トップ :: C 化学 冶金 :: C08 有機高分子化合物;その製造または化学的加工;それに基づく組成物




【発明の名称】 ポリアセタール樹脂組成物
【発明者】 【氏名】岡村 顕

【氏名】長井 聡

【要約】 【課題】従来のポリアセタール樹脂に較べて、更に熱安定性の向上されたポリアセタール樹脂を提供すること。

【解決手段】ポリアセタール樹脂100重量部に対して、(A)立体障害性フェノール0.01〜5.0重量部、(B)アミン置換トリアジン化合物0.01〜5.0重量部及び(C)3価の有機リン化合物0.005〜5.0重量部を配合してなるポリアセタール樹脂組成物。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリアセタール樹脂100重量部に対して、(A)立体障害性フェール0.01〜5.0重量部、(B)アミン置換トリアジン化合物0.01〜5.0重量部及び(C)3価の有機リン化合物0.005〜5.0重量部を配合してなるポリアセタール樹脂組成物。
【請求項2】
立体障害性フェノール(A)が、トリエチレングリコール−ビス−3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオネート、ペンタエリスリチル−テトラキス−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート及び1,6−ヘキサンジオール−ビス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕から選ばれたものである請求項1のポリアセタール樹脂組成物。
【請求項3】
アミン置換トリアジン化合物(B)が、メラミン、メラミン樹脂、CTUグアナミン(3,9−ビス[2−(3,5−ジアミノ−2,4,6−卜リアザフェニル)エチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン)、及びCMTUグアナミン(3,9−ビス[1−(3,5−ジアミノ−2,4,6−卜リアザフェニル)メチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン)から選ばれたものである請求項1のポリアセタール樹脂組成物。
【請求項4】
3価の有機リン化合物(C)が、トリフェニルホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン及びトリベンジルホスフィンから選ばれたものである請求項1記載のポリアセタール樹脂組成物。
【請求項5】
ポリアセタール樹脂が、トリオキサン(a)と、エチレンオキシド、1,3-ジオキソラン、1,4-ブタンジオールホルマール及びジエチレングリコールホルマールから選ばれた環状エーテル化合物(b)とを、三フッ化ホウ素またはその配位化合物、ヘテロポリ酸、パーフルオロアルキルスルホン酸またはその誘導体から選ばれた触媒を用いて共重合することにより得られたポリアセタール共重合体である請求項1記載のポリアセタール樹脂組成物。
【請求項6】
さらに、ポリアセタール樹脂100重量部に対して、(D)無機アルカリ金属化合物または無機アルカリ土類金属化合物0.001〜5.0重量部を配合してなる請求項1記載のポリアセタール樹脂組成物。
【請求項7】
無機アルカリ金属化合物または無機アルカリ土類金属化合物(D)が、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、炭酸カルシウム、水酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、及び酸化マグネシウムから選ばれたものである請求項6のポリアセタール樹脂組成物。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本願発明は、熱安定性の改良された新規なポリアセタール樹脂組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ポリアセタール樹脂は、物理的性質(例えば、耐摩擦摩耗性、耐疲労性、電気的性質など)および化学的性質(例えば、耐薬品性や耐水性など)に優れているため、主として金属代用分野において使用され、例えば、電気・電子分野や建築分野、並びに、自動車産業や雑貨分野などの部品等として使用されている。
【0003】
ポリアセタール樹脂は、他のポリマーに比較してその分子構造に由来する熱安定性が悪い。成形加工における熱酸化の条件下で、ポリマー分子末端からの解重合、主鎖の切断などの熱酸化分解が発生するが、熱酸化分解により発生するホルムアルデヒドがさらに酸化されギ酸となり、ポリマーの熱酸化分解を促進する。そのため、ポリアセタール樹脂の熱安定性の改良には、従来よりポリマー連鎖切断により、また、酸化されたポリマー分子中におけるヒドロペルオキシドなどの分解により発生するラジカルを捕捉するために、酸化防止剤、特に、ヒンダードフェノール類の酸化防止剤を添加する。
【0004】
ポリマー分解により発生するホルムアルデヒドを捕捉するために、メラミン、尿素、各種のポリアミドなどのホルムアルデヒド受容体を添加する。また、ホルムアルデヒドの酸化により生成するギ酸を捕捉するため、アルカリまたはアルカリ土類金属化合物などのギ酸受容体を添加することが提案されている。たとえば、熱酸化により切断されたポリマーの脱ホルムアルデヒド反応などを阻止すると同時に、ホルムアルデヒドやギ酸の捕捉を行う方法、即ち、酸化防止剤とホルムアルデヒド受容体、或は、酸化防止剤とギ酸受容体を併用する方法が知られていた(特許文献1、特許文献2および特許文献3参照)。また、酸化防止剤、ホルムアルデヒド受容体とギ酸受容体を併用する方法などが知られている(特許文献4、特許文献5、特許文献6および特許文献7参照)。
