| 【発明の名称】 |
ピンニング工法用の研削ビット、これを用いたピンニング工法およびこれに用いるアンカーピン |
| 【発明者】 |
【氏名】藤田 正吾
|
| 【要約】 |
【課題】熟練を要することなく、アンカーピンのピン頭部の径に合致した頭部収容穴を形成することができると共に、工具寿命を長くすることができるピンニング工法用の研削ビット、これを用いたピンニング工法およびこれに用いるアンカーピンを提供する。
【解決手段】電動ドリル15に装着され、仕上げ材3を貫通し且つ躯体2を所定の深さまで穿孔した挿填穴10の開口縁部に、アンカーピン30の挿填に先立ち、アンカーピン30のピン頭部31を収容するための頭部収容穴11を形成するピンニング工法用の研削ビット20において、基端側を電動ドリル15に保持されるシャンク21と、シャンク21の先端部に設けられ、球状に形成された研削砥石22と、を備え、研削砥石22の直径R1は、使用するアンカーピン30のピン頭部31の直径R2と略同径に形成されている。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 電動ドリルに装着され、 仕上げ材を貫通し且つ躯体を所定の深さまで穿孔したアンカーピン挿填用の挿填穴の開口縁部に、前記挿填穴に挿填されるアンカーピンのピン頭部を収容するための頭部収容穴を形成するピンニング工法用の研削ビットにおいて、 基端側を前記電動ドリルに保持されるシャンクと、 前記シャンクの先端部に設けられ、球状に形成された研削砥石と、を備え、 前記研削砥石の直径は、使用する前記アンカーピンの前記ピン頭部の直径と略同径に形成されていることを特徴とするピンニング工法用の研削ビット。 【請求項2】 前記研削砥石は、ダイヤモンド砥石であることを特徴とする請求項1に記載のピンニング工法用の研削ビット。 【請求項3】 請求項1または2に記載のピンニング工法用の研削ビットを用いて、前記躯体および前記仕上げ材から成る壁体を補修するピンニング工法において、 前記仕上げ材を貫通し、且つ前記躯体を所定の深さまで穿孔して前記挿填穴を形成する穿孔工程と、 前記電動ドリルに装着した前記研削ビットを用いて前記挿填穴の開口縁部に前記頭部収容穴を形成する収容穴研削工程と、 前記挿填穴に接着剤を注入する接着剤注入工程と、 前記接着剤が注入された前記挿填穴に前記アンカーピンを、前記ピン頭部が前記頭部収容穴に収容されるように挿填するピン挿填工程と、 を備えたことを特徴とするピンニング工法。 【請求項4】 前記ピン頭部は、前記仕上げ材と同色に着色され、 前記ピン挿填工程において、前記ピン頭部の表面と前記仕上げ材の表面とが面一になるよう前記アンカーピンを挿填することを特徴とする請求項3に記載のピンニング工法。 【請求項5】 請求項3または4に記載のピンニング工法に用いるアンカーピンであって、 前記挿填穴に挿入されるピン胴部と、 前記ピン胴部の一端に設けられ、前記頭部収容穴に収容される前記ピン頭部と、を備え、 前記ピン頭部は、薄肉の円板状に形成されていることを特徴とするアンカーピン。 【請求項6】 請求項3または4に記載のピンニング工法に用いるアンカーピンであって、 前記挿填穴に挿入されるピン胴部と、 前記ピン胴部の一端に設けられ、前記頭部収容穴に収容される前記ピン頭部と、を備え、 前記ピン頭部は、皿状に形成されていることを特徴とするアンカーピン。
|
