トップ :: C 化学 冶金 :: C09 染料;ペイント;つや出し剤;天然樹脂;接着剤;他に分類されない組成物;他に分類されない材料の応用




【発明の名称】 フミン質分散液
【発明者】 【氏名】神谷 有喜子

【氏名】秦 英夫

【氏名】佐久間 健一

【氏名】伊佐 尚

【氏名】木村 朝

【要約】 【課題】本発明は、分散性が良好なフミン質分散液を提供することを目的とする。

【解決手段】フミン質分散液は、フミン質及びフミン質の誘導体の少なくとも一方を少なくとも粉砕することにより得られる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フミン質及びフミン質の誘導体の少なくとも一方が分散媒に分散されているフミン質分散液であって、
該フミン質及びフミン質の誘導体の少なくとも一方を少なくとも粉砕することにより得られることを特徴とするフミン質分散液。
【請求項2】
前記分散媒は、水性溶媒を含有することを特徴とする請求項1に記載のフミン質分散液。
【請求項3】
前記フミン質及びフミン質の誘導体の少なくとも一方のメジアン径は、0.05μm以上10μm未満であることを特徴とする請求項1又は2に記載のフミン質分散液。
【請求項4】
前記フミン質及びフミン質の誘導体の少なくとも一方は、メジアン径が0.05μm以上5μm以下であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載のフミン質分散液。
【請求項5】
分散剤を含有しないことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載のフミン質分散液。
【請求項6】
前記粉砕は、湿式粉砕であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載のフミン質分散液。
【請求項7】
前記フミン質及びフミン質の誘導体の少なくとも一方の含有量は、1重量%以上50重量%以下であることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載のフミン質分散液。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、フミン質分散液に関する。
【背景技術】
【0002】
溜め池、釣堀、水槽等の貯水池、テーマパーク用の用水路、人口池等に黄褐色から黒色の色調を付与し、自然な場の雰囲気を醸し出すためには、黒色酸化鉄、黄酸化鉄、ベンガラ等の金属酸化物やカーボンを添加する方法が考えられる。しかしながら、金属酸化物は、一般に中性領域に等電点があることから、水中で凝集しやすい傾向にある。また、比重が大きいことから、沈降しやすい傾向にある。一方、カーボンは、疎水性が強いことから、水に分散させることが困難である。
【0003】
一方、黄褐色から黒色の色調を有する物質として、フミン質が知られている。フミン質は、その物理的及び/又は化学的性質を利用して、建材(特許文献1参照)、汚水の浄化剤(特許文献2参照)、土壌の浄化剤(特許文献3参照)、土壌改質剤(特許文献4参照)、化粧料(特許文献5参照)等として、主に使用されている。
【0004】
フミン質は、水性溶媒に分散させると、水性溶媒中の含有量に依存して、色調が変化し、自然界の風合いを醸し出す。しかしながら、工業的に産出されるフミン質は、塊状の固体であるため、水性溶媒中に分散させても沈降が速いという問題がある。
【特許文献1】特開平8−277174号公報
【特許文献2】特開平10−277586号公報
【特許文献3】特開2003−145127号公報
【特許文献4】特開平5−023047号公報
【特許文献5】特許第3370289号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記の従来技術が有する問題に鑑み、分散性が良好なフミン質分散液を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明は、フミン質及びフミン質の誘導体の少なくとも一方が分散媒に分散されているフミン質分散液であって、該フミン質及びフミン質の誘導体の少なくとも一方を少なくとも粉砕することにより得られることを特徴とする。
【0007】
請求項1に記載の発明によれば、該フミン質及びフミン質の誘導体の少なくとも一方を少なくとも粉砕することにより得られるので、分散性が良好なフミン質分散液を提供することができる。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のフミン質分散液において、前記分散媒は、水性溶媒を含有することを特徴とする。
【0009】
