| 【発明の名称】 |
発泡性アルコール飲料の着色用加工大麦及び着色剤並びに発泡性アルコール飲料の製造方法。 |
| 【発明者】 |
【氏名】中村 剛
【氏名】滝沢 隆一
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| 【要約】 |
【課題】発泡性アルコール飲料に雑味や渋味を加えることなく、また、発泡性アルコール飲料の品質や味を低下させることなく、発泡性アルコール飲料を明るく鮮やかな黄金色に着色できる着色用加工大麦を提供すること。
【解決手段】上記課題を解決するために、加熱により未発芽の大麦種子の胚乳部分を褐色に変色させて得られる、発泡性アルコール飲料の着色用加工大麦を提供する。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 加熱により、未発芽の大麦種子の胚乳部分を褐色に変色させて得られる、発泡性アルコール飲料の着色用加工大麦。 【請求項2】 前記加熱は、180℃〜200℃の加熱である、請求項1記載の着色用加工大麦。 【請求項3】 前記加熱は、大気中よりも低い酸素濃度下の加熱である、請求項1又は2記載の着色用加工大麦。 【請求項4】 前記大気中よりも低い酸素濃度下の加熱は、過熱水蒸気による加熱である、請求項3記載の着色用加工大麦。 【請求項5】 請求項1〜4のいずれか一項記載の着色用加工大麦を含む、発泡性アルコール飲料の着色剤。 【請求項6】 請求項1〜4のいずれか一項記載の着色用加工大麦を、発泡性アルコール飲料の製造過程で添加することを特徴とする、発泡性アルコール飲料の製造方法。
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【発明の詳細な説明】【技術分野】 【0001】 本発明は、発泡性アルコール飲料の着色用加工大麦及び着色剤並びに発泡性アルコール飲料の製造方法に関する。 【背景技術】 【0002】 麦芽を原料とするビール等の発泡性アルコール飲料は、飲用を促すために、明るく鮮やかな黄金色であることが求められている。このため、ビール等の発泡性アルコール飲料の製造過程では、麦芽を焙煎して得られる、カラメル麦芽やミュンヘン麦芽等の濃色麦芽あるいは食品添加物であるカラメル色素等を着色剤として使用し、発泡性アルコール飲料に黄金色を付与している。 【0003】 【非特許文献1】宮地秀夫著、「ビール醸造技術」、1999年、食品産業新聞社、p.191 【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】 【0004】 しかしながら、濃色麦芽やカラメル色素等は、発泡性アルコール飲料に黄金色を付与するだけでなく、それと同時に雑味や渋味を加えてしまう問題点があった。また、濃色麦芽は、高温で焙焦して製造されるため、濃色麦芽中に存在する酵素類は失活し、脂質及び微量栄養素等は酸化しており、これらが原因となって発泡性アルコール飲料の品質や味を低下させる問題点があった。特に、麦芽の使用比率が低い発泡酒においては、全麦芽に対する濃色麦芽の含有比率が高くなるため、この影響はより深刻である。 【0005】 そこで、本発明の目的は、発泡性アルコール飲料に雑味や渋味を加えることなく、発泡性アルコール飲料を明るく鮮やかな黄金色に着色できる着色用加工大麦を提供することにある。本発明の目的はまた、上記着色用加工大麦を含む、発泡性アルコール飲料の着色剤、及び発泡性アルコール飲料の製造過程で上記着色用加工大麦を添加することを特徴とする発泡性アルコール飲料の製造方法、を提供することにある。 【課題を解決するための手段】 【0006】 上記目的を達成するため、本発明は、加熱により未発芽の大麦種子の胚乳部分を褐色に変色させて得られる、発泡性アルコール飲料の着色用加工大麦を提供する。 