【発明の詳細な説明】【技術分野】 【0001】 本発明は、いわゆる「浮き」が生じた外壁や内壁等の壁体の補修に使用されるピンニング工法用の研削ビット、これを用いたピンニング工法およびこれに用いるアンカーピンに関するものである。 【背景技術】 【0002】 従来、この種の研削ビットとして、電動ドリルの先端に装着されるシャンクと、シャンクの先端部に設けられ、先細りの円錐状に形成された研削砥石と、を備えたものが知られている(特許文献1参照)。一方、この研削ビットを用いたピンニング工法として、仕上げ材およびコンクリート躯体からなる外壁の要補修箇所に、挿填穴を穿孔する穿孔工程と、穿孔した挿填穴の開口縁部(仕上げ材部分)を皿もみ形状に面取りする面取り工程と、穿孔した挿填穴に樹脂を注入する樹脂注入工程と、樹脂が注入された挿填穴にアンカーピンを挿填するピン挿填工程と、を備えたものが知られている。 【0003】 この場合、面取り工程において、研削ビットを回転させながら、穿孔した挿填穴の開口縁部に、研削砥石を押し当てこれを研削してゆくと、開口縁部は、皿もみ形状に面取りされてゆく。この後、挿填穴内に樹脂を注入し、アンカーピンを挿填すると、皿状に形成されたアンカーピンのピン頭部は、面取り部分(開口縁部)に収容され、仕上げ材の表面とピン頭部の表面とは面一に施工される。なお、ピン頭部は、仕上げ材の表面の色彩と合致しているため、外壁の補修箇所は極めて目立ち難いものとなる。 【特許文献1】特開2004−238847号公報 【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】 【0004】 しかしながら、このような円錐状の研削ビットでは、研削砥石の押し当て加減(研削深さ)により、挿填穴の面取り部分の大きさが区々になってしまうことがあった。すなわち、研削深さが不十分で開口縁部の径がアンカーピンのピン頭部の径より小さい場合には、仕上げ材の表面とピン頭部の表面とが面一になるよう再研削を要し、研削深さが過剰で開口縁部の径がピン頭部の径より大きい場合には、挿填したアンカーピンのピン頭部の径と開口縁部との間に間隙ができ、例え、ピン頭部を仕上げ材と同色に着色しても、間隙が目立ち、外壁の意匠性を損なうことになる。すなわち、研削ビットによる研削作業に熟練を要する問題があった。また、研削砥石は、円錐側面の一部のみを使用して挿填穴の開口縁部を研削するため、部分的に磨耗が進み、工具寿命が短くなる問題があった。 【0005】 そこで本発明は、熟練を要することなく、アンカーピンのピン頭部の径に合致した頭部収容穴を形成することができると共に、工具寿命を長くすることができるピンニング工法用の研削ビット、これを用いたピンニング工法およびこれに用いるアンカーピンを提供することを課題とする。 【課題を解決するための手段】 【0006】 本発明のピンニング工法用の研削ビットは、電動ドリルに装着され、仕上げ材を貫通し且つ躯体を所定の深さまで穿孔したアンカーピン挿填用の挿填穴の開口縁部に、挿填穴に挿填されるアンカーピンのピン頭部を収容するための頭部収容穴を形成するピンニング工法用の研削ビットにおいて、基端側を電動ドリルに保持されるシャンクと、シャンクの先端部に設けられ、球状に形成された研削砥石と、を備え、研削砥石の直径は、使用するアンカーピンのピン頭部の直径と略同径に形成されていることを特徴とする。 【0007】 この構成によれば、研削ビットを回転させながら、穿孔した挿填穴の開口縁部に研削砥石を押し当てると、研削砥石は、挿填穴にガイドされて挿填穴の開口縁部を半球状に研削する。ここで、更に深く研削したとしても、挿填穴の開口縁部は、研削砥石の直径以上に研削されることがないため、熟練を要しない作業者でも、常に略同径の頭部収容穴を適切に形成することができる。そして、この頭部収容穴が形成された挿填穴にアンカーピンを挿填すると、頭部収容穴の径とアンカーピンのピン頭部との径が合致するため、開口縁部と挿填したアンカーピンのピン頭部との間に大きな隙間ができることがない。