| 【発明の名称】 |
スパッタ電極及びスパッタ電極を備えたスパッタリング装置 |
| 【発明者】 |
【氏名】大石 祐一
【氏名】小松 孝
【氏名】中村 肇
【氏名】新井 真
【氏名】清田 淳也
【氏名】谷 典明
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| 【要約】 |
【課題】ターゲットとバッキングプレートとをボンディング材を介して接合して構成されるターゲット組立体を用いてスパッタリングにより成膜する場合、接合時に反りが発生していると、処理基板面内の膜厚が不均一になる。
【解決手段】ターゲット41と、ボンディング材を介して接合したバッキングプレート42とからなるターゲット組立体を、バッキングプレートのターゲットより外側に延出した部分42aを介してスパッタ電極本体4に取付ける。そして、ターゲットのスパッタ面に対し直交する方向に沿って、ターゲット組立体の中央領域に引張力または押圧力のいずれか一方を加える反り矯正手段7を設ける。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 スパッタリング用のターゲットと、このターゲットのスパッタ面の背面側にボンディング材を介して接合されたバッキングプレートとを有するターゲット組立体を備え、このターゲット組立体を、バッキングプレートのターゲットより外側に延出した部分を介してスパッタ電極本体に取付自在であるスパッタ電極であって、前記バッキングプレートのスパッタ電源本体への取付箇所がそれぞれ位置する水平面に対し直交する方向に沿って、ターゲット組立体の中央領域に引張力または押圧力のいずれか一方を加える反り矯正手段を設けたことを特徴とするスパッタ電極。 【請求項2】 前記反り矯正手段は、ターゲット組立体の後方に位置してスパッタ電源本体に設けた支持部と、この支持部に一端が螺合した軸部とから構成され、この軸部の他端を、バッキングプレートの中央領域に着脱自在に取付けたことを特徴とする請求項1記載のスパッタ電極。 【請求項3】 前記反り矯正手段を複数設けたことを特徴とする請求項1または請求項2記載のスパッタ電極。 【請求項4】 請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のスパッタ電極を所定の間隔を置いて並設し、各ターゲットの前方に磁束を形成するように各ターゲット組立体の後方にそれぞれ設けられ、複数個の磁石から構成される磁石組立体と、各ターゲットに負電位及び接地電位または正電位のいずれか一方を交互に印加する交流電源とを設けたことを特徴とするスパッタリング装置。 【請求項5】 前記磁束がターゲットに対して平行移動自在であるように各磁石組立体を一体に駆動する駆動手段を設けたことを特徴とする請求項4記載のスパッタリング装置。 【請求項6】 前記磁石組立体は、各磁石を支持する支持板を有し、この支持板に、反り矯正手段の軸部の挿通を可能とする各磁石組立体の移動方向に沿った長孔を設けたことを特徴とする請求項5記載のスパッタリング装置。
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【発明の詳細な説明】【技術分野】 【0001】 本発明は、スパッタリング法による処理基板への成膜に用いられるスパッタ電極及びこのスパッタ電極を備えたスパッタリング装置に関する。 【背景技術】 【0002】 スパッタリング法では、プラズマ中のイオンを、処理基板表面に成膜しようする膜の組成に応じて所定形状に作製されたターゲットに向けて加速させて衝撃させ、ターゲット原子を飛散させて処理基板表面に薄膜を形成する。この場合、ターゲットは、イオン衝撃を受けて高温となることから、ターゲットが融解したり、割れたりする虞がある。 【0003】 このことから、ターゲットを、インジウムやスズなどの熱伝導率が高い材料からなるボンディング材を介して、例えば銅製のバッキングプレートに接合してターゲット組立体とし、この状態でスパッタカソードであるスパッタ電極本体に取付け、スパッタリング中、バッキングプレートを冷却水(冷媒)により冷却することで、ターゲットが間接的に除熱される構造としている(特許文献1)。 【0004】 一般に、ターゲットとバッキングプレートとの接合は、例えば、所定形状に形成したターゲット及びバッキングプレートを加熱板に載置して、上記ボンディング材が溶解する所定温度までそれぞれ加熱し、ターゲット及びバッキングプレートの各接合面にボンディング材を塗布した後、相互に張り合わせ、この状態でボンディング材が固まる温度まで自然冷却することで行われる。 