| 【発明の名称】 |
断熱防水施工用固定具およびその施工方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】池田 浩和
【氏名】中村 修治
|
| 【要約】 |
【課題】
【解決手段】 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 軸部外周における頭部外縁から躯体へのねじ込み深さに相当する長さの位置に、目印線を設けたことを特徴とする断熱防水施工用固定具。 【請求項2】 前記目印線が、軸部外周に対し凸状または凹状に形成されたものであることを特徴とする請求項1に記載の断熱防水施工用固定具。 【請求項3】 前記目印線が着色され、その色は断熱防水施工用固定具の長さによってそれぞれ異なるものとすることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の断熱防水施工用固定具。 【請求項4】 躯体上に断熱材を敷き並べ、一定方向に傾斜した被防水施工面を形成する工程と、被防水施工面の所要箇所に防水シート用接合板を配置し、請求項1ないし請求項3のいずれか1に記載の断熱防水施工用固定具を、前記防水シート用接合板および断熱材を貫通して、軸部の先端を躯体面に突き当てる工程と、前記目印線が断熱材面より上方にあることを視認した後、前記断熱防水施工用固定具を躯体にねじ込んで、前記防水シート用接合板を断熱材に押し止める工程と、被防水施工面に防水シートを敷設して、防水シートと前記防水シート用接合板との当接部を、溶剤溶着または熱融着により接合する工程と、を備えていることを特徴とする断熱防水施工方法。
|
【発明の詳細な説明】【技術分野】 【0001】 この発明は、建物屋根やベランダなどにおける、コンクリートや金属板などからなる躯体上に断熱材が配置されて、一定方向に傾斜した面が形成された被防水施工面に対して使用される断熱防水施工用固定具およびその施工方法に関する。さらに詳しくは、施工の際に選定間違いを減らすことができる断熱防水施工用固定具およびその施工方法に関する。 【背景技術】 【0002】 建物屋根やベランダなどにおける、コンクリートや金属板などからなる躯体上には、例えば図5に示すように、表面が一方向に傾斜した断熱材5aと平板状の断熱材5bを各種重ね合わせ、それらを複数、並列に敷き並べることで、一定方向に傾斜した被防水施工面Mを形成することがある。この被防水施工面Mの所要箇所にはアングル状、帯状、円盤状などの防水シート用接合板3が配置されて、固定具21によって押え止められる。さらに被防水施工面Mには防水シート4が敷設され、防水シート用接合板3と防水シート4との当接部が溶剤溶着や熱融着によって接合される。 【0003】 固定具21は、頭部と軸部を有したネジや釘からなり、頭部が防水シート用接合板3の表面を押え止めるとともに、軸部が防水シート用接合板3と断熱材5を貫通して、躯体6にねじ込まれ、所定の深さでもって固着される。(特許文献1) 【0004】 このような断熱防水施工構造においては、被防水施工面Mが傾斜したものとなっているため、それぞれの箇所に応じて、長さの異なった固定具21(211、212)が使い分けられている。例えば、水下など断熱材の厚さの薄い箇所には短い固定具211、水上など断熱材の厚さの厚い箇所には長い固定具212などである。その種類は、形成される被防水施工面Mの傾斜角や面積などにもよるが、2〜10種類ほどであるのが一般的である。 【0005】 このような長さの異なる固定具21の選定は、設計書の指示によってなされるが、その選定が間違いないかどうかは、図6に示すように、固定具21を一旦防水シート用接合板3と断熱材5に貫通させて、その先端を躯体6面に突き当てた状態で、防水シート用接合板3の上に突出している固定具21の長さAを測って適正な長さであるかどうかを、つまりその長さAが躯体への適正なねじ込み深さに相当する長さ以上あるかどうかを確認することで行っている。そして、間違いがなければ、引き続き固定具21をねじ込んで、躯体6に固着させることとなる。 【特許文献1】特開平8−333849 【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】 【0006】 しかしながら、このような固定具の長さを測る作業は煩雑であり、さらに本数が多くなれば、測定間違いも起こしやすいものであった。また、誤って指定長さより短いものを選定し、それをねじ込んだ場合には、ねじ込み深さが浅すぎることとなり、例えば上方に敷設された防水シートが、突風を受け、浮き上がり現象を起こしたなどの際に、固定具が防水シート用接合板とともに引き抜かれ、それにより漏水事故につながる恐れがあった。 