| 【発明の名称】 |
マイシェ製造のための仕込原料液導入方法およびマイシェ製造装置 |
| 【発明者】 |
【氏名】若浦 誠
【氏名】武 好美
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| 【要約】 |
【課題】今まで使用されてきているマイシェ製造装置を少々改造するだけで、トランス−2−ノネナールおよび/またはその前駆体の発生が非常に少ないマイシェ製造のための仕込原料液導入方法およびマイシェ製造装置の提供。
【解決手段】麦芽および水を含む仕込原料液を仕込槽中に供給するに先立ち、仕込原料液中の水の1部を温度35〜60℃の温水としてあらかじめ仕込槽に張込んでおき、その後仕込原料液供給用パイプの先端を可及的に低くした状態で仕込原料液を供給することを特徴とするマイシェ製造のための仕込原料液導入方法およびマイシェ製造装置。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 麦芽および水を含む仕込原料液を仕込槽中に供給するに先立ち、仕込原料液中の水の1部を温度35〜60℃の温水としてあらかじめ仕込槽に張込んでおき、その後仕込原料液供給用パイプの先端を可及的に低くした状態で仕込原料液を供給することを特徴とするマイシェ製造のための仕込原料液導入方法。 【請求項2】 仕込槽中にあらかじめ供給しておく温水の量は仕込槽の底面に設けられている撹拌機のプロペラが水没し、プロペラが回転してもプロペラが空気にふれることがない量である請求項1記載のマイシェ製造のための仕込原料液導入方法。 【請求項3】 仕込原料液の温度が仕込槽にあらかじめ張込んである温水とほぼ同じ温度である請求項1または2記載のマイシェ製造のための仕込原料液導入方法。 【請求項4】 仕込槽、仕込槽の底に取り付けられた撹拌機、および仕込原料液供給用パイプの吐出口が前記撹拌機に接触しない範囲で可及的に接近して設けられた仕込原料液供給用パイプを有することを特徴とするマイシェ製造装置。 【請求項5】 前記吐出口の吐出方向が垂直方向に対して30〜60°の方向である請求項4記載のマイシェ製造装置。 【請求項6】 加熱手段が撹拌機のすぐ上の仕込槽側壁に付設されている場合、前記吐出口が該加熱手段の上に接して、または近接して設けられている請求項4または5いずれか記載のマイシェ製造装置。 【請求項7】 あらかじめ温水が張込まれる位置と同じか、それともそれより低い位置に前記吐出口を持つようにしたものである請求項4または5いずれか記載のマイシェ製造装置。
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【発明の詳細な説明】【技術分野】 【0001】 本発明は、ビールの製造における仕込工程、すなわちマイシェ製造工程において、仕込槽に仕込原料液を導入する方法およびマイシェ製造装置に関する。 【背景技術】 【0002】 ビールや発泡酒などのアルコール飲料は、時間の経過や温度上昇に伴って酸化が促進され、製品の老化・劣化が進行する。老化・劣化した製品は飲食品本来の香味が失われ、品質が低下し、製品としての価値がなくなる。このような老化・劣化を防止するために種々の工夫がなされているが、製造工程においては、工程中の原料、半製品、および製品の溶存酸素による酸化の防止が行われている(特許文献1)。 ビールなどの麦芽を原料とするアルコール飲料では、仕込工程中の蛋白質分解および糖化工程において溶存酸素の影響をもっとも受け易く、とくに糖化工程の開始直後に近い時間帯ほど溶存酸素の影響を受け易い。そして、溶存酸素濃度低減のための工夫としては、仕込水に炭酸ガスや窒素ガスを吹き込んだ脱気水を用いることが行われている(特許文献2)。 【0003】 また、原料の脂質、脂肪酸に由来して麦汁調製過程で酵素的、非酵素的な両面の酸化を受けて、トランス−2−ノネナールの前駆体(ヒドロキシド誘導体)が形成され、これがさらに酸化的分解を経てトランス−2−ノネナールに変化し、これが劣化臭の原因になるので、発酵麦芽飲料の製造における仕込麦汁の濾過工程において、カルシウム塩類および有機酸を含む二番搾り用温水を用いて溶出したり、濾過槽内の温度を70℃以下に低下させることができる二番搾り用温水を用いて溶出したりすることなどにより、全濾過麦芽中のトランス−2−ノネナールの含有量を低減させることが提案されている(特許文献3)。 【0004】 一方、本出願人は先に、原料と仕込水とを混合してマイシェを形成した後、仕込槽に投入する前の段階で脱気を行い、マイシェ中の溶存酸素濃度を低減させる方法と装置を提案している(特許文献4)。 