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【発明の名称】 水道水ライン温度安定化方法
【発明者】 【氏名】吉田 正明
【課題】現行の水道水ラインの他にライン敷設の必要がなく多大な設置費用がかからないために、多くの地域に導入することが可能であり、さらに本発明の方法を導入した地域においては現行よりもCO削減、ごみ焼却排熱の利用及び工場で発生する排熱の回収を行うことができるために、地球温暖化及びヒートアイランド対策にも繋がり、水道水需要家が安全に光熱費が現行よりも安価となる夏季季節温度に水道水温度を安定化する方法を提供することを目的とする。

【解決手段】浄水場−配水池−給水所−本管−支管に至る水道水ラインより水道水の循環する水道水ライン部位又は水道水の流れが停止若しくは極端な減少のない貫流水道水ラインを設定し、該設定ラインに排熱源より受熱する熱交換部を介装して、季節変動する水道水を20〜35℃の温度に加温して水道水ラインに戻す。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
浄水場−配水池−給水所−本管−支管に至る水道水ラインより水道水の循環する水道水ライン部位を設定し、該設定ラインに排熱源より受熱する熱交換部を介装して、季節変動する水道水を20〜35℃の温度に加温して水道水ラインに戻すことを特徴とする水道水ライン温度安定化方法。
【請求項2】
浄水場−配水池−給水所−本管−支管に至る水道水ラインより水道水の流れが停止若しくは極端な現象のない貫流水道水ライン部位を設定し、該設定ラインに排熱源より受熱する熱交換部を介装して、季節変動する水道水を20〜35℃の温度に加温して水道水ラインに戻すことを特徴とする水道水ライン温度安定化方法。
【請求項3】
前記加温温度が夏季季節温度に対応する25〜30℃であり、前記設定ライン部位が配水池−給水所間の水道ライン若しくは配水池であることを特徴とする請求項1又は2記載の水道水ライン温度安定化方法。
【請求項4】
前記排熱が廃棄物処理施設の廃熱であることを特徴とする請求項1又は2記載の水道水ライン温度安定化方法。
【請求項5】
浄水場−配水池−給水所−本管−支管に至る水道水ラインより水道水の循環する水道水ライン部位を設定し、該設定ラインに排熱源より受熱する熱交換部を介装して、季節変動する水道水を20〜35℃の温度に加温して水道水ラインに戻すように構成した水道水ライン温度安定化装置。
【請求項6】
浄水場−配水池−給水所−本管−支管に至る水道水ラインより水道水の流れが停止若しくは極端な現象のない水道水ライン部位を設定し、該設定ラインに排熱源より受熱する熱交換部を介装して、季節変動する水道水を20〜35℃の温度に加温して水道水ラインに戻すように構成した水道水ライン温度安定化装置。
【請求項7】
前記設定ラインに設けた弁の上流側より排熱源より受熱する熱交換部に導入する水道水導入ラインと、前記弁の下流側に熱交換器で加温された加温水を水道水ラインに戻す戻しラインを設けたことを特徴とする請求項5又は6記載の水道水ライン温度安定化装置。
【請求項8】
前記熱交換器及び弁の開閉度調整により水道水を20〜35℃の温度に制御して弁下流の水道水ラインに戻すことを特徴とする請求項7記載の水道水ライン温度安定化装置。
【請求項9】
前記熱交換器が廃棄物処理施設の廃熱源に接続されていることを特徴とする請求項5又は6記載の水道水ライン温度安定化装置。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、水道水を年間通して定温供給するための水道水温度を安定化する方法に関するものである。更に詳しくは、ごみ焼却炉、火力発電所等からでる排熱と水道水を熱交換することによって、水道水を加温し、水道水温度を安定化する方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
水道水は、河川等の水源から取水した水(原水)を浄水処理して、濁質や有害物質を取り除き、水質検査に適合した水(浄水)となったものである。図1は河川等の水源から取水してから、家庭、店舗、企業等の需要家へ水道水として送られるまでのフロー図である。河川等の水源の水は取水場1によって取り入れられて浄水場2へ送られる。浄水場2へ送られた水は、浄水場2で浄水処理をされ浄水(水道水)となり、配水池3へ送られる。配水池3へ送られた水道水は、配水池3に貯留され、使用量に応じて給水所4を介して家庭、店舗、企業等の需要家5へ送られる。
