| 【発明の名称】 |
カルシウムサルホアルミネート系クリンカー組成物 |
| 【発明者】 |
【氏名】土田 良明
【氏名】黒木 康貴
【氏名】土屋 和義
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| 【要約】 |
【課題】アウインが安定に生成し、C3Aに対してアウインの含有量が格段に多く、適度な急硬性と優れた膨張性を有するカルシウムサルホアルミネート系クリンカー組成物を提供する。
【解決手段】 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 アウインを含有するクリンカー組成物において、酸化チタンを1wt%以下、酸化マグネシウムを1wt%〜3wt%含有し、アウインとアルミン酸三カルシウム(C3A)との合計量においてアウインの含有量が90%以上であることを特徴とするカルシウムサルホアルミネート系クリンカー組成物。 【請求項2】 酸化鉄の含有量が0.5wt%〜8wt%である請求項1のクリンカー組成物。 【請求項3】 CaO源の石灰石、Al2O3源のバンド頁岩、CaSO4源、Fe2O3源の各原料を粉末にして混合し、1250℃〜1350℃で焼成して製造したアウインを含有するクリンカー組成物であって、酸化チタンを1wt%以下、酸化マグネシウムを1wt%〜3wt%含有し、アウインとアルミン酸三カルシウム(C3A)との合計量においてアウインの含有量が90%以上である請求項1または2のカルシウムサルホアルミネート系クリンカー組成物。
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【発明の詳細な説明】【技術分野】 【0001】 本発明は、酸化チタンおよび酸化マグネシウムの含有量を制御し、好ましくは更に酸化鉄含有量を制御することによって、アウインの生成を安定にしたカルシウムサルホアルミネート系クリンカー組成物に関する。 【背景技術】 【0002】 アウイン(3CaO・3Al2O3・CaSO4)は、水和反応が早く、エトリンガイトを生成して速硬性や膨張性を発現するので、アウインを主体とした組成物はコンクリートの混和材として膨張材や速硬材などに用いられている。最近、コンクリートの高性能化に応じて、コンクリートに添加される混和材の性能も多様化しており、膨張や速硬性能が安定的に発揮できるものが求められており、アウインを含有する組成物について製造上の品質安定化は重要である。 【0003】 従来、アウイン含有組成物については、CaO源、Al2O3源、CaSO4源、Fe2O3源の各原料を混合して焼成し、アウインのほかにカルシウムアルミノフェライトなどを含有したセメント混和材を製造することが知られている(特許文献1)。また、急硬性クリンカー組成物については、カルシウムアルミネートクリンカー原料に、酸化鉄、酸化チタン、フッ化カルシウムを添加することによって焼成温度を下げたクリンカー組成物が知られている(特許文献2)。 【特許文献1】特開2001−316147号公報 【特許文献2】特開平09−268037号公報 【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】 【0004】 一般に、アウイン含有組成物のCaO源として石灰石や、Al2O3源としてバンド頁岩が用いられているが、通常、石灰石には酸化マグネシウム(MgO)が混入しており、バンド頁岩には酸化チタン(TiO2)や酸化鉄(Fe2O3)が混入している。原料にMgO、TiO2 やFe2O3 が混入していると、その混入量によってアウインやアルミン酸三カルシウム(3CaO・Al2O3:以下C3Aと略記)の生成が影響を受け、また、酸化鉄が多いと溶融しやすくなり、焼成温度は低くなるので易焼成性は向上するが、カルシウムフェライト系鉱物ができやすくなるのでアウインの生成量は減少する。さらに、焼成温度が低いために結晶成長が十分ではなく、膨張性能、初期強度発現性および流動性が得られにくくなる云う問題がある。 【0005】 このため、特許文献1のセメント混和材ではアウインなどの生成が安定せず、品質のバラツキが大きいと云う問題がある。また、特許文献2のクリンカー組成物はC3Aやアルミン酸三カルシウムフェライト(4CaO・Al2O3・Fe2O3:以下C4AFと略記)の生成量が多くなり、この場合もアウインの生成量が低下するとともに品質のバラツキが大きいと云う問題がある。 