| 【発明の名称】 |
天然ゴム及びその製造方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】柳澤 和宏
【氏名】染野 和明
【氏名】笠井 豪
【氏名】虎谷 博歳
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| 【要約】 |
【課題】天然ゴムが本来有する物性を低下させることなく、加工性を改良した天然ゴム及び天然ゴムの製造方法、並びに該天然ゴムを用いたゴム組成物及びタイヤを提供する。
【解決手段】天然ゴムラテックスにアンモニアを添加してpHを10.0以上に調整し、濃縮することなく密閉状態かつ40℃以下の温度で14日間以上の期間放置した後、凝固及び乾燥することを特徴とする天然ゴムの製造方法である。また、上記の方法により製造されたことを特徴とする天然ゴム並びに、該天然ゴムを配合してなるゴム組成物、及び該ゴム組成物を用いたことを特徴とするタイヤである。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 天然ゴムラテックスにアンモニアを添加してpHを10.0以上に調整し、濃縮することなく密閉状態かつ40℃以下の温度で14日間以上の期間放置した後、凝固及び乾燥することを特徴とする天然ゴムの製造方法。 【請求項2】 前記期間が20日間以上であることを特徴とする請求項1に記載の天然ゴムの製造方法。 【請求項3】 請求項1又は2に記載の方法により製造された天然ゴム。 【請求項4】 請求項3に記載の天然ゴムを配合してなるゴム組成物。 【請求項5】 請求項4に記載のゴム組成物を用いたタイヤ。
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【発明の詳細な説明】【技術分野】 【0001】 本発明は、天然ゴム及びその製造方法、並びに該天然ゴムを配合したゴム組成物、該ゴム組成物を用いたタイヤに関し、特に加工性が改良された天然ゴムの製造方法に関するものである。 【背景技術】 【0002】 一般に、天然ゴムは、タイ、マレーシア、インドネシア等の熱帯諸国を中心に産出され、その優れた物理特性を生かしてゴム業界、タイヤ産業界において幅広く、かつ多量に使用されている。また、天然ゴムは、「天然ゴム各種等級品の国際品質包装標準」(通称グリーンブック)によって、製造方法や品質に応じて格付けされている。主な天然ゴムの種類としては、リブドスモークドシート(RSS)と技術的格付けゴム(TSR)がある。 【0003】 天然ゴムの製造は、通常、タッピング、凝固、洗浄、脱水、乾燥、パッキングの順に行われている。RSSにおいては、タッピングして採取された天然ゴムラテックスに酸などを添加し、凝固させた後、水洗及び脱水し、得られた固形ゴムを約60℃で5〜7日間乾燥(スモーキング)する。また、TSRにおいては、タッピングして採取された天然ゴムラテックスを自然凝固させた後、水洗及び脱水し、得られた固形ゴムを110〜140℃で数時間熱風乾燥する。いずれの方法も、天然ゴムラテックスを採取後速やかに凝固させることを特徴とする。なお、凝固工程前の天然ゴムラテックス中に安定剤としてアンモニア等の塩基を加える場合もある。 【0004】 一方、天然ゴムの優れた物理特性として、機械的特性、低発熱性、耐摩耗性等が挙げられるが、その加工性については合成ゴムと比較すると劣ってしまう。これは、天然ゴムラテックス中に非ゴム成分として存在するタンパク質に含まれるポリペプチド結合を介して、重合体分子同士の絡み合いが増加し、見かけの分子量が非常に大きくなり、ゴムのムーニー粘度上昇をもたらすためである。 【特許文献1】国際公開第2003/082925号パンフレット 【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】 【0005】 そこで、本発明の目的は、上記従来技術の問題を解決し、天然ゴムが本来有する物性を低下させることなく、加工性を改良した天然ゴムの製造方法を提供することにある。また、本発明の他の目的は、かかる製造方法で得られる天然ゴムを提供することにある。