| 【発明の名称】 |
複合ポリアミド繊維 |
| 【発明者】 |
【氏名】吉川 哲生
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| 【要約】 |
【課題】高温における耐アルカリ性に優れ、アルカリ電池用セパレーターに好適な不織布を得ることができる複合ポリアミド繊維を提供する。
【解決手段】複数の単糸からなるポリアミド繊維であって、各単糸は、鞘成分がナイロン12、芯成分が鞘成分の融点より20℃以上高い融点を有するポリアミド樹脂からなる芯鞘型複合繊維であって、芯成分と鞘成分の複合比(質量比:芯成分/鞘成分)が20/80〜80/20である複合ポリアミド繊維。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 複数の単糸からなるポリアミド繊維であって、各単糸は、鞘成分がナイロン12、芯成分が鞘成分の融点より20℃以上高い融点を有するポリアミド樹脂からなる芯鞘型複合繊維であって、芯成分と鞘成分の複合比(質量比:芯成分/鞘成分)が20/80〜80/20であることを特徴とする複合ポリアミド繊維。 【請求項2】 繊維長が1〜15mmであり、実質的に捲縮が付与されていない請求項1記載の複合ポリアミド繊維。
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【発明の詳細な説明】【技術分野】 【0001】 本発明は、鞘成分にナイロン12を用いた複合ポリアミド繊維であって、鞘成分を溶融させてバインダー繊維として使用し、アルカリ電池用セパレーターに好適な不織布を得ることができるポリアミド繊維に関するものである。 【背景技術】 【0002】 従来、ポリアミド繊維は、繊維強力が高く、ヤング率がポリエステル繊維に比べ低いことで柔軟性に優れていることや、染色性に優れているため、汎用素材として産業資材や、衣料用、一般家庭資材、土木、農業資材、衛生材料などに幅広く用いられている。 【0003】 近年、携帯電話、モバイルコンピューター、デジタルカメラ等の小型電子機器、玩具、携帯型電動工具等の普及により、その電源として、充電式電池の需要が増しており、アルカリ電解液に侵されにくいポリアミド繊維を使用した不織布が電池用セパレーターとして多く使用されている(特許文献1、2参照)。 【0004】 ポリアミド繊維を用いた不織布は電解液の保液性、吸水性に優れ、電解液の拡散性が高いことから高率放電が可能である。しかしながら、高温における耐アルカリ性が悪く、ポリアミドのアルカリ分解による不純物の溶出のため、電池の寿命が短かくなるという欠点があった。 【特許文献1】特開2001−84986号公報 【特許文献2】特開2004−103459号公報 【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】 【0005】 本発明は、上記の問題点を解決し、高温における耐アルカリ性に優れ、アルカリ電池用セパレーターに好適な不織布を得ることができる複合ポリアミド繊維を提供することを技術的な課題とするものである。 【課題を解決するための手段】 【0006】 本発明者らは、上記の課題を解決するために鋭意検討した結果、本発明に到達した。 【0007】 すなわち、本発明は、複数の単糸からなるポリアミド繊維であって、各単糸は、鞘成分がナイロン12、芯成分が鞘成分の融点より20℃以上高い融点を有するポリアミド樹脂からなる芯鞘型複合繊維であって、芯成分と鞘成分の複合比(質量比:芯成分/鞘成分)が20/80〜80/20であることを特徴とする複合ポリアミド繊維を要旨とするものである。 【発明の効果】 【0008】 本発明の複合ポリアミド繊維は、鞘成分にナイロン12を用いているため、高温における耐アルカリ性に優れており、アルカリ電池用セパレーターに適した不織布をはじめとして、耐アルカリ性の要求される各種の用途に好適に用いることが可能である。 【発明を実施するための最良の形態】 【0009】 以下、本発明を詳細に説明する。 【0010】 本発明の複合ポリアミド繊維は、複数の単糸からなるポリアミド繊維であって、各単糸は、鞘成分がナイロン12、芯成分が鞘成分の融点より20℃以上高い融点を有するポリアミド樹脂からなる芯鞘型複合繊維である。 