| 【発明の名称】 |
ピンニング工法用の注入ノズルおよびこれを用いたピンニング工法 |
| 【発明者】 |
【氏名】藤田 正吾
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| 【要約】 |
【課題】躯体と仕上げ材との間に複数の「浮き」が生じていても、これに十分に接着剤を注入することができるピンニング工法用の注入ノズルおよびこれを用いたピンニング工法を提供する。
【解決手段】仕上げ材3を貫通し且つコンクリート躯体2の所定の深さまで穿孔した挿填穴5に対し、その開口部を封止しながら接着剤Rを注入するためのピンニング工法用の注入ノズル12において、注入器本体11に装着され、内部に注入器本体11に連通する接着剤流路49を有するノズルボディ26と、基端部でノズルボディ26に保持され、先端部に主吐出口41を有すると共に、内部に接着剤流路49と主吐出口41とを連通する注入流路37を有するノズル筒21と、を備え、ノズル筒21の周面に、注入流路37に連通する1以上の副吐出口50を設けたものである。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 注入器本体に装着して用いられ、 仕上げ材を貫通し且つ躯体の所定の深さまで穿孔した挿填穴に対し、その開口部を封止しながら接着剤を注入するためのピンニング工法用の注入ノズルにおいて、 前記注入器本体に装着され、内部に前記注入器本体に連通する接着剤流路を有するノズルボディと、 基端部で前記ノズルボディに保持され、先端部に主吐出口を有すると共に、内部に前記接着剤流路と前記主吐出口とを連通する注入流路を有するノズル筒と、を備え、 前記ノズル筒の周面には、前記注入流路に連通する1以上の副吐出口が設けられていることを特徴とするピンニング工法用の注入ノズル。 【請求項2】 前記仕上げ材は、装飾材とこれを躯体に貼着するモルタルとから成り、 前記ノズル筒の周面には、前記接着剤の注入時に、前記装飾材と前記モルタルとの境界部分および前記モルタルと前記躯体との境界部分に臨むように、少なくとも2つの前記副吐出口が形成されていることを特徴とする請求項1に記載のピンニング工法用の注入ノズル。 【請求項3】 前記ノズル筒の周面には、軸方向に等間隔となるように複数の前記副吐出口が形成されていることを特徴とする請求項1に記載のピンニング工法用の注入ノズル。 【請求項4】 前記ノズル筒における前記副吐出口の各形成箇所において、周方向に複数の前記副吐出口が形成されていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載のピンニング工法用の注入ノズル。 【請求項5】 前記各副吐出口は、前記接着剤の注入初期において、前記接着剤の吐出抵抗が、前記主吐出口の前記接着剤の吐出抵抗に比して大きくなるよう構成されていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載のピンニング工法用の注入ノズル。 【請求項6】 前記ノズルボディは、 前記注入筒を保持すると共に外周面で前記挿填穴の開口部を封止するボディ本体と、 前記ボディ本体を前記注入器本体に装着するための装着金具と、から成り、 前記ボディ本体は、フッ素ゴムおよびブチルゴムのいずれかで構成されていることを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載のピンニング工法用の注入ノズル。 【請求項7】 請求項1ないし6のいずれかに記載のピンニング工法用の注入ノズルと、前記注入ノズルが着脱自在に装着される前記注入器本体とから成る接着剤注入器を用い、前記躯体および前記仕上げ材から成る壁体を補修するピンニング工法において、 前記仕上げ材を貫通し、且つ前記躯体を所定の深さまで穿孔して前記挿填穴を形成する穿孔工程と、 前記接着剤注入器により前記挿填穴の開口部を封止しつつ前記挿填穴に前記接着剤を注入する接着剤注入工程と、 前記接着剤が注入された前記挿填穴に、アンカーピンを挿填するピン挿填工程と、 を備えたことを特徴とするピンニング工法。
