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【発明の名称】 |
皮革材 |
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【氏名】坂根 智昭 【氏名】奥山 裕司 |
【課題】耐摩耗性を確保するとともにソフト感を維持して触感を向上させた皮革材を提供すること。
【解決手段】天然皮革又は合成皮革に高分子材料層を被覆して成る皮革材であって、 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 天然皮革又は合成皮革に高分子材料層を被覆して成る皮革材であって、 該高分子材料層は、シリコン系共重合体を含有し、歪みが20%のときの応力が2.4MPa以下、且つ歪みが100%のときの応力が3.5MPa以上であることを特徴とする皮革材。 【請求項2】 天然皮革又は合成皮革は、歪みが20%のときの応力が25MPa以下であることを特徴とする請求項1に記載の皮革材。 【請求項3】 上記シリコン系共重合体がポリジメチルシロキサン系共重合体であることを特徴とする請求項1又は2に記載の皮革材。 【請求項4】 上記高分子材料層が、更にポリカプロラクトンを含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つの項に記載の皮革材。 【請求項5】 上記高分子材料層が、更にポリシロキサンを含有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つの項に記載の皮革材。 【請求項6】 上記高分子材料層が、平均粒径10μm以下のパウダーを含んでいることを特徴トス売る請求項1〜5のいずれか1つの項に記載の皮革材。 【請求項7】 上記パウダーの硬さが40μm以上であることを特徴とする請求項6に記載の皮革材。 【請求項8】 上記高分子材料層の厚さが100μm以下であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1つの項に記載の皮革材。
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【発明の詳細な説明】【技術分野】 【0001】 本発明は、皮革材に係り、更に詳細には、例えば、自動車用のステアリング、シート、ドア、インパネ、アシストグリップ、グリップ類などに好適に用いることができる皮革材に関する。 【背景技術】 【0002】 一般に、自動車に用いられるステアリング、シート、ドア、インパネ、アシストグリップ、グリップ類などの皮革材は本革単体の上に高分子材料を塗布した表面処理層が設けられている(例えば、特許文献1参照。)。 【特許文献1】特開昭61−211400号公報 【0003】 一方、従来から、皮革材には、触感を良くすることが求められており、その方策としては高分子材料の膜厚を薄くすることや、高分子材料を塗布しないことが考えられる。 【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】 【0004】 しかし、かかる皮革材では、耐摩耗性を充分に確保できないという問題点があった。また、耐摩耗性以外にも耐光性や色移り(衣類等へ本革の色が付着する)等も確保できないという問題点があった。 【0005】 本発明は、このような従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、耐摩耗性を確保するとともにソフト感を維持して触感を向上させた皮革材を提供することにある。 【課題を解決するための手段】 【0006】 本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、シリコン系共重合体を含み応力を調製した高分子材料層を用いることにより、上記課題が解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。 【0007】 即ち、本発明の皮革材は、天然皮革又は合成皮革に高分子材料層を被覆して成る皮革材であって、 該高分子材料層は、シリコン系共重合体を含有し、歪みが20%のときの応力が2.4MPa以下、且つ歪みが100%のときの応力が3.5MPa以上であることを特徴とする。 【0008】 また、本発明の皮革材の好適形態は、天然皮革又は合成皮革は、歪みが20%のときの応力が25MPa以下であることを特徴とする。 【0009】 更に、本発明の皮革材の他の好適形態は、上記シリコン系共重合体がポリジメチルシロキサン系共重合体であることを特徴とする。 