| 【発明の名称】 |
階段歩行用介助装置 |
| 【発明者】 |
【氏名】奥野 治郎
|
| 【要約】 |
【課題】特に階段を降りる場合に、簡便な操作により安全性を確保することができる階段歩行用介助装置。
【解決手段】階段に沿って配置されるレール部材11は、その長手方向に沿って複数の係止部12を備え、補助装置20は、装置本体21から突出する把持部材26、係止部12と係合して装置本体21の移動を規制する係合手段30、および、係止部12と係合手段30との係合を解除する解除手段40を備えており、係合手段30は、装置本体21に設けられる支持部32と、係止部12に係合する突部33を一端部に有する係合部材31とを備えており、支持部32は、係合部材31の自重により、突部33がレール部材11の表面に沿って摺動すると共に係止部12と係合するように係合部材31を回動自在に支持しており、解除手段40は、突部33と係止部12との係合が解除されるように係合部材31を回動する解除部材42を備えている階段歩行用介助装置1。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 階段に沿って配置されるレール部材と、該レール部材に沿って移動可能な装置本体を有する補助装置とを備える階段歩行用介助装置であって、 前記レール部材は、その長手方向に沿って複数の係止部を備え、 前記補助装置は、前記装置本体から突出する把持部材、前記係止部と係合して前記装置本体の移動を規制する係合手段、および、前記係止部と前記係合手段との係合を解除する解除手段を備えており、 前記係合手段は、前記装置本体に設けられる支持部と、前記係止部に係合する突部を一端部に有する係合部材とを備えており、 前記支持部は、前記係合部材の自重により、前記突部が前記レール部材の表面に沿って摺動すると共に前記係止部と係合するように前記係合部材を回動自在に支持しており、 前記解除手段は、前記突部と前記係止部との係合が解除されるように前記係合部材を回動する解除部材を備えている階段歩行用介助装置。 【請求項2】 前記支持部は、前記係合部材の他端部が該支持部を挟んで前記突部の反対側に位置するように前記係合部材を支持しており、 前記解除手段は、回動自在に支持されたハンドル部を備えており、 前記解除部材は、前記ハンドル部と一体に回動して、前記突部と前記係止部との係合を解除するように前記係合部材の他端部を押圧する請求項1に記載の階段歩行用介助装置。 【請求項3】 隣接する前記係止部間における前記レール部材の表面の少くとも一部は、傾斜面とされている請求項1又は2に記載の階段歩行用介助装置。 【請求項4】 前記レール部材が階段に沿って配置された状態で、前記補助装置を上方に付勢する付勢装置を更に備えている請求項1から3のいずれかに記載の階段歩行用介助装置。 【請求項5】 前記装置本体は、前記レール部材を挿通可能な可撓管により形成されている請求項1から4のいずれかに記載の階段歩行用介助装置。 【請求項6】 前記補助装置に回転自在に支持される回転体を更に備えており、 前記回転体は、前記把持部材に荷重が付加されたときに前記レール部材に沿って配置される受部材を押圧すると共に、前記レール部材に沿った前記装置本体の移動に伴って該受部材に当接して回転するように配置されている請求項1から5のいずれかに記載の階段歩行用介助装置。 【請求項7】 前記把持部材の先端部を摺接支持する補助レール部材を更に備えている請求項1から6のいずれかに記載の階段歩行用介助装置。 【請求項8】 前記付勢装置は、ワイヤを巻回し回転可能なワイヤリールと、前記ワイヤリールをワイヤの巻取り方向に付勢するゼンマイバネとを備えている請求項4に記載の階段歩行用介助装置。 【請求項9】 前記装置本体は、前記レール部材に沿った移動に伴って、前記レール部材に当接して回転するローラを備えている請求項1から8のいずれかに記載の階段歩行用介助装置。
|
【発明の詳細な説明】【技術分野】 【0001】 本発明は、階段歩行用介助装置に関する。 【背景技術】 【0002】 従来、階段の昇降時における転落事故を防止するための装置として、例えば、先行文献1に開示されているような手摺り用昇降装置が知られている。 【0003】 この手摺り用昇降装置100は、図14の斜視図に示すように、階段に沿って配置される手摺り本体110と当該手摺り本体110に沿って摺動可能な装置本体120とを備えている。手摺り本体110の下面には、図15の正面断面図に示すように、鋸歯状のラチェット溝111が形成されている。装置本体120は、図16の側面断面図に示すように、水平軸121を中心に装置本体120に対して垂直に立ち上げた状態から階段側に出張らした状態に回動可能な支持把手122を備えている。また、この装置本体120は、図15に示すようにラチェット爪131を有する係合子130を備えている。