|
|
【発明の名称】 |
アスベスト類に対する防塵材及び処理方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】居上 穣 【氏名】居上 英雄 |
【課題】
【解決手段】 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 アスベストないしはアスベストを含む製品及び構造物を解砕又は解体前に湿潤させ、かつ大気温度では容易に蒸発脱水せず、長期にわたって湿潤状態を維持する防塵液として、塩化カルシウム,塩化マグネシウム,硫酸ソ−ダ,炭酸ソ−ダ,硫酸マグネシウムのうちより選ばれた1又は2以上を用い、水溶液としたことを特徴とするアスベスト類無害化防塵液。 【請求項2】 アスベストないしはアスベストを含む製品及び/又は構造物に、予め塩化カルシウム、塩化マグネシウム,硫酸ソ−ダ,炭酸ソ−ダ,硫酸マグネシウムのうちより選ばれた1種又は2種以上のものを10〜30重量%の濃度の水溶液とした防塵液体を吹き付け、浸透し充分湿潤させた後、解体ないし解砕することを特徴とするアスベスト類に対する無害化処理方法。 【請求項3】 前記アスベスト類無害化処理方法により解体され回収された湿潤物を更に10mm以下に解砕したものに10%〜20%(重量%)の珪酸ソ−ダを添加し、混合した後、圧縮減容して、非飛散性のアスベストを含む成形体としたことを特徴とする請求項2に記載のアスベスト類に対する無害化処理方法。 【請求項4】 前記アスベスト類に対する無害化処理方法により得られた成形体を、900〜1100℃の範囲の温度で焼成して、無害化に変性することを特徴とする請求項2又は3に記載のアスベスト類に対する無害化処理方法。 【請求項5】 前記非飛散性のアスベスト類を含む板状成形体は、前記防塵液により湿らせて解体し、回収した後、粉砕、破砕することなく原形のまま表面に珪酸ソ−ダ10%〜20%液を塗布した後、焼成炉において900℃〜1100℃の温度で焼成し、無害化することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のアスベスト類に対する無害化処理方法。
|
【発明の詳細な説明】【技術分野】 【0001】 本発明は、近時アスベストの健康被害に対し、政府の強力な対策が要望されているテ−マにおいて、まず解体や破砕作業時における飛散防止の為、大気温度では飛散することなく、湿潤状態で作業をする為の防塵剤と解体現場において圧縮減容及び硬化させて回収し更に800℃以上に加熱処理をしてアスベストを変性し、無害化されたリサイクル原料とする防塵材と処理方法に関するものである。 【背景技術】 【0002】 石綿障害予防規制が制定され、アスベスト含有物質の解体時、水を吹き付けて湿潤させてから、解体、剥離するなどの方法がとられているが、更に問題は、アスベストに一旦、吸着された水は、大気温度域でも数時間で容易に蒸発脱水し粉塵化して有害性が持続するものである。 【0003】 また、アスベストを含む解体処理物を粉砕し、フラックス剤を加えて組成を調整した後焼成し、ガラス化して処理する方法も、新聞紙上で報じられているが、もともとこの粉砕の工程でアスベストが粉塵として飛び散り、この上なく有害である上、焼却炉内においても加熱過程で分解して排気ガス中にアスベスト繊維が残留するなどの問題点がある。 【0004】 従って、近時特にこのアスベスト被害による職業病が、新聞、テレビ、ラジオでもしきりに報道されており、原因は明確になってきたが、よりよい対策が不明のまま、問題が未解決の状態で、現今社会において国民の健康上、依然大問題となっている。 【0005】 更にまた海外特に米国においても、アスベスト健康被害で巨額の損害賠償訴訟が起こっており、世界中にアスベスト被害問題が広がり、この面の技術は全世界において未解決であるという背景、並びに以下にも説明するようないずれの従来技術によっても、このアスベストの無害化技術は未だにないという背景が存在しているということである。 【従来の技術】 【0006】 アスベスト処理に関する特許は、沢山の技術が公開されているが、まず解体時の飛散防止に関するものには以下のようなものがある。 