【0010】 更にまた、本発明の皮革材の更に他の好適形態は、上記高分子材料層が、更にポリカプロラクトンやポリシロキサンを含有することを特徴とする。 【発明の効果】 【0011】 本発明によれば、シリコン系共重合体を含み応力を調製した高分子材料層を用いることとしたため、耐摩耗性を確保するとともにソフト感を維持して触感を向上させた皮革材を提供することができる。 【発明を実施するための最良の形態】 【0012】 以下、本発明の皮革材について詳細に説明する。なお、本明細書において「%」は、特記しない限り質量百分率を示す。 【0013】 上述の如く、本発明の皮革材は、天然皮革又は合成皮革に高分子材料層を被覆して成る。 この高分子材料層は、シリコン系共重合体を含有し、歪みが20%のときの応力が2.4MPa以下、且つ歪みが100%のときの応力が3.5MPa以上である。 【0014】 このように、高分子材料層の歪みの大きさに対する応力を規定したことにより、触感、耐摩耗性に優れる皮革材となる。また、耐光性に優れ、色移りも抑制される。 例えば、図1に示すように、パウダー3を分散させた高分子材料層2を皮革単体1に被覆して皮革材とすることができる。 【0015】 なお、歪み20%時の応力が2.4MPaより大きくなると触感が悪くなり、歪み100%時の応力が3.5MPa未満であると耐摩耗性が悪くなる。 【0016】 ここで、本発明の皮革材において、高分子材料層が被覆される天然皮革又は合成皮革は、特に限定されないが、代表的には以下のものを使用できる。 天然皮革としては、例えば、牛皮、馬皮、豚皮などが挙げられる。 【0017】 また、天然皮革又は合成皮革は、それ自体が、歪み20%時の応力が25MPa以下であることが好適である。 25MPaより大きくなると皮革単体が硬すぎるため、高分子材料層を表面に施しても触感が悪くなり易い。 【0018】 一方、上記高分子材料層が含有するシリコン系共重合体としては、ポリジメチルシロキサン系共重合体を使用することが好適である。 【0019】 上記ポリジメチルシロキサン系共重合体は、ポリジメチルシロキサン部分と、ビニルモノマーの合体鎖部分とを有する共重合体であり、ブロック共重合体であってもよいし、グラフト共重合体であってもよい。 【0020】 ポリジメチルシロキサン系ブロック共重合体は、(1)リビング重合法、(2)高分子開始剤法、(3)高分子連鎖移動法等によって合成することができる。 工業的には、(2)高分子開始剤法又は(3)高分子連鎖移動法により合成するのが好ましい。 【0021】 具体的には、(2)高分子開始剤法では、高分子アゾ系ラジカル重合開始剤を使用してビニルモノマーと共重合させることにより、効率良くブロック共重合体を合成することができる。 また、ペルオキシモノマーと不飽和基を有するポリジメチルシロキサンとを低温で共重合させて、過酸化物基を側鎖に導入したプレポリマーを合成し、該プレポリマーをビニルモノマーと共重合させる二段階の重合を行うこともできる。 (3)高分子連鎖移動法では、シリコーンオイルに、HS−CH2COOHや、HS−CH2CH2COOH等を付加してSH基を有するシリコーン化合物とした後、該SH基の連鎖移動を利用して該シリコーン化合物とビニルモノマーとを共重合させることにより、ブロック共重合体を合成することができる。 【0022】 ポリジメチルシロキサン系グラフト共重合体は、ポリジメチルシロキサンのメタクリルエステル等とビニルモノマーとを共重合させることにより、容易に且つ収率良くグラフト共重合体を合成することができる。 【0023】 かかるビニルモノマーとしては、例えば、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、オクチルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、ステアリルメタクリレート、ラウリルメタクリレート、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、スチレン、α−メチルスチレン、アクリルニトリル、メタクリロニトリル、酢酸ビニル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、アリルグリシジルエーテル、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、シトラコン酸、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート、N,N−ジエチルアミノメタクリレート、ジアセトンアクリルアミド等が挙げられる。 