【特許文献1】特開平7−26375号公報(例えば、図1参照)。 【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】 【0005】 上記のようにターゲットとバッキングプレートとを接合した場合、このターゲット及びバッキングプレート相互の材質や面積の相違に基づく加熱時の熱膨張の差に起因して、ボンディング材を介して接合したターゲット組立体に反りが発生するという問題がある。この場合、反りの方向は、成膜材料であるターゲットの組成によって異なる。反りが発生したターゲット組立体をスパッタ電極本体に取付けてスパッタリングにより成膜すると、ターゲットの中央領域とその周辺領域とでターゲット組立体の後方に設けられる磁石組立体までの距離が異なることによって、処理基板面内で膜厚が不均一になる。 【0006】 このことは、近年のFPD製造用のガラス基板のように、面積の大きい基板に対しスパッタリング法により薄膜を形成するために、ターゲットの面積を大きくした場合にはより顕著になる。 【0007】 そこで、本発明の課題は、上記点に鑑み、接合時のターゲット組立体の反りの影響を受けずに、処理基板全面に亘って略均一な膜厚で成膜できるようにしたスパッタ電極及びこのスパッタ電極を備えたスパッタリング装置を提供することにある。 【課題を解決するための手段】 【0008】 上記課題を解決するために、請求項1記載のスパッタ電極は、スパッタリング用のターゲットと、このターゲットのスパッタ面の背面側にボンディング材を介して接合されたバッキングプレートとを有するターゲット組立体を備え、このターゲット組立体を、バッキングプレートのターゲットより外側に延出した部分を介してスパッタ電極本体に取付自在であるスパッタ電極であって、前記バッキングプレートのスパッタ電源本体への取付箇所がそれぞれ位置する水平面に対し直交する方向に沿って、ターゲット組立体の中央領域に引張力または押圧力のいずれか一方を加える反り矯正手段を設けたことを特徴とする。 【0009】 これによれば、例えば、ボルト等の締結手段によってバッキングプレートのターゲットより外側に延出した部分を介してスパッタ電極本体にターゲット組立体を固定する。次いで、バッキングプレート裏側の中央領域に反り矯正手段を連結し、ボンディング材を介して接合したときのターゲット組立体の反り方向に応じて、反り矯正手段によってターゲット組立体の中央領域に引張力または押圧力のいずれか一方を加える。これにより、ターゲットのスパッタ面から処理基板までの距離をターゲット全面に亘って略一定に、つまり、未使用時のターゲットのスパッタ面を略水平にできるため、ターゲットの反りの影響を受けず、略均一な膜厚での成膜が可能になる。 【0010】 この場合、前記反り矯正手段は、例えば、ターゲット組立体の後方に位置してスパッタ電源本体に設けた支持部と、この支持部に一端が螺合した軸部とから構成され、この軸部の他端を、バッキングプレートの中央領域に着脱自在に取付けたものとすれば、簡単な構造で、ターゲット組立体の中央領域に引張力または押圧力を加えて反りの矯正ができてよい。 【0011】 前記反り矯正手段を複数設けておけば、引張力または押圧力のいずれか一方を加えることが可能な箇所が多くなることで、ターゲットのスパッタ面を略水平にするための微調整が可能になり、特に、ターゲットにひずみがある場合やその面積が大きいときに有効となる。 【0012】 また、請求項4記載のスパッタリング装置は、請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のスパッタ電極を所定の間隔を置いて並設し、各ターゲットの前方に磁束を形成するように各ターゲット組立体の後方にそれぞれ設けられ、複数個の磁石から構成される磁石組立体と、各ターゲットに負電位及び接地電位または正電位のいずれか一方を交互に印加する交流電源とを設けたことを特徴とする。 【0013】 これによれば、交流電源を介して一方のターゲットに負の電位を印加し、他方のターゲットに接地電位または正の電位を印加すると、他方のターゲットがアノードの役割を果たし、1個の交流電源にそれぞれ接続されたターゲット相互間でプラズマがそれぞれ発生し、負の電位が印加されたターゲットがスパッタリングされる。そして、交流電源の周波数に応じてターゲットの電位が切替わると他方のターゲットがスパッタリングされ、各ターゲットを交互に順次スパッタリングできる。 