特願平10−515613号,特願平10−515609号,特願平9−151515号特願平4−222015号などがあり、特願平4−222015号によれば、被処理体に水分を充分含浸させる為、界面活性剤水溶液を使用する方法では、充分な吸水性は得られるが、保水性がない為、過剰の水が表面から流れ落ち、有機質の糊剤などの保水剤を併せて使用するものである。 【0007】 飛散性及び非飛散性のアスベストを含む材料の無害化処理に関するものは、本発明者による特願平7−265893号、特願平1−171685号、特開2005−168632号、特願平10−515613号及び特願平10−515609号、特許第3198148号などがある。 特に、特願平10−515613号によれば、リン酸30%を1%から4%のフツ化物を含む液で処理してセメンタイトへ転化させる方法が公開されている。 また、特開2005−168632号のようにアルカリ珪酸塩等を加えて800℃以上に加熱してガラス化する方法、特許第3198148号では、600〜1450℃で加熱して変性し、水硬性の物質に変換する方法などが知られているが、特に本発明に多少の関係があるものとして下記特許文献を記載する。 【0008】 【特許文献1】特願平4−222015号公報(第1,2頁) 【特許文献2】特願平9−151515号公報(第1,2頁) 【特許文献3】特願平10−515613号公報(第1,2頁) 【特許文献4】特願2003−410145号公報(第1,2頁) 【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】 【0009】 しかしながら、従来技術、例えば特願平4−222015は石綿飛散防止処理剤及びその処理方法についてのものであるが、この方法に使用する、酢酸ビニ−ル−アクリル酸エステル共重合体、アクリル樹脂等の合成樹脂等のコストは非常に高い。その上、単にアスベストの飛散を防止し石綿を封じ込めるだけでは、大部分の変質されないアスベストが、それらの構造物なり、廃棄物中に残るもので、高価な処理費をかけたにもかかわらず、有毒性が残存するという重大な欠点がある。 【0010】 次に、特願平9−151515は、粉塵飛散防止方法であるが、保水剤として、デンプン系、セルロ−ス系、アクリル系等の高価な有機系薬剤を用いる上に、更に増粘剤等を加える必要があるので、益々コスト高となる問題点がある。その上アスベスト自体は変質されてはいないから、アスベストを含む剥離物、廃棄物をそのままにすれば、2次的有毒公害を引き起こすという、大きな欠点を有するものである。 【0011】 また、特願平10−515613はアメリカ特許であつて、石綿を除去するための組成物及び方法であるが、石綿をセメンタイト状材料に転化するために、リン酸及びフツ化物イオン源等を使用する方法の特許である。しかしながら、フツ化イオン源となる薬剤は高価な上にこれ自体が危険物であって、有害である上に、これを用いる現場作業には、相当の資格を有する化学技術者も必要となり、人件費も高くなり、経済的ハイレベルのアメリカだけに通用する技術であって、他の一般国内では実施不能の方法であるという欠点を有している。 【0012】 更に、特願2003−410145号は、フロンの分解処理において発生したフツ化カルシウムを低温焼結目的のフラックスとして使用する方法であるが、加熱焼成過程の300℃〜500℃の低温度域で焼結反応が始まる前にはアスベスト混合物は完全な乾燥体となる。従って、炉内雰囲気の気流内にアスベスト繊維が飛散して、大気中へ放出されるという危険性を有するという大欠点がある。更には回収したアスベスト含有物を工場内に持ち込んで粉砕し、混合することは工場内の環境保全が極めて困難であり、従業員の健康に有害であるという問題点がある。 【0013】 本発明は、上記従来技術の諸欠点を除去し問題点を解決して、危険な薬剤を使用せず、安全にかつ安価にアスベストに対する無害化を行なう最も進歩した独創的技術を創造し、提供することを目的とし、かつ解決することを課題とするものである。 【課題を解決するための手段】 【0014】 本発明は上記課題を解決するため次の手段を創始した。その特徴は次の通りである。 第1の手段の特徴はアスベストないしはアスベストを含む製品及び構造物を解砕又は解体前に湿潤させ、かつ大気温度では容易に蒸発脱水せず、長期にわたって湿潤状態を維持する防護剤として、塩化カルシウム,塩化マグネシウム,硫酸ソ−ダ,炭酸ソ−ダ,硫酸マグネシウムのうちより選ばれた1又は2以上を用い水溶液としたアスベスト類無害化防塵液であることである。 