また、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、アリルアルコール等のOH基を有するビニルモノマーを用いることもできるし、カージュラEとアクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸等との反応物を用いることもできる。 なお、本発明のポリジメチルシロキサン系共重合体は、これらビニルモノマーを原料としたものに限定されるものではない。 【0024】 また、上記高分子材料層には、更にポリカプロラクトンやポリシロキサンを含有することができる。これら各々は、上述のポリジメチルシロキサン系共重合体の骨格に導入されていてもよいし、高分子材料層中で個別に存在していてもよい。 【0025】 上記ポリカプロラクトンとしては、例えば、2官能ポリカプロラクトンジオール類、3官能ポリカプロラクトントリオール類、その他4官能ポリカプロラクトンポリオール等を使用することができる。 これらポリカプロラクトンをポリジメチルシロキサン系共重合体の骨格に導入する場合には、ラクトン変成ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート類を使用するのが好ましい。 【0026】 上記ポリシロキサンとしては、例えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトキエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン等の加水分解性シリル基を有するシラン化合物の部分加水分解物や、有機溶媒中に無水ケイ酸の微粒子を安定に分散させたオルガノシリカゾル、又は該オルガノシリカゾルにラジカル重合性を有する上記シラン化合物を付加させたもの等を使用することができる。 なお、ポリカプロラクトンやポリシロキサンは、上記例示に限定されるものではない。 【0027】 更に、上記高分子材料層には、触感をより向上させる観点から、平均粒径が10μm以下のパウダーを添加することができる。 パウダーの平均粒径が10μmより大きくなるとパウダーの脱落等により耐摩耗性が悪くなり易い。 【0028】 上記パウダーの硬さは、40μm以上であることが好適である。硬さが40μmより小さくなるとパウダーの硬さが触感に悪影響を及ぼすことがある。 【0029】 上記パウダーとしては、代表的には、プロテインなどを挙げることができる。 【0030】 更にまた、上記高分子材料層の厚さは、触感をより向上させる観点から、100μm以下、より好ましくは50μm以下とすることが良い。100μmを超える厚さでは、触感が悪くなることがある。 【実施例】 【0031】 以下、本発明を実施例及び比較例により更に詳述するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。 【0032】 (実施例1) ポリジメチルシロキサン系共重合体とポリカプロラクトンを含有しており、該ポリカプロラクトンがポリジメチルシロキサン系共重合体の骨格に導入されている高分子材料を用意した。 この高分子材料100重量部を、トルエン50重量部とメチルエチルケトン(MEK)50重量部とより成る溶剤に希釈し、更に平均粒径5μmのプロテインパウダーを10重量部添加して、高分子材料層用前駆体とした。 この前駆体をスプレーにて天然皮革(牛皮単体)の表層に20μmの厚さで被覆し、80℃で20分間乾燥させて、本例の皮革材を得た。 なお、応力測定方法とパウダーの硬さ測定方法を以下に示す。 【0033】 1.応力測定 牛皮単体の応力、歪み0〜20%のときの最大応力、歪み100%のときの応力を以下の条件で測定した。 測定モード:引張り 試料点数 :11点(合皮4点、本皮7点) 試料寸法 :5mm×1mm×40mm 温度範囲 :−40〜150℃ 昇温速度 :10℃/min 周波数 :10Hz 【0034】 2.パウダーの硬さ測定 超軽荷重薄膜硬度テスタ(Hysitron社製)を用い、以下の条件で測定した。 最大押し込み荷重:20μN 負荷・除苛速度 :16.7μN/sec 使用圧子 :Berkovinch型(三角錐形状) 稜角 :143.2度 先端径 :100〜200nm 【0035】 (実施例2) プロテインパウダーを使用しなかった以外は、実施例1と同様の操作を繰返して、本例の皮革材を得た。 【0036】 (比較例1) ポリジメチルシロキサン系共重合体とポリカプロラクトンを使用しないで、ポリエステルポリオールとヘキサメチレンジイソシアネートとの重合体を用意した。 この重合体100重量部を、トルエン50重量部とメチルエチルケトン(MEK)50重量部とより成る溶剤に希釈し、更に平均粒径5μmのプロテインパウダーを10重量部添加して、高分子材料層用前駆体とした。 