トップ :: C 化学 冶金 :: C23 金属質材料への被覆;金属質材料による材料への被覆;化学的表面処理;金属質材料の拡散処理;真空蒸着,スパツタリング,イオン注入法,または化学蒸着による被覆一般;金属質材料の防食または鉱皮の抑制一般

【発明の名称】 金属膜作製装置及びそのチャンバ内の無害化方法
【発明者】 【氏名】笠木 一雅
【氏名】小椋 謙
【氏名】八幡 直樹
【氏名】利根川 裕
【氏名】坂本 仁志
【課題】チャンバ内の清掃に先立ちこのチャンバ内を迅速且つ容易に無害化することができる金属膜作製装置を提供する。

【解決手段】内周面にハロゲン乃至金属ハロゲン化物が吸着乃至付着し得るチャンバ1と、前記チャンバ1の内部空間にキャリアガスとともに低濃度の水蒸気を供給する水蒸気供給手段31と、前記チャンバ1内への水蒸気の供給に伴うこの水蒸気の作用により発生したハロゲン化水素ガスをチャンバ1の外部に排出するための排気手段51とを有する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内周面にハロゲン乃至金属ハロゲン化物が吸着乃至付着し得るチャンバと、
前記チャンバの内部空間にキャリアガスとともに低濃度の水蒸気を供給する水蒸気供給手段と、前記チャンバ内への水蒸気の供給に伴うこの水蒸気の作用により発生したハロゲン化水素ガスをチャンバの外部に排出するための排気手段とを有することを特徴とする金属膜作製装置。
【請求項2】
請求項1に記載する金属膜作製装置において、
前記水蒸気供給手段は、水を貯留しておく水槽と、この水槽の水中にキャリアガスを吹き込むキャリアガス供給手段と、一端が前記水槽の上部の密閉空間に臨むとともに他端が前記チャンバの内部空間に臨む管路と、この管路の途中に介在させたバルブとを有し、バブリングにより前記バルブを介して前記チャンバ内に水蒸気を供給するようにしたものであることを特徴とする金属膜作製装置。
【請求項3】
請求項2に記載する金属膜作製装置において、
前記水蒸気供給手段は、前記水槽に貯留する水を加熱するヒータと、前記チャンバ内に飽和水蒸気圧の水蒸気を供給し得るよう前記ヒータによる前記水の温度制御を行う制御手段とを有することを特徴とする金属膜作製装置。
【請求項4】
請求項3に記載する金属膜作製装置において、
前記水蒸気供給手段は、前記水槽内の水蒸気圧が飽和水蒸気圧に達したことを検出する露点センサを有するとともに、前記制御手段は前記露点センサが飽和水蒸気圧に達したことを検出するまで前記ヒータによる前記水の加熱を行うように制御するものであることを特徴とする金属膜作製装置。
【請求項5】
請求項4に記載する金属膜作製装置において、
前記水蒸気供給手段は、前記チャンバ内の温度及び圧力を検出する温度センサ及び圧力センサを有するとともに、前記制御手段はチャンバ内の温度上昇及び圧力変動が所定範囲に収まるように前記バルブの開度も制御するものであることを特徴とする金属膜作製装置。
【請求項6】
内周面にハロゲン乃至金属ハロゲン化物が吸着乃至付着し得るチャンバと、
前記チャンバの内部空間に水素ガスを供給する水素ガス供給手段と、
前記チャンバ内に供給された水素ガスに基づき水素プラズマを形成するプラズマ形成手段と、
前記チャンバ内に発生する水素プラズマの作用により発生したハロゲン化水素ガスをチャンバの外部に排出するための排気手段とを有することを特徴とする金属膜作製装置。
【請求項7】
請求項1乃至請求項6に記載する何れか一つの金属膜作製装置において、
排気手段は、一端がチャンバ内に臨む管路を介して前記チャンバ内を真空に引くターボポンプと、前記ハロゲン化水素ガスを捕捉するよう前記ターボポンプの上流で前記管路に配設したトラップとを有することを特徴とする金属膜作製装置。
【請求項8】
請求項1乃至請求項6に記載する何れか一つの金属膜作製装置において、
排気手段は、一端がチャンバ内に臨む管路を介して前記チャンバ内を真空に引くターボポンプと、このターボポンプの上流の前記管路の途中においてこの管路から一旦分岐しその下流で再度合流する分岐管路と、前記ハロゲン化水素ガスを捕捉するよう前記分岐管路に配設したトラップと、排ガスの流路を管路側乃至分岐管路側のいずれか一方に切り替える流路切り替え手段とを有することを特徴とする金属膜作製装置。
【請求項9】