また、研削砥石の球面の一部が磨耗しても、研削ビットを傾けて研削作業を行うことで、研削砥石の球面のほぼ全域を活用した研削が可能となる。つまり、研削ビットの傾度を変化させることにより、研削砥石の球面をまんべんなく使用することができ、研削ビットの工具寿命を長くすることができる。なお、研削砥石の磨耗による目減りを考慮し、研削砥石の直径は、アンカーピンのピン頭部の直径よりわずかに大径(0.5mm程度大径)に形成することが好ましい。また、ここに言う「球状」とは、完全な球体を言うものではなく、例えば、研削砥石のシャンク連結部分が平坦に形成されたものも含む概念である。 【0008】 この場合、研削砥石は、ダイヤモンド砥石であることが、好ましい。 【0009】 この構成によれば、仕上げ材が、石材またはモルタル等の硬質材料であっても、挿填穴の開口縁部を効率よく研削することができる。 【0010】 本発明のピンニング工法は、上記のピンニング工法用の研削ビットを用いて、躯体および仕上げ材から成る壁体を補修するピンニング工法において、仕上げ材を貫通し、且つ躯体を所定の深さまで穿孔して挿填穴を形成する穿孔工程と、電動ドリルに装着した研削ビットを用いて挿填穴の開口縁部に頭部収容穴を形成する収容穴研削工程と、挿填穴に接着剤を注入する接着剤注入工程と、接着剤が注入された挿填穴にアンカーピンを、ピン頭部が頭部収容穴に収容されるように挿填するピン挿填工程と、を備えたことを特徴とする。 【0011】 この構成によれば、壁体の要補修箇所に挿填穴を穿孔した後、電動ドリルに装着した研削ビットを用いて、挿填穴の開口縁部に頭部収容穴を形成する。この場合、上記の研削ビットを用いているため、頭部収容穴の径は、アンカーピンのピン頭部の径と略同径とすることができる。そして、挿填穴内に接着剤を注入し、この挿填穴にアンカーピンを挿填すると、頭部収容穴の径とアンカーピンのピン頭部の径とが合致し、開口縁部と挿填したアンカーピンのピン頭部との間に大きな隙間ができることはない。そして、接着剤が硬化することにより、接着剤とアンカーピンを介して仕上げ材は、躯体に固定される。 【0012】 この場合、ピン頭部は、仕上げ材と同色に着色され、ピン挿填工程において、ピン頭部の表面と仕上げ材との表面とが面一になるよう収容されることが、好ましい。 【0013】 この構成によれば、仕上げ材の表面と面一になったピン頭部の表面は、仕上げ材の表面の色彩と合致するため、隙間の狭さと相まって壁体の補修箇所を目立ち難いものとすることができる。 【0014】 本発明のピンニング工法用のアンカーピンは、上記のピンニング工法に用いるアンカーピンであって、挿填穴に挿入されるピン胴部と、ピン胴部の一端に設けられ、頭部収容穴に収容されるピン頭部と、を備え、ピン頭部は、薄肉の円板状に形成されていることを特徴とする。 【0015】 この構成によれば、形成された半球状の頭部収容穴に、ピン頭部を収容し、仕上げ材の表面とピン頭部の表面とを面一にすることができると共に、壁体の補修箇所を目立ち難いものとすることができる。 【0016】 本発明の他のピンニング工法用のアンカーピンは、上記のピンニング工法に用いるアンカーピンであって、挿填穴に挿入されるピン胴部と、ピン胴部の一端に設けられ、頭部収容穴に収容されるピン頭部と、を備え、ピン頭部は、皿状に形成されていることを特徴とする。 【0017】 この構成によれば、形成された半球状の頭部収容穴に、ピン頭部を収容し、仕上げ材の表面とピン頭部の表面とを面一にすることができると共に、壁体の補修箇所を目立ち難いものとすることができる。 【発明の効果】 【0018】 以上のように、本発明によれば、研削ビットの研削砥石は球状で且つアンカーピンのピン頭部と略同径に形成されているため、熟練を要することなく、頭部収容穴の径は、常にアンカーピンのピン頭部と略同径に形成することができると共に、研削ビットの工具寿命を長くすることができる。 