【0003】
前記の方法で得られた水道水の水温は、水源、配水池3等で外気にさらされている等の理由により外気温の影響を受けるため、季節の移り変わりによる外気温変化の影響を受けて変動する。この変動は地方により異なるが、例えば東京都庁付近では、非特許文献1に開示されているように、年間変動は平成15年度には最低6.0℃から最高26.4℃まで20.4℃の変動幅があり、家庭、店舗、企業等の需要家5へ送られる水道水は外気温の低い冬場は水温も低く、外気温の高い夏場は水温も高かった。
【0004】
ところで、需要家5は給水所4より送られてきた水温そのままの水として利用する他、水道水を需要家の敷地内に引き込んだ後、給湯設備等の温水発生装置7を用いて温水として利用する等、外部手段によって水温を変化させて使用することもある。例えば家庭においては、水道水を給湯器で温め温水として入浴用に使用する量の割合が大きい。
【0005】
また、水温の低い冬場と、水温の高い夏場に、同じ温度の温水を得るためには、水温の低い冬場の方が温水発生装置で必要なエネルギーが多くなり、光熱費も高額になる。そのため、家庭においては冬場の光熱費が夏場に比べて高いという問題がある。例えば温水発生装置として東京ガス株式会社製RF式24号風呂給湯器を使用し、水温の高い7月と水温の低い1月に200Lの浴槽にお風呂(40℃)を沸かす場合、東京ガス株式会社のガス料金において7月は約33円/回であるのに対し、1月は約79円/回と7月と比べると2倍以上大きな金額であることが、非特許文献2に開示されている。さらに、1人1回あたり12L/分の水流量で5分間温水シャワーを利用すると、60L/回・人の温水を使用することとなり、世帯平均人数2.21人であるため、1世帯全員が温水シャワーを利用した場合、60×2.21=132.6L/回・世帯の温水使用量となる。非特許文献2に開示されている方法と同様に、東京ガス株式会社製RF式24号風呂給湯器を使用し、世帯員全員が温水シャワー(40℃)を使用する場合、東京ガス株式会社のガス料金において、7月は約22円/回・世帯であるのに対し、1月は約52円/回・世帯と7月と比べるとやはり2倍以上の金額となる。
つまり、1世帯が、200Lの浴槽にお風呂(40℃)を1回沸かし、世帯員全員が温水シャワー(40℃)を使用した場合、東京ガス株式会社のガス料金は、7月は33+22=55円/回・世帯であるのに対し、1月は79+52=131円/回・世帯となる。
ここで、前記温水シャワー使用時の水流量及び時間は非特許文献3に開示されている数値を用い、前記世帯平均人数は非特許文献4に平成12年国勢調査における東京都の人口が11864419人であり、世帯数が5371057世帯であることが開示されているため、前記人口及び世帯数から計算して求めた。
【0006】
そこで、水道の配水管から分岐される給水管の水道メーター以降の需要家敷地内において、熱交換器を地中の常温帯に埋設し、給水管に熱交換器を接続することにより、年間を通じて水道水が常温となる水道水の常温化装置が特許文献1に開示されている。
【0007】
しかしながら、特許文献1に開示された方法は、水温の安定した水道水は得られるが、地表から3〜5m以下の層で一般的に12℃前後に保持されている地中に埋設した熱交換器で地熱を利用する構造のために、得られる水道水の水温も地中温度と同様な12℃程度である。平成15年度の東京都庁付近の年間平均水道水温は、非特許文献1に開示されているように16.3℃であるから、特許文献1で得られる水温の安定した水は年間を通じると現行の年間平均水温よりも低温である。従って非特許文献2に開示されている方法と同様に、東京ガス株式会社製RF式24号風呂給湯器を使用し、200Lの浴槽にお風呂(40℃)を沸かし、世帯員全員が温水シャワー(40℃)を使用する場合、東京ガス株式会社のガス料金において、現行の水道水温では年間平均約98円/回であるのに対し、特許文献1に開示された方法では115円/回となり、光熱費の削減にはならない。
【0008】
また、特許文献1に開示された方法は、一般に需要家に供給する側の水道管本管(配水管)に分岐された小管(給水管)の埋設深さはせいぜい地中2m前後であり、このため熱交換器で地熱を利用した後の冷水(加温水)が再度外気温により奪熱されて外気温に近づくのを防止するため水道の配水管から分岐される給水管の給水メーター以降の需要家敷地内に熱交換器を埋設する必要がある。
