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【発明の名称】 長寿命均一酸化触媒
【発明者】 【氏名】コリンズ,テレンス・ジェイ

【氏名】ゴードン−ワイリー,スコット・ダブリュー

【要約】 【課題】本発明は、酸化触媒を形成するための金属キレート錯体に関し、より詳細には、過酸化物および関連する一次酸化剤による要求される酸化を触媒しうる、長い寿命の大環状酸化触媒を提供する。

【解決手段】窒素原子を含む大環状四座配位子を有する化合物を製造した後、金属イオン、好ましくは遷移金属を錯化して対応するキレート錯体を形成することにより、頑強なキレート錯体が提供される。金属錯体は加水分解に対する明白な耐性を示し、安定な、長寿命の酸化触媒または触媒活性化剤を与える。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
構造:
【化1】


[式中、
およびRは、同一または異なり、連結した又は連結しておらず、各々、非反応性の、前記RおよびRと分子内でおよび環状炭素Cとともに強い結合を形成する、錯体が酸化性媒体の存在下にあるときに化合物の金属錯体の酸化的分解が制限されるように立体的に妨害されかつ配座的に妨害されている置換基からなる群より選択され;
Zは、酸化に耐性の金属錯化原子であり;
Xは、酸化に耐性の官能基であり;
は、隣接するZ原子を連結するユニットであって:
【化2】


からなり
[式中、R、R、RおよびRは、対でおよび累加的に、同一または異なり、各々、アルキル、アリール、ハロゲンおよびCFからなる群より選択される];
は、隣接するZ原子を連結するユニットであって、
【化3】


からなり
[式中、
10、R11、R12およびR13は、対でまたは累加的に、同一または異なり、各々、アルキル、アリール、ハロゲンおよびCFからなる群より選択される];
は、隣接するZ原子を連結するユニットであり、
(i)
【化4】


[式中、R14、R15、R16およびR17は、同一または異なり、各々アルキル、アリール、ハロゲンおよびCFである]
(ii)モノ−、ジ−、トリ−およびテトラ−置換アリールおよびヘテロアリール置換基
からなる群より選択される]
の大環状四座配位子を含む化合物。
【請求項2】
アリールおよびヘテロアリール置換基が、以下の基:
【化5】


[式中、
各Yは、同一または異なり、ハロゲン、水素、アルキル、アリール、アミノ、置換アミノ、ニトロ、アルコキシ、アリールオキシ、およびこれらの組み合わせを含む]
を含む、請求項1記載の化合物。
【請求項3】
各Zは、1つまたはそれ以上の他のZと同一または異なり、各々窒素および酸素からなる群より選択される、請求項1記載の化合物。
【請求項4】
Z原子の少なくとも3つが窒素である、請求項1記載の化合物。
【請求項5】
各Xは、他のXと同一または異なり、各々、酸素およびNR[式中、Rはメチル、フェニル、ヒドロキシル、オキシル、CFまたはCHCFである]からなる群より選択される、請求項1記載の化合物。
【請求項6】
およびRの各々が、水素、ハロゲン、メチル、CF、および、連結している場合にはシクロペンチルまたはシクロヘキシルからなる群より選択される、請求項1記載の化合物。
【請求項7】
次式:
【化6】


[式中、
Mは遷移金属であり;
Zは供与体原子であり;
Ch、ChおよびChは、酸化に耐性のキレート基であって、同一または異なり、前記金属とともに5−または6員環を形成し;そして
Chは、次式:
【化7】


(式中、RおよびRは、同一または異なり、連結しているかまたは連結しておらず、各々、非反応性の、前記RおよびRと分子内でおよび環状炭素Cとともに強い結合を形成する、錯体が酸化性媒体の存在下にある場合に錯体の酸化的分解が阻害されるように、立体的に妨害されるか配座的に妨害されている置換基からなる群より選択される)
のキレート基である]
のキレート錯体。
【請求項8】
およびRが、各々、水素、ハロゲン、メチル、CF、および連結している場合にはシクロペンチルまたはシクロヘキシルからなる群より選択される、請求項7記載の錯体。
【請求項9】
金属が、Cr、Mo、W、Mn、Tc、Re、Fe、Ru、Os、Co、Rh、Ir、Ni、Pd、Pt、Cu、AgおよびAuからなる群より選択される、請求項7記載の錯体。
【請求項10】
Mに結合した少なくとも1つの配位子をさらに含む、請求項7記載の錯体。
【請求項11】
Chが、C、C、C、CN、またはC11C(R10)−CO−C(R10)R11[式中、Yは、ハロゲン、水素、アルキル、CH、NHまたはCHOであり、R10およびR11は、同一または異なり、各々アルキル、アリール、水素、ハロゲン、またはCFである]からなる群より選択される成分である、請求項7記載の錯体。
【請求項12】
金属が遷移金属である、請求項7記載の錯体。
【請求項13】
遷移金属が、元素周期律表の6、7、8、9、10または11族から選択される金属である、請求項7記載の錯体。
【請求項14】
およびRが連結して、これらの両方が結合している環状炭素とともに5員環を形成する、請求項7記載の錯体。
【請求項15】
およびRが連結して、これらの両方が結合している環状炭素とともに6員環を形成する、請求項7記載の錯体。
【請求項16】
前記少なくとも1つの配位子が酸素含有置換基である、請求項7記載の化合物。
【請求項17】
前記少なくとも1つの配位子が、過酸化物、OH、OおよびOHからなる群より選択される、請求項16記載の化合物。
【請求項18】
構造:
【化8】


[式中、
Zは、酸化に耐性の金属錯化原子であり;
およびRは、同一または異なり、連結した又は連結しておらず、各々、非反応性の、前記RおよびRと分子内でおよび環状炭素Cとともに強い結合を形成する、錯体が酸化性媒体の存在下にあるときに化合物の金属錯体の酸化的分解が制限されるように立体的に妨害されおよび配座的に妨害されおよびこれらの組み合わせである置換基からなる群より選択され;
Xは官能基であり;
は、隣接するZ原子を連結するユニットであって:
【化9】


からなり
[式中、R、R、RおよびRは、対でおよび累加的に、同一または異なり、各々、アルキル、アリール、水素、ハロゲン、ハロゲン化アルキル、ハロゲン化アリールおよびCFからなる群より選択される];
は、隣接するZ原子を連結するユニットであって、
【化10】


からなり
[式中、
10、R11、R12およびR13は、対でまたは累加的に、同一または異なり、各々、アルキル、アリール、水素、ハロゲン、ハロゲン化アルキル、ハロゲン化アリールおよびCFからなる群より選択される]]
を含む、大環状四座配位子を製造するための中間体。
【請求項19】
およびRの各々が、水素、ハロゲン、メチルおよびCFからなる群より選択され、および連結している場合には、これらが結合しているC炭素とともに5員環または6員環を形成する、請求項16記載の中間体。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
この研究は、the National Institutes of Health, GM−44867およびthe National Science Foundation CHE9319505の後援により行った。米国政府は本発明に対して権利を有する。
【0002】
発明の背景
発明の分野
本発明は、酸化触媒を形成するための金属キレート錯体に関し、より詳細には、過酸化物および関連する一次酸化剤による要求される酸化を触媒しうる、長い寿命の大環状酸化触媒に関する。
【背景技術】
【0003】
発明の背景の説明
遷移金属に基づく系は、化学および生物学の両方において酸化剤の主要な供給源を提供するが、酸化の化学は後者の分野においてはるかによく発達している。すなわち、生物学的工程において達成されている多くの異なる選択的酸化反応は、均一な合成系では達成されていない。この相違は、反応化学の他の主要な部門よりも、酸化化学について特に目立つ。したがって、還元化学または炭素−炭素結合形成化学と比較して、酸化化学は依然として、化学量論的または触媒的プロセスについて利用可能な技術の数および質が非常に制限されている。
【0004】
良い均一酸化系および触媒が相対的に欠乏していることは、酸化的分解のためであると考えられている。高い酸化状態の中期および後期遷移金属イオンの錯体は、多くの酵素的酸化において活性中間体として機能するものと同様に、そのような錯体はその配位子を急速に分解する傾向にあるため、合成により取得することは困難であった。
【0005】
Collins,T.J.,”Designing Ligands for Oxidizing Complexes,”Accounts of Chemical Research,279,Vol.27,No.9(1994)においては、合成の金属に基づく酸化剤は、概念的に2つの類:金属酸化還元(metalloredox)活性酸化剤および金属鋳型(metallotemplate)酸化剤に分けられる。金属酸化還元活性系においては、酸化成分は配位子と直接接触している金属イオンを含有する。したがって、これらの系は、金属イオンの酸化に適合性のある配位子の供給が少ないことにより制限されている。金属鋳型酸化剤は、酸化対が金属イオンからより遠いため、そのようには制限されないが、金属鋳型系は、高度に反応性の金属酸化剤を必要とする過酷な酸化とは異なり、穏和な酸化においてのみ有用である。オキシゲナーゼ酵素中の金属イオン酸化剤は、しばしば過酷な酸化、例えば、メタンモノオキシゲナーゼ反応、すなわち、酸素を第一酸化剤とするメタンのメタノールへの酸化を触媒する。そのような酵素における金属−酸化剤の役割は、金属酸化還元活性タイプのものである。すなわち、この壮観な酵素的化学を人工系中に移動させるための鍵は、原子引抜きタイプの非常に強く酸化する金属イオンに耐えられる頑強な(robust)配位子系を開発するという難問を克服することにある。
【0006】
Collinsは、Accounts文献において、酸化的分解に耐性の配位子および金属キレート錯体を形成するための設計志向的な方法を記載する。Accounts文献は、酸化的分解に不活性の配位子系を達成するための一組の規則を強調する。酸化的分解に耐性であるように開発されたいくつかのジアミド−N−ジフェノキシド非環状およびテトラアミド−N大環状配位子もまた、金属イオンが大環状配位子を用いることにより達成しうる、ほとんどないかまたは先例のない高い酸化状態にある中期および後期遷移金属錯体としてAccounts文献に例示される。
【0007】
Accounts文献の一組の規則は、記載されるようなめったにない高い価のイオン、例えば強い電子伝達酸化剤を安定な形で製造することを可能にするのに十分ではあるが、モノオキシゲナーゼ酵素において見いだされるようなものと類似する特に強力な金属−オキソ酸化剤を、酸化剤が二分子(bi−molecular)酸化を実施するのに十分な寿命を有するようにカプセル化(encapsulating)するという目標を達成するためには不完全である。そのような目標の到達は、本明細書に記載されるような配位子設計の開発を待たなければならなかった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
発明の概要
所望の配位子および誘導体の錯体の安定性は、本発明の大環状四座配位子化合物により満たされる。この化合物は一般式:
【0009】
【化1】


【0010】
[式中、
およびRは、同一または異なり、連結しているかまたは連結しておらず、各々、非反応性の、RおよびRとおよび環状炭素とともに強い結合を形成する、金属錯体が酸化性媒体の存在下にあるときに化合物の金属錯体の酸化的分解が制限されるように立体的に妨害されておりかつ配座的に妨害されている置換基から選択される]
を有する。妨害は、分子内酸化的分解を助ける適合物の到達を防ぐ。
【0011】
Zは、供与体原子であり、好ましくは酸化に耐性の金属錯化原子、例えばNまたはOであり、必要な場合には水素を有し;
Xは、官能基であり、好ましくは酸化に耐性の官能基、例えばOまたはNR(式中、Rは、メチル、フェニル、ヒドロキシル、オキシル(oxylic)、−CFまたは−CHCFである)であり;
は、隣接するZ原子を連結するユニットであって、
【0012】
【化2】


【0013】
からなり;
は、隣接するZ原子を連結するユニットであって、
【0014】
【化3】


【0015】
からなり;
(式中、RおよびR、RおよびR、R10およびR11、R12およびR13は、対でまたは累加的に、同一または異なり、各々、アルキル、アリール、ハロゲンおよびCFからなる群より選択され;そして
は、隣接するZ原子を連結するユニットであって、
(i)
【0016】
【化4】


【0017】
(式中、R14からR17は、同一または異なり、アルキル、アリール、ハロゲンまたはCFである)および
(ii)モノ−、ジ−、トリ−およびテトラ−置換アリールおよびヘテロアリール置換基を含むアリール基:
【0018】
【化5】


