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【発明の名称】 鉄筋コンクリート柱の耐震補強工法
【発明者】 【氏名】友森 剛二

【氏名】青木 雅

【氏名】芳賀 勇治

【要約】 【課題】ストラップによる既存の鉄筋コンクリート柱の緊締を簡単かつ低コストでなし得るようにする。

【解決手段】既存の鉄筋コンクリート柱1にスチールストラップ10をループ状に巻付けて、その巻き始端部と巻き終端部との重ね部にシール金具12を嵌合し、ハンディタイプの結束工具によりスチールストラップ10を引締めならが前記シール金具12を局所的にかしめて、前記重ね部を固結し、鉄筋コンクリート柱1に所定のピッチで巻装した多数のスチールストラップ10により鉄筋コンクリート柱1を緊締して、そのせん断耐力を増大させる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
既存の鉄筋コンクリート柱にストラップをループ状に巻付けて緊締する耐震補強工法において、前記ストラップとしてスチールストラップを選択し、該スチールストラップの巻き始端部と巻き終端部との重ね部を、ハンディタイプの結束工具を用いて引締めながらシール金具を介して固結することを特徴とする鉄筋コンクリート柱の耐震補強工法。
【請求項2】
既存の鉄筋コンクリート柱にストラップをループ状に巻付けて緊締する耐震補強工法において、前記ストラップとしてプラスチックバンドを選択し、該プラスチックバンドの巻き始端部と巻き終端部との重ね部を、ハンディタイプの結束工具を用いて引締めながら溶着することを特徴とする鉄筋コンクリート柱の耐震補強工法。
【請求項3】
鉄筋コンクリート柱が断面四角形である場合、該鉄筋コンクリート柱の隅角を事前に面取りすることを特徴とする請求項1または2に記載の鉄筋コンクリート柱の耐震補強工法。