【0015】 次に、本発明の第2の手段の特徴はアスベストないしはアスベストを含む製品及び/又は構造物に、予め塩化カルシウム、塩化マグネシウム,硫酸ソ−ダ,炭酸ソ−ダ,硫酸マグネシウムのうちより選ばれた1種又は2種以上のものを10〜30重量%の濃度の水溶液とした防塵液を吹き付け、充分湿潤させた後、解体ないし解砕するものであるアスベスト類に対する無害化処理方法であることである。 【0016】 かつまた、本発明の第3の手段の特徴は、前記アスベスト類無害化処理方法により解体され、回収された湿潤物を解体現場において10%〜20%(重量%)の珪酸ソ−ダを添加、混合した後、圧縮減容して成形体としたアスベスト類に対する無害化処理方法であることである。 【0017】 更に、本発明の第4の手段の特徴は前記アスベスト類に対する無害化処理方法により得られた成形体を、900〜1100℃の範囲の温度で焼成して、無害化に変性するアスベスト類に対する無害化処理方法であることである。 【0018】 更にまた、本発明の第5の手段の特徴は、前記非飛散性のアスベスト類を含む板状成形体が、前記防塵液により湿らせて解体し、回収した後、粉砕、破砕することなく原形のまま表面に珪酸ソ−ダ10%〜20%液を塗布した後、焼成炉において900℃〜1100℃の温度で焼成し、無害化するものであるアスベスト類に対する無害化処理方法であることである。 【発明の効果】 【0019】 1)本発明は、まずアスベストまたはアスベストを含む構造物を解体し、剥離する際に前記請求項1及び2に示す塩類水溶液を含浸させて湿潤状態とすると、少なくとも大気温度;50℃以下の条件下においても、数週間は繊維質アスベストが飛散しない湿潤状態を保つことが出来るものである。 2)従って、該材料全体が湿潤状態に保たれるので、繊維質アスベストが飛散しない状態であるから、アスベスト使用建造物等の建て直しに伴う廃棄物の処理の際有害なるアスベストの粉塵の発生を完全に防護することが出来る大きな効果が得られる。 3)本発明のアスベスト防護作業の使用材料はいずれも無機の簡単な化合物であって、値段も安いから、従来の有機薬品使用の方法より、極めて低コストでアスベスト防護が出来るという顕著な効果を奏する。 4)上記の粉塵飛散のないアスベスト廃棄材料を、必要により珪酸ソ−ダ等の副材料を添加し900℃以上で焼成変性することにより、アスベストを無害化すると同時に新建材を製造することも出来るから、本発明は2重の効果をも有するものである。 【発明を実施するための最良の形態】 【0020】 本発明の実施の最良の形態は、まずアスベスト含有物の剥離解体作業における有害粉塵の飛散防止は、如何に充分な難蒸発水分を与えて、これらが蒸発脱水しないように水分を長期保水出来るかが解決の要点であり、こらが最良の形態である。一般にアスベストを含む耐火被覆材は、セメントなどのバインダ−を固結材として吹きつけたものであり、吹き付け固化時に形成されたマクロ気孔からミリサイズの多量の気孔と、アスベスト材料特有のマクロ気孔以上の気孔では、物理的吸引力は弱く、水滴として離脱するか、或いは容易に大気圧気温条件で蒸発して粉化しやすいものとなる。 本発明の防塵材(アスベスト防護材)は、大気条件で風速3m/sec程度の気流中で飛散しない程度の含水率を長期間、少なくとも10日以上保つことが出来る湿潤材料となるので最良の形態であり、従来技術に比し最高の方法である。 更には、かさ比重の小さい解体物は圧縮成形減容化して、処理コストの低減が可能であり益々最良の形態となる。 【実施例1】 【0021】 本発明の実施上の第1の課題であるアスベスト有害粉塵飛散防止の水溶液は、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、硫酸ソ−ダ、硫酸マグネシウム、炭酸ソ−ダのうちより選ばれた1又は2種以上の材料の10〜30重量%の濃度の水溶液を使用する。10%未満ではアスベストに未反応分が多くなり、30%を超えるとこれらの混入材料が過剰となるからである。これらの効果を実証する為、以下の様な実験を行なった。 アスベスト乾燥物に水を加えて、含水率50重量%、30重量%、20重量%のサンプルを造り、風速2〜3m/secの気流下に置いて約1分間後の重量減少を測定したところ含水率20%のものは水分の蒸発も含めて2〜3%の減量を示したが、30%及び50%の水分を含むものは約0.2〜0.3%の水分脱水減量しかなかった。