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【発明の詳細な説明】【技術分野】 【0001】 本発明は、いわゆる「浮き」が生じた外壁や内壁等の壁体の補修に使用されるピンニング工法用の注入ノズルおよびこれを用いたピンニング工法に関するものである。 【背景技術】 【0002】 従来、この種のピンニング工法に用いられる樹脂(接着剤)注入用の注入ノズルとして、軸心に樹脂流路を有するノズルボディ(ボディ本体)と、基端部がノズルボディに保持され、内部に樹脂流路と先端の吐出口とを連通する注入流路を形成したノズル針(ノズル筒)と、を備えているものが知られている(特許文献1参照)。 【0003】 この注入ノズルを用いたピンニング工法では、仕上げ材および躯体(コンクリート躯体)からなる外壁の要補修箇所において、仕上げ材を貫通し且つ躯体を所定の深さまで挿填穴を穿孔し、次に、挿填穴に樹脂注入器に装着された注入ノズルを挿入して、その開口部を封止しつつ樹脂注入器を操作(ポンピング)し、樹脂を挿填穴の最深部から徐々に満たしてゆく。さらに、ポンピングを繰り返し行うことにより、樹脂を躯体とモルタルとの間の浮き部に行き渡らせてゆく。樹脂の注入が完了したら、注入ノズルを引き抜いた後、挿填穴にアンカーピンを挿填する。 【特許文献1】特開2003−147971号公報 【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】 【0004】 しかしながら、仕上げ材がタイル等の装飾材とモルタルとから成る場合、躯体とモルタルとの間のみならず、装飾材とモルタルとの間にも「浮き」が生じている場合がある。かかる場合、このような従来の注入ノズルでは、樹脂が挿填穴の最深部から注入されるため、先にコンクリート躯体とモルタルとの間の「浮き」のほうにのみ樹脂が広がってしまい、モルタルと装飾材との間の「浮き」に樹脂が達せず、モルタルと装飾材との間の「浮き」に、樹脂を十分に行き渡らせることができない問題があった。また、装飾材の貼り直しを行っているような場合、既設のモルタルと貼り直し時のモルタルとの間にも「浮き」が生じ、この「浮き」にも樹脂を十分に行き渡らせることができない問題点があった。 【0005】 そこで、本発明は、挿填穴の深さ方向において複数の「浮き」が生じていても、これに十分に接着剤を注入することができるピンニング工法用の注入ノズルおよびこれを用いたピンニング工法を提供することを課題としている。 【課題を解決するための手段】 【0006】 本発明のピンニング工法用の注入ノズルは、注入器本体に装着して用いられ、仕上げ材を貫通し且つ躯体の所定の深さまで穿孔した挿填穴に対し、その開口部を封止しながら接着剤を注入するためのピンニング工法用の注入ノズルにおいて、注入器本体に装着され、内部に注入器本体に連通する接着剤流路を有するノズルボディと、基端部でノズルボディに保持され、先端部に主吐出口を有すると共に、内部に接着剤流路と主吐出口とを連通する注入流路を有するノズル筒と、を備え、ノズル筒の周面には、注入流路に連通する1以上の副吐出口が設けられていることを特徴とする。 【0007】 この構成によれば、ノズルボディにより挿填穴の開口部を封止しつつノズル筒から挿填穴に接着剤を注入してゆくと、接着剤は、ノズル筒の主吐出口から吐出されると共に副吐出口からも吐出される。すなわち、接着剤は、挿填穴の深さ方向の最深部および最深部以外の部分から同時に満たされていく。このため、躯体とモルタルとの間の浮き部(「浮き」)は元より、モルタルと装飾材との間等の複数の浮き部にも、接着剤を確実に注入することができる。 【0008】 この場合、仕上げ材は、装飾材とこれを躯体に貼着するモルタルとから成り、ノズル筒の周面には、接着剤の注入時に、装飾材とモルタルとの境界部分およびモルタルと躯体との境界部分に臨むように、少なくとも2つの副吐出口が形成されていることが、好ましい。 【0009】 この構成によれば、接着剤は、躯体とモルタルとの境界部分に臨むように設けられた副吐出口により、躯体とモルタルとの間の浮き部に注入されてゆくと同時に、モルタルと装飾材との境界部分に臨むよう設けられた副吐出口により、モルタルと装飾材との間の浮き部に注入されてゆく。すなわち、主吐出口による最深部への接着剤の充填と同時に、躯体とモルタルとの間の浮き部およびモルタルと装飾材との間の浮き部にも、接着剤を確実に行き渡らせることができる。 【0010】 同様に、ノズル筒の周面には、軸方向に等間隔となるように複数の副吐出口が形成されていることが、好ましい。 【0011】 この構成によれば、主吐出口から吐出された接着剤は、挿填穴の最深部から注入されてゆく。