【0014】 これにより、ターゲットとバッキングプレートとの接合時の反りの影響を受けないことと、スパッタ粒子が放出されないターゲット相互間の間隔を小さく設定できることとが相俟って、面積の大きい処理基板に対し、スパッタリング法により成膜する場合でも、略均一な膜厚で成膜できる。 【0015】 前記磁束がターゲットに対して平行移動自在であるように各磁石組立体を一体に駆動する駆動手段を設けておけば、スパッタリングの際にターゲットの全面に亘って侵食領域が得られ、ターゲットの利用効率を高めることができてよい。 【0016】 この場合、前記磁石組立体は、各磁石を支持する支持板を有し、この支持板に、反り矯正手段の軸部の挿通を可能とする各磁石組立体の移動方向に沿った長孔を設けておけばよい。 【発明の効果】 【0017】 以上説明したように、本発明のスパッタ電極及びこのスパッタ電極を備えたスパッタリング装置では、接合時にターゲット組立体に生じた反りの影響を受けずに、処理基板全面に亘って略均一な膜厚で成膜できるという効果を奏する。 【発明を実施するための最良の形態】 【0018】 図1乃至図3を参照して説明すれば、1は、本発明のスパッタ電極を装着したマグネトロン方式のスパッタリング装置(以下、「スパッタ装置」という)である。スパッタ装置1は、インライン式のものであり、ロータリーポンプ、ターボ分子ポンプなどの真空排気手段(図示せず)を介して所定の真空度に保持できるスパッタ室11を有する。スパッタ室11の上部空間には基板搬送手段2が設けられている。この基板搬送手段2は、公知の構造を有し、例えば、処理基板Sが装着されるキャリア21を有し、駆動手段を間欠駆動させて後述するターゲットと対向した位置に処理基板Sを順次搬送できる。 【0019】 スパッタ室11にはガス導入手段3が設けられている。ガス導入手段3は、マスフローコントローラ31を介設したガス管32を介してガス源33に連通しており、アルゴンなどのスパッタガスや反応性スパッタリングの際に用いる反応ガスがスパッタ室11内に一定の流量で導入できる。反応ガスとしては、酸素、窒素、炭素、水素、オゾン、水若しくは過酸化水素またはこれらの混合ガスなどが用いられる。 【0020】 また、スパッタ室11の下側には、成膜室11に搬送されてきた処理基板Sに対向させてスパッタ電極本体4が設けられている。スパッタ電極本体4は、処理基板Sに対向して配置された略直方体(上面視において長方形)のターゲット41を有する。ターゲット41は、Al、Ti、MoやITOなど、処理基板S上に成膜しようする薄膜の組成に応じて公知の方法で作製される。ターゲット41は、スパッタリング中、ターゲット41を冷却する公知の構造のバッキングプレート42に、インジウムやスズなどのボンディング材を介して接合される。 【0021】 この場合、ターゲット41とバッキングプレート42との接合は、例えば、所定形状に形成したターゲット41及びバッキングプレート42を加熱板に載置して、上記ボンディング材が溶解する所定温度までそれぞれ加熱し、ターゲット41及びバッキングプレート42の各接合面にボンディング材を塗布した後、相互に張り合わせ、この状態でボンディング材が固まる温度まで自然冷却させることで行われる。 【0022】 ターゲット41とバッキングプレート42とを接合してターゲット組立体とした後、絶縁板43を介してスパッタ電極本体4のフレーム44に取付けられる。この場合、バッキングプレート42のターゲット41より外側に延出した部分42aには、所定の間隔を置いて複数の開口(図示せず)が設けられ、この開口を通して、フレーム44の上面に所定の間隔を置いて形成したねじ孔にボルトBを螺着することで、ターゲット組立体41、42が固定される。 【0023】 ターゲット41の周囲には、プラズマを安定して発生させるために、ターゲット41の周囲を囲うようにアースシールド(図示せず)が設置されている。この場合、図示しないOリングなどの真空シール手段によって、ターゲット41及びアースシールのみがスパッタ室11内に位置するようにしている。 【0024】 また、スパッタ電極本体4は、ターゲット41の後方に位置して磁石組立体5を装備している。磁石組立体5は、ターゲット41に平行に設けられた支持板51を有する。この支持板51は、ターゲット41の横幅より小さく、ターゲット41の長手方向に沿ってその両側に延出するように形成した長方形状の平板から構成され、磁石の吸着力を増幅する磁性材料製である。支持板51上には、ターゲット41の長手方向に沿った棒状の中央磁石52と、支持板51の外周に沿って設けた周辺磁石53とが交互に極性を変えて設けられている。