この係合子130は、図17に示すように、階段側に出張らした支持把手122を下方に強圧して水平な状態にすることにより、図18に示すように上方に持ち上げられ、上述した手摺り本体110の下面に形成されたラチェット溝111にラチェット爪131を係合させて、装置本体120を手摺り本体110に固定できるように構成されている。 【0004】 このように構成された手摺り用昇降装置100を用いて、階段を降りるには、まず、支持把手122を回動して引き上げることにより装置本体120と手摺り本体110とのラチェット係合を解除し、装置本体120を所望量だけ手摺り本体110に沿って押し出して下降させる。次に、支持把手122を下方に強く押し付けて係合子130を上方に移動させて、手摺り本体110の下面に形成されたラチェット溝111にラチェット爪131をラチェット係合させ、装置本体120を手摺り本体110に固定する。この状態を維持しながら、支持把手122を支えにして階段を一段降りる。このような動作を繰り返すことにより、階段を降りていくことができる。 【0005】 また、階段を登る場合も同様に、支持把手122を引き上げて、装置本体120を所望量だけ手摺り本体110に沿って押し出して階段上方に移動させた後、支持把手122を下方に強圧して装置本体120と手摺り本体110とをラチェット係合させる。この状態を維持しながら、支持把手122を支えに使用者自身の身体を引き上げるようにして階段を一段登る。このような動作を繰り返すことにより、階段を登ることができる。 【特許文献1】特開2002−364142号公報 【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】 【0006】 しかしながら、特許文献1に開示されているような手摺り用昇降装置を用いて階段の昇降を行うには、使用者自らが、手摺り本体に沿って装置本体を押し出すと共に、支持把手を下方に強く押し付けて装置本体と手摺り本体とをラチェット係合により固定する必要があり、操作性が悪いばかりでなく、支持把手の押し付け力が低下した場合には、装置本体と手摺り本体との係合がなされず、装置本体が、その自重により手摺り本体に沿って階段下方に勝手に移動してしまうという問題があった。このことは、階段上における使用者のバランスを崩す原因になり、必ずしも安全に階段の昇降を行うことができるものではなかった。 【0007】 特に、階段を降りる場合に、装置本体がその自重により勝手に移動してしまうと、この装置本体の下降移動に引きづられて使用者が階段から転落するおそれがあった。 【0008】 本発明は、このような問題を解決すべくなされたものであって、特に階段を降りる場合に、簡便な操作により安全性を確保することができる階段歩行用介助装置の提供を目的とする。 【課題を解決するための手段】 【0009】 本発明の上記目的は、階段に沿って配置されるレール部材と、該レール部材に沿って移動可能な装置本体を有する補助装置とを備える階段歩行用介助装置であって、前記レール部材は、その長手方向に沿って複数の係止部を備え、前記補助装置は、前記装置本体から突出する把持部材、前記係止部と係合して前記装置本体の移動を規制する係合手段、および、前記係止部と前記係合手段との係合を解除する解除手段を備えており、前記係合手段は、前記装置本体に設けられる支持部と、前記係止部に係合する突部を一端部に有する係合部材とを備えており、前記支持部は、前記係合部材の自重により、前記突部が前記レール部材の表面に沿って摺動すると共に前記係止部と係合するように前記係合部材を回動自在に支持しており、前記解除手段は、前記突部と前記係止部との係合が解除されるように前記係合部材を回動する解除部材を備えている階段歩行用介助装置により達成される。 【0010】 この階段歩行用介助装置において、前記支持部は、前記係合部材の他端部が該時支部を挟んで前記突部の反対側に位置するように前記係合部材を支持しており、前記解除手段は、回動自在に支持されたハンドル部を備えており、前記解除部材は、前記ハンドル部と一体に回動して、前記突部と前記係止部との係合を解除するように前記係合部材の他端部を押圧することが好ましい。 【0011】 また、隣接する前記係止部間における前記レール部材の表面の少くとも一部は、傾斜面とされていることが好ましい。 【0012】 また、前記レール部材が階段に沿って配置された状態で、前記補助装置を上方に付勢する付勢装置を更に備えていることが好ましい。 【0013】 また、前記装置本体は、前記レール部材を挿通可能な可撓管により形成されていることが好ましい。 【0014】 また、前記補助装置に回転自在に支持される回転体を更に備えており、前記回転体は、前記把持部材に荷重が付加されたときに前記レール部材に沿って配置される受部材を押圧すると共に、前記レール部材に沿った前記装置本体の移動に伴って該受部材に当接して回転するように配置されていることが好ましい。 