【特許文献1】特公昭40−21148号公報
【特許文献2】特開昭59−191753号公報
【特許文献3】特公昭60−56748号公報
【特許文献4】特公昭56−10939号公報
【特許文献5】特開昭57−102943号公報
【特許文献6】特公昭60−84348号公報
【特許文献7】特公昭62−4422号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の技術によっては、ポリアセタール樹脂の熱安定性はある程度は改良されるものの、必ずしも十分でないので、更なる熱安定性の向上されたポリアセタール樹脂を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願発明者らは、熱安定性向上のために、ポリアセタール樹脂組成物について鋭意検討を行った結果、ポリアセタール樹脂に、立体障害性フェノール、アミン置換トリアジン化合物と共に、3価の有機リン化合物を添加・配合して、均一に溶融混練することによって、本来有しているポリアセタール樹脂の優れた耐摩擦摩耗性や耐疲労性、および、耐薬品性や電気的性質を損なうことなく、熱安定性に極めて優れた新規なポリアセタール樹脂組成物を得ることができるとの知見を得て、更に、技術的改良と再現性の確認実験を行い、本願発明を完成させた。
【0007】
即ち、本発明は、ポリアセタール樹脂100重量部に対して、(A)立体障害性フェノール0.01〜5.0重量部、(B)アミン置換トリアジン化合物0.01〜5.0重量部及び(C)3価の有機リン化合物0.005〜5.0重量部を配合してなるポリアセタール樹脂組成物に関するものである。
【発明の効果】
【0008】
本願発明のポリアセタール樹脂組成物は、ポリアセタール樹脂に、(A)立体障害性フェノール、(B)アミン置換トリアジン化合物及び(C)3価の有機リン化合物を添加・配合して、均一に溶融混練してなる新規なポリアセタール樹脂組成物である。本願発明のポリアセタール樹脂組成物は、極めて優れた熱安定性を有しており、しかも、本来有しているポリアセタール樹脂の優れた耐摩擦摩耗性や耐疲労性、および、耐薬品性や電気的性質を損なうことなく、各種のポリアセタール成形品の材料として好適に用いることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本願発明において用いられるポリアセタール(ポリオキシメチレン)樹脂とは、オキシメチレン単位の繰返しをポリマー骨格の主たる構成要素とするポリマーを総称するものであり、ポリアセタールホモポリマー、ポリアセタールコポリマー、ポリアセタールターポリマー、更には、ポリマー骨格中或いは末端にオキシメチレン単位以外のブロック構造単位が導入されたポリアセタールブロックコポリマーやポリアセタールグラフトコポリマー等が挙げられる。また、その分子構造は直鎖構造に限らず、分岐構造や架橋構造を有するものであってもよい。
【0010】
本発明においては、熱安定性の観点から、ポリアセタール樹脂としてポリアセタール共重合体を用いるのが好ましい。かかるポリアセタール共重合体は公知の方法によって製造することができ、例えば、ホルムアルデヒド又はその環状オリゴマー(トリオキサン、テトラオキサン等)と、開環反応により炭素数2〜6のオキシアルキレン基を含む単位を形成し得る環状エーテル及び環状ホルマールから選ばれた化合物とを共重合することにより得ることができる。環状エーテル化合物および環状ホルマール化合物の代表的な例としては、1,3−ジオキソラン、ジエチレングリコールホルマール、1,4−ブタンジオールホルマール、1,3−ジオキサン、エチレンオキサイド、プロピレンオキシド、1,3,5−トリオキセパン、エピクロルヒドリン等が挙げられる。その中でも、エチレンオキシド、1,3−ジオキソラン、1,4−ブタンジオールホルマール及びジエチレングリコールホルマールが好ましい。また、ポリアセタール共重合体は、コモノマー成分である環状エーテル或いは環状ホルマールとの共重合により、ポリマー骨格中に炭素数2〜6のオキシアルキレン単位が0.1〜20重量%導入されたものが好ましい。ポリアセタール共重合体の製造に当っては、分子量調整のため、一般にはメチラール、エチラール、ブチラールなどの連鎖移動剤が添加される。
【0011】
本発明で使用するポリアセタール樹脂は、その製造方法を特に限定されるものではなく、公知の製造方法により得られるものが何れも適用できる。
ポリアセタール共重合体を例にとると、使用する触媒、触媒の供給方法、重合装置、重合方法、重合後の触媒失活化処理、重合により得られる粗ポリアセタール共重合体の末端不安定部分の分解処理、未反応モノマーの回収などに関連する多くの改良が提案され公知である。
【0012】
重合触媒としては、三フッ化ホウ素、四塩化スズ、四塩化チタン、五塩化リン、五フッ化リン、五フッ化ヒ素、五フッ化アンチモン及びこれらの配位化合物、ヘテロポリ酸、イソポリ酸、パーフルオロアルキルスルホン酸またはその誘導体などのカチオン活性触媒を用いたポリアセタールコポリマーの製造が公知である。また、これらの触媒を2種以上併用することも公知である。その中でも、三フッ化ホウ素またはその配位化合物、ヘテロポリ酸、パーフルオロアルキルスルホン酸から選ばれた触媒を用いて共重合することにより得られたポリアセタール共重合体を用いるのが好ましい。
また、触媒の添加方法として、単独で添加する方法、溶媒に溶解させて添加する方法、反応成分であるモノマーやコモノマーと予め混合して添加する方法、連鎖移動剤と混合して添加する方法などが公知である。
【0013】