この場合、中央磁石52の同磁化に換算したときの体積を、周辺磁石53の同磁化に換算したときの体積の和(周辺磁石:中心磁石:周辺磁石=1:2:1)に等しくなるように設計している。 【0025】 これにより、各ターゲット41の前方に、釣り合った閉ループのトンネル状の磁束Mが形成され、ターゲット41の前方で電離した電子及びスパッタリングによって生じた二次電子を捕捉することで、ターゲット41の前方での電子密度を高くしてプラズマ密度を高くできる。 【0026】 そして、基板搬送手段2によって処理基板Sをターゲット41と対向した位置に搬送し、ガス導入手段3を介して所定のスパッタガスを導入する。ターゲット41に接続されたスパッタ電源6を介して、ターゲット41に負の直流電圧または高周波電圧を印加すると、処理基板S及びターゲット41に垂直な電界が形成され、ターゲット41の前方にプラズマが発生してターゲット41がスパッタリングされることで処理基板S上に成膜される。 【0027】 ところで、上記のように、ターゲット41とバッキングプレート42とを接合した場合、ターゲット41及びバッキングプレート42相互の材質や面積の相違に基づく加熱時の熱膨張の差に起因して、ボンディング材を介して接合したターゲット組立体41、42に反りが発生する場合がある。この場合、ターゲット41を、Alなどの融点の低い材料から作製した場合、中央領域Rが盛り上るように反りが発生し、他方で、Ti、Crなどの融点の高い材料から作製した場合、周辺領域が盛り上るように反りが発生する。反りが発生したターゲット組立体41、42をスパッタ電極本体4に装着してスパッタリングにより成膜すると、処理基板S面内で膜厚が不均一になる虞がある。 【0028】 本実施の形態では、バッキングプレート42が取付られるフレーム44の水平面に対し直交する方向に沿って、ターゲット組立体41、42の中央領域に引張力または押圧力のいずれか一方を加える反り矯正手段7を設けることとした。 【0029】 図2及び図3に示すように、反り矯正手段7は、ターゲット組立体41、42の後方に配置した支持部71、72と、支持部72で支持された軸部73とから構成されている。バッキングプレート42裏面に平行に設けた支持板71は、例えばステンレス製であり、反りを矯正するのに力を加えた場合でも変形しない厚さに設定されている。 【0030】 支持板71には、反りが発生した場合にその反り量が多くなるバッキングプレート42の中央領域Rに対向した位置に4個の貫通孔71aがそれぞれ設けられ、支持板71の下面には支持片72が取付けられている。支持片72は、例えばステンレス製であり、その中央部には開口部72aが形成されている。そして、支持片72の開口部72aと、支持板71に形成した貫通孔71aとを上下方向で一致させた状態でボルトB1によって支持片72が支持板71に固定されている。この支持板71、支持片72及び後述するナットが支持部を構成する。 【0031】 軸部73は、バッキングプレート42裏面と支持板71の上面との間の間隔より長くなるように定寸されたステンレス製の棒材から構成され、その両端部には、ねじ溝73aが形成されている。軸部73の一端は、支持片72より下方に突出するように配置され、その突出させた部分には、ナット74が螺合されている。また、軸部73の他端は、開口部72a及び貫通孔71aと上下方向で一致するようにバッキングプレート42の裏面に形成したねじ孔に螺着させて固定される。 【0032】 ここで、バッキングプレート42は、ターゲット41に負の直流電圧または高周波電圧を印加すべくスパッタ電源42からの電源ケーブル6aが接続されていることから、反り矯正手段7を絶縁するために、バッキングプレート42裏面の所定位置に凹部を設け、この凹部に、内部にねじ溝を設けた硬質プラスチックスなどの絶縁材料42bを嵌設すると共に、軸部73の周囲を中空円筒形状の硬質プラスチックスなどの絶縁材料73bで覆っている。 【0033】 また、バッキングプレート42と支持板71との間には、磁石組立体5が位置するため、図3に示すように、磁石組立体の支持板51には、軸部73の挿通を可能とする開口51aが形成されている。 【0034】 そして、軸部73の他端を、絶縁材料42bのねじ溝に螺合して固定した状態で、ナット74が回転しないように保持しつつ軸部73を支持板71側(図2では下方)に移動させると、ターゲット組立体41、42の中央領域Rに引張力が加えられて支持板71方向(図2では、下側)に引き込まれ、未使用時のターゲット41のスパッタ面411を略水平にできる。