更に、本発明の他の目的は、該天然ゴムを配合してなるゴム組成物および該ゴム組成物を用いたタイヤを提供することにある。 【課題を解決するための手段】 【0006】 本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意検討した結果、天然ゴムラテックスに対して、特定の条件下で放置した後、凝固及び乾燥を行うことで、天然ゴムが本来有する物性を低下させることなく、加工性を改良した天然ゴムが得られることを見出し、本発明を完成させるに至った。 【0007】 即ち、本発明の天然ゴムの製造方法は、天然ゴムラテックスにアンモニアを添加してpHを10.0以上に調整し、濃縮することなく密閉状態かつ40℃以下の温度で14日間以上の期間放置した後、凝固及び乾燥することを特徴とする。ここで、前記期間が20日以上であるのが好ましい。 【0008】 本発明の天然ゴムは、上記の方法により製造されたことを特徴とする。また、本発明のゴム組成物は、該天然ゴムを配合してなり、本発明のタイヤは、該ゴム組成物を用いたことを特徴とする。 【発明の効果】 【0009】 本発明によれば、天然ゴムラテックスに対して、特定の条件下で放置した後、凝固及び乾燥を行うことで、天然ゴムが本来有する物性を低下させることなく、加工性を改良した天然ゴムを製造することができる。また、得られた天然ゴムを配合した、良好な加工性を有するゴム組成物、並びに該ゴム組成物を用いたタイヤを提供することができる。 【発明を実施するための最良の形態】 【0010】 以下に、本発明を詳細に説明する。本発明の天然ゴムの製造方法は、天然ゴムラテックスにアンモニアを添加してpHを10.0以上に調整し、濃縮することなく密閉状態かつ40℃以下の温度で14日間以上の期間放置した後、凝固及び乾燥することを特徴とする。天然ゴムの製造方法においては、天然ゴムの加工性を改良するために、原料となる天然ゴムラテックスの遠心分離による濃縮を行い、天然ゴムラテックス中に存在するタンパク質を除去することが一般的である。しかし、かかる遠心分離による濃縮を行った場合、タンパク質と共に、天然ゴムラテックス中に存在するビタミンE等の天然の老化防止成分も失われてしまい、その結果得られた天然ゴムを配合したゴム組成物は、破壊強力や弾性率が低下する。そこで、本発明者らが検討したところ、天然ゴムラテックスにアンモニアを添加し、密閉した状態で保存することで、天然ゴムラテックスの遠心分離による濃縮を行うことなく、天然ゴムラテックス中にタンパク質が存在するための弊害を抑制できることを見出した。 【0011】 上記天然ゴムの製造に用いる天然ゴムラテックスはとしては、クローン、栽培地域、採取時期などに特に限定されず、ゴムの樹から流出したばかりのフレッシュラテックス、フィールドラテックス及びこれらを組み合わせたもの等を用いることができる。 【0012】 上記天然ゴムラテックスに添加されるアンモニアは、天然ゴムラテックス中のバクテリアの影響によって、天然ゴムラテックスが腐敗し、自己凝固するのを防ぐとともに、天然ゴムラテックス中の天然ゴム分子の分子量を低下させて、天然ゴムの加工性を改良する。また、アンモニアに加えて、防腐剤としてカルバミン酸塩を加えてもよい。 【0013】 上記天然ゴムラテックスにアンモニアを添加する際のpHは、10.0以上に調整することを要するが、10.2〜11.5の範囲であることが好ましい。pHが10.0未満であると、上述したバクテリアの影響によって、天然ゴムラテックスの腐敗が進むとともに、自己凝固してしまう恐れがある。また、本発明においては、アンモニアによるpHの調整を行ったラテックスを密閉した状態で保存することが必要である。これは、密閉状態に保つことによって、アンモニアの揮発を防ぐと共に、大気中のバクテリアの進入を防ぐためである。 【0014】 上述した条件で天然ゴムラテックスを保存し、40℃以下の温度で14日間以上の期間放置することを要する。ここで、放置温度が、0℃〜30℃の範囲であることが好ましい。放置温度が40℃を超えると、得られた天然ゴムを用いたゴム組成物の破壊強力や弾性率等の物理特性が低下してしまう。また、放置期間が14日間未満では、天然ゴムの加工性を向上させることができない。