トップ :: C 化学 冶金 :: C09 染料;ペイント;つや出し剤;天然樹脂;接着剤;他に分類されない組成物;他に分類されない材料の応用




【発明の名称】 蓄冷材
【発明者】 【氏名】清水 剛

【氏名】清水 奈穂美

【要約】 【課題】凍結に要する冷却時間が短く、有効保冷時間が長い蓄冷材を実現する。

【解決手段】水溶性のカルボキシメチルセルロース(CMC)をペースト状にし、これに放射線を照射することにより橋かけ反応を生じさせて前記多糖類誘導体をゲル化する。そのゲル化したCMCを乾燥させることにより得られる乾燥CMCゲルを1〜15%の食塩水に混合して蓄冷材とした。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ペースト状の多糖類誘導体に放射線を照射することにより橋かけ反応を生じさせて前記多糖類誘導体をゲル化し、そのゲル化した多糖類誘導体を乾燥させることにより得られる乾燥ゲルを1〜15%の食塩水に混合したことを特徴とする蓄冷材。
【請求項2】
請求項1に記載の蓄冷材において、
前記多糖類誘導体として、水溶性のカルボキシメチルセルロースを用いることを特徴とする蓄冷材。
【請求項3】
請求項1に記載の蓄冷材において、
前記乾燥ゲルは、0.5mm径程度の大きさに粉砕して食塩水に混合したことを特徴とする蓄冷材。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、食品や医薬品等の保存あるいは輸送時の冷却、保冷に利用される蓄冷材に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のこの種の蓄冷材(蓄冷剤)として、塩化ナトリウム、塩化アンモニウム、塩化マグネシウム等の無機塩の水溶液、またはメタノール、エタノール等のアルコール水溶液、あるいは水溶性高分子に公知のゲル化剤を添加したものがある(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平11−257814号公報(段落「0010」、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上述した従来の蓄冷材は、凍結までに要する時間が長く、保冷に対する有効時間が短いという問題がある。
その結果、例えば、早朝に出発して、夜遅く帰着するようなスケジュールで生鮮品を長距離運送する貨物自動車の荷物室の冷蔵等に用いる場合、当日使用した蓄冷材を帰着してから翌早朝に出発までの間に凍結させることが困難であり、また1日の運送の途中で中に保冷効果が著しく低下してしまうため、このような生鮮品の長距離運送等に適さず、そのため、凍結に要する冷却時間が短く、有効保冷時間が長い蓄冷材が要望されている。
【0004】
本発明は、上記の問題を解決することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
そのため、本発明の蓄冷材は、ペースト状の多糖類誘導体に放射線を照射することにより橋かけ反応を生じさせて前記多糖類誘導体をゲル化し、そのゲル化した多糖類誘導体を乾燥させることにより得られる乾燥ゲルを1〜15%の食塩水に混合したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
このようにした本発明は、橋かけ反応を生じさせた多糖類誘導体を使用しているため凍結に要する冷却時間が短く、有効保冷時間が長いという効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、図面を参照して本発明による蓄冷材の実施例を説明する。
【実施例】
【0008】
近年、安全性や環境保全の観点から、使用後資源として再利用可能な環境に負荷を与えない循環型材料が各分野において求められており、蓄冷材も例外ではなく、そのため植物を素材とする加工品が注目されており、その典型的な材料がセルロースなどの多糖類誘導体である。
セルロースに直接放射線を照射すると、分解が優先して橋かけ反応が起こらないため、ハイドロゲルにならないが、水に溶解するように加工されたつまりカルボキシメチル化された誘導体のカルボキシメチルセルロース(以下、CMC)を水に溶かして10%以上(好ましくは10〜60%)の高濃度のペースト状に調製し、そのペースト状のCMCに放射線照射を行うと、橋かけ反応が起きてゲル化する。
【0009】
このようにゲル化したCMCを乾燥させて水分を除去することによりCMC乾燥ゲルが得られる。
このCMC乾燥ゲルは、純水につけると1グラムが400倍も吸水し、生理食塩水では100倍を吸水するという特性がある。
本実施例における蓄冷材はこのような吸水特性を持つCMC乾燥ゲルを食塩水と混合することによりして製造されるもので、この蓄冷材に用いる乾燥ゲルは、水に溶かして20%の濃度に調整したペースト状CMCに放射線を5kGy程度照射して、乾燥させたものが最も好ましく、0.5mm径程度の大きさに粉砕したものがポリマー同士の融着がなく加工に最も適している。
【0010】
本実施例における蓄冷材は、冷蔵用のものと冷凍用のものがあり、冷蔵用のものとしては、食塩水にCMC乾燥ゲルを0.5%〜10%加えて良く混合することにより凝固点−5℃の蓄冷材を製造することができ、これにプロピレングリコールを1〜20%添加することで凝固点−27℃の冷凍用の蓄冷材を製造することができる。
