トップ :: C 化学 冶金 :: C23 金属質材料への被覆;金属質材料による材料への被覆;化学的表面処理;金属質材料の拡散処理;真空蒸着,スパツタリング,イオン注入法,または化学蒸着による被覆一般;金属質材料の防食または鉱皮の抑制一般

【発明の名称】 フレーム
【発明者】 【氏名】城所 敦
【課題】この発明は、マスクの撓みを抑制することができるフレームを提供することを課題とする。

【解決手段】このフレームのリブ部材3は、上方に向かって突出したアーチ形状を有するため、成膜処理の際に高温の環境に晒されてこのリブ部材3が熱膨張により下方へ撓むことが防止される。また、リブ部材3のアーチ部4上面がマスク6の下面に当接し、リブ部材3からマスク6に対してこのマスク6を上方に向かって押し上げる力、すなわちマスク6を基板8の下面に押し付けようとする力が働くため、成膜処理時にマスク6が熱膨張して下方に撓もうとしても、マスク6がリブ部材3を介してフレームにより支持され、これによりマスク6の撓みが抑制される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
枠形状に形成されてその内部に開口を有する枠部材とこの枠部材の開口に架け渡されるリブ部材とを有すると共に、所定の開口パターンを有するマスクの下部に配置されて該マスクの下面を支持することにより前記マスクを補強するフレームにおいて、
前記リブ部材が熱膨張により下方へ撓むことを防止するための撓み防止手段
を備えることを特徴とするフレーム。
【請求項2】
前記撓み防止手段は、予め前記リブ部材を上方に向かって突出したアーチ形状に形成したことを特徴とする請求項1に記載のフレーム。
【請求項3】
前記撓み防止手段は、熱膨張により前記リブ部材を上方に向かって突出するように湾曲変形させるものである請求項1に記載のフレーム。
【請求項4】
前記撓み防止手段は、前記リブ部材の上面に切り込みを形成したことを特徴とする請求項3に記載のフレーム。
【請求項5】
前記撓み防止手段は、前記リブ部材を、互いに熱膨張係数の異なる複数の層から形成し、前記マスクに近い側の層ほど大きい熱膨張係数を有することを特徴とする請求項3または4に記載のフレーム。
【請求項6】
前記枠部材と前記リブ部材とは互いに一体に形成されている請求項1〜5のいずれか一項に記載のフレーム。
【請求項7】
前記枠部材と前記リブ部材とは互いに別体からなり、前記撓み防止手段は、前記枠部材の前記リブ部材との接続部分に逃がし部を形成したことを特徴とする請求項1または2に記載のフレーム。
【請求項8】
複数の前記リブ部材を備え、それぞれの前記リブ部材に対応して前記撓み防止手段を備える請求項1〜7のいずれか一項に記載のフレーム。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
この発明は、フレームに係り、特にパターン転写を行うためのマスクの下部に配置されてこのマスクを補強するフレームに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、プラズマCVD等の薄膜形成法により複数の薄膜を積層形成してEL(エレクトロルミネッセンス)素子等を形成する際には、所定の開口パターンを有する薄板状のマスクが用いられている。例えば、枠形状のフレーム上に支持されたマスクを基板の下面に当接させると共に、マスクの下方からマスクの開口を通して成膜処理することにより、基板の下面上に所定パターンを有する薄膜を形成することができる。
ところが、このような成膜処理の際にマスクが高温の環境に晒されるため、マスクの熱膨張を無視することができなくなり、このときマスクの上部には基板が当接しているため、熱膨張したマスクが下方に撓むこととなる。このようなマスクの撓みが発生すると、精度よくパターンを転写することが困難になってしまう。
【0003】
そこで、例えば特許文献1に開示されている薄膜形成方法では、マスクを支持するフレームの一端部を固定物に固定すると共にフレームの他端部に張力付与手段を取り付け、張力付与手段によりフレームを介してマスクに張力を付与してマスクを側方に引っ張ることによりマスクの撓みを抑制することが提案されている。
【0004】
【特許文献1】特開2000−160323号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1のように張力付与手段を設けると、構成が複雑になるだけでなく、マスクを基板の下面に当接させて配置する度ごとに、張力付与手段を操作してマスクに付与する張力を調整する必要があるという問題があった。
【0006】