即ち、外気による奪熱を極力さけるために、家庭、店舗、企業等の需要家は使用位置の近傍に熱交換器を埋設する必要があり、この方法は給湯器の設置が個々の使用者に依存するためにその設備負担が大きいという課題もある。
又特許文献1は熱交換器自体が地熱吸収をよくするために開放形であるが故に一度熱交換した後の冷水(加温水)は吸水管側に戻せない(安全のため)という事情もある。
【0009】
昨今、地球全体の平均気温は上昇傾向を示しており、この地球全体の温暖化現象は、人間活動の拡大により二酸化炭素(CO)、メタン(CH)等の温室効果ガスの大気中の濃度が増加したためといわれている。また、地球温暖化現象は世界規模で問題視されており、CO等6種類の温室効果ガスの削減を日本を含む先進国に義務付ける京都議定書が2005年2月には発効されている。特に各需要家が温水化するために温水発生装置を使用していることにより温室効果ガスの1つであるCOが発生し、地球温暖化の一原因となっており、CO削減が必要である
【0010】
また、都市の中心部と郊外と比較すると常に都市の気温が高いというヒートアイランド現象と呼ばれる現象も起きており、この原因の一つとして、都市への人口の集中によりエネルギーの使用量が増え排熱量が増加しているということがあげられている。
ヒートアイランド対策として、前記排熱量を削減する方法には、例えば、車の排気ガスの排出抑制、住宅建設における断熱材の使用、風力発電システムの導入等が行われており、また、ごみ焼却排熱の利用、工場で発生する排熱の回収も求められている。
【0011】
そこで近年、清掃工場近くにおいて、温水プールやレクレーション施設を並設して焼却炉等の排熱を有効利用して、水道水の一部を温水化して温水プールや給湯に利用しているものもある。図2(A)は温水プールやレクレーション施設へ水道水を加温して供給するシステムのフロー図であり、水道施設運用者は、浄水場11で得た水道水を配水池12、給水所13を経て配水管(本管)15及び給水管(支管)16を介して清掃工場近くの温水発生装置14で温水を発生させて、温水プールやレクレーション施設を並設してなる需要家へ送る。このシステムは、東京都江東清掃工場の排熱を利用している夢の島公園の温水プールや、東京都大井清掃工場の排熱を暖房給湯に利用している品川八潮団地地区、東京都練馬清掃工場光が丘分場の排熱を暖房給湯に利用している光が丘団地地区等の一部の地域において既に実用化されている。
【0012】
そしてこのような焼却炉等の排熱を有効利用システムを利用したものとして図2(B)のシステムが検討される(非公知の比較技術)。
本比較例は前記焼却炉等の排熱を利用して、配水池より下流側の本管内の水道水の一部を温水化してから需要家へ供給するシステムのフロー図であり、水道水施設運用者は、浄水場21で得られた水を配水池22へ送り、配水池22より出た水道水は給水所23を経て一部は焼却炉等排熱源25の排熱利用熱交換器24で例えば給湯可能な50〜60℃の温水としてから、また別の一部はそのまま水として需要家へ送る。需要家は、送られてきた50〜60℃の温水は給湯に、水は浄水としての利用等、目的に合わせて適宜使用する。
【0013】
前記図2(B)のような排熱を有効利用して温水を発生させて需要家に送るシステムは、現行の図2(A)のシステムと比較すると、水道施設運用者は排熱利用することで安価に付加価値の高い温水を供給でき、需要家は温水発生装置の必要エネルギーが少なくなり、さらに、排熱発生者は排熱有効利用するため排熱処理量が減るという利点がある。
【0014】
【特許文献1】特開2003−27534号公報
【非特許文献1】東京都水道局http://www.waterworks.metro.tokyo.jp/
【非特許文献2】省エネエコライフ 東京ガス株式会社 http://www.tokyo-gas.co.jp/ultraene/
【非特許文献3】環境報告書 株式会社ノーリツhttp://www.noritz.co.jp/eco/shiryo/img/2003kankyou.pdf
【非特許文献4】東京都の総計 東京都総務局統計部http://www.toukei.metro.tokyo.jp/
