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【発明の名称】 麦汁濾過方法
【発明者】 【氏名】河合 順
【氏名】後藤 信之
【氏名】横山 利一
【課題】麦汁の濾過効率を向上させて麦汁濾過に要する時間を短縮する。

【解決手段】麦汁濾過方法は、麦汁濾過槽100の網底10の上部と下部の差圧が規定値に達したときに解糟機20によって網底10上の濾層(糟)30を解糟する解糟工程と、解糟工程の途中又は終了後に前記網底を詰まらせているウンタータイク40固形物を除去する固形物除去工程とを含む。固形物除去工程では、例えば、麦汁濾過槽100で濾過された麦汁を抽出する抽出路70に設けられたバルブ60を瞬間的に開閉動作させる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
麦汁濾過方法であって、
麦汁濾過槽の網底の上部と下部の差圧が規定値に達したときに解糟機によって前記網底上の糟を解糟する解糟工程と、
前記解糟工程の途中又は終了後に前記網底を詰まらせている固形物を除去する固形物除去工程と、
を含むことを特徴とする麦汁濾過方法。
【請求項2】
前記固形物除去工程では、前記麦汁濾過槽で濾過された麦汁を抽出する抽出路に設けられたバルブを瞬間的に開閉動作させることを特徴とする請求項1に記載の麦汁濾過方法。
【請求項3】
前記差圧が前記規定値に達する度に前記解糟工程を実行するとともに、それに付随して前記固形物除去工程を実行することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の麦汁濾過方法。
【請求項4】
麦汁濾過方法であって、
麦汁濾過槽の網底の糟を解糟機によって解糟する解糟工程と、
前記解糟工程の途中又は終了後に前記網底を詰まらせている固形物を除去する固形物除去工程と、
を含むことを特徴とする麦汁濾過方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、麦汁濾過方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ビールや発泡酒の製造において、仕込み槽で準備されたマイシェ(濾過前の麦汁)から麦汁を抽出する麦汁濾過工程がある。麦汁の濾過には、網底で上部と下部に仕切られた麦汁濾過槽が使用される。マイシェには、麦芽の皮(スペルツェン)や胚芽等の糟が含まれている。麦芽の皮は、網底上に堆積して濾層を形成する。麦汁は、この濾層によって濾過される。また、マイシェ中の比重の大きい糟は、濾層中を沈降して網底に至り網底を詰まらせる。このようにして網底を詰まらせる固形物は、ウンタータイクと呼ばれる。
【0003】
濾層が固く締まったりウンタータイクが多量になったりすると、濾過効率(時間あたりに濾過される麦汁の量)が低下する。濾過効率の低下は、網底の上部と下部との差圧に関係し、この差圧が大きいことは濾過効率の低下を意味する。
【0004】
そこで、差圧が規定値に達する度に解糟機によって自動的に網底上の糟(濾層)を解糟する技術がある。解糟機は、解糟刃によって網底上の糟を解して麦汁の通りを良くするための装置である。
【特許文献1】特公平7−2105号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
発泡酒の多様化により使用する副原料が多様化する傾向にある。副原料の中には、多量のウンタータイク(固形物)を生じさせるものがあり、このウンタータイクによって網底の網目が詰まる。網底へのウンタータイクの多量の堆積は、濾過効率の著しい低下をもたらす。
【0006】
現状では、網底の上部と下部との差圧が上昇する度に解槽機を動作させて、ウンタータイクの堆積による濾過効率の低下を濾層の解槽によって補って、濾過効率を適当なレベルに維持している。
【0007】
しかしながら、ウンタータイクが多量に網底に堆積している状態で濾層を解槽して濾過効率を一時的に高めたとしても、濾過効率は直ぐに低下してしまう。
【0008】
本発明は、上記の背景に鑑みてなされたものであり、例えば、濾過効率を向上させて麦汁濾過に要する時間を短縮することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第1の側面の麦汁濾過方法は、麦汁濾過槽の網底の上部と下部の差圧が規定値に達したときに解糟機によって前記網底上の糟を解糟する解糟工程と、前記解糟工程の途中又は終了後に前記網底を詰まらせている固形物を除去する固形物除去工程とを含むことを特徴とする。
【0010】
本発明の好適な実施形態によれば、前記固形物除去工程では、前記麦汁濾過槽で濾過された麦汁を抽出する抽出路に設けられたバルブを瞬間的に開閉動作させることが好ましい。