請求項7又は請求項8に記載する金属膜作製装置において、
前記トラップは、塩基性のセラミックハニカム構造で形成したことを特徴とする金属膜作製装置。
【請求項10】
請求項7又は請求項8に記載する金属膜作製装置において、
前記トラップは、金属製のハニカム構造でコールドトラップするものであることを特徴とする金属膜作製装置。
【請求項11】
請求項1乃至請求項10の何れか一つに記載する金属膜作製装置において、
前記金属膜作製装置は、成膜金属を含んで前記チャンバ内に配設してある被エッチング部材をハロゲンラジカルでエッチングして得る前記金属とハロゲンとの化合物である前駆体を形成する一方、前記チャンバ内に配設する基板の温度を相対的な所定の低温に維持することにより前記前駆体を前記基板に吸着させるとともに吸着した前駆体をハロゲンで還元することにより前記基板上に所望の金属膜を形成するようにしたものであることを特徴とする金属膜作成装置。
【請求項12】
内周面にハロゲン乃至金属ハロゲン化物が吸着乃至付着し得るチャンバの内部空間にキャリアガスとともに低濃度の水蒸気を供給してこの水蒸気の作用により発生したハロゲン化水素ガスをチャンバの外部に排出するようにしたことを特徴とする金属膜作製装置のチャンバ内の無害化方法。
【請求項13】
内周面にハロゲン乃至金属ハロゲン化物が吸着乃至付着し得るチャンバの内部空間に水素プラズマを形成し、この水素プラズマの作用により発生したハロゲン化水素ガスをチャンバの外部に排出するようにしたことを特徴とする金属膜作製装置のチャンバ内の無害化方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は金属膜作製装置及びそのチャンバ内の無害化方法に関し、特にチャンバ内を清掃する場合に用いて有用なものである。
【背景技術】
【0002】
新たな金属膜作製方法として次の技術が提案されている。すなわち、高蒸気圧ハロゲン化物を作る金属成分であって、成膜を望む金属成分からなる被エッチング部材をチャンバ内に設置し、ハロゲンガスをプラズマ化して得るハロゲンラジカルで前記被エッチング部材をエッチングすることで金属成分のハロゲン化物である前駆体を生成させるとともに、基板となるウエハの温度条件を適切に制御することにより前記前駆体の金属成分のみをウエハ上に成膜するものである(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
例えば、被エッチング部材の金属をCu、ハロゲンガスをClとした場合、被エッチング部材を高温(例えば300℃〜700℃)に、またウエハを低温(例えば200℃程度)に制御することにより、前記ウエハ上にCu薄膜を形成することができる。これは、次のような反応によるものと考えられる。
【0004】
(1)プラズマの解離反応;Cl→2Cl
(2)エッチング反応;Cu+Cl→CuCl(g)
(3)基板への吸着反応;CuCl(g)→CuCl(ad)
(4)成膜反応;CuCl(ad)+Cl →Cu+Cl↑ ・・・(1)
ここで、ClはClのラジカルであることを、(g)はガス状態であることを、(ad)は吸着状態であることをそれぞれ表している。
【0005】
また、かかる金属膜作製方法は、図4に示すような装置により実現することができる。同図に示すように、円筒状に形成された、例えばセラミックス製のチャンバ1の底部近傍には支持台2が設けられ、この支持台2にはウエハ3が載置される。また、支持台2にはヒータ4及び冷媒流通手段5を備えた温度制御手段6が設けられており、支持台2を介してウエハ3の温度が所定の低温域から漸増しつつ昇温するように制御する。
【0006】
チャンバ1の上面は開口部とされ、開口部は絶縁材料であるセラミックス製の平板状の天井板7によって塞がれている。天井板7の上方にはチャンバ1の内部に供給されたガスをプラズマ化するためのプラズマアンテナ8が設けられ、このプラズマアンテナ8は天井板7の面と平行な平面リング状に形成されている。プラズマアンテナ8には整合器9及び高周波電源10が接続されており、プラズマアンテナ8を介して高周波の電磁波をチャンバ1内に導入するように構成してある。すなわち、これら、プラズマアンテナ8、整合器9及び高周波電源10によりプラズマ形成手段を構成している。
【0007】