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
しかしながら、前記図2(B)で示した方法は、温水化しない通常の水道水のラインの他に、温水ラインを別個に敷設する必要があり、多大な設置費用がかかるのみならず、さらに給水所より下流側の本管内の水道水は一方通行の停滞水であるために、この温水ライン50℃以上であるために、雑菌が繁殖しやすく、特に35℃〜60℃のタンパク質凝固点以下の温度では雑菌が繁殖しやすく生活上水としての利用は不可能である。
【0016】
また、図2(A)で示した方法においても、前記非特許文献2に開示されている冬場の光熱費が高いという問題も解決できていない。さらに、夏場であれば水道水をそのまま利用できる炊事、洗濯、掃除等の家事を行う際においても、冬場は水温が低いために20〜40℃に加温化された水を用いなければならないという問題もある。
【0017】
さらに、温水化しない通常の水温の水道水を、浄水場から配水地へ、配水池から需要家へと送る浄水場→配水池→給水所→需要家の通常の水温の水道水を送るラインの水道管は、特に本管(配水管)に分岐された小管(給水管)の埋設深さはせいぜい地中2m前後であるために広範囲にわたって小管の凍結防止対策を行う必要があり、設備敷設時の高コスト化の要因ともなっている。
【0018】
また、図2(A)及び図2(B)で示した方法は、いずれも温水化しない通常の水道水は、前記の通り、例えば東京都庁付近では、年間変動は平成15年度には最低6.0℃から最高26.4℃まで20.4℃の変動幅があるように、安定温度の水道水を供給できていないという問題も解決できていない。
【0019】
そのため、本発明においては、現行の水道水ラインの他に温水用ライン敷設の必要がなく多大な設置費用がかからず、多くの地域に導入することが可能であり、さらに本発明の方法を導入した地域においては現行よりもCO削減、ごみ焼却排熱の利用及び工場で発生する排熱の回収を行うことができ、結果として地球温暖化及びヒートアイランド対策にも繋がり、水道水需要家が安全に光熱費が現行よりも安価となる夏季季節温度に水道水温度を安定化する方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0020】
前記のように、水道水温は冬期のように5℃前後と低すぎると前記需要家の光熱費が高額となる問題が発生し、50〜60℃と高すぎるとレジオネラ属菌とうの雑菌の生育を促してしまう。そのため、水道水温を安定化させる場合、現行の平均水道水温度(例えば東京都庁付近では前記の通り16.3℃)よりも高く、レジオネラ属菌や雑菌がよく生育する温度(35℃〜60℃)よりも低い温度がよい。特に、現行の夏場の水道水温(例えば東京都庁付近では26.4℃)は、レジオネラ属菌の生育の問題がないことはこれまでの夏場水道水の使用実績により確認されており、また水温も高いため需要化の光熱費も安価に抑えることができ、水道水温を安定化させるのに適温であることに着目したのが本発明の第1の要旨である。
第2の要旨は現行の水道水ラインに大きな変更を加えない点にある。
現行の浄水場−配水池−給水所−本管−支管に至る水道水ラインはインフラとして確立しており、これを変更することは許されない。
第3の要旨は水道水が循環するラインに熱交換器を介装することである。
例えば給水所から需要家の間の本管や支管のように水道水が循環しておらず、流れが停止したり極端に減少する部位に排熱源より受熱する熱交換部を介装しても排熱利用量が著しく低下してしまう。また、水道水の流れが停止若しくは極端な減少のない部位であれば、貫流ラインに熱交換器を介装することもできる。
上記課題を解決するため本発明においては、
浄水場−配水池−給水所−本管−支管に至る水道水ラインより水道水の循環する水道水ライン部位を設定し、該設定ラインに排熱源より受熱する熱交換部を介装して、季節変動する水道水を20〜35℃好ましくは夏季季節温度に対応する25〜30℃の温度に加温して水道水ラインに戻すことを特徴とする。
さらには、浄水場−配水池−給水所−本管−支管に至る水道水ラインより水道水の流れが停止若しくは極端な現象のない貫流水道水ライン部位を設定し、該設定ラインに排熱源より受熱する熱交換部を介装して、季節変動する水道水を20〜35℃の温度に加温して水道水ラインに戻すことを特徴とする。
【0021】
