| 【発明の名称】 |
多層膜とその形成装置及び形成方法、及び多層膜を有する光学素子 |
| 【発明者】 |
【氏名】佐々木 直人
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| 【要約】 |
【課題】膜厚制御誤差が小さい多層膜の形成装置を提供する。
【解決手段】基板上に多層膜を形成する装置であって、蒸着源4を有するチャンバ1内に、(a) 複数の基板を回転自在に保持するホルダ5と、(b)基板上に形成される各層の膜厚をモニタするために、各層を形成するごとに切り替わってホルダ5の開口部5aに露出する複数の第一のモニタ基板11と、(c)基板上に形成される多層膜の光学特性をモニタする第二のモニタ基板12とを有し、第二のモニタ基板12がホルダ5上の基板の設置範囲内に設置されていることを特徴とする多層膜の形成装置。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 基板上に多層膜を形成する装置であって、蒸着源を有するチャンバ内に、(a) 複数の基板を回転自在に保持するホルダと、(b) 前記基板上に形成される各層の膜厚をモニタするために、各層を形成するごとに切り替わって前記ホルダの開口部に露出する複数の第一のモニタ基板と、(c) 前記基板上に形成される多層膜の光学特性をモニタする第二のモニタ基板とを有し、前記第二のモニタ基板が前記ホルダ上の前記基板の設置範囲内に設置されていることを特徴とする多層膜の形成装置。 【請求項2】 請求項1に記載の多層膜の形成装置において、前記第二のモニタ基板は前記基板と同じ素材の平板であることを特徴とする装置。 【請求項3】 基板上に多層膜を形成する装置であって、蒸着源を有するチャンバ内に、(a) 複数の基板を回転自在に保持するホルダと、(b) 前記基板上に形成される各層の膜厚をモニタするために、各層を形成するごとに切り替わって前記ホルダの開口部に露出する複数の第一のモニタ基板とを有し、前記基板のうちの一つ以上が、前記基板上に形成される多層膜の光学特性をモニタする第二のモニタ基板であることを特徴とする多層膜の形成装置。 【請求項4】 請求項1〜3のいずれかに記載の多層膜の形成装置において、前記ホルダがドーム状で、頂上に前記開口部を有することを特徴とする装置。 【請求項5】 請求項1〜4のいずれかに記載の多層膜の形成装置において、前記多層膜の形成手段はプラズマアシスト法、イオンアシスト法又はイオンプレーティング法であることを特徴とする装置。 【請求項6】 請求項1〜5のいずれかに記載の多層膜の形成装置において、前記ホルダにはさらにキャリブレーション用基板と前記キャリブレーション用基板を内側から覆う遮蔽板とが設けられていることを特徴とする装置。 【請求項7】 蒸着源を有するチャンバ内に、(a) 複数の基板を回転自在に保持するホルダと、(b) 前記基板上に形成する各層の膜厚をモニタするために、各層を形成するごとに切り替わって前記ホルダの開口部に露出する複数の第一のモニタ基板と、(c) 前記基板上に形成される多層膜の光学特性をモニタするために、前記ホルダ上の前記基板の設置範囲内に設置された第二のモニタ基板とを有する装置により、前記基板上に多層膜を形成する方法であって、前記第一のモニタ基板上に形成される各層の膜厚、及び前記第二のモニタ基板上に形成途中の多層膜の光学特性をモニタしながら多層膜を形成することを特徴とする方法。 【請求項8】 請求項7に記載の多層膜の形成方法において、前記第二のモニタ基板として前記基板と同じ素材の平板を用いることを特徴とする方法。 【請求項9】 蒸着源を有するチャンバ内に、(a) 複数の基板を回転自在に保持するホルダと、(b) 前記基板上に形成する各層の膜厚をモニタするために、各層を形成するごとに切り替わって前記ホルダの開口部に露出する複数の第一のモニタ基板とを有する装置により、前記基板上に多層膜を形成する方法であって、前記第一のモニタ基板上に形成される各層の膜厚、及び前記基板のうちの一つ以上に形成途中の多層膜の光学特性をモニタしながら多層膜を形成することを特徴とする方法。 