同時に、複数の副吐出口から吐出された接着剤は、挿填穴の浅い部分、中間部分、深い部分に注入されてゆく。したがって、躯体とモルタルとの間やモルタルと装飾材との間等の複数の浮き部に、接着剤を確実に注入することができる。 【0012】 これらの場合、ノズル筒における副吐出口の各形成箇所において、周方向に複数の副吐出口が形成されていることが、好ましい。 【0013】 この構成によれば、副吐出口の各形成箇所において、接着剤は、一方向のみならず多方向に吐出されるため、各浮き部の周方向に接着剤をムラ無く行き渡らせることができる。 【0014】 これらの場合、各副吐出口は、接着剤の注入初期において、接着剤の吐出抵抗が、主吐出口の接着剤の吐出抵抗に比して大きくなるよう構成されていることが、好ましい。 【0015】 この構成によれば、接着剤注入の際、接着剤は、先ず先端側の主吐出口から吐出し、挿填穴の最深部から徐々に満たされてゆく。やがて最深部に注入した接着剤により主吐出口側の吐出抵抗が大きくなってくると、今度は、副吐出口からも接着剤を吐出する。したがって、挿填穴の最深部にエアーが封じこめられることがなく、複数の浮き部をはじめ挿填穴の各部に、接着剤を十分に且つ効率良く行き渡らせることができる。 【0016】 これらの場合、ノズルボディは、注入筒を保持すると共に外周面で挿填穴の開口部を封止するボディ本体と、ボディ本体を注入器本体に装着するための装着金具と、から成り、ボディ本体は、フッ素ゴムおよびブチルゴムのいずれかで構成されていることが、好ましい。 【0017】 この構成によれば、ノズルボディを挿填穴の開口部に押圧すると、ボディ本体の外周面が、これに密接すると共にフッ素ゴムまたはブチルゴムの弾性特性により適宜変形し、開口部を確実に封止する。この封止により、挿填穴からの接着剤の戻りが阻止され、接着剤を過不足なく充填できる。また、フッ素ゴムおよびブチルゴムは、耐溶剤性であるため、接着剤による経時的な劣化を防ぐことができる。 【0018】 本発明のピンニング工法は、上記の注入ノズルと、注入ノズルが着脱自在に装着される注入器本体とから成る接着剤注入器を用い、躯体および仕上げ材から成る壁体を補修するピンニング工法において、仕上げ材を貫通し、且つ躯体を所定の深さまで穿孔して挿填穴を形成する穿孔工程と、接着剤注入器により挿填穴の開口部を封止しつつ挿填穴に接着剤を注入する接着剤注入工程と、接着剤が注入された挿填穴に、アンカーピンを挿填するピン挿填工程と、を備えたことを特徴とする。 【0019】 この構成によれば、主吐出口および副吐出口を設けたノズル筒を有する注入ノズルを用いるため、接着剤を、躯体とモルタルとの間の浮き部およびモルタルと装飾材との間の浮き部等の複数の浮き部に十分に行き渡らせることができる。 【発明の効果】 【0020】 以上のように、本発明によれば、ノズル筒に副吐出口を設けたことにより、挿填穴の深さ方向に複数の「浮き」が生じていても、これに十分に接着剤を注入することができる。したがって、「浮き」の位置や形態に関わらず、これが生じた壁体の完璧な補修が可能となる。 【発明を実施するための最良の形態】 【0021】 以下、添付の図面に参照して、本発明の一実施形態に係るピンニング工法用の注入ノズル、およびこれを用いたピンニング工法について説明する。このピンニング工法は、「浮き」が生じた建物の外壁や内壁等の要補修箇所に穿孔した挿填穴に、その開口部から接着剤注入器の注入ノズルを挿入して接着剤を注入し、その後、アンカーピンを挿填して、これを補修するものである。以下、建物の外壁に施工する場合について説明する。 【0022】 図1は、外壁に対して樹脂注入器10を使用する施工状態の模式図である。同図に示すように、建物の外壁1は、コンクリート躯体2と、その表面に塗着されたモルタル7と、これに貼ったタイルや石材等からなる装飾材8とで、構成されている。この場合、コンクリート躯体2とモルタル7との間には第1浮き部(空隙)5、およびモルタル7と装飾材8との間には第2浮き部6がそれぞれ生じているものとする。外壁1の要補修箇所には、仕上げ材3(装飾材8およびモルタル7)を貫通し且つコンクリート躯体2を所定の深さまで穿孔した挿填穴5が形成されている。そして、その挿填穴5に対し、接着剤注入器10による接着剤Rの注入とアンカーピン70の挿填とを行い、外壁1の補修を完了させる。 