【0015】 また、前記把持部材の先端部を摺接支持する補助レール部材を更に備えていることが好ましい。 【0016】 また、前記付勢装置は、ワイヤを巻回し回転可能なワイヤリールと、前記ワイヤリールをワイヤの巻取り方向に付勢するゼンマイバネとを備えていることが好ましい。 【0017】 また、前記装置本体は、前記レール部材に沿った移動に伴って、前記レール部材に当接して回転するローラを備えていることが好ましい。 【発明の効果】 【0018】 本発明によれば、特に階段を降りる場合に、簡便な操作により安全性を確保することができる階段歩行用介助装置を提供することができる。 【発明を実施するための最良の形態】 【0019】 以下、本発明の階段歩行用介助装置について図1〜図4を参照して説明する。図1は本発明の一実施形態に係る階段歩行用介助装置を階段に沿って配置した状態を示す概略構成図、図2は要部拡大側面図、図3は要部拡大平面図、図4は図3のA−A断面図を示している。この階段歩行用介助装置1は、図1に示すように、レール装置10、補助装置20および付勢装置50を備えている。 【0020】 レール装置10は、レール部材11および支持部材15を備えている。レール部材11は、階段に沿って配置される断面矩形状の中空管であり、図1および図2に示すように、その上面において、長手方向に沿って複数の係止部12を備えている。このレール部材11を階段に沿って配置した状態における各係止部12の水平方向ピッチは、1階段分の幅に一致するように設定されている。また、図1に示すように、隣接する係止部12間におけるレール部材11の表面は、階段下方側Bの係止部12の下端部12aを始点とし、階段上方側Cに向けてレール部材11の外方側に傾斜する傾斜面13となるように構成されている。この傾斜面13の終点は、階段上方側Cの係止部12の上端部12bとなるように構成されている。 【0021】 支持部材15は、図1および図4に示すように、アーム部16および固定部17を備えている。アーム部16は、レール部材11と固定部17とを連結するものであり、レール部材11の一方の端部から他方の端部にかけて該レール部材11に沿って設けられている断面略L字状の部材である。固定部17は、レール装置10を階段の側壁等に取り付ける台座である。 【0022】 補助装置20は、図1および図2に示すように、レール部材11に沿って移動可能な装置本体21、把持部25、係止部12と係合して装置本体21の移動を規制する係合手段30、および、係止部12と係合手段30との係合を解除する解除手段40を備えている。 【0023】 装置本体21は、図4に示すように、断面略矩形状の中空管である。この装置本体21は、レール部材11を内部に挿入して設置されている。また、装置本体21の底壁には、アーム部16との干渉を回避するスリット22がアーム部16に沿って形成されている。 【0024】 把持部25は、装置本体21の側面に取り付けられており、図3に示すように、装置本体21から突出する把持部材26および取付部27を備えている。把持部材26は、使用者が把持し使用者自身の身体を支える断面円形の棒状部材である。取付部27は、把持部材26を装置本体21に固定するための部材であり、レール部材11に沿って把持部材26を折り畳めるように回動機構28が設けられている。また、取付部27は、把持部材26が装置本体21から突出した状態を維持できるように図示しないロック機構を備えている。 【0025】 係合手段30は、図2に示すように、装置本体21の上部に設けられており、係合部材31および支持部32を備えている。係合部材31は、レール部材11に沿う方向に延びる部材であり、一端部に係止部12と係合する突部33を備えている。支持部32は、係合部材31を回動自在に支持する部材であり、装置本体21の上部に取り付けられている。この支持部32は、係合部材31の自重により、突部33がレール部材11の表面に沿って摺動すると共に係止部12と係合するように係合部材31を支持している。また、支持部32は、係合部材31の他端部34が当該支持部32を挟んで突部33の反対側に位置するように係合部材31を支持している。 【0026】 解除手段40は、装置本体21の上部であって、階段歩行用介助装置1を階段に沿って配置した場合に、係合手段30に対して階段上方側Cとなるように配置されている。この解除手段40は、回動自在に支持されたハンドル部41と、ハンドル部41の軸に固定され該ハンドル部41と一体に回動するプレート状の解除部材42とを備えている。解除部材42は、ハンドル部41の回動に伴って回動することにより、係合部材31の他端部34を押圧し突部33を上方に跳ね上げて当該突部33と係止部12との係合を解除すると共に、回動の進行に伴って係合部材31の他端部34の押圧を自動的に解除できるように、その長さが設定されている。 