| 【発明の名称】 |
ビールの製造方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】持永 登茂
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| 【要約】 |
【課題】活性状態のビール酵母を摂取可能であり、かつ長期保存が可能なビールの製造方法を提供する。
【解決手段】ホップを添加した麦汁に、ビール酵母を添加して発酵させる一次発酵工程(S20)と、発酵させた後に熟成させる二次発酵工程(S30)と、熟成させたビールを瓶詰めする瓶詰め工程(S40)と、ビールを充填した瓶を予熱する予熱工程(S50)と、予熱した瓶に詰めたビールを、40℃から55℃の温度において予熱工程から本加熱工程が完了するまで8.5PUから10PUの範囲で加熱してビールに含まれるビール酵母を活性状態から不活性状態となる仮死状態へ遷移させる本加熱工程(S60)とを行う。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 ホップを添加した麦汁に、ビール酵母を添加して発酵させ熟成させる発酵工程と、 熟成させたビールに含まれる前記ビール酵母を仮死状態とする加熱工程とを含むことを特徴とするビールの製造方法。 【請求項2】 前記加熱工程は、前記ビール酵母が死滅しないように、前記熟成させたビールを短時間で加熱することを特徴とする請求項1記載のビールの製造方法。 【請求項3】 前記加熱工程は、前記熟成させたビールを、8.5PUから10PUの範囲となるように45℃から55℃の温度範囲に上昇させて加熱することを特徴とする請求項1または2記載のビールの製造方法。 【請求項4】 前記加熱工程は、前記熟成させたビールを容器に詰める容器詰め工程の後に、前記容器を加熱することを特徴とする請求項1から3のいずれかの項に記載のビールの製造方法。 【請求項5】 前記加熱工程は、前記容器詰め工程の後に、ビールを詰めた容器を予熱する予熱工程を含むことを特徴とする請求項4記載のビールの製造方法。
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【発明の詳細な説明】【技術分野】 【0001】 本発明は、ビール酵母で麦汁を発酵させ熟成させた後に、ビール酵母を除去せず残したまま容器に詰めるビールの製造方法に関する。 【背景技術】 【0002】 ビールは、大量に生産され出荷されるものから、小規模だが独自の味を特色とする地ビールまで様々である。ビールは、炭酸ガスによる清涼感と、ホップに由来する独特の苦みにより、風呂上がりや、食事のときなどには欠かせないものである。 【0003】 大量生産されるビールは、ビール酵母を添加して発酵させ熟成させた後に、ビール酵母を濾過することで除去して容器に詰めて出荷される。例えば、特許文献1には濾過する際に、ビール酵母の濾過が確実にできることはもとより、濾過フィルタを交換する必要がなく、かつ円滑な濾過が行うことが可能な濾過装置が記載されている。 【0004】 熟成したビールからビール酵母を濾過して除去せずに活性状態のまま瓶詰めした場合、発酵が終了したビールは糖がほとんどアルコールに変化しているのでビール酵母に取っては餌のない状態である。その状態では、一部のビール酵母の細胞膜が破壊して死滅することで体液が流出して他のビール酵母の餌となって生き延びるという自己消化という現象が発生する。この自己消化により流出する体液は、不快な匂いの元となる。従って、ビール酵母を活かした状態で残留させたビールは、遠地へ運送したり長期保存したりすることが不可能である。このような理由から大量に生産されるビールでは、ビール酵母を濾過するなどして除去している。 【0005】 しかし、ビール酵母は、必須アミノ酸を全種類含む良質なたんぱく質を含んでおり、ビタミン類、ミネラル類、食物繊維も豊富なので、摂取すると健康増進に寄与する。また、ビール酵母は、ビールにこくを与えるだけでなく、炭酸ガスの抜けを抑制する作用もある。 【0006】 従って、ビール酵母をそのまま残すために、熟成させて瓶詰めされたビールを10PU(Pasteurization Unit)から20PUの低温殺菌を行って、ビール酵母を死滅させることで、ビール酵母の自己消化による品質劣化の防止を図ることが、地ビールなどでは行われている。 