【0019】
(式中、各Yは任意の置換基であるが、好ましくは、ハロゲン、水素、アルキル、アリール、アミノ、置換アミノ、ニトロ、アルコキシ、アリールオキシおよびこれらの組み合わせである)
からなる。アリール基の形成は、4つの置換基およびこれらが結合している炭素原子を置き換える。
【0020】
本発明は、モノオキシゲナーゼのものに類似する高度に反応性と称される金属−オキソ中間体に基づく触媒作用を支持しうる配位子系を得ることができるように、テトラ−アザ大環状配位子の頑強さを増加させる、大環状構造に対する新規な変更に関する。記載される所望の変更を必要とする分解化学は、全く予測されないものであった。最も顕著には、本明細書に記載される新規の系は、非常に望ましいO−原子伝達酸化剤、特に過酸化物による触媒作用を支持し、これらを化学的効率がよくコスト効率がよい触媒を得る有望性がある広範な技術的酸化用途に利用可能にする。
【0021】
大環状配位子の遷移金属錯体は、過去には酸化を触媒させるために用いられた。確立された系には、ポルフィリンおよびフタロシアニン、ハロゲン化ポルフィリンおよびポルフィリンに関連する配位子、および置換トリシクロアザノナンおよび関連する大環状化合物がある。これらの系はすべて、本発明の系とは原理的に著しく異なる。第1に、大環状テトラアミドは、テトラアニオン性であり、本発明の配位子が、反応性高価状態の金属を、用いられる他のいかなる大環状化合物よりもはるかによくアクセス可能とするように、非常に供与的である。第2に、本発明の大環状化合物は、ハロゲン置換基に依存するかまたは依存せずに、高い程度の保護を達成することができる(ハロゲン化されていない種はより環境に優しい。第3に、本発明の大環状テトラアミドの錯体は、加水分解に対する明白な耐性を示し、このため、種々の金属イオン塩が可溶性であるプロトン性媒体、例えば水の中で用いるのに適している。
【0022】
本発明の四座大環状化合物は、金属、好ましくは遷移金属、最も好ましくは、元素周期律表の6族(Cr族)、7族(Mn族)、8族(Fe族)、9族(Co族)、10族(Ni族)または11族(Cu族)から選択される遷移金属を錯化して対応するキレート錯体を形成するように設計される。
【0023】
したがって、本発明はまた、次式:
【0024】
【化6】


【0025】
[式中、Mは金属であり、Zは、供与体原子、例えば、上の本発明の大環状四座化合物において記載される酸化に耐性の金属錯化原子であり、そしてCh、Ch、ChおよびChは、キレート系の酸化に耐性の成分であって、同一または異なり、各々、隣接するZMZ原子とともに5から6員環を形成する]
のキレート錯体を含む。
【0026】
好ましい態様においては、アキシアル配位子Lは金属に結合する。Lは、酸化剤を含有する溶液中にキレート系が導入されるまで金属に対するその位置を占めるため、置換活性である。置換活性配位子は溶液中で解離し、酸化剤(最も一般的にはO−原子伝達剤であるが、触媒として作用するように金属イオンを活性化しうる任意の一般的酸化剤でもよい)により置き換えられるであろう。好ましい置換活性配位子としては、Cl−アニオン、一般にハロゲンイオン、CN、ROH、NH、または任意のアミン、カルボキシレート、フェノールまたはフェノキシド、ニトリル、ピリジン、エーテル、スルホキシド、ケトン、またはカーボネートが挙げられる。
【0027】
芳香族環含有大環状化合物の鉄錯体中の酸化部位(1つの電子がFeIII状態より上に酸化する)は、アキシアル配位子ならびに芳香族環置換基の選択により操作しうることがわかっている。強いs−供与体アニオン性アキシアル配位子(CN)は、金属中心酸化、すなわちFeIVを好み、一方、より弱い供与体(例えば、Cl)は配位子−局所酸化を好む。オキソ中間体形のキレート錯体系は、ある用途においては、実際の触媒として機能すると考えられる。別の用途においては、キレート系は、酸化の唯一の部位でありうるか、または酸化部位はキレート系、金属、および金属に結合している任意の他の配位子の間の混合であることができる。
【0028】
キレート基Chは、好ましくは、大環状四座化合物のRとして上述した成分である。ChおよびChは、上述の大環状四座化合物のそれぞれユニットRおよびRに対応する。
【0029】
Chは、好ましくは、一般式
X=’CC(R”)’C=X
(式中、(R”)は上述のRおよびRと等しく、Xは上述の酸化に耐性の官能基である)
を有する連結成分である。
【0030】
およびRは、本発明の頑強なキレート錯体および触媒の設計において鍵となる置換基である。RおよびRは、好ましくは、メチル、CF、水素またはハロゲンであり、またはこれらが結合している炭素原子とともに、環、例えば4−、5−または6−員環を形成することができる。これまでに経験されてきたように、従来技術の錯体中のRおよびR置換基と機能的触媒系の中のオキソ配位子との間の分子内反応が、キレート配位子の急速な分解の原因であると考えられている。触媒の酸化的分解の提唱されるメカニズムについては、図1を参照されたい。例えば図1と一致して、R、R位置においてジエチル置換基を有する既知の触媒化合物は、触媒的酸化は認められるが、同時に配位子系はゆっくりと酸化分解するように、酸化的攻撃に感受性であることが観察されてきた。上で引用したCollinsのAccounts of Chemical Researchの文献に記載されるすべてのテトラアミド大環状化合物は、R、R位置にジエチル置換基を含有する。すなわち、触媒系の著しい長命により有用な酸化触媒作用を行う能力がある大環状テトラアミド配位子遷移金属錯体は、これまでに知られていなかった。
【課題を解決するための手段】
【0031】
好ましい態様の詳細な説明
本発明の四座大環状化合物の好ましい態様は以下のものである。
【0032】
【化7】


【0033】
式中、
およびRは、同一または異なり、非反応性の、RおよびRとおよび環状炭素とともに強い結合を形成する、錯体が酸化性媒体の存在下にあるときに、化合物の金属錯体の酸化的分解が制限されるように立体的に妨害されかつ配座的に妨害されている置換基の群から選択される。種の低い配座的自由度は、分子内酸化的分解を助ける配座異性体の達成を防ぐ。Zは、供与体原子、好ましくは酸化に耐性の金属錯化原子であり、より好ましくはNまたはOであり、必要な場合にはHを有する。好ましくは、少なくとも3つのZがNである。Xは、官能基、好ましくは酸化に耐性の官能基、より好ましくはOまたはNR(式中、Rはメチル、フェニル、ヒドロキシル、オキシル、−CFまたは−CHCFである)である。
【0034】
、R、R10およびR11は、同一または異なり、各々、アルキル、アリール、ハロゲンおよびCFからなる群より選択される。Rは、隣接するZ原子を連結するユニットであり、以下の基:
(i)
【0035】
【化8】


【0036】
[式中、R14からR17は、同一または異なり、アルキル、アリール、水素、ハロゲン、CFまたはこれらの組み合わせである]および
(ii)アリール基、例えば:
【0037】
【化9】


【0038】
[式中、Yは、ハロゲン、水素、アルキル、アリール、アミノ、置換アミノ、ニトロ、アルコキシ、アリールオキシおよびこれらの組み合わせである]
からなる群より選択される。
【0039】
本発明の化合物は、頑強な、寿命の長い酸化触媒および前触媒(precatalyst)を形成する。便宜のため、かつ本発明の範囲を限定することなく、本明細書において”触媒”とは、前触媒および実際の触媒錯体を含むように用いられる。ここで、後者は酸化を実施する種である。多くの場合において、正確な触媒作用メカニズムは知られておらず、したがって、所定の酸化反応における本発明のキレート系の正確な役割は不明であろう。本明細書において用いる場合、頑強な酸化触媒とは、酸化剤、例えば過酸化物の存在下で溶媒に触媒を加えたときに、活性化形態の金属錯体の半減期が30秒間またはそれ以上であることを意味する。半減期とは、金属錯体の半分が分解または解体される時間である。
【0040】
驚くべきことに、新規の頑強な化合物の最も好ましい態様の1つの設計は、従来技術の化合物とただ1つの成分においてのみ異なるものである。従来技術のテトラアミド化合物のR、Rジエチル置換基をジメチル置換基に変更することにより、以前の壊れやすい、寿命の短いキレート錯体は、予測し得ないほどに、安定な、寿命の長い、酸化的分解に非常に耐性の錯体に変換される。構造における小さな変化であるように見えるものが、実際には新規な部類の、頑強な、寿命の長い酸化触媒への鍵である。メチル置換基のC−H結合強度は、対応するエチル置換基のC−H結合強度より、約3Kcal・mol−1高い。非反応性の、または環状炭素と強い結合を形成する、またはアキシアルオキソ配位子との分子内反応が制限されるように立体的または配座的に妨害されている、任意のR、R置換基もまた、本発明の頑強な触媒または前触媒を形成するであろうことがわかった。
【0041】
結合強度および/または配座的束縛の重要性は、以下の測定からわかる。
酸化触媒作用を支持するために、配位子系のすべての成分は、酸化的分解に対して実質的に耐性でなければならない。RおよびR基の安定性に関する鍵は、特に有益な場合における観察により決定された。図1に示されるように、鉄(III)の水性錯体はヒドロペルオキシドと反応してオキソ錯体と称されるものを生じ、これは、シアノ基に対してαであるC−H結合を含有するニトリルの酸化に対して触媒的特性を表すことが示されている。しかし、触媒作用が進行するにつれて、配位子系はゆっくり分解し、この分解は、R位置のエチル置換基のメチレン基からのH−原子の引抜きを介して進行することが提唱されており、これは、III(図1)と表示したヒダントイン環含有分解生成物の構造と一致する。分子モデルは、引抜き可能なH−原子を引抜くO−原子と近くにするためには、Ch含有キレート環の高度にひずんだ配座が必要であることを明らかにした。化合物IIIは、種々の質量分析法、Hおよび13C NMR、IR、元素分析により明白に特徴づけられている。観察される分解と同時に、系は溶媒として用いられる一連のニトリル[(CHCHCN、CHCHCN、CHCN、CDCN]中で最も弱いC−H結合を触媒的に酸化する。生成物は、ニトリル酸化生成物の混合物である。すなわち、t−ブチルヒドロペルオキシドが第1酸化剤である場合、基質として(CHCHCNを有する生成物混合物は、(CHC(OH)CN、(CH(CN)COOC(CH、(CH(CN)COOCH、(CHC=O、(CHCOHを含む。この生成物混合物は、鉄錯体II(図1)がプロセスを開始させる役割を有するフリーラジカル自動酸化プロセスを示唆するが、フリーラジカル自動酸化は支配的なメカニズムではないことが示されている。すなわち18(1atm,>98%)下で酸化を実施すると、18標識生成物の収率は、完全なフリーラジカル自動酸化プロセスと一致する反応メカニズムとしては低すぎる。RおよびR位置においてCHCH−をCH−で置き換えることにより、配位子の分解は、ニトリル酸化のみが酸化反応性を支配するように劇的に抑制される。CHCH−の代わりのCH−によるこの配位子分解の阻害は、CHCH−に対してCH−のC−H結合強度が約3kcal・mol−1増加し、このことにより、オキソ配位子によるH−原子引抜きの速度が約3桁減速したことに起因すると解釈することができる。分解には引抜きが重要であることが明らかであるため、引抜き可能なH−原子のオキソ配位子に対する配向もまた重要である。これは、この配向が接近の距離を決定し、引抜き反応は距離に大きく依存するためである。分子モデルは、RおよびRのエチル基を置き換えるのにシクロペンチルユニットを用いると、エチルC−H基から引抜かれるものと等しいメチレン性C−H基は、エチルの場合に見いだされるよりもはるかに大きい環のひずみなしには、オキソ配位子に到達することができないことを明らかにした。すなわち、配座的束縛の方法は、そのように置換されたキレートの酸化的分解に対する耐性を劇的に増加させる役割を果たす。
【0042】
図2に示される構造において、シクロペンチル置換基のメチレン基は自由に回転して2つの基を近い並置にすることができないため、オキソ基とメチレン性Hとは、エチルの場合におけるように近づくことが制限される。
【0043】
本発明の化合物は、協調して実質的に平面の四座骨格を形成する4つのアニオン性供与体配位子からなる、金属およびアキシアル配位子とともに錯化して本発明のキレート/触媒系を形成することができる大環状化合物である。頑強な配位子を製造するための好ましい設計は、N−アミド供与体基に対してαである水素を有しない大環状テトラアミド配位子である。金属イオンと配位したとき、5−および6員のキレート環が最も安定である。置換基は、これらが上述の要件を満たす限り、様々に変えることができる。このことは、RおよびR置換基について特に決定的である。
【0044】
大環状テトラアミド配位子のアジドに基づく合成の経路は、Uffelman,E.S.,博士論文,California Institute of Technology,(1992)に記載されている。あるいは、そして好ましくは、本発明の化合物は、新規な合成の経路により合成することができる。、
新規合成方法は、従来技術のアジドに基づく方法によっては合成することができない変種の合成を可能とする。しかし、大環状化合物の多様な変更においては、化合物の一般骨格を保存することが重要である。大環状化合物は、5−および6員環からなる、5,5,5,6パターン、5,6,5,6パターン、5,6,6,6パターン、または6,6,6,6環パターンで形成され、これは以下により詳細に説明する。
【0045】
新規な合成の方法は、一般に、以下のシーケンス1および2に示されるように進行する。いくつかの特定の大環状テトラアミドの合成への新規な方法の適用の特定の例がシーケンス3に示される。本明細書における分類の便宜のため、ジアミン官能基からなる出発物質は場合により”架橋”(B)と称され、二酸官能基からなる出発物質は場合により”リンカー”(L)と称され、アミン/酸官能基からなる出発物質は場合により”アーム”(A)と称される。図3(a)および(b)を参照されたい。大環状化合物のアームはリンカーよりはるかに頑強であり、分解的攻撃に耐性である。
【0046】
【化10】