【0007】 そこで、この発明は、建物屋根やベランダなどにおける、コンクリートや金属板からなる躯体上に断熱材が配置されて一定方向に傾斜した面が形成された被防水施工面に対して使用される断熱防水施工用固定具およびその施工方法に関するものであって、断熱防水施工用固定具の選定間違いを減らすことができるとともに、防水施工効率を向上させることのできる断熱防水施工用固定具およびその施工方法を提供することを目的とする。 【課題を解決するための手段】 【0008】 上記の課題に対して、発明者は、断熱防水施工用固定具において、軸部外周における頭部外縁から躯体へのねじ込み深さに相当する長さの位置に目印線を設けることによって、その固定具が施工時に選定間違いを減らすものとなり、かつ効率よく防水施工ができるものになることを見出した。すなわち、請求項1に記載の発明は、軸部外周における頭部外縁から躯体へのねじ込み深さに相当する長さの位置に、目印線を設けたことを特徴とする断熱防水施工用固定具を要旨とする。 【0009】 また、この断熱防水施工用固定具においては、目印線を凸状または凹状に形成したものであることが好ましい。すなわち、請求項2に記載の発明は、前記目印線が、軸部外周に対して、凸状または凹状に形成されたものであることを特徴とする請求項1に記載の断熱防水施工用固定具を要旨とする。 【0010】 また、この断熱防水施工用固定具においては、目印線が着色され、その色は断熱防水施工用固定具の長さによって異なるものとすることが好ましい。すなわち、請求項3に記載の発明は、前記目印線が着色され、その色は断熱防水施工用固定具の長さによって異なるものであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の断熱防水施工用固定具を要旨とする。 【0011】 また、請求項4に記載の発明は、躯体上に断熱材を敷き並べ、一定方向に傾斜した被防水施工面を形成する工程と、被防水施工面の所要箇所に防水シート用接合板を配置し、請求項1ないし請求項3のいずれか1に記載の断熱防水施工用固定具を、前記防水シート用接合板および断熱材を貫通して、軸部の先端を躯体面に突き当てる工程と、前記目印線が断熱材面より上方にあることを視認した後、前記断熱防水施工用固定具を躯体にねじ込んで、前記防水シート用接合板を断熱材に押し止める工程と、被防水施工面に防水シートを敷設して、防水シートと前記防水シート用接合板との当接部を、溶剤溶着または熱融着により接合する工程と、を備えていることを特徴とする断熱防水施工方法を要旨とする。 【発明の効果】 【0012】 請求項1に記載の断熱防水施工用固定具によれば、軸部外周における頭部外縁から躯体へのねじ込み深さに相当する位置に目印線を設けたため、断熱防水施工用固定具を、防水シート用接合板と断熱材を貫通し、その軸部の先端を躯体面に突き当てた状態で、目印線が断熱材面上にあることを視認するだけで、その断熱防水施工用固定具が適切なものであることを判定することができ、固定具の選定間違いを減らすことができる。 【0013】 請求項2に記載の断熱防水施工用固定具によれば、目印線が軸部外周に対して凸状または凹状に形成されたものであるため、製作時において、施盤で軸部およびネジ山を切削加工する際、目印線も同時工程で切削加工することができ、低コストで、経済性に優れるといった効果がある。また、防水施工時においては、表面に溶着用の溶剤が付着した場合でも、線が消失してしまうことがなく、また埃や汚れが表面に付着した場合でも、拭き取ることで容易に視認性を確保でき、取り扱い性に優れたものとなる。 【0014】 請求項3に記載の断熱防水施工用固定具によれば、目印線が着色され、その色は断熱防水施工用固定具の長さによって異なるものとしたため、施工作業者は、施工箇所に応じ固定具を選ぶに当たり、設計書に指示された通りの色の固定具を選定するだけでよいため、固定具の選定間違いを減らすことができるといった効果がある。 【0015】 請求項4に記載の断熱防水施工方法によれば、請求項1ないし請求項3のいずれか1に記載の断熱防水施工用固定具を、軸部を断熱材に貫通して、先端を躯体面に突き当て、その目印線が断熱材面上にあることを視認した後、引き続き、固定具をねじ込むだけで固着作業を行うことができるため、作業効率がよく、防水施工性を向上させることができる。 【発明を実施するための最良の形態】 【0016】 以下、添付図面に基づいて、詳細に説明する。 【0017】 図1は、本発明にかかる断熱防水施工用固定具1、11の断面図を示したものである。固定具1、11は、頭部1a、11aと、先端部付近に螺旋状のネジ山1d、11dが設けられた軸部1b、11bとから構成されている。