【0007】 【特許文献1】特開平5−130858号公報 【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】 【0008】 確かに、ビール酵母を活性状態のまま残留させたビールを低温殺菌することで死滅させれば、長期保存も可能である。しかし、ビール酵母が死滅しているビールを体内に摂取しても、ビール酵母が活性状態であれば得られる筈の恩恵を、ビール酵母が死滅しているために得ることができない。 そこで本発明は、活性状態のビール酵母を摂取可能であり、かつ長期保存が可能なビールの製造方法を提供することを目的とする。 【課題を解決するための手段】 【0009】 本発明のビールの製造方法は、ホップを添加した麦汁に、ビール酵母を添加して発酵させ熟成させる発酵工程と、熟成させたビールに含まれる前記ビール酵母を仮死状態とする加熱工程とを含むことを特徴とする。 【0010】 熟成させたビールには活性状態のビール酵母が大量に含まれている。このビール酵母を加熱工程にて仮死状態とすることで不活性化する。そうすることで、ビール酵母の活動が停止するため、容器に充填して保管しても、その間に自己消化による品質の低下が発生しない。また、仮死状態にあるビール酵母を飲むことで、ビール酵母は体温で温められ、再度活性状態とすることができる。 【0011】 前記加熱工程は、前記ビール酵母が死滅しないように、前記熟成させたビールを短時間で加熱するのが望ましい。ビール酵母が死滅しないように、ビールを短時間で加熱することで、ビール酵母に対して急激な温度上昇が与えられる。この温度上昇によりビール酵母が仮死状態に遷移する。 【0012】 前記加熱工程は、前記熟成させたビールを、8.5PUから10PUの範囲となるように45℃から55℃の温度範囲に上昇させて加熱するのが望ましい。熟成させたビールを、45℃から55℃の温度になるまで、8.5PUから10PUの範囲で上昇させることで、ビール酵母を仮死状態とすることができる。 【0013】 前記加熱工程は、前記熟成させたビールを容器に詰める容器詰め工程の後に、前記容器を加熱するのが望ましい。熟成させたビールを容器に詰めた後であれば、容器を湯煎したり、湯をシャワーのように容器に浴びせたりして容易に加熱することができる。 【0014】 前記加熱工程は、前記容器詰め工程の後に、ビールを詰めた容器を予熱する予熱工程を含むのが望ましい。ビールを充填した容器を加熱すると容器が温度上昇する。この温度上昇に容器が耐えられないと破損が生じることがある。従って、予め予熱工程を行うことで、容器の破損を防止できる。 【発明の効果】 【0015】 本発明のビールの製造方法は、熟成したビールのビール酵母を仮死状態とする加熱工程を行うことで、ビールを容器に充填して保管しても、ビール酵母の活動が停止した不活性状態であるので、その間に自己消化による品質の低下が発生しない。よって、長期保存が可能である。また、仮死状態にあるビール酵母を飲むことで、ビール酵母は体温で温められるので、再度活性状態とすることができる。よって、体内に摂取した後に、活性したビール酵母として体内で活動を始めるので、ビール酵母が活性状態のときに得られる恩恵を享受することができる。 【発明を実施するための最良の形態】 【0016】 本発明の実施の形態に係るビールの製造方法を図1に基づいて説明する。図1は、本発明の実施の形態に係るビールの製造方法を説明する図である。 【0017】 図1に示すように、本発明の実施の形態に係るビールの製造方法は、仕込み工程(S10)を行う。仕込み工程は、まず製麦した麦芽を粉砕してグリストとする。粉砕は、殻皮部分を後工程で濾過材とするために、細かく粉砕しないことが望ましい。そのためには、お湯に浸漬して柔らかくしてから粉砕機で粉砕する。粉砕した麦芽を50℃程度のお湯に浸漬して、粉砕した麦芽を濾過器に通過させて濾し取ることで、湯内にでんぷんや酵素類を抽出した麦汁とする。そして、濾し取った麦芽からの麦汁を50℃程度に温度管理することで、麦芽中のアミラーゼにより麦芽のでんぷんを分解することで糖化させる。 【0018】 次に抽出した麦汁を煮沸釜へ移動させ、一気に温度を100℃まで上昇させて煮沸する。その際に苦み成分となるホップを添加する。煮沸は、ホップから苦み成分を抽出する共に麦汁に含まれるタンパク質を凝固させ取り除き、殺菌するために行われる。そして煮沸が完了すると香り用のホップを添加する。ホップはこのように2回投入する場合と、煮沸途中で追加投入することで合計3回投入する場合がある。 【0019】 煮沸が完了した麦汁から凝固したタンパク質やホップなどを除去して、冷却しながら発酵タンクへ移動する。 