【0023】 なお、本発明は、図10(c)に示すように、仕上げ材3が、モルタル7のみから成り、モルタル7がコンクリート躯体2の表面に塗着されている外壁や、図示しないが外壁やタイルの張替えによりモルタルが2重に施工されている外壁等にも適用可能である。 【0024】 図2に示すように、樹脂注入器10は、接着剤Rを供給するポンプ形式の注入器本体11と、注入器本体11に着脱自在に装着された注入ノズル12とで構成されている。注入器本体11は、先端に注入ノズル12が着脱に装着されポンプ本体17と、ポンプ本体17の後端に取り付けられる円筒状のケーシング16とを備えている。また、ポンプ本体17には、その脇にポンプ操作のための略「L」字状のレバー18が取り付けられ、ケーシング16の内部には、接着剤Rが充填されている。そして、注入器本体11を手持ちして、レバー18を操作(ポンピング)させることにより、接着剤Rが一定量ずつ注入ノズル12から吐出する。接着剤Rは、ここではピンニング工法に一般的に使用されるエポキシ系樹脂を用いているが、接着剤の機能を有するものであればよく、例えば、無機接着剤等を用いてもよい。 【0025】 図3および図4に示すように、注入ノズル12は、ポンプ本体17に連結されるノズルボディ26と、ノズルボディ26の先端部に装着される注射針様のノズル筒21とで構成されている。ノズルボディ26は、ノズル筒21を保持する先端側のボディ本体22と、そのノズルボディ26を注入器本体11に取り付けるための基端側の装着金具28とで構成される。ボディ本体22は、先端側に挿填穴5の開口部を封止するためのテーパ部31が設けられた小筒体32と、その後端に連続した大筒体33とで一体に構成されており、小筒体32と大筒体33は内部軸心を一連に貫通された貫通孔を有している。この場合、ボディ本体22は、接着剤Rに対する耐溶剤性を考慮すると共に、開口部への封止性を考慮し、例えばフッ素ゴムまたはブチルゴムで一体に構成されている。また、大筒体33は、後述する装着金具28のジョイント部材23に連結される装着凹部36が後端内部に設けられており、装着凹部36の溝底部には、抜け止めとして機能するワッシャ35が付設される。 【0026】 装着金具28は、ボディ本体22の大筒体33後部に接続(当接)するジョイント部材23と、ボディ本体22とジョイント部材23を密接させるように連結する締結部材24とで構成されている。ジョイント部材23は、大筒体33の装着凹部36に差し込まれるノズル連結部46と、ノズル連結部46の尾端側に連続した中間の締結用雄ねじ部47と、締結用雄ねじ部47から注入器本体11側に延在するポンプ側雄ねじ部48とで構成されている。ジョイント部材23は、ステンレス等で一体に構成され、その軸心には、ノズル筒21をスライド可能に許容し且つ接着剤Rの流路となる接着剤流路49が形成されている。ポンプ側雄ねじ部48は、注入器本体11のポンプ本体17に形成された雌ねじ部(図示省略)に螺合し、注入ノズル12を注入器本体11に着脱自在に装着させる。なお、図中(図4(c))の符号59は、ジョイント部材23をねじ込むための工具係合部である。 【0027】 ノズル連結部46は、ボディ本体22の装着凹部36の内径と合致する円筒状の凸部であると共に、装着凹部36の深さに対応した所定の長さを有して延在している。そして、ノズル連結部46を装着凹部36に差し込み、ノズル連結部46の先端部を装着凹部36の底部に当接させることで、ボディ本体22とジョイント部材23とが仮連結される。 【0028】 締結用雄ねじ部47は、ボディ本体22の大筒体33の外径よりも僅かに太径に形成されていると共に、締結部材24の締結用雌ねじ部53(後述する)に螺合される。この締結用雄ねじ部47と締結用雌ねじ部53との螺合により、締結部材24がジョイント部材23に固定され、この締結力をにより大筒体33が引き付けられてノズル連結部46に強密着する。これにより、ボディ本体22とジョイント部材23とが液密に本連結される。 【0029】 締結部材24は、スチール等の金属製であって、ボディ本体22の小筒体32の外径に対応して形成した締結側小円筒部51と、大筒体33の外径に対応して形成した締結側大円筒部52とで一体に形成されている。締結側大円筒部52内の後半部には、上記の締結用雄ねじ部47と螺合する締結用雌ねじ部53が形成されている。 【0030】 ノズル筒21は、ステンレス等の金属製であって、ボディ本体22内(貫通孔34)でスライド自在に保持されていると共に、弾性材料であるボディ本体22の心材としても機能している。