| 【発明の名称】 |
コンクリート補強層の構造およびその形成方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】真下 英人
【氏名】石村 利明
【氏名】箱石 安彦
【氏名】石井 清
【氏名】滝谷 将志
【氏名】山本 富生
【氏名】楠 和也
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| 【要約】 |
【課題】十分な補強効果と十分な視認性を併せ持ち、施工性にも優れるコンクリート補強層の構造とその形成方法を提供する。
【解決手段】コンクリート表面2に、プライマー層3、樹脂層4、樹脂層4内の下層側に固着された補強ネット5、上層側に固着された補強シート6からなる補強層1を形成する。プライマー層3はエポキシ系樹脂からなり、樹脂層4は全光線透過率が30%以上、好ましくは50%以上、屈折率が1.5〜1.6の可視光硬化型ビニルエステル樹脂からなる。補強ネット5は目合いが1.5〜2.5cmの高密度ポリエチレン2軸メッシュからなり、補強シート6は厚さ0.4〜0.75mmの透明なガラスクロスからなる。補強シート6としては樹脂層4内で透明なガラスクロスに可視光硬化型ビニルエステル樹脂を予め含浸させてなるプリプレグシートを用いる。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 コンクリートの表層部のひび割れやその進展、コンクリート片の剥落を防止するためにコンクリート表面に形成する補強層の構造であって、 コンクリート表面に形成されたプライマー層と、該プライマー層上に形成された樹脂層と、該樹脂層内の下層側に固着された補強ネットと、該補強ネット上の要所に積層されて樹脂層内の上層側に固着された補強シートからなり、 前記プライマー層は、コンクリート表面に塗布されて自然硬化したエポキシ系樹脂からなり、 前記樹脂層は、プライマー層上に塗布されて可視光の照射により硬化した可視光硬化型ビニルエステル樹脂からなり、その全光線透過率が30%以上、屈折率が1.5〜1.6に設定され、 前記補強ネットは、高密度ポリエチレン2軸メッシュからなり、その目合いが1.5〜2.5cmとされ、 前記補強シートは、前記樹脂層内において透明なガラスクロスからなり、その厚さが0.4〜0.75mmとされたことを特徴とするコンクリート補強層の構造。 【請求項2】 請求項1記載の構造の補強層をコンクリート表面に形成するための補強層の形成方法であって、 コンクリート表面にエポキシ系樹脂を塗布して自然硬化させることによりプライマー層を形成し、 プライマー層上に可視光硬化型ビニルエステル樹脂を下塗りした後、その上に高密度ポリエチレン2軸メッシュからなる補強ネットを積層し、さらにその上に同樹脂を上塗りし、 補強シートとしてのガラスクロスに前記可視光硬化型ビニルエステル樹脂を予め含浸させてなるプリプレグシートを用いて、該プリプレグシートを補強ネット上の要所に積層し、 しかる後に、補強ネットおよびプリプレグシートに対して可視光を照射して前記樹脂を硬化させて樹脂層を形成することにより、該樹脂層内に補強ネットおよび補強シートを積層状態で固着することを特徴とするコンクリート補強層の形成方法。 【請求項3】 コンクリートの表層部のひび割れやその進展、コンクリート片の剥落を防止するためにコンクリート表面に補強層を形成するためのコンクリート補強層の形成方法であって、 コンクリート表面に補強ネットを可視光硬化型ビニルエステル樹脂により直貼りすることを特徴とするコンクリート補強層の形成方法。
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【発明の詳細な説明】【技術分野】 【0001】 本発明は、ひび割れの発生やその進展、剥落防止を目的としてコンクリート表面に形成される補強層の構造、およびその補強層を形成するための方法に関する。 【背景技術】 【0002】 通常のコンクリートは施工後にある程度の年数を経た後はその表面に少なからずひび割れが発生することは殆ど不可避であるともいえる。そのため、たとえばトンネル覆工壁としてのコンクリートのように、長年月にわたって高度の健全性や安全性を確保する必要のあるコンクリート構造物や、重大事故につながるような剥落が万が一にも許されないようなコンクリート構造物等に対しては、ひび割れ発生の有無やその程度、経時変化等を定期的に監視することが必要であり、また状況によっては補修や補強を行うことも必要である。 