【0027】 付勢装置50は、レール部材11を階段に沿って配置した状態で補助装置20とレール部材11との係合が解除された際に、補助装置20が勢いよく階段下方側Bに移動することを防止するために、補助装置20を上方(階段上方側C)に向けて付勢する装置であり、図1に示すように、滑車51、錘部材52およびワイヤ53を備えている。滑車51は、第1滑車部51aおよび第2滑車部51bを備える二重滑車であり、これら第1滑車部51aと第2滑車部51bとの軸径の比は、例えば、2対1となるように構成されている。第1滑車部51aに巻回されているワイヤ53の一端は補助装置20の装置本体21に連結しており、第2滑車部51bに巻回されているワイヤ53の一端は錘部材52に連結している。滑車51は、レール部材11の上端よりも上方であって、第1滑車部51aのワイヤ53に連結される補助装置20がレール部材11の上端と下端との間を移動する際に、第2滑車部51bのワイヤ53に連結されている錘部材52が床や滑車51に干渉せずに上下動できる任意の位置に取り付けられている。また、補助装置20がその自重により緩やかな速度でレール部材11に沿って階段下方側Bに移動することができるように、錘部材52の重さが設定されている。 【0028】 次に、本実施形態に係る階段歩行用介助装置1を使用する方法について説明する。最初に階段歩行用介助装置1を用いて階段を降りる場合について図5から図7を用いて説明する。まず、使用者は、階段に沿って配置されるレール装置10に取り付けられている補助装置20の前に立ち、レール部材11に沿った状態で収納されている把持部材26を階段側に略水平に突出する状態となるように回動させる。次に、把持部材26が階段側に略水平に突出した状態から回動しないように、図示しないロック機構を操作して把持部材26の回動をロックする。なお、この操作を行うに際して、補助装置20の係合手段30が、レール部材11に設けられている係止部12と係合しているため、補助装置20が階段下方側Bに移動することはない。 【0029】 次に、使用者は、階段下方側Bを向いて把持部材26の階段上方側Cに立って、把持部材26を一方の手で把持する(図5においては、右手で把持部材26を把持する)。そして、他方の手で解除手段40のハンドル部41を把持し(図5においては、左手でハンドル部41を把持する)、解除部材42が係合部材31の他端部34を押圧するようにハンドル部41を矢示D方向に回動させる。 【0030】 この操作によって、図6に示すように、突部33が設けられている係合部材31の端部は上方に跳ね上げられて、突部33と係止部12との係合が解除される。突部33と係止部12との係合が解除されることにより、補助装置20は、自重によりレール部材11を摺動して階段下方側Bに自動的に移動する。 【0031】 また、解除部材42の回動の進行に伴って、図7に示すように、係合部材31の他端部34に対する解除部材42による押圧は自動的に解除される。その結果、係合部材31の端部に設けられている突部33は、係合部材31の自重により支持部32を中心にして下方に移動し、レール部材11の表面に当接する。そして、突部33は、補助装置20の下降移動に伴ってレール部材11の表面(傾斜面13)に沿って摺動し、係合が解除された係止部12の一つ下方に配置されている係止部12と係合することになる。これにより、補助装置20の下降移動が規制される。 【0032】 また、補助装置20が階段下方側Bに移動する際において、補助装置20は、付勢装置50によって、階段上方側Cに向けて付勢されているため、補助装置20の下方側への移動はゆっくりした速度で、且つスムーズな動きとなる。 【0033】 このような補助装置20の下降に合わせて、使用者は把持部材26を支えにして階段を一段降りる。この一連の動作を繰り返すことにより、使用者は安全に階段を降りていくことができる。 【0034】 このように本実施形態に係る階段歩行用介助装置1は、解除手段40のハンドル部41を回動させるという簡便な操作により、補助装置20とレール部材11との係合を解除して、補助装置20をその自重により自動的に階段下方側Bに移動させることができるため、従来のように使用者自らが補助装置20を押し出して階段下方側Bに移動させる必要はなく、補助装置20の操作性を向上させることができる。また、補助装置20は、係合が解除された係止部12の一つ下方に配置される係止部12に確実に係合されるため、使用者は、補助装置20に設けられた把持部材26を支えにして安全に階段を降りていくことができる。 【0035】 また、補助装置20は、解除手段40の解除操作により、階段一段分だけ自動的に階段下方側Bに移動してレール部材11に係合されるため、使用者は、階段を一段ずつ確実に降りていくことができ、階段下降時における安全性をより一層高めることができる。 