また、上述のような張力付与手段を設けずに、枠形状のフレーム内部に形成された開口にリブ部材を架け渡し、このリブ部材をマスクの下面に当接させてマスクを支持することにより、マスクの下方への撓みを抑制することが考えられている。
ところが、このリブ部材も、成膜処理を行う際に高温の環境に晒されて熱膨張し、このときリブ部材の上部にマスクを介して基板が当接しているため、リブ部材もマスクと同様に下方に撓むこととなる。したがって、このようなリブ部材付きのフレームを用いてもマスクの撓みが抑制されないという問題があった。
この発明はこのような問題点を解消するためになされたもので、マスクの撓みを抑制することができるフレームを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明に係るフレームは、枠形状に形成されてその内部に開口を有する枠部材とこの枠部材の開口に架け渡されるリブ部材とを有すると共に、所定の開口パターンを有するマスクの下部に配置されてこのマスクの下面を支持することによりマスクを補強するフレームにおいて、リブ部材が熱膨張により下方へ撓むことを防止するための撓み防止手段を備えるものである。
【0008】
撓み防止手段として、予めリブ部材を上方に向かって突出したアーチ形状に形成することができる。
また、撓み防止手段として、熱膨張によりリブ部材を上方に向かって突出するように湾曲変形させることができる。例えば、リブ部材の上面に切り込みを形成する、またはリブ部材を互いに熱膨張係数の異なる複数の層から形成することにより、熱膨張によりリブ部材を上方に向かって突出するように湾曲変形させることができる。
【0009】
なお、枠部材とリブ部材を互いに一体に形成することができる。
また、枠部材とリブ部材を互いに別体から形成し、撓み防止手段として枠部材のリブ部材との接続部分に逃がし部を形成することもできる。
また、複数のリブ部材を備えることもでき、このとき、それぞれのリブ部材に対応して撓み防止手段を備えることが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
この発明によれば、マスクの撓みを抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、この発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。なお、各図面はそれぞれの構成を模式的に示したものであり、大きさや熱さの比等は実際とは異なる。
実施の形態1.
図1に、この発明の実施の形態1に係るフレームを示す。このフレームは、プラズマCVD等の薄膜形成法により複数の薄膜を積層形成してEL(エレクトロルミネッセンス)素子等を形成する際に用いられるマスクを支持するためのものである。このマスクは、矩形の枠形状に形成された枠部材1を有し、枠部材1の内部に開口2が形成されている。また、枠部材1の開口2の中間部には、この開口2を横切るようにリブ部材3が架け渡されている。
図2に示されるように、リブ部材3は、枠部材1に対し上方に向かって突出するアーチ形状に形成されたアーチ部4とこのアーチ部4の両端部にそれぞれ配置された一対の固定部5とを有しており、それぞれの固定部5が枠部材1に固定されている。
【0012】
このような構成を有するフレーム上に、所定の開口パターンを有するマスク6が載置されると共に、図2に破線矢印で示されるように、成膜処理室の天井面7に配置された基板8に向かってフレームによりマスク6を押し上げてマスク6の上面を基板8下面の被成膜面に当接させ、その状態でフレームを保持する。なお、このときフレームの枠部材1はマスク6の周縁部に対向し、リブ部材3はマスク6下面の中間部に当接しており、リブ部材3はマスク6の開口パターンの転写を妨げない位置に配置されている。
【0013】
ここで、フレームのリブ部材3は、上方に向かって突出したアーチ形状を有するため、成膜処理の際に高温の環境に晒されて熱膨張をしても下方へ撓むことはない。
また、リブ部材3のアーチ部4上面がマスク6の下面に当接し、リブ部材3からマスク6に対してこのマスク6を上方に向かって押し上げる力、すなわちマスク6を基板8の下面に押し付けようとする力が働くため、成膜処理時にマスク6が熱膨張して下方に撓もうとしても、マスク6がリブ部材3を介してフレームにより支持され、これによりマスク6の下方への撓みを抑制することができる。
したがって、精度よくパターンを転写することが可能となる。
【0014】
なお、フレームを構成する枠部材1及びリブ部材3は、SUS、インバー、コバール、アルミナ及びSiO等の材料から形成することができる。
マスク6もフレームと同様の材料から形成することができるが、特に、熱膨張係数の小さい材料からマスク6を形成すれば、熱膨張による変形を小さく抑えることが可能となる。
【0015】
実施の形態2.