被エッチング部材11は、高蒸気圧ハロゲン化物を形成し得る金属(本例では銅)で形成して、プラズマアンテナ8の下方のチャンバ1内に配設してある。この被エッチング部材11は、ハロゲンプラズマによるエッチングス作用により当該装置で作製する金属薄膜(本例では銅)の前駆体を形成するためのものである。ここで、ハロゲンプラズマは、チャンバ1内に供給するハロゲン(本例では塩素)を含有する作用ガスを前記プラズマアンテナ8が供給する高周波の電磁エネルギーを利用してプラズマ化することにより得る。
【0008】
また、被エッチング部材11は、棒状の突起部12とリング部13とからなり、各突起部12はその先端部が隣接する突起部12の先端部と接触することなくチャンバ1の中心に向かって延びるように、その各基端部をリング部13に固着してある。これにより、各突起部12は電気的に独立した構造となっており、プラズマアンテナ8で形成し、チャンバ1内に導入される電磁界を遮蔽することがないように工夫してある。
【0009】
チャンバ1の筒部の周囲にはチャンバ1の内部にハロゲンとしての塩素を含有する作用ガス(Heで塩素濃度が≦50%、好ましくは10%程度に希釈された作用ガス)21を供給する作用ガス供給手段としてのノズル14が周方向に等間隔で複数(例えば8箇所:図には2箇所を示してある)接続されている。ノズル14には作用ガス21の流量及び圧力を制御する流量制御器15を介して作用ガス21が送られる。
【0010】
この作用ガス21に基づきチャンバ1内にハロゲンのプラズマ23が形成されるとともに、これが被エッチング部材11に作用して前駆体24が形成される。
【0011】
ここで、成膜に関与しないガス等は排気口18から排気され、天井板7によって塞がれたチャンバ1の内部は真空ポンプであるターボポンプ(図示せず。)によって所定の真空圧に維持される。
【0012】
【特許文献1】特開2003−147534号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
上述の如き金属膜作製装置においては、繰り返し成膜を行うことでチャンバ1が汚損される。また、チャンバ1内の部品が損傷してこれを交換する必要が発生する場合がある。
【0014】
かかる場合には、天井板7を外してチャンバ1内を大気開放した状態で所定の清掃を行っている。
【0015】
ところで、チャンバ1の内壁には金属ハロゲン化物やハロゲン(本例では塩素)ガスからなる付着物25が付着乃至吸着されている。このハロゲンガスは毒性を有するガスである。したがって、チャンバ1から天井板7を取り外す場合には、その前提としてチャンバ1内を無害化しておく必要がある。
【0016】
このため、前記所定の清掃作業に先立ちチャンバ1内の無害化処理を行う必要がある。従来、この無害化処理は、1)Arフラッシング、2)大気圧に持っていくためのNガスによるパージ、3)簡易ドラフトを製作して当該金属膜作製装置を覆う、4)大気リークという手順を経ている。
【0017】
このように多くの手順が必要になるので、従来の無害化処理は多大な時間と労力を要するものとなっていた。特に、手順4)では大気リークにより空気中の水蒸気とチャンバ1内のハロゲンとを反応させることでハロゲン化水素ガスを生成させてこれを外部に排出しているので、これだけでも数日の期間を要する。
【0018】
本発明は、上記従来技術に鑑み、チャンバ内の清掃に先立ちこのチャンバ内を迅速且つ容易に無害化することができる金属膜作製装置及びそのチャンバ内の無害化方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0019】
上記目的を達成する本発明の第1の態様は、
内周面にハロゲン乃至金属ハロゲン化物が吸着乃至付着し得るチャンバと、
前記チャンバの内部空間にキャリアガスとともに低濃度の水蒸気を供給する水蒸気供給手段と、前記チャンバ内への水蒸気の供給に伴うこの水蒸気の作用により発生したハロゲン化水素ガスをチャンバの外部に排出するための排気手段とを有することを特徴とする金属膜作製装置である。
【0020】
本態様によれば、チャンバの内周面に吸着乃至付着するハロゲン乃至金属ハロゲン化物に水蒸気を作用させてハロゲン化水素ガスを容易かつ迅速に形成することができ、このハロゲン化水素ガスは排気手段を介して外部に排出できるので、チャンバ内の無害化を容易かつ迅速に実現し得る。