【発明を実施するための最良の形態】 【0019】 以下、添付の図面に基づいて、本発明の一実施形態に係るピンニング工法用の研削ビット、これを用いたピンニング工法およびこれに用いるアンカーピンについて説明する。このピンニング工法は、「浮き」が生じた建物の外壁、および吹き抜けやホール等の内壁(壁体)の要補修箇所に穿孔した挿填穴に、その開口部から接着剤を注入して「浮き」に行き渡らせ、その後、アンカーピンを挿填して、これを補修するものである。これに用いられる研削ビットは、詳細は後述するが、挿填穴の開口縁部に、アンカーピンのピン頭部を収容する頭部収容穴を形成するものである。以下、この研削ビットを用いて、建物の外壁に施工する場合について説明する。 【0020】 図1は、外壁に対して電動ドリルに装着した研削ビットを使用する模式図である。建物の外壁1は、図示左側から、下地となるコンクリート躯体2と、その表面を覆う仕上げ材3とで構成されている。図1(b)を参照すると、仕上げ材3は、コンクリート躯体2の表面に塗着されるモルタル層4と、これに貼ったタイルまたは石材等の装飾層5と、で構成されており、コンクリート躯体2とモルタル層4との間、および/またはモルタル層4と装飾層5との間には、浮き部(空隙)6が生じている。なお、以下の説明では、重複した記載を避けるため、仕上げ材3がモルタル層4のみからなる図1(a)の場合について説明する。 【0021】 外壁1には、仕上げ材3(モルタル層4)を貫通してコンクリート躯体2を所定の深さまで穿孔した挿填穴10が形成されている。図1の仮想線で示すように、この挿填穴10の開口縁部には、電動ドリル15に装着した研削ビット20を用いて、アンカーピン30のピン頭部31を収容する頭部収容穴11が形成される。 【0022】 ここで、図2(a)を参照して、研削ビット20について説明する。研削ビット20は、丸棒状のシャンク21と、シャンク21の先端部に形成された球状の研削砥石22と、で一体形成されている。シャンク21は、ステンレス製またはスチール製の棒材であり、先端側を研削砥石22に埋め込まれ、基端側で、電動ドリル15に保持される。そして、電動ドリル15にシャンク21を装着し、これを回転させながら、研削砥石22を挿填穴10の開口縁部に押し当てると、研削砥石22は、挿填穴10にガイドされながら開口縁部を深さ方向に研削し、半球状の頭部収容穴11を形成する。また、更に挿填穴10の開口縁部を深さ方向に研削したとしても、研削砥石22は球状に形成されているため、この直径R1以上の頭部収容穴11を形成することはない。 【0023】 また、研削砥石22は、ダイヤモンド砥粒と結合剤とを焼結して形成したダイヤモンド砥石であり、その径R1は、アンカーピン30のピン頭部31の径R2(図3参照)と略同径に形成されている。このため、モルタルまたは石材等の硬質材料を研削することができるが、経時的に研削砥石22は磨耗により目減りする。この研削砥石22の磨耗を考慮し、若干研削砥石22の径R1のほうがピン頭部31の径R2よりも略0.5mm大きな径に形成されている。この研削砥石22を用いて、挿填穴10の開口縁部を研削すると、研削砥石22の球面の一部、つまり開口縁部に対する研削砥石22の当接面のみが目減りするが、シャンク21の傾きを変え当接面を変化させることで、研削砥石22の球面のほぼ全域を使用することができる。 【0024】 次に、図3を参照して、アンカーピン30について説明する。アンカーピン30は、ステンレス等で構成されており、薄肉(0.5mm前後)に形成された円板状のピン頭部31と、ピン頭部31と一体に形成された棒状のピン胴部32と、から構成されている。