重合装置としてはバッチ式、連続式のいずれも可能であるが連続式重合機が好ましく、一軸重合機、二軸スクリュータイプ重合機、セルフクリーニングタイプのパドル型同方向回転2軸重合機、異方向回転2軸重合機などを使用するポリアセタール共重合体の製造が知られている。さらに、直列に配置した2機の重合機による2段階重合により高重合率で製造することも知られている。
【0014】
重合後の触媒の失活処理を行うにあたり、失活剤としてトリエチルアミン、トリメチルアミン、アンモニア、メラミン、水酸化金属塩、3価有機リン化合物、イオン吸着体等を用いて行うこと、かかる失活化処理を、好ましくは重合体を粉砕して失活剤を含む溶液中或いは気相状態で行うこと、更には重合体に失活剤を添加して溶融混練しながら行うことも公知である。
【0015】
また、重合によって得られる粗ポリアセタール共重合体の末端不安定部の分解除去法として、塩基性化合物を含む溶液中でスラリー状態又は不均一系で加熱処理する方法、塩基性化合物を含む溶媒中に溶解させて加熱処理する方法、塩基性化合物と共に加熱溶融混練して処理する方法などが知られている。また、触媒の失活化処理と粗ポリアセタール共重合体の末端安定化処理を一度の加熱溶融混練によって行うこと、末端安定化処理と安定剤添加による安定化を一度の加熱溶融混練によって行うことも知られている。
【0016】
さらに、重合に関与しなかった未反応モノマーの分離・回収法として、重合後のポリマーから分離・回収する方法、溶媒を用いた失活化或いは不安定末端の処理工程で分離・回収する方法、溶融混練による触媒の失活化或いは不安定末端の処理工程で分離・回収する方法、これらの複数の工程において分離・回収する方法が知られている。
【0017】
本発明の樹脂組成物には、ポリアセタール樹脂の種類(例えばホモポリマーとコポリマーの違い、或いはコポリマーにおけるコモノマー成分の導入量の違い等)や上記の如き製造方法の違いにかかわらず、何れのポリアセタール樹脂も使用することがきる。
【0018】
本願発明において添加・配合される立体障害性フェノール(A)とは、一般市販のフェノール系抗酸化剤が用いられ、具体的には、1,6−ヘキサンジオール−ビス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、トリエチレングリコール−ビス−3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオネート、ペンタエリスリチル−テトラキス−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2,2’−メチレンビス(6−t−ブチル−4−メチルフェノール)、3,9−ビス{2−〔3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル〕プロピオニルオキシ)−1,1−ジメチルエチル}−2,4,8,10−テトラオキサスピロ〔5,5〕ウンデカン、N,N’−ヘキサン−1,6−ジイルビス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオナミド〕、3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシベンゼンプロピオン酸1,6−ヘキサンジイルエステル等が例示される。更に本願発明において使用する立体障害性フェノール(A)としては、トリエチレングリコール−ビス−3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオネート、ペンタエリスリチル−テトラキス−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、1,6−ヘキサンジオール−ビス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕が特に好ましい。
【0019】
立体障害性フェノール(A)の配合量は、ポリアセタール樹脂100重量部に対して0.01〜5.0重量部であり、好ましくは0.01〜2.0重量部、特に好ましくは0.02〜1.0重量部である。立体障害性フェノール(A)の配合量が少ない場合は成形時に分解により樹脂の分子量が低下し、機械強度及び靭性が低下する問題が生じ、その配合量が多過ぎる場合は成形時金型に多量の付着物が発生し、成形品外観が損なわれるという問題が生じる。
【0020】
本願発明において添加・配合されるアミン置換トリアジン化合物(B)は、具体的には、メラミン、メラミン樹脂、CTUグアナミン(3,9−ビス[2−(3,5−ジアミノ−2,4,6−卜リアザフェニル)エチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン)、CMTUグアナミン(3,9−ビス[1−(3,5−ジアミノ−2,4,6−卜リアザフェニル)メチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン)等が例示される。さらに、本願発明において使用するアミン置換トリアジン化合物(B)としては、メラミン、メラミン樹脂が特に好ましい。
【0021】
アミン置換トリアジン化合物(B)の配合量は、ポリアセタール樹脂100重量部に対して0.01〜5.0重量部であり、好ましくは0.01〜1.0重量部、特に好ましくは0.03〜0.5重量部である。 配合量が少ない場合は成形時に分解により樹脂の分子量が低下し、機械強度及び靭性が低下する問題が生じ、その配合量が多過ぎる場合は成形時金型に多量の付着物が発生し、成形品外観が損なわれるという問題が生じる。
【0022】
本願発明において添加・配合される3価の有機リン化合物(C)とは一般式1で示されるものである。
【化1】