【0021】
本発明の第2の態様は、
上記第1の態様に記載する金属膜作製装置において、
前記水蒸気供給手段は、水を貯留しておく水槽と、この水槽の水中にキャリアガスを吹き込むキャリアガス供給手段と、一端が前記水槽の上部の密閉空間に臨むとともに他端が前記チャンバの内部空間に臨む管路と、この管路の途中に介在させたバルブとを有し、バブリングにより前記バルブを介して前記チャンバ内に水蒸気を供給するようにしたものであることを特徴とする金属膜作製装置である。
【0022】
本態様によれば、チャンバに対する水蒸気の供給をバブリングにより行うようにしたので、適切な低濃度の水蒸気を容易に形成し得る。
【0023】
本発明の第3の態様は、
上記第2の態様に記載する金属膜作製装置において、
前記水蒸気供給手段は、前記水槽に貯留する水を加熱するヒータと、前記チャンバ内に飽和水蒸気圧の水蒸気を供給し得るよう前記ヒータによる前記水の温度制御を行う制御手段とを有することを特徴とする金属膜作製装置である。
【0024】
本態様によれば、容易に飽和水蒸気を形成してこれをチャンバ内に供給することができる。
【0025】
本発明の第4の態様は、
上記第3の態様に記載する金属膜作製装置において、
前記水蒸気供給手段は、前記水槽内の水蒸気圧が飽和水蒸気圧に達したことを検出する露点センサを有するとともに、前記制御手段は前記露点センサが飽和水蒸気圧に達したことを検出するまで前記ヒータによる前記水の加熱を行うように制御するものであることを特徴とする金属膜作製装置である。
【0026】
本態様によれば、飽和水蒸気が形成されたことを容易に知ることができる。
【0027】
本発明の第5の態様は、
上記第4の態様に記載する金属膜作製装置において、
前記水蒸気供給手段は、前記チャンバ内の温度及び圧力を検出する温度センサ及び圧力センサを有するとともに、前記制御手段はチャンバ内の温度上昇及び圧力変動が所定範囲に収まるように前記バルブの開度も制御するものであることを特徴とする金属膜作製装置である。
【0028】
本態様によれば、チャンバに対する水蒸気の供給を安全かつ自動的に行うことができる。
【0029】
本発明の第6の態様は、
内周面にハロゲン乃至金属ハロゲン化物が吸着乃至付着し得るチャンバと、
前記チャンバの内部空間に水素ガスを供給する水素ガス供給手段と、
前記チャンバ内に供給された水素ガスに基づき水素プラズマを形成するプラズマ形成手段と、
前記チャンバ内に発生する水素プラズマの作用により発生したハロゲン化水素ガスをチャンバの外部に排出するための排気手段とを有することを特徴とする金属膜作製装置である。
【0030】
本態様によれば、水素プラズマから得る水素ラジカルをチャンバの内周面に吸着乃至付着するハロゲン乃至金属ハロゲン化物に作用させることによりハロゲン化水素ガスを容易かつ迅速に形成することができ、このハロゲン化水素ガスは排気手段を介して外部に排出できるので、チャンバ内の無害化を容易かつ迅速に実現し得る。
【0031】
本発明の第7の態様は、
上記第1乃至第6の態様に記載する何れか一つの金属膜作製装置において、
排気手段は、一端がチャンバ内に臨む管路を介して前記チャンバ内を真空に引くターボポンプと、前記ハロゲン化水素ガスを捕捉するよう前記ターボポンプの上流で前記管路に配設したトラップとを有することを特徴とする金属膜作製装置である。
【0032】
本態様によれば、ターボポンプに流入する排気からハロゲン化水素成分を除去し得るのでこのターボポンプの腐食等を生起することなく長期に亘り安定的に使用することができる。
【0033】
本発明の第8の態様は、
上記第1乃至第6の態様に記載する何れか一つの金属膜作製装置において、
排気手段は、一端がチャンバ内に臨む管路を介して前記チャンバ内を真空に引くターボポンプと、このターボポンプの上流の前記管路の途中においてこの管路から一旦分岐しその下流で再度合流する分岐管路と、前記ハロゲン化水素ガスを捕捉するよう前記分岐管路に配設したトラップと、排ガスの流路を管路側乃至分岐管路側のいずれか一方に切り替える流路切り替え手段とを有することを特徴とする金属膜作製装置である。
【0034】
本態様によれば、成膜時と無害化時とで最適な排気系を選択的に提供することができる。
【0035】
本発明の第9の態様は、