【課題を解決するための手段】 【0006】 本発明は、アウイン含有組成物について従来の上記問題を解決したものであり、アウインの生成が安定であって品質のバラツキが少ないアウイン含有組成物を提供する。 【0007】 本発明によれば以下のカルシウムサルホアルミネート系クリンカー組成物が提供される。 (1)アウインを含有するクリンカー組成物において、酸化チタンを1wt%以下、酸化マグネシウムを1wt%〜3wt%含有し、アウインとアルミン酸三カルシウム(C3A)との合計量においてアウインの含有量が90%以上であることを特徴とするカルシウムサルホアルミネート系クリンカー組成物。 (2)酸化鉄の含有量が0.5wt%〜8wt%である上記(1)のクリンカー組成物。 (3)CaO源の石灰石、Al2O3源のバンド頁岩、CaSO4源、Fe2O3源の各原料を粉末にして混合し、1250℃〜1350℃で焼成して製造したアウインを含有するクリンカー組成物であって、酸化チタンを1wt%以下、酸化マグネシウムを1wt%〜3wt%含有し、アウインとアルミン酸三カルシウム(C3A)との合計量においてアウインの含有量が90%以上である上記(1)または(2)のカルシウムサルホアルミネート系クリンカー組成物。 【発明の効果】 【0008】 本発明のクリンカー組成物は、アウインが安定に生成し、C3Aよりもアウインの生成量が格段に多いので、適度な急硬性と優れた膨張性を発揮する。また、アウインの生成量が安定しているので品質の安定なクリンカー組成物を得ることができる。 【0009】 さらに、本発明によれば、酸化チタンおよび酸化マグネシウムの含有量を制御することによって、1350℃以下の焼成温度でC3Aよりもアウインの生成量が格段に多いクリンカー組成物を得ることができる。 【発明を実施するための最良の形態】 【0010】 本発明のクリンカー組成物は、アウインを含有するクリンカー組成物において、酸化チタン(TiO2)を1wt%以下、酸化マグネシウム(MgO)を1wt%〜3wt%含有し、アウインとアルミン酸三カルシウム(C3A)との合計量においてアウインの含有量が90%以上であることを特徴とするカルシウムサルホアルミネート系クリンカー組成物である。 【0011】 酸化チタン量が1wt%よりも多くなると、易焼成性が低下して焼成し難くなる。例えば、焼成温度が1250℃では反応が不十分になり、遊離酸化カルシウム量が多く、アウインの生成量は少ない。一方、これより高い温度で焼成すると、C3Aが多くなり、SO3が揮散するので、やはり十分なアウインの生成量が得られない。 【0012】 酸化マグネシウムの存在によって、C3Aの生成が抑制される一方、アウインの生成が促進される。酸化マグネシウムの含有量が1wt%よりも少なくと、アウイン生成促進効果が不十分である。一方、酸化マグネシウム含有量が3wt%よりも多くなると、酸化チタンの場合と同様に易焼成性が低下するので好ましくない。 【0013】 酸化鉄の含有量は0.5wt%〜8wt%が好ましく、1〜6wt%がより好ましい。酸化鉄を含有することによって焼成しやすくなり、また、セメントにした場合の瞬結を抑制できるなど物性を穏やかにする利点がある。酸化鉄の含有量が0.5wt%より少ないと、この効果が乏しい。一方、酸化鉄含有量が8wt%よりも多いと、カルシウムアルミノフェライトの生成量が多くなり、カルシウムおよびアルミニウムが消費されるのでアウインの生成量が少なくなり、十分な量のアウインが得られない。また、酸化鉄含有量が多いと焼成温度との兼ね合いで品質のバラツキが大きくなる。 【0014】 酸化チタン、酸化マグネシウム、および好ましくは酸化鉄の各含有量をおのおの上記範囲内に制御することによって、アウインとアルミン酸三カルシウム(C3A)との合計量においてアウインの含有量が90%以上のクリンカー組成物を得ることができる。 【0015】 また、酸化チタン、酸化マグネシウム、および好ましくは酸化鉄の各含有量をおのおの上記範囲内に制御することによって、1250℃〜1350℃の焼成温度で、アウイン生成量の多いクリンカー組成物を得ることができる。アーウインの結晶成長は、焼成温度が1100℃、1200℃よりも焼成温度が高いほうが顕著であるが、1350℃以上ではSO3分が揮散し、またC3Aが生成しやすくなるため、これにカルシウムおよびアルミニウムが消費されるのでアーウインの生成量が少なくなる。