断熱防水施工用固定具1と断熱防水施工用固定具11とは、頭部外縁1c、11cから軸部1b、11b先端までの長さの点で異なっている。すなわち、短い方の断熱防水施工用固定具1は被防水施工面における水下などの断熱材の厚さの薄い箇所で使用されるものであり、一方、長い方の断熱防水施工用固定具11は被防水施工面における水上などの断熱材の厚さの厚い箇所で使用されるものである。 【0018】 その軸部1b、11bの外周における頭部外縁1c、11cから躯体へのねじ込み深さに相当する長さLの位置には、凸状の目印線2、12が設けられている。そして、この目印線2、12は、それぞれに異なった色で着色が施されている。 【0019】 頭部1a、11aは、頂面が平坦で、座面が円錐状となった皿ネジ形状のものである。本発明において、頭部の形状はこのような皿ネジ形状のものが代表的に採用されるが、これに制限されることなく、各種のものが適用できる。例えば、円盤状をした平ネジ形状、半球状をした丸ネジ形状のものが採用されてもよい。 【0020】 軸部1b、11bについては、中央付近から先端方向にかけて、螺旋状のネジ山1d、11dが形成された形状となっている。本発明において軸部は、このようなネジ山の有無に制限はなく、例えば打ち込み用の釘に代表されるネジ山のないものであってもよい。 【0021】 本発明にかかる断熱防水施工用固定具1、11の材質は、鉄・ステンレス・黄銅、銅、またはそれらの合金が適したものとして採用されるが、その他に、合成樹脂や、セラミックなどが採用されてもよく、とくに材質に限定されるものではない。 【0022】 本発明にかかる図1に示す目印線2a、12aは、軸部1b、11b外周における頭部外縁1c、11cから躯体へのねじ込み深さに相当する長さLの位置に、軸部の長さ方向に対して直交して周囲にわたり、凸状に形成されたものである。 【0023】 これら目印線2a、12aにおいては、凸状に形成されたものを示したが、その形状は限定されず、例えば、図2(a)に示す目印線2bのように、凹状に形成されたものであってもよい。また、図2(b)に示す目印線2cのように、凸状または凹状とせずに、塗料や着色テープなどの着色材により塗布または貼付されたものだけのものであってもよい。 【0024】 なお、本発明においては、目印線は凸状または凹状に形成されることが好ましい。このような形状とすることで、製作時においては、ネジ山を形成する際など目印線も同時工程で切削加工することができるとともに、防水施工時においては、表面に砂塵、泥などの汚染材が付着した場合でも、拭き取ることで容易に視認性が確保できる。また、溶着用の溶剤が付着した場合でも、目印線が消失してしまうといったことがない。凸状または凹状の目印線については、視認性が確保できるほどであれば、その高さ、深さ、幅など寸法について制限はない。 【0025】 また、本発明においては、目印線は着色され、その色は断熱防水施工用固定具の長さによってそれぞれ異なるものとすることが好ましい。こうすることで、施工作業者は、その色をみて、設計書に指示されたものを容易に選択することができ、固定具の選定間違いを減らすことができる。 【0026】 また、目印線の形状については、図2(c)の目印線2dに示すように、軸部に対して斜交した形状であってもよい。このようにすることにより、施工作業者は、その目印線の一部分をみて、ねじ込みの深さ程度を知ることができ、それにより、ねじ込み深さを調節することができる。 【0027】 また、目印線2の本数については、1本だけでなく、例えば図2(d)の目印線2eに示すように、複数としてもよい。例えば、目印線を3本、あるいは5本として、その中央の線を基準線として設定することで、効率よく、ねじ込み深さを調節することができる。 【0028】 上述したように、目印線は軸部の外周に各種の態様で形成されることができるが、その目印線が設けられる位置は、軸部1b、11bの外周における頭部外縁1c、11cから躯体へのねじ込み深さに相当する長さLの位置である。 【0029】 ここで、本発明におけるねじ込み深さとは、断熱防水施工用固定具1、11を躯体に適正に固着するための設計上、少なくとも必要とされるあるいは目安となる深さを指す。このようにねじ込み深さに相当する長さLの位置に目印線を設定することで、施工作業者は、施工時に、断熱防水施工用固定具の先端を、断熱材を貫通し、躯体面に突き当てた後、その断熱材面上に目印線があることを視認するだけで、躯体へのねじ込み深さが適正であるかを判定することができる。 【0030】 つぎに、本発明にかかる防水施工方法の一例について図3、図4を参照して、説明する。 