上記第7又は第8の態様に記載する金属膜作製装置において、
前記トラップは、塩基性のセラミックハニカム構造で形成したことを特徴とする金属膜作製装置である。
【0036】
本態様によれば、トラップの触媒作用を利用して良好にハロゲン化水素の除去を行うことができる。
【0037】
本発明の第10の態様は、
上記第7又は第8の態様に記載する金属膜作製装置において、
前記トラップは、金属製のハニカム構造でコールドトラップするものであることを特徴とする金属膜作製装置である。
【0038】
本態様によれば、コールドトラップにより良好にハロゲン化水素の除去を行うことができる。
【0039】
本発明の第11の態様は、
上記第1乃至第10の態様の何れか一つに記載する金属膜作製装置において、
前記金属膜作製装置は、成膜金属を含んで前記チャンバ内に配設してある被エッチング部材をハロゲンラジカルでエッチングして得る前記金属とハロゲンとの化合物である前駆体を形成する一方、前記チャンバ内に配設する基板の温度を相対的な所定の低温に維持することにより前記前駆体を前記基板に吸着させるとともに吸着した前駆体をハロゲンで還元することにより前記基板上に所望の金属膜を形成するようにしたものであることを特徴とする金属膜作成装置である。
【0040】
本態様によれば、上述の如き金属膜作製装置におけるチャンバの無害化を容易に実現し得る。
【0041】
本発明の第12の態様は、
内周面にハロゲン乃至金属ハロゲン化物が吸着乃至付着し得るチャンバの内部空間にキャリアガスとともに低濃度の水蒸気を供給してこの水蒸気の作用により発生したハロゲン化水素ガスをチャンバの外部に排出するようにしたことを特徴とするチャンバ内の無害化方法である。
【0042】
本態様によれば、水蒸気の水素成分を利用してチャンバ内の無害化を容易かつ迅速に行うことができる。
【0043】
本発明の第13の態様は、
内周面にハロゲン乃至金属ハロゲン化物が吸着乃至付着し得るチャンバの内部空間に水素プラズマを形成し、この水素プラズマの作用により発生したハロゲン化水素ガスをチャンバの外部に排出するようにしたことを特徴とするチャンバ内の無害化方法である。
【0044】
本態様によれば、水素ラジカルを利用してチャンバ内の無害化を容易かつ迅速に行うことができる。
【発明の効果】
【0045】
上記構成の本発明によれば、従来必要とされていたArフラッシング、Nガスによるパージ、簡易ドラフトを製作して当該金属膜作製装置を覆う等の作業を必要としない。しかも水蒸気乃至水素プラズマをチャンバ内壁のハロゲン乃至金属ハロゲン化物に作用させて迅速にそのハロゲン化水素ガスを形成することができる結果、このハロゲン化水素ガスを排気することで迅速且つ容易にチャンバ内を無害化することができる。ちなみに、従来の無害化方法ではこの作業に数日を要していたが、本発明では数時間で同様の無害化工程を終えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0046】
以下本発明の実施の形態を図面に基づき詳細に説明する。
【0047】
図1は本発明の第1の実施の形態に係る金属膜作製装置を概念的に示す説明図である。同図に示すように、本形態に係る金属膜作製装置の成膜に関する構成は図4に示す金属膜作製装置と同一である。そこで、図4と同一部分には同一番号を付し、重複する説明は省略する。また、下記の実施の形態では、ハロゲンとして塩素を用いる場合について説明するが、これに限るものではない。
【0048】
図1に示すように、チャンバ1は、その内周面に塩素乃至金属塩化物が吸着乃至付着し得るものである。すなわち、成膜処理に塩素ガスを利用する図4に示す金属膜作製装置はその代表的な装置である。
【0049】
水蒸気供給手段31は、チャンバ1の内部空間にキャリアガス(本例では窒素ガス)とともに低濃度の水蒸気を供給するものである。本形態における水蒸気供給手段31は、水を貯留しておく水槽32と、この水槽32の水中にキャリアガスである窒素ガスを吹き込む窒素ガス供給手段33と、一端が水槽32の上部の密閉空間に臨むとともに他端がチャンバ1の内部空間に臨む管路34と、この管路34の途中に介在させたバルブ35とを有し、バブリングによりバルブ35を介してチャンバ1内に水蒸気を供給するように構成してある。ここで、水槽32の周囲にはヒータ36が配設してあり、このヒータ36で水槽32に貯留する水を加熱する。