【0020】 発酵タンクへ移動すると発酵工程を行う。発酵工程は、麦汁をビール酵母により発酵させて若ビールとする一次発酵工程(S20)と、若ビールを熟成させる二次発酵工程(S30)とが行われる。 【0021】 一次発酵工程は、まず発酵タンクに移動した麦汁にビール酵母を添加する。本実施の形態では、ビール酵母として特に限定されるものではなく、エールビールなどの上面発酵する上面発酵酵母や、ラガービールなどの下面発酵する下面発酵酵母のいずれでもよい。このビール酵母の選択は、所望とするビールの味により適宜決定される。選択されたビール酵母により発酵させる温度を調整する。上面発酵酵母の場合では15℃から25℃程度で、発酵期間は3日から5日程度である。下面発酵酵母の場合では5℃から15℃程度で、低温で発酵させるため上面発酵より長く要し、数週間程度行うこともある。この温度や発酵期間も適宜選択することが可能である。また、所望とするビールの味に応じて、この温度範囲、発酵期間の範囲から外れる管理とすることも可能である。 【0022】 ビール酵母が添加された麦汁は、発酵タンクの中で発酵が行われる。発酵は、ビール酵母に含まれるマルターゼが麦芽糖をブドウ糖とし、これにチマーゼが作用してアルコールと炭酸ガスを生成する。発酵タンクでは、ビール酵母が増殖し、発酵による炭酸ガスの気泡が麦汁の表面を覆う。発酵が進行すると麦汁の表面はクリームのような気泡で覆われる。一次発酵が終了すると温度を4℃以下に低下させ、ビール酵母の活性を鈍化させる。これは継続して高い温度を保持すると、糖の欠乏した麦汁の中でビール酵母の自己消化が発生する。この自己消化とは、ビール酵母の細胞膜から流出した体液を元に他のビール酵母が摂取しながら残存することをいう。流出した体液は、ビールの品質を低下させる要因となるので、この自己消化を抑制するために、一次発酵させた麦汁を低下させた温度で管理する。このようにして一次発酵工程を行うことで麦汁が若ビールになる。 【0023】 若ビールは、ダイアセチル前躯体、アセトアルデヒドおよび硫化水素などの未熟臭物質を含んでいるため、香り、味ともに未熟である。従って、若ビールを貯蔵タンクに移動させて成熟させる二次発酵工程を行う。 【0024】 二次発酵工程は、一次発酵工程の温度を維持して、未熟臭物質の分解を進行させて減少させる。更に貯蔵タンク内圧力を調整することで、発酵時に放出された炭酸ガスを若ビール内に溶解させ、若ビールを成熟させてビールとする。 【0025】 次に、二次発酵工程が終了したビールを容器の一例である瓶に充填して打栓することでビールを封止する瓶詰め工程(S40)を行う。この瓶詰め工程では、ビールが酸素により酸化することで品質が低下することを抑制するために、予め瓶内に炭酸ガスを充満させ、ビールを注入するのが望ましい。また注入後の瓶内のヘッドスペースに中に浸入した空気を、炭酸ガスや、蒸気の吹き入れや、加圧した脱気水を瓶内に吹き込みビールを泡立てることで、空気を追い出して密封するのが望ましい。このようにして瓶詰め工程は行われる。 【0026】 二次発酵工程が終了したビールには、まだ活性状態にあるビール酵母が含まれている。従って、このままビールにビール酵母を残留させた状態で出荷すると、運搬中や貯蔵中にビール酵母の自己消化が進行して品質が低下してしまう。そこで本実施の形態のビールの製造方法では、このビール酵母を仮死状態にしてビール酵母の作用を不活性化し、ビール酵母の自己消化を抑制する加熱工程を行う。加熱工程では、予熱工程と本加熱工程とが行われる。 【0027】 ビール酵母を活性状態から仮死状態とするためには、ビール酵母に加熱による急激な温度変化を与えることで状態の遷移を行うことができる。しかし、瓶詰め工程を終えた瓶は、二次発酵工程を終えた貯蔵タンクからのビールを室温の雰囲気の中で充填した状態なので、4℃から6℃程度の温度である。従って、ビールを充填した瓶に加熱による急激な温度変化を与えると、瓶がその温度変化により破損するおそれがある。従って、まずは瓶を予熱する予熱工程(S50)を行う。この予熱工程は、瓶を湯煎により7分から10分の間に35℃から45℃までの温度範囲となるように予熱して温度上昇させる。 【0028】 瓶の温度上昇の時間を7分間未満とした場合では、急激な温度変化により、瓶が破損するおそれがある。瓶の温度上昇の時間を10分間より長くした場合では、本加熱工程で更に加熱してもビール酵母に対して急激な温度変化とならないため、ビール酵母を仮死状態に遷移させることができない。 