(式中、R、R、Rは、それぞれアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、置換アリール基を示す炭素数1〜18の炭化水素基であり、それぞれ同一であっても異なってもよい。)
【0023】
具体的には、エチルテトラメチレンホスフィン、n−ブチルジメチルホスフィン、トリエチルホスフィン、エチルペンタメチレンホスフィン、ジメチルフェニルホスフィン、メチルエチル−n−ペンチルホスフィン、ジエチルブチルホスフィン、トリ−n−ブチルホスフィン、メチルジフェニルホスフィン、エチル−n−ペンチルフェニルホスフィン、メチルベンジルフェニルホスフィン、エチルジフェニルホスフィン、エチル−n−ヘキシルフェニルホスフィン、ベンジル−n−ブチル−n−プロピルホスフィン、トリフェニルホスフィン、シクロヘキシルジフェニルホスフィン、ジベンジル−n−ブチルホスフィン、ジシクロヘキシルフェニルホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン、ジフェニルベンジルホスフィン、ジベンジルフェニルホスフィン、トリベンジルホスフィン等が例示される。本願発明において使用する3価の有機リン化合物(C)としては、トリフェニルホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン、トリベンジルホスフィンが特に好ましい。
【0024】
3価の有機リン化合物(C)の配合量は、ポリアセタール樹脂100重量部に対して0.005〜5.0重量部であり、好ましくは0.007〜2.0重量部、特に好ましくは0.010〜1.0重量部である。配合量が少ない場合は成形時に分解により樹脂の分子量が低下し、機械強度及び靭性が低下する問題が生じ、その配合量が多過ぎる場合は成形時金型に多量の付着物が発生し、成形品外観が損なわれるという問題が生じる。
【0025】
本願発明において、無機アルカリ金属化合物または無機アルカリ土類金属化合物(D)を添加・混合することにより、更に熱安定性を向上させることができる。無機アルカリ金属化合物または無機アルカリ土類金属化合物(D)とは、アルカリ金属の水酸化物、無機酸塩、アルカリ土類金属の水酸化物などを意味する。さらに具体的に言えば、水酸化物として、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化バリウムなどが挙げられる。無機酸塩として、例えば、炭酸、りん酸、けい酸、ほう酸のナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、バリウム、および、その他の金属塩などを挙げられる。その中でも、本願発明において使用する無機アルカリ金属化合物または無機アルカリ土類金属化合物(D)としては、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、炭酸カルシウム、水酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウムが特に好ましい。
【0026】
無機アルカリ金属化合物または無機アルカリ土類金属化合物(D)の配合量は、ポリアセタール樹脂100重量部に対して0.001〜5.0重量部であり、好ましくは0.001〜2.0重量部、特に好ましくは0.002〜1.0重量部である。無機アルカリ金属化合物または無機アルカリ土類金属化合物(D)の配合量が少ない場合は成形時に分解により樹脂の分子量が低下し、機械強度及び靭性が低下する問題が生じ、その配合量が多過ぎる場合は滞留時の樹脂の着色が激しくなるという問題が生じる。
【0027】
本願発明を実施するとき、その目的とするポリアセタール樹脂組成物を、通常一般的な用途に使用する場合には、特に、特殊な品質のポリアセタール樹脂を選ぶ必要はなく、通常一般に、粉末、フレーク、或いは、ペレットの形状で市販されているポリアセタール樹脂の中から、その用途を考慮して適宜に選択すれば、十分にその目的を達成することができる。