【0007】 本発明者らは、未発芽の大麦種子を使用して得られた加工大麦のうち、その胚乳部分が褐色になるまで加熱された加工大麦が、特に効果的に発泡性アルコール飲料を明るく鮮やかな黄金色に着色できることを見出した。本発明の着色用加工大麦を使用すれば、一定量の麦芽を含有する発泡性アルコール飲料を製造する場合に、発泡性アルコール飲料に麦芽テイストや香味を与える淡色麦芽の含有量を減らすことなく、濃色麦芽やカラメル色素に起因する雑味や渋味が加わるのを防いで、発泡性アルコール飲料を黄金色に着色できる。 【0008】 ここで、発泡性アルコール飲料とは、ビール又は発泡酒のことをいう。ビールとは、麦芽、ホップ及び水を原料として発酵させたもの又は麦芽、ホップ、水及び麦その他の政令で定める物品(麦、米、とうもろこし、こうりゃん、ばれいしょ、でんぷん、糖類、又は財務省で定める苦味料若しくは着色料)を原料として発酵させたものであって、麦芽使用率が2/3以上であるのものをいい、発泡酒とは、麦芽又は麦を原料の一部とした酒類で発泡性を有する雑酒であって、麦芽使用率が2/3未満であるのものをいう。 【0009】 上記加熱は、180℃〜200℃で行われることが好ましい。 【0010】 未発芽の大麦種子を180℃未満の温度で加熱した加工大麦を使用して得られる発泡性アルコール飲料の色は、黄方向の色相が弱くなり、200℃を超える温度で加熱した加工大麦を使用して得られる発泡性アルコール飲料の色は、赤方向の色相が強く、かつ、明度が弱くなるところ、180℃以上200℃以下の温度で加熱した加工大麦を使用して得られた発泡性アルコール飲料の色は、カラメル麦芽を使用して得られた発泡性アルコール飲料の色と同等の色相を示し、発泡性アルコール飲料に明るく鮮やかな黄金色を付与できる。また、未発芽の大麦種子を180℃以上200℃以下の温度で加熱した加工大麦を使用して発泡性アルコール飲料を製造すると、発泡性アルコール飲料に雑味や渋味を加えることなく、香ばしさや切れ味を加え、味の面でも飲用を促すことができる。 【0011】 上記加熱は、大気中よりも低い酸素濃度下の加熱であることが好ましく、過熱水蒸気による加熱であることがより好ましい。 【0012】 大気中よりも低い酸素濃度で未発芽の大麦種子を加熱すると、この大麦種子中に存在する脂質やビタミン類の栄養素等の酸化を防ぐことができるため、これらの加工大麦を使用して得られる発泡性アルコール飲料は、カラメル麦芽を使用して得られる発泡性アルコール飲料と比較して、味の面だけでなく飲用者の健康面でも優れたものとなる。さらに、過熱水蒸気で未発芽の大麦種子を加熱した場合には、過熱水蒸気が大麦種子中に充満し、大麦種子中の酸素が外部に追い出されるため、大麦種子中に存在する脂質やビタミン類の栄養素等の酸化をより効率的に防ぐことができ、発泡性アルコール飲料の品質と味の両面に貢献できる。 【0013】 また、本発明は、上記着色用加工大麦を含む、発泡性アルコール飲料の着色剤、及び上記着色用加工大麦を発泡性アルコール飲料の製造過程で添加することを特徴とする発泡性アルコール飲料の製造方法、を提供する。 【0014】 上記発泡性アルコール飲料の着色剤及び製造方法は、発泡性アルコール飲料に、カラメル麦芽を使用して得た発泡性アルコール飲料と同等の明るく鮮やかな黄金色を与えることができる。また、この着色剤又はこの製造方法を使用して発泡性アルコール飲料を製造すれば、発泡性アルコール飲料に雑味や渋味を加えることなく香ばしさや切れ味を加え、味の面でも飲用を促すことができる。 【発明の効果】 【0015】 本発明によれば、発泡性アルコール飲料に雑味や渋味を加えることなく、また、濃色麦芽中の失活した酵素類や酸化物等の影響で発泡性アルコール飲料の品質や味を低下させることなく、発泡性アルコール飲料を明るく鮮やかな黄金色に着色できる。また、本発明によれば、淡色麦芽に起因する麦芽テイストや香気を損なうことなく、濃色麦芽に起因する雑味や渋味を抑制し、かつ、着色用加工大麦に起因する香ばしさや切れ味を加え、大麦種子中に存在する脂質やビタミン類の栄養素等の酸化を防いで、品質と味の両面に優れた発泡性アルコール飲料を提供できる。 