bは撤去する。以上の解体工程により図2に示す態様に至る。
【0017】
次に、柱部材を新設する柱新設工程を実施する。図3(a)は柱新設工程を施した後の引き違い建具の周辺の構成例を示す正面図、図3(b)は図3(a)の線III−IIIに沿う断面図である。新設工程では柱部材13を開口部1の中央部において、既設梁8と土台6との間に新設する。柱部材13の下端部は穴4aを通して床下内に進入させ、土台6に固定する。柱部材13の上端部は欄間9の形成のために天井板7に設けられた穴を通して天井裏に進入させ、既設梁8に固定する。柱部材13は引き戸1aが通過する鴨居3及び敷居4のレールの部分上に位置し、引き戸1bが通過するレールの部分には位置していない。柱部材13は木造建築物の補強部材として機能する。従って、鋼製の部材であることが望ましく、例えば、山形鋼、角型鋼管等である。
【0018】
次に、パネル部材を新設して仕上げるパネル新設・仕上げ工程を実施する。図4(a)はパネル新設・仕上げ工程を施した後の引き違い建具の周辺の構成例を示す正面図、図4(b)は図4(a)の線IV−IVに沿う断面図である。パネル新設・仕上げ工程では、まず、補強パネル部材14a及び14bを配設する。補強パネル部材14aは引き戸1aに代えて新設され、柱部材13と一方の既設柱2とにそれぞれ固定される。また、補強パネル部材14bは補強パネル14aと連続してその上方において天井裏へ延びるよう、欄間9の化粧板11aの一部(除去した部分)に代えて新設され、柱部材13と一方の既設柱2と既設梁8とに固定される。補強パネル部材14aは引き戸1aが通過する鴨居3及び敷居4のレールの部分上に位置し、引き戸1bが通過するレールの部分には位置していない。
【0019】
補強パネル部材14a及び14bも木造建築物の補強部材として機能する。これらは引き戸1aや欄間9の意匠に応じた意匠のものを採用できるが、例えば、アクリル板と木格子との組み合わせ、合板と壁紙との組み合わせ、等が採用できる。また、エキスパンドメタルパネルも採用可能である。
【0020】
本実施形態では補強パネル部材14a及び14bは2部材としているが、天井板7と既設梁8とが近接している場合は、一体のパネル部材として構成できる。つまり、パネル部材を天井裏へ差し込む量が小さければ一体のパネル部材を用いることができ、逆に大きければ一体のパネル部材であると配設できない場合があるので2部材とする。
【0021】
次に、天井板7の穴7aをパネル部材7bで閉鎖する。パネル部材7bは取外し可能に設置しておくことで、穴7aを天井裏の点検口として活用することができる。最後に引き戸1bを取り付けて作業が終了する。
【0022】
本実施形態による補強方法によれば、開口部1を利用して構造補強を行なうので、既設壁の解体を伴わず、比較的小規模な補強工事で足り、廃材の削減と工期短縮を図れる。よって、居住者の生活に与える影響を小さくできる。また、柱部材13により構造補強が行なえることに加えて、補強パネル部材14a及び14bにより開口部1のみならず欄間9も含めて構造補強が行なえる。更に、引き戸1bは引き続き開閉可能である。よって、居住者の生活に与える影響を小さくできる。引き違い建具は基本的には双方の建具が使用されるが、箪笥が一方の建具の前に置かれる等、片方の建具のみが実際には使用される例も多い。従って、引き戸1bが引き続き開閉可能であることはこのような場合に特に有益である。
【0023】
<第2実施形態>
次に、本発明の第2実施形態の補強方法について図5乃至図7を参照して説明する。ここでは補強対象とする木造建築物の引き違い建具の周辺の構成は図1に例示したものとする。本実施形態の補強方法でも、まず、既設の引き違い建具の周辺構造を一部解体する解体工程を実施する。図5(a)は解体工程を施した後の引き違い建具の周辺の構成例を示す正面図、図5(b)は図5(a)の線V−Vに沿う断面図である。
【0024】