請求項2に記載の発明によれば、前記分散媒は、水性溶媒を含有するので、水性溶媒を主成分とする組成物の添加剤として用いることができる。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載のフミン質分散液において、前記フミン質及びフミン質の誘導体の少なくとも一方のメジアン径は、0.05μm以上10μm未満であることを特徴とする。
【0011】
請求項3に記載の発明によれば、前記フミン質及びフミン質の誘導体の少なくとも一方のメジアン径は、0.05μm以上10μm未満であるので、分散性をさらに向上させることができる。
【0012】
請求項4に記載の発明は、請求項1乃至3のいずれか一項に記載のフミン質分散液において、前記フミン質及びフミン質の誘導体の少なくとも一方は、メジアン径が0.05μm以上5μm以下であることを特徴とする。
【0013】
請求項4に記載の発明によれば、前記フミン質及びフミン質の誘導体の少なくとも一方は、メジアン径が0.05μm以上5μm以下であるので、分散性をさらに向上させることができる。
【0014】
請求項5に記載の発明は、請求項1乃至4のいずれか一項に記載のフミン質分散液において、分散剤を含有しないことを特徴とする。
【0015】
請求項5に記載の発明によれば、分散剤を含有しないので、環境や人体への安全性を向上させると共に、気泡の発生を抑制することができる。
【0016】
請求項6に記載の発明は、請求項1乃至5のいずれか一項に記載のフミン質分散液において、前記粉砕は、湿式粉砕であることを特徴とする。
【0017】
請求項6に記載の発明によれば、前記粉砕は、湿式粉砕であるので、粉砕効率を向上させることができる。
【0018】
請求項7に記載の発明は、請求項1乃至6のいずれか一項に記載のフミン質分散液において、前記フミン質及びフミン質の誘導体の少なくとも一方の含有量は、1重量%以上50重量%以下であることを特徴とする。
【0019】
請求項7に記載の発明によれば、前記フミン質及びフミン質の誘導体の少なくとも一方の含有量は、1重量%以上50重量%以下であるので、再分散性の良好なフミン質分散液を得ることができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、分散性が良好なフミン質分散液を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
次に、本発明を実施するための最良の形態を説明する。
【0022】
本発明のフミン質分散液は、フミン質及びフミン質の誘導体の少なくとも一方が分散媒に分散されており、フミン質及びフミン質の誘導体の少なくとも一方を少なくとも粉砕することにより得られる。このようなフミン質分散液は、黄褐色から黒色の色調を有するため、該色調を付与する添加剤として用いることができる。フミン質とは、植物等の微生物最終分解生成物で、直鎖炭化水素と多環芳香族化合物の分子量数千から1万程度の難分解性高分子化合物であり、市販のフミン質粉末を原料として用いることができる。なお、フミン質の誘導体としては、特開昭61−87609号公報、特開昭61−87610号公報、特開昭61−87611号公報、特開昭61−87612号公報に記載されているニトロ化されたフミン酸の塩、エステル等が挙げられる。
【0023】
本発明において、分散媒は、水性溶媒を含有することが好ましい。これにより、水性溶媒を主成分とする組成物の添加剤として用いることができる。水性溶媒としては、水;リン酸緩衝液、酢酸緩衝液、乳酸緩衝液、クエン酸緩衝液等の緩衝液;エタノール、ブタノール等のアルコール;アセトン等が挙げられる。なお、水性溶媒は、単独又は二種以上混合して用いることができる。
【0024】
一般的に微粒子を分散媒中に安定分散させて濃濁液を調製するときは、分散剤を使用するが、攪拌されたり流動したりするときに、分散剤が含まれていると、泡が発生することがある。このため、本発明のフミン質分散液は、環境や人体への安全性を向上させると共に、気泡の発生を抑制するために、分散剤を含有しないことが好ましく、この場合、フミン質及びフミン質の誘導体の少なくとも一方及び水性溶媒からなる構成とすることができる。なお、分散剤を含有する構成としてもよく、分散剤としては、イオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、両性界面活性剤、水溶性高分子、高分子電解質等が挙げられる。
【0025】
本発明のフミン質分散液において、フミン質及びフミン質の誘導体の少なくとも一方の含有量は、1重量%以上50重量%以下であることが好ましく、5重量%以上30重量%以下がさらに好ましい。含有量が1重量%未満であると、水性溶媒を主成分とする組成物に添加して用いる場合に、色調を付与する効果が小さくなることがあり、50重量%を超えると、粘度が高くなり、湿式粉砕に適さないことがある。
【0026】