ピン頭部31は、球状の研削砥石22の径R1と略同径に形成されており、挿填穴10内にアンカーピン30を挿填すると、ピン胴部32が、挿填穴10の最深部まで達すると共に、そのピン頭部31が、挿填穴10の開口縁部に形成された頭部収容穴11内に収容され、ピン頭部31の径R2と頭部収容穴11の径R3とが合致する。 【0025】 ピン胴部32には、引抜き強度を高めるべくその外周面に雄ねじが螺刻されており、挿填穴10の径よりも幾分細径に形成されている。ピン頭部31は、外壁補修箇所の表面となる上端面が仕上げ材3の色彩に合致するように焼付け塗装等により着色されている。 【0026】 アンカーピン30を、ピン頭部31の表面と仕上げ材3の表面とが面一になるよう挿填穴10内に挿填すると、ピン胴部32が接着剤50を介してコンクリート躯体2および仕上げ材3をアンカリングすると共に、ピン頭部31が挿填穴10の頭部収容穴11に収容され、互いの径R2、R3が合致する。これにより、ピン頭部31は頭部収容穴11の開口部を閉塞すると共に、頭部収容穴11の径R3とピン頭部31の径R2との間に間隙ができることはない(図5(f)参照)。また、仕上げ材3の表面と面一になったピン頭部31の表面は、仕上げ材3の表面の色彩と合致するため、ピン頭部31の径R2と頭部収容穴11の径R3との隙間の狭さと相まって外壁1の補修箇所を目立ち難いものとすることができる。 【0027】 次に、図4および図5の工程図を参照して、上記の研削ビット20およびアンカーピン30を用いた外壁1の補修を行うピンニング工法について施工手順に従って説明する。このピンニング工法は、外壁1を打鍵して挿填穴10の穿孔位置(浮き部6)を決定する打鍵工程と、その穿孔位置の外壁1に挿填穴10を穿孔する穿孔工程と、電動ドリル15に装着した研削ビット20を用いて挿填穴10の開口縁部に頭部収容穴11を形成する収容穴研削工程と、穿孔した挿填穴10に接着剤50を注入する接着剤注入工程と、接着剤50が注入された挿填穴10にアンカーピン30を挿填するピン挿填工程と、から成る。 【0028】 打鍵工程では、ハンマー等を用いて外壁1を打鍵し、その打鍵音に基づいて外壁1の要補修箇所、すなわちコンクリート躯体2と仕上げ材3との浮き部6を探査し、挿填穴10の穿孔位置を決定する。これに続いて、穿孔位置に適宜マーキングが行われる。 【0029】 穿孔工程では、ダイヤモンドコアドリル等の穿孔工具40を使用して、マーキングした外壁1の各穿孔位置を穿孔する。すなわち、仕上げ材3を貫通するようにしてコンクリート躯体2を所定の深さまで穿孔し、挿填穴10を形成する。この際、外壁1に対し穿孔は直角に行い、コンクリート躯体2への穿孔深さは30mm以上とする。また、挿填穴10は、アンカーピン30が遊嵌できるように一回り大きな径(1mm〜2mm太径)を形成する。その後、コンクリート躯体2の切粉等が挿填穴10内に残留しているため、切粉等をブロア等で噴気、または真空集塵機等で吸引、清掃し除去する。もっとも、湿式ドリルを用いれば、冷却水と共に切粉が流出するため、この除去工程は、省略される。 【0030】 収容穴研削工程では、電動ドリル15に装着した球状の研削ビット20を、挿填穴10の開口縁部に押し当て、挿填穴10にガイドされながら深さ方向に研削し、半球状の頭部収容穴11を形成する。なお、研削砥石22の磨耗具合によって、適宜シャンク21の傾度を変化させる、つまり挿填穴10の軸線に対し傾けることで、開口縁部を研削する研削砥石22の球面の部分を変化させ、磨耗していない部分を用いて研削する。 【0031】 接着剤注入工程では、ポンプ形式の接着剤注入器41を使用する。