【請求項10】 請求項7〜9のいずれかに記載の多層膜の形成方法において、前記ホルダとして、頂上に開口部を有するドーム状ホルダを使用することを特徴とする方法。 【請求項11】 請求項7〜10のいずれかに記載の多層膜の形成方法において、前記多層膜をプラズマアシスト法、イオンアシスト法又はイオンプレーティング法により形成することを特徴とする方法。 【請求項12】 請求項7〜11のいずれかに記載の方法により形成された多層膜。 【請求項13】 請求項12に記載の多層膜を有する光学素子。
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【発明の詳細な説明】【技術分野】 【0001】 本発明は、液晶プロジェクタ、デジタルカメラ等の光学機器や光通信等に用いる光学素子及びそれに用いる多層膜フィルタ、及び多層膜フィルタの形成装置及び形成方法に関する。 【背景技術】 【0002】 SiO2,Ta2O5 ,TiO2等の誘電体膜を積層してなる多層膜フィルタは、カットフィルタ、バンドパスフィルタ、ダイクロイックフィルタ、ビームスプリッタ、偏光ビームスプリッタ等の光学フィルタとして機能し、特定の波長やエネルギー、偏光等の光を分離する光学デバイスとして、各種電子機器や光学機器に利用されている。近年、電子機器や光学機器の高性能化に伴い光学デバイスの高性能化の要望が高まっており、とりわけ多層膜フィルタについては、厳しい光学特性の精度及び再現性が要求されている。しかしながら、従来の成膜方法である真空蒸着法等で多層膜フィルタを作製した場合、膜厚制御誤差や屈折率のばらつき等により、目標とする光学特性と実際に得られる多層膜フィルタの光学特性との差異が生じてしまう。 【0003】 その改善策として、特許3298682号(特許文献1)は、図9に示すように、蒸着源104及び開閉自在のシャッタ103を有する成膜室101に、基板110を回転自在に保持するホルダ105と、ホルダ105の回転中心に設けられた穴部105aに露出するように固定された多層膜モニタ基板111と、回転自在なモニタ交換機構120に設置され、層ごとに切り替わってホルダ105の穴部105aに露出する光学的膜厚モニタ基板112とを有する多層膜の形成装置を開示している。この形成装置は光学的膜厚モニタ基板112を介して膜厚制御システム124により多層膜の各層の膜厚又は光学的膜厚を制御し、多層膜モニタ基板111において多層膜の反射光もしくは透過光の分光特性を測定し、その結果を膜厚制御システム124にフィードバックすることにより、膜厚制御の高精度化を図っている。 【0004】 しかしながら、多層膜モニタ基板111は穴部105aにホルダ105と独立して設置されているため、多層膜モニタ基板111に形成される多層膜とホルダ105上の基板110とでは成膜条件が異なる。そのため両基板110,111に形成される多層膜の屈折率及び膜厚が僅かに異なり、多層膜モニタ基板111において目標膜厚を達成するように多層膜を形成しても、基板110に形成された多層膜は目標膜厚と異なってしまう。従って、基板110に形成される多層膜の膜厚制御に誤差が生じる。最近の光学機器で必要とされる多層膜フィルタの光学特性の精度は極めて高く、このような多層膜の屈折率及び膜厚の差異による膜厚制御誤差によっても、仕様を満たすことは出来なくなる。 【0005】 特開2002-115053号(特許文献2)は、図10に示すように、蒸発源204を有する真空室201に、基板を回転自在に保持するドーム状のホルダ205と、ホルダ205の回転中心に設けられた開口部205aに露出するように固定された特性モニタ基板212と、回転自在なモニタ交換機構220に設置され、層ごとに切り替わってドーム205の開口部205aに露出する膜厚制御モニタ基板211とを有する多層膜の形成装置を開示している。