【0050】
制御部37は、チャンバ1内に飽和水蒸気圧の水蒸気を供給するようヒータ36による水槽32内の水の温度制御を行う。さらに詳言すると、水槽32の上部の密閉空間には露点センサ38が配設してあり、この露点センサ38で水槽32内の水蒸気圧が飽和水蒸気圧に達したことを検出してこの状態を表す信号を送出する。一方、制御部37は、露点センサが飽和水蒸気圧に達したことを検出するまでヒータ36による水槽32内の水の加熱を行う。
【0051】
チャンバ1内には、その内部の温度及び圧力を検出する温度センサ39及び圧力センサ40が配設してある。制御部37には、温度センサ39が検出するチャンバ1内の温度を表す温度信号及び圧力センサ40が検出するチャンバ1内の圧力を表す圧力信号が送出される。この結果制御部37では、前記温度信号及び圧力信号を処理してチャンバ1内の温度上昇及び圧力変動が所定範囲に収まるようにバルブ35の開度を制御する。すなわち、所定の閾値を超えて温度乃至圧力が上昇しようとするときはバルブ35の開度を絞ってチャンバ1内に供給する飽和水蒸気圧の水蒸気の量を低減することで反応を抑制する。
【0052】
上述の如く本形態では、チャンバ1内に供給する水蒸気は飽和水蒸気圧で導入する。このときの飽和水蒸気量はヒータ36を用いた温度制御により調整する。したがって、本形態では水蒸気導入時のチャンバ1内の圧力自体を決めてやる必要はなく、チャンバ1内の温度の変化率乃至圧力の変化率に留意して所定のバルブ35開度の制御を行えば良い。
【0053】
なお、本形態では、ヒータ36による水槽32の水に対する温度制御及びバルブ35の開度の制御は制御部37で自動的に行うようにしたが、水槽32の内壁面に対する結露の付着を作業者が目視で確認することで飽和水蒸気圧になったことを知り、温度センサ39及び圧力センサ40の検出値によりチャンバ1内の温度及び圧力を検知して作業者がバルブ35の開度を調節するようにしても良い。要は、チャンバ1内の反応が急激に進まないような低濃度の水蒸気をチャンバ1内に供給できれば良い。
【0054】
排気手段51は、一端がチャンバ1内に臨む管路52を介してチャンバ1内を真空に引くターボポンプ53と、このターボポンプ53の上流でチャンバ1内の無害化時に発生する塩化水素ガスを捕捉するよう配設されたトラップ54とを有する。
【0055】
ここで、本形態にかかる排気手段51は、ターボポンプ53の上流における管路52の途中においてこの管路52から一旦分岐しその下流で再度合流する分岐管路55を有しており、トラップ54はこの分岐管路55に配設してある。すなわち、成膜時の排気は全て管路52を介して、チャンバ1の無害化時の排気は途中で分岐管路55を利用して行うようになっている。このため、管路52及び分岐管路55には、管路52側乃至分岐管路55側のいずれか一方に切り替える流路切り替え手段である開閉バルブ56,57が設けてある。すなわち、成膜時には開閉バルブ56を全開、開閉バルブ57を全閉にするとともに、無害化時には逆の状態にする。
【0056】
かくして、無害化時の排気に含まれる塩化水素ガスはトラップ54で捕捉される結果、この塩化水素ガスによりターボポンプ53が腐食されるという不都合を未然に防止し得る。ここで、分岐管路55は必ずしも設ける必要はないが、本形態の如く成膜時と無害化時の排気の流路を選択可能とすることにより成膜時には流路抵抗となるトラップ54が存在しない管路52を利用してターボポンプ53による良好な排気を行うことができる。
【0057】
トラップ54は、この部分を抽出・拡大して図2に示すように、ハニカム構造のものが最適である。さらに詳言すると、塩基性のセラミックハニカム構造で形成したトラップ54や、金属製のハニカム構造でコールドトラップするもの等を好適な例として挙げることができる。
【0058】
上述のごとき本形態に係る金属膜作製装置においてそのチャンバ1内の清掃、修理等に先立つチャンバ1内の無害化の際には、バルブ35を若干開くとともに窒素ガス供給手段33を介してキャリアガスである窒素ガスを水槽31の水中に吹き込み、このとき発生した水蒸気をチャンバ1内に供給する。この水蒸気はヒータ36による温度制御で飽和水蒸気圧となるように調整する。
【0059】