【発明を実施するための最良の形態】 【0016】 本発明の発泡性アルコール飲料の着色用加工大麦は、未発芽の大麦種子の胚乳部分を褐色に変色させて得ることを特徴としている。まず、この発泡性アルコール飲料の着色用加工大麦について説明する。 【0017】 大麦は、いずれの大麦品種であってもよいが、例えば、りょうふう、スカーレット、バルケ等の品種が好ましく使用できる。また、本発明で使用する大麦種子は、未発芽の大麦種子であって、麦芽は含まれない。 【0018】 未発芽の大麦種子の加熱は、大麦種子が焦げることのないように焙煎し、大麦種子中の水分を蒸発させる必要があるが、高温熱風又は過熱水蒸気を用いて加熱することが好ましく、過熱水蒸気を用いて加熱することがより好ましい。高温熱風による加熱は、例えば、熱風発生装置、熱風乾燥機又は一般のオーブンレンジの高温空気等を用いて行うことができ、過熱水蒸気による加熱は、過熱水蒸気発生装置、例えば、過熱蒸気食品加熱装置(株式会社でんそく)を用いて行うことができる。ここで、過熱水蒸気とは、水蒸気をさらに加熱し、常圧で100℃以上の高温状態にして得られる無色透明の気体のことをいう。過熱水蒸気で未発芽の大麦種子を加熱すると、大麦種子中の酸素が外部に追い出されるため、大麦種子中に存在する脂質やビタミン類を含む栄養素等の酸化をより効率的に抑制できる。 【0019】 また、未発芽の大麦種子の加熱は、胚乳部分が褐色に変色するまで加熱することが必要であり、加熱による胚乳部分の変色は、黄褐色〜茶褐色が好ましく、茶褐色がより好ましい。尚、本発明では、加熱により胚乳の少なくとも一部が加熱前に比べて変色していれば「褐色に変色した」と判断する。 【0020】 未発芽の大麦種子の加熱は、160℃以上220℃以下で15分以上1時間30分以内行えばよく、160℃以上200℃以下で20分以上55分以内が好ましく、180℃以上200℃以下で30分以上45分以内がより好ましい。 【0021】 上記の発泡性アルコール飲料の着色用加工大麦は、本発明の発泡性アルコール飲料用の着色剤として使用できる。この着色剤は、上記の着色用加工大麦そのものであってもよく、着色用加工大麦を粉砕して、顆粒状又は粉末状にしたものであってもよく、他に食品添加物等を含んでいてもよい。食品添加物としては、酸化防止剤、増粘安定剤、保存料、香料、着色料等が挙げられる。 【0022】 次に、本発明の発泡性アルコール飲料の製造方法について説明する。 【0023】 本発明の発泡性アルコール飲料の製造方法は、発泡性アルコール飲料の製造過程で上記の着色用加工大麦を添加することを特徴としている。例えば、ビール等の麦芽を主原料とする発泡性アルコール飲料の製造方法は、糖化工程、発酵工程、濾過工程を備えており、糖化工程において、麦芽、必要な副原料及び水に本発明の着色用加工大麦を加えて糖化処理を行えばよい。着色用加工大麦は、麦芽と混合した後に粉砕することが好ましく、その後、得られた粉砕物は、必要な副原料と水を加え、60〜70℃で糖化することが好ましい。こうして得られた麦汁に、ホップを加えて煮沸し、冷却後に酵母を添加して発酵させ(発酵工程)、得られた発泡性アルコール飲料中間品を濾過すれば(ろ過工程)、明るく鮮やかな黄金色の発泡性アルコール飲料を製造できる。尚、本発明の着色用加工大麦の添加量は、目的とする黄金色の濃淡又は明暗の程度により、自由に増減することができるが、水を除く原料中の着色用加工大麦の含有量は、重量比で1%〜10%が好ましく、2%〜5%がより好ましく、3%〜3.5%がさらに好ましい。 【実施例】 【0024】 以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。 【0025】 1)加工大麦の製造 (実施例1〜4) 未発芽の大麦種子(品種りょうふう)を200gずつ量り取り、それぞれ160、180、200及び220℃で、30分間、過熱水蒸気で加熱して、実施例1〜4の加工大麦を得た。過熱水蒸気による加熱には、株式会社でんそくの過熱蒸気食品加熱装置を用いた。得られた加工大麦は、それぞれ加工大麦1〜4とし、それぞれの特徴を表1に示した。 【0026】 【表1】