【0036】 また、補助装置20とレール部材11との係合を解除する際に、図5に示すように、ハンドル部41の先端を使用者の進行方向(下降方向)に倒すようにハンドル部41を回動させるため、使用者は常に進行方向を向いて解除操作を行うことができる。この結果、使用者は、スムーズかつ安全に階段を降りることができる。 【0037】 また、補助装置20は、付勢装置50によって、階段上方側Cに向けて付勢されているため、補助装置20とレール部材11との係合を解除した後の補助装置20の階段下方側Bへの移動は、ゆっくりした速度で、且つスムーズな動きとなる。これにより、使用者は、無理の無いペースで階段を降りていくことが可能となり、補助装置20の下降移動に引きづられて使用者がバランスを崩すことはなく、安全に階段を降りていくことができる。 【0038】 また、把持部材26は、階段側に略水平に突出しているので、使用者の身体の前面が常に階段の下方を向いた状態で階段を降りていくことができる。これにより、使用者は自らの身体を安定的に支えることが可能となり、階段での転倒や転落等を防止することができる。また、仮に、使用者がバランスを崩して階段下方側Bへ転落しそうになったとしても、階段側に突出している把持部材26が使用者の身体を受け止め、使用者が転落することを確実に防止することができる。 【0039】 次に、本実施形態に係る階段歩行用介助装置1を用いて階段を登る場合について図8から図11を用いて説明する。階段を降りる場合と同様に、まず、使用者は、レール装置10に取り付けられている補助装置20の前に立ち、把持部材26が階段側に略水平に突出する状態となるように、当該把持部材26を回動させる。次に、把持部材26が階段側に略水平に突出した状態から回動しないように、図示しないロック機構を操作して把持部材26の回動をロックする。なお、この操作を行うに際して、図9に示すように、補助装置20の係合手段30が、レール部材11に設けられている係止部12と係合しているため、補助装置20が階段下方側Bに移動することはない。 【0040】 次に、使用者は、階段上方側Cを向いて把持部材26の階段下方側Bに立って、把持部材26を両手或いは片手で把持する。そして、把持部材26を階段上方側Cに押し出すことにより、補助装置20を階段上方側Cに移動させる。このとき、補助装置20は、付勢装置50によって階段上昇方向に向けて付勢されているため、使用者は、軽い力で楽に補助装置20を階段上方側Cに移動させることができる。 【0041】 この補助装置20の移動に伴い、係合部材31の端部に設けられている突部33は、図10に示すように、レール部材11の表面(傾斜面13)に当接しながら移動する。レール部材11には、その長手方向に沿った複数の係止部12が設けられているが、各係止部12間において、階段下方側Bの係止部12の下端部12aから階段上方側Cの係止部12の上端部12bに向けて傾斜する傾斜面13が形成されている。これにより、係合部材31の突部33が階段上方側の係止部12に引っ掛かることなく、補助装置20を階段上方側Cに移動させることが可能になる。 【0042】 そして、図11に示すように、階段上方側Cの係止部12に対して、突部33が階段上側となるように補助装置20を移動させた後、把持部材26を押し出していた力を一旦緩めることにより、補助装置20の係合部材31とレール部材11の係止部12とが係合し補助装置20が階段下方側Bに移動しないことを確認する。その後、把持部材26を支えに使用者自身の身体を引き上げるようにして階段を一段登る。このような動作を繰り返すことにより、使用者は階段を登っていく。 【0043】 このように本実施形態に係る階段歩行用介助装置1は、把持部材26を階段上方側Cに押し出して補助装置20を移動させるという簡便な操作のみによって、補助装置20の係合部材31とレール部材11の係止部12とを係合させ、補助装置20が自重により階段下方側Bに移動することを規制することができるため、補助装置20の操作性の向上を図ることができる。また、補助装置20は係止部12によって階段下方側Bへの移動が確実に規制されているため、使用者は、補助装置20に設けられた把持部材26を支えにして安全に階段を登っていくことができる。 【0044】 また、階段一段分だけ補助装置20を上方に移動させて、係合部材31を係止部12に係合させ、補助装置20が階段下方側Bに移動することを規制することができるため、使用者は、階段を一段ずつ確実に登っていくことができ、階段上昇時における安全性をより一層高めることができる。 【0045】 以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明の具体的な態様は上記実施形態に限定されない。例えば、図12に示すように、レール部材11および装置本体21を断面略円形の中空管により構成してもよい。 