【0047】
シーケンス1は、新規な合成の方法により、α−アミノカルボン酸から(B−A−L−A−)立体配置を有する大環状テトラアミドの一般的な合成である。ジアミドジカルボキシ含有中間体(本明細書においては場合により略称”マクロリンカー中間体”または単に”中間体”(A−L−A)と称される)は、選択的二重カップリング反応により、保護基を使用せずに予め形成される。この反応においては、アミノカルボン酸(アームA)、および活性化マロン酸誘導体(リンカーL)を溶媒中で加熱してマクロリンカー中間体を形成する。次に、マクロリンカー中間体を、溶媒、カップリング剤および熱を用いる別の選択的二重カップリング反応において、ジアミン(架橋B)とカップリングさせる。合成の方法論は高度に能率化されており、広範な種類の官能基に適用しうる。異なる電気的または立体的置換基を有する広範な大環状テトラアミドが、この方法で良い収率で製造されている。
【0048】
【化11】


【0049】
シーケンス2は、基本的なまたは本来の合成方法の改変法による、(B−A−L−A−)立体配置を有する大環状テトラアミドのβ−アミノカルボン酸からの一般的合成である。α−アミノカルボン酸出発物質について用いられた基本的な同じ方法論を、β−アミノカルボン酸出発物質に適用する。あるβ−アミノカルボン酸については、シーケンス2に示されるように、保護基の使用が望ましいであろう。マクロリンカー中間体(A−L−A)は、選択的二重カップリング反応により予め形成される。この反応においては、溶媒中の、保護されたβ−アミノカルボン酸エステルアームA、および活性化マロン酸誘導体リンカーLを加熱して中間体を形成し、これを脱保護した後、別の選択的二重カップリング反応においてジアミン架橋Bにカップリングさせて、α−アミノカルボン酸から製造されたものと比較して拡大された環サイズを有する広範な種類の置換大環状テトラアミドを得る。
【0050】
マクロリンカー中間体(A−L−A)は、置換マロニルジハライドをαまたはβ−アミノカルボン酸またはエステルの溶液(好ましくは、ピリジン溶液)と直接反応させることにより、バッチまたは連続工程で大スケールで製造することができる。反応の多くの例は、好ましくは約70℃以下の温度で、保護基なしで良い収率で進行する。ある例では保護基の使用が必要であり、これらの反応は一般に良い収率で進行する。中間体は別々のバッチに分けることができ、各バッチを、カップリング剤の存在下で、異なる立体的または電気的置換基を有する広範な種類のジアミン架橋化合物とさらに反応させることができる。α−アミノカルボン酸の場合、閉環段階は48−120時間、理想的には実質的に湿気なしで進行する。シーケンス3を参照のこと。最終的に適合させた電気的特性を有する広範な種類のテトラアミド大環状化合物を、従来のアジド方法より著しく低いコストで合成することができる。
シーケンス3:
【0051】
【化12】


【0052】
シーケンス3は、α−アミノカルボン酸出発物質から、(B−A−L−A−)立体配置を有する大環状テトラアミドを製造する特定の例である。α−アミノカルボン酸をピリジン中で70℃より低い温度で活性化マロネートと混合する。選択的二重カップリング反応が完了した後(72−144時間)、マクロリンカー中間体(A−L−A)を単離する。第2段階において、ジアミン(好ましくはo−フェニレンジアミン)を、カップリング剤(好ましくは、PClまたは塩化ピバロイル)の存在下で、マクロリンカー中間体のピリジン溶液に加える。閉環、二重カップリング反応を還流下に48−110時間進行させ、次に所望の大環状テトラアミドを良い収率で単離する。
【0053】
酸化的に頑強な大環状テトラアミドの合成には、供与体原子に対してαであるすべてのH原子を、より酸化的に頑強な基、例えば、アルキル、ハロ、アリールまたは複素環置換基で置き換えることが必要である。
【0054】
構造1:
【0055】
【化13】


【0056】
構造1は、本発明の触媒である、酸化的に頑強なマクロリンカー(アーム−リンカー−アーム)の製造における鍵となる中間体を示す。この分子は、α−メチルアラニンをジメチルマロニルジクロリドで直接アシル化することにより、保護基を用いることなく1段階で容易に合成することができる。
【0057】
別の態様においては、本発明の方法は、保護/脱保護シーケンスを用いて、マクロリンカー中間体の保護された形を生成する。脱保護の後、上述の二重カップリング反応により中間体をカップリングさせて、テトラアミド大環状化合物を生成する。同様に、保護/脱保護シーケンスを架橋ユニット上に存在する置換基に適用して、大環状化反応において用いることができる架橋置換基の範囲を拡大することができる。
【0058】
本発明の方法のいずれの態様も、アミンおよびカルボン酸に基づく出発物質に大きく依存しており、これらは以下の表1に掲げられる。表1はいくつかの形の出発物質を挙げており、この中では、親の、保護された/活性化されたおよび隠された形のアミンおよびカルボン酸官能基が、一般的な意味で称されている。表2は、所望の5員環または6員環を有するキレート化大環状テトラアミド化合物の合成に有用な出発物質を同定するために、これらのカテゴリーをキレート化環サイズの制約ととも用いる(5−および6員キレート環が好ましい)。
【0059】
本明細書において用いる場合、”親基”(表1においてイタリック体で示される)は、好ましい合成官能基を規定する。”保護/活性化基”とは、親基の容易に認識しうる部分を含む基を表す。本明細書において用いる場合、”隠蔽基”とは、親基の容易に認識しうる部分を含む必要はないが、親基または親基の保護/活性化形に容易に変換しうる基を表す。より詳細な例は、Greene and Greene,”Protective Groups in Organic Synthesis”,John Wiley and Sons,New York(1981)中に容易に見いだすことができる。ペプチド合成に特に適した保護/活性化基のより広範な一覧は、G.A.Fletcher and J.H.Jones,”A List of amino−Acid Derivatives Which are Useful in Peptide Synthesis”,Int.J.Peptide Protein Res.4,(1972),p.347−371に見いだすことができる。
【0060】
【表1−1】


【0061】
【表1−2】


【0062】
本明細書では構造2を用いて、表2および表3に示される、所定の大環状配位子が遷移金属中心に配位したときに形成されるキレート環サイズ(金属イオンを含む)を特定する簡略表記を定義する。
構造2:
【0063】
【化14】


【0064】
アミンは”a”と称され、カルボキシレートは”c”と称される。
ダッシュ(−)はアミド結合を表す。すべてのダッシュは、後ろの”a”から前の”c”に、またはその逆に連結しなければならず、最後のダッシュは巻いて最初に戻る。構造2は、(5,5,6,5)大環状配位子を、示されるキレート環サイズ(金属イオンを含む)を有する金属配位形で図示する。用いられた特定の大環状化合物は、反時計回りを用いて、5aa−5ca−6cc−5ac−(またはその任意の円順列)である。
【0065】
各出発物質についての官能基の親(=)型が以下の表2に絵で示されており、また、各出発物質についての保護/活性化(p/a)または隠蔽(h)形の可能な組み合わせが表の形で示されている。可変位置は、黒丸(・)で表されている。下線を施した横の説明文は、特定の出発物質を大環状化合物中に組み込み、金属中心に配位させたときに形成されるキレート化環サイズを示す簡略表記で示される(構造2を参照)。
【0066】
【表2】


【0067】
表2に示される出発物質から合成することができる大環状テトラアミド化合物の完全な範囲は、表3に一般的に示される。それぞれの独特の組み合わせが絵で挙げられており、上で定義した構造2の簡略表記で表示されている。
【0068】
【表3−1】


【0069】
【表3−2】


【0070】
個々の架橋、アームおよびリンカー出発物質は、商業的に入手しうるかまたは標準的技法により合成することができる。若干の市販されていない出発物質の合成の例が本明細書の実験の部に記載されている。置換および非置換マロネートの製造の有力な別の経路は、A.P.Krapcho,E.G.E.Jahngen,Jr. and D.S.Kashdan,”α−carbalkoxylations of carboxylic acid. A general synthetic route to monoesters of malonic acids”,Tet.Lett.32,p.2721−2723(1974)により報告されている。表3に示される酸化的に頑強な大環状テトラアミドは、高エネルギーN−N結合、例えばアジド(axide)、ヒドラジンおよびアゾ成分を含有する種の使用に頼る必要なく合成するのに用いることができる。
【0071】
以下のスキーム1−3は、表3で黒丸で示される可変の位置における置換を図示する。この節の残りは、R置換基をどのように選択するかを一般的な意味で説明し、置換架橋、アームおよびリンカー出発物質のいくつかの代表例を表の形で掲げる。
【0072】
単一ノード置換
ただ1つの可変位置を含有する出発物質を、2つのR基を有する炭素原子(−C(R)(R)−ユニット)により置換する(この文脈において、ダッシュ(−)は、アミド結合ではなく単結合を表す)。
【0073】
スキーム1:単一の可変位置の置換は常に−C(R)(R)−ユニットによる
【0074】
【化15】


【0075】
任意の1つの可変位置における置換については、−C(R)(R)−ユニット上のR基は、同一であっても異なっていてもよく、炭化水素および複素原子(例えば、ハロゲン、N、O、Si、P、S)置換炭化水素からなる群より選択される。RおよびR以外のR基についての特定の選択は、以下のタイプ/サブタイプから単一でまたは組み合わせで行うことができる(例えば、R=アリールシリルエステルの場合、アリール、エステルおよびシロキサンのみが掲げられる);H、ケトン、アルデヒド、カルボン酸、隠されたまたは保護された/活性化されたカルボン酸(表1を参照)、エステル、エーテル、アミン、隠された、または保護された/活性化されたアミン(表1を参照)、イミン、アミド、ニトロ、スルホニル、スルフェート、ホスホリル、ホスフェート、シリル、シロキサン、アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロ、アリール、および生物系から選ばれる化合物、例えば天然のまたは非天然のアミノ酸側鎖、複素環、ラクタム、ラクトン、アルカロイド、テルペン(ステロイド、イソプレノイド)、脂質またはリン脂質鎖。
【0076】
単一ノード置換については、置換の部位ではないが置換の部位に対してαである位置におけるRおよびR基の縮合により、ノードに二重に結合した種、例えば、オキソ(=O)、イミン(=NR)または置換ビニル基(=CR)が得られる。イミンまたは置換ビニル基の形成は、ノードの移動の形を構成する。元のRおよびR基が、置換の部位ではなく置換の部位に対してαでない部位で縮合する場合、環構造が形成する。そのような環状基が形成されると、環状基上の追加のR置換基は、通常の単一ノードまたは多重ノード置換におけるものと同様に選択される(1つまたはそれ以上のノード上のさらなるR基が縮合して、追加のオキソ、イミン、置換ビニル基、またはスピロ、ベンゾ、置換ベンゾ、複素環、置換複素環、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニルまたは置換シクロアルケニル環構造を形成する可能性を含む)。好ましいスピロ/環の環サイズは4、5または6員環である。
多重ノード置換
スキーム2:
【0077】
【化16】