膜厚制御モニタ基板211における各層の膜厚は投受光部209、計測部210及び演算部208により制御され、投受光部206及び計測部207により測定された特性モニタ基板212における多層膜の光学特性は演算部208にフィードバックされる。また膜厚制御モニタ基板211は上下に可動であるため、膜厚制御モニタ基板211、基板及び特性モニタ基板212とを同一曲面上に配置させることができる。これにより、基板、膜厚制御モニタ基板211、及び特性モニタ基板212の蒸着源204からの距離を等しくすることができる。しかしながら、特性モニタ基板212及び膜厚制御モニタ基板211はドーム205の開口部205aに固定して設けられているため、ドーム205上に設けられた基板とでは位置や傾きの差異により成膜条件が異なり、やはり形成される多層膜の屈折率及び膜厚の差異による膜厚制御誤差が生じてしまう。 【0006】 【特許文献1】特許3298682号公報 【特許文献2】特開2002-115053号公報 【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】 【0007】 従って本発明の目的は、膜厚制御誤差が小さい多層膜の形成装置及び形成方法を提供することである。 【0008】 本発明のさらに別の目的はかかる形成方法により得られた多層膜及びそれを有する光学素子を提供することである。 【課題を解決するための手段】 【0009】 上記目的に鑑み鋭意研究の結果、本発明者は、基板を回転自在に保持するホルダと、各層の膜厚をモニタするための複数の第一のモニタ基板と、多層膜の光学特性をモニタするための第二のモニタ基板とを有する多層膜の形成装置において、第二のモニタ基板をホルダ上の基板の設置範囲内に設置することにより、膜厚制御誤差を小さくすることができ、もって所望の光学特性を有する多層膜が得られることを発見し、本発明に想到した。 【0010】 すなわち、本発明は以下の手段により達成される。 (1) 基板上に多層膜を形成する装置であって、蒸着源を有するチャンバ内に、(a) 複数の基板を回転自在に保持するホルダと、(b) 前記基板上に形成される各層の膜厚をモニタするために、各層を形成するごとに切り替わって前記ホルダの開口部に露出する複数の第一のモニタ基板と、(c) 前記基板上に形成される多層膜の光学特性をモニタする第二のモニタ基板とを有し、前記第二のモニタ基板が前記ホルダ上の前記基板の設置範囲内に設置されていることを特徴とする多層膜の形成装置。 (2) 上記(1) に記載の多層膜の形成装置において、前記第二のモニタ基板は前記基板と同じ素材の平板であることを特徴とする装置。 (3) 基板上に多層膜を形成する装置であって、蒸着源を有するチャンバ内に、(a) 複数の基板を回転自在に保持するホルダと、(b) 前記基板上に形成される各層の膜厚をモニタするために、各層を形成するごとに切り替わって前記ホルダの開口部に露出する複数の第一のモニタ基板とを有し、前記基板のうちの一つ以上が、前記基板上に形成される多層膜の光学特性をモニタする第二のモニタ基板であることを特徴とする多層膜の形成装置。 (4) 上記(1)〜(3) のいずれかに記載の多層膜の形成装置において、前記ホルダがドーム状で、頂上に前記開口部を有することを特徴とする装置。 (5) 上記(1)〜(4) のいずれかに記載の多層膜の形成装置において、前記多層膜の形成手段はプラズマアシスト法、イオンアシスト法又はイオンプレーティング法であることを特徴とする装置。 (6) 上記(1)〜(5) のいずれかに記載の多層膜の形成装置において、前記ホルダにはさらにキャリブレーション用基板と前記キャリブレーション用基板を内側から覆う遮蔽板とが設けられていることを特徴とする装置。 (7) 蒸着源を有するチャンバ内に、(a) 複数の基板を回転自在に保持するホルダと、(b) 前記基板上に形成する各層の膜厚をモニタするために、各層を形成するごとに切り替わって前記ホルダの開口部に露出する複数の第一のモニタ基板と、(c) 前記基板上に形成される多層膜の光学特性をモニタするために、前記ホルダ上の前記基板の設置範囲内に設置された第二のモニタ基板とを有する装置により、前記基板上に多層膜を形成する方法であって、前記第一のモニタ基板上に形成される各層の膜厚、及び前記第二のモニタ基板上に形成途中の多層膜の光学特性をモニタしながら多層膜を形成することを特徴とする方法。 (8) 上記(7) に記載の多層膜の形成方法において、前記第二のモニタ基板として前記基板と同じ素材の平板を用いることを特徴とする方法。 (9) 蒸着源を有するチャンバ内に、(a) 複数の基板を回転自在に保持するホルダと、(b) 前記基板上に形成する各層の膜厚をモニタするために、各層を形成するごとに切り替わって前記ホルダの開口部に露出する複数の第一のモニタ基板とを有する装置により、前記基板上に多層膜を形成する方法であって、前記第一のモニタ基板上に形成される各層の膜厚、及び前記基板のうちの一つ以上に形成途中の多層膜の光学特性をモニタしながら多層膜を形成することを特徴とする方法。 (10) 上記(7)〜(9) のいずれかに記載の多層膜の形成方法において、前記ホルダとして、頂上に開口部を有するドーム状ホルダを使用することを特徴とする方法。 (11) 上記(7)〜(10) のいずれかに記載の多層膜の形成方法において、前記多層膜をプラズマアシスト法、イオンアシスト法又はイオンプレーティング法により形成することを特徴とする方法。 (12) 上記(7)〜(11) のいずれかに記載の方法により形成された多層膜。 (13) 上記(12) に記載の多層膜を有する光学素子。 【発明の効果】 【0011】 本発明の多層膜の形成装置は、基板を回転自在に保持するホルダと、各層の膜厚をモニタするための複数の第一のモニタ基板と、多層膜の光学特性をモニタするための第二のモニタ基板とを有し、基板と第二のモニタ基板とが同一ホルダ上の基板の設置範囲内に設置されているので、膜厚制御誤差が小さく、もって所望の光学特性を有する多層膜が得られる。またかかる多層膜を有する光学素子が得られる。 【発明を実施するための最良の形態】 【0012】 [1] 多層膜の形成装置 図1〜3は本発明の一実施例による多層膜の形成装置を概略的に示す。この例では、真空チャンバ1の底面には、蒸着源2と、開閉自在なシャッタ3と、プラズマ銃4とが設けられており、真空チャンバ1内の上部には、開口部5aを中心にして回転自在なドーム状のホルダ5と、膜厚モニタ交換装置20とが設けられている。ホルダ5には、複数の基板10、第二のモニタ基板12及び内側を遮蔽板25で覆われたキャリブレーション用基板13が嵌合られている。膜厚モニタ交換装置20には、複数の第一のモニタ基板11が設けられている。真空チャンバ1の内壁には、ホルダ5の周囲を塞ぐように水平方向に延在したシールド26が設けられている。それにより、ホルダ5の上側に蒸着源2より蒸発した膜原料、及びプラズマ銃4から照射された電子によりチャンバ内で発生したプラズマが入り込むのを防止する。真空チャンバ1の下部側壁には排気装置27が設けられている。 【0013】 膜厚モニタ交換装置20は回転自在であり、その中心軸は図2に示すようにホルダ5の中心軸とずらして設置されている。各第一のモニタ基板11は膜厚モニタ交換装置20の同一半径方向位置に設置されている。従って、膜厚モニタ交換装置20を回転させると、第一のモニタ基板11が入れ替わり、新しい第一のモニタ基板11を開口部5aから露出させることができる。 【0014】 開口部5aの上方には膜厚モニタ21が設けられている。従って、膜厚モニタ21により開口部5aに露出する第一のモニタ基板11の反射光量を測定することにより、各第一のモニタ基板11に形成される各層の光学膜厚が得られる。第一のモニタ基板11の設置数は、基板10に形成する多層膜の層数より多いことが望ましい。 【0015】 ホルダ5の上方には分光光度計22及び光ファイバ23が設けられている。