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【発明の名称】 冶金用フェロコークスの製造方法
【発明者】 【氏名】藤本 英和

【氏名】下山 泉

【氏名】佐藤 秀明

【氏名】庵屋敷 孝思

【氏名】深田 喜代志

【氏名】角 広行

【氏名】山本 哲也

【要約】 【課題】焼結鉱の生産性や品質を低下させることなく、高リン鉱石を冶金用原料として使用できる方法を提供すること。

【解決手段】石炭と鉄鉱石とを混合し、該混合した混合物を乾留してフェロコークスを製造する際に、前記鉄鉱石の一部または全部が、リンを0.08mass%以上含有する高リン鉱石からなることを特徴とする冶金用フェロコークスの製造方法を用いる。石炭と鉄鉱石との混合物を成型後に乾留してフェロコークスを製造すること、石炭と鉄鉱石との混合物を乾留してフェロコークスを製造する際に、前記混合物が、高リン鉱石を3mass%以上、30mass%以下含有することが好ましい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
石炭と鉄鉱石とを混合し、該混合した混合物を乾留してフェロコークスを製造する際に、前記鉄鉱石の一部または全部が、リンを0.08mass%以上含有する高リン鉱石からなることを特徴とする冶金用フェロコークスの製造方法。
【請求項2】
石炭と鉄鉱石との混合物を成型後に乾留してフェロコークスを製造することを特徴とする請求項1に記載の冶金用フェロコークスの製造方法。
【請求項3】
石炭と鉄鉱石との混合物を乾留してフェロコークスを製造する際に、前記混合物が、高リン鉱石を3mass%以上、30mass%以下含有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の冶金用フェロコークスの製造方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、高炉等の主原料として用いられる焼結鉱やコークスに関し、特に石炭と鉄鉱石から製造する冶金用フェロコークスの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
高炉の主原料である焼結鉱は、一般に以下のようにして製造される。まず、粉鉄鉱石に、石灰粉等の酸化カルシウム含有副原料、珪石や蛇紋岩等の酸化ケイ素含有副原料及びコークス粉等の炭材を配合し、これに適量の水を加えて混合・造粒する。この造粒された配合原料(焼結原料)を、ドワイトロイド式焼結機のパレット上に所定の厚さに充填し、この充填ベッド表層部の炭材に着火後、下方に向けて空気を吸引しながら充填ベッド内部の炭材を燃焼させ、その燃焼熱により配合原料を焼結させて焼結ケーキとする。そして、この焼結ケーキを粉砕・整粒することにより、粒径が数mm以上の成品焼結鉱が得られる。
【0003】
安定した高炉操業を行うためには、高品質の焼結鉱が求められる。一般に、焼結鉱の品質はシャッター強度(冷間強度)、還元粉化指数(RDI)、被還元性(RI)などが指標とされるが、これらが指標となる成品焼結鉱の品質は、高炉操業における炉内荷下がり状態の安定性、炉内通気性や通液性、鉱石の還元効率、高温性状等に対して大きな影響を及ぼす。このため焼結鉱の製造プロセスでは厳しい品質管理が行なわれている。また、焼結鉱の製造コストを低減させるために焼結鉱の成品歩留まりの向上が求められ、さらに焼結鉱製造ラインの効率化と生産率の向上が求められる。
【0004】
ところで、焼結鉱の原料鉄鉱石としては、従来、主としてヘマタイト鉱石(赤鉄鉱)やマグネタイト鉱石(磁鉄鉱)が用いられてきたが、最近このような良質な鉄鉱石の供給量が減少しつつあることに伴い、高リン鉱石などのようなリン(P)の含有量が高い鉄鉱石を用いる必要に迫られており、将来的にその使用量は益々増大するものと思われる。ここで、高リン鉱石とは、焼結原料として利用される通常の粉鉄鉱石と比べてPの含有量が高く、一般にPを0.08mass%以上含有するような鉄鉱石である(例えば、非特許文献1参照。)。
【非特許文献1】第146、147回西山記念技術講座「製銑技術の最近の進歩と将来」1993年、p.36、37
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
高リン鉱石のようなP含有量の高い鉄鉱石を高炉原料として使用することは、製造される溶銑のP濃度を高め、脱燐処理の負荷を増大させることになるため、従来ではほとんど使用されていなかった。しかし、上述したように良質な鉄鉱石の供給量が減少しつつあることから、この高リン鉱石についても、焼結原料として相当量配合することが検討されつつある。しかし、本発明者らが検討したところ、表1に各種鉱石の組成を示すが、表1から分かるように、高リン鉱石(A)は他の鉱石(B〜G)に比較してアルミナが高く、また微粉の割合が多い特徴がある。このため、焼結中の通気性悪化が大きく、焼結鉱の生産率や、歩留りが悪化し、焼結鉱の品質も低下して、焼結操業に不適であった。しかし、高品位な鉱石原料の枯渇化が進み、また鉱石原料コストが高くなる中、高リン鉱石の使用は避けられない状況である。
【0006】
【表1】