【0027】 (実施例5〜6) 未発芽の大麦種子(品種りょうふう)を200gずつ量り取り、それぞれ180及び200℃で、45分間、過熱水蒸気で加熱して、実施例5及び6の加工大麦を得た。得られた加工大麦は、それぞれ加工大麦5及び6とした。 【0028】 2)麦汁の製造 (麦汁1〜6) 次に、上記で得られた加工大麦1〜6を使って、以下の手順で麦汁を調製した。まず、30gの加工大麦に、重量比1:1の割合で淡色麦芽(品種りょうふう)を加えて混合し、0.7mm程度の大きさになるようにDLFUディスクミル(ビューラーミアク社)で粉砕した。その後、この粉砕物の50gを糖化用ビーカーに量り取り、そこに46℃の蒸留水を200mL加え、30分間、45℃の糖化槽で撹拌し、1分間に1℃ずつ温度を上昇させて25分後に70℃になるように加温した。70℃になった時点で、70℃のお湯を100mL加え、60分間、70℃で撹拌し、引き続き、10〜15分間で室温になるように冷却した。撹拌棒についた付着物は、少量の蒸留水で洗い落とし、引き続き蒸留水を加えて内容物の重量を450gにし、濾過(No.2濾紙、ADVANTEC社)後の液体を麦汁とした。得られた麦汁は、それぞれ麦汁1〜6とした。 【0029】 3)麦汁の色度及び色彩の測定 まず、麦汁の色度及び色彩に及ぼす加工大麦の加熱温度の影響を調べるために、加工大麦1〜4を使用して得られた麦汁1〜4の色度及び色彩を、以下の方法で調べた。コントロールには、加工大麦の代わりにカラメル麦芽(ワイスハイマー社)を使用して得られた麦汁(比較麦汁1)、及び加工大麦等を加えずに淡色麦芽60gのみを使用して得られた麦汁(比較麦汁2)を用いた。 【0030】 各麦汁の色度は、欧州ビール醸造者団体が定めたEBC(European Brewery Convention)標準法に基づき、430nmの吸光度(E430)を求めて、色度=E430×25の式から算出した。 【0031】 各麦汁の色彩は、コニカミノルタ社の分光測色計CM−3600αを用い、L*a*b*表色系で数値化した。L*a*b*表色系では、明度をL*、色度をa*及びb*で表し、L*が大きくなると明るい色、L*が小さくなると暗い色、a*が正の方向に大きくなると赤方向の色相、a*が負の方向に大きくなると緑方向の色相、b*が正の方向に大きくなると黄方向の色相、b*が負の方向に大きくなると青方向の色相であることを示す。 【0032】 表2は、160、180、200及び220℃で、30分間、過熱水蒸気で加熱した加工大麦(加工大麦1〜4)をそれぞれ使用して得られた麦汁1〜4の色度及び色彩を数値化したものであり、図1は色度を、図2は色彩をそれぞれグラフ化したものである。 【0033】 【表2】
【0034】 その結果、麦汁1〜4はいずれも、淡色麦芽のみを使用して得られた麦汁(比較麦汁2)と比較して顕著に高い色度を示した。しかしながら、220℃で加熱した加工大麦を使用して得られた麦汁4は、カラメル麦芽を使用して得られた麦汁(比較麦汁1)と比較して色度が約3倍高く、色彩についても赤方向の色相が強く、明度が低いものであった。また、160℃で加熱した加工大麦を使用して得られた麦汁1は、比較麦汁1とほぼ同等の色彩であるものの、色度は約14倍低いものであった。 【0035】 麦汁1〜4と比較麦汁1との色差及び彩度差についても検討すると、麦汁2と比較麦汁1との色差及び彩度差、並びに麦汁3と比較麦汁1との色差及び彩度差は、いずれも3以下であったが、麦汁1と比較麦汁1との色差及び彩度差、並びに麦汁4と比較麦汁1との色差及び彩度差は、いずれも3を超える値であった。