C3A量が多過ぎると急結性が著しくなり、十分な可使時間を保てないので使用し難いものになる。 【0016】 酸化チタン、酸化マグネシウム、および好ましくは酸化鉄の各含有量をおのおの上記範囲に制御し、1250℃〜1350℃で焼成することによって、アウインが安定に生成し、C3Aよりもアウイン含有量が格段に多いクリンカー組成物を得ることができる。 【0017】 本発明のクリンカー組成物は、C3Aよりもアウイン含有量が格段に多く、具体的には、アウインとC3Aとの合計量においてアウインの含有量が90%以上のクリンカー組成物である。従って、本発明のクリンカー組成物は十分な可使時間と適度な急結性、および十分な膨張性を有し、コンクリートの収縮補償混和剤、無収縮グラウト材、速硬性注入材、セルフレベリング材などに適する。 【実施例】 【0018】 以下、本発明を実施例および比較例によって具体的に示す。 〔実施例1〜6,比較例1〜9〕 生石灰、バンド頁岩、スラグ、無水石膏の各原料を粉末にして混合し、カルシウム分、シリカ、アルミナ、鉄分、石膏分、酸化チタン、酸化マグネシウム、および酸化鉄の配合量をおのおの表1に示すように調整した。この混合原料粉末を1250℃〜1350℃で焼成し、クリンカー組成物を製造した。このクリンカー組成物のアウイン含有量、C3Aとアウインの合計量におけるアウインの含有比を表1に示した。 このクリンカー組成物をセメントに混合し、水を加えてペーストを調製し、可使時間と強度の発現状態を調べた。この結果を表2に示した。 【0019】 表1に示すように、本発明によれば、酸化チタンおよび酸化マグネシウムの量を調整することによって、アウインの生成を促す一方、C3Aの生成を抑制し、アウインの生成量がC3Aとアウインの合計量の90%以上であるクリンカー組成物を得ることができる。表2に示すように、この本発明のクリンカー組成物は普通セメントと混合して使用したときに、十分な可使時間が得られ、また2時間〜28日の強度も高く、優れた急結性を有している。 【0020】 酸化チタンおよび酸化マグネシウムの量を調整してアウインの生成量を制御する本発明の作用効果は、アウイン生成量の幅広い範囲において適用することができる。実施例に示すように、アウインの生成量はアルミナおよびシリカの含有量によっても異なり、例えば、アルミナ量が多くてシリカ量が少なくとアウインの生成量が多く、クリンカ組成物全体のアウインの量は74wt%程度であり(実施例3-4)、一方、シリカ量が多くてアルミナ量が少ないとアウインの生成量が少なく、クリンカ組成物全体のアウインの量は25wt%程度である(実施例5-6)。これら何れの場合においても、酸化チタンおよび酸化マグネシウムの量を調整することによってC3Aの生成を抑制してアウインの生成を促すことができ、アウインの生成量がC3Aとアウインの合計量の90%以上であるクリンカー組成物を得ることができる。因みに、表2に示すように、アーウインが多い場合でも少ない場合においても、これを粉砕し、セメントとの混合割合を適切に調整することによって、速硬性能と強度発現性のバラツキは小さく、品質は安定している。 【0021】 【表1】
【0022】 【表2】
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| 【出願人】 |
【識別番号】501173461 【氏名又は名称】太平洋マテリアル株式会社
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| 【出願日】 |
平成17年8月12日(2005.8.12) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100088719 【弁理士】 【氏名又は名称】千葉 博史
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| 【公開番号】 |
特開2007−51014(P2007−51014A) |
| 【公開日】 |
平成19年3月1日(2007.3.1) |
| 【出願番号】 |
特願2005−235055(P2005−235055) |
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