この接着剤注入器41は、注入器本体42とこれに装着される注入ノズル43とで構成され、注入ノズル43は、ノズル本体44と、ノズル本体44の軸心に進退自在に保持される注入針45とで構成されている。このように構成された接着剤注入器41を使用して、挿填穴10内に注入ノズル43を挿入し接着剤50を注入すると、注入針45が前進して挿填穴10の最深部から接着剤50を徐々に満たしてゆき、その後、コンクリート躯体2と仕上げ材3との間に接着剤50を行き渡らせてゆく。十分に注入されると、ポンピングが極端に重くなり、接着剤50の注入が完了したことが体感される。なお、この工程において、接着剤注入器41を引き抜いた後に生ずる接着剤50が注入されていない未注入部分の体積と、アンカーピン30の体積とがほぼ同一となるように構成しているため、アンカーピン30を挿填すると、接着剤50が漏れ出ることなく、挿填穴10を接着剤50でほぼ満たすことができる。 【0032】 ピン挿填工程では、接着剤50が注入された挿填穴10に対し、挿填穴10に形成された頭部収容穴11の開口部から、アンカーピン30を挿填していく。アンカーピン30は、挿填穴10内の接着剤50を押し込むように最深部に対し挿填されていく。これに伴い、接着剤50は、ピン胴部32となじむように隙間に流動し、さらにその一部は挿填穴10の開口部に向かって押し出されていく。この後、ピン頭部31は頭部収容穴11に収容され、頭部収容穴11の径R3とピン頭部31の径R2とが合致し、ピン頭部31の表面は、仕上げ材3の表面と面一の状態で養生される。そして、アンカーピン30は接着剤50を介して、コンクリート躯体2および仕上げ材3を十分な引抜き強度を持ってアンカリングすると共に、その外壁補修箇所は、ピン頭部31の焼付け塗装等により、目立ち難いものとなる。 【0033】 以上のように、本実施形態の研削ビット20によれば、アンカーピン30のピン頭部31の径R2と略同径の頭部収容穴11の径R3を形成することができる。これにより、形成した頭部収容穴11に、仕上げ材3の表面とピン頭部31の表面とが面一になるようアンカーピン30を挿填すると、互いの径R2、R3が合致し、ピン頭部31の径R2と頭部収容穴11の径R3との間に間隙ができることなく、外壁1補修箇所は面一とすることができ、外壁1の意匠性を損なうことなく補修を行うことができる。また、研削砥石22を球状に形成することで、球面のほぼ全域を使用することができ、これにより、研削ビット20の工具寿命を長くすることができる。 【0034】 次に、第1実施形態のピンニング工法におけるアンカーピンの変形例について図6(a)を参照して説明する。このアンカーピン35はステンレス等で構成され、ピン胴部37と、仕上げ材3を押さえるためのピン頭部36とで、一体に形成されている。また、ピン胴部37の外周面には、引抜き強度を高めるべく雄ねじが螺刻されている。ピン頭部36は皿状に形成され、且つ第1実施形態と同様に、上記の研削ビット20の研削砥石22と略同径に形成されている。すなわち、ピン頭部36は、皿ネジ等の頭部と同様の形態を有し(但し、工具用の溝はない)、十分な強度を持たせ得るようにしている。また、ピン頭部36の表面は、第1実施形態と同様に、仕上げ材3の表面の色彩に合致するように焼付け塗装等により着色されている。 【0035】 ここで、上記のアンカーピン35を用いた場合のピンニング工法について説明する。但し、以下の説明では、第1実施形態と異なる部分を中心に説明する。第1実施形態と同様に、先ずダイヤモンドコアドリル等の穿孔工具40により、仕上げ材3およびコンクリート躯体2に所定の深さまで挿填穴10を穿孔する。次に、電動ドリル15に装着した研削ビット20を使用して、挿填穴10の開口縁部を半球状に研削する。研削を行ったら、挿填穴10内を清掃し、その後、挿填穴10内に接着剤50の注入を行う。