更に、放置期間は20日間以上であるのが好ましいが、1年間を超えるような極端な長期保管は、密閉状態を維持できなくなる恐れがある。なお、放置期間中に、適度の分子量低下が起こるが、天然ゴムの物理特性の低下はほとんど見られず、加工性の改良効果が大きい。 【0015】 本発明の天然ゴムの製造方法においては、上記天然ゴムラテックスにアンモニアを添加し、上述した特定条件で放置した後、得られたラテックスの凝固及び乾燥を行う。ここで、該ラテックスの凝固は、通常、ギ酸、硫酸等の酸や、塩化ナトリウム等の塩等の凝固剤を用いて行われる。また、上記凝固後の固形物の乾燥には、真空乾燥機、エアドライヤー、ドラムドライヤー等の通常の乾燥機を用いることができる。 【0016】 本発明のゴム組成物は、上記方法により製造された天然ゴムをゴム成分として含む。また、上記ゴム成分においては、本発明の天然ゴムを一種単独で用いてもよく、他のゴム成分と組み合わせてもよい。上記他のゴム成分は、通常の方法により製造された天然ゴム及び合成ジエン系ゴムの少なくとも一種からなる。ここで、上記合成ジエン系ゴムとしては、具体的には、ポリイソプレンゴム(IR)、スチレン−ブタジエン共重合体ゴム(SBR)、ポリブタジエンゴム(BR)、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)、クロロプレンゴム(CR)、ハロゲン化ブチルゴム、アクリロニリトル−ブタジエンゴム(NBR)等が挙げられる。なお、上記ゴム成分中含まれる本発明の天然ゴムの分量が、5質量%以上であることが好ましく、10質量%以上であることが更に好ましい。かかる分量が5質量%未満では、所望の物性を有するゴム組成物を得られないことがある。 【0017】 また、上記ゴム組成物としては、更に充填剤を上記ゴム成分100質量部に対して20〜80質量部含有するのが好ましい。充填剤の配合量が20質量部未満では、加硫ゴムの破壊特性及び耐摩耗性が十分でなく、一方、80質量部を超えると、加工性が悪化する傾向がある。ここで、充填剤としては、カーボンブラック及びシリカが好ましい。なお、カーボンブラックとしては、FEF,SRF,HAF,ISAF,SAFグレードのものが好ましく、HAF,ISAF,SAFグレードのものが更に好ましい。一方、シリカとしては、湿式シリカ、乾式シリカ及びコロイダルシリカ等が好ましく、湿式シリカが更に好ましい。これら補強性の充填剤は、一種単独で用いてもよいし、二種以上を混合して用いてもよい。 【0018】 更に、上記ゴム組成物には、上記ゴム成分、充填剤の他に、ゴム工業界で通常使用される配合剤、例えば、軟化剤、老化防止剤、シランカップリング剤、スコーチ防止剤、ステアリン酸、亜鉛華、加硫促進剤、加硫促進助剤、加硫剤等を、本発明の目的を害しない範囲内で適宜選択して配合することができる。これら配合剤としては、市販品を好適に使用することができる。上記ゴム組成物は、上記ゴム成分に、必要に応じて適宜選択した各種配合剤を配合して、混練り、熱入れ、押出等することにより製造することができる。 【0019】 本発明のタイヤは、上記ゴム組成物を用いたことを特徴とする。また、本発明のタイヤは、上記ゴム組成物をトレッドゴム(キャップゴム、ベースゴムを含む)、サイドゴム、プライゴム、ビードフィラー等のあらゆるタイヤ部材に適用可能であり、常法に従って製造することができる。なお、該タイヤに充填する気体としては、通常の或いは酸素分圧を調整した空気の他、窒素等の不活性ガスを用いることができる。 【0020】 以下に、実施例を挙げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明は下記の実施例に何ら限定されるものではない。 【実施例】 【0021】 <天然ゴムの製造例1> ゴムの樹からタッピングして採取したフレッシュラテックスにアンモニアを添加し、pHを10.5に調整した後、20Lのポリタンク内で密閉した状態を保ち、表1に示す条件で放置した。その後、得られたラテックスにギ酸を加えpHを4.7に調整して、該ラテックスを凝固させた。次に、凝固した固形物を水洗、脱水し、110℃で6時間乾燥して天然ゴムA〜Gを得た。 