この結果チャンバ1内では、付着物25に対して水蒸気が作用する結果、次のような反応が生起される。
【0060】
Cl+HO → 2HCl+1/2 O・・・・・(1)
MCl+XHO → XHCl+M(OH)・・・・(2)
上式(1)に示す反応で付着物25中の塩素の無害化を図り、また(2)に示す反応式で付着物25中の金属塩化物の無害化を図ることができる。
【0061】
上記反応はバルブ35の開度及びヒータ36の制御により所定の条件で進行するように制御する。すなわち、温度センサ39、圧力センサ40及び露点センサ38のセンシング情報を参酌しながらチャンバ1内の温度変化及び圧力変化が所定の範囲に収まるよう制御して飽和水蒸気を供給する。
【0062】
上式(1)、(2)により発生した塩化水素を含む排気はターボポンプ53の駆動により管路52を介してチャンバ1の外部に排出される。このとき、開閉バルブ56を全閉、開閉バルブ57を全開にしておく。この結果、排気は管路52から分岐管路55に流入し、トラップ54で塩化水素を除去した後再度管路52の流入し、ターボポンプ53を介して外部に排気する。
【0063】
図3は本発明の第2の実施の形態に係る金属膜作製装置を概念的に示す説明図である。同図に示すように、本形態に係る金属膜作製装置の成膜に関する構成は図4に示す金属膜作製装置と同一であり、また排気手段は図1に示すものと同一である。そこで、図4及び図1と同一部分には同一番号を付し、重複する説明は省略する。また、本形態では、ハロゲンとして塩素を用いる場合について説明するが、これに限るものではない。
【0064】
本形態は、チャンバ1の内部空間に水素プラズマを形成し、この水素プラズマの作用により発生した塩化水素ガスをチャンバ1の外部に排出するものである。このため本形態に係る金属膜作製装置は、成膜時の作用ガスである塩素ガスを供給するノズル14の他に、このノズル14に隣接して水素ガスを供給するためのノズル61を流量制御器62とともに有している。
【0065】
上述の如き本形態に係る金属膜作製装置においてそのチャンバ1内の清掃、修理等に先立つチャンバ1内の無害化の際には、流量制御器62で適宜流量を調整しつつチャンバ1内に水素ガスを供給するとともに、プラズマアンテナ8にRF電流を供給して水素プラズマ63を形成し、この結果生成される水素ラジカルが付着物25に作用し、チャンバ1内では、次のような反応が生起される。
【0066】
+Cl → 2HCl・・・・(3)
(x/2)H+MCl → xHCl+M・・・・(4)
上式(3)、(4)で発生した塩化水素ガスは、前記第1の実施の形態の場合と全く同態様で排気手段51を介して外部に排出される。この結果チャンバ1内の無害化を図ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0067】
本発明は半導体装置を形成する金属膜を作製する装置を製造・販売する産業分野で利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る金属膜作製装置を概念的に示す説明図である。
【図2】図1のトラップ部分を抽出・拡大して示す詳細図である。
【図3】本発明の第2の実施の形態に係る金属膜作製装置を概念的に示す説明図である。
【図4】従来技術に係る金属膜作製装置を概念的に示す説明図である。
【符号の説明】
【0069】
1 チャンバ
8 プラズマアンテナ
25 付着物
31 水蒸気供給手段
32 水槽
33 窒素ガス供給手段
34 管路
35 バルブ
36 ヒータ
37 制御部
38 露点センサ
39 温度センサ
40 圧力センサ
51 排気手段
52 管路
53 ターボポンプ
54 トラップ
55 分岐管路
56 開閉バルブ
57 開閉バルブ
61 ノズル
62 流量制御器
【出願人】 【識別番号】506239658
【氏名又は名称】株式会社フィズケミックス
【出願日】 平成18年2月28日(2006.2.28)
【代理人】 【識別番号】100101236
【弁理士】
【氏名又は名称】栗原 浩之

【識別番号】100128532
【弁理士】
【氏名又は名称】村中 克年
【公開番号】 特開2007−231357(P2007−231357A)
【公開日】 平成19年9月13日(2007.9.13)
【出願番号】 特願2006−53873(P2006−53873)