設定するライン部位は、浄水場−配水池−給水所−本管−支管に至る水道水ライン部位であればどこでもよいが、一般に給水所よりも下流は需要家の水道水使用量によっては流量が安定せず且つ水道ラインは給水所−本管−支管に至る一方通行であるため、この間では熱交換部を介装してもその熱交換器を介装した部位で局部的な加熱や温度変動が生じる。又配水池上流側の浄水場−配水池の水道ラインでも同様である。したがって配水池−給水所間の水道ラインであれば循環ラインが既に設定されており、温度の一定化が可能であるとともに給水所−本管−支管に至るラインに温度の安定化が図れる。
また、浄水場−配水池−給水所−本管−支管に至る水道水ラインは一般に網状になっているため、前記給水所よりも下流及び配水池上流側の浄水場−配水池の水道水ラインにおいても、バルブやポンプ等の操作により水道水の流れの方向を変えることにより積極的に循環するライン又は水道水の流れが停止若しくは極端な現象のない貫流水道水ラインを設定することができるため、温度の安定化を図ることができる。
特に給水所よりも下流においては、非常に多くの本管から分岐する支管があるため、一部の支管のみを循環するライン又は水道水の流れが停止若しくは極端な現象のない貫流水道水ラインを設定し、該設定ラインに排熱源より受熱する熱交換部を介装することによって、一部の需要家へのみ温度安定化した水道水を供給することもできる。
【0022】
請求項4は本発明を有効に実施する装置に関する発明で、浄水場−配水池−給水所−本管−支管に至る水道水ラインより水道水の循環する水道水ライン部位を設定し、該設定ラインに設けた弁の上流側より排熱源より受熱する熱交換部に導入する水道水導入ラインと、前記弁の下流側に熱交換器で加温された加温水を水道水ラインに戻す戻しラインを設け、前記熱交換器及び弁の開閉度調整により水道水を20〜35℃好ましくは夏季季節温度に対応する25〜30℃の温度に制御して弁下流の水道水ラインに戻すことを特徴とする。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、加温した水を水道水ラインに戻すことを特徴とするため、現行の水道水ラインをそのまま転用することができ、他に温水用ラインを敷設する必要がなく、多大な設置費用がかからないため、多くの地域に導入することが可能である。
また、配水池−給水所管の水道ラインであれば循環ラインであるために、加温するための熱源としてごみ焼却排熱や工場排熱等の排熱が温度が高くても循環制御ポンプを利用して、20〜35℃好ましくは夏季季節温度に対応する25〜30℃の温度に加温制御することができる。これによりレジオネラ属菌の生育の問題がない点が大きな効果である。
また、加温する温度が20〜35℃好ましくは夏季季節温度に対応する25〜30℃であるため、通常大気や海水に廃棄していた低圧復水器の熱を利用することもできる。この熱源は通常約60℃の蒸気である為、例えば図2(B)に示したような高温水の供給には適さないが、本発明によれば、約60℃の蒸気を約60℃の水(復水)になる凝集熱を利用して、20〜35℃好ましくは夏季季節温度に対応する25〜30℃の温水を作り出すため、これらの廃棄していた熱を利用することができる。廃棄していたエネルギー(熱)は図6にイメージ図で示したように全体の約30〜40%と発電量に迫る量であり、再利用することは非常に効果的である。このようにこれまで棄てていたエネルギーの再利用も促進されるという大きな効果がある。
さらに、需要家は、20〜35℃好ましくは夏季季節温度に対応する25〜30℃の温度に安定化された水温の水道水を常に利用することができるため、温水を得るために必要な昇温幅は現行よりも小さくなり、光熱費の削減をすることができるとともに、需要家で昇温する際に発生するCO量も削減することができる。
したがって、本発明により、現行の水道水ラインの他に温水用ライン敷設の必要がなく多大な設置費用がかからないために、多くの地域に導入することが可能であり、さらに本発明の方法を導入した地域においては現行よりもCO削減、ごみ焼却排熱の利用及び工場で発生する排熱の回収を行うことができるために、地球温暖化及びヒートアイランド対策にも繋がり、水道水需要家が安全に光熱費が現行よりも安価となる夏季季節温度に水道水温度を安定化する方法を提供することができる。