それにより第二のモニタ基板12及びキャリブレーション用基板13の光学特性を光ファイバ23を介して分光光度計22により測定することができる。光ファイバ23が向けられている箇所と第二のモニタ基板12及びキャリブレーション用基板13の設置箇所は同一半径方向である。膜厚モニタ21、分光光度計22及びホルダ5の回転は膜厚制御システム24によりそれぞれ制御される。 【0016】 ホルダ5の回転機構を図4を用いてさらに詳細に説明する。ホルダ5は、基板を保持するためのドーム状のホルダ部51と、筒部52と、ホルダ5を回転させるためのギア部53とからなる。ホルダ部51、筒部52及びギア部53は中央部が縦方向に空洞になっており、合わせて開口部5aを形成している。さらに筒部52は、ギア部53と接続している部分に、半径方向外側に延在した縁部52aを有する。筒部52の外周より僅かに大きい開口部を有する支持板32が真空チャンバ1の内壁に取り付けられており(真空チャンバ1と接する部分は図示せず。)、ホルダ5は、縁部52aにおいて、複数のボールベアリング31を介して支持板32と接している。このような機構により、ホルダ5は真空チャンバ1内に回転自在に設置している。ギア部53はモータ33のギア34と噛合しており、モータ33によりホルダ5の回転を制御することができる。 【0017】 第二のモニタ基板12及びキャリブレーション用基板13はホルダ5に嵌合され、ホルダ5と一緒に回転しているのに対し、分光光度計22及び光ファイバ23は形成装置に固定されているため、第二のモニタ基板12が光ファイバ23の下に来たときに光学特性を測定することができる。具体的には、第二のモニタ基板12が所定の位置に来たことをセンサ(図示せず)により検知した後、第二のモニタ基板12の光学特性を測定する。その際に、成膜を一旦中断し、かつホルダ5を停止させるのが好ましい。 【0018】 第二のモニタ基板12は基板10の設置範囲内に設置されている。ここで基板10の設置範囲とは、複数の基板10が設置されたホルダ5において、各基板10に形成される多層膜の光学特性がほぼ等しい範囲を意味する。従って、第二のモニタ基板12を基板10の設置範囲内に設置することにより、基板10と第二のモニタ基板12とに形成される多層膜の光学特性をほぼ等しくすることができる。 【0019】 第二のモニタ基板12として、複数の基板10のうちの一つを用いても良い。第二のモニタ基板12として新たに基板を設けることなく、基板10のうちの一つを直接モニタすることにより、基板10における成膜条件と同一の条件で成膜することができる。また基板10の表面がレンズのように曲面である場合、第二のモニタ基板12として基板10と同様の素材の平板を代わりに用いることもできる。 【0020】 図1に示す例では、第二のモニタ基板12は一つであるが、本発明はこれに限らず、第二のモニタ基板12を複数設置しても良い。また基板10のうちの複数の基板を第二のモニタ基板12として用いても良い。複数の第二のモニタ基板12を、例えば異なる半径方向位置に設置し、それらの光学特性を測定して平均値を取ることにより、さらに高精度な膜厚制御が可能になる。 【0021】 図1に示す例では、第一のモニタ基板11に形成される各層の膜厚、及び第二のモニタ基板12及びキャリブレーション用基板13に形成される多層膜の光学特性を、反射光をモニタすることにより推定しているが、反射光の代わりに透過光を用いても良い。また図1に示す例では、各基板10,11,12の裏側(膜が形成されない側)から光を当てているが、各基板10,11,12の表側(膜が形成される側)から光を当てても良い。 【0022】 [2] 多層膜の形成方法 排気装置27により真空チャンバ1内を高真空状態にした後、蒸着源2に付設した電子銃(図示せず)から電子を照射して蒸着源2に載置された膜原料を蒸発させる。