【0011】 本発明の複合ポリアミド繊維は、長繊維、短繊維のいずれとしてもよく、長繊維とする場合は、単糸数10〜100とすることが好ましく、短繊維とする場合は、単糸数100 〜1000とすることが好ましい。 【0012】 本発明の複合ポリアミド繊維を構成する各単糸の形状は芯鞘型であり、鞘成分がナイロン12、芯成分が鞘成分の融点より20℃以上高い融点を有するポリアミド樹脂である。芯鞘形状としては、同心芯鞘型のものや偏心芯鞘型のものが挙げられるが、下記するように、本発明の複合ポリアミド繊維をバインダー繊維として用いる場合、得られる不織布の均一接着性を考慮すると、同心芯鞘型のものが好ましい。 【0013】 そして、本発明の複合ポリアミド繊維は、鞘成分のナイロン12を熱処理により溶融させて接着成分とするバインダー繊維として用いることが好ましい。 【0014】 中でも本発明の複合ポリアミド繊維を短繊維として用い、不織布用途に使用することが好ましい。このとき、本発明の複合ポリアミド繊維をバインダー繊維、他の繊維を主体繊維として用い、本発明の複合ポリアミド繊維の鞘成分のみを溶融させて接着成分とし、芯成分は主体繊維とともに不織布を構成することが好ましい。 【0015】 複合ポリアミド繊維を構成する芯成分のポリアミド樹脂は、鞘成分のナイロン12の融点より20℃以上高い融点のポリアミド樹脂である必要がある。ナイロン12の融点との差が20℃未満である場合、鞘成分のナイロン12の融点と接近しすぎて、ナイロン12を溶融させる際の熱処理により、芯成分のポリアミド樹脂が劣化したり、溶融し、得られる不織布の風合いがフィルムライクとなり、また保液性が低下するので好ましくない。 【0016】 芯成分のポリアミド樹脂としては、具体的にはナイロン6、ナイロン66等が挙げられる。本発明の効果を損なわない範囲であれば、これらを組み合わせた共重合ポリマーでもよい。中でも、好ましく用いられるポリアミド成分は汎用性、耐アルカリ性からナイロン66である。 【0017】 鞘成分はナイロン12であるが、本発明の効果を損なわない範囲であれば、少量の他の成分が共重合されていたり、ブレンドされていてもよい。 【0018】 また、本発明の複合ポリアミド繊維中には(芯成分、鞘成分ともに)、本発明の効果を損なわない範囲であれば、各種顔料、染料、着色剤、撥水剤、吸水剤、難燃剤、安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、金属粒子、無機化合物粒子、結晶核剤、滑剤、可塑剤、抗菌剤、香料その他の添加剤を含有していてもよい。 【0019】 次に、本発明の複合ポリアミド繊維は、芯成分と鞘成分の複合比(質量比:芯成分/鞘成分)が20/80〜80/20であることが必要である。芯成分の複合比が20未満であると、溶融する鞘成分が多くなりすぎ、芯成分が鞘成分を保持することができず、得られる不織布の風合いが硬くなり、また不織布の強力も低下する。また、鞘成分であるナイロン12はコストが高いため、コスト面でも不利となる。 【0020】 一方、芯成分の複合比が80を超えると、接着成分となる鞘成分が少なくなるため、得られる不織布の強力低下や地合い不良が生じやすい。しかも耐アルカリ性能を有するナイロン12の割合が少なくなることから、得られる不織布に耐アルカリ性能を付与することが困難となる。 【0021】 前記したように、本発明の複合ポリアミド繊維は、短繊維とし、不織布用途に用いることが好ましいが、中でも本発明の複合ポリアミド繊維は電池セパレータ用の不織布に好適なものであり、電池セパレーター用の不織布としては、湿式抄紙法により得られる不織布(抄紙)とすることが好ましい。このため、本発明の複合ポリアミド繊維は押し込み捲縮付与装置等による機械捲縮等の捲縮が付与されていない、実質的に捲縮が付与されていないものとすることが好ましく、繊維長を1〜15mmとすることが好ましい。 【0022】 繊維長は1〜15mm、中でも3〜10mmであることが好ましい。繊維長が1mm未満であると、カットするときの摩擦熱で繊維どうしの接着が発生し、未離解部分が残り、湿式不織布とする際の水中での分散性が悪化し、好ましくない。 【0023】 一方、15mmより長いと、水中で繊維が再凝集を起こしやすくなり、得られる不織布の地合が低下し、風合いも低下しやすい。 