又請求項4〜6の装置発明によれば弁を介してその上流側と下流側の水道ラインを分断して熱交換器を介装しているために熱交換器側の負荷が過大若しくは春〜秋のように加温温度との間で温度差が小さくても弁の開度制御と組み合わせて水道水を20〜35℃好ましくは夏季季節温度に対応する25〜30℃に維持できる。
この場合に前記熱交換器が廃棄物処理施設の廃熱源に接続されていること有効であるが、他の工場熱源を利用することも可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、図面を参照して本発明の好適な実施例を例示的に詳しく説明する。但しこの実施例に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は特に特定的な記載がない限りは、この発明の範囲をそれに限定する趣旨ではなく、単なる説明例に過ぎない。
【実施例1】
【0025】
図3は、設定ライン部位を配水池−給水所間とした本発明の水道水ライン温度安定化方法のフロー図である。浄水場31で原水を浄水処理して得られた水道水は、配水池32へ送られる。配水池32へ送られた水道水は、配水池32へ貯留され、配水池32−給水所38間を水道水ライン主管37を介して循環する。配水池32−給水所38間を循環している水道水は、循環制御ポンプ341によって水道水ライン主管37より分岐している加温装置行きライン34を介して加温装置33へ送られる。加温装置33へ送られた水道水は、加温装置33で、ごみ焼却排熱、工場排熱等の排熱と熱交換されて夏季季節温度へ昇温される。前記夏季季節温度へ昇温された水道水は、水道水ライン主管37より分岐している加温装置戻しライン35を介して、水道水ライン主管37へ戻り配水池32−給水所38間を循環し、需要家の使用量に応じて給水所38より夏季季節温度の水道水として需要家へ送られる。需要家は、前記夏季季節温度へ昇温された水道水を浄水としてそのまま利用したり、需要家敷地内の水道メーター40以降に設けた温水発生装置39を用いて温水として利用する等使用目的に応じて適宜使用する。
【0026】
また、水道水ライン主管37上であり、且つ加温装置行きライン34と加温装置戻しライン35の間に仕切弁36を設けた。通常は仕切弁36を閉止しておくことにより、水道水を全量加温装置33を通して加温することができる。補修や点検等により加温装置33が使用できない場合においても仕切弁36を開けて水道水を加温装置33をバイパスさせることにより、需要家へ水道水の供給を止めずに、加温装置33の補修や点検等を行うことができる。
また、仕切弁36の開度を調整することにより、加温装置33の通過量及びバイパス量を調整することができるため、仕切弁36を水道水の温度調整弁として使用することもできる。
【0027】
図5はタービン排気蒸気と水道水を熱交換させることにより夏季季節温度の水道水を得ることのできる加温装置33周辺のフロー図である。水道水ライン主管37中の水道水は、加温装置行きライン34から加温装置33へ入り、加温装置33内でタービン排気蒸気と熱交換されて夏季季節温度に昇温され、加温装置戻しライン35を介して水道水ライン主管37へ戻る。一方、タービン61で発生した排気蒸気は、コンデンサ63の冷却量を圧力指示調節(PIC)62によって指示調整することで排気圧力を調整される。排気圧力を調整されたタービン排気蒸気は加温装置排熱入口ライン64より加温装置33へ入り、水道水と熱交換される。水道水と熱交換された排気蒸気は、復水として加温装置排熱出口ライン65を介して復水タンク66へ送られる。
また、温度指示調節(TIC)67の指示調節により、加温装置排熱入口ライン64上に設けられた温度調整弁68の開度、すなわち排気蒸気の加温装置への流入量を調整することで、加温装置戻しライン35の水温は、夏季季節温度に安定して保つことができる。仕切弁36を調整弁として、温度指示調節(TIC)67の指示調節により、仕切弁36の開度、すなわち加温装置をバイパスする水道水量を調整することで、加温装置戻しライン35の水温を夏季季節温度に安定して保つ構成とすることもできる。
また、液面指示調節(LIC)69の指示調節により、加温装置排熱出口ライン65上に設けられた液面調整弁70の開度を調整することで、加温装置内の排気蒸気側の液面を調整し、復水タンク66への蒸気流水を防止しており、さらに温度指示調節(TIC)71の指示調節により、加温装置行きライン34上に設けられた温度調整弁72の開度を調整することで、加温装置排熱出口ライン65中の復水温度を調整し、復水の過冷却を防止している。