【0031】 まず、図3に示すように、略平坦なコンクリートからなる躯体6上に、一方向に傾斜を設けた傾斜断熱材5aと平板状の板状断熱材5bを各種重ね合わせ、それらを並列に敷き並べ、断熱材5が一定方向に傾斜した被防水施工面Mを形成する。 【0032】 ここで、躯体としては、コンクリート、軽量発泡コンクリート(ALC)、ポーラスコンクリートなどが代表的なものとしてあげられるが、コンクリート系以外のものとして、金属屋根や瓦棒葺き屋根などの下地となる金属下地材などが適用されることもできる。 【0033】 断熱材とは発泡ポリスチレン、発泡ポリエチレン、発泡フェノール樹脂など発泡合成樹脂などが代表的なものとして適用されるが、これについても材質にとくに制限されることはない。 【0034】 つぎに、その被防水施工面Mにおける水下部Ma、中央部Mb、水上部Mcのそれぞれの箇所に表面に樹脂被覆がなされた樹脂被覆鋼板からなる円盤状の防水シート用接合板3を配置する。 【0035】 次いで、水下部Maに配置された防水シート用接合板3に対しては、長さの短い断熱防水施工用固定具1を選定し、一方、中央部Mb、および水上部Mcに配置された防水シート用接合板3に対しては、長さの長い断熱防水施工用固定具11を選定する。ここで断熱防水施工用固定具1、11は、目印線2a、12aが凸状に形成され、その凸部には、それぞれに異なった色が塗り分けられたものである。こうすることで、施工箇所に応じて、設計書に指示された通りの色の固定具を選定するだけでよいため、固定具の選定間違いを減らすことができる。 【0036】 つぎに、断熱防水施工用固定具1、11を、断熱材5を貫通させて、その先端を躯体6面に突き当てた状態とする。そして、防水シート用接合板3上に突き出ている断熱防水施工用固定具1、11の軸部1b、11bをみて その外周に目印線2a、12aが視認できるか否かを確認する。目印線2a、12aが視認できれば、その断熱防水施工用固定具1、11は、躯体への適正なねじ込み深さより深く沈み込むものとして、間違いなく選定されたものだと確認される。一方、目印線2a、12aが視認できずに、防水シート用接合板3側、あるいは断熱材5内に入り込んでいれば、躯体6へのねじ込み深さより浅く沈み込むものとして、適正に選定されていないものだと判定される。 【0037】 こうして、断熱防水施工用固定具1、11において、ねじ込み深さが適正と確認された後には、図4に示すように、それぞれの断熱防水施工用固定具1、11をねじ込み、防水シート用接合板3を押え止める。そして、被防水施工面には、防水シート4を敷設して、防水シート用接合板3と防水シート4との当接部を溶剤溶着や熱融着により接合して、防水施工を完了する。 【0038】 このように、上記の施工方法によれば、断熱材を貫通して、軸部の先端を躯体面に突き当てた後、そこに設けられた目印線が、断熱材面上に見えるか否かを視認した後、断熱防水施工用固定具を躯体へねじ込むだけでよいため、防水施工性がよく、しかも断熱防水施工用固定具の選定間違いを防止することができる。 【図面の簡単な説明】 【0039】 【図1】本発明にかかる断熱防水施工用固定具を示す断面図である。 【図2】本発明にかかる断熱防水施工用固定具に設けられた目印線の別の態様を示す断面図である。 【図3】本発明にかかる断熱防水施工用固定具の躯体への固着方法を説明するための断面図である。 【図4】本発明にかかる断熱防水施工用固定具の躯体への固着方法を説明するための断面図である。 【図5】従来の固定具を用いてなされた断熱防水施工構造を示す斜視図である。 【図6】従来の固定具の選定方法を説明するための断面図である。 【符号の説明】 【0040】 1 11 断熱防水施工用固定具 1a 11a 頭部 1b 11b 軸部 1c 11c 頭部外縁 1d 11d ネジ山 2 2a 2b 2c 2d 2e 目印線 12 12a 12b 12c 12d 12e 目印線 3 防水シート用接合板 4 防水シート 5 断熱材 5a 傾斜断熱材 5b 板状断熱材 6 躯体 M 被防水施工面 Ma 水下部 Mb 中央部 Mc 水上部 L 躯体へのねじ込み深さに相当する長さ
|
| 【出願人】 |
【識別番号】000223414 【氏名又は名称】筒中プラスチック工業株式会社
|
| 【出願日】 |
平成17年12月2日(2005.12.2) |
| 【代理人】 |
|
| 【公開番号】 |
特開2007−154462(P2007−154462A) |
| 【公開日】 |
平成19年6月21日(2007.6.21) |
| 【出願番号】 |
特願2005−348633(P2005−348633) |
|