【0028】
また、本願発明を実施するとき、本願発明のポリアセタール樹脂組成物には、所望により更に、各種の酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、滑剤、核化剤、カーボンブラックや公知の充填剤、並びに、顔料、界面活性剤、帯電防止剤などの二種類以上を、適宜に併用添加することができる。
【0029】
本願発明を実施するとき、本願発明のポリアセタール樹脂組成物は、一般公知の溶融混練装置、更に具体的に言えば、1軸または2軸の押出機やニーダー等、およびペレタイザーを用いて、容易に製造することができる。このことを更に具体的に説明すると、本願発明のポリアセタール樹脂組成物は、一般公知の方法に従って、例えば、ポリアセタール樹脂の粉末に、(A)、(B)および(C)を配合したものをスーパーミキサーなどにより均一に混合したのち、2軸押出機などを用いて溶融混練し、引き続いてペレット化することによって得られる。
【0030】
ここに得られた本願発明のポリアセタール組成物は、一般公知の成形方法、即ち、射出成形法、押出成形法、圧縮成形法、吹込成形法、真空成形法、発泡成形法などによって容易に成形することができる。
【実施例】
【0031】
以下、本願発明を実施例、および、比較例によってその実施態様等を具体的に、かつ詳細に説明するが、以下の例は、具体的に説明するためのものであって、本願発明の実施態様や発明の範囲を限定するものとしては意図されていない。
【0032】
〔ポリアセタール樹脂(共重合体)P-1-1〜P-1-3の調製〕
ジャケット付きの異方向回転2軸反応機を用い、ジャケットに80℃の温水を通し、パドルを付した2本の回転軸を150rpmで異方向に回転させながら、反応機の一端に設けられた供給口にトリオキサン、1,3−ジオキソラン及び分子量調節剤としてのメチラールの混合物を供給すると共に触媒を添加して連続的に塊状重合を行い、反応機の他端に設けた排出口から生成した重合体を取り出した。 トリオキサン/1,3−ジオキソランの混合割合は96.7/3.3(重量比)、メチラール量は前記モノマーの合計量に対して800ppmとした。また、触媒としては三フッ化ホウ素・ジブチルエーテラートをシクロヘキサンに溶解させた溶液を用い、前記モノマーの合計量に対して三フッ化ホウ素として20ppmとなるように添加した。
反応機から排出された反応生成物(重合体)は、以下に記載する3つの方法で触媒の失活化処理を行い、ポリアセタール樹脂(共重合体) P-1-1〜P-1-3を得た。
反応機から排出された反応生成物を速やかに破砕機に通して粉砕しながら、トリエチルアミンを0.1重量%含有する60℃の水溶液を加え、さらに攪拌・混合することにより触媒を失活した。その後、さらに反応生成物の遠心分離、洗浄、乾燥等を行い、ポリアセタール樹脂(共重合体)P-1-1を得た。
反応機から排出された反応生成物を粉砕機で粉砕し、その100重量部に対し後述するアミン置換トリアジン化合物(B)0.1重量部と立体障害性フェノール(A)0.3重量部を添加し、ベント付き二軸押出機(内径:54mm、シリンダー温度:220℃)で溶融混練して押出すことにより、触媒が失活化されたポリアセタール樹脂(共重合体)P-1-2を得た。
反応機から排出された反応生成物を粉砕機で粉砕し、これに塩基性ガス(アンモニア)を80℃で30分間接触させることにより触媒の失活化を行い、ポリアセタール樹脂(共重合体)P-1-3を得た。
【0033】
〔ポリアセタール樹脂(共重合体)P-2-1〜P-2-3の調製〕
触媒としてヘテロポリ酸の一種であるリンタングステン酸の溶液を用い、モノマーの合計量に対して4 ppmを添加した以外は上記と同様にして重合を行い、さらに上記と同様に3つの方法で触媒の失活化処理を行い、ポリアセタール樹脂(共重合体)P-2-1〜P-2-3を得た。
【0034】