それと同時に、反応ガスを真空チャンバ内に封入し、プラズマ銃4により真空チャンバ1内に電子を照射することにより反応ガスおよび蒸発した膜原料をプラズマ化しながら、基板10、第一のモニタ基板11及び第二のモニタ基板12に膜原料を付着させる。第一のモニタ基板11の膜厚が設定値に到達した時点でシャッタ3を閉じ、1層目の成膜を完了させる。 【0023】 蒸着源2の膜原料を交換し、1層目と同様に、電子銃から照射した電子により膜原料を蒸発させ、プラズマ銃4で蒸発した膜原料をプラズマ化させながら、基板10、第一のモニタ基板11及び第二のモニタ基板12に2層目を形成する。これらの操作を複数回繰り返すことにより、多層膜を形成する。 【0024】 多層膜の形成過程において、各層の成膜が終了するごとに、膜厚モニタ交換装置20を回転させて新しい第一のモニタ基板11をセットする。それにより、各層ごとの光学膜厚を膜厚モニタ21で測定することができるため、各層ごとの光学膜厚の制御が可能になる。 【0025】 多層膜の形成過程において、第二のモニタ基板12の光学特性を分光光度計22で測定する。それにより、第二のモニタ基板12に形成されている多層膜の光学特性を把握することができる。膜厚制御システム24において、第二のモニタ基板12における多層膜の光学特性を演算処理することにより、各層の膜厚が推定される。それらが各層の膜厚の設定値とずれており、このまま成膜を継続したとすると最終的に得られる多層膜の光学特性が目標値とずれてしまう場合、多層膜の光学特性が目標値と一致するように、積層中の膜厚又は以降形成する層の膜厚の設定値を調整する。調整された膜厚の設定値を膜厚モニタ21にフィードバックして、成膜を継続する。この工程を多層膜の各層において順次繰り返すことにより、第二のモニタ基板12に形成される多層膜の光学特性を目標値と一致させることができる。 【0026】 第二のモニタ基板12は基板10の設置範囲内に嵌合されており、かつホルダ5は成膜中回転しているため、基板10及び第二のモニタ基板12における多層膜の形成条件は同じである。そのため、基板10及び第二のモニタ基板12に形成される多層膜は同じ光学特性を有する。従って、第二のモニタ基板12における多層膜の光学特性を目標値と一致させることにより、基板10における多層膜の光学特性を目標値と一致させることができる。 【0027】 分光光度計22による光学測定は、光源の光量やセンサ感度の経時変化、ノイズ、外乱等により影響を受けるうえに、センサの受光量と反射率換算出力値との相関も経時変化するため、経時誤差が生じる。そのため、ホルダ5に設けられたキャリブレーション用基板13により、光学特性の測定結果のキャリブレーションを行うのが好ましい。キャリブレーション用基板13は遮蔽板25で塞がれており、その光学特性は成膜中に変化することはない。キャリブレーション用基板13は、第二のモニタ基板12とホルダ5の中心軸から等距離に位置しているため、キャリブレーション用基板13の光学特性も分光光度計22により測定することができる。第二のモニタ基板12の光学特性の測定の直前に、キャリブレーション用基板13の光学特性を測定し、その結果を参考にして、第二のモニタ基板12の光学特性の測定結果のキャリブレーションを行うことにより、光学特性の経時誤差を低減させることができる。 【0028】 蒸着源2の成分としては、一般的に多層膜に用いられるものであれば何でも良いが、Ta2O5,SiO2,ZrO2,TiO2等の誘電体が好ましい。蒸着源2を蒸発させて基板に膜原料を付着させる方法としては、プラズマ銃を用いたプラズマアシスト法が好ましく、イオンアシスト法又はイオンプレーティング法等を用いても良い。これらの方法を用いれば、通常の真空蒸着法と比較して成膜エネルギーが大きく向上するため、高密度の膜が形成することができ、かつ屈折率の再現性が良くなる。そのため安定した屈折率を有する多層膜が得られ、膜厚制御誤差、温度変化、湿度変化等に伴う分光特性変化である波長シフトが低減する。成膜時における各基板10,11,12の温度は、室温(20℃程度)〜300℃であるのが好ましい。 