【0011】
本発明の好適な実施形態によれば、前記差圧が前記規定値に達する度に前記解糟工程を実行するとともに、それに付随して前記固形物除去工程を実行することが好ましい。
【0012】
本発明の第2の側面の麦汁濾過方法は、麦汁濾過槽の網底の糟を解糟機によって解糟する解糟工程と、前記解糟工程の途中又は終了後に前記網底を詰まらせている固形物を除去する固形物除去工程とを含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、例えば、濾過効率を向上させて麦汁濾過に要する時間を短縮することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態を説明する。
【0015】
図1は、本発明の好適な実施形態の麦汁濾過設備の概略構成を示す図である。麦汁濾過設備は、その基本的構成要素として麦汁濾過槽100を含む。麦汁濾過槽100によって仕込み槽から送られてくるマイシェから麦汁が抽出される。麦汁濾過槽100は、槽内を上部と下部とに仕切る網底(偽底)10を有する。この網底10の上には、マイシェに含まれる麦芽の皮(スペルツェン)等の糟によって濾層30が形成される。マイシェに含まれる不用物は、濾層30によって補足され、これによって麦汁が抽出される。マイシェ中の比重の大きい糟は、濾層30中を沈降して網底10に至り網底10の網目を詰まらせるウンタータイク(固形物)40を形成する。
【0016】
濾過された麦汁は、麦汁濾過槽10の下部(真底)に接続された麦汁抽出路70を通して次工程の設備に送られる。麦汁濾過槽10の内部には、解糟機20が備えられている。解糟機20は、マイシェの圧力によって固く締まった濾層(糟、主に麦芽の皮)30を解(解糟)して麦汁の通りを良くするための装置である。解糟機20は、例えば、解糟刃21を有し、解糟刃21を公転させることによって網底10上の濾層30を解糟する。
【0017】
解糟機20は、例えば、網底10の上部と下部との差圧が予め設定された解糟実行レベル(規定値)に達したときに解糟を実行する。解糟機20は、その他、差圧とは無関係に濾過中において継続的に駆動されてもよい。以下では、網底10の上部と下部との差圧が予め設定された解糟実行レベル(規定値)に達したときに実行される解糟をゼロ解糟と呼ぶことにする。ゼロ解糟は、麦汁抽出路70に設けられたバルブ50が閉じられた状態で、網底10の上部と下部との差圧がほぼゼロ(又は所定のリセットレベル)に達するまで実行されうる。
【0018】
ここで、濾過効率は、網底の上部と下部との差圧に関係し、この差圧が大きいことは濾過効率の低下を意味する。すなわち、網底10の上部と下部との差圧が予め設定された解糟実行レベルに達したときにゼロ解糟を実行することは、典型的には、濾過効率が設定レベルまで低下したときにゼロ解糟を実行することを意味する。
【0019】
解糟後の差圧の上昇が大きい場合には、頻繁にゼロ解糟が実行されうる。ゼロ解糟の実行時及びその後の相応の期間において麦汁濾過槽100から麦汁を排出すると、その麦汁には麦芽の皮等が含まれ得る。そこで、前述のように、ゼロ解糟の実行時は、典型的には、麦汁抽出路70に設けられたバルブ50が閉じられる。また、ゼロ解糟が実行された後の相応の期間は、麦汁に含まれ得る麦芽の皮等を取り除くために、麦汁濾過槽100から麦汁抽出路70(及びバルブ50)を通して排出される麦汁は、経路切換え部80を通して再び麦汁濾過槽100に戻されうる。そのため、網底10の上部と下部との差圧が解糟実行レベルに達する度に実行されるゼロ解糟は、全体的な濾過効率の低下、すなわち、麦汁濾過時間の増大をもたらす。
【0020】
以下、本発明の好適な実施形態の麦汁濾過方法を説明する。図2(a)は、比較例としての麦汁濾過方法を示す図である。図2(b)は、本発明の好適な実施形態の麦汁濾過方法を示す図である。図2(a)、(b)において、縦軸は、麦汁濾過槽100内の網底10の上部と下部との差圧であり、横軸は、時間である。図2中の"解糟"は、解糟機20によってゼロ解糟が実行されている時間区間を示している。図2中の"VSL"は、網底10を詰まらせているウンタータイク(固形物)を除去する工程(これを"フォアシーセンラッセン"と呼ぶことにする)のタイミングを示している。図2中の"終了"は、麦汁濾過の終了を意味する。
【0021】
図2(a)に示す比較例では、差圧が解糟実行レベルに達する度に、解糟機20によってゼロ解糟が実行される。曲線Aに示すように、麦汁濾過の進行にともなって濾層30がマイシェの圧力によって固く締まってゆくとともに網底10にウンタータイク40が堆積してゆくことによって、麦汁濾過槽100内の網底10の上部と下部との差圧が徐々に上昇する。この差圧は、不図示のセンサによって計測されて制御装置90に提供される。差圧が解糟実行レベルに達すると、制御装置90は、解糟機20によって濾層30のゼロ解糟を実行する。このゼロ解糟によって差圧が低下する。つまり、ゼロ解糟によって濾層30を麦汁が通過し易くなり、その結果として差圧が低下する。ゼロ解糟の実行中はバルブ50が閉じられ、また、ゼロ解糟の終了後の相応の時間は、麦汁濾過槽100の下部から麦汁抽出路70を通して排出される麦汁は麦汁濾過槽100に戻される。