【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、既存の鉄筋コンクリート柱を補強する耐震補強工法に係り、特に鉄筋コンクリート柱にストラップを巻付けて緊締する耐震補強工法に関する。
【背景技術】
【0002】
既存の鉄筋コンクリート柱を補強する耐震補強工法としては、鉄筋コンクリート柱の周囲に鋼板を設置して、該鋼板と鉄筋コンクリート柱との間隙にモルタルを注入する鋼板補強工法(例えば、特許文献1参照)、あるいは炭素繊維等の高強度繊維または高強度繊維シートを鉄筋コンクリート柱に巻付ける繊維補強工法(例えば、特許文献2、3等参照)が従来より知られている。しかし、鋼板補強工法によれば、鋼板の設置に溶接作業が必要であるため、火気対策が必要であり、その上、面倒なモルタルの注入作業も必要で、施工性の面で問題が多い。一方、繊維補強工法によれば、単に鉄筋コンクリート柱に繊維や繊維シートを巻付けて接着剤により固めるだけであるため、大きな締付力が得られず、その上、高価な繊維材料の使用により施工コストが増大する、という問題があった。
【0003】
そこで、例えば、特許文献4に記載の耐震補強工法では、鉄筋コンクリート柱にアラミド繊維からなる帯状緊張部材(ストラップ)をループ状に巻付け、該帯状緊張部材の両端部に予め形成した止め輪部分に係合させた締結手段(ボルト、ナット等)により、該帯状緊張部材を締結することを行っている。この工法によれば、ストラップによる緊締で既存鉄筋コンクリート柱のせん断耐力が増大することに加え、材料コストが低減し、上記繊維補強工法における諸問題を解決できるようになる。また、前記帯状緊張部材に代えてスチールストラップを用いれば、溶接を始めモルタル注入作業が不要になり、上記鋼板補強工法における諸問題も解決できることになる。
【特許文献1】特開平9−32312号公報
【特許文献2】特開平11−324343号公報
【特許文献3】特開平11−2030号公報
【特許文献4】特開2003−314065号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献4に記載の耐震補強工法によれば、ストラップ(帯状緊張部材)の両端の止め輪部分に締結手段を連繋させる作業を始め、ボルト、ナットを締結する面倒な作業が必要で、施工性の改善効果が不十分である。また、ストラップの両端部に止め輪部分を形成する加工(端部加工)が必要であることに加え、締結手段としてボルト、ナットなど多くの部品点数が必要で、施工コストの低減効果も不十分である。
【0005】
本発明は、上記した従来の問題点に鑑みてなされたもので、その課題とするところは、ストラップによる既存の鉄筋コンクリート柱の緊締を簡単かつ低コストでなし得るようにし、もって施工性の改善、施工時間の短縮並びに施工コストの低減に大きく寄与する耐震補強工法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するための第1の発明は、既存の鉄筋コンクリート柱にストラップをループ状に巻付けて緊締する耐震補強工法において、前記ストラップとしてスチールストラップを選択し、該スチールストラップの巻き始端部と巻き終端部との重ね部を、ハンディタイプの結束工具を用いて引締めながらシール金具を介して固結することを特徴とする。
【0007】
本第1の発明においては、ハンディタイプの結束工具を利用してスチールストラップによる鉄筋コンクリート柱の緊締を簡単に行うことができる。また、スチールストラップの固結に要する部材はシール金具だけであるので、ストラップに対する端部加工はもとよりボルト、ナット等の締結手段が不要になり、コスト的にも有利となる。
【0008】
上記課題を解決するための第2の発明は、既存の鉄筋コンクリート柱にストラップをループ状に巻付けて緊締する耐震補強工法において、前記ストラップとしてプラスチックバンドを選択し、該プラスチックバンドの巻き始端部と巻き終端部との重ね部を、ハンディタイプの結束工具を用いて引締めながら溶着することを特徴とする。
【0009】
本第2の発明においては、第1の発明と同様、ハンディタイプの結束工具を利用してプラスチックバンドによる鉄筋コンクリート柱の緊締を簡単に行うことができるが、溶着によりプラスチックバンドを固結するので、上記シール金具を含めて一切の締結部材が不要になり、施工性はもちろん施工コストの面で、極めて有利となる。
【0010】
本第1および第2の発明において、上記鉄筋コンクリート柱が断面四角形である場合、該鉄筋コンクリート柱の隅角を事前に面取りするのが望ましく、この場合は、ストラップを効率よく引締めることができるばかりか、応力集中によるストラップの破断を防止できる。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る鉄筋コンクリート柱の耐震補強工法によれば、ストラップによる既存の鉄筋コンクリート柱の締付けを簡単かつ低コストでなし得るので、施工性の改善、施工時間の短縮並びに施工コストの低減とを達成できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明を実施するための最良の形態を添付図面に基づいて説明する。