【0024】 次に、本発明の複合ポリアミド繊維は、単糸繊度が1.1〜3.3dtexであることが好ましく、より好ましくは1.7〜2.2dtexである。単糸繊度が1.1dtex未満であると、溶融紡糸時に繊度分布斑が生じやすく、得られた複合ポリアミド繊維の品質が損なわれたり、生産性が悪化するため好ましくない。また、3.3dtexを超えると、不織布の厚みが厚くなり、また、不織布の風合や保液性も損なわれるため、好ましくない。 【0025】 次に、本発明の複合ポリアミド繊維(短繊維)の製造方法について説明する。芯成分と鞘成分のポリアミドを複合紡糸装置を用いて溶融紡糸し、糸条を冷却固化した後、延伸することなく一旦容器へ収納する。そして、この糸条を集束して糸条束とし、ローラ間で延伸倍率2〜4倍程度で延伸を施す。必要に応じて熱処理し、次いで仕上げ油剤を付与後、捲縮を付与することなく目的とする繊維長にカットして短繊維とする。 【実施例】 【0026】 次に、本発明を実施例によって具体的に説明する。なお、実施例における各特性の測定及び評価は次の通りに行った。 (1)繊維長 JIS L1015 8.4.1(平均繊維長)C法に基づき測定した。 (2)耐アルカリ性 得られた繊維をカットする前の糸条束より繊維長20mmにカットし、JIS L1015 8.7.1(引張強さ及び伸び率の標準時試験)に基づき、定速緊張形試験機を用い、つかみ間隔20mm、引張速度20mm/分で繊維の強度を測定した。 繊維の強度(処理前強度)を測定した後、80℃に加熱した30%KOH水溶液に300時間浸漬した後取り出して短繊維の強度(処理後強度)を測定した。そして、次式により強度保持率を算出し、以下の2段階評価とした。 強度保持率(%)=(処理後強度/処理前強度)×100 ○:強度保持率 75%以上 ×:強度保持率 75%未満 【0027】 実施例1 鞘成分に相対粘度(96%硫酸を溶媒とし、濃度1g/dl、温度25℃で測定した。)が2.0、融点178℃のナイロン12を用い、芯成分のポリアミド樹脂として、相対粘度が2.57、融点が252℃のナイロン66を用いた。複合紡糸装置を用い、芯成分と鞘成分の複合比(質量比:芯成分/鞘成分)67/33とし、同心芯鞘型となるようにして、孔数560孔の紡糸口金より、紡糸温度285℃、紡糸速度900m/分で溶融紡糸した。 得られた繊維を冷却した後、延伸することなく一旦容器内に収納した。そして、繊維を集束して糸条束とし、延伸温度50℃、延伸倍率2.40倍で延伸した。その後、油剤を付与し、捲縮を付与することなく、繊維長を5mmとしてカットして、単糸繊度1.7dtexの複合ポリアミド繊維を得た。 【0028】 実施例2〜6、比較例1〜2 芯成分のポリアミド樹脂、芯鞘複合比を表1に記載する値に変更した以外は、実施例1と同様にして複合ポリアミド繊維を得た。 なお、実施例4で用いたナイロン6は、相対粘度2.5、融点217℃のものであった。 【0029】 【表1】
【0030】 表1から明らかなように、実施例1〜6の複合ポリアミド繊維は、本発明の要件を満たすものであり、操業性よく得ることができ、耐アルカリ性に優れたものであった。 一方、比較例1の複合ポリアミド繊維は、鞘成分の割合が少なすぎたため、耐アルカリ性に劣るものであった。比較例2の複合ポリアミド繊維は、芯成分の割合が少なすぎたため、鞘成分が溶融した後の強度が低下し、強度保持率が低くなり、耐アルカリ性に劣るものであった。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000228073 【氏名又は名称】日本エステル株式会社
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| 【出願日】 |
平成18年4月20日(2006.4.20) |
| 【代理人】 |
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| 【公開番号】 |
特開2007−284845(P2007−284845A) |
| 【公開日】 |
平成19年11月1日(2007.11.1) |
| 【出願番号】 |
特願2006−116783(P2006−116783) |
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