冷蔵用の蓄冷材として好ましい組成は、1%〜5%の食塩水の中に前記の粉砕したCMC乾燥ゲルの濃度が1%〜5%になるように調整したものであり、更に言えばCMC乾燥ゲルの濃度を3%程度とするのが最も有効である。
【0011】
また、冷凍用の蓄冷材としては、5%〜15%の食塩水にCMC乾燥ゲルを1%〜5%加えて混合した後、プロピレングリコールを10〜20%加えることが好ましい。
本実施例による冷蔵用の蓄冷材と市販の冷蔵用の蓄冷材との凍結及び保冷効果の比較例について説明する。
1%の食塩水にCMC乾燥ゲルを3%添加して作った本実施例の蓄冷材と市販品の蓄冷材(高分子吸水ポリマーを水に溶かして粘性をくわえたもの)を−35℃のファン式冷凍庫で10時間冷却し、それぞれの蓄冷材の温度推移を計測した。
【0012】
図1及び図3はこのときの蓄冷材の温度推移を示すグラフで、各々温度を縦軸に表し、時間を横軸に表している。
図1及び図3においてAは冷凍庫内の温度推移であり、図1におけるBは本実施例による蓄冷材の温度推移、図3におけるCは市販品の蓄冷材の温度推移を示している。
ここで用いた本実施例の蓄冷材は、容器に入れたものを12個、市販品の蓄冷材は容器に入れたものが10個であるが、内容量は本実施例の蓄冷材が約9,042.6g、市販品の蓄冷材が約9,732.7gであり、大きな差が生じないようにした。
【0013】
計測の結果、市販品の蓄冷材は図3に示したように10時間冷却しても−10度に達することができず、凍結が不十分なであるのに対し、本実施例による蓄冷材は図1に示したようにおよそ5時間25分で−10度に達し、凍結に要する時間は市販品の蓄冷材に比べて半分以下の時間で済むことが分かった。
次に、このように10時間冷却した本実施例の蓄冷材を、内寸法が概ね、縦500mm×横900mm×深さ480mmで、板厚約250mmの発泡スチロール製のBOX(箱)内に7個入れ、蓋をして外気温の環境下で9時から24時までの15時間の温度推移を計測し、同様の条件で市販品の蓄冷材の温度推移を計測した。
【0014】
蓄冷材を入れる際のBOX内の温度は外気温と同じにした。
図2及び図4はこのときのそれぞれの蓄冷材とBOX内の温度推移を示すグラフで、各々温度を縦軸、時間を横軸に表している(但し、図4は9時から21時までの12時間分)。
図2におけるBは本実施例による蓄冷材の温度推移、図4におけるCは市販品の蓄冷材の温度推移を示し、また図3及び図4においてDは平均外気温であり、本実施例による蓄冷材の計測時の場合、37.7℃、市販品の蓄冷材の場合は37.3℃である。
【0015】
また、Eはそれぞれの蓄冷材直下部、FはBOX内中心部、GはBOX底部の温度推移を表わしている。
尚、9時00分から18時00分まで、54分毎に10回2分間ずつ蓋を開いた。
計測の結果、市販品の蓄冷材では、図4に示したようにBOXに入れてから4時間足らずで温度が0℃に達し、11時間で8℃に温度が上昇した。また、BOX内の各部の温度は0℃に下がることはなく、11時間で約10℃に上昇した。
【0016】
これに対して本実施例の蓄冷材は、図1に示したようにBOXに入れてから9時間を過ぎるまで温度は0℃以下の温度を保ち、8℃に温度が上昇するまでに15時間を要している。また、BOX内の各部の温度は蓄冷材を入れてから1時間以内で0℃以下達し、0℃に上がるまで4時間ほどかかり、10℃になるのに15時間を要した。
このように本実施例の蓄冷材は、市販品の蓄冷材に比べて凍結に要する冷却時間が短く、有効保冷時間が長いという結果が得られた。
【0017】
これにより、本実施例の蓄冷材は、凍結に要するエネルギーが節約でき、作業効率の改善にも繋がるので、医療分野、食品分野の保存、運搬等の際の冷蔵、冷凍用の蓄冷材とし有効に利用できるという効果が得られる。
また、本実施例の蓄冷材は、橋かけ処理したCMC乾燥ゲルと食塩水を主成分とするため、使用後資源として再利用可能であり、環境に対してもあまり負荷を与えないという効果も得られる。
【産業上の利用可能性】
【0018】
本発明の蓄冷材は、凍結までに要する時間が短く、保冷に対する有効時間が長いので、例えば早朝に出発し、夜遅く帰着するようなスケジュールで生鮮食品や冷凍品等を長距離運送する貨物自動車に利用する冷蔵用、冷凍用の蓄冷材として極めて有効なものとなる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】実施例による蓄冷材の冷却時における温度推移を示すグラフ
【図2】実施例による蓄冷材の保冷時における温度推移を示すグラフ
【図3】市販品の蓄冷材の冷却時における温度推移を示すグラフ
【図4】市販品の蓄冷材の冷却時における温度推移を示すグラフ
【出願人】 【識別番号】506080898
【氏名又は名称】ティエヌケイ東日本株式会社
【出願日】 平成18年3月8日(2006.3.8)
【代理人】 【識別番号】100069615
【弁理士】
【氏名又は名称】金倉 喬二


【公開番号】 特開2007−238735(P2007−238735A)
【公開日】 平成19年9月20日(2007.9.20)
【出願番号】 特願2006−62100(P2006−62100)