他方で、ナット74が回転しないように保持しつつ軸部73を処理基板S側(図2では上方)に移動させると、ターゲット組立体41、42の中央領域Rに押圧力が加えられて処理基板S側に押し込まれ、その結果、未使用時のターゲット41のスパッタ面411を略水平にできる。これにより、ターゲット41のスパッタ面411から処理基板Sまでの距離をその全面に亘って略一定にでき、ターゲット41の反りの影響を受けず、略均一な膜厚で処理基板Sに成膜できる。 【0035】 ところで、磁石組立体5の位置を固定にすると、中央磁石52の上方におけるプラズマ密度は低くなり、その周辺と比較して、スパッタリングの進行に伴うターゲット41の侵食量が少なくなる。このため、磁石組立体5に、図示しないモータなどの駆動手段によって、ターゲット41の水平方向に沿った2箇所の位置の間で平行かつ等速で往復動させるようにするのがよい。この場合、磁石組立体の支持板51に形成した開口51aを、磁石組立体5の往復動方向に沿った長孔に形成しておけばよい。 【0036】 本実施の形態では、簡単な構造とするために、反り矯正手段7をターゲット組立体41、42の後方に設けた支持部71、72と、軸部73とから構成したものについて説明したが、これに限定されるものではなく、中央領域Rに引張力または押圧力を加えることができるものであればその形態を問わない。また、4個の反り矯正手段7を設けたものついて説明したが、個数はこれに限定されるものでなく、例えばターゲット41の面積に応じて適宜設定される。 【0037】 また、本実施の形態では、スパッタ室11に1個のスパッタ電極4を設けたものについて説明したが、大面積の処理基板Sに対して成膜する場合には、図4に示すように、例えば6個のスパッタ電極本体4を並設してマグネトロンスパッタ電極Cとし、スパッタ装置10を構成してもよい。 【0038】 この場合、ターゲット41a〜41fが、その未使時のスパッタ面411が、処理基板Sに平行な同一平面上に位置するように並設され、各ターゲット41a〜41fの向かい合う側面412相互の間には、アノードやシールドなどの構成部品を何ら設けていない。各ターゲット41a〜41fの外形寸法は、各ターゲット41a〜41fを並設した際に処理基板Sの外形寸法より大きくなるように設定される。 【0039】 また、各ターゲット41a〜41fには、交流電圧を印加する3個の交流電源61、62、63が接続され、各ターゲット41a〜41fの後方には、磁石組立体5a〜5fが配置されている。この場合、相互に隣接する2個のターゲット(例えば、41a、41b)に対して1個の交流電源61を割当て、一方のターゲット41aに対し負の電位を印加した際に、他のターゲット41bに接地電位または正の電位が印加されるようにしている。 【0040】 例えば、各交流電源61、62、63を介して一方のターゲット41a、41c、41eに負の電位を印加し、他方のターゲット41b、41d、41fに接地電位または正の電位を印加すると、他方のターゲット41b、41d、41fがアノードの役割を果たし、1個の交流電源61、62、63にそれぞれ接続されたターゲット(例えば、41aと41b)相互間でプラズマがそれぞれ発生し、負の電位が印加されたターゲット41a、41c、41eがスパッタリングされる。そして、交流電源61、62、63の周波数に応じてターゲット41a〜41fの電位を切替えると、他方のターゲット41b、41d、41fがスパッタリングされることで、各ターゲット41a〜41fが交互に順次スパッタリングされ、処理基板S表面全体に亘って成膜される。 【0041】 これにより、スパッタ粒子が放出されないターゲット41a〜41f相互間にアノードやシールドなどの構成部品を何ら設ける必要がないため、このスパッタ粒子が放出されない領域を可能な限り小さくできる。その結果、ターゲットの反りの影響を受けないことと相俟って、処理基板S面内における膜厚分布を略均一にできる。 【0042】 この場合、上記実施の形態同様、各ターゲット41a〜41f全面に亘って均等に侵食領域を得ることができるように、エアーシリンダーなどの駆動手段Dによって、ターゲット41a〜41fの水平方向に沿った2箇所(L点、R点)の位置の間で、磁石組立体5a〜5fを一体かつ平行に往復動させている。この場合、駆動手段Dの駆動軸D1に、各磁石組立体5a〜5fを取付けておけばよい。 