【0046】 また、本実施形態においては、解除手段40は、係合部材31の他端部34を解除部材42により押圧することによって係合部材31を回動させて、突部33と係止部12との係合を解除するように構成されているが、このような構成に特に限定されず、例えば、突部33が設けられている係合部材31の端部側を直接跳ね上げるように係合部材31を回動させて、突部33と係止部12との係合が解除されるような構成を採用してもよい。 【0047】 また、本実施形態においては、レール部材11の上面側において、係止部12と補助装置20の係合手段30とが係合する構成を採用しているが、例えば、レール部材11の下面側において、係止部12と係合手段30とが係合する構成を採用してもよい。 【0048】 また、本実施形態においては、図1に示すように、隣接する係止部12間において、レール部材11の表面が、階段下方側Bの係止部12の下端部12aから階段上方側Cの係止部12の上端部12bに向けて傾斜する傾斜面13となるように構成されているが、例えば、図13に示すように、隣接する係止部12間におけるレール部材11の表面の一部が、傾斜面13となるように構成することもできる。 【0049】 また、本実施形態においては、補助装置20に対する付勢装置50の付勢力を、補助装置20がその自重により緩やかな速度でレール部材11に沿って階段下方側Bに移動することができるように設定しているが、このような構成に特に限定されず、例えば、錘部材52の重さを変化させるなどにより補助装置20が自動的に階段上方側Cに移動できるように付勢装置50の付勢力を設定することもできる。このような構成により、使用者が階段を登る場合において、付勢装置50の付勢力が使用者を階段上方側Cに引き上げるように働くため、使用者は楽に階段を登ることができる。なお、このような構成を採用する場合、補助装置20の上方移動を規制するストッパ機構をレール部材11の階段下方側端部に設けることが好ましい。 【0050】 また、本実施形態において、補助装置20の装置本体21を可撓管により形成し、レール部材11を挿通可能となるように構成してもよい。可撓管としては、素材自体の特性により撓み特性を有するもののほか、素材自体はさほど撓み特性を有しないが、加工により撓み特性を有するに至ったものも含まれる。素材自体の特性により撓み特性を有する可撓管としては、例えば、合成樹脂により形成された中空管を例示でき、また、加工により撓み特性を有するに至った可撓管としては、ステンレスなどの金属により形成された蛇腹状の中空管を例示することができる。このような構成により、例えば、図19に示すように、レール部材11が、上階と下階との間を途中で向きを180度変えて昇降するタイプの回り階段の壁に配置される曲線部を有する形状であったとしても、当該レール部材11が挿通される装置本体21は、レール部材11の直線部形状および曲線部形状に合わせて変形するため、補助装置20が曲線部を有するレール部材11の途中で引っ掛かることを防止して、レール部材11に沿ったスムーズな補助装置20の移動を確保することができる。 【0051】 また、使用者が把持部材26を支えにして階段の昇降を行う際に、補助装置20やレール装置10に過大な負荷荷重が生じて、これらが損傷することを防止するために、例えば、図20に示すように、補助装置20に回転自在に支持される回転体62を更に備える構成を採用してもよい。この回転体62は、装置本体21の下部に接続し下方に延びるブラケット61の下端部に回転自在に取り付けられている。回転体62は、把持部材26に下方の荷重が付加されたときに、レール部材11に沿って配置される側壁W1を押圧すると共に、レール部材11に沿った装置本体21の移動に伴って側壁W1に当接して回転するように配置されている。このような構成により、使用者が把持部材26を支えにして階段の昇降を行う際に把持部材26に作用する荷重の一部を、回転体62と階段の側壁W1との当接部分において受けることができるため、把持部材26の取付部27や、固定部17と階段の側壁W1との接続部、装置本体21とレール部材11との接触部などにおいて生じる負荷荷重を低減することができ、これらの箇所に変形や破断等の損傷が発生することを効果的に防止することができる。 【0052】 また、回転体62は、レール部材11に沿った装置本体21の移動に伴って、階段の側壁W1に当接しながら回転するので、レール部材11に沿った補助装置20のスムーズな移動を確保することができる。 【0053】 また、図20においては、装置本体21の下部に回転体62を備えるブラケット61を取り付ける構成を採用しているが、例えば、把持部材26に取り付ける構成を採用することもできる。 