【0003】 従来より、劣化ないし老朽化した既存コンクリートに対する補修あるいは補強策として、既存コンクリートの表面に新たなコンクリートを増し打ちしたり、補強鋼板を装着するといった工法が実施されているが、そのような工法では既存コンクリートの表面が隠蔽されてしまうことからそれ以後の目視観察は不可能であり、それ以後も監視を継続する必要がある場合には適用できるものではない。 【0004】 そのため、近年、たとえば特許文献1や特許文献2に示されるように、高強度繊維からなるネット状ないしメッシュ状の補強材をコンクリート表面に接着するという工法が提案されている。これは、ガラス繊維や炭素繊維、アラミド繊維等の高強度繊維により形成したネット状ないしメッシュ状の補強材を、ほぼ透明な接着材によってコンクリート表面に一体に固着することを基本とするものである。これによれば、高強度繊維の引っ張り強度によってコンクリート表層部に対して優れた補強効果が得られるばかりでなく、補強材を固着した後もその隙間を通してコンクリート表面をそのまま目視観察できることから、ひび割れの発見やその進展を常に観察する必要のある場合には好適なものである。 【0005】 特に、特許文献2に示される工法では補強材を固着するための樹脂として感光性樹脂(光硬化性樹脂)を採用することも提案されており、それによれば通常の接着材による場合に較べて硬化時間を大幅に短縮し得て短工期での施工が可能であるので、トンネル覆工壁を対象とするコンクリート剥落防止工法として有効であり今後広く普及する気運にある。 【特許文献1】特開2001−355343号公報 【特許文献2】特開2003−293692号公報 【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】 【0006】 ところで、特許文献1〜2に示される工法においては、コンクリート表層部に対する十分な補強と、コンクリート表面に対する高度の視認性の確保といった、いわば相反する機能が、補強材および接着材の双方に対して要求され、さらには効率的な施工が可能であることも要求されるのであるが、現時点ではそのような要求に応え得る補強材と接着材との最適な組み合わせは見いだされておらず、未だ模索段階にあるというのが実状である。 【0007】 上記事情に鑑み、本発明は、コンクリート表層部に対する十分な補強効果と、コンクリート表面に対する十分な視認性を併せ持ち、しかも施工性にも優れる極めて有効なコンクリート補強層の構造とその形成方法を提供することを目的とする。 【課題を解決するための手段】 【0008】 本発明のコンクリート補強層の構造は、コンクリート表面に形成されたプライマー層と、該プライマー層上に形成された樹脂層と、該樹脂層内の下層側に固着された補強ネットと、該補強ネット上の要所に積層されて樹脂層内の上層側に固着された補強シートからなり、前記プライマー層は、コンクリート表面に塗布されて自然硬化したエポキシ系樹脂からなり、前記樹脂層は、プライマー層上に塗布されて可視光の照射により硬化した可視光硬化型ビニルエステル樹脂からなり、その全光線透過率が30%以上、好ましくは50%以上、屈折率が1.5〜1.6に設定され、前記補強ネットは、高密度ポリエチレン2軸メッシュからなり、その目合いが1.5〜2.5cmとされ、前記補強シートは、前記樹脂層内において透明なガラスクロスからなり、その厚さが0.4〜0.75mmとされたものである。 【0009】 本発明のコンクリート補強層の形成方法は、上記の補強層を形成するに際し、コンクリート表面にエポキシ系樹脂を塗布して自然硬化させることによりプライマー層を形成し、プライマー層上に可視光硬化型ビニルエステル樹脂を下塗りした後、その上に高密度ポリエチレン2軸メッシュからなる補強ネットを積層し、さらにその上に同樹脂を上塗りし、補強シートとしてのガラスクロスに前記可視光硬化型ビニルエステル樹脂を予め含浸させてなるプリプレグシートを用いて、該プリプレグシートを補強ネット上の要所に積層し、しかる後に、補強ネットおよびプリプレグシートに対して可視光を照射して前記樹脂を硬化させて樹脂層を形成することにより、該樹脂層内に補強ネットおよび補強シートを積層状態で固着するものである。 なお、コンクリート表面に補強ネットを可視光硬化型ビニルエステル樹脂により直貼りすることでも良い。 【発明の効果】 【0010】 本発明の補強層は、高密度ポリエチレン2軸メッシュからなる補強ネットと、ガラスクロスからなる補強シートとによる2重の補強材により優れた補強効果が得られることはもとより、それらを固着する樹脂層として可視光硬化型ビニルエステル樹脂を採用し、その樹脂層の全光線透過率を十分に透明な30%以上、好ましくは50%以上とし、かつ屈折率をガラスクロスの屈折率と同等の1.5〜1.6とし、それに対応させて補強ネットの目合いを1.5〜2.5cmとし、ガラスクロスの厚さを0.4〜0.75mmとしたことにより、補強層全体の透明度を十分に高めることができ、その結果、コンクリート表面に対する視認性を十分に確保して補強層を通してのコンクリート表面を支障なく目視観察することができるし、各層の樹脂に可視光を効率的に照射可能であるので硬化時間も十分に短縮されて施工性にも優れるという格別顕著な効果を奏する。 