この場合、水道水と熱交換する排熱源として、タービン排気蒸気を利用したが、排熱であれば何でもよい。また、加温装置33周辺のフローも図5で示したフローに限定されるものではない。
【0028】
前記の通り、本発明の方法を用いることにより、排熱を有効利用することができるため、ヒートアイランド対策として非常に有効である。
【0029】
また、本発明の温度安定化方法を行う際に、新たに必要な設備は、加温装置33、加温装置行きライン34、加温装置戻しライン35、仕切弁36及び前記それぞれの付帯設備であり、例えば前記図2(A)及び(B)の方法では必要であった温水専用の配管が必要ない。そのため、前記図2(A)及び(B)の方法よりも温水専用の配管の設置費用が不要となる分、安価に設備を設置することができる。
【0030】
前記の背景技術の欄で説明したとおり、現行の東京都庁付近の平均水温は16.3℃であり、本発明の温度安定化方法を用いると年間通じて平均水温を夏季季節温度で安定させることができる。例えば夏季季節温度27℃に安定した水温を需要家が利用した場合、非特許文献2に開示されている方法と同様に、東京ガス株式会社製RF式24号風呂給湯器を使用し、200Lの浴槽にお風呂(40℃)を沸かし、世帯員全員が温水シャワー(40℃)を使用する場合、東京ガス株式会社のガス料金において、現行の水道水温では年間平均約98円/回であるのに対し、本発明の方法によって27℃に安定した水道水温では54円/回となり、お風呂を沸かすために使用するガス料金を54/98=55%へ削減することができ、お風呂を毎日沸かし、世帯員全員が温水シャワーを利用する需要家においては、(98−54)×365=16060円/年のガス料金節約となる。東京都全体で本発明を実施した場合、前記の通り東京都の世帯数は5371057世帯であるため、東京都全体で本発明を実施した場合、16060(円/世帯・年)×5371057(世帯)=863億円/年のガス料金節約となる。
【0031】
さらに、現行よりも平均水温が高いため、需要家での温水発生に必要なエネルギーが削減され、需要家での温水発生に伴うCO発生量の削減することができ、地球温暖化対策としても有効である。例えば前記毎日お風呂を沸かし、世帯員全員が温水シャワーを利用する需要家においては、1日あたり、非特許文献2に開示された方法で計算したガス使用量を0.87mから0.48mへと、0.39m/日削減することができる。環境省によると、環境家計簿二酸化炭素排出係数(二酸化炭素換算)は2.2(都市ガス1mにつき2.2kg)であるため、前記需要家では、1日あたり0.39×2.2=0.858kgのCO排出削減をすることができる。前記の通り、東京都の世帯数は5371057世帯であるため、東京都全体で本発明を実施した場合、0.858(kg/日・世帯)×365(日/年)×5371057(世帯)=168万t/年のCO排出を削減することができる。
京都議定書による温室効果ガスの削減目標は基準年(1990年)の排出量12億3300万tの6%(7400万t/年)であるから、本発明を東京都全体に実施することにより、京都議定書の削減目標の2.27%(168万/7400万%)の温室効果ガスの削減を達成することができる。
【実施例2】
【0032】
図4は、設定ライン部位を配水池とした本発明の水道水ライン温度安定化方法のフロー図である。浄水場51で原水を浄水処理して得られた水道水は、配水池52へ送られる。配水池52の水道水は、循環制御ポンプ541によって加温装置行きライン54を介して加温装置53へ送られる。加温装置53へ送られた水道水は加温装置53で、ごみ焼却排熱、工場排熱等の排熱と熱交換されて夏季季節温度へ昇温される。前記夏季季節温度へ昇温された水道水は、加温装置戻しライン55を介して、再度配水池52へ戻り貯留され、配水池52−給水所58を循環して需要家の使用量に応じて給水所58より需要家へ送られる。需要家は、前記夏季季節温度へ昇温された水道水を浄水としてそのまま利用したり、需要家敷地内の水道メーター60以降に設けた温水発生装置59を用いて温水として利用する等使用目的に応じて適宜使用する。
また、補修や点検等により加温装置53が使用できない場合においては加温装置53への送水を止め、直接需要家へ送水することにより、需要家へ水道水の供給を止めずに、加温装置53の補修や点検等を行うことができる。