〔ポリアセタール樹脂(共重合体)P-3-1の調製〕
触媒としてパーフルオロアルキルスルホン酸であるトリフルオロメタンスルホン酸の溶液を用い、モノマーの合計量に対して0.3ppmを添加した以外は上記と同様にして重合を行い、さらにトリエチルアミンの水溶液を用いる方法で触媒の失活化処理を行い、ポリアセタール樹脂(共重合体)P-3-1を得た。
【0035】
実施例1〜49
上記で調製したポリアセタール樹脂に、立体障害性フェノール(A)、アミン置換トリアジン化合物(B)、3価の有機リン化合物(C)及び無機アルカリ金属化合物または無機アルカリ土類金属化合物(D)を表1〜5に示す割合で混合し、二軸押出機(内径:54mm、シリンダー温度:220℃)で溶融混練してペレット状の樹脂組成物を得た。
尚、ポリアセタール樹脂(共重合体)P-1-2及びP-2-2を用いた場合は、組成物の調製工程において新たな立体障害性フェノール(A)及びアミン置換トリアジン化合物(B)の添加は行わず、表中の立体障害性フェノール(A)及びアミン置換トリアジン化合物(B)の種類及び量は、失活化工程で用いられたものを示す。結果を表1〜5に示す。
【0036】
比較例1〜17
比較のため、上記成分(A)〜(C)の何れかを配合しない組成物を調製して評価した。結果を表1〜5に示す。
【0037】
調製した樹脂組成物を、下記の方法で評価した。
〔メルトインデックス(MI)〕190℃、2160g標準荷重下での溶融指数(単位g/10分)。これは分子量に対応する特性値であり、MIが大きいほど分子量が小さい。
〔平板成形〕型締圧力70tの射出成形機で、75*50*5mmの平板をシリンダー設定温度240℃で成形した。
〔成形品MI〕平板成形で得られた成形品をペレット形状に切断し、MI(成形品MI)を測定した。成形品MIがペレットMIより大きくなった分が、樹脂の分解に起因するものであり、成形品MIとペレットMIの差が小さいものが耐熱性に優れていると判断した。
〔成形品色相〕平板成形で得られた成形品を分光式色差計(日本電色工業製、SE−2000)で測定し、測定結果のb値を成形品色相として示した。b値が大きいものほど黄色傾向にある事を示す。
【0038】
なお、表中の配合した成分の詳細は以下の通りである。
(A)立体障害性フェノール
A−1:トリエチレングリコール−ビス−3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオネート
A−2:ペンタエリスリチル−テトラキス−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート
A−3:1,6−ヘキサンジオール−ビス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕
(B)アミン置換トリアジン化合物
B−1:メラミン
B−2:メラミン樹脂
B.−3:CTUグアナミン
(C)3価の有機リン化合物
C−1:トリフェニルホスフィン
C−2:トリシクロヘキシルホスフィン
C−3:トリベンジルホスフィン
(D)無機アルカリ金属化合物または無機アルカリ土類金属化合物
D−1:酸化マグネシウム
D−2:水酸化マグネシウム
D−3:炭酸カルシウム
【0039】
【表1】


【0040】
【表2】


【0041】
【表3】


【0042】
【表4】


【0043】
【表5】


【出願人】 【識別番号】000004466
【氏名又は名称】三菱瓦斯化学株式会社
【出願日】 平成17年9月2日(2005.9.2)
【代理人】 【識別番号】100117891
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 隆


【公開番号】 特開2007−70375(P2007−70375A)
【公開日】 平成19年3月22日(2007.3.22)
【出願番号】 特願2005−255339(P2005−255339)