【0005】 しかし、炭酸ガスなどのガスを水中に吹き込んで水を処理するためには、それ相当の装置を作るための費用と炭酸ガスなどを購入するための費用を必要とする。 そのため、最近の新しい設備の設置に当たっては、特許文献4にみられるように、従来、仕込槽に原料と水を供給するに当たっては、原料と水を仕込槽の上方から供給していたものを、仕込槽の下方から供給するように変更することにより、供給に伴う空気中の酸素の取り込みをできるだけ少なくすることが考えられている。しかし、一方では従来型の仕込槽を利用したいという要望も非常に強いものがある。 【0006】 【特許文献1】特開昭62−294482号公報 【特許文献2】特開2000−004866号公報 【特許文献3】再公表特許WO01/085899号公報 【特許文献4】特開2004−113018号公報 【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】 【0007】 本発明の目的は、今まで使用されてきているマイシェ製造装置を少々改造するだけで、トランス−2−ノネナールおよび/またはその前駆体の発生が非常に少ないマイシェ製造のための仕込原料液導入方法およびマイシェ製造装置に関する。 【課題を解決するための手段】 【0008】 本発明の第1は、麦芽および水を含む仕込原料液を仕込槽中に供給するに先立ち、仕込原料液中の水の1部を温度35〜60℃、好ましくは50〜60℃の温水としてあらかじめ仕込槽に張込んでおき、その後仕込原料液供給用パイプの先端を可及的に低くした状態で仕込原料液を供給することを特徴とするマイシェ製造のための仕込原料液導入方法に関する。 本発明の第2は、仕込槽中にあらかじめ供給しておく温水の量は仕込槽の底面に設けられている撹拌機のプロペラが水没し、プロペラが回転してもプロペラが空気にふれることがない量である請求項1記載のマイシェ製造のための仕込原料液導入方法に関する。 本発明の第3は、仕込原料液の温度が仕込槽にあらかじめ張込んである温水とほぼ同じ温度である請求項1または2記載のマイシェ製造のための仕込原料液導入方法に関する。 本発明の第4は、仕込槽、仕込槽の底に取り付けられた撹拌機、および仕込原料液供給用パイプの吐出口が前記撹拌機に接触しない範囲で可及的に接近して設けられた仕込原料液供給用パイプを有することを特徴とするマイシェ製造装置に関する。 本発明の第5は、前記吐出口の吐出方向が垂直方向に対して30〜60°、好ましくは40〜50°の方向である請求項4記載のマイシェ製造装置に関する。 本発明の第6は、加熱手段が撹拌機のすぐ上の仕込槽側壁に付設されている場合、前記吐出口が該加熱手段の上に接して、または近接して設けられている請求項4または5いずれか記載のマイシェ製造装置に関する。 本発明の第7は、あらかじめ温水が張込まれる位置と同じか、それともそれより低い位置に前記吐出口を持つようにしたものである請求項4または5いずれか記載のマイシェ製造装置に関する。 【0009】 発酵麦芽飲料の製造工程は、通常行われている製造工程であれば、いずれの工程であってもよい。以下に好ましい具体的な製造工程を図1を参照して説明する。 【0010】 主原料である麦芽の粉砕物の一部及び必要に応じて澱粉質の副原料の全部又は一部を仕込釜に入れ、温水を加えてこれらの原料を混合して液化を行い、マイシェを作る。この操作は通常、開始時の液温を50℃程度とし、除々に昇温して所定温度(通常は65〜68℃)とした後、該温度に所定時間(通常は10分間程度)保持し、更に昇温して段階的に所定の温度(通常は90〜100℃)まで液温を高め、この温度に20分程度保持する。一方、本発明にかかるマイシェ製造装置に相当する仕込槽内では、残りの麦芽粉砕物に温水を加えて混合し、所定温度(通常は35〜50℃)で所定時間(通常は20〜90分間程度)保持してマイシェを作った後、これに前記仕込釜のマイシェを仕込槽中のマイシェに加えて合一する。次に、このマイシェを仕込槽中において所定温度(通常は60〜68℃)で所定時間(通常は30〜90分間程度)保持して麦芽中に含まれる酵素あるいは添加した酵素の作用による糖化を行う(図1はここまでの工程を示している)。 糖化工程終了後、麦汁濾過槽で濾過を行い、濾液としての透明な麦汁を得る。 次いで、この麦汁を煮沸釜に移し、ホップ(ホップペレット、ホップエキス等)を加えて煮沸する。煮沸した麦汁をワールプールと称する槽に入れて、沈殿により生じた蛋白質等の粕を除去する。