【0022】
このようなゼロ解糟は、差圧が解糟実行レベルに達する度に実行されて、規定量の麦汁が抽出された時点で麦汁濾過が終了する。
【0023】
図2(b)に示す本発明の好適な実施形態では、解糟機20によるゼロ解糟とフォアシーセンラッセンとが併用される。曲線Bに示すように、麦汁濾過の進行にともなって濾層30がマイシェの圧力によって固く締まってゆくとともに網底10にウンタータイク40が堆積してゆくことによって、麦汁濾過槽100内の網底40の上部と下部との差圧が徐々に上昇する。この差圧は、不図示のセンサによって計測されて制御装置90に提供される。差圧が解糟実行レベルに達すると、制御装置90は、解糟機20によって濾層30のゼロ解糟を実行する。このゼロ解糟によって差圧が低下する。
【0024】
更に、制御装置90は、ゼロ解糟の途中又は終了後にフォアシーセンラッセン(VSL;固形物除去工程)を実行する。フォアシーセンラッセンの実行によって、網底10に詰まっているウンタータイク(固形物)40が除去される。フォアシーセンラッセンは、例えば、制御装置90が麦汁抽出路70に設けられたバルブ50を瞬間的に開閉させることによって行うことができる。バルブ50の開閉動作によるフォアシーセンラッセンは、典型的には、中間開度(濾過された麦汁を次工程の設備に送るための開度)のバルブ50を瞬間的(例えば、最大速度で)に全開状態にし、その後、瞬間的に全閉状態にする動作を少なくとも1回実行することを含みうる。
【0025】
このフォアシーセンラッセンによって網底10に詰まっているウンタータイク40が揺さぶられて網底10から剥離して麦汁とともに麦汁抽出路70に排出される。すなわち、フォアシーセンラッセンによるウンタータイク40の除去によって網底10の網目(麦汁が通過する開口部)が広げられて、濾層30及び網底10を通過する麦汁の流量が増す。ゼロ解糟の終了後及びフォアシーセンラッセンの実行中とその終了後の相応の時間は、麦汁濾過槽100の下部から麦汁抽出路70を通して排出される麦汁は、麦汁濾過槽100に戻される。
【0026】
このように、ゼロ解糟の途中又は終了後にフォアシーセンラッセンを実行すると、網底10が正常化されるために、その後における差圧の上昇(換言すると、濾過効率の低下、或いは、麦汁濾過槽から排出される麦汁の流量の低下)が緩やかになる。したがって、差圧が解糟実行レベルに達するまでの時間、或いは、ゼロ解糟(及びフォアシーセンラッセン)を実行すべき時間間隔が大きくなり、結果として、ゼロ解糟(及びフォアシーセンラッセン)の実行回数を減らすことができる。このため、図2(a)と図2(b)との対比から明らかなように、麦汁濾過に要する全体時間が短縮され、麦汁濾過のスループットが向上する。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の好適な実施形態の麦汁濾過設備の概略構成を示す図である。
【図2】比較例としての麦汁濾過方法(a)及び本発明の好適な実施形態の麦汁濾過方法(b)を示す図である。
【符号の説明】
【0028】
10 網底(偽底)
20 解糟機
21 解糟刃
30 濾層
40 ウンタータイク(固形物)
50 バルブ
60 ポンプ
70 麦汁抽出路
80 経路切換え部
90 制御装置
100 麦汁濾過槽
【出願人】 【識別番号】000000055
【氏名又は名称】アサヒビール株式会社
【出願日】 平成17年7月19日(2005.7.19)
【代理人】 【識別番号】100076428
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 康徳

【識別番号】100112508
【弁理士】
【氏名又は名称】高柳 司郎

【識別番号】100115071
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 康弘

【識別番号】100116894
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 秀二

【識別番号】100134175
【弁理士】
【氏名又は名称】永川 行光
【公開番号】 特開2007−20502(P2007−20502A)
【公開日】 平成19年2月1日(2007.2.1)
【出願番号】 特願2005−209142(P2005−209142)