【0007】
したがって本発明の目的は、このような従来技術の課題を解決し、焼結鉱の生産性や品質を低下させることなく、高リン鉱石を冶金用原料として使用できる方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
このような課題を解決するための本発明の特徴は以下の通りである。
(1)石炭と鉄鉱石とを混合し、該混合した混合物を乾留してフェロコークスを製造する際に、前記鉄鉱石の一部または全部が、リンを0.08mass%以上含有する高リン鉱石からなることを特徴とする冶金用フェロコークスの製造方法。
(2)石炭と鉄鉱石との混合物を成型後に乾留してフェロコークスを製造することを特徴とする(1)に記載の冶金用フェロコークスの製造方法。
(3)石炭と鉄鉱石との混合物を乾留してフェロコークスを製造する際に、前記混合物が、高リン鉱石を3mass%以上、30mass%以下含有することを特徴とする(1)または(2)に記載の冶金用フェロコークスの製造方法。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、高リン鉱石をフェロコークスの原料としてフェロコークスを製造して、冶金用原料として利用できるので、高リン鉱石を焼結鉱原料として用いる量を大幅に削減可能であり、焼結鉱の生産性や品質の低下を防止できる。また、高強度のフェロコークスを製造できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明では、高リン鉱石を焼結鉱原料として主として使用することなく、製銑分野トータルとしては高リン鉱石の使用量を増加させるために、高リン鉱石と石炭を原料として冶金用フェロコークスを製造する。
【0011】
石炭および鉄鉱石を混合し、乾留して得られるフェロコークスは、石炭の軟化溶融物によって石炭粒子と鉄鉱石粒子とが結合された多孔材料であり、冶金用コークスとして利用される。通常のコークスと同様に粒子の接着状況が製品の強度を決定する。
【0012】
図1に、石炭中に含まれるリンの質量割合と、その石炭を単味で乾留したときのコークス強度の関係を示す。コークス強度はドラム試験機を用いて測定し、150回転15mm指数(DI150/15)を用いた。図1において、平均最大反射率(R0)が0.7%の石炭を黒丸で、平均最大反射率が1.2%の石炭を白丸で示す。平均最大反射率が同じ石炭では、平均最大反射率以外の最高流動度や全イナート量もほぼ等しい。そのため、製造されるコークス強度は変わらないと考えられるが、平均最大反射率が同じ石炭でもコークス強度に違いが認められ、リンの質量割合と強い相関を有していた。これは、リン化合物が石炭の軟化溶融過程に影響を及ぼしているためと考えられる。すなわち石炭の軟化溶融過程において、リン化合物が石炭の積層構造あるいは網面構造の発達を促進したものと推察される。
【0013】
図2に、通常の配合炭に、表1に示す鉱石Aと鉱石Fの混合物(高リン鉱石+マラマンバ鉱石)を30mass%配合して乾留し、フェロコークスを製造した時のコークス強度を示す。表1に示すように、鉱石Fの組成は、高リン鉱石である鉱石Aと比較すると、リン含有率以外はほぼ等しくなっている。図2の横軸は鉱石Aと鉱石Fの混合物における鉱石Aの添加率であり、高リン鉱石の添加率に相当する。高リン鉱石添加率0mass%とは、鉱石Fを全体の30mass%配合したことを意味し、高リン鉱石添加率30mass%とは、鉱石Aを全体の30mass%配合して鉱石Fは配合しなかったことを意味する。