【0054】 また、図20においては、階段の側壁W1が、把持部材26に作用する荷重の一部を受けると共に、レール部材11に沿った装置本体21の移動に伴って回転体62が当接しながら回転する受部材として機能しているが、例えば、レール部材11に沿って配置される平板が別途設けられているような場合には、この平板を受部材として用いて、回転体62が、把持部材26に荷重が付加されたときにレール部材11に沿って配置される平板(受部材)を押圧すると共に、レール部材11に沿った装置本体21の移動に伴って平板(受部材)に当接して回転するように、当該回転体62を配置することも可能である。 【0055】 また、図21に示すように、階段の両側に側壁W1,W2がある場合には、レール部材11が配置される側壁W1の反対側の側壁W2に配置される補助レール部材65を更に備え、レール部材11に沿った補助装置20の移動に伴って、把持部材26の先端部が補助レール部材65に摺動支持されるような構成を採用することもできる。このような構成により、使用者が把持部材26を支えにして階段の昇降を行う際に把持部材26に作用する荷重の一部を補強レール部材65が受けることになるため、補助装置20やレール装置10に発生する負荷荷重が軽減され、これらに変形等の破損が発生することを効果的に防止することが可能になる。 【0056】 また、図21においては、レール部材11が配置される側壁W1に対向する側壁W2に補助レール部材65を取り付けるようにしているが、補助レール部材65の取り付け位置は特に限定されず、例えば、階段面から上方に向けて延びる複数の棒状の支持部材に補助レール部材65を取り付けるようにしてもよい。 【0057】 また、本実施形態においては、図4に示すように、装置本体21を断面略矩形状の単一の中空管により構成しているが、このような構成に特に限定されず、例えば、図22に示すように、断面略矩形状の中空管21aの内部に断面略円形の中空間21bを一体となるように取り付けた二重構造の中空管により装置本体21を構成してもよい。このような構成を採用することにより、装置本体21の強度をより一層高めることが可能になる。 【0058】 また、本実施形態においては、図1に示すように、付勢装置50として滑車51、錘部材52およびワイヤ53を備える構成を採用しているが、このような構成に特に限定されるものではない。例えば、図23および図24に示すように、付勢装置50が、ワイヤリール81、ゼンマイリール82、回転軸83および支持台84を備える構成を採用することもできる。ここで、図24(a)は、付勢装置50の正面図、図24(b)はそのE−E断面図である。ワイヤリール81は、ワイヤ53を巻回するリールであり、ゼンマイリール82は、ケーシング82aの内部にゼンマイバネ82bを備えるリールである。これらワイヤリール81とゼンマイリール82とは、一つの回転軸83を介して接続している。回転軸83は、ワイヤリール81に固定して接続されており、回転軸83の回転に伴ってワイヤリール81が回転できるように構成されている。また、回転軸83は、ベアリング85を介してゼンマイリール82と回転自在となるように接続されている。ゼンマイリール82のケーシング82aの内部に収容されているゼンマイバネ82bの一端は、回転軸83に固定されており、他端は、ケーシング82aに固定されている。このゼンマイバネ82bは、回転軸83を介してワイヤリール81をワイヤ53の巻き取り方向に付勢できるようにケーシング82a内に収容されている。支持台84は、ベアリング86を介して回転軸83の両端を回転自在となるように支持すると共に、ゼンマイリール82のケーシング82aを固定部材87を介して固定している。このように構成された付勢装置50は、図23に示すように、レール部材11の階段上方側端部に取り付けられると共に、ワイヤリール81に巻回されているワイヤ53の一端が装置本体21に取り付けられる。このようにワイヤリール81、ゼンマイリール82、回転軸83および支持台84により付勢装置53を構成することにより、付勢装置50をコンパクトなものにすることができる。なお、この付勢装置50を装置本体21に取り付け、ワイヤ53の一端をレール部材11の階段上方側端部に取り付けるようにしてもよい。 【0059】 また、図25(a)の断面図および(b)の要部拡大断面図に示すように、装置本体21が、レール部材11に沿った移動に伴って、レール部材11に当接しながら回転するローラ90を更に備えるような構成を採用してもよい。このような構成により、レール部材11に沿った装置本体21の移動をよりスムーズに行うことが可能になる。図25においては、装置本体側部23の内表面23aに開口23bを有する断面視C型の収容部91を形成して、この収容部91に球形に形成したローラ90を収容している。また、収容部91に収容されたローラ90の表面の一部が、開口23bを介して装置本体側部23の内表面23aから僅かに突出するように、収容部の形状またはローラ90の大きさが設定される。なお、ローラ90の形状は球形に限定されるものではなく、例えば、ローラ90を円筒状に形成してもよい。