ノズル筒21は、先端部に形成した主吐出口41と、周面に複数の副吐出口50と、尾端部にロート状に拡開形成した規制部42とを有し、吐出口41に連なる内部の注入流路37がジョイント部材23の接着剤流路49と連通している。 【0031】 規制部42は、尾端に向かってロート状に拡開形成されていることで、ボディ本体22(ワッシャ35)に対するノズル筒21の先方へのスライドが規制されるようになっている。すなわち、規制部42が装着凹部36(ワッシャ35)の底部に当接し、ノズル筒21がボディ本体22の先端側から抜け落ちないようになっている。さらに、規制部42は、ボディ本体22に差し込んだジョイント部材23内から流れてくる接着剤Rをノズル筒21内へと円滑に導くと共に、ノズル筒21に対し注入力の作用する面積を大きくし、ノズル筒21が接着剤Rの注入力(流動抵抗)を受けて、ボディ本体22から前進し易くしている。 【0032】 主吐出口41は、パイプ材を斜めに切断して断面楕円状の開口に形成されており、ノズル筒21の先端部が挿填穴5の最深部に突き当てられた状態であっても閉塞することがないため、接着剤Rを円滑に注入することができる。この場合、パイプ材は、挿填穴5の径にもよるが、3mm〜5mm径程度のものを用いることが好ましい。 【0033】 ノズル筒21の周面には、ノズル筒21の軸方向に、長さL1(10mm程度)の間隔を置いて各一対複数の副吐出口50が形成されている。すなわち、図5(a)に示すように、この副吐出口50の形成箇所には、ノズル筒21の径方向に対面するよう一対に副吐出口50が形成され、この一対の副吐出口50が軸方向に間隔を存して複数組(4組)形成されている。これにより、接着剤Rが挿填穴5の周面に均一に広がって注入されてゆくため、注入ムラを防ぐことができる。また、図示では副吐出口50は円形となっているが、楕円等の形状でも良い。 【0034】 また、ノズル筒21は、基端から先端までの部分、つまり全体が同径のストレート形状に形成されている。本実施形態では、ノズル筒21は、挿填穴5から引き抜かれたノズル筒21に付着した接着剤Rとの総体積が、アンカーピン70の体積とほぼ一致するように形成されている。したがって、ストレート形状のノズル筒21の径を変えることで、ノズル筒21(挿填穴5に挿入される部分)の体積を正確且つ容易に調整することができ、様々な径の挿填穴5およびアンカーピン70に容易に対応させることができる。また、各副吐出口50は、接着剤Rの注入初期において、接着剤Rの吐出抵抗が、主吐出口41の前記接着剤の吐出抵抗に比して大きくなるように構成されている。これにより、まず挿填穴5の最深部に接着剤Rを注入し満たしてゆき、その後、副吐出口50からの吐出と共に接着剤Rを挿填穴5全体に行き渡らせることができるため、挿填穴5の最深部にエアー溜りが生じるのを防止することができる。 【0035】 また、図5(b)に示すように、副吐出口50は、その各形成箇所において、ノズル筒21の周方向に複数周設されていても良く、これにより、挿填穴5の内周面に接着剤Rを均一に広げてゆくことができる。この場合、径方向に対峙する一対2組の副吐出口50を、僅かに軸方向に位置ずれさせて配設することが好ましい。 【0036】 このような注入ノズル12において、接着剤Rの流路は、ポンプ本体17に連なるジョイント部材23の接着剤流路49とノズル筒21内部の注入流路37とにより構成されている。したがって、接着剤Rは、レバー18のポンピングにより注入器本体11からポンプ本体17へ、そして注入ノズル12に流れてゆき、ポンプ本体17に連なるジョイント部材23の接着剤流路49からノズル筒21内部の注入流路37へと流れてゆき、これに連通する主吐出口41および副吐出口50から吐出する。 【0037】 次に、図6を参照して、アンカーピン70について説明する。アンカーピン70は、ステンレス等で構成されており、棒状のピン胴部72と、ピン胴部72の上端に固着された円盤状のピン頭部71と、で構成されている。ピン胴部72は、挿填穴5の径よりも幾分細径に形成され、引抜き強度を高めるためその外周面に雄ねじが螺刻されている。ピン頭部71は、挿填穴5の開口部より大きい径で薄肉に形成されており、上端面が装飾材8の色彩に調和するように色付け等が施されている。 