【0078】
2つの可変位置における置換は、2つの−C(R)(R)−ユニットによってもよく、または2つの可変位置を組み合わせて、アリールまたは複素環構造の一部を形成することができる。
【0079】
多重ノード置換については、個々の−C(R)(R)−位置が、単一ノード置換(上述を参照)の場合と同じく置換される。単一ノードについて見いだされる置換のタイプに加えて、結合の部位である(組み合わせ)または結合の部位でない(連結)部位において、異なるノード上に位置するR基の縮合により多重ノードを一緒に組み合わせる、すなわち連結することも可能である。
【0080】
隣接する部位の組み合わせにより、エチレン性ユニット(−C(R)=C(R)−)、すなわちR基排除の形が形成される。隣接しない部位の、結合または組み合わせの点ではない部位におけるR基の縮合によるノードの連結により、環状構造、例えばスピロ、ベンゾ、置換ベンゾ、複素環、置換複素環、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニルまたは置換シクロアルケニル環構造が形成される。5および6員環が好ましい。
【0081】
環状基が形成される場合、または隣接する部位に組み合わせから残されたR基がある場合、環状基上の残りのR基および置換基は、通常の単一ノードまたは多重ノード置換の場合と同様に選択される(さらなるR基が縮合して、追加のスピロ、ベンゾ、置換ベンゾ、複素環、置換複素環、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニルまたは置換シクロアルケニル環構造を形成する可能性を含む)。
【0082】
重要な点は、単一ノードおよび多重ノード置換のいずれについての定義も再帰的(recursively)に機能しうることである。すなわち、置換o−フェニレンジアミン=>置換複素環o−フェニレンジアミン=>置換スピロ−シクロアルキル複素環o−フェニレンジアミン等。
【0083】
スキーム3:
【0084】
【化17】


【0085】
3つの可変位置における置換は、3つの−C(R)(R)−ユニットにより、または可変位置の2つを組み合わせて第3の位置が−C(R)(R)−ユニットで置き換えられているアリールまたは複素環構造の一部を形成することにより、または3つの可変位置をすべて組み合わせて、縮合したジアリール、縮合したアリール複素環または縮合した二複素環構造の一部を形成することにより、行うことができる。
【0086】
市販のおよび/または合成の多用途リンカー、アームおよび架橋出発物質のいくつかの代表例が表4、5および6にそれぞれ示されている。表3に示される、所望のキレート環立体配置を有する大環状テトラアミド化合物、すなわち、5556、5566、5656、5666または6666、およびこれらの変種は、表2に示される種々のキレート立体配置、すなわち親、保護/活性化または隠蔽について、出発物質の一般的な選択および組み合わせを参照し、次に、特定の出発物質を表4、5および6から選択することにより構築することができる。これらの官能基および同様の出発物質を新規合成方法において用いることにより、特定の末端用途に適したキレート環立体配置および置換基のアレイを有する大環状テトラアミド化合物が得られるであろう。表中の記号*は、酸化に対して比較的頑強な置換基を示す。表中の記号†は、非常に酸化的に頑強な置換基を示す。
【0087】
表4は、大環状テトラアミドの製造において興味深いいくつかの代表的ジカルボン酸マロネート誘導体、すなわちリンカーを、親、隠蔽、または保護/活性化形態で表す。
【0088】
【表4−1】


【0089】
【表4−2】


【0090】
【表4−3】


【0091】
表5は、大環状テトラアミドの製造において興味深いいくつかの代表的なαおよびβ−アミノカルボン酸、すなわちアームを、親、隠蔽、または保護/活性化形態で表す。
表5 アミノカルボン酸
α−アミノカルボン酸の誘導体(5ac)
R(−)−2−アミノ−2−メチルブタンジオン酸
S(−)−2−アミノ−2−メチル−4−ペンテン酸一水和物
S(+)−2−アミノ−2−メチルブタンジオン酸
2−アミノ−2−ノルボルネンカルボン酸
S(+)−2−アミノ−2−メチルブタン酸水和物
R(−)−2−アミノ−2−フェニル酪酸
2−アミノ−2−メチル酪酸
1−アミノシクロプロパン−1−カルボン酸
2−アミノ−2−メチルグルタミン酸
1−アミノシクロブタン−1−カルボン酸
R(−)−2−アミノ−2−メチル−3−ヒドロキシプロパン酸
1−アミノシクロペンタン−1−カルボン酸(シクロロイシン)
S(+)−2−アミノ−2−メチル−3−ヒドロキシプロパン酸
1−アミノシクロヘキサン−1−カルボン酸
(S)−2−アミノ−2−メチル−4−ホスホノブタン酸
S(+)−2−アミノ−2−メチル−3−フェニルプロパン酸
α,α−ジフェニルグリシン
α−フェニルアラニン((+/−)α−メチル−α−フェニルグリシン)
α−アミノ−イソ酪酸(α−メチルアラニン)
S(+)−2−アミノ−2−フェニル酪酸
シス−1−アミノ−3−(2−ホスホノアセチル)シクロブタン−1−カルボン

β−アミノカルボン酸の誘導体(6ac)
*†2−アミノ−安息香酸(アントラニル酸)から誘導されるβ−アミノ酸は、非常に酸化的に頑強である。
【0092】
【表5−1】


【0093】
【表5−2】


【0094】
【表5−3】


【0095】
表6は、大環状テトラアミドの製造において興味深いいくつかの代表的なジアミン、すなわち架橋を、親、隠蔽、または保護/活性化形態で示す。アミンおよび保護された/活性化されたまたは隠されたアミン官能基は、互いに交換可能なように用いられる。
【0096】
表6 ジアミン
1,2−アリールジアミン(5aa)の誘導体
*†示されるすべてのアリールジアミンは、酸化に対して比較的頑強である。
【0097】
【表6−1】


【0098】
【表6−2】


【0099】
【表6−3】


【0100】
【表6−4】


【0101】
【表6−5】


【0102】
【表6−6】


【0103】
n,n+2−ジアミンの一覧は、他の誘導体より顕著に短いが、これは主として、必要なn,n+2ジアミンの合成がn,n+1ジアミンより複雑であるためである。
架橋、アームおよびリンカー出発物質のいくつかの特定の例が表7に示される。それぞれの場合において、アミド結合は逆合成的に分解して、アミン等価物(アミン、ニトロ、アジド、イソシアネート等、表1を参照)およびカルボン酸等価物(酸、エステル、塩化アシル、ニトリル等、表1を参照)を形成する。
【0104】
表7の架橋およびリンカーは局所的な2倍対称を保持するが、一方、示されるすべてのアームは、5員キレート環を導く。
【0105】
【表7】


【0106】
いくつかの特定の架橋B、アームA、およびリンカーLの出発物質

R基は、合成反応には関与しないため、多くの変種が可能である。しかし、上で議論したように、酸化的に頑強な化合物および触媒を形成するためには、R基にはある種の制限がある。リンカーのR置換基と最終的なキレート系の中心金属原子に結合したアキシアル配位子との間に水素原子引抜きが生ずるという相当な証拠がある。図1の提唱メカニズムに示されるように、この引抜きは次に酸化的分解を引き起こすと考えられる。分子モデルは、大環状錯体の6員リンカー環のボート立体配座において、エチル基のメチレンH−原子がFe−オキソ錯体の酸素原子に到達しうることを明らかにした。このデータおよび他のデータは、図1に示されるメカニズムに裏付けを与え、RおよびR置換基のパラメータを説明する。H−原子引抜きおよび続く分解を回避するためには、好ましい大環状化合物のR基は、H−原子引抜き反応を減速させ、このことにより酸化的分解を減速させるものであるべきである。これを達成するためには、本発明の化合物のRおよびR基は、良い結合強度を有し、非反応性であり、または、アキシアル配位子、例えば立体的にまたは配座的に妨害された基にアクセス可能でないものである。これらの特性の任意の1つまたは組み合わせを用いることができる。後者の選択は、RおよびR基の配座的な自由度を減少させ、これらが単に反応するのに十分に近くないようにすることにより達成することができる。本明細書において用いる場合、良いC−H結合強度とは、94Kcal・mol−1より高いことを意味し、または立体的にアクセスできないC−H結合については、85Kcal・mol−1より高いことを意味する。
【0107】
マロネートリンカー部分は、大環状化合物配位子の最も感受性の高い部分である。リンカー上の好ましいR基としては、RおよびRの代わりに、メチル、ハロゲン、水素、CF、およびスピロ−シクロペンチルまたはスピロ−シクロヘキシル環が挙げられる。
【0108】
アーム部分のR置換基の選択は、化合物のこの部分の頑強さのため、リンカーに比べて遙かに自由度が高く、これは、酸化可能なC−H基をアキシアルオキソ配位子と接触するように5員環を調製することが不可能であることを反映しているのであろう。すなわち、αおよびβアミノカルボン酸のR基はまた、得られる大環状化合物の置換基を所望の末端用途に合わせるように選択することができる。大環状化合物は対称でも非対称であってもよい。非対称の大環状化合物については、2つの異なるアミノ酸出発物質を用い、得られる大環状化合物は、対称および非対称形の混合物である。2つの形は、知られている分離技法により分離することができる。本発明の化合物の若干の例を以下に示す。
【0109】
【化18】


【0110】
大環状四座配位子を製造した後、大環状化合物を、広範な種類の金属イオン、好ましくは遷移金属、最も好ましくは、元素周期律表の6、7、8、9、10または11族の遷移金属で錯化して、次式:
【0111】
【化19】


【0112】
[式中、Mは金属であり、Zは酸化に耐性の金属錯化原子、例えばNまたはOであり、Lは任意の置換活性配位子であり、Ch、Ch、ChおよびChは、上述のキレート系の、酸化に耐性の成分であって、同一または異なり、隣接するZMZ原子とともに5または6員環を形成する]
のキレート錯体を形成することができる。
【0113】
錯形成反応は、以下の方法により行う。大環状配位子を支持溶媒、通常はTHFに溶解し、塩基、好ましくは、リチウムビス−トリメチルシリルアミド、リチウムジイソプロピルアミド、t−ブチルリチウム、n−ブチルリチウム、またはフェニルリチウムで処理することにより脱プロトン化する。金属錯化部位でプロトン、すなわち、テトラアミド化合物のアミドN−Hプロトンを除去する任意の塩基を適用しうる。非配位有機可溶塩基が好ましい。配位子を脱プロトン化した後、金属イオンを加える。次に、得られる中間体である、比較的低価の配位子金属種を酸化する。酸化工程は、好ましくは、空気、塩素、臭素、または過酸化ベンゾイルを用いて、金属キレート錯体を、通常はリチウム塩として生成する。得られる錯体を複分解して、テトラアルキルアンモニウム、テトラフェニルホスホニウムまたはビス(トリフェニルホスホルアニリデン)アンモニウム(PPN)塩を形成する反応は、リチウムイオン含有錯体と比較して精製の容易な金属キレート錯体を生成する傾向にある。精製した金属キレート錯体は、次に、酸化反応を触媒するために用いることができる。
【0114】
次に錯体を強いO−原子伝達酸化剤、好ましくは、過酸化物、例えば過酸化水素、t−ブチルヒドロペルオキシド、クミルヒドロペルオキシドまたは過酸と組み合わせて、配位子金属IV、VまたはVIオキソ中間体を生成する。配位子骨格の生成に酸化的に頑強な置換基を用いた場合、頑強な、高い酸化状態のオキソ含有種が反応性中間体として見かけ上形成される。これらの高価オキソ含有種は、多くの酸化反応を触媒する活性な伝達剤であると考えられる。
【0115】
低価金属種を過酸化物または他の[O]含有酸化剤に暴露すると、金属は酸化剤から酸素を引きつけてこれに結合する。金属によって、金属と酸素との間の結合は、非常に強いか、または酸素を酸化剤から除去して次に他の成分へ伝達するのに十分なだけしか強くない。
【0116】
金属が金属IIIイオンである場合、得られるオキソ種は一般に金属Vイオンであろう。金属が金属IVイオンである場合、得られるオキソ種は一般に、配位子、すなわち配位子カチオンラジカル上に第2の酸化部位を有する、金属VIイオンまたは金属V錯体を含むであろう。大環状配位子の組み合わせられた安定化効果、および金属中心におけるd電子の数の、オキソ配位子に結合する程度の制御における関与は、非常に強い酸素−金属結合を形成する初期遷移金属錯体を好む傾向にあり、安定なオキシドを生ずる。中期および後期遷移金属は、酸素を酸化剤から除去し、オキソ配位子に結合して反応性中間体を形成する傾向にある。新規合成方法により製造される金属配位子系においては、中期および後期遷移金属は、酸素の伝達を促進する傾向にある。
【0117】
その安定化効果に加えて、配位子はまた金属の特性に影響を及ぼす。金属、大環状化合物の電子密度、錯体上の電荷、および結合強度/配位したオキソ配位子への結合順序を制御することにより、安定なオキシドから高価酸化触媒までの酸素伝達能力の完全な範囲を達成するように、金属配位子錯体を細かく調製することができる。
【0118】
好ましい態様においては、アキシアル配位子Lは、酸化剤を含有する溶液中にキレート系が導入されるまで金属に対するその位置を占めるため、置換活性である。置換活性配位子は解離して、酸化剤(最も一般的にはO−原子伝達剤であるが、金属イオンを活性化して触媒として作用させることができる任意の一般の酸化剤でもよい)により置き換えられるであろう。好ましい置換活性配位子としては、限定されるものではないが、Clアニオン、一般にハロゲンイオン、CN、HO、OH、ROH、NH、または任意のアミン、カルボキシレート、フェノールまたはフェノキシド、ピリジン、エーテル、スルホキシド、ケトン、またはカーボネートが挙げられる。大環状化合物を含有する芳香族環の金属錯体における酸化部位は、アキシアル配位子ならびに環置換基の選択により操作することができる。
【0119】
スピロ−シクロヘキシル置換基を有する大環状化合物は製造されており、大環状化合物を非常に疎水的に、かつペンタンおよび他の軽い飽和した脂肪族溶媒に著しく可溶性にすることが見いだされている。長鎖置換基、例えばドデシル鎖またはリン脂質鎖は、大環状化合物を膜に可溶性にするであろう。
【0120】
スピロ−シクロヘキシル誘導体は立体的に妨害されており、他の好ましい置換基より遅い反応速度を有する。このため、本発明の方法の第1工程のアミド中間体の通常の合成を変更する。
【0121】
ビススピロ−シクロヘキシルマクロリンカー中間体の合成は、アシル化剤を多数の、好ましくは3つのアリコートで、別々の時間に滴加することにより行った。12時間の間隔で、好ましくは反応時間を延長することにより、最良の結果が得られた。延長された反応期間なしでは、収率は低かった。反応シーケンスは、以下のシーケンスに示される。シクロヘキサンを用いてオキサザロン形のマクロリンカーを他の反応生成物から分離することができ、または水を加えてオキサザロンをインサイチオで加水分解することができる。中間体オキサザロンの加水分解により、増加した収量の所望のビスシクロヘキシルマクロリンカー生成物が得られる。
【0122】
ビススピロ−シクロヘキシルマクロリンカーの合成
【0123】
【化20】