色差及び彩度差が3以内の場合には、比較した色同士が肉眼で識別できない程度に近い色であると判断できるため(日本色彩学会編 新色彩科学ハンドブック、東京大学出版会、p.277)、180℃又は200℃で30分間、過熱水蒸気で加熱した加工大麦2及び3は、カラメル麦芽で着色された麦汁の色と同等の色に麦汁を着色できることが判明した。尚、色差及び彩度差は、L*a*b*表色系の色度(a*及びb*)及び明度(L*)を用いて、色差=(ΔL*2+Δa*2+Δb*2)1/2、彩度差=(Δa*2+Δb*2)1/2の式から算出した。 【0036】 次に、麦汁の色度及び色彩に及ぼす加工大麦の加熱時間の影響を調べるために、加工大麦5及び6を使用して得られた麦汁5及び6について、色度及び色彩を調べた。コントロールには、加工大麦の代わりにカラメル麦芽(ワイスハイマー社)を使用して得られた麦汁(比較麦汁3)、及び加工大麦等を加えずに淡色麦芽60gのみを使用して得られた麦汁(比較麦汁4)を用いた。 【0037】 表3は、180℃及び200℃で、45分間、過熱水蒸気で加熱した加工大麦(加工大麦5及び6)をそれぞれ使用して得られた麦汁5及び6の色度と色彩とを数値化したものである。 【0038】 【表3】
【0039】 その結果、麦汁5及び6はいずれも、淡色麦芽のみを使用して得られた麦汁(比較麦汁4)と比較して顕著に高い色度を示し、カラメル麦芽を使用して得られた麦汁(比較麦汁3)と比較すると、200℃で加熱した加工大麦を使用して得られた麦汁6の色度は1.57倍高く、180℃で加熱した加工大麦を使用して得られた麦汁5の色度は1.29倍低いものの、色彩についてはいずれの麦汁もほぼ同等であった。 【0040】 麦汁5及び6と比較麦汁3との色差及び彩度差についても検討すると、麦汁5と比較麦汁3との色差及び彩度差、並びに麦汁6と比較麦汁3との色差及び彩度差は、いずれも3以下であり、両者は肉眼で識別できない程度に近い色であると判断された。このことより、180℃又は200℃で45分間、過熱水蒸気で加熱した加工大麦5及び6は、カラメル麦芽で着色された麦汁の色と同等の色に麦汁を着色できることが判明した。 【0041】 そこで、180℃及び200℃で30分間加熱した加工大麦2及び3を使用して得られた麦汁2及び3の色度及び色彩と、180及び200℃で45分間加熱した加工大麦5及び6を使用して得られた麦汁5及び6の色度及び色彩とについて比較した。図3は、色度について比較したグラフであり、図4は、色彩について比較したグラフである。 【0042】 その結果、麦汁5の色度は、麦汁2の色度と比較して約1.4倍高く、麦汁6の色度は、麦汁3の色度と比較して約1.2倍高いもののであったが、色彩については、いずれもほぼ同等であり、加工大麦の加熱温度の違いによる影響は認められなかった。 【0043】 4)発泡酒の製造 過熱水蒸気で加熱した加工大麦を使用して製造した発泡酒、及びカラメル麦芽(ワイスハイマー社)を使用して製造した発泡酒、の色度、色彩及び香味(特に、香ばしさと雑味・渋味)を比較するため、以下の手順で実施例7及び比較例1の発泡酒を製造した。 (実施例7) まず、180℃で45分間、過熱水蒸気で加熱した実施例5の加工大麦を、淡色麦芽に加えて混合して粉砕し、そこに適量のお湯を加え、50℃、65℃、70℃の温度条件で10分ずつ順次加温して糖化した。その後、得られた麦汁を濾過し、糖類とホップを加えて60〜90分間煮沸し、10℃まで自然に冷却した後に酵母を加え、10〜15℃で7〜10日間発酵させた。発酵終了後は、−1℃で2〜3週間熟成させ、得られた発酵物を実施例7の発泡酒とした。 【0044】 (比較例1) 実施例5の加工大麦の代わりに、カラメル麦芽(ワイスハイマー社)及び未処理の大麦(品種りょうふう)を淡色麦芽に加えて混合したこと以外は実施例7と同様にして、比較例1の発泡酒を得た。 【0045】 表4は、実施例7の発泡酒及び比較例1の発泡酒の製造に使用した原料(淡色麦芽、カラメル麦芽、実施例5の加工大麦、未処理の大麦、糖類及びホップ)及びその配合比(重量%;水を除く原料の重量に対する割合)を示したものである。 【0046】 【表4】