【0011】 本発明の補強層の形成方法は、補強ネットを固着する樹脂層として可視光硬化型ビニルエステル樹脂を用いるので、補強層を効率的に形成することが可能である。特に、補強シートとしてのガラスクロスに同樹脂を予め含浸させたプリプレグシートを用いることにより、樹脂の塗布工程や可視光の照射工程が簡略化されてより一層の効率的な施工が可能であり、上記補強層の形成方法として最適である。 【発明を実施するための最良の形態】 【0012】 本発明の補強層およびその形成方法の一実施形態を図1〜図3を参照して説明する。図1(a)は本実施形態の補強層1の構造を模式的に示す断面図、(b)はその補強層1を表面からみた図、図2は補強層1の拡大断面図(図1(a)におけるII部拡大図)、図3は補強層1を各層ごとに分解して図示した断面図である。 【0013】 本実施形態の補強層1は、補強対象のコンクリート表面2に形成されたプライマー層3と、そのプライマー層3上に形成された樹脂層4と、樹脂層4内の下層側に固着された補強ネット5と、補強ネット5上の要所に積層されて樹脂層4内の上層側に固着された補強シート6(ガラスクロス)からなるものである。 【0014】 プライマー層3は、コンクリート表面2に塗布されて自然硬化する通常のエポキシ系樹脂からなるもので、その層厚は最大で0.4mm程度とすれば良い。プライマー層3の素材としては、たとえば昭和高分子株式会社製、商品名リポキシEP−3800が好適に採用可能である。 【0015】 樹脂層4は、波長領域がたとえば380〜450nmの可視光が照射されることで硬化する可視光硬化型ビニルエステル樹脂からなるもので、その層厚は補強ネット5と補強シート6全体を固着するようにそれら厚さの総和相当分(たとえば0.9〜1.2mm程度)とし、この樹脂層4の全光線透過率は少なくとも30%以上、好ましくは50%以上、屈折率は1.5〜1.6の範囲に設定する。そのような屈折率の範囲は、プライマー層3としてのエポキシ系樹脂および補強シート6としてのガラスクロスの屈折率と同等であり、したがってこの補強層1の各層の屈折率はいずれも均等となり、樹脂層4の全光線透過率を30%以上としたことと相まって補強層1全体の透明度が十分に確保されていて、この補強層1を通してのコンクリート表面2に対する視認性を十分に確保でき、図1(b)に示すように補強層1を通してコンクリート表面のひび割れ9を明瞭に目視観察できるものとなっている。換言すると、樹脂層4の屈折率が上記の範囲を越える場合には、他の層との屈折率との差に起因する境界面での反射ロスにより視認性が低下してしまうので好ましくない。なお、樹脂層4を形成するための可視光硬化型ビニルエステル樹脂としては、たとえば昭和高分子株式会社製、商品名リポキシLC−3800が好適に採用可能である。 【0016】 補強ネット5は高密度ポリエチレンからなる繊維束7を直交状態で格子状に一体化してなる高密度ポリエチレン2軸メッシュからなるもので、各方向の繊維束7の幅寸法(図示a寸法)が1.5mm程度、厚さ(図示b寸法)が0.2mm程度(したがって両方向の繊維束7の交差部では0.4mm程度)とされ、目合い(図示c寸法)が1.5〜2.5cmの範囲とされ、目付量は45g/m2程度のものである。目合いが1.5cm未満であるとコンクリート表面2に対する視認性が十分に得られないので好ましくなく、2.5cmを越える場合には細かなコンクリート片の剥落を防止できない場合があるし、製造が著しく困難になるので現実的ではない。この補強ネット5としては、たとえば倉敷紡績株式会社製、商品名クレネットDN5500、目合い2.0cmのものが好適に採用可能である。 【0017】 補強シート6は、厚さが0.4〜0.75mmのガラスクロスからなるものである。ガラスクロスはガラス繊維を織り込んだ布状のもので、それ自体は白色不透明のものであるが、上記の樹脂層4内に固着された状態では固体ガラスと同様に透明となり、その状態での屈折率は1.58程度であって先に述べた樹脂層4の屈折率の範囲内であることから、樹脂層4内において優れた透明度と視認性を確保できるものである。ただし、補強シート6としてのガラスクロスの厚さが0.75mmを越えると視認性の低下が不可避であるので好ましくなく、0.4mm未満であると十分な補強効果が得られないので好ましくない。 