【0124】
疎水性オキサザロンの加水分解
【0125】
【化21】


【0126】
次に、シクロヘキシル含有マクロリンカーを本発明の他の中間体と同様に閉環することができる。しかし、スピロ−シクロヘキシル含有大環状中間体の増強された安定性のため、大環状化合物の反応副生成物からの分離は、他の好ましい閉環成分とは異なる。典型的には、粗大環状生成物を有機溶媒、例えばCHCl中に抽出する。CHCl溶液を酸および塩基で洗浄して、酸性および塩基性官能基を含有する不純物および副生成物を除去し、オキサザロン含有中間体を加水分解する。シクロヘキシルテトラアミド大環状化合物は、通常の酸/塩基洗浄によってはよく精製されず、そのかわり、ビスシクロヘキシルオキサザロンとビス−シクロヘキシルテトラアミド大環状化合物との約1:1混合物が得られる。混合物のペンタン抽出により、きれいな分離が得られる。大環状化合物は不溶性であり粉体として単離されるが、ペンタン溶解性画分を蒸発させて、ビスシクロヘキシルオキサザロンの大きな結晶を得ることができる。
【0127】
過剰の置換マロニルジクロリドを加えると、約2モルのアミノ酸対1.35−1.5モルの置換マロニルジクロリドという最適比で、マクロリンカーの収率が改良されることが観察されている。生成物混合物は、マクロリンカーおよびモノオキサザロン形のマクロリンカーを含み、これは容易に加水分解して、追加の生成物を得ることができる。この方法の収率は、閉環反応の間に反応溶液から水を排除すると、著しく改良される。
【0128】
ピリジンジアミンもまた用いることができる。従来技術のアジド合成の経路は、ピリジン環をも還元する還元工程を含み、ピリジン架橋を有する大環状化合物は得られない。アミノペンダント変種もまた、従来技術合成方法による合成は単調で長い。アミノペンダント変種は、大環状化合物または金属錯体を支持体、例えばポリマーまたは砂、またはアミンと共有結合するであろう官能基を有する他の分子または基質につなぐことを可能とするため、非常に興味深い。アミンと共有結合する基は、当該技術分野においてよく知られており、錯化形、例えば、アルキルアミン、アミド、スルホンアミド、イミン、および他の隠されたまたは保護された/活性化された形に含まれる。表1を参照のこと。
【0129】
アリールアミノペンダント大環状化合物の合成は、一般にシーケンス4および5にしたがって進行する。
シーケンス4:1,2−ジアミノ−4−アセトアミドベンゼン(ジヒドロブロミド)
【0130】
【化22】


【0131】
シーケンスは、保護されたアミノ基(アセトアミド)のアリールジアミン基(架橋)上への戦略的かつ選択的導入を含む。保護された形態の架橋であるアセトアミドジアミンは、次に、標準的なジアミン+本明細書に記載される中間体リンカー合成経路を介する閉環に適している。大環状化を達成するためには延長された閉環時間が必要であり、これは、結合したオキサザロンとアセトアミド基との間の望ましくない水素結合形成の原因となり、所望の大環状化反応を減速させると予測される。
【0132】
シーケンス5のようにして保護されたアミノペンダント大環状化合物を合成すると、これをコバルトで金属化することができる。アセチル保護基を除去すると大環状コバルト錯体が得られ、これは支持体に容易に結合することができる。これまでの最良の結果は、ペンダントアミノ基を塩化アクリロイルで再アシル化してアミド連結ビニルペンダント大環状化合物を生成することにより得られている。
【0133】
シーケンス5:アミノペンダント大環状コバルト錯体の合成
【0134】
【化23】