この場合、レール部材11に沿った装置本体21の移動に伴って、円筒の外周面がレール部材11に当接しながら回転できるようにローラ90の設置姿勢を設定する。 【0060】 また、本実施形態においては、図2に示すように、係合部材31の突部33が、補助装置20の階段下方側Bに配置されるように構成されているが、例えば、図26に示すように補助装置20の階段上方側Cに突部33が配置されるような構成を採用することもできる。 【0061】 また、レール部材11の断面形状や、係合部材31の突部33の形状については、それぞれ種々の形状を採用することができる。例えば、図27の断面図に示すように、レール部材11の断面形状を矩形状と鍵穴状とを組み合わせた形状とし、係合部材31の突部33がレール部材11の断面視鍵穴状部11aを挟むように、突部33の形状を二又形状にしてもよい。なお、図27においては、突部33と係合するレール部材11の係止部12を、レール部材11の断面視矩形状部11bの上面に形成している。また、受部材95をレール部材11に沿って配置すると共に、補助装置20の装置本体21側面から水平方向に延びる軸96に回転体62を回転自在となるように取り付け、把持部材26に荷重が付加されたときに回転体62の外周面62aが、受部材95の張出部95aを押圧すると共に、レール部材11に沿った装置本体21の移動に伴って受部材95の張出部95aに当接して回転するように構成している。 【図面の簡単な説明】 【0062】 【図1】本発明の一実施形態に係る階段歩行用介助装置を階段に沿って配置した状態を示す概略構成図である。 【図2】図1に示す階段歩行用介助装置の要部拡大側面図である。 【図3】図1に示す階段歩行用介助装置の要部拡大平面図である。 【図4】図3のA−A断面図である。 【図5】図1に示す階段歩行用介助装置の使用方法を説明する概略図である。 【図6】図1に示す階段歩行用介助装置を構成する補助装置の作動を説明する説明図である。 【図7】図1に示す階段歩行用介助装置を構成する補助装置の作動を説明する説明図である。 【図8】図1に示す階段歩行用介助装置の使用方法を説明する概略図である。 【図9】図1に示す階段歩行用介助装置を構成する補助装置の作動を説明する説明図である。 【図10】図1に示す階段歩行用介助装置を構成する補助装置の作動を説明する説明図である。 【図11】図1に示す階段歩行用介助装置を構成する補助装置の作動を説明する説明図である。 【図12】本発明に係る階段歩行用介助装置の他の実施例を示す断面図である。 【図13】本発明に係る階段歩行用介助装置を構成するレール部材の他の変形例を示す概略図である。 【図14】従来の手摺り用昇降装置を示す斜視図である。 【図15】図14に示す手摺り用昇降装置の正面断面図である。 【図16】図14に示す手摺り用昇降装置の側面断面図である。 【図17】図14に示す手摺り用昇降装置の使用時の側面断面図である。 【図18】図14に示す手摺り用昇降装置の使用時の正面断面図である。 【図19】本発明に係る階段歩行用介助装置の他の実施例の作動を説明する説明図である。 【図20】本発明に係る階段歩行用介助装置の他の実施例を示す概略図である。 【図21】本発明に係る階段歩行用介助装置の他の実施例を示す概略図である。 【図22】本発明に係る階段歩行用介助装置の他の実施例を示す概略図である。 【図23】図1に示す付勢装置の変形例を備えた階段歩行用介助装置を示す概略図である。 【図24】図23に示す付勢装置を示す(a)正面図、(b)E−E断面図である。 【図25】本発明に係る階段歩行用介助装置の他の実施例を示す概略図である。 【図26】本発明に係る階段歩行用介助装置の他の実施例を示す概略図である。 【図27】本発明に係る階段歩行用介助装置の他の実施例を示す概略図である。 【符号の説明】 【0063】 1 階段歩行用介助装置 11 レール部材 12 係止部 20 補助装置 26 把持部材 30 係合手段 31 係合部材 32 支持部 33 突部 40 解除手段
|
| 【出願人】 |
【識別番号】502424355 【氏名又は名称】奥野 治郎
|
| 【出願日】 |
平成18年4月28日(2006.4.28) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100065215 【弁理士】 【氏名又は名称】三枝 英二
【識別番号】100076510 【弁理士】 【氏名又は名称】掛樋 悠路
【識別番号】100114616 【弁理士】 【氏名又は名称】眞下 晋一
|
| 【公開番号】 |
特開2007−146621(P2007−146621A) |
| 【公開日】 |
平成19年6月14日(2007.6.14) |
| 【出願番号】 |
特願2006−126615(P2006−126615) |
|