【0047】 表5は、実施例7の発泡酒及び比較例1の発泡酒の色度及び色彩を数値化したものである。 【0048】 【表5】
【0049】 その結果、実施例5の加工大麦を使用して製造した発泡酒(実施例7)の色度及び色彩は、加工大麦の代わりにカラメル麦芽を使用して製造した発泡酒(比較例1)の色度及び色彩とほぼ同じであり、両者の色はいずれも明るく鮮やかな黄金色であった。 【0050】 表6は、実施例7の発泡酒と比較例1の発泡酒について、官能検査を行った結果を示したものである。 【0051】 【表6】
【0052】 官能検査は、健常成人7人に、実施例7の発泡酒及び比較例1の発泡酒をそれぞれ盲目的に試飲させ、i)香ばしさ、及びii)雑味・渋味について、5段階で評価した。香ばしさの評価は、香ばしさが強いと感じた場合に5とし、普通と感じた場合に3とし、弱いと感じた場合に1とし、雑味・渋味の評価は、雑味・渋味が弱いと感じた場合に5とし、普通と感じた場合に3とし、強いと感じた場合に1とし、それぞれ7人の平均値で評価した。 【0053】 その結果、カラメル麦芽を使用して製造した発泡酒(比較例1)は、香ばしさが1.9で、雑味・渋味が3.0であるところ、実施例5の加工大麦を使用して製造した発泡酒(実施例7)は、香ばしさが4.4で、雑味・渋味が3.9であり、香ばしさ及び雑味・渋味の両面において、実施例7の発泡酒が優れていた。尚、数値化はされなかったが、実施例7の発泡酒は、切れが良好で、かつ、スムーズ感も認められるという意見が数人から認められたが、比較例1の発泡酒では、そのような意見はなかった。 【図面の簡単な説明】 【0054】 【図1】各温度で30分間、過熱水蒸気で加熱した加工大麦を使用して得られた麦汁の色度を比較した図である。 【図2】各温度で30分間、過熱水蒸気で加熱した加工大麦を使用して得られた麦汁の色彩を比較した図である。 【図3】180℃又は200℃で30分間、過熱水蒸気で加熱した加工大麦をそれぞれ使用して得られた麦汁の色度と、180℃又は200℃で45分間、過熱水蒸気で加熱した加工大麦をそれぞれ使用して得られた麦汁の色度とを比較した図である。 【図4】180℃で45分間、過熱水蒸気で加熱した加工大麦を使用して得られた麦汁の色彩と、200℃で45分間、過熱水蒸気で加熱した加工大麦を使用して得られた麦汁の色彩とを比較した図である。
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| 【出願人】 |
【識別番号】303040183 【氏名又は名称】サッポロビール株式会社
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| 【出願日】 |
平成18年5月10日(2006.5.10) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100088155 【弁理士】 【氏名又は名称】長谷川 芳樹
【識別番号】100092657 【弁理士】 【氏名又は名称】寺崎 史朗
【識別番号】100128381 【弁理士】 【氏名又は名称】清水 義憲
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| 【公開番号】 |
特開2007−300843(P2007−300843A) |
| 【公開日】 |
平成19年11月22日(2007.11.22) |
| 【出願番号】 |
特願2006−131884(P2006−131884) |
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