次に図3(a)及び(b)を参照して、この発明の実施の形態2に係るフレームを説明する。このフレームは、実施の形態1に係るフレームにおいて、アーチ形状のリブ部材3の代わりに、その上面に複数の切り込み11を有するリブ部材12を備えたものである。図3(a)に示されるように、リブ部材12は、平坦な上面及び下面を有すると共に、リブ部材12の上面にはその中間部に複数の切り込み11が互いに間隔をあけて形成されている。なお、図3(a)では、常温時のリブ部材12を示している。
【0016】
このリブ部材12が成膜処理時に高温の環境に晒されて熱膨張すると、図3(b)に示されるように、その上面の切り込み11が開いてリブ部材12は上反りする。すなわちリブ部材12は枠部材1に対し上方に向かって突出するように湾曲変形し、これにより実施の形態1と同様に、リブ部材12の下方への撓みを防止することができる。
したがって、このフレーム上に支持されるマスク6が熱膨張により下方に撓もうとしても、マスク6がリブ部材12を介してフレームにより支持され、これによりマスク6の下方への撓みが抑制される。
【0017】
なお、リブ部材12上面の中間部のみに複数の切り込み11が形成されていたが、その代わりに、リブ部材12の上面全体にわたって複数の切り込み11が形成されていてもよい。
【0018】
実施の形態3.
次に図4(a)及び(b)を参照して、この発明の実施の形態3に係るフレームを説明する。このフレームは、実施の形態1に係るフレームにおいて、アーチ形状のリブ部材3の代わりに、互いに熱膨張係数の異なる第1の層21及び第2の層22を有するリブ部材23を備えたものである。図4(a)に示されるように、リブ部材23は、上下方向に互いに一体に形成された第1の層21及び第2の層22からなり、平坦な上面及び下面を有している。また、第1の層21がマスク6側の上部に配置されると共に第2の層22がマスク6とは反対側の下部に配置され、第1の層21は第2の層22よりも大きい熱膨張係数を有している。なお、図4(a)では、常温時のリブ部材23を示している。
【0019】
このリブ部材23が成膜処理時に高温の環境に晒されて熱膨張すると、図4(b)に示されるように、第1の層21及び第2の層22の熱膨張係数の差に起因して、リブ部材23は上反りする。すなわちリブ部材23は枠部材1に対し上方に向かって突出するように湾曲変形し、これにより実施の形態1と同様に、リブ部材23の下方への撓みを防止することができる。
したがって、このフレーム上に支持されるマスク6が熱膨張により下方に撓もうとしても、マスク6がリブ部材23を介してフレームにより支持され、これによりマスク6の下方への撓みが抑制される。
【0020】
なお、例えば、第1の層21をSUSから形成し、第2の層22を第1の層21よりも小さい熱膨張係数を有するインバーから形成することができる。また、これらの材料に限定されず、第1の層21が第2の層22より大きい熱膨張係数を有して、熱膨張時にこのリブ部材23が上反りするように構成できるものであれば、各種の材料から第1の層21及び第2の層22を形成することができる。
また、リブ部材23は2つの層から形成されていたが、互いに異なる熱膨張係数を有する3つ以上の層を互いに一体にしてリブ部材を形成することもできる。例えば、マスク6に近い側の層ほど大きい熱膨張係数を有するように配置してリブ部材を形成すれば、熱膨張時に上反りするように構成される。
【0021】
実施の形態4.
次に図5及び6を参照して、この発明の実施の形態4に係るフレームを説明する。このフレームは、実施の形態1に係るフレームにおいて、互いに一体に形成された枠部材1及びリブ部材3の代わりに、互いに別体に形成された枠部材31及びリブ部材32を備え、枠部材31のリブ部材32との接続部分に逃がし部33を形成したものである。ここで、リブ部材32は平坦な上面及び下面を有している。また、枠部材31にはリブ部材32の両端部が接続される部分にそれぞれ凹状に切り欠かれた逃がし部33が形成されている。これら一対の逃がし部33にリブ部材32の両端部をそれぞれ挿入すると、リブ部材32のそれぞれの端部が対応する逃がし部33内に遊嵌されると共にその逃がし部33の底面により支持され、リブ部材32が枠部材31の開口34に架け渡される。
【0022】
このフレームでは、成膜処理時に高温の環境に晒されてリブ部材32が熱膨張しても、リブ部材32の両端部はそれぞれ対応する逃がし部33内に遊嵌されているため、これらの逃がし部33でリブ部材32の熱膨張が逃がされることによりリブ部材32が枠部材31に対し突っ張って撓むこともなく、これにより実施の形態1と同様に、リブ部材32の下方への撓みを防止することができる。
したがって、このフレーム上に支持されるマスク6が熱膨張により下方に撓もうとしても、マスク6の下面にフレームのリブ部材32及び枠部材31が当接してマスク6が支持され、これによりマスク6の下方への撓みが抑制される。
【0023】
実施の形態5.