コンクリート躯体2と仕上げ材3との間の浮き部6に接着剤50が行き渡ったら、挿填穴10内にアンカーピン35を挿填する。その際、アンカーピン35のピン頭部36が、挿填穴10の頭部収容穴11に収容され、アンカーピン35のピン頭部36の表面が仕上げ材3の表面と面一になるまで押し込まれる(図6(b)参照)。その後、接着剤50が硬化するまで養生を行う。 【0036】 この構成によれば、アンカーピン35のピン頭部36が、仕上げ材3の表面と面一になり、また、アンカーピン35のピン頭部36は、仕上げ材3に合わせて着色されているため、施工後、アンカーピン35による外壁補修箇所が極めて目立ち難く、仕上げ材3の意匠性を損なうことがない。 【0037】 次に、図2(b)を参照して、第2実施形態に係る研削ビットについて説明する。研削ビット60は、丸棒状のシャンク61と、シャンク61の先端部に形成された球状の研削砥石62と、で一体形成されている。ここで、研削砥石62の形状を除いては同様の構成であるため説明を省く。研削砥石62は、シャンク61の連結部分において、シャンク61の軸方向に対し直交する平面に形成されている。この場合も、上記の研削ビット20と同様に、アンカーピン30のピン頭部31の径R2と略同径の頭部収容穴11の径R3を形成することができると共に、工具寿命を長くすることができる。 【0038】 なお、本実施形態では、仕上げ材3の表面とアンカーピン30、35のピン頭部31、36の表面とを面一としたが、アンカーピン30、35を仕上げ材3の表面よりも深く挿填し、その窪みをパテ埋めするようにしてもよい。この場合には、パテを仕上げ材3と同色とすることが好ましい。また、本実施形態の研削ビット20、60およびピンニング工法ではアンカーピン30、35を用いたが、注入口付アンカーピンに適用することも可能である。 【図面の簡単な説明】 【0039】 【図1】本発明の一実施形態に係るピンニング工法用の研削ビットを装着した電動ドリルを、外壁に形成した挿填穴に対して使用する断面模式図である。 【図2】(a)は、第1実施形態に係る研削ビットの平面図であり、(b)は、第2実施形態に係る研削ビットの平面図である。 【図3】アンカーピンの平面図である。 【図4】(a)は、本実施形態に係るピンニング工法の穿孔工程図であり、(b)は、収容穴研削工程図であり、(c)は、接着剤注入工程の前半工程図である。 【図5】(d)は、接着剤注入工程の後半工程図であり、(e)、ピン挿填工程の前半工程図であり、(f)は、ピン挿填工程の後半工程図である。 【図6】(a)は、変形例に係るアンカーピンの平面図であり、(b)は、ピン挿填工程図である。 【符号の説明】 【0040】 1 外壁 2 コンクリート躯体 3 仕上げ材 6 浮き部 10 挿填穴 11 頭部収容穴 15 電動ドリル 20 研削ビット 21 シャンク 21 研削砥石 30 アンカーピン 31 ピン頭部 R1 (研削砥石の)径 R2 (ピン頭部の)径
|
| 【出願人】 |
【識別番号】598078252 【氏名又は名称】有限会社デー・ジー・ピー 【識別番号】503032795 【氏名又は名称】DGP・ホリ・コンダクター株式会社
|
| 【出願日】 |
平成17年6月21日(2005.6.21) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100093964 【弁理士】 【氏名又は名称】落合 稔
|
| 【公開番号】 |
特開2007−2441(P2007−2441A) |
| 【公開日】 |
平成19年1月11日(2007.1.11) |
| 【出願番号】 |
特願2005−181127(P2005−181127) |
|