【0043】 また、磁石組立体5a〜5fを並設したときその両側の磁場バランスが調節できるように、棒状の補助磁石8を、両端に位置する磁石組立体5a、5fの周辺磁石53の極性にそれぞれ一致させて設け、補助磁石8を支持する支持部81を、エアーシリンダDの駆動軸D1に取付け、磁石組立体5と一体に移動するようにしている。これにより、磁石組立体5a〜5fの両端での磁束密度も高くできて磁場バランスが改善され、ひいては処理基板S面内における膜厚分布や反応性スパッタリングを行う場合の膜質分布を略均一にできる。 【実施例1】 【0044】 本実施例では、図1に示すスパッタ装置1を用いて処理基板SにAl膜を成膜した。この場合、処理基板Sとしては、ガラス基板(1200mm×1000mm)を用いると共に、ターゲット41としてAlを用い、公知の方法で、1400mm×1200mmの外形寸法を有するように作製し、銅製のバッキングプレート42に接合した。 【0045】 この場合、ボンディング材として、Inを用い、ターゲット41及びバッキングプレート42を加熱板に載置して200℃までそれぞれ加熱し、ターゲット41及びバッキングプレート42の各接合面にボンディング材を塗布した後、相互に張り合わせて、この状態で保持して自然冷却させ、ターゲット組立体41、42とした。 【0046】 そして、ターゲット組立体を、ボルトBによってフレーム44に取付け、反り矯正手段7の軸部74をバッキングプレート42の裏面に取付けた後、水平計を用いつつ、軸部74を介して磁石組立体5方向に引っ張り、ターゲット41のスパッタ面411から処理基板Sまでの距離がターゲットSの全面に亘って略一定になるようにした。 【0047】 スパッタリング条件として、真空排気されている成膜室11内の圧力が0.3Paに保持されるように、マスフローコントローラ21を制御してスパッタガスであるアルゴン(Ar流量200sccm)を導入した。また、ターゲット41への投入電力を40kW、スパッタ時間を30秒に設定した。この条件でガラス基板S上にスパッタリングしたときのガラス基板Sの横方向に沿った膜厚の分布を図5に点線で示す。 (比較例1) 【0048】 比較例1として、図1に示すスパッタ装置1を用いて処理基板SにAl膜を成膜した。この場合、スパッタリング条件などを上記実施例1と同じとしたが、ターゲット組立体4,1、42を作製した後、ボルトBによってフレーム44に取付けた後、反りの矯正は行わないこととした。この条件でガラス基板S上にスパッタリングしたときのガラス基板Sの横方向に沿った膜厚の分布を図5に実線で示す。 【0049】 図5を参照して説明すれば、比較例1では、ガラス基板の両側(ガラス基板の外周縁部での膜厚(約270nm)が厚くなり、その中央領域の最も膜厚が薄い部分(約230nm)と比較して約40nmの膜厚の差が生じ、膜厚が不均一であったことが判る。それに対して、実施例1では、ガラス基板の中央領域とその周辺領域との膜厚の差は、約10nm以下の範囲にでき、膜厚の均一を高めることができたことが判る。 【図面の簡単な説明】 【0050】 【図1】本発明のスパッタリング装置の構成を概略的に説明する図。 【図2】反り矯正手段の配置を説明する図。 【図3】図2のIII−IIIに沿った断面図。 【図4】本発明のスパッタリング装置の他の変形例を説明する図。 【図5】実施例1及び比較例1に従いスパッタリングにより成膜したときの処理基板の横方向に沿った膜厚の分布を示すグラフ。 【符号の説明】 【0051】 1 マグネトロンスパッタリング装置 4 スパッタ電極 41 ターゲット 42 バッキングプレート 7 反り矯正手段 S 処理基板
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| 【出願人】 |
【識別番号】000231464 【氏名又は名称】株式会社アルバック
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| 【出願日】 |
平成17年8月18日(2005.8.18) |
| 【代理人】 |
【識別番号】110000305 【氏名又は名称】特許業務法人エクシオ
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| 【公開番号】 |
特開2007−51337(P2007−51337A) |
| 【公開日】 |
平成19年3月1日(2007.3.1) |
| 【出願番号】 |
特願2005−237505(P2005−237505) |
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