【0022】 <天然ゴムの製造例2> ゴムの樹からタッピングして採取したフレッシュラテックスをラテックスセパレーター[斎藤遠心工業製]を用いて回転数7500rpmで遠心分離して、乾燥ゴム濃度60%の濃縮ラテックスを得た。その後、天然ゴムの製造例1と同様に凝固、水洗、脱水及び乾燥工程を経て、天然ゴムHを得た。 【0023】 上記のようにして製造した天然ゴムA〜Hのムーニー粘度を下記の方法で測定・評価した。結果を表1に示す。 【0024】 (1)天然ゴムのムーニー粘度 JIS K6300−1994に準拠して、100℃にてムーニー粘度[ML1+4(100℃)]を測定した。この値が小さい程、加工性に優れることを示す。 【0025】 次に、表2に示す配合処方のゴム組成物を調整し、該ゴム組成物のムーニー粘度を測定するとともに、通常の条件で加硫して得た加硫ゴムに対して、破壊強力(引張強さ)及び引張応力を測定・評価した。結果を表1に示す。なお、各物性の測定方法は次のとおりである。 【0026】 (2)ゴム組成物のムーニー粘度 JIS K6300−1994に準拠して、125℃にてムーニー粘度[ML1+4(125℃)]を測定した。この値が小さい程、加工性に優れることを示す。 【0027】 (3)破壊強力(引張強さ) JIS K6251−1993に準拠し、室温での引張強さ(TB)を測定した。この値が大きい程、破壊強力が高く、補強性に優れることを示す。 【0028】 (4)引張応力 JIS K6251−1993に準拠し、室温で300%伸び時における引張応力を測定した。この値が大きい程、引張応力が大きく、弾性率が高いことを示す。 【0029】 【表1】
【0030】 *1 タッピングからラテックス凝固までの経過日数. 【0031】 【表2】
【0032】 *2 上記の方法で製造した天然ゴムA〜F,使用した天然ゴムの種類を表1に示す. *3 N-(1,3-ジメチルブチル)-N’-フェニル-p-フェニレンジアミン. *4 N-t-ブチル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド. 【0033】 表1から明らかなように、比較例1〜3と実施例1〜3との比較から、放置期間を14日以上にすると、天然ゴム及びゴム組成物の加工性が向上することが分かる。また、比較例4では、放置温度が40℃を超えているため、実施例1〜3と比べて、破壊強力及び弾性率が低いことが分かる。 【0034】 更に、比較例5と実施例1〜3との比較から、濃縮ラテックスを用いた場合、加硫ゴムの破壊強力及び弾性率が著しく低下してしまうことが分かる。従って、実施例1〜3で用いた上記特定条件で放置した天然ゴムを配合した場合、得られたゴム組成物は、破壊強力及び弾性率を低下させることなく、良好な加工性を有することが分かる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000005278 【氏名又は名称】株式会社ブリヂストン
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| 【出願日】 |
平成18年1月30日(2006.1.30) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100072051 【弁理士】 【氏名又は名称】杉村 興作
【識別番号】100107227 【弁理士】 【氏名又は名称】藤谷 史朗
【識別番号】100114292 【弁理士】 【氏名又は名称】来間 清志
【識別番号】100119530 【弁理士】 【氏名又は名称】冨田 和幸
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| 【公開番号】 |
特開2007−197631(P2007−197631A) |
| 【公開日】 |
平成19年8月9日(2007.8.9) |
| 【出願番号】 |
特願2006−20541(P2006−20541) |
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