【0013】
図1および2は、本発明の一つの実施形態を示したものである。本実施形態は、既存建造物の鉄筋コンクリート柱1にスチールストラップ10をループ状に巻付けて、該スチールストラップ10により鉄筋コンクリート柱1を緊締しようとするものである。スチールストラップ10は、既存建造物の上・下梁2、2間に位置する鉄筋コンクリート柱1の露出部分に所定のピッチで多数巻付けられており、それぞれの始端部(巻き始端部)と終端部(巻き終端部)との重ね部11(図2)が、後述のシール金具12を介して固結されている。鉄筋コンクリート柱1は、ここでは断面四角形となっており、その4つの隅角が斜面3(丸みでもよい)にて面取りされている。なお、スチールストラップ10は、一例としてその板厚が0.5〜1.2mm、その板幅が25〜35mm程度の大きさとなっている。また、鉄筋コンクリート柱1に対するスチールストラップ10の巻付ピッチは、一例として3〜10cm程度に設定される。
【0014】
本実施形態において、鉄筋コンクリート柱1に対するスチールストラップ10の巻付けおよび固結はハンディタイプの結束工具を用いて行う。このハンディタイプの結束工具は、ストラップを引締めるための専用工具と前記シール金具12を介してスチールストラップ10の両端の重ね部を固結するための専用工具とを含む。このような専用工具は、船舶フープラッシング用ツールとして、鋼鈑工業社から「LT−60型テンショナー」、「LC−32型シーラー」の名称にてセットで市販されている。一方、シール金具12は、前記専用工具に付随するのもとして、同じ鋼鈑工業社から「ラッシングシール」の名称にて市販されている。このシール金具12は、図3に示されるように、C字形をなしており、その内面12aは梨地状に仕上げられている。なお、このシール金具12の長さは、一例として10cm程度となっている。
【0015】
鉄筋コンクリート柱1に対するスチールストラップ10の巻付けおよび固結に際しては、予め鉄筋コンクリート柱1の周長に所定の重ね代をプラスした寸法に裁断した定寸のスチールストラップ10を用意する。そして、先ず、該スチールストラップ10を鉄筋コンクリート柱1に巻付け、その両端部をシール金具12に通しながら重ね合せ、次に、前記ハンディタイプの結束工具としてのテンショナーに、前記シール金具12に隣接するスチールストラップ10の重ね部11を把持させ、該テンショナーの作動によりスチールストラップ10を引締める。この時、鉄筋コンクリート柱1の隅角が斜面3にて面取りされているので、スチールストラップ10を効率よく引締めることができる。また、前記面取りによりスチールストラップ10に応力が集中することがなくなり、該スチールストラップ10の破断が防止される。
【0016】
次に、スチールストラップ10の重ね部11に係止されているシール金具12に前記シーラーを係合させ、該シーラーを作動させる。すると、図2に示されるように、シール金具12の両側部が該シーラーにより局所的にかしめられ(かしめ部13)、スチールストラップ10は、前記テンショナーによって引締められた状態を維持しながら、その始端部と終端部との重ね部11がシール金具12を介して固結される。この場合、シール金具12の梨地状の内面12aがスチールストラップ10に圧接するので、引抜き方向に摩擦抵抗が働き、前記かしめ部13によるかしめと相俟ってスチールストラップ10の両端の重ね部11(継手部分)は強固に固結される。
【0017】
上記した鉄筋コンクリート柱1に対するスチールストラップ10の巻付けおよび固結は、鉄筋コンクリート柱1に沿って所定のピッチで繰返され、これにより、図1に示されるように鉄筋コンクリート柱1は多数のスチールストラップ10により緊締される。そして、この多数のスチールストラップ10による緊締で、鉄筋コンクリート柱1のせん断耐力が増大し、該鉄筋コンクリート柱1は著しく耐震性に優れたものとなる。しかして、スチールストラップ10の固結に用いたシール金具12は、扁平形状となっているので、鉄筋コンクリート柱1の表面をモルタル等で仕上げる場合に、薄く仕上げることができ、これによって既存建造物内の空間の狭小化は最小限に抑えられる。
【0018】
なお、上記実施形態においては、スチールストラップ10の両端部の重ね部11を1個のシール金具12により固結したが、本発明は、2個以上のシール金具12で固結してもよいものである。図4は、スチールストラップ10の両端部の重ね部11を2個のシール金具12により固結した実施形態を示したもので、ここでは、2個のシール金具12が相隣接して配置されている。この場合、スチールストラップ10の重ね部11の長さを上記実施形態における場合よりも長く設定することは当然である。このように2個以上のシール金具12でスチールストラップ10の両端部の重ね部11を固結することで、継手部分の接合強度が高まり、耐震補強に対する信頼性はより一層向上する。
【0019】