鉱石の粒径は、0.1mm以下に調整し(−0.1mm100mass%)、石炭の品位は平均最大反射率1.1%、最高流動度(MF)1000ddpm、全イナート量31vol%として混合し、乾留してフェロコークスを製造した。強度はドラム150回転の15mm指数(DI150/15)で評価した。図2によれば、高リン鉱石添加率が増加するに従い、フェロコークスの強度が上昇することが分かる。このことから、石炭中のリン化合物と同様に、鉱石中のリン化合物によっても、石炭の積層構造あるいは網面構造の発達が促進されるものと推察される。
【0014】
図3に、通常の配合炭に、表1に示す鉱石Aと鉱石Fの混合物(高リン鉱石+マラマンバ鉱石)を30mass%配合して成型したブリケットを乾留した後のフェロコークスのブリケット強度と、上記と同様の高リン鉱石添加率の関係を示す。鉱石粒径は、0.1mm以下に調整し(−0.1mm100mass%)、石炭の品位は平均最大反射率0.7%、最高流動度(MF)30ddpm、全イナート量35vol%である。ブリケットはブリケットマシンを用いて18cm3のピロー型に成型した。ブリケット強度はドラム150回転の15mm指数(DI150/15)で評価し、81.5ポイント以上であれば良好と判断した。ブリケット化して圧密されるため、リン濃度添加効果は図2の場合と比較して、やや小さいが、高リン鉱石添加率が15mass%まではブリケット強度は単調増加している。15mass%以上ではやや効果が飽和する傾向が見られるが、添加率が30mass%でも目標の強度を維持している。リンの添加効果によりブリケット強度が上昇するものの、過剰に添加すると、ブリケット乾留中に炭素と鉱石との還元反応によりブリケット中に欠陥が多く発生する恐れがあり、原料中にリンが高濃度に存在すると製鋼工程で支障が出ることも考慮すると、石炭と鉄鉱石とを混合し、該混合した混合物を成型後に乾留してフェロコークスを製造する際の、混合物中の高リン鉱石の添加率は3mass%以上、30mass%以下が適当であると考えられる。
【0015】
以上のように、リンの質量割合の高い高リン鉱石に対し、石炭中のリンの質量割合を調整して、高リン鉱石と石炭で構成されるフェロコークス原料中のリンの質量割合を調整すれば、フェロコークスの強度を高めつつ、高リン鉱石の使用量を増加させることが可能となる。したがって、高リン鉱石を焼結原料として使用する量を減少させて、フェロコークス原料として用いることで、焼結鉱の生産性や品質を低下させることなく、高リン鉱石を冶金用原料として効果的に使用することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】石炭中に含まれるリンの質量割合と、その石炭を乾留したときのコークス強度の関係を示すグラフ。
【図2】高リン鉱石添加率とフェロコークス強度との関係を示すグラフ。
【図3】高リン鉱石添加率とフェロコークスのブリケット強度との関係を示すグラフ。
【出願人】 【識別番号】000001258
【氏名又は名称】JFEスチール株式会社
【出願日】 平成17年11月10日(2005.11.10)
【代理人】 【識別番号】100105968
【弁理士】
【氏名又は名称】落合 憲一郎

【識別番号】100130834
【弁理士】
【氏名又は名称】森 和弘


【公開番号】 特開2007−131727(P2007−131727A)
【公開日】 平成19年5月31日(2007.5.31)
【出願番号】 特願2005−325798(P2005−325798)