【0135】
次にこれを、20倍過剰の種々のアクリロイルモノマーとともに共重合させて、図5に図解されるように、約20残基ごとに側鎖として大環状コバルト錯体を含有するアクリルポリマーを得る。
【0136】
大環状金属錯体をポリマーまたは他の支持体に固定することにより、図4に図解されるシステムにしたがって、金属を再生し再利用することができる。環境に毒性の金属、例えば、CrVIは、環境により優しい酸化試薬、例えばCoIVまたはCoIII種(ここで、Lは配位子中心酸化を表す)により置き換えることができる。
【0137】
図4を参照すると、所望の酸化工程の後、固定された酸化剤は、回収および一次酸化剤(例えば次亜塩素酸塩、臭素)による再酸化によりまたは電気分解により、再利用することができる。固定された大環状金属種の使用は、毒性の使用済金属種の環境中への放出のレベルを著しく減少する実行可能な方法を提供すると予測される。図4のポリマー結合酸化剤系は、再利用可能な”グリーンの”酸化試薬の例として役に立つ。
【実施例】
【0138】
実験の部
酸化的に頑強なテトラアミド配位子の合成
材料:すべての溶媒および試薬は試薬等級(Aldrich,Aldrich Sure−Seal,Fisher)であり、受領したまま使用した。微量分析は、Midwest Microlabs,Indianapolis,Indianaにより実施した。
電気化学的測定:サイクリック・ボルタンメトリーは、N下で、ガラス状の炭素ディスク作用電極(A.約0.0078cmまたは0.071cm)、Pt線の対電極、および塩化ナトリウム飽和カロメル電極(SSCE)を参照電極として用いる3区画セル中で実施した。CHCl(Aldrich Sureseal)またはCHCN(CaHで乾燥)を溶媒として、[BuN][ClO](0.1M,Fluka,24時間 ℃で真空乾燥)または[BuN][PF](0.1M,Fluka puriss)の支持電解質とともに用いた。Compudyne 486DXコンピュータ制御したPrinceton Applied Researchモデル273ポテンシオスタット/ガバノスタットを用い、電流/電圧曲線は、GraphtecモデルWX1200X−Yレコーダに記録するか、または正のフィードバックIR補正、モデル175ユニバーサルプログラマおよびHouston Instrumentsモデル2000X−Yレコーダを備えたPrinceton Applied Researchモデル173/179ポテンシオスタット/デジタルカロメータを用いた。いくつかの実験については、最後に内部電位標準としてフェロセン(Fc)を加えた。正規電位は、アノードおよびカソードのピーク電位の平均として計算し、NHEに対して記録した。すべての場合において、Fc/Fc対のピーク・ツー・ピーク分離は、鉄化合物対のものと同様であった。20−500mVs−1の範囲にわたるピーク電流対スキャン速度の平方根のプロットは、すべての対について直線的であることが認められた。
質量分析:電気スプレイイオン化質量分析は、Analytica of Branford 電気スプレイインターフェースを装着したFinnigan−MATSSQ700(San Jose,Calif.)質量分析器で取得した。2400−3400Vの電気スプレイ電圧を用いた。試料を約10pmol/μlの濃度でアセトニトリルまたはジクロロメタンに溶解し、1μl/分間の流速で直接注入によりESIインターフェース内に導入した後、データ取得を行った。陽イオン電子衝撃イオン化(70ev)MS実験は、Finnigan−MAT4615四極質量分析器で、INCOSデータシステムと組み合わせて実施した。イオン源温度は150℃であり、マニホルドチャンバ温度は100℃であった。試料の導入は、ガスクロマトグラフィーまたは直接挿入プローブにより行った。陽イオン高速原子衝撃質量分析は、Finnigan−MAT212磁気セクター装置で、INCOSデータシステムと組み合わせて取得した。加速電圧は3kVであり、イオン源温度は約70℃であった。Ion Techサドルフィールド高速原子銃をキセノンとともに8keVで用いた。チオグリセロールをFABマトリックスとして用いた。陽イオン電子衝撃イオン化(70eV)MS/MS実験は、Finnigan−MATTSQ/700タンデム四極質量分析器で実施した。試料の導入は、直接挿入プローブにより行った。イオン源は、150℃に保持し、マニホルドチャンバは70℃に保持した。衝突誘導化電離(CID)は、マニホルド内の圧が0.9−2.5×10−6Torrに達するまでアルゴンを中心rfのみ衝突八極に導入することにより実施した。CID生成物イオンについての名目上のイオン速度論エネルギーは、<35eV(実験室対照)であった。JEOLJMSAX−505H二重焦点質量分析器で解像度7500を用いるEBコンフィギュレーションで高い分離データが得られた。試料の導入は、ガスクロマトグラフィーまたは直接挿入プローブにより行った。質量分析の取得の間、加熱した入口を用いてパーフルオロケロセンをイオン源に導入した。正確な質量の帰属は、パーフルオロケロセンの質量からのコンピュータ補助内挿法により得た。GC/MS条件:カラム、20m×0.25mmDB−1701(J&W Scientific);キャリアガス、ヘリウム、線速度40cm/sec;注入器,125℃;カラム温度,35℃で3分間、続いて10℃/分間で100℃まで上昇;注入,スプリットモード,約50:1比。
スペクトル分析法:300MHzH NMRスペクトルおよび75MHz13C NMRスペクトルは、IBMAF300装置で、Oxford Superconducting磁石システムを用いて得た。データ取得は、Brukerソフトウエアにより制御した。赤外線スペクトルは、Macintosh IIコンピュータで制御したMattson Galaxyシリーズ5000FTIR分光分析器で得た。UV/visスペクトルは、Zenith Z−425/SXコンピュータにより運転されるHewlett Packard 8452A分光光度計で得た。慣用のX−バンドEPRスペクトルは、Oxford ESR−900ヘリウム流クリオスタットを備えたBruker ER00分光分析器で記録した。メスバウアースペクトルは定常加速装置で取得し、異性体シフトは、298Kで鉄金属標準に対して測定した。印加される磁場による多結晶質試料の配向を回避するために、試料は凍結ヌージョル中に懸濁した。
【0139】
商業的に容易に入手できないジアミンの合成
実施例1
A.1,2−ジメトキシベンゼン(ベラトロール)から1,2−ジアミノ−4,5−ジメトキシベンゼンの製造
1,2−ジニトロ−4,5−ジメトキシベンゼン:
Drakeらの”Synthetic Antimalarials.Some Derivatives of 8−Aminoquinoline”,J.Amer.Chem.Soc.,1536,Vol.68(1946)の方法にしたがって、ベラトロールを二重に窒素化した。硝酸(68.3g,濃)を、最初に15℃に冷却した氷酢酸(1450mL)中のベラトロール(48.3g,350mmol,d=1.084)のよく撹拌した溶液に加えた(滴加、1時間)。混合物は、冷却および、酸の添加速度の適切な制御により、40℃より低く、10℃より高い温度に維持する必要がある。大量のモノニトロベラトロールが分離した。撹拌を続け、追加の硝酸(212.7mL,発煙)を加え(滴加、1時間)、この間、溶液の温度は30℃より低く維持した。2回目のニトロ化にしたがって、モノニトロベラトロールは溶解し、すべての酸を加えたとき溶液は透明になった。ニトロ化混合物を2時間放置し、次に約1.5Lの氷水に注加した。沈殿したジニトロ化合物を濾過し、酸がなくなるまで(pH>5)水でよく洗浄し、最小量の熱EtOH(600mL)から直接再結晶した。1,2−ジメトキシ−4,5−ジニトロベンゼンの収量は69.0g(87%)であった。特性決定:m.p.129.5℃−130.5℃。H NMR(CDCl)δ[ppm]:7.35(s,2H,ArH),4.02(s,6H,OCH)。IRヌージョルν[cm−1]:3124(s,w,アリールCH),3073(s,w,アリールCH),1592(s,str,アリール環ストレッチ),1535&1518(s,str,ArNO)。計算値:C:C,42.11;H,3.53;N,12.28。実測値:C,42.12;H,3.54;N12.33。
1,2−ジアミノ−4.5−ジメトキシベンゼン:
1,2−ジメトキシ−4,5−ジニトロベンゼン(10g,43.8mmol)を、酸性MeOH(175mL+2等量の無機酸(すなわち、10mLの濃HBr))中で、10%Pd/C触媒を用いる触媒的水素化により1,2−ジメトキシ−4,5−ジアミノベンゼンに還元した(24−36時間,20−22psiのHが貯蔵器から消費された)。2等量より多くのHBrを最初に加えると、Pd/C触媒が強く阻害されることが認められた。水素化が完了した後、追加の4−5等量の濃無機酸を加えて、物質を空気酸化から保護し、混合物を回転蒸発させて、赤/紫色油状物を得た。少量の無水EtOHを加え、次にスラリーを600mL容量の氷冷EtO中に注加し、冷凍庫に一夜放置することにより、粗物質を精製した。赤紫色生成物を濾過により回収し、軽く空気乾燥し、次にデシケータ中に放置して、乾燥工程を完了させた。ジアミン塩を空気/水に長時間暴露すると、緑色の発色が生じ、これは不可逆的酸化であるようであった。水素化の収率は約90%であった。赤紫色1,2−ジメトキシ−4,5−ジアミノベンゼン(二臭酸塩水和物)の特性決定。H NMR(dピリジン)δ[ppm]:10.35(s,br,7.5H,HO/py.HBr/R−NH急速に交換),7.35(s,2H,ArH),3.60(s,6H,ArOCH)。IR(ヌージョル/NaCl)ν[cm−1]:3085(br,OH),2557(s,str,ArNH),1623(s,w,非対称NHベンド/アリール環ストレッチ),1539,1519(s,m.対称NHベンド)。(計算値:C12)(HBr)(HO)0.66:C,28.09;H,4.52;N,8.19。実測値:C,27.82;H,4.18;N,8.37。水和の確認は、IRおよびNMR分光分析から別々に得られた。
【0140】
1,2−ジアミノ−4,5−ジメトキシベンゼンの無水硫酸塩の製造は、Nakamura,M.ら、”Fluorimetric Determination of Aromatic Aldehydes with 4,5−Dimethoxy−1,2−Diaminobenzene”,Anal.Chim.Acta.(1982),134,p.39−45にしたがい、以下のように行った。1,2−ジアミノ−4,5−ジメトキシベンゼン(2g)をEtOH(20mL)に溶解し、HSO(濃、約2mL)と混合した。生成物をEtOHから再結晶して、ほぼ無色の針状物(収量約2g)を得た。計算値:C14S:C,36.1;H,5.3;N,10.5。実測値:C,35.85;H,5.6;N,10.4。
B.1,4−ジアミノ−2−ニトロベンゼン(2−ニトロ−1,4−フェニレンジアミン)から1,2−ジアミノ−4−アセトアミドベンゼンの製造
1−アミノ−2−ニトロ−4−アセトアミドベンゼン:
McFarlaneら、J.Chem.Soc.Perkin Trans.,691(1988)(本明細書の一部としてここに引用する)の方法にしたがって、1,4−ジアミノ−2−ニトロベンゼン(2−ニトロ−1,4−フェニレンジアミン)を選択的にアセチル化した。アセトン中無水酢酸を用いて、ニトロ基に対してメタ位にあるアミンを容易にアセチル化する(ニトロ基に対してオルト位にあるアミンは強く不活性化される)。1−アミノ−2−ニトロ−4−アセトアミドベンゼン(2−ニトロ−4−アセトアミドアニリン)の収率は>90%であった。特性決定:H NMR(CDOD)δ[ppm]:8.3(m,1H,ArH),7.5(M,1H,ArH),6.9(M,1H,ArH),2.1(s,3H,アセチルCH)、McFarlaneとよく一致。IR(ヌージョル/NaCl)ν[cm−1]:3470(s,str,HOAc),3340−3150(m,m/str,アセトアミドArNH+ArNH),1661(s,str,アセトアミドCO),1643(s,str,H結合アセトアミドCO),1592(s,m/w,アリールストレッチ),1547(s,str,ArNO)&1512(s,m,ArNO)。分析(80℃で乾燥)C:計算値C,49.23;H,14.65;N,21.53。実測値:C,49.36;H,4.55;N,21.31。
1,2−ジアミノ−4−アセトアミドベンゼン:
1−アミノ−2−ニトロ−4−アセトアミドベンゼンを、酢酸(HOAc)/MeOH中で10%Pd/C触媒で触媒的水素化を用いて還元して、1,2−ジアミノ−4−アセトアミドベンゼンとした。この物質は二塩酸塩として単離された。収率>90%。特性決定:H NMR(CDOD)δ[ppm]:6.94(m,1H,ArH),6.68(m,1H,ArH),6.62(m,1H,ArH),2.1(s,3H,アセチルCH)。IR(ヌージョル/NaCl)ν[cm−1]:3348(s,str,アセトアミドArNH),3226−3100(m,m,ArNH),2588(s,br,str,ArNH),1649(s,str,アセトアミドCO),1623(s,str,H結合アセトアミドCO)。分析(80℃で乾燥)C13OCl(HCl/HO)0.1:計算値C,39.45;H,5.50;N,17.25;Cl,30.57.実測値:C,39.39;H,5.53;N,17.32;Cl,30.37。溶媒和化合物HCl/HOの存在はIRにより確認され、塩酸塩を生成するのに用いられた定沸点36.5−38%HClと一致する。
C.2,4−ジメチルペンタノンから2,4−ジアミノ−2,4−ジメチルペンタノンの製造
2,4−ジブロモ−2,4−ジメチルペンタノン:
CClまたは1,2ジクロロエタン(1L)中の2,4−ジメチルペンタノン(85mL,68.5g,0.60mol)に、N−ブロモ−スクシンイミド(NBS,240g,1.35mol,2.26等量)を加えた。混合物を加熱還流し、過酸化ベンゾイル(約20mg)を還流混合物に加えた。溶液を加熱還流する間に(24時間)、淡橙色固体(スクシンイミド)がハロゲン化溶媒の表面に浮き、未反応NBSは底に残った。NBSが見えなくなるまで、過酸化ベンゾイルを還流混合物に繰り返し加えた(約20mg;12−24時間の間隔で)。通常、反応は24時間後に終了する。反応が完了したとき、固体を濾過により回収して廃棄し、ハロゲン化溶媒/Brを母液から減圧下に除去し、淡黄色油状物を得た。残りのハロゲン化溶媒を除去するために、95%EtOH(100mL)を加え、溶媒を再び減圧下に除去し、黄色の僅かに不純物を含む油状物を得た(159.99g,0.59mol,98%)。H NMR(CDCl)2.1(s)。IR(純粋/NaCl)ν[cm−1]:3375(s,w,不純物OH),3014,2978,2933(s,str,CH),2858(s,w,CH),1701(s,str,ケトンCO)。