また、上記実施形態においては、スチールストラップ10を所定のピッチ(3〜10cm程度)で鉄筋コンクリート柱1に巻付けるようにしたが、本発明は、スチールストラップ10を隙間を開けずに密に巻付けるようにしてもよいもので、この場合は、スチールストラップ10による鉄筋コンクリート柱1の緊締効果がより一層向上する。また、上記実施形態においては、該スチールストラップ10を一巻きしてその両端部を固結したが、本発明は、スチールストラップ10を複数巻きしてもよいもので、この場合は、スチールストラップ10の強度が増して、耐震補強に対する信頼性はより一層向上する。
【0020】
さらに、上記実施形態においては、ハンディタイプの結束工具として引締め専用のテンショナーと固結専用のシーラーとを用い、両者の協働でスチールストラップ10の引締めおよび固結を行うようにしたが、引締め、固結およびカットを1台で連続的に実行できるハンディタイプの結束工具を利用する場合は、より効率的にスチールストラップ10の引締めおよび固結を行うことができる。また、この場合は、スチールストラップ10の余剰部分を自動的にカットできるので、スチールストラップを巻回してなるストラップロールからスチールロールを引出しながら鉄筋コンクリート柱に巻付けることができる。
【0021】
ここで、本発明は、鉄筋コンクリート柱の緊締に用いるストラップとして、上記スチールストラップ10に代えてプラスチックバンドを選択することができる。この場合、プラスチックバンドとしては、できるだけ引張強度に優れたものを選択する。引張強度に優れたプラスチックバンドとしては、例えば、重梱包バンドとして多用されているポリエステルバンドがある。鉄筋コンクリート柱に対する該プラスチックバンドの巻付けおよび固結は、上記実施形態と同様にハンディタイプの結束工具を用いて行う。この場合、プラスチックバンドの引締め、溶着およびカットを連続的に実行できる機能を有するものを選択するのが望ましい。このようなハンディタイプの結束工具としては、鋼鈑工業社から「MV型コンビネーションツール」の名称で市販されているプラスチックバンド用ツールがある。
【0022】
鉄筋コンクリート柱に対してプラスチックバンドを巻付けおよび固結に際しては、プラスチックバンドを巻回してなるバンドロールからプラスチックロールを引出しながら、これをコンクリート柱に巻付け、この巻き始端部と巻き終端部との重ね部を上記コンビネーションツールに把持させて、引締め、溶着およびカットを連続的に行う。このようにストラップを溶着により固結する場合は、上記シール金具12を含めて一切の締結部材が不要になり、上記スチールストラップ10を用いる上記実施形態に比べて、施工性が大幅に向上するばかりか施工コストが大幅に低減する。なお、このプラスチックバンドを鉄筋コンクリート柱に巻付ける場合も、上記スチールストラップ10における場合と同様に、隙間なく密に巻付けても、あるいは複数巻きしてもよいことはもちろんである。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】スチールストラップを用いて行う本発明の一つの実施形態を示す斜視図である。
【図2】図1に示した実施形態におけるスチールストラップの固結状態を示したもので、(A)表面側の状態を示す斜視図と(B)裏面側の状態を示す斜視図である。
【図3】図1に示した実施形態で用いるシール金具の外観形状を示す斜視図である。
【図4】2個のシール金具を用いた、スチールストラップの固結状態を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0024】
1 鉄筋コンクリート柱
3 斜面(面取り)
10 スチールストラップ
11 スチールストラップの重ね部
12 シール金具
13 かしめ部

【出願人】 【識別番号】000222668
【氏名又は名称】東洋建設株式会社
【出願日】 平成17年6月23日(2005.6.23)
【代理人】 【識別番号】100068618
【弁理士】
【氏名又は名称】萼 経夫

【識別番号】100104145
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 嘉夫

【識別番号】100080908
【弁理士】
【氏名又は名称】舘石 光雄

【識別番号】100109690
【弁理士】
【氏名又は名称】小野塚 薫

【識別番号】100135035
【弁理士】
【氏名又は名称】田上 明夫

【識別番号】100131266
【弁理士】
【氏名又は名称】▲高▼ 昌宏

【識別番号】100093193
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 壽夫

【識別番号】100104385
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 勉

【識別番号】100093414
【弁理士】
【氏名又は名称】村越 祐輔

【識別番号】100131141
【弁理士】
【氏名又は名称】小宮 知明


【公開番号】 特開2007−2512(P2007−2512A)
【公開日】 平成19年1月11日(2007.1.11)
【出願番号】 特願2005−183412(P2005−183412)