次いで、プレートクーラーにより適切な発酵温度(通常は8〜10℃)まで冷却してから発酵タンクに移す。発酵タンクに冷麦汁を入れ、該麦汁に酵母を接種して発酵を行う。次いで、得られた発酵液を熟成(後発酵)させた後、濾過により酵母及び蛋白質を除去して目的の発酵麦芽飲料をえることができる。 【0011】 本発明では、仕込槽に原料を供給するに先立ち、あらかじめ仕込槽中に一定量の温水を入れておく手段を採用している。 仕込槽中にあらかじめ一定量の温水を張り込んでおく理由は、(1)水よりも温水の方が溶存酸素が少ないこと、(2)仕込槽中の原料はいずれ仕込温度まで上げる必要があるので、水を張込んでおくより、温水を張込んでおいた方が効率がよいこと、(3)原料供給口と液表面との間隔を小さくすること、できれば原料供給口が液面より下に存在することにより、原料液の供給に伴う空気巻き込みを極力、小さくすることなどを挙げることができる。 【0012】 仕込槽にあらかじめ張込んでおく温水の量は、仕込槽の底部に設けられた撹拌機が完全に水没する量であることが好ましい。撹拌機のプロペラがあらかじめ張込んだ温水の水面より上に出てしまうと、撹拌機の回転によりプロペラが空気を温水中に巻き込む可能性が高まるからである。 この温水の量に加えて、ここに供給される麦芽粉末と水(温水)を含む麦芽懸濁液(仕込原料液)の合計量が、一回の仕込槽における原料懸濁液となるのである。この原料懸濁液における麦芽粉末と水(温水)との量的関係は、本発明においても従来からの仕込槽における麦芽粉末と水(温水)との量的関係と何ら変わるものではない。また、麦芽粉末とともに澱粉質などの副原料を使用することができることも、従来技術と何ら異なるものではない。 【0013】 あらかじめ張込んでおく温水の温度は、通常35〜60℃、好ましくは50〜60℃であり、ここに供給される麦芽懸濁液の温度は、通常35〜60℃、好ましくは50〜60℃である。 【0014】 仕込原料液供給用パイプの先端部すなわち吐出口は、あらかじめ張込んである温水の水面下であることが好ましい。少なくとも吐出口が可及的に水面に近い位置にあることが大切である。これにより、原料懸濁液中に巻き込まれる空気の量を可及的に少なくすることができる。 【0015】 本発明のマイシェ製造装置の代表的な構成例を図2〜9に示す。 図2〜6は、仕込槽の側壁から温水中に張り出した形で加熱手段が設けられているケースであり、その直下に撹拌手段が設けられているものであり、図7〜9は加熱手段が仕込槽側壁に内蔵されているケースを示す。 【0016】 図2〜4のケースは、加熱手段の存在が邪魔になって仕込原料液供給用パイプの先端が加熱手段より下部まで延ばすことができず、あらかじめ仕込槽中に張り込まれている温水の表面に前記パイプ先端が接触または埋没することが困難な場合もあるケースである。しかし、パイプ先端が埋没していない場合でも、温水の表面に可及的に近い位置にあるので、仕込原料液を少々供給すると、すぐパイプ先端が液中に埋没するので、仕込原料液中に空気が巻き込まれる可能性は少ない。勿論、パイプ先端があらかじめ張込まれている温水中に埋没している場合が最も好ましい。 【0017】 これに対して、図5〜6のケースは、仕込槽内に加熱手段が張出していても、これを回避するような形で仕込原料液供給用パイプが伸び、そのパイプ先端があらかじめ張り込んである温水中に埋没した状態にある。したがって、これらのケースでは、仕込原料液の供給に当って空気を巻き込むことは全くない。 【0018】 図7〜9のケースは、加熱手段が仕込槽側壁内に収納(図中、加熱手段は省略)されているので、仕込原料液供給用パイプの仕込槽下部への伸長を妨げるものは撹拌機しかないので、仕込原料液供給用パイプの先端部があらかじめ張込んである温水中に埋没するような状態でセットすることができる。そのため、これらのケースでは、仕込原料液の供給に当って空気を巻き込むことはない。 【0019】 仕込原料液供給用パイプは、その先端が仕込槽1の中心に向っている図2、5、8のタイプ、仕込槽1の壁面に向っている図3のタイプ、あるいは供給パイプの先端部分が図4、6、7に示すような伸縮自在形のタイプ、最も平凡に仕込原料液供給用パイプが垂直に仕込槽中に突っ込んでいる図9のようなタイプなどがある。 【0020】 仕込原料液供給用パイプの先端部分の切り口が、図2、3、8にみられるように垂直方向に対して30〜60°の角度、好ましくは40〜50°の角度をもつものや、図4、5、6、7、9にみられるように水平方向の切り口をもつものなどがある。 