【0038】 このようなアンカーピン70をもって、挿填穴5に挿填すると、ピン胴部72が挿填穴5の最深部へ押し込まれ、接着剤Rを介してコンクリート躯体2、モルタル7および装飾材8をアンカリングし、また、ピン頭部71が、挿填穴5の開口部を蓋うように閉塞する。このとき、ピン頭部71が、薄肉且つ上端面が装飾材8の色彩に調和するように色付け等が施されているため、補修後の痕跡を目立ち難いものとすることができる。すなわち、アンカーピン70は挿填穴5からの接着剤Rの溢れを防止し、この状態で接着剤Rが凝固することで、ピン胴部72が接着剤Rを介して挿填穴5に固着される。(図7(a)参照) 【0039】 また、アンカーピン70のピン頭部71を、皿状に形成したものを用い、挿填穴5の開口縁部を皿もみ形状に面取りし、アンカーピン70を挿填する方法(図7(b)参照)や、挿填穴5の開口縁部に挿填穴5よりも径の大きい座ぐり穴を開けアンカーピン70を挿填する方法(図7(c)参照)で行っても良い。これらの方法を用いることにより、ピン頭部71の表面が装飾材8の表面と面一になり且つアンカーピン70のピン頭部71は装飾材8に調和するよう着色等がなされているため、施工後、アンカーピン70が極めて目立ち難くすることができる。 【0040】 次に図8ないし図9の工程図を参照して、上記の接着剤注入器10を用いた外壁1の補修を行うピンニング工法について施工手順に従って説明する。このピンニング工法は、外壁1を打鍵し挿填穴5の穿孔位置(浮き部)を決定する打鍵工程と、その穿孔位置の外壁1に挿填穴5を穿孔する穿孔工程と、接着剤注入器10を使用して挿填穴5に接着剤Rを注入する接着剤注入工程と、接着剤Rが注入された挿填穴5にアンカーピン70を挿填するピン挿填工程と、から成る。 【0041】 打鍵工程では、ハンマー等で仕上げ材3の表面を叩き、その音によって要補修箇所を打診し、挿填穴5の穿孔位置を決定した後、テープやエアスプレーなどで穿孔位置のマーキングが行われる。 【0042】 穿孔工程では、コンクリートドリル等の穿孔工具75を使用して、マーキングした箇所に対し、装飾材8およびモルタル7を貫通し、コンクリート躯体2を所定の深さまで穿孔させ、挿填穴5を形成する。この際、穿孔は外壁1に対し直角に行い、コンクリート躯体2への穿孔深さは30mm以上とする。また、挿填穴5は、アンカーピン70が遊嵌できるように一回り大きな径を形成する。その後、コンクリート躯体2の切粉等が挿填穴5内に残留しているような場合において、切粉等を電気ブロア等で、挿填穴5内を清掃する除去工程を行う。 【0043】 接着剤注入工程では、ボディ本体22のテーパ部43が当接してその挿入深さを規制されるまで、挿填穴5に注入ノズル12を挿入し、テーパ部43で挿填穴5の開口部を封止する。このとき、ノズル筒21の吐出口35が挿填穴5の最深部に達していないものとなっているが、この状態で、テーパ部43で挿填穴5の開口部を押し付けて、注入器本体11のレバー18を操作(ポンピング)して、接着剤Rを挿填穴5に注入していく。 【0044】 注入器本体11のレバー18によりポンピングを開始すると、ノズル筒21が基端側をボディ本体22に保持された状態でスライドし前進してゆく、そしてノズル筒21の先端部は、挿填穴5の最深部に突き当たり、前進がストップする。さらに再度ポンピングを継続すると、主吐出口41より接着剤Rが吐出し、挿填穴5の最深部から接着剤Rを徐々に注入されてゆく。やがて、コンクリート躯体2とモルタル7との間の第1浮き部4に流入し、これと相前後して、副吐出口50からも接着剤Rが吐出され、挿填穴5の軸方向に沿って広がってゆきモルタル7と装飾材8との間の第2浮き部6にも流入する。このとき、挿填穴中間部に、エアー溜りができるが、注入ノズル12を挿填穴5から引き抜くときの負圧により、エアーは抜けることになる。上述したように、各々の副吐出口50は、接着剤Rの注入初期において、接着剤Rの吐出抵抗が、主吐出口41の前記接着剤の吐出抵抗に比して大きくなるように構成されている。そのため、先ず主吐出口41により吐出された接着剤Rは、挿填穴5の最深部を満たしてゆき、その後副吐出口50の各々の箇所から吐出された接着剤Rと共に各浮き部へ行き渡る。 【0045】 ピン挿填工程では、接着剤Rが注入された挿填穴5に対し、アンカーピン70のピン胴部72を案内させながら挿填していく。アンカーピン70は、挿填穴5内の接着剤Rを押し込むように最深部に対し挿填されていく。