解体工程では、まず、引き戸1a及び1bが取外される。長押12a及び12bは全て撤去されるが後程再利用する。化粧板11a、11b、縦桟10a及び横桟10bは全て撤去する。敷居4は第1実施形態と同様に開口部1の中央部に対応する部位に床下に貫通する穴4aを設ける。また、本実施形態では鴨居3にも開口部1の中央部に対応する部位に貫通穴3bを設ける。図5の例の場合、穴4a及び3bは引き戸1aが通過するレールの一部を切り欠いて形成されている。以上の解体工程により図5に示す態様に至る。
【0025】
次に、梁部材・柱部材を新設する梁・柱新設工程を実施する。図6(a)は梁・柱新設工程を施した後の引き違い建具の周辺の構成例を示す正面図、図6(b)は図3(a)の線VI−VIに沿う断面図である。梁・柱新設工程では、まず、天井裏において、既設柱2間に梁部材15を架設する。梁部材15は既設柱2に両端部がそれぞれ固定される。梁部材15は木造建築物の補強部材として機能する。従って、鋼製の部材であることが望ましい。
【0026】
次に、柱部材13を開口部1の中央部において、新設した梁部材15と土台6との間に新設する。柱部材13の下端部は穴4aを通して床下内に進入させ、土台6に固定する。柱部材13の上端部は欄間9の形成のために天井板7に設けられた穴を通して天井裏に進入させ、梁部材15に固定する。上記第1実施形態の場合と同様に、柱部材13は引き戸1aが通過する鴨居3及び敷居4のレールの部分上に位置し、引き戸1bが通過するレールの部分には位置していない。また、柱部材13は木造建築物の補強部材として機能する。従って、鋼製の部材であることが望ましく、例えば、山形鋼、角型鋼管等である。
【0027】
次に、パネル部材を新設して仕上げるパネル新設・仕上げ工程を実施する。図7(a)はパネル新設・仕上げ工程を施した後の引き違い建具の周辺の構成例を示す正面図、図7(b)は図7(a)の線VII−VIIに沿う断面図である。パネル新設・仕上げ工程では、まず、補強パネル部材16、17a及び17bを配設する。
【0028】
補強パネル部材16は引き戸1aに代えて新設され、柱部材13と一方の既設柱2とにそれぞれ固定される。補強パネル部材16は引き戸1aと同様の外形を有し、開口部1の半分を覆う大きさである。また、補強パネル部材16は引き戸1aが通過する鴨居3及び敷居4のレールの部分上に位置し、引き戸1bが通過するレールの部分には位置していない。補強パネル部材17a及び17bは欄間9の開口を覆うように柱部材13と既設柱2とにそれぞれ固定される。なお、本実施形態の場合は補強パネル部材17aは柱部材13の両側にそれぞれ配設される2部材構成とし、補強パネル部材17bは1部材構成としている。
【0029】
補強パネル部材16、17a及び17bも木造建築物の補強部材として機能する。これらは引き戸1aや欄間9の意匠に応じた意匠のものを採用できるが、例えば、アクリル板と木格子との組み合わせ、合板と壁紙との組み合わせ、等が採用できる。また、エキスパンドメタルパネルも採用可能である。補強パネル部材16は引き戸1aに代わる別部材としているが、引き戸1aが補強パネル部材として活用できる強度を有している場合は引き戸1aを補強パネル部材16として再利用することも可能である。次に、一旦撤去した長押12a及び12bを再利用して取り付ける。最後に引き戸1bを取り付けて作業が終了する。
【0030】
本実施形態による補強方法によれば、開口部1を利用して構造補強を行なうので、既設壁の解体を伴わず、比較的小規模な補強工事で足り、廃材の削減と工期短縮を図れる。よって、居住者の生活に与える影響を小さくできる。また、梁部材15を新設することで、既設梁8の位置を事前に点検する手間を無くし、柱部材13の長さの現場調整を不要とすることができる。詳述すると、一般に床板5から土台6までの距離は確認が容易であり、また、当該距離も建築物によって大差はない。しかし、天井板7から既設梁8までの距離は天井板7を壊さなければ確認できないのが普通であり、また、当該距離も建築物によってまちまちであるため、事前の点検作業が必要となる。