また、伸縮自在形のタイプでは、パイプ先端部に浮きを付け、パイプ先端部が液面に合わせて移動するようにすることもできる。 【0021】 本発明においては、温水中および/または仕込原料液中に不活性ガス、例えば窒素ガスを導入することにより、系内の溶存酸素含有量を可及的に少なくすることが好ましい。 液中への不活性ガスの導入は、不活性ガスができるだけ小さい気泡の形で導入されるようにすると、液中に不活性ガスが溶け込みやすいので好都合である。 不活性ガスの導入は、仕込槽の段階でもよいが、その前の工程で導入することもできる。具体的導入段階としては、原料に湯を混合する段階でもよいし、仕込槽に供給される途中の段階でもよいし、仕込槽中で行ってもよい。仕込槽中で不活性ガスを導入するには、例えば仕込槽の底部に多数の微細孔を設けたリング状パイプをセットし、ここから高圧で不活性ガスを吹き出すなどの手段を採用することができる。 【発明の効果】 【0022】 本発明は、通常原料仕込槽中には一定量の温水を張り込んでおき、そこに仕込原料液を供給することに着目し、この温水の表面に可及的に近い位置ないしこの温水の表面より下に仕込原料液供給用パイプ先端をセットすることにより、仕込原料液供給時に仕込原料液が空気を巻き込むのを可及的に少なくすること、好ましくは0にすることに成功したものである。 【実施例】 【0023】 以下に実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれにより何ら限定されるものではない。 【0024】 実施例1 図2に示した仕込槽に、52℃の温水を3,000リットル入れて配管の先端を液面下に沈めた後、フォアマイシャーを使用して配管内で麦芽粉砕物6,000Kgを温水15,000リットルと混合し、仕込原料液をつくり、この仕込原料液が55℃で仕込槽内に供給されるように温度制御しながら仕込槽内に送り込み、45℃で、60分間保持してマイシェを作った。 その後、このマイシェを仕込槽中において、68〜75℃で10〜30分間保持して、糖化を行った。糖化工程終了後、これを麦汁濾過槽において濾過して、その濾液として透明な麦汁を得た(糖度12.7%)。 得られた麦汁を図1に示すように煮沸釜に移し、これにホップを加えて、100℃で90分間煮沸した。煮沸した麦汁をワールプール槽に入れて、沈殿により生じたタンパク質などの粕を除去した。この際煮沸後麦汁(糖度14.5%)に温水を加えて糖度7.0%に調整した。次いで、これをプレートクーラーにより、3℃まで冷却した麦汁を得た。得られた冷麦汁中に含まれるE2N−Pの濃度を測定した結果、その濃度は4.5ppbであった。なお、E2N−Pは、冷麦汁からトランス−2−ノネナールの生成量を推定するための方法で求めた分析値である。 【図面の簡単な説明】 【0025】 【図1】発酵麦芽飲料の代表的な製造工程図を示す。 【図2】本発明の仕込槽における撹拌機と仕込原料液供給用パイプの位置関係および仕込原料液供給用パイプのタイプの1例を示すモデル図である。 【図3】図2の変形類を示す。 【図4】図2の他の変形例を示す。 【図5】図2の他の変形例を示す。 【図6】図2の他の変形例を示す。 【図7】図2の他の変形例を示す。 【図8】図2の他の変形例を示す。 【図9】図2の他の変形例を示す。 【符号の説明】 【0026】 1 仕込槽 2 仕込原料液供給用パイプ 3 撹拌機 4 加熱手段
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| 【出願人】 |
【識別番号】000000055 【氏名又は名称】アサヒビール株式会社
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| 【出願日】 |
平成17年12月26日(2005.12.26) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100094466 【弁理士】 【氏名又は名称】友松 英爾
【識別番号】100116481 【弁理士】 【氏名又は名称】岡本 利郎
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| 【公開番号】 |
特開2007−167042(P2007−167042A) |
| 【公開日】 |
平成19年7月5日(2007.7.5) |
| 【出願番号】 |
特願2005−373104(P2005−373104) |
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