それに伴い、接着剤Rは、ピン胴部72となじむように隙間に流動し、さらにその一部は挿填穴5の開口部に向かって押し出されていく。アンカーピン70のピン胴部72が最深部に達するところで、ピン頭部71が挿填穴5の開口部を閉止する。この場合、接着剤注入工程において、ノズル筒21を引き抜いた後に生ずる接着剤Rが注入されていない未注入部分の体積と、アンカーピン70の体積とがほぼ同一となるように構成しているため、挿填穴5にアンカーピン70を挿入したときに、挿填穴5から接着剤Rがほとんど漏れ出ることなく、挿填穴5を接着剤Rでほぼ満たすことができる。そして、この状態で養生することにより、アンカーピン70は接着剤Rを介して、コンクリート躯体2およびモルタル7、モルタル7および装飾材8を十分な引抜き強度を持ってアンカリングする。 【0046】 以上のように、本実施形態の注入ノズル12によれば、主吐出口41から挿填穴5の最深部へ、複数の副吐出口50から挿填穴5の軸方向に沿って各浮き部4、6へ接着剤Rを効率よく注入してゆくことができるため、コンクリート躯体2とモルタル7との間、モルタル7と装飾材8との間に生じた浮き部4、6に十分に接着剤Rを注入することができる。したがって、外壁1に対しアンカーピン70と接着剤Rを有効に作用させることができ、「浮き」が生じた外壁1の完璧な補修が可能となる。 【0047】 次に、図10(a)を参照して、本発明の接着剤注入器10における注入ノズルの第2実施形態について説明する。この実施形態における注入ノズル100は、ノズル筒89に、接着剤Rを注入する際において、装飾材8とモルタル7との境界部分(浮き部4)に臨むように副吐出口90が、モルタルとコンクリート躯体2との境界部分(浮き部6)に臨むように副吐出口91がそれぞれ設けられている。ノズル筒89の副吐出口90、91以外のその他の構成は、第1実施形態と同様であるため説明を省略する。 【0048】 この注入ノズル100を用いて接着剤Rを注入してゆくと、接着剤Rは、主吐出口41から挿填穴5の最深部へ、副吐出口90からコンクリート躯体2とモルタルと7の間の浮き部4へ、副吐出口91からモルタル7と仕上げ材3との間の浮き部6へ注入されてゆく。このとき、接着材Rの注入初期に副吐出口90は、吐出抵抗が大きくなっているため、先ず主吐出口41より接着材Rは、挿填穴5の最深部から開口部に向かい徐々に注入されるが、最深部に接着剤Rが満たされる頃には、副吐出口90からも各浮き部4、6へ注入が開始され、やがて挿填穴5の全体に接着剤Rが充填される。このように、接着剤Rは、コンクリート躯体2とモルタル7との間、モルタル7と装飾材8との間に生じた浮き部4、6に直接注入されてゆくため、より効率の良い補修作業が可能となる。 【0049】 次に、第2実施例の注入ノズル100の第1変形例について図10(b)を用いて説明する。この第1変形例では、ノズル筒21に浮き部6に対応して1つ(1箇所)あるいは1箇所に複数個の副吐出口50が形成されている。具体的には、同図(b)に示すように、副吐出口90が、注入ノズル100に装飾材8とモルタル7との浮き部6に臨むように設けられている。この場合、主吐出口41から、先ず、挿填穴5の最深部へ行き渡らせ、コンクリート躯体2とモルタルと7の間の浮き部4へ流入させる、これと相前後して副吐出口90からモルタル7と仕上げ材3との間の浮き部6へ注入されてゆく。このため、主吐出口41のみでは、接着剤Rをモルタル7と仕上げ材3との間の浮き部6にまで行き渡らすのは困難であるが、副吐出口90から直接浮き部6へ接着剤Rを注入するため、確実に両浮き部4、6へ接着剤Rを行き渡らせることができる。 【0050】 次に、第2実施例の注入ノズル100の第2変形例について説明する。この第2変形例では、図10(c)で示されるように、仕上げ材3がモルタル7のみからなる場合において、副吐出口90が、コンクリート躯体2とモルタル7との浮き部4に臨むように設けられている。これにより、主吐出口41から先ず、接着剤Rを挿填穴5の最深部へ行き渡らせ、これと相前後して、副吐出口90から直接コンクリート躯体2とモルタル7との浮き部4へ接着剤Rの注入が行われるため、浮き部4へも確実に接着剤Rを行き渡らせることができる。 【0051】 次に、図11を用いて第3実施形態について詳述する。本実施形態の注入ノズル110は、ノズル筒115とボディ本体113を除いては、第1実施形態と同様の構成であるため説明を省く。