これらの実験から含水率は少なくとも30重量%以上保水したものがアスベスト粉塵の飛散を防止出来ることを確信した。 更に、塩化カルシウム10重量%、30重量%水溶液を含水率40%に調整したサンプルを同様に2〜3m/secの風速下で30分間処理したところ、10%水溶液のものは、含水率24%まで減量したが、30%水溶液のものは31.5%の含水率であり、何れも湿潤した状態であった。更に30%液処理物は大気中に静置して3週間経過したものが、飽和状態として安定し、大気湿度を吸着して水分の増加する状態となった。 請求項1,2に示す塩類は何れも潮解性を示し、多量の水に溶解し、かつ過飽和水溶液を造る物質であり、更に高い沸点を持ち、温浴用として用いられるように、本実施例においても容易に蒸発しないことがわかった。 【実施例2】 【0022】 本発明の実施上の第2の課題は成形回収された成形体を900℃以上で焼成してアスベスト結晶を変性し無害化するものであるが、焼成炉内において、脱水乾燥時にアスベストが炉内へ飛散しないように注意して行なう。アスベストは、3Mg3 SiO2 (OH)4 の組成から成る針状結晶鉱物であり、鉱物学的理論においても、900℃以上で変態してMgOSiO2 (クリノエンスタタイト)とSiO2(クリストバライト)となるものであるが回収した処理物が焼成処理の間、飛散させないようにする。 【0023】 前記請求項3に示す成形時に珪酸ソ−ダを約10重量%添加して成形した成形体を実験用の炉内へ入れて昇温による変化を観察すると、まず炉内温度300℃で取り出して観察すると、水分は完全に脱水しているが、添加した珪酸ソ−ダは水蒸気と共に被熱体の表面に移動して、濃縮された硬化膜で包まれた状態であった。更に、炉内へ入れて600℃で取り出して観察すると、表皮として包んでいる珪酸ソ−ダ膜は、アスベスト含有体と表皮部分で反応して、溶融が始まり発泡した硬い膜で包まれた状態であった。従って、加熱脱水期に脱水分解して繊維状態で炉内へ飛散する可能性はないことが明らかとなった。 また、成形時に添加する珪酸ソ−ダが10%未満の場合は、上記実験における表皮膜の形成が不充分であり、また20%を超えて加えると900℃以上で溶着し、成型物の処理が困難となった。 【実施例3】 【0024】 1)剥離解体する部位のアスベスト吹き付け材に、塩化カルシウムの20%水溶液をスプレ−ガンで吹き付け、吸着させるが、これらの吹き付け材はセメント、或いは無機質バインダ−により硬化させている為、基材との接着面まで水分を吸収しているかを確認するまで注水する。充分吸水・湿潤させたものは、湿潤状態のまま解砕し、珪酸ソ−ダを重量比10〜20%加えて混合したものは、簡易な圧縮成形設備でブリケット状に加圧成形して容積を約1/3に減容化して搬出する。この減容化により、運搬費等の処理コストを大幅に削減できる。 2)成形体として回収されたものは、リサイクル工場において、湿潤状態のまま焼成用トレ−の上へ並べて900〜1100℃で焼成して変質させる。 【実施例4】 【0025】 非飛散性スレ−ト等の成形品に関する実施は次のように行なう。 1)スレ−ト屋根材の解体時には下地基材との結着部分に前記防塵材の10〜30%水溶液を予め吹き付けて吸水させ、必要によりスプレ−をかけながら解体作業を行ない、飛散を防止する。 2)解体品は少なくとも表面部を湿潤状態として処理場へ搬入し、保管する。 3)回収された板状材料は、処理工場へ搬入しそのまま破砕、粉砕されることなく表面に珪酸ソ−ダ水溶液を吹き付けた後、焼成炉へ入れて900℃〜1100℃で焼成して変成させる。
|
| 【出願人】 |
【識別番号】000129611 【氏名又は名称】株式会社クレー・バーン技術研究所 【識別番号】593177631 【氏名又は名称】堀口 直樹
|
| 【出願日】 |
平成17年11月8日(2005.11.8) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100083736 【弁理士】 【氏名又は名称】田中 貞夫
|
| 【公開番号】 |
特開2007−131656(P2007−131656A) |
| 【公開日】 |
平成19年5月31日(2007.5.31) |
| 【出願番号】 |
特願2005−323168(P2005−323168) |
|