2,4−ジアジド−2,4−ジメチルペンタノン:
上述のように製造するかまたはLancaster Synthesisから購入した2,4−ジブロモ−2,4−ジメチルペンタノン(89.8g,0.33mol)のEtOH(1.2L,95%)中の溶液を、NaN(注意,47.2g,0.726mol,2.2等量)の水(0.6L)中の溶液に加えた。溶液を加熱還流して(16時間)、淡橙色溶液を得た。溶液が白濁するまで、EtOHを減圧下に除去した。白濁水性溶液を、暖かいまま、ペンタン(500mL)で3回抽出し、合わせた抽出物をNaSOで乾燥し、減圧下に300mLに濃縮した。次に氷酢酸(100mL)を加え、残りのペンタンを減圧下に除去した。この後処理は、次段階で生成物をPd/Cに暴露し、重金属アジドの生成を回避(爆発の危険のため)するために注意しなければならないため、過剰のNaNを除去するために必要なものであった。少量の試料から減圧下に溶媒を除去して、分光分析特性決定用の純粋な油状物(<20mg)を得た。H NMR(CDCl):1.54(s)。IR(純粋)ν[cm−1]:2115(RN),1720(ケトンCO)。安全のために、この合成および関連するアジド系合成により生成される有機アジドは、20mg以上の量では、決して濃縮形態または固体として得てはならないことに注意すべきである。
2,4−ジアミノ−2,4−ジメチルペンタン−3−オン:
氷酢酸(50mL)を、前の工程で形成したジアルキルアジドのHOAc溶液に加え、この溶液を10%Pd/C(2.7g)に加えた。混合物をParr水素化装置で50psiで水素化した(1週間)。反応は吸着されるH分子あたり1モルのNを発生するため、ボンベを10回空にし、Hで50psiとなるように再加圧した(高圧保存容器からのHは効率的に消費されない)。炭素を濾過により除去し、HOAcを減圧下に除去した。HBrを加えた後(48%,76mL)、混合物をEtOHに溶解した。揮発性物質を減圧下に除去して、黄褐色固体を得、これをTHF(50%),EtOH(45%),および濃HBr(5%)の混合物(200mL)で、またはTHF(95%)および濃HBr(5%)の混合物で洗浄した。得られた白色粉末状生成物は、2,4−ジアミノ−2,4−ジメチルペンタン−3−オンの二臭酸塩であった(56.2g,2,4−ジブロモ−2,4−ジメチルペンタノンから48%)。いくつかの異なる調製物からプールされた洗浄物から追加の生成物を回収することができる。生成物は、二臭酸塩または二塩酸塩として保存して、アミンを酸化的分解から保護しなければならない。特性決定:2,4−ジアミノ−2,4−ジメチルペンタン−3−オン 2HBrのH NMR(CDCl/DMSO−d):8.62(6H,s,br,NH),1.77(12H,s,Me)。IR(遊離塩基,ヌージョルマル)ν[cm−1]:3460−3160(RNH),1690(ケトンCO)。分析(80℃で乾燥)計算値C16O。(HBr):C,27.47;H,5.93;N,9.15;Br,52.22.実測値:C,27.43;H,5.91;N,9.11;Br,52.46。
【0141】
大環状テトラアミド−N供与体配位子の合成
実施例2
α−メチルアラニンおよびジメチルマロニルジクロリドからのマクロリンカー中間体(A−L−A)の合成(テトラメチルジメチル置換中間体)
ヘキサメチル(HM)中間体
圧力均等化滴加ロート(250mL)および隔壁を装着した2ッ口フラスコ(1L)をN下に置いた。α−アミノイソ酪酸(すなわち、α−メチルアラニン)(20.62g,0.2mol)および乾燥ピリジン(250mL,4Åモレキュラーシーブで乾燥)をフラスコに加え、撹拌しながら55℃−65℃に加熱し、次に乾燥ピリジン(100mL,4Åモレキュラーシーブで乾燥)に溶解したジメチルマロニルジクロリド(17.8mL,0.135mol)を滴加ロートに加えた。滴加ロートの内容物を反応液に加え(滴加、1時間)、N下でまたは乾燥管を装着して、アシル化を進行させた(60℃−70℃,30−36時間)。アシル化が完了したら、HO(30mL)を加えて反応を急冷し、撹拌した(60℃−70℃,24時間)。ロータリーエバポレータで溶媒容積を減らして油状物を得、次にHCl(濃、約25mL)を加えて最終pHを2−3とした。高温の溶液を冷蔵庫に入れ(4℃,15時間)、得られた生成物をフリット濾過により回収し、アセトニトリル(2×100mL)で十分に洗浄した。風乾白色生成物(16.5−19.8g,収率45−60%)は、デシケータ中に保存しなければならない。生成物は通常は閉環反応を行うのに十分に純粋であるが、再結晶が必要な場合もある。特性決定:H NMR(dピリジン,δ[ppm]);9/2−9.8brs,2H(カルボン酸OH),8.23s,2H(アミド),1.87s12H(CH),1.74s6H(CH)。IR(ヌージョル/NaCl)ν[cm−1]:3317.0(アミドNH);1717.9(カルボン酸CO);1625.7(アミドCO)。分析(100℃で乾燥)計算値C1322;C51.63,H7.34,N9.27。実測値;C51.64,H7.35,N9.33。
【0142】
実施例3
α−メチルアラニンおよびジエチルマロニルジクロリドからの大スケールのマクロリンカー中間体(A−L−A)の合成(TMDE置換中間体)
大スケール合成を望む場合、2ッ口フラスコ(2L,RB+クライセン)に圧力均等化滴加ロート(250mL)および隔壁を装着し、N下に置く。α−アミノイソ酪酸(すなわち、α−メチルアラニン)(90.3g,0.9mol)(または本明細書に記載される任意のα−またはβ−アミノ)を加え、無水ピリジン(1.4L,sureseal)をフラスコ中にカニューレ挿入し、反応混合物を45℃−55℃に加熱し、撹拌する。ピリジン(100mL,sureseal)をカニューレ挿入し、次にジメチルマロニルジクロリド(104.4mL,0.61mol)を滴加ロートに入れる。滴加ロートの内容物を反応液に加え(滴加,3−4時間)、滴加ロートを除去し、N下でアシル化を進行させる(55℃−65℃,120−130時間)。アシル化が完了したら、HO(100mL)を加えることにより反応を急冷し、撹拌する(60℃−70℃,24−36時間)。ロータリーエバポレータで溶媒容量を減少させて油状物を得、次にHCl(濃、約110mL)を加えて最終pHを2−3とする。高温溶液を冷蔵庫に入れ(4℃,15時間)、得られる生成物をフリット濾過により回収し、三角フラスコ中で撹拌することにより、アセトニトリル(700mL,150mL)でよく洗浄する。風乾白色生成物(87.9g,収率60%)を乳鉢と乳棒で砕き、デシケータ中に保存する。大スケール反応のアミド中間体生成物は、閉環反応において用いる前に再結晶が必要であろう。
【0143】
実施例4
HM中間体の再結晶
O(500mLよりわずかに少ない、脱イオン化)中の、実施例2または3からの粗中間体(50.4g,0.153mol)を、NaCO(16.2g,0.153mol)を3回に分けてゆっくりと、過剰な泡立ちを注意深く回避しながら加えることにより、溶解した。よく撹拌し、穏やかに加熱する。溶液を沸騰させ、濾過し、HCl(濃,30mL,0.36mol)で酸性にする。溶液を冷却(一夜,4℃)し、沈殿物を濾別し、アセトニトリル(250mL)で洗浄する。風乾生成物(38.8−45.4g,再結晶、収率77−90%)は、デシケータ中に保存しなければならない。
大環状化反応
大環状テトラアミド配位子の製造のためのいくつかの合成経路が開発されている。有機アジドに基づく経路は、Uffelman,E.S.,博士論文,California Institute of Technology(1992)およびKostka,K.L.,博士論文,Carnegie Mellon University(1993)に記載されている。新規な合成方法を用いる大環状テトラアミド配位子の製造のためのいくつかの合成経路の例を以下に記載する。
三塩化リンカップリング
アミド中間体反応生成物の芳香族性1,2−ジアミンへの三塩化リンカップリングにより、大環状テトラアミドを安全に、安価に、高収率で得る。PClカップリング方法の2つの異なる変法が有用である。差異は、添加の順序および用いる試薬の選択に関するものである。これらの方法は、主として、マクロリンカー型のアミド中間体を合成のすべてに平衡して組み込むために、架橋ジアミン上に存在する異なる電気的置換基またはアミド中間体上に存在する異なる立体的置換基を有する広範な種類の大環状化合物の製造に適用することができる。
【0144】
実施例5
A.PC1カップリングによる大環状化合物の合成
長口フラスコ(250mL)に実施例2−4のアミド中間体(10mmol)および撹拌棒を入れ、オーブンで焼く(80℃−100℃,30−45分間)。高温のフラスコをN下に置き、アリールジアミン(10mmol)を加え、無水ピリジン(50mL,sureseal)をカニューレ挿入する。フラスコを加熱し(50℃−60℃)、PCl(d=1.574g/mL,1.72mL,20mmol)をシリンジで、過剰な還流をすることなくできるだけ早く挿入する。これは発熱反応であるため、注意すべきである。次に温度を還流または還流直前の温度に上げ(100℃−115℃)、N下で反応を進行させる(48時間)。アシル化が完了した後、フラスコの内容物をHCl(1等量,約60mL)で酸性にして、最終pHを約2とする。混合物を三角フラスコに移し(フラスコをすすぐために水を用いる)、CHCl(300mL,2−3時間)とともに撹拌し、次に追加のCHCl(2×150mL)で抽出する。合わせた有機層を希HCl(0.1M,2×100mL)で、続いて希水性NaCO(2×5g/100mL)で洗浄する。有機溶媒をロータリーエバポレータで除去して、粗生成物(30%)を得る。粗生成物の重量は、通常ジアミンの初期重量と等しい。
B.PClカップリングによる大環状化合物合成
長口フラスコ(250mL)にMgSO(5g)、撹拌棒、アリールジアミン(10mmol)およびピリジン(50mL,4Åモレキュラーシーブで乾燥)を入れ、N下に置く。PCl(d=1.754g/mL,1.72mL,20mmol)をシリンジを介して加え、混合物を30分間還流させ、橙色/黄色沈殿物を形成する。混合物をある程度冷却し、アミド中間体(10mmol)を加え、次に混合物をN下で還流する(115℃,48時間)。アシル化が完了した後、フラスコの内容物をHCl(1等量、約60mL)で酸性にして最終pHを約2とする。混合物を三角フラスコに移し、CHCl(300mL,2−3時間)とともに撹拌し、次に追加のCHCl(2×150mL)で抽出する。合わせた有機層を希HCl(0.1M,2×100mL)、次に希NaCO(2×5g/100mL)で洗浄する。有機溶媒をロータリーエバポレータで除去して、粗生成物(30%)を得る。粗生成物の重量は、通常ジアミンの初期重量と等しい。
注:より大きいスケールの大環状化反応については、閉環時間は還流下で4−5日間に増加させ、反応の最後に存在するピリジンのほとんどをロータリーエバポレーションで除去した後に酸性にする。
【0145】
実施例6
HM中間体+DCBジアミンからのHM−DCBの製造
1,2−ジアミノ−4,5−ジクロロベンゼン(1.77g,10mmol)をジアミンとして、ヘキサメチルアミド中間体(3.02g,10mmol)とともにPCl方法AまたはBの大環状化反応において用いた。粗大環状化合物(1.33g,30%)を、最小量の熱n−プロパノールから蒸発により再結晶した。第1回の再結晶の収率は60%であった。特性決定:H NMRδ[ppm]:7.69(s,2H,ArH),7.39(s,2H,アミドNH),6.44(s,2H,アミドNH),1.58(s,12H,アームメチル),1.53(s,6H,マロネートメチル),小さなn−プロパノールのピークが認められた。IR(ヌージョル/NaCl)ν[cm−1]:3503(s,br,m−w,n−プロパノールOH),3381(sh,m,アミドNH),3338(s,str,アミドNH),1689(s,str,アミドCO),1643(s,str,アミドCO)。計算値:C1924Cl・(CO)0.:C,51.70;H,5.57,N12.30%FoundC,51.69;H,5.63;N,12.33%。
オキサザロンカップリング反応
アミド中間体の芳香族性ジアミンへのオキサザロンカップリングによっても、大環状テトラアミドを安全に、安価に、高収率で、追加の官能基に対する低い感受性で得ることができる。PClカップリング経路により形成することができる大環状化合物は、オキサザロンカップリング経路により製造することもできる。さらに、追加の官能基に対するより低い感受性は、得られる金属錯体に新たな特性を付与するよう設計された追加の官能基を有する大環状配位子の製造を可能とする。特定の例には、ペンダント様式で大環状化合物のアリール環に結合した反応性基(例えばアミンまたはビニル基)の組み込みが含まれ、これは、予め形成した大環状化合物をある(ポリマー)基質に共有結合させることを可能とする。
【0146】
実施例7
オキサザロン方法による大環状化合物の合成
長口フラスコ(250mL)にアミド中間体(3.3g,10mmol)、撹拌棒を入れ、オーブンで焼く(80℃−100℃,30−45分間)。高温のフラスコに隔壁を装着し、N下に置く。無水ピリジン(50mL,sureseal)をカニューレ挿入し、塩化トリメチルアセチル(すなわち塩化ピバロイル)(22−24mmol)をシリンジを介して加えながら加熱を開始する。温度を還流温度または還流直前の温度(100℃−115℃)に上げ、Nライン上の他の反応からのクロスコンタミネーションを注意深く回避しながら、N下で反応を進行させる(22−26時間)。反応物は透明淡黄色から黄茶色に変化する。オキサザロン形成が完了した後§、アリールジアミン(8−10mmol)を、純粋な固体として、または無水ピリジン中のスラリーとして大口径カニューレを介して加えるか、または、ヘッドスペースおよび溶解性の制約が満たされる場合には、無水ピリジン(sureseal)中に溶解してN下で脱気する。閉環反応は、他の反応からのクロスコンタミネーションなしでN下でさらに48−72時間(より大きいスケールについてはより長い時間)還流する。混合物は通常茶黒色に変化する。アシル化が完了した後、HO(30mL)を加えることにより反応を急冷し、還流下で撹拌する(100℃,22−26時間)。混合物を冷却し、最小量のHOを用いて長口フラスコをすすいで、RBフラスコ(500mL)に移す。ロータリーエバポレーションにより溶媒を除去して、粗生成物混合物を黄褐色油状物から茶黒色固体として得る。官能基が許容すれば、粗生成物混合物をCHCl中に取り出し、希水性HClおよび希水性NaCOで洗浄しうることに注意すべきである。次に、減圧下で有機溶媒を除去して、先に詳述したようにPClカップリング反応からよく知られた、直接再結晶して、純粋な大環状生成物を得るのに適した通常の大環状生成物を得る。