次に図7を参照して、この発明の実施の形態5に係るフレームを説明する。このフレームは、実施の形態4に係るフレームにおいて、直線状に延びるリブ部材32の代わりに、アーチ形状に形成されたリブ部材41を備えたものである。このリブ部材41は、枠部材31に対し上方に向かって突出するアーチ形状に形成されたアーチ部42とこのアーチ部42の両端部にそれぞれ配置された一対の支持部43とを有しており、それぞれの支持部43が枠部材31の対応する逃がし部33内に遊嵌され支持されている。
【0024】
このように構成にすれば、逃がし部33でリブ部材41の熱膨張が逃がされるだけでなく、リブ部材41が上方へ突出したアーチ形状を有することによりこのリブ部材41の熱膨張による下方への撓みが確実に防止される。
また、リブ部材41のアーチ部42上面がマスク6の下面に当接してマスク6に押し上げ力が働くため、マスク6の下方への撓みをさらに抑制することができる。
【0025】
なお、上述の実施の形態1〜3では、1つのリブ部材3,12,23を有する場合について説明したが、図8に示されるように、枠部材1の開口2に架け渡された2つのリブ部材3,12,23を有することもできる。また、3つ以上のリブ部材3,12,23を有していてもよい。
同様に、上述の実施の形態4及び5においても、図9に示されるように、枠部材31の開口34に架け渡された2つのリブ部材32,41を有することもでき、このとき2つのリブ部材32,41の両端部が接続される枠部材31の部分にそれぞれ逃がし部33を設けることが好ましい。また、3つ以上のリブ部材32,41を有していてもよい。
【0026】
また、実施の形態1〜3において、図10に示されるように、枠部材1の開口2に対して十字形状に架け渡されるリブ部材51や、その他各種の形状に架け渡されるリブ部材を用いることもできる。
同様に、実施の形態4及び5においても、枠部材31の開口34に対して十字形状やその他各種の形状に架け渡されるリブ部材を用いることができる。
なお、リブ部材はマスク6の開口パターンの転写を妨げないような配置、形状及び寸法等を有することが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】この発明の実施の形態1に係るフレームを示す平面図である。
【図2】図1のフレームによりマスクを支持した状態を示す断面図である。
【図3】この発明の実施の形態2に係るフレームを示し、(a)は常温時の状態を示す断面図であり、(b)は熱膨張時の状態を示す断面図である。
【図4】この発明の実施の形態3に係るフレームを示し、(a)は常温時の状態を示す断面図であり、(b)は熱膨張時の状態を示す断面図である。
【図5】この発明の実施の形態4に係るフレームを示す平面図である。
【図6】この発明の実施の形態4に係るフレームを示す断面図である。
【図7】この発明の実施の形態5に係るフレームを示す断面図である。
【図8】この発明の他の実施の形態に係るフレームを示す平面図である。
【図9】この発明のさらに他の実施の形態に係るフレームを示す平面図である。
【図10】この発明の他の実施の形態に係るフレームを示す平面図である。
【符号の説明】
【0028】
1,31 枠部材、2,34 開口、3,12,23,32,41、51 リブ部材、4,42 アーチ部、5 固定部、6 マスク、7 天井面、8 基板、11 切り込み、21 第1の層、22 第2の層、33 逃がし部、43 支持部。
【出願人】 【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
【出願日】 平成17年8月18日(2005.8.18)
【代理人】 【識別番号】100057874
【弁理士】
【氏名又は名称】曾我 道照

【識別番号】100110423
【弁理士】
【氏名又は名称】曾我 道治

【識別番号】100084010
【弁理士】
【氏名又は名称】古川 秀利

【識別番号】100094695
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 憲七

【識別番号】100111648
【弁理士】
【氏名又は名称】梶並 順
【公開番号】 特開2007−51342(P2007−51342A)
【公開日】 平成19年3月1日(2007.3.1)
【出願番号】 特願2005−237760(P2005−237760)