この前駆体をスプレーにて天然皮革(牛皮単体)の表層に20μmの厚さで被覆し、80℃で20分間乾燥させて、本例の皮革材を得た。 【0037】 (比較例2) 牛皮単体を用意し、本例の皮革材とした。 【0038】 (比較例3) プロテインパウダーの代わりにフェノール樹脂パウダーを用いた以外は、比較例1と同様の操作を繰返して、本例の皮革材を得た。 【0039】 (性能評価) 各例で得られた皮革材について、触感(官能評価)及び摩耗耐久性を以下の条件及び手順にて測定した。 【0040】 1.摩耗耐久性 装置:テーバー式ロータリーアブレッサ(図2,3参照) 備品:S−11ペーパー 【0041】 ・試験条件 摩耗輪 :CS−10 荷重 :9.8N(但し、アームの重量を含む) 回転速度 :60rpm 回転数 :1000回 吸塵ノズルの高さ:5mm(試料面より)/吸塵力(レベル4) 【0042】 ・試験方法 (1)図2、3に示す試験機を上記試験条件でセットした。 (2)この試験機のテーブルに、図4に示すように試験片を取付けた。 a.テーブルにゴム製の板及び試験片(皮革材)を置いた。 b.中心を止めネジでしっかりと止めた。 c.試験片を固定するための外枠に予めネジをはめた。このときネジを締め付ける強さは、外枠を固定したときに、試験片が強く伸ばされない程度とした。 d.外枠を試験片とターンテーブルに固定し、止めネジをしっかりと締めた。このとき、試験片が過度に伸ばされて、タテ/ヨコのバランスが変化したり、シワがよらないようにした。また、試験中にシワがよったときは、再度、別の試験機で試験を行った。 なお、試験片を固定するための外枠は、試験機により異なる場合がある。重要なことは、試験片を固定した後又は試験中、試験片にシワがよったり、過度に伸ばされて変形したりしないことである。 (3)試験機を動かすと同時に吸塵器も始動させた。 (4)100回転数を終える毎に、試験片を外してエアーブローし、摩耗塵をはらった。 (5)試験片表面の外観を観察異常かないか確認し、表面処理が残っているか未摩耗部と比較した。表面処理が残っていない場合は、試験を終了し、その時点の回転数を記録した。表面処理が残っている場合は1000回まで実施し、再度外観を観察して表面処理が残っている場合はOKとした。 【0043】 2.官能評価 10人のパネラーにより、以下の評点基準で実施し、上下限をカットし8人の平均値を求めた。 【0044】 ・評点基準 5:非常に触感が良い 4:触感が良い 3:どちらでもない 2:触感が悪い 1:触感が非常に悪い 【0045】 【表1】
【0046】 表1より、実施例1の皮革材は、触感が良好であり耐磨耗性も優れていることがわかる。また、実施例2の皮革材は、パウダーを添加していないため実施例1に比べて触感が劣るものの比較例1〜3よりも触感が良好であり、耐磨耗性も十分であった。 【0047】 一方、比較例1及び比較例3の皮革材は、本発明の範囲外の構成であるため、触感が実施例1に比べて劣っていることがわかる。 また、比較例2の皮革材は、高分子材料層を備えていないため、摩耗耐久性が実施例2に比べて劣っていることがわかる。 【図面の簡単な説明】 【0048】 【図1】皮革材の一例を示す断面図である。 【図2】テーバー式ロータリーアブレッサを示す概略図である。 【図3】テーバー式ロータリーアブレッサを示す概略図である。 【図4】試験片の取付け方法を示す概略図である。 【符号の説明】 【0049】 1 皮革 2 高分子材料層 3 パウダー
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| 【出願人】 |
【識別番号】000003997 【氏名又は名称】日産自動車株式会社
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| 【出願日】 |
平成18年4月4日(2006.4.4) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100102141 【弁理士】 【氏名又は名称】的場 基憲
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| 【公開番号】 |
特開2007−277323(P2007−277323A) |
| 【公開日】 |
平成19年10月25日(2007.10.25) |
| 【出願番号】 |
特願2006−102626(P2006−102626) |
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