§ アリコートをポンプにより取り出し、乾燥dピリジンに再溶解すると、主要な種(24時間還流後>80%のビスオキサザロン)が得られる。H NMRδ[ppm]:2.10(q.4H,メチレンCH),1.38(s,12H,RCH),0.85(t,6H,エチルCH)。NMR試料に水を加えて、室温で20時間後に、通常のアミド中間体スペクトルが再生する。
【0147】
実施例8
TMDE中間体+AcBジアミンからの、オキサザロンを経由するTMDE−AcB
この大環状化合物は、基質とペンダントアミノ基との間のアミド形成を通して広範な種類の支持体に結合させることができる、アミノペンダント大環状化合物の保護された形である。望ましくない水素結合の形成であると推測されるもののため、大環状化を達成するためには、閉環反応は長い還流時間を必要とする。オキサザロン閉環反応において、1,2−ジアミノ−4−アセトアミドベンゼン二塩酸塩(9mmol)をジアミンとして用いる。大環状化時間は増加し(還流、5日間)、続いて正常な急冷反応および酸塩基後処理を行って、大環状イミダゾールおよび所望のテトラアミド大環状化合物を含むトリアミドの混合物を得た。さらなる精製は、アセトニトリルを溶出液として用いるシリカゲルクロマトグラフィー(1”×4−5”)により行った。あるいは、粗生成物は熱エタノール、クロロホルムまたはジクロロエタンからの再結晶により精製することができる。ジアミンから収率15−20%。特性決定:H NMR(CDCN)δ[ppm]:8.31(s,1H,アリールアセトアミドNH),7.72(m,1H,ArH),7.55(s,1H,アリールアミドNH),7.44(s,1H,アリールアミドNH),7.30(m,2H,ArH),6.86(s,2H,アルキルアミドNH),2.05(q,4H,エチルCH),2.01(s,3H,アセチルCH),1.49(d,12H,RCH),0.82(t,6H,エチルCH).IR(ヌージョル/NaCl)ν[cm−1]:3368(s,m,アミドNH),3319(s,m,アミドNH),3291(sh,m,アミドNH),3268(s,str,アミドNH),1678(sh,m,アミドCO),1667(s,str,アミドCO),1656(s,str,アミドCO),1639(sh,m,アミドCO),1608(s,m,アリール環/アミド)。計算値C2333・(HO)1.25:C,57.31;H,7.42;N,14.53。実測値:C,57.02;H,7.15;N,14.33。溶媒HOの存在は、H NMRおよびIRにより確認された。
【0148】
実施例9
オキサザロン経路による、TMDM中間体+2,4−ジアミノ−2,4−ジメチル−ペンタン−3−オン(DMP)からのパーアルキル化大環状化合物(MAC)、またはTMDM−DMPの合成
[MAC](TMDM−DMP)へのPCl経路では、ジアミンケトン官能基とリン試薬との間の望ましくない錯体形成であると推測されるもののために、適当な量の大環状化合物を得ることができなかった。異成分からなるPCl経路とは異なり、H[MAC]へのオキサザロン経路は均一溶液法であり、これは、合成失敗の原因を調べるためのH NMR等の調査技法の適用を簡単にする。乾燥ピリジン中でのTMDMビスオキサザロンとDMPジアミンとの反応によっては、アミドを形成することができなかった(NMR分析による)。オキサザロン経路はケトン官能基に対して感受性でないため、アミド形成の失敗は、アルキルアミン官能基の酸塩形成に起因するものであった。アルキルジアミンは3−4pK単位だけピリジンより塩基性であるが、アリールジアミンはピリジンのものに近いpKを有する。したがって、より塩基性の高沸点溶媒(トリエチルアミン、トリプロピルアミン、ジエチルアニリン)を用いて、アミド形成の量を増加させることができる。アミン含有溶媒については、反応物の低い溶解性を考慮して、水および不純アミンの存在は問題がある。ルイス酸乾燥剤の添加が有利であることが見いだされた。還流トリプロピルアミン+CaO中のTMDMビスオキサザロンとDMPアルキルジアミンとの反応(1段階)から、H[MAC]の評価しうる収量(2−3%大環状化収量、最適化せず)を得ることができる。生成物の単離は、H NMR分析と組み合わせた、トルエンからの分別再結晶によるべきである。
【0149】
Uffelmanの従来技術方法(アルキルジアミンから4段階)による、アルキルジアミンからのH[MAC]の可能な最高収量は8−10%である。オキサザロン経路により、H[MAC]を適切な収量で得ることができる。
キレート錯体の合成
以下の実施例において、2,3,4および5と名付けた化合物は、図6に図示される化合物のジメチル対応物である。
【0150】
実施例10
[EtN]2および[EtN]3[それぞれ、鉄(III)クロロTMDM−DCBモノアニオンおよび鉄(III)水性TMDM−DCBモノアニオンのテトラエチルアンモニウム塩]
上述のいずれかの実施例の親大環状テトラアミド(525mg,1.1mmol)を、N雰囲気下に、テトラヒドロフラン(40mL,Aldrich)に溶解する。N下のtert−ブチルリチウム(2.6mL,4.4mmol,2,4−ジメチルペンタン中1.7M,Aldrich)をN下で−108℃で溶液に加える。塩化鉄(II)(無水,155mg,1.2mmol,Alfa)を加え、溶液を撹拌しながら室温に暖めて(16時間)、空気に不安定なFeIIL錯体の沈殿物を得る。乾燥管を通して空気を入れ(2時間)、固体を回収し、CHCl(2×10mL)で洗浄する。得られる粉末を減圧下に乾燥する。収量:595mg(約93%)。変化しやすい溶媒和および限定された溶解性のため、リチウム塩は、続く使用のためにテトラエチルアンモニウム塩に変換すべきである。CHOH(50mL)中のリチウム塩(595mg)を、[EtN]カチオンで予め飽和させたイオン交換カラム(Dowex 50X2−100,25g,2cm×12.5cm)に負荷し、バンドをCHOH(100mL)で溶出する。溶媒を減圧下に除去する。残渣をCHCl(20mL)に懸濁し、混合物を濾過する。溶媒を母液から減圧下に除去して、吸湿性のガラス状残渣[EtN]2を得、これはさらに精製することなく用いることができる。IR(ヌージョル/NaCl,cm−1):1619(ν(CO)アミド),1575(ν(CO)アミド),1534(ν(CO)アミド)。鉄(III)出発物質の注意深い精製は、このアキシアルクロロジアニオン性錯体ではなく、アキシアル水性モノアニオン性錯体を用いることにより、より便利に行うことができる。[EtN]2(550mg,約0.7mmol)をCHCN(50mL)に溶解する。銀テトラフルオロボレート(140mg,0.7mmol)をCHCN(2mL)に溶解し、撹拌した溶液に加える(1時間)。AgCl沈殿物を濾別し、溶媒を減圧下に除去する。得られる[EtN]3を、シリカゲルカラムから溶出(CHCl中8%MeOH)することにより、さらに精製する。溶媒を減圧下に除去し、生成物をHOから再結晶する。
【0151】
実施例11
[EtN]4[鉄(IV)クロロTMDM−DCBモノアニオンのテトラエチルアンモニウム塩]
[EtN]2(500mg,約0.6mmol)をCHCl(30mL)に溶解した。アンモニウムセリウム(IV)ニトレート(10.3g,18.3mmol)を溶液に加え、混合物を撹拌する(2時間)。固体セリウム塩を濾過により除去する。生成物は、溶媒を減圧下に除去し、真空下で乾燥することにより得る。
【0152】
実施例12
[EtN]4[鉄(IV)クロロTMDE−DCBモノアニオンのテトラエチルアンモニウム塩]およびNaCNからの、[PhP]5[鉄(IV)シアノTMDM−DCBモノアニオンのテトラフェニルホスホニウム塩]の合成
[EtN]4[鉄(IV)クロロTMDM−DCBモノアニオンのテトラエチルアンモニウム塩](225mg,0.33mmol)をHO(10mL)に懸濁する。シアン化ナトリウム(140mg,2.85mmol)をHO(10mL)に溶解し、懸濁液に加え、混合物を超音波処理する(Branson 1200,0.5時間)。混合物を濾過し、水に溶解したPPhCl[塩化テトラフェニルホスホニウム](600mg,1.6mmol,10mL,Aldrich)を加えることにより、青色生成物を沈殿させた。沈殿物を回収し、HO(2×10mL)で洗浄する。この物質は、シリカゲルからCHCN:CHCl(1:1,60mL)を用いて抽出すべきである。溶媒を減圧下に除去し、残渣をCHCl(3mL)に溶解し、濾過する。ペンタン(150mL)を加えると、粉体が得られる(90mg,0.10mmol)。
【0153】
実施例13
シアン化ニトリル原料からの[PhP]5[鉄(IV)シアノTMDM−DCBモノアニオンのテトラフェニルホスホニウム塩]の合成
[PhP]5[鉄(IV)シアノTMDM−DCBモノアニオンのテトラフェニルホスホニウム塩]は、塩基の存在または不在下に形成することができる。塩基の不在下では、後処理工程で溶媒を除去するにつれて色が消失する。したがって、生成物を単離して固体を得ることは、pH9−10の範囲で加えられた塩基の存在下で行うことが最良である。続く反応により、溶媒基質として、CHCN,CDCN,CHCHCNおよび(CHCHCNの各々を用いて、化合物5を得る。記載される触媒的反応には塩基は添加しない。
【0154】
実施例14
塩基の存在下における[PhP]5の合成
[EtN]3(160mg,0.23mmol)を、選択されたニトリル溶媒(6mL)に溶解する。実施例13を参照。水酸化テトラエチルアンモニウム塩基(20wt%,0.370mL,0.52mmol,Aldrich)を加え、次にt−ブチルヒドロペルオキシド(90%,0.605mL,5.4mmol,Aldrich)を撹拌しながら滴加して(20分間)、青色溶液を得る。残存ニトリルを減圧下に除去し、油状物残渣を得て、これをHO(15mL)に溶解し、濾過する。PPhCl(800mg,2.1mmol,Aldrich,10mL)の水性溶液を加えることにより、濾液から物質を沈殿させる。青色沈殿物を回収し、HO(2×10mL)で洗浄する。収量:130mg,0.15mmol(65%)。実施例12の[PhP]5の節に記載されているように、さらに精製を行った。
【0155】
実施例15
1−[2−((E)−2−ブテニル−2−エチルアミド)−2−メチルプロパンアミド]−2−[5,5−ジメチルヒダントイン]−4,5−ジクロロベンゼン(すなわち、配位子分解生成物)
[EtN]2(130mg,0.13mmol)をCHCN(5mL,Aldrich)に溶解する。t−ブチルヒドロペルオキシド(0.445mL,4mmol,Aldrich)の90%溶液をゆっくり加える(3分間)。反応混合物を撹拌し(25分間)、次にすべての液体を減圧下に除去する。残渣をCHClに溶解し、調製用薄層クロマトグラフィー(TLC)プレート(シリカゲルGF,1000mm,20cm×20cm)に負荷し、15%CHCN/85%CHCl溶媒混合物で溶出する。UV照射下でRf値0.3に生成物バンドを検出する。調整用プレートから生成物を含むシリカの部分を取り出し、生成物をCHCl:CHCN(1:1)で抽出する。溶液を濾過し、溶媒を減圧下に除去する。残渣をCHCl(3mL)に溶解し、ペンタン(150mL)を加えることにより固体を得る。これを濾過により回収し、ペンタン(2×10mL)で洗浄する。
【0156】
本発明の大環状化合物の特定の態様のいくつかの例は、”Metal Ligand Containing Bleaching Compositions”と題するT.Collinsらの米国特許出願08/684,670に開示されている。
【図面の簡単な説明】
【0157】
【図1】図1は、化合物IIおよび過酸化物からなる触媒系の、ジエチル置換基とオキソアキシアル配位子との間の分子内反応による、酸化的配位子分解の提唱経路の概略図である。
【図2】図2は、配座的束縛がオキソ基の酸化的分解を防ぐ様式の図解である。
【図3a】図3(a)は、本発明の大環状テトラアミド配位子の2つの可能な構造の図解であり、化合物のアーム、リンカーおよび架橋成分を示している。
【図3b】図3(b)は、本発明の大環状テトラアミド配位子の2つの可能な構造の図解であり、化合物のアーム、リンカーおよび架橋成分を示している。
【図4】図4は、再生可能な金属酸化剤系の概要である。
【図5】図5は、支持表面に共有結合したアミノペンダント大環状化合物金属錯体の概略図である。
【図6】図6は、本発明の大環状配位子から形成されるいくつかのキレート錯体の図解である。
【出願人】 【識別番号】591236068
【氏名又は名称】カーネギー−メロン ユニバーシティ
【氏名又は名称原語表記】CARNEGIE−MELLON UNIVERSITY
【出願日】 平成18年8月2日(2006.8.2)
【代理人】 【識別番号】100089705
【弁理士】
【氏名又は名称】社本 一夫

【識別番号】100140109
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 新次郎

【識別番号】100075270
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 泰

【識別番号】100080137
【弁理士】
【氏名又は名称】千葉 昭男

【識別番号】100096013
【弁理士】
【氏名又は名称】富田 博行

【識別番号】100107386
【弁理士】
【氏名又は名称】泉谷 玲子


【公開番号】 特開2007−16036(P2007−16036A)
【公開日】 平成19年1月25日(2007.1.25)
【出願番号】 特願2006−210959(P2006−210959)