第3実施形態の注入ノズル110では、先端に主吐出口111を有し、且つ周面に複数の副吐出口112を有するノズル筒115と、ノズル筒115を先端側に固着したボディ本体113と、ボディ本体113を注入器本体17に着脱自在に装着する装着金具114と、で構成されている。このノズル筒115は、ボディ本体113の先端に一体的に固着される。副吐出口112は、ノズル筒115の軸方向に長さL1(10mm程度)の間隔を置いて設けられている。また、このノズル筒115は、先端に向かってスローテーパ形状に形成されていると共に、樹脂材料で構成されており、挿填穴5の挿填深さに合わせて先端側を適宜切断して用いるようになっている。 【0052】 この注入ノズル110を用いて、接着剤Rの注入を行う際、先端を挿填穴5の深さに合わせ主吐出口111と同様に切断することにより、確実に挿填穴5の最深底部に突き当てることができ、第1実施形態と同様に接着剤Rを各浮き部へ行き渡らせることができる。 【0053】 また、各実施例における副吐出口50、90の径や形状および実施例1、3における各副吐出口50同士の配置間隔距離L1は、適宜変更可能であることは言うまでもない。 なお、各実施例において注入流路37を構成するノズル筒21、89、115の径(内径および外径)においても、適宜変更可能であることは言うまでもない。 【図面の簡単な説明】 【0054】 【図1】樹脂注入器と、外壁に形成した挿填穴との関係を表した断面模式図であって、(a)は仕上げ材がモルタルとタイルとから成る場合の図、(b)は仕上げ材がモルタルのみから成る場合の図である。 【図2】樹脂注入器の平面図である。 【図3】ピンニング工法用注入ノズルの平面図である。 【図4】ピンニング工法用注入ノズルの分解平面図である。 【図5】ノズル筒の断面図であり、(a)は副吐出口をノズル筒の周方向に対面するように2つ設けたものであり、(b)は副吐出口をノズル筒の周方向に複数設けたものである。 【図6】アンカーピンの平面図である。 【図7】ピンニング工法の施工工程を示し、(a)樹脂注入工程前期図、(b)樹脂注入工程中期図、および(c)樹脂注入工程後期図である。 【図8】ピンニング工法の施工工程を示し、(a)挿填穴から注入ノズルを引き抜いた図、(b)ピン挿填工程前期図、および(c)ピン挿填工程後期図である。 【図9】(a)は、アンカーピンのピン挿填工程図であり、(b)、(c)は、アンカーピンの変形例に係るピン挿填工程図である。 【図10】(a)は、第2実施形態に係る、(b)は、第2実施形態に係る第1変形例の、(c)は、第2実施形態に係る第2変形例の、注入ノズルを用いて外壁に形成した挿填穴に対して使用する断面模式図である。 【図11】第3実施形態に係る注入ノズルの平面図である。 【符号の説明】 【0055】 1…外壁 2…コンクリート躯体 3…仕上げ材 4…第1浮き部 5…挿填穴 6…第2浮き部 7…モルタル 8…装飾材 10…樹脂注入器 11…注入器本体 12…注入ノズル 17…ポンプ本体 21…ノズル筒 22…ボディ本体 23…ジョイント部材 24…締結部材 26…ノズルボディ 28…装着金具 34…貫通孔 37…注入流路 41…主吐出口 50…副吐出口 70…アンカーピン 71…ピン頭部 72…ピン胴部
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| 【出願人】 |
【識別番号】598078252 【氏名又は名称】有限会社デー・ジー・ピー 【識別番号】503032795 【氏名又は名称】DGP・ホリ・コンダクター株式会社
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| 【出願日】 |
平成17年6月21日(2005.6.21) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100093964 【弁理士】 【氏名又は名称】落合 稔
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| 【公開番号】 |
特開2007−2442(P2007−2442A) |
| 【公開日】 |
平成19年1月11日(2007.1.11) |
| 【出願番号】 |
特願2005−181128(P2005−181128) |
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