【0018】 補強シート6としてのガラスクロスを積層するに際しては、ガラスクロス自体を補強ネット5上に積層してその上に樹脂を塗布することも考えられるが、後述のようにガラスクロスに予め樹脂を含浸させたプリプレグシート8(たとえば♯230ガラスクロスタイプのプリプレグシート)を用いればより施工性に優れる。すなわち、上記の樹脂層4を形成するための樹脂と同じ可視光硬化型ビニルエステル樹脂を予めガラスクロスに含浸させたプリプレグシート8を用いれば、それを補強ネット5上に積層することのみで、ガラスクロスの積層とそれを固着するための樹脂の塗布とを同時に行うことができるので効率的である。 【0019】 なお、補強ネット5は補強対象範囲に全面的に固着するが、補強シート6は必ずしも全面的に固着することはなく、必要箇所にのみ固着すれば良い。また、ガラスクロスと同様のガラス繊維による素材としてガラスマットや不織布もあるが、これらはガラスクロスのように繊維を縦横に整然と織り込むものではないことから可視性および強度の点で劣り、本実施形態における補強シート6としては好ましくない。 【0020】 補強層1を構成する各層の具体例とその特性、およびそれによる補強層1全体の特性を以下に示す。 ・プライマー層3 エポキシ樹脂(昭和高分子株式会社製、EP−3800) 層厚0.15mm、全光線透過率94.5%、屈折率1.57 ・樹脂層4 可視光硬化型ビニルエステル樹脂(昭和高分子株式会社製、LC−3800)、 層厚0.45mm、全光線透過率81.1%、屈折率1.56 ・補強ネット5 高密度ポリエチレン2軸メッシュ(倉敷紡績株式会社製、クレネットDN5500)、 目合い2.0cm ・補強シート6 プリプレグシート(♯230ガラスクロスに可視光硬化型ビニルエステル樹脂を含浸、 昭和高分子株式会社製、LCS−3800) 層厚0.406mm、全光線透過率88.8%、屈折率1.58 ・補強層1全体 層厚約0.9mm、全光線透過率68.0%、屈折率1.60 【0021】 コンクリート表面2に補強層1を形成するには、まず必要に応じてコンクリート表面2に対して止水や洗浄、サンディング等の前処理を行った後、エポキシ系樹脂をプライマーとして塗布して自然硬化させ、プライマー層3を形成する。必要に応じて不陸修正を行った後、プライマー層3上に樹脂層4を形成するための可視光硬化型ビニルエステル樹脂を下塗りし、その上に補強ネット5としての高密度ポリエチレン2軸メッシュを積層し、さらにその上に同樹脂を上塗りする。 【0022】 次いで、補強シート6としてのガラスクロスに予め可視光硬化型ビニルエステル樹脂を含浸させたプリプレグシート8を補強ネット5上の要所に積層し、しかる後に、補強ネット5およびプリプレグシート8に対して、たとえばメタルハライドランプにより可視光を照射する。これにより、プリプレグシート8に含浸されている樹脂およびその下層に塗布されている樹脂の全体が20分程度の短時間で硬化して樹脂層4が形成され、直ちに十分な強度が発現してその樹脂層4内に補強ネット5および補強シート6としてのガラスクロスが積層状態で強固に固着される。以降は、必要に応じて適宜の仕上げ、たとえば耐候性を向上させるためのアクリル樹脂の仕上げ塗装等を行えば良い。 【0023】 図4〜図9は、トンネル覆工壁を対象とするコンクリート剥落防止工法として、上記の補強層1をトンネル覆工壁の表面に形成する場合の具体的な施工例を示すものである。この場合、図4に示すようにトンネルの両側部から頂部の範囲にわたる範囲には補強ネット5のみを固着し(その固着のための構造は図1〜図3に示した補強層1の構造から補強シート6を省略したものとすれば良い)、その補強ネット5の縁部と、補強ネット5どうしのジョイント部、および特に増強する必要のある部分に対しては、さらに補強シート6としてのガラスクロスを積層して、それら補強ネット5と補強シート6とを図1〜図3に示した構造でトンネル覆工壁としてのコンクリートの表面に対して固着することとする。 【0024】 すなわち、図4に示すように、トンネル軸方向に一定幅寸法を有する補強ネット5を、トンネル両側部から頂部にかけて可視光硬化型ビニルエステル樹脂により全面的に隙間なく固着したうえで、各補強ネット5の縁部と、補強ネット5どうしのジョイント部には、図5および図6(図4(b)におけるV部およびVI部の拡大図)に示すようにさらに帯状の補強シート6(プリプレグシート8)を積層して上記構造の補強層1を形成することにより、コンクリート表面に対する補強ネット5全体の固着強度を十分に高めることができる。