【0031】
本実施形態では梁部材15を新設することで、天井板7から既設梁8までの距離を確認する必要がなくなり、柱部材13の必要長も事前に確定でき、現場調整をほとんど要しない。よって、工期短縮を図れ、居住者の生活に与える影響を小さくできる。
【0032】
また、本実施形態では欄間9を解体する代わりに天井板9を壊す必要がなく、更に、天井裏での作業もない。従って、天井の構成を維持しながら効率のよい作業を行なえる。特に、既設梁8には電気配線等が張り巡らせられていることも多く、既設梁8に柱部材13を固定しないで済む本実施形態は作業効率上有利である。更に、本実施形態では欄間9を解体したが、補強パネル17a及び17bが設けられることで、補強パネル16による補強効果に加えて、補強パネル17a及び17bによる補強効果も得られる。
【0033】
更に、引き戸1bは引き続き開閉可能である。よって、居住者の生活に与える影響を小さくできる。上述した通り、引き違い建具は基本的には双方の建具が使用されるが、箪笥が一方の建具の前に置かれる等、片方の建具のみが実際には使用される例も多い。従って、引き戸1bが引き続き開閉可能であることはこのような場合に特に有益である。
【0034】
なお、上記第1及び第2実施形態では本発明を真壁構造に適用した例を例示したが、大壁構造に対しても適用できることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】(a)は補強対象となる木造建築物の引き違い建具の周辺の構成例を示す正面図、図1(b)は図1(a)の線I−Iに沿う断面図である。
【図2】(a)は第1実施形態における解体工程を施した後の引き違い建具の周辺の構成例を示す正面図、(b)は図2(a)の線II−IIに沿う断面図である。
【図3】(a)は第1実施形態における柱新設工程を施した後の引き違い建具の周辺の構成例を示す正面図、(b)は図3(a)の線III−IIIに沿う断面図である。
【図4】(a)は第1実施形態におけるパネル新設・仕上げ工程を施した後の引き違い建具の周辺の構成例を示す正面図、(b)は図4(a)の線IV−IVに沿う断面図である。
【図5】(a)は第2実施形態における解体工程を施した後の引き違い建具の周辺の構成例を示す正面図、(b)は図5(a)の線V−Vに沿う断面図である。
【図6】(a)は第2実施形態における梁・柱新設工程を施した後の引き違い建具の周辺の構成例を示す正面図、(b)は図3(a)の線VI−VIに沿う断面図である。
【図7】(a)は第2実施形態におけパネル新設・仕上げ工程を施した後の引き違い建具の周辺の構成例を示す正面図、(b)は図7(a)の線VII−VIIに沿う断面図である。
【符号の説明】
【0036】
1 開口部
2 既設柱
8 既設梁
9 欄間
13 柱部材
14a、14b、16、17a、17b 補強パネル
15 梁部材
【出願人】 【識別番号】504447534
【氏名又は名称】小泉 雅生
【識別番号】305027401
【氏名又は名称】公立大学法人首都大学東京
【出願日】 平成18年2月24日(2006.2.24)
【代理人】 【識別番号】100076428
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 康徳

【識別番号】100112508
【弁理士】
【氏名又は名称】高柳 司郎

【識別番号】100115071
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 康弘

【識別番号】100116894
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 秀二


【公開番号】 特開2007−224656(P2007−224656A)
【公開日】 平成19年9月6日(2007.9.6)
【出願番号】 特願2006−48609(P2006−48609)