【0033】
また、温水発生装置53周辺は、実施例1と同様にタービン排気蒸気を使用した図5と同じフローとした。実施例1と同様に、排熱を有効利用することができるため、ヒートアイランド対策として非常に有効である。また、新たに必要な設備は、加温装置53、加温装置行きライン54、加温装置戻しライン55及び前記それぞれの付帯設備であり、例えば前記図2(A)及び(B)の方法では必要であった温水専用の配管が必要ない。そのため、前記図2(A)及び(B)の方法よりも温水専用の配管の設置費用が不要となる分、安価に設備を設置することができる。
【0034】
需要家は、前記夏季季節温度へ昇温された水道水を、温水利用する場合は、需要家が保持している温水発生装置58で温水を発生させて利用し、水利用する場合はそのまま利用する。この際、実施例1と同じく、東京ガス株式会社製RF式24号風呂給湯器を使用し、200Lの浴槽にお風呂(40℃)を沸かし、世帯員全員が温水シャワー(40℃)を使用する場合、東京ガス株式会社のガス料金において、現行の水道水温では年間平均約98円/回であるのに対し、本発明の方法によって例えば27℃に安定した水道水温では54円/回となり、お風呂を沸かすために使用するガス料金を54/98=55%へ削減することができ、お風呂を毎日沸かし、世帯員全員が温水シャワーを利用する需要家においては、(98−54)×365=16060円/年のガス料金節約となり、実施例1と同じく東京都全体で本発明を実施した場合、863億円/年のガス料金節約となる。
【0035】
さらに、現行よりも平均水温が高いため、需要家での温水発生に必要なエネルギーが削減され、需要家での温水発生に伴うCO発生量の削減することができ、地球温暖化対策としても有効である。削減量は、実施例1と同じく東京都全体で本発明を実施した場合、168万t/年のCO排出を削減することができ、これは京都議定書による温室効果ガス削減目標の2.27%に相当する。
【産業上の利用可能性】
【0036】
本発明によれば、現行の水道水ラインの他に温水用ライン敷設の必要がなく多大な設置費用がかからないために、多くの地域に導入することが可能であり、さらに本発明の方法を導入した地域においては現行よりもCO削減、ごみ焼却排熱の利用及び工場で発生する排熱の回収を行うことができるために、地球温暖化及びヒートアイランド対策にも繋がり、水道水需要家が安全に光熱費が現行よりも安価となる夏季季節温度に水道水温度を安定化する方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】河川等の水源から取水してから、家庭、店舗、企業等の需要家へ水道水として送られるまでのフロー図である。
【図2】図2(A)は温水プールやレクレーション施設へ水道水を加温して供給するシステムのフロー図であり、図2(B)は焼却炉等の排熱を有効利用したものとして検討されるシステムのフロー図である。
【図3】設定ライン部位を配水池−給水所間とした本発明の水道水ライン温度安定化方法のフロー図である。
【図4】設定ライン部位を配水池とした本発明の水道水ライン温度安定化方法のフロー図である。
【図5】タービン排気蒸気と水道水を熱交換させることにより夏季季節温度の水道水を得ることのできる加温装置周辺のフロー図である。
【図6】低圧復水器の熱のイメージ図である。
【符号の説明】
【0038】
31 浄水場
32 配水池
33 加温装置
34 加温装置行きライン
35 加温装置戻しライン
36 仕切弁
37 水道水ライン主管
38 給水所
39 温水発生装置
40 メーター
341 循環制御ポンプ
【出願人】 【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
【出願日】 平成17年11月18日(2005.11.18)
【代理人】 【識別番号】100083024
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 昌久

【識別番号】100137257
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 廣
【公開番号】 特開2007−138562(P2007−138562A)
【公開日】 平成19年6月7日(2007.6.7)
【出願番号】 特願2005−334228(P2005−334228)