【0029】 また、湯煎の温度を35℃未満とした場合には、瓶に十分な予熱が与えられず、本加熱工程での温度上昇で瓶が破損するおそれがある。また45℃より高い温度とすると、瓶が破損するおそれがある。従って、瓶を7分から10分の間に35℃から45℃までの温度範囲となるように予熱するのが望ましい。 【0030】 そして、予熱工程を終了したビールを、更に加熱する本加熱工程(S60)を行う。本加熱工程は、予熱工程を終え35℃から45℃の温度範囲に予熱されていたビールを、50℃から55℃の範囲に約2分間で急激に温度を上昇させる。そして予熱工程から本加熱工程が完了するまでを8.5PUから10PUの範囲で行う。そうすることでビールに含まれるビール酵母を、短時間で変化する温度差により活性状態から仮死状態へ遷移させることができる。また、この加熱によって、ビール内に含まれる雑菌や、瓶内のヘッドスペースに含まれる雑菌を、ある程度死滅させることができる。 【0031】 本加熱工程における温度を、50℃未満とするとビール酵母を仮死状態へ遷移させることができない。また55℃より高い温度で加熱するとビール酵母が死滅してしまう。また、予熱工程および加熱工程を行う加熱工程を、8.5PU未満とすると、ビール酵母を仮死状態へ遷移させることができない。また、10PUより大きいと雑菌と共にビール酵母も死滅してしまう。従って、加熱工程は、50℃から55℃の温度で、8.5PUから10PUの範囲で加熱するのが望ましい。 【0032】 本実施の形態では、予熱工程と、本加熱工程とを、ビールを瓶に充填した状態で、湯煎により加熱しているので、瓶およびビールの温度を、湯の温度管理を行うことで正確な温度範囲に簡易な装置で容易に調整することが可能である。 【0033】 本加熱工程で湯煎する水槽は、予熱工程で湯煎した水槽と同じものとする場合には迅速な温度上昇および厳密な温度管理を行う必要がある。異なる水槽とする場合には、予熱工程を終えたビール群を浸漬したときに温度低下が激しく発生しない程度に温度管理する必要がある。また予熱工程および本加熱工程を湯煎とせずに、瓶に向かって上方から温度管理された湯のシャワーを通過させることで温度上昇させてもよい。本加熱工程が終了すると、梱包する梱包工程(S70)を行う。 【0034】 本実施の形態では、瓶詰め工程を行った後に予熱工程を行っているが、急激な温度変化に耐えることができる瓶であれば、予熱工程を省略することも可能である。また本実施の形態では、ビールを充填する容器として瓶としているが、予熱工程および本加熱工程で高まる内圧に耐えることができれば、瓶の代わりに缶とすることもできる。 【0035】 更に、本実施の形態では、ビール酵母を活性状態から仮死状態に遷移させるのに、瓶詰め工程の後に行っているが、二次発酵工程を終えたビールに加熱工程を行ってもよい。その場合には予熱工程は省略することができる。その場合には、瓶詰め工程にて雑菌が混入するおそれがあるため、瓶詰め工程は十分なクリーンルーム等の設備内で行うのが望ましい。 【産業上の利用可能性】 【0036】 本発明は、活性状態のビール酵母を摂取可能であり、かつ長期保存が可能なので、ビール酵母を除去せず残したまま容器に詰めて、隣接地や、近地のみならず遠方へ出荷して販売するビールに好適である。 【図面の簡単な説明】 【0037】 【図1】本発明の実施の形態に係るビールの製造方法を説明する図である。
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| 【出願人】 |
【識別番号】505368140 【氏名又は名称】株式会社昭和園
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| 【出願日】 |
平成17年9月30日(2005.9.30) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100099508 【弁理士】 【氏名又は名称】加藤 久
【識別番号】100116296 【弁理士】 【氏名又は名称】堀田 幹生
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| 【公開番号】 |
特開2007−97433(P2007−97433A) |
| 【公開日】 |
平成19年4月19日(2007.4.19) |
| 【出願番号】 |
特願2005−288363(P2005−288363) |
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