【0029】 本発明を以下の実施例によってさらに詳細に説明するが、本発明はそれに限定されるものではない。 【0030】 実施例1 図1に示す形成装置を用いて、基板10の上に五酸化タンタル(Ta2O5)及びシリカ(SiO2)から構成される16層からなる多層膜フィルタを作成した。その際に、多層膜フィルタの特性の目標として以下の要件を定めた。 (1) 反射率が50%となる波長が500 nmとする。 (2) 400〜480 nm付近の透過帯域の透過率をできるたけ高くする。 【0031】 上記の工程で多層膜の形成を5回行い、それぞれの反射率特性を調べた。図5から明らかなように、5回ともほぼ同じ反射率特性になり、本発明の形成方法により得られた多層膜が高い再現性を有することが分かった。 【0032】 上記の多層膜の真空中における分光特性と、大気中に移したときの分光特性とを比較し、波長シフトの有無を調べた。図6から明らかなように、波長シフトはほどんど見られなかった。 【0033】 比較例1 図9に示す従来の装置を用いて実施例1と同様の条件及び目標で試験を5回行い、各試験で得られた多層膜の反射率特性を調べた。図7から明らかなように、各多層膜の反射率特性は大きくばらついた。実施例1と同様に、真空中から大気中に移したときの波長シフトの有無を調べた。図8から明らかなように、波長シフトしていた。 【図面の簡単な説明】 【0034】 【図1】本発明の一実施例による多層膜の形成装置を概略的に示す模式図である。 【図2】ホルダと膜厚モニタ交換装置とを示す上面図である。 【図3】ホルダを示す上面図である。 【図4】ホルダを示す図であり、(a) は半断面図であり、(b) は(a) のA−A断面図である。 【図5】本発明の多層膜の反射率特性を示すグラフである。 【図6】本発明の多層膜の真空中と大気中との波長シフトを示すグラフである。 【図7】従来の多層膜の反射率特性を示すグラフである。 【図8】従来の多層膜の真空中と大気中との波長シフトを示すグラフである。 【図9】従来の多層膜の形成装置の一例を概略的に示す模式図である。 【図10】従来の多層膜の形成装置の別の例を概略的に示す模式図である。 【符号の説明】 【0035】 1・・・真空チャンバ 2・・・蒸着源 3・・・シャッタ 4・・・プラズマ銃 5・・・ホルダ 5a・・・開口部 51・・・ホルダ部 52・・・筒部 52a・・・縁部 53・・・ギア部 10・・・基板 11・・・第一のモニタ基板 12・・・第二のモニタ基板 13・・・キャリブレーション用基板 20・・・膜厚モニタ交換装置 21・・・膜厚モニタ 22・・・分光光度計 23・・・光ファイバ 24・・・膜厚制御システム 25・・・遮蔽板 26・・・シールド 27・・・排気装置 31・・・ボールベアリング 32・・・支持板 33・・・モータ 34・・・ギア
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| 【出願人】 |
【識別番号】000000527 【氏名又は名称】ペンタックス株式会社
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| 【出願日】 |
平成17年8月18日(2005.8.18) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100080012 【弁理士】 【氏名又は名称】高石 橘馬
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| 【公開番号】 |
特開2007−51347(P2007−51347A) |
| 【公開日】 |
平成19年3月1日(2007.3.1) |
| 【出願番号】 |
特願2005−237922(P2005−237922) |
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