なお、図6に示すように補強ネット5どうしのジョイント部においては、双方の補強ネット5を重ね合わせることなく縁部どうしを突き合わせるに留め、双方の縁部に跨るように補強シート6を積層する。双方の補強ネット5の縁部どうしを重ね合わせた場合にはそこで段差が生じるばかりでなく、そこでの層厚が過大になって視認性が低下する懸念があり好ましくない。 【0025】 また、コンクリート表面に特に監視を必要とするような顕著なひび割れが既に生じているような場合には、図7に示すようにそのひび割れ9の位置に補強シート6を積層して増強することが好ましい。また、図8に示すようにコンクリート表面に突出している照明器具等の設置物10がある場合には、その位置において補強ネット5を切除して開口部を形成して設置物10との干渉を避けるが、その場合には開口部の周囲に補強シート6を積層して増強すると良い。さらに、図9に示すように、コンクリートを充填した調査用ボーリング孔11の位置に対しても同様に補強シート6を積層して増強すれば良い。 【0026】 以上のように、トンネル覆工壁の対象範囲に全面的に補強ネット5を積層することに加えて、要所にはさらに補強シート6を積層して補強層1を形成することにより、トンネル覆工壁の劣化や老朽化によりコンクリート片が剥落するといった事態を未然に防止できるし、そのような補強層1を形成した後も補強層1を通してコンクリート表面をそのまま目視観察できるから、補強後におけるひび割れ9の発生やその進展等も支障なく監視することができる。 【0027】 なお、本発明は上記実施形態のようなトンネル覆工壁を対象とするのみならず、たとえば高速道路や鉄道高架橋のコンクリート製の床版、壁部、欄干部、道路立体交差点におけるアンダーパスの内壁面、コンクリート製の煙突等、様々な用途、形態のコンクリート構造物を対象として、それらからのコンクリート片の剥落を防止し、あるいはその健全性や安全性を監視する必要がある場合に、広く適用できることは当然である。勿論、対象とするコンクリート構造物やその補強目的、要求される補強性能や視認性の程度、その他の諸条件を考慮して、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で適宜の設計的変更が可能であることは言うまでもなく、たとえば補強層の形成方法としては、単に補強ネットを可視光硬化型ビニルエステル樹脂によって直貼りすることも含めて、様々な変更が可能である。 【図面の簡単な説明】 【0028】 【図1】本発明の実施形態である補強層の構造を模式的に示す図である。 【図2】同、拡大断面図である。 【図3】同、補強層の各層を分解して示す断面図である。 【図4】同、トンネル覆工壁への適用例を示す図である。 【図5】同、補強ネットの縁部への適用例を示す図である。 【図6】同、補強ネットどうしのジョイント部への適用例を示す図である。 【図7】同、ひび割れ部への適用例を示す図である。 【図8】同、各種設置物の位置への適用例を示す図である。 【図9】同、調査用ボーリング孔の位置への適用例を示す図である。 【符号の説明】 【0029】 1 補強層 2 コンクリート表面 3 プライマー層(エポキシ系樹脂) 4 樹脂層(可視光硬化型ビニルエステル樹脂) 5 補強ネット(高密度ポリエチレン2軸メッシュ) 6 補強シート(ガラスクロス) 7 繊維束 8 プリプレグシート 9 ひび割れ 10 設置物 11 調査用ボーリング孔
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| 【出願人】 |
【識別番号】301031392 【氏名又は名称】独立行政法人土木研究所 【識別番号】000002299 【氏名又は名称】清水建設株式会社 【識別番号】000187068 【氏名又は名称】昭和高分子株式会社 【識別番号】000001096 【氏名又は名称】倉敷紡績株式会社
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| 【出願日】 |
平成17年6月23日(2005.6.23) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100064908 【弁理士】 【氏名又は名称】志賀 正武
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| 【公開番号】 |
特開2007−2514(P2007−2514A) |
| 【公開日】 |
平成19年1月11日(2007.1.11) |
| 【出願番号】 |
特願2005−183438(P2005−183438) |
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