本発明のフミン質分散液において、フミン質及びフミン質の誘導体の少なくとも一方のメジアン径は、0.05μm以上10μm未満であることが好ましく、0.05μm以上5μm以下がさらに好ましい。また、メジアン径が0.05μm以上5μm以下である場合は、粒子径が0.1μm以上8μm以下である粒子を90体積%以上100体積%以下含有することが好ましい。メジアン径が0.05μm未満では、フミン質分散液を添加して色調を付与する際に、濁りが発生しにくくなることがある。また、メジアン径が10μmを超えると、フミン質分散液の分散性が低下することがある。ここで、メジアン径とは、粒子体の一つの集団の全体積を100%として累積曲線を求めた時、累積曲線が50%となる点の粒子径(累積平均径)であり、粒度分布を評価するパラメータの一つとして、一般的に利用されている。なお、メジアン径は、レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置マイクロトラック粒度分布測定装置9320−HRA(日機装社製)等を用いて測定することができる。
【0027】
本発明において、フミン質は、公知の粉砕方法を用いて粉砕することができる。公知の粉砕方法としては、乾式粉砕法、湿式粉砕法及びこれらの組み合わせが挙げられるが、湿式粉砕法を用いることが好ましい。これにより、粒子径分布を狭くすることができる。
【0028】
乾式粉砕法に用いる粉砕機としては、ジェットミル、振動ミル、パルペライザー等を用いることができる。
【0029】
湿式粉砕法に用いる粉砕機としては、媒体攪拌ミルを用いることができ、具体的には、ビーズミル、サンドグラインダーミル、ボールミル、マイクロス等が挙げられる。媒体攪拌ミルでは、ガラスビーズ、アルミナビーズ、ジルコニアビーズ、チタニアビーズ等の媒体を用いることができ、フミン質及びフミン質の誘導体の少なくとも一方と溶媒の混合物と媒体を有する粉砕容器を回転ディスク又はローターを用いて回転させることにより、粉砕することができる。なお、溶媒としては、前述の水性溶媒を用いることができる。
【0030】
上記混合物中のフミン質及びフミン質の誘導体の少なくとも一方の含有量は、特に限定されないが、1重量%以上50重量%以下であることが好ましく、5重量%以上30重量%以下がさらに好ましい。粉砕前のフミン質及びフミン質の誘導体の少なくとも一方のメジアン径は、特に限定されないが、1μm以上500μm以下であることが好ましく、1μm以上100μm以下がさらに好ましい。また、媒体の直径は、0.1mm以上5mm以下であることが好ましい。粉砕温度は、特に限定されないが、50℃以下であることが好ましく、30℃以下がさらに好ましい。
【0031】
本発明のフミン質分散液は、分散状態を良好に保つためにコロイドミル、TKホモミキサー、高圧ホモゲナイザー、超高圧ホモゲナイザー等の装置を用いて均質化処理を施してもよい。
【0032】
なお、本発明のフミン質分散液は、水性溶媒を主成分とする組成物に黄褐色から黒色の色調を付与する添加剤として用いることができるが、この他に紙、建材、繊維、木材等の染色の用途に用いることができる。
【実施例】
【0033】
以下、本発明による実施例を示す。なお、本発明は、これらに限定されるものではない。
(比較例1)
パルペライザーを用いてフミン質を乾式粉砕した後、含有量が40重量%となるように水中に懸濁させた。
(実施例1〜6)
パルペライザーを用いてフミン質を乾式粉砕した後、含有量が40重量%となるように水中に懸濁させた。次に、得られた懸濁液を、直径1mmのジルコニアビーズを充填したサンドグラインダーミルを用いて湿式粉砕し、表1に示すフミン質分散液を調製した。
【0034】
【表1】


(評価方法及び評価結果)
フミン質分散液のメジアン径は、マイクロトラック粒度分布測定装置9320−HRA(日機装社製)を用いて測定した。
【0035】
沈降度は、フミン質分散液を9ppmに希釈した直後の濁度と、1日静置後の上澄み液の濁度を比較することにより評価した。濁度の変化率が30%未満のものを○、30%以上60%未満のものを△、60%以上のものを×として、判定した。なお、濁度は、積分球式濁度計TR−35(三菱化成社製)を用いて測定した。
【0036】
透視度は、水中の濁りの程度を示す指標で、フミン質分散液を9ppmに希釈した後、透視度計ST−100(アズワン社製)を用いて測定した。
【出願人】 【識別番号】000001959
【氏名又は名称】株式会社資生堂
【出願日】 平成17年6月28日(2005.6.28)
【代理人】 【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦


【